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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
ベータ-ブチロラクトン
作成日 2003年 5月 6 日
改訂日 2006年 9月12日
改訂日 2025年3月14日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称ベータ-ブチロラクトン
化学品の英語名称Beta-butyrolactone
製品コードR06-C-128-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限医薬・農薬・香料中間体(NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
令和6年度(2024年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) ※一部、平成18年度(2006年度)、マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
物理化学的危険性-
健康に対する有害性皮膚腐食性/刺激性区分2
生殖細胞変異原性区分2
発がん性区分1B
分類実施日
(環境有害性)
平成18年度(2006年度)、マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
環境に対する有害性-

GHSラベル要素
絵表示健康有害性感嘆符
注意喚起語危険
危険有害性情報皮膚刺激
遺伝性疾患のおそれの疑い
発がんのおそれ
注意書き
 安全対策取扱い後はよく手を洗うこと。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
 応急措置皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。
皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
 保管施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名ベータ-ブチロラクトン
慣用名又は別名4−メチルプロピオラクトン
3−ヒドロキシブタン酸ラクトン
英語名Beta-butyrolactone
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C4H6O2 (86)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号3068-88-0
官報公示整理番号
(化審法)
5-12
官報公示整理番号
(安衛法)
-
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)-

4.応急措置
吸入した場合気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
症状が続く場合には、医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合大量の水で洗うこと。症状が続く場合には、医師に連絡すること。
眼に入った場合水で15〜20分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。症状が続く場合には、医師に連絡すること。
飲み込んだ場合水で口をすすぎ、直ちに医師の診断を受けること。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状情報なし
応急措置をする者の保護に必要な注意事項救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、粉末消火剤、泡消火剤、二酸化炭素を使用する。
使ってはならない消火剤火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。
特有の危険有害性火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。
特有の消火方法火元への燃焼源を断ち、消火剤を使用して消火する。
延焼の恐れのないよう水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。
消火活動は風上から行う。
火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。
危険でなければ火災区域から容器を移動する。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服(耐熱性)を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置関係者以外の立ち入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
環境に対する注意事項周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材危険でなければ漏れを止める。
少量の場合、ウエス、雑巾等でよく拭き取り適切な廃棄容器に回収する。
大量の場合、盛土等で囲って流出を防止する。
二次災害の防止策情報なし

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項取扱い後はよく手を洗うこと。
熱、火花、裸火、高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
容器を接地すること、アースをとること。
防爆型の電気機器、換気装置、照明機器を使用すること。
火花を発生させない工具を使用すること。
静電気放電に対する予防措置を講ずること。
接触回避酸化剤、還元剤等
衛生対策取扱い後はよく手を洗うこと。
取扱いや保管場所の近傍での飲食の禁止。
汚染された衣類を再使用する場合には洗濯すること。
保管
安全な保管条件直射日光を避け、冷暗所に保管する。高温物を近づけない。
安全な容器包装材料消防法、国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度-
濃度基準値
八時間濃度基準値-
短時間濃度基準値-
許容濃度
日本産衛学会 (2024年度版)-
ACGIH (2024年版)-
設備対策取り扱いの場所の近くに、洗眼および身体洗浄のための設備を設ける。
高温下や、ミストが発生する場合は換気装置を使用する。
保護具
呼吸用保護具必要に応じて保護マスクや呼吸用保護具を着用する。
手の保護具手に接触する恐れがある場合、保護手袋を着用する。
眼の保護具眼に入る恐れがある場合、保護眼鏡やゴーグルを着用する。
皮膚及び身体の保護具必要に応じて保護衣、保護エプロン等を着用する。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態液体
データなし
臭いアセトン臭
融点/凝固点-43.5℃ (災害等情報システム (総務省消防庁, 2024))
沸点、初留点及び沸騰範囲54〜56 ℃ (1.3 kPa) (IARC Vol.71 (1999))
可燃性可燃性
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界データなし
引火点60℃ (災害等情報システム (総務省消防庁, 2024))
自然発火点データなし
分解温度データなし
pHデータなし
動粘性率データなし
溶解度水:15.3 %(w/w) (IARC Vol.11 (1976))
n-オクタノール/水分配係数データなし
蒸気圧データなし
密度及び/又は相対密度1.056 (災害等情報システム (総務省消防庁, 2024))
相対ガス密度データなし
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性通常の取扱い条件下では安定である。
化学的安定性通常の取扱い条件下では安定である。
危険有害反応可能性通常の取扱い条件下では危険有害反応を起こさない。
避けるべき条件直射日光を避け、冷暗所に保管する。
発火源(火気、加熱、高温、静電気、火花など)に近づけないこと。 
混触危険物質酸化剤、還元剤等
危険有害な分解生成物火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。

11.有害性情報
急性毒性
経口ラットLD50値:17200uL/kg(換算値18150mg/kg)(RTECS, 2005)に基づき、区分に該当しないとした。
経皮ウサギLD50値:>20mL/kg(換算値>21110mg/kg)(RTECS, 2005)に基づき、区分に該当しないとした。
吸入: ガスGHSの定義による液体である。
吸入: 蒸気データなし。
吸入: 粉じん及びミストデータなし。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性RTECS(2005)のウサギの皮膚への適用により中等度の刺激性が認められたとの記述から、区分2とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性データなし。
呼吸器感作性データなし。
皮膚感作性データなし。
生殖細胞変異原性体細胞を用いるin vivo変異原性試験であるマウス赤血球を用いた小核試験で陽性の結果(RTECS, 2005)があるが、生殖細胞を用いるin vivo遺伝毒性試験データがないことから、区分2とした。
発がん性【分類根拠】ヒトの発がん性に関する情報はない。動物試験では、(1)より1動物種ではあるが独立した2つの試験で悪性を含む腫瘍の発生増加が認められることから区分1Bとした。情報源の情報を精査し、分類結果を変更した(2024年度)。

【根拠データ】
(1)マウス(30匹/群)の剃毛背部皮膚に本物質の10%溶液0.1 mL(溶媒:ベンゼン又はアセトン)を3回/週で経皮投与(塗布)した2つの生涯投与試験において、皮膚がん(70及び53%)及び皮膚乳頭腫(13及び67%)が高い発生率で認められた。対照群には2試験全体で1/100匹に皮膚乳頭腫の発生(後に皮膚がんへ進行)がみられた以外に皮膚腫瘍の発生は認められなかった(IARC 11 (1976)、AICIS IMAP (2015))。

【参考データ等】
(2)ラット5匹に本物質100 mg(媒体トリカプリリン0.5 mL中)/匹を1回/週で経口投与した生涯投与試験において、投与群の3/5匹に前胃の扁平上皮がんが認められたのに対し、媒体対照群5匹の前胃に腫瘍はみられなかった(IARC 11 (1976)、AICIS IMAP (2015))。
(3)マウスに0.1及び10 mg/匹/0.05 mLトリカプリリン(媒体)、ラットに1及び100 mg/匹/0.1 mLトリカプリリンの用量を1回/週の頻度で皮下投与した生涯投与試験において、ラットの1 mg/匹投与群を除く3投与群で投与部位局所の肉腫(一部扁平上皮がん)の発生が認められた。肉腫の発生率はマウスで最大50%(15/30)、ラットで45%(9/20)であった(同上)。
(4)国内外の評価機関による既存分類として、IARCでグループ2B( IARC Vol.71 (1999) )、日本産業衛生学会で第2群B(産衛学会許容濃度等の勧告 (2023))に分類されている。
生殖毒性データなし。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)データなし。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)データなし。
誤えん有害性*データなし。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)データがなく分類できない。
水生環境有害性 長期(慢性)データがなく分類できない。
残留性・分解性-
生態蓄積性-
土壌中の移動性-
オゾン層への有害性-

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。


14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号1993
品名(国連輸送名)その他の引火性液体、他に品名が明示されていないもの
国連分類3
副次危険-
容器等級III
海洋汚染物質該当しない
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当する
国内規制
海上規制情報船舶安全法に従う
航空規制情報航空法に従う
陸上規制情報消防法、道路法の規定に従う
特別な安全上の対策消防法、道路法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*127
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで) 【522 ベータ−ブチロラクトン】
名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降) 【1872 ベータ−ブチロラクトン】
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで) 【522 ベータ−ブチロラクトン】
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降) 【1872 ベータ−ブチロラクトン】
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)
危険物・引火性の物(施行令別表第1第4号) 【4の4 その他の引火点30℃以上65℃未満のもの】
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)-
毒物及び劇物取締法-
消防法第4類 引火性液体(法第2条第7項危険物別表第1・第4類) 【4 第二石油類水溶性液体】
海洋汚染防止法有害液体物質(Z類物質)(施行令別表第1) 【(60) 酸素含有脂肪族炭化水素】
道路法道路法_車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)
船舶安全法引火性液体類(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法引火性液体(施行規則第194条危険物告示別表第1)
港則法その他の危険物・引火性液体類(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・2024 Emengency Response Guidebook
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」