1.化学品等及び会社情報 | |||
---|---|---|---|
化学品の名称 | 1,2,3,4,10,10-ヘキサクロロ-1,4,4a,5,8,8a-ヘキサヒドロ-エキソ-1,4-エンド-5,8-ジメタノナフタレン (別名: アルドリン) (Aldrine) | ||
製品コード | R02-B-044 | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 木材用の防腐剤、防虫剤及びかび防止剤、塗料用 (防腐用、防虫用又はかび防止用のものに限る。)、殺虫剤 (販売禁止農薬) (NITE-CHRIPより引用) |
2.危険有害性の要約 | |||
---|---|---|---|
GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R3.3.12、政府向けGHS分類ガイダンス (令和元年度改訂版 (ver2.0)) を使用 | ||
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用) | |||
物理化学的危険性 | - | ||
健康に対する有害性 | 急性毒性 (経口) | 区分2 | |
急性毒性 (経皮) | 区分2 | ||
急性毒性 (吸入: 粉じん、ミスト) | 区分1 | ||
発がん性 | 区分1B | ||
生殖毒性 | 区分1B 追加区分: 授乳に対する、又は授乳を介した影響 | ||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1 (神経系) 区分3(気道刺激性) | ||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1 (神経系、肝臓、腎臓) | ||
分類実施日 (環境有害性) | 平成18年度、GHS分類マニュアル(H18.2.10版) | ||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 (急性) | 区分1 | |
水生環境有害性 (長期間) | 区分1 | ||
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | 飲み込むと生命に危険 皮膚に接触すると生命に危険 吸入すると生命に危険 呼吸器への刺激のおそれ 発がんのおそれ 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ 授乳中の子に害を及ぼすおそれ 神経系の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による神経系、肝臓、腎臓の障害 水生生物に非常に強い毒性 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 | ||
注意書き | |||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 容器を密閉しておくこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 眼、皮膚、衣類につけないこと。 妊娠中及び授乳期中は接触を避けること。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 呼吸用保護具を着用すること。 | ||
応急措置 | ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。直ちに医師に連絡すること。 皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 口をすすぐこと。 漏出物を回収すること。 | ||
保管 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
---|---|---|---|
単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | 1,2,3,4,10,10-ヘキサクロロ-1,4,4a,5,8,8a-ヘキサヒドロ-エキソ-1,4-エンド-5,8-ジメタノナフタレン | ||
別名 | アルドリン | ||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | C12H8Cl6 (364.91) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 309-00-2 | ||
官報公示整理番号 (化審法) | 4-303 | ||
官報公示整理番号 (安衛法) | 情報なし | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | 情報なし |
4.応急措置 | |||
---|---|---|---|
吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 直ちに医師に連絡すること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 汚染された衣服を脱がせる。 医療機関に連絡する。 | ||
眼に入った場合 | 数分間多量の水で洗い流し(できればコンタクトレンズをはずして)、医療機関に連絡する。 | ||
飲み込んだ場合 | 直ちに医師に連絡すること。 口をすすぐこと。 水に活性炭を懸濁した液を飲ませる。 吐かせない。 安静。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入: 「経口摂取」参照。 皮膚: 吸収される可能性あり!「経口摂取」参照。 経口摂取: 痙攣、めまい、頭痛、吐き気、嘔吐、筋攣縮。 | ||
応急措置をする者の保護 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | ばく露の程度によっては、定期検診を勧める。 |
5.火災時の措置 | |||
---|---|---|---|
適切な消火剤 | 小火災: 粉末消火剤、二酸化炭素、散水 大火災: 散水、水噴霧、一般の泡消火剤 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状注水 | ||
特有の危険有害性 | 不燃性。 有機溶剤を含む液体製剤は、引火性のことがある。 火災時に、刺激性あるいは有毒なフュームやガスを放出する。 | ||
特有の消火方法 | 情報なし | ||
消火を行う者の保護 | 情報なし |
6.漏出時の措置 | |||
---|---|---|---|
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式空気呼吸器付化学防護服を使用することとの記載あり) | ||
環境に対する注意事項 | 周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 下水に流してはならない。 こぼれた物質を、ふた付きの 密閉式容器内に掃き入れる。 湿らせてもよい場合は、粉塵を避けるために湿らせてから掃き入れる。 残留分を、注意深く集める。 地域規則に従って保管処理する。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
---|---|---|---|
取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱い注意事項 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 容器を密閉しておくこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 眼、皮膚、衣類につけないこと。 汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 妊娠中及び授乳期中は接触を避けること。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 環境への放出を避けること。 製剤に溶剤が使用されている場合は、その溶剤のICSCも参照のこと。 作業衣を家に持ち帰ってはならない。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 消火により生じる流出物を収容するための用意をする。 食品や飼料および混触危険物質から離しておく。 排水管や下水管へのアクセスのない場で貯蔵する。 | ||
安全な容器包装材料 | 国連危険物輸送勧告で規定された容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
---|---|---|---|---|
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
管理濃度 | 未設定 | |||
許容濃度 | ||||
日本産衛学会 (2020年度版) | 未設定 | |||
ACGIH (2020年版) | TLV-TWA: 0.05 mg/m3 (Inhalable fraction and vapor) (Skin) | |||
設備対策 | 粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器又は局所排気装置を使用する。 | |||
保護具 | ||||
呼吸用保護具 | 状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式空気呼吸器を使用することとの記載あり) | |||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。 | |||
眼の保護具 | 保護眼鏡や保護面を着用する。 | |||
皮膚及び身体の保護具 | 保護衣(化学防護服)を着用する。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式空気呼吸器付化学防護服を使用することとの記載あり) |
9.物理的及び化学的性質 | |||
---|---|---|---|
物理的状態 | |||
物理状態 | 固体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 無色 | ||
臭い | 殆ど無臭 | ||
融点/凝固点 | 104〜105℃ (ICSC (1998)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 145℃ (2 mmHg) (HSDB (Access on May 2020)) | ||
可燃性 | 不燃性 (ICSC (1998)) | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | 該当しない | ||
引火点 | 該当しない | ||
自然発火点 | 該当しない | ||
分解温度 | データなし | ||
pH | データなし | ||
動粘性率 | 該当しない | ||
溶解度 | 水: 170 mg/L (25℃) (HSDB (Access on May 2020)) エタノール、エーテル、アセトンに可溶 (HSDB (Access on May 2020)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | log Pow = 7.4 (ICSC (1998)) | ||
蒸気圧 | 1.20E-004 mmHg (25℃) (HSDB (Access on May 2020)) | ||
密度及び/又は相対密度 | 1.6 g/cm3 (ICSC (1998)) | ||
相対ガス密度 | 該当しない | ||
粒子特性 | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
---|---|---|---|
反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 情報なし | ||
危険有害反応可能性 | 加熱すると、分解する。 塩化水素を含む、有毒で腐食性のフュームを生じる。 酸および酸化剤と反応する。 水の存在下で、多くの金属を侵す。 | ||
避けるべき条件 | 加熱、混触危険物質との接触 | ||
混触危険物質 | 酸化剤、酸 | ||
危険有害な分解生成物 | 塩化水素を含む、有毒で腐食性のフューム |
11.有害性情報 | |||
---|---|---|---|
急性毒性 | |||
経口 | 【分類根拠】 (1)〜(8) より、区分2とした。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 39 mg/kg (MOE初期評価第1巻 (2002)、GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020)) (2) ラットのLD50: 雄: 38〜54 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2013)) (3) ラットのLD50: 38〜67 mg/kg (EHC 98 (1989)) (4) ラットのLD50: 39〜60 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2013)) (5) ラットのLD50: 39〜64 mg/kg (ATSDR (2002)) (6) ラットのLD50: 雌: 45 mg/kg (HSDB (Access on May 2020)) (7) ラットのLD50: 雌: 46〜67 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2013)) (8) ラットのLD50: 雌: 60 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2013)) | ||
経皮 | 【分類根拠】 (1)〜(3) より、区分2とした。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 98 mg/kg (MOE初期評価第1巻 (2002)、HSDB (Access on May 2020)) (2) ラットのLD50: < 100 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2013)、EHC 98 (1989)) (3) ウサギのLD50: 150 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2013)、EHC 98 (1989)、HSDB (Access on May 2020)) 【参考データ等】 (4) ウサギのLD50: 約5 mg/kg (EHC 91 (1989)) (5) ウサギのLD50: 15 mg/kg (GESTIS (Access on May 2020)) | ||
吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 | ||
吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | ||
吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 (1) より、LD50は0.027 mg/Lより低いことが考えられ、区分1とした。 なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (0.002 mg/L) よりも高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。 【根拠データ】 (1) ラットを用いたvapors and particles 吸入ばく露試験において、0.108 mg/Lの1時間ばく露 (4時間換算値: 0.027 mg/L) でラット10例中9例が死亡した (ATSDR (2002))。 (2) 本物質の蒸気圧: 0.00012 mmHg (25℃) (HSDB (Access on May 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 0.002 mg/L) | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1)、(2) より、区分に該当しないとした。新たなデータが得られたことにより、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) ウサギを用いた皮膚刺激性試験において稀に軽度の紅斑を誘発した。また、乾燥粉末として反復塗布したが、皮膚に変化は認められず、植物油に溶解することにより軽度の刺激性が認められた (食安委 農薬評価書 (2013)、EHC 98 (1989))。 (2) 本物質 (テクニカルグレード) の粉体はウサギの皮膚に数週間適用してもごく軽度の紅斑が観察されることはあるが、殆ど刺激性は示さない (EHC 98 (1989)、GESTIS (Access on May 2020))。 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 旧分類では乳剤のデータを基に分類を行っていたが、乳剤に含まれる溶剤や界面活性剤の影響が無視できないため、データ不足により分類できないとした。 【参考データ等】 (1) 本物質の濃縮乳化剤 (アルドリン含有率: 48%) を希釈せずにウサギの眼に点眼し、重篤な初期の痛み及び中等度の刺激性を示した (食安委 農薬評価書 (2013)、EHC 91 (1989)、GESTIS (Access on May 2020))。 | ||
呼吸器感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため、分類できない。 | ||
皮膚感作性 | 【分類根拠】 (1)〜(3) の記載はあるが、データ不足のため分類できないとした。旧分類は製剤の試験結果に基づくものであり、本物質の区分を決定できるデータが得られなかったことから、分類結果を変更した。 【参考データ等】 (1) モルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) において陽性と報告されている (食安委 農薬評価書 (2013))。 (2) 大規模なばく露集団で感作性と思われる反応がみられなかったことから、感作性はないと思われる (EHC 98 (1989)、GESTIS (Access on May 2020))。 (3) 本物質を48%含有する乳剤のモルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) において陽性は15%と報告されている (EHC 98 (1989))。 | ||
生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 (1)〜(3) より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) in vivoでは、マウスを用いた優性致死試験及びマウスの骨髄細胞を用いた小核試験において陰性の報告がある (EHC 91 (1989), ATSDR (2002), IARC Suppl.7 (1987))。マウス及びラットの骨髄細胞を用いる染色体異常試験において弱い陽性の報告があるが、IARC 117 (2019) において、方法の詳細不明と記載があることから (IARC Suppl.7 (1987))、適切に評価できないと判断した。 (2) in vitroでは、ほ乳類培養細胞を用いた染色体異常試験において陽性、細菌の復帰突然変異試験で陰性の報告がある (EHC 91 (1989), ATSDR (2002), IARC Suppl.7 (1987)、CEBS (Access on May 2020))。 (3) 食安委農薬評価書において「生体において問題となる遺伝毒性はないものと考えられた」との記載がある (食安委 農薬評価書 (2013))。 | ||
発がん性 | 【分類根拠】 本物質へのばく露とヒトでの発がん性に関する十分な報告はない。(1)〜(5) よりIARCでグループ2A、EPAでB2に分類されていることに基づき、区分1Bとした。IARCの最新の分類結果に基づき分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCでグループ2A (IARC 117 (2019))、ACGIHでA3 (ACGIH (2007))、EPAでB2 (probable human carcinogen) (IRIS (1987))、EU CLPでCarc. 2 (EU CLP分類 (Access on May 2020)) に分類されている。 (2) 雌雄のマウスに本物質を2年間混餌投与した3つの発がん性試験 (異なる系統) において、雌雄とも肝腫瘍 (肝細胞腺腫又はがん) の有意な発生率の増加が認められた (IARC 117 (2019))。 (3) 雌雄のラットに本物質を1〜2年間混餌投与した複数の発がん性試験では、投与に関連した腫瘍発生率の有意な増加は認められなかった (IARC 117 (2019))。 (4) 雌雄のラットに本物質を雄では74週間、雌では80週間混餌投与した慢性毒性/発がん性併合試験において、雌雄とも甲状腺ろ胞細胞腺腫及び甲状腺ろ胞細胞がんが認められた (食安委 農薬評価書 (2013))。 (5) 本物質の発がん性について、ヒトでの証拠は不十分であるが、実験動物では十分な証拠がある (IARC 117 (2019))。ただし、本物質はヒト及び実験動物では急速にディルドリン (CAS番号 60-57-1) に代謝されるため、本物質の評価では、ディルドリンの発がん性に関する証拠が考慮された (IARC 117 (2019))。ディルドリンは区分1Bに分類された (2020年GHS分類)。 | ||
生殖毒性 | 【分類根拠】 (1)〜(3) の繁殖毒性試験において、生存授乳児数の減少、児動物での肝臓、腎臓への影響が示唆された。また、(4)、(5) より、生存胎児数減少、奇形の可能性が考えられるため、区分1B、追加区分: 授乳に対する、又は授乳を介した影響とした。なお、授乳影響を加えたことから旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) マウスを用いた混餌による6世代繁殖毒性試験において、最も顕著な影響として生存授乳児数の減少がみられた (食安委 農薬評価書 (2013))。 (2) イヌを用いた強制経口投与による1世代繁殖毒性試験において、ほとんどの児動物は出産後3日以内に死亡し、死亡児動物の病理組織学的検査において、肝臓及び軽度の腎尿細管の変性性変化が認められた (食安委 農薬評価書 (2013)、EHC 91 (1989))。 (3) イヌを用いた強制経口投与による1世代繁殖毒性試験において、雌で性周期の遅延がみられ、授乳動物の生存率の低下がみられた。授乳動物の生存率の低下は胎児期の影響又は母動物の乳汁中のディルドリンの毒性によると考えられた (食安委 農薬評価書 (2013))。 (4) 雌のハムスターの妊娠7、8又は9日のいずれかに強制経口投与した発生毒性試験において、生存胎児数の減少、胎児重量の減少、口蓋裂、眼瞼開存、水かき足等の奇形の発現頻度の上昇が認められた。その影響は妊娠9日より7又は8日投与でより顕著であった。水かき足及び眼瞼開存は胎児重量の低下を伴っていたので、これらの影響は成長の遅延によるものである可能性が示唆された (食安委 農薬評価書 (2013) 、EHC 91 (1989))。EHC 91 (1989) では、重度の母体毒性の存在下でのこれらの異常の重要性は疑わしいが、特定の催奇形性の可能性を完全に排除することはできないとしている。 (5) 雌マウスの妊娠9日にLD50値の半分に相当する高用量を強制経口投与した発生毒性試験において、水かき足、口蓋裂、眼瞼開存等の異常が対照群及び投与群において増加したが、これらは母動物の毒性に関連すると考えられた。奇形の認められた胎児の発生率は33%であった (食安委 農薬評価書 (2013))。 【参考データ等】 (6) 本物質の代謝の第一段階はディルドリンの生成である (食安委 農薬評価書 (2013))。 |
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 (1)〜(7) より、区分1 (神経系)、区分3 (気道刺激性) とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) 本物質等シクロジエン系の殺虫剤の中毒症状は、被刺激性の亢進及び振戦に続き、強直性-間代性痙攣が生じる。ラットの高用量経口投与では痙攣は投与後1時間以内に生じ、6時間以内または2日から7日以内に死亡する (EHC 98 (1989))。 (2) 急性ばく露により、重度の神経毒性作用を示す (GESTIS (Access on May 2020))。 (3) ヒトへのばく露は、振戦、めまい、興奮性亢進、発作、昏睡を引き起こす (HSDB (Access on May 2020))。 (4) 粉じんばく露された労働者は、不快感、頭痛、めまい、吐き気、嘔吐がみられた (HSDB (Access on May 2020))。 (5) ヒトへの摂取後20分から12時間までの症状として、倦怠感、頭痛、吐き気、嘔吐、めまい、振戦、間代性及び強直性痙攣がみられた (HSDB (Access on May 2020))。 (6) 米国で本物質の製造、取り扱い及び散布に従事した労働者 (主に男性) は、粉じん製剤へのばく露後、眼、皮膚または呼吸器への刺激などの急性影響が報告された (HSDB (Access on May 2020))。 (7) ヒトへのばく露で15分から24時間後に頭痛、めまい、吐き気、衰弱、筋肉の痙攣がみられた。重篤な症例では、これらの症状の後、意識障害を伴う強直性痙攣 (EEGでのてんかん様活動を含む) が発生し、重度の心血管反応 (頻脈、高血圧または低血圧)、発熱または体温低下、肝臓と腎臓の機能への影響及び白血球増加症もみられた (GESTIS (Access on May 2020))。 | |||
---|---|---|---|---|
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 (1)〜(3) より、区分1の範囲で神経系、肝臓、腎臓に影響がみられていることから、区分1 (神経系、肝臓、腎臓) とした。 【根拠データ】 (1) ラットを用いた混餌投与による2年間反復投与毒性試験において、0.5 ppm (0.025 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上で小葉中心性肝細胞肥大、50 ppm (2.5 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上で死亡率の増加、肝比重量の増加、膀胱の出血、腎炎の発生頻度の増加がみられた (食安委 農薬評価書 (2013))。 (2) ラットを用いた混餌投与による31ヵ月間反復投与毒性試験において、20 ppm (1 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上において振戦及び間代性痙攣、肝小葉中心性混濁腫脹及び細胞壊死、30 ppm (1.5 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上の雄で肝比重量がみられた (食安委 農薬評価書 (2013))。 (3) イヌを用いた混餌投与による15.6ヵ月間反復投与毒性試験において、1 ppm (0.043〜0.091 mg/kg/day、区分1の範囲) の雌において腎臓の遠位尿細管の空胞化、3 ppm (0.12〜0.25 mg/kg/day、区分1の範囲) において、肝絶対及び比重量増加、肝臓の脂肪変性及び腎臓尿細管細胞の空胞化がみられた (食安委 農薬評価書 (2013))。 | |||
誤えん有害性* | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。本有害性項目の内容に変更はない。 |
12.環境影響情報 | |||
---|---|---|---|
生態毒性 | |||
水生環境有害性 (急性) | 魚類 (ニジマス) の96時間LC50 = 2.2 μg/L (EHC91 (1989)) から、区分1とした。 | ||
水生環境有害性 (長期間) | 急性毒性が区分1、急速分解性がなく (BODによる分解度: 0% (既存化学物質安全性点検データ)) 、生物蓄積性がある (BCF = 20,000 (既存化学物質安全性点検データ)) ことから、区分1とした。 | ||
オゾン層への有害性 | - |
13.廃棄上の注意 | |||
---|---|---|---|
残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 2761 | |||
国連品名 | ORGANOCHLORINE PESTICIDE, SOLID, TOXIC | |||
国連危険有害性クラス | 6.1 | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | I | |||
海洋汚染物質 | 該当する | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | - | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 毒物及び劇物取締法、道路法の規定に従う。 | |||
特別な安全上の対策 | 毒物及び劇物取締法、道路法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 151 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2016 Emengency Response Guidebook (ERG 2016)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
---|---|---|---|---|
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)【512 1,2,3,4,10,10−ヘキサクロロ−1,4,4a,5,8,8a−ヘキサヒドロ−エキソ−1,4−エンド−5,8−ジメタノナフタレン】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)【512 1,2,3,4,10,10−ヘキサクロロ−1,4,4a,5,8,8a−ヘキサヒドロ−エキソ−1,4−エンド−5,8−ジメタノナフタレン】 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) 作業場内表示義務(法第101条の4) | |||
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | - | |||
毒物及び劇物取締法 | 劇物(指定令第2条)【91 ヘキサクロルヘキサヒドロジメタノナフタリンを含有する製剤】 劇物(法第2条別表第2)【77 ヘキサクロルヘキサヒドロジメタノナフタリン】 | |||
化学物質審査規制法 | 第1種特定化学物質(法第2条第2項・施行令第1条)【4 1,2,3,4,10,10−ヘキサクロロ−1,4,4a,5,8,8a−ヘキサヒドロ−エキソ−1,4−エンド−5,8−ジメタノナフタレン】 | |||
道路法 | 車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)【3 アルドリン】 | |||
航空法 | 毒物類・毒物(施行規則第194条危険物告示別表第1)【【国連番号】2761 殺虫殺菌剤(有機塩素系)(固体)(毒性のもの)】 | |||
船舶安全法 | 毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1)【【国連番号】2761 有機塩素系殺虫殺菌剤類(固体)(毒性のもの)】 | |||
港則法 | その他の危険物・毒物類(毒物)(法第21条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)【2チ 有機塩素系殺虫殺菌剤類(固体)(毒性のもの)】 | |||
海洋汚染防止法 | 個品運送P(施行規則第30条の2の3、国土交通省告示)【【国連番号】2761 有機塩素系殺虫殺菌剤類(固体)(毒性のもの)】 | |||
農薬取締法 | 販売禁止農薬(法第18条第2項、平成15年3月5日省令第11号)【5 1,2,3,4,10,10−ヘキサクロロ−1,4,4a,5,8,8a−ヘキサヒドロ−エキソ−1,4−エンド−5,8−ジメタノナフタレン】 |
16.その他の情報 | ||||
---|---|---|---|---|
参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP) International Chemical Safety Cards (ICSC) Hazardous Substances Data Bank (HSDB) GESTIS Substance database (GESTIS) ERG 2016版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 |