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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
ビス[2‐(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミン
作成日 2009年3月30日
改訂日 2024年3月29日
化学品の名称ビス[2‐(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミン
化学品の英語名称1,2-Ethanediamine, N-[2-(dimethylamino)ethyl]-N,N',N'-trimethyl-
製品コードR05-B-024-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限ポリウレタン用重合触媒 (NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
R6.3.29、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver2.1))を使用
物理化学的危険性引火性液体区分3
健康に対する有害性急性毒性(経口)区分4
急性毒性(経皮)区分3
急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)区分4
皮膚腐食性/刺激性区分1B
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分1
特定標的臓器毒性
(単回ばく露)
区分3(気道刺激性)
特定標的臓器毒性
(反復ばく露)
区分2(全身毒性)
分類実施日
(環境有害性)
H21.3.31、ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
環境に対する有害性-
GHSラベル要素
絵表示炎どくろ腐食性健康有害性
注意喚起語危険
危険有害性情報引火性液体及び蒸気
飲み込んだ場合や吸入した場合は有害
皮膚に接触すると有毒
重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷
呼吸器への刺激のおそれ
長期にわたる、又は反復ばく露による全身の障害のおそれ
注意書き
 安全対策熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。
容器を密閉しておくこと。
容器を接地しアースをとること。
防爆型の電気機器/換気装置/照明機器を使用すること。
火花を発生させない工具を使用すること。
静電気放電に対する措置を講ずること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
取扱い後は手をよく洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
 応急措置気分が悪いときは医師に連絡すること。
皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を水【又はシャワー】で洗うこと。
火災の場合:消火するために適切な消火剤を使用すること。
飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
皮膚に付着した場合:多量の水/石けんで洗うこと。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
直ちに医師に連絡すること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。
 保管換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
施錠して保管すること。
換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性-

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名ビス[2‐(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミン
慣用名又は別名N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン
N,N,N’,N’−テトラメチル−2,2’−(メチルイミノ)ビス(エチルアミン)
N−メチル−N,N−ビス(2−ジメチルアミノエチル)アミン
英語名1,2-Ethanediamine, N-[2-(dimethylamino)ethyl]-N,N',N'-trimethyl-
N,N,N',N'-Tetramethyl-2,2'-(methylimino)bis(ethylamine)
N-Methyl-N,N-bis(2-dimethylaminoethyl)amine
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C9H23N3 (173)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号3030-47-5
官報公示整理番号(化審法)2-147
官報公示整理番号(安衛法)情報なし
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)情報なし

4.応急措置
吸入した場合新鮮な空気のある場所に移動させる。呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。呼吸が止まっている場合は、口鼻蘇生法を行う。それが不可能な場合は、口対口蘇生法を行う。医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
皮膚に付着した場合汚染された衣服を脱がせる。皮膚に付着した部分を流水で少なくとも10〜20分間洗浄する。医師の診察/手当を受けること。
以上、GESTIS参照。
眼に入った場合できるだけ早く、流水で10分間洗浄する。直ちに医師の診察/手当てを受ける。それまで生理食塩水または水で洗浄を続けること。
以上、GESTIS参照。
飲み込んだ場合口をすすぐ。意識があればコップ一杯の水(約200mL)を飲ませる。無理に吐かせないこと。
以上、GESTIS参照。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状皮膚:火傷
以上、PubChem参照
応急措置をする者の保護に必要な注意事項情報なし
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、粉末消火薬剤、二酸化炭素、耐アルコール泡消火薬剤。
以上、GESTIS参照。
使ってはならない消火剤棒状注水
以上、GESTIS参照。
火災時の特有の危険有害性火災の場合、有害物質(亜硝酸ガス、一酸化炭素、二酸化炭素)が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。
特有の消火方法周囲の容器を水スプレーで冷却する。可能であれば、容器を危険区域外に持ち出す。加熱により圧力が上昇し破裂する恐れがある。着火源となるものを遮断する。
以上、GESTIS参照。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置保護具を着用する。
以上、GESTIS参照。
環境に対する注意事項水域に対する危険性がある。水、排水、下水、または地中への浸透を防ぐ。多量の場合は、自治体に連絡する。
以上、GESTIS参照。
封じ込め及び浄化の方法及び機材すべての着火源を取り除く(現場での喫煙、火花や火炎の禁止)。
危険でなければ漏れを止める。
少量の場合、ウエス、雑巾等でよく拭き取り適切な廃棄容器に回収する。
大量の場合、盛土等で囲って流出を防止する。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。
二次災害の防止策火花を発生しない安全な用具を使用する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱注意事項保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
容器を開けたままにしない。飛沫を避ける。接触を避ける。補給または移送には排気装置付きの漏れ防止装置を使用すること。漏れをチェックし、不活性ガスでパージする設備を設ける。床への浸透を避ける(鉄製パンの使用)。
機器類は防爆構造とし、設備は静電気対策を実施する。
周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。
静電気放電に対する予防措置を講ずること。
以上、GHS分類結果、GESTIS、日化協発行ガイドライン参照。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策皮膚や眼への接触を避ける。接触した場合は洗浄する。蒸気またはミストの吸入を避ける。休憩前や作業終了時には石鹸と水で皮膚を洗い、洗浄後は脂肪分の多いスキンケア製品を塗布する。衣服との接触を避ける。汚染された衣類は交換し、注意深く洗うこと。休憩前に着替えが必要になる場合がある。使用するときには飲食、喫煙をしないこと。
以上、GESTIS参照。
保管
安全な保管条件施錠して保管するか、権限のある者のみが管理する。容器を密閉し、室温の換気の良い場所に保管すること。
以上、GESTIS参照。
安全な容器包装材料消防法及び国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度-
濃度基準値
八時間濃度基準値-
短時間濃度基準値-
許容濃度等
日本産衛学会(2023年版)-
ACGIH(2023年版)-
設備対策作業場所には換気設備を設置する(特に高温時)。取り扱い場所の近くに洗眼及び身体洗浄のための設備を設け、標識を付ける。多量の物質を取り扱う場合は、緊急用シャワーが必要である。床に排水溝を設けないこと。
以上、GESTIS参照。
保護具
呼吸用保護具必要に応じて状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用する。
防毒マスクの選択については、以下の点に留意する。
-防毒マスクは、電動ファン又は面体が国家検定合格品であることを確認し、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。
-濃度に対応した・・・用吸収缶を使用する
注) ”…”の吸収缶は国家検定合格品又は日本産業規格(JIS T8152)に適合した物質に対応した吸収缶を記載します。SDS作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
-作業者が粉じんにばく露される環境で防毒マスクを使用する場合には、防じん機能付き吸収缶を使用する
-酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。
手の保護具適切な不浸透性の保護手袋を着用する。
保護手袋の選択については、厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル」を参照のこと。
眼の保護具化学用安全ゴーグルを着用する。
以上、GESTIS参照。
皮膚及び身体の保護具十分な長さのエプロンと長靴、または化学防護服を着用する。
以上、GESTIS参照。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態液体
無色〜淡黄色
臭いアミン類似臭
融点/凝固点<-18 ℃(GESTIS(2023))
-20 ℃(Chapman (1995)、Lange (2017))
沸点、初留点及び沸騰範囲199 ℃(GESTIS(2023))
198 ℃(Chapman (1995))
84 ℃(12mmHg)(HODOC (1989))
可燃性可燃性、低引火性(GESTIS(2023))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界1.1〜5.7 vol%(GESTIS(2023))
引火点77 ℃(密閉式)(GESTIS(2023))
53 ℃(Lange (2017))
自然発火点<250 ℃(GESTIS (2023))
分解温度データなし
pH11.9(20℃)(GESTIS(2023))
動粘性率データなし
溶解度水: (20℃)(混和)(GESTIS(2023))
n-オクタノール/水分配係数データなし
蒸気圧0.3/2.4 hPa(20℃/50℃)(GESTIS(2023))
密度及び/又は相対密度0.829 g/cm3(25℃)(GESTIS(2023))
0.83 g/mL(Lange (2017))
相対ガス密度データなし
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性情報なし
危険有害反応可能性情報なし
避けるべき条件火気、加熱、高温、静電気、爆発性混合気の形成。
混触危険物質情報なし
危険有害な分解生成物情報なし

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
(1)より、区分4とした。

【根拠データ】
(1)ラットのLD50:約1,330 mg/kg(REACH登録情報 (Accessed July 2023))
経皮【分類根拠】
(1)より、区分3とした。

【根拠データ】
(1)ウサギのLD50:200〜1,000 mg/kgの間(REACH登録情報 (Accessed July 2023))
吸入: ガス【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト【分類根拠】
(1)より、区分4とした。ばく露濃度は飽和蒸気圧濃度(1.88 mg/L)より高いため、ミストと判断した。なお、新たな知見に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。

【根拠データ】
(1)ラットのLC50(6時間):229 ppm(2.06 mg/L、4時間換算値:2.52 mg/L)(REACH登録情報 (Accessed July 2023))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性【分類根拠】
(1)より、区分1Bとした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。

【根拠データ】
(1)ウサギ(n=2)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404相当、閉塞、5分適用、8日観察)において、壊死がみられたとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2023))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
(1)、(2)より、区分1とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。

【根拠データ】
(1)皮膚腐食性/刺激性で区分1Bである。
(2)ウサギ(n=2)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、8日観察)において、角膜混濁が観察期間終了まで継続して見られ、不可逆性と判断された(角膜混濁スコア:3/3、虹彩炎スコア:0/0、結膜発赤スコア:0.7/2、結膜浮腫スコア:2.7/3.3)との報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2023))。
呼吸器感作性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性【分類根拠】
(1)、(2)より、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。

【根拠データ】
(1)モルモット(n=10)を用いたBuehler試験(OECD TG 406、GLP、局所投与:7.5%溶液)において、全例で陰性であったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2023))。
(2)マウス(n=5)を用いた局所リンパ節試験(LLNA)(OECD TG 429、GLP)において、1%溶液に対しSIは1回目3.53、2回目1.61で、平均は2.57(SI値≧3で区分1)であったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2023))。
生殖細胞変異原性【分類根拠】
In vivo試験結果はないが、In vitroの異なる3指標の試験で陰性の結果が報告されていることから、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)In vitroでは、細菌復帰突然変異試験(OECD TG471)、ヒト末梢血リンパ球を用いた染色体異常試験(OECD TG473)、マウスリンパ腫L5178Y細胞を用いた遺伝子突然変異試験(OECD TG476)で、結果はいずれも陰性であった(REACH登録情報 (Accessed 2023))。
発がん性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
生殖毒性【分類根拠】
(1)〜(3)より、親動物に明確な全身毒性が生じる用量まで、親動物の生殖能及び性機能への有害影響はみられていない。しかし、(1)(2)は、スクリーニング試験であることから、データ不足のため分類できないとした。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生スクリーニング併合試験(OECD TG422、GLP、8〜200 mg/kg/day)において、雌雄親動物に全身毒性(死亡(雌7例)、体重低値又は低値傾向、全身諸臓器・組織の細胞における空胞化)がみられた200 mg/kg/dayまで、生殖能への影響はみられなかった。出生児には体重低値傾向(生後4日)がみられたのみであったとの報告がある(経産省安全性試験 (2009))。
(2)ラットを用いた強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生スクリーニング併合試験(OECD TG422、GLP、30〜300 mg/kg/day)において、雌雄親動物に全身毒性(雌雄:体重低値/体重増加抑制、雄:摂餌量減少)がみられる高用量(300 mg/kg/day)まで、親動物の生殖能及び雌雄生殖器官への有害影響はみられなかった。児動物には高用量群において、一腹当たりの生存児数及び児数の減少、着床後胚死亡率、死産児の増加等がみられたが、母動物毒性に起因した二次的影響と考えられたとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2023))。
(3)妊娠ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(OECD TG414、GLP、20〜120 mg/kg/day、妊娠6〜20日)では、母動物に全身毒性(呼吸雑音、体重増加抑制、摂餌量の一過性減少)がみられる高用量(120 mg/kg/day)まで、胎児に発生影響はみられなかったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2023))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)【分類根拠】
(1)より、区分3(気道刺激性)とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた単回吸入ばく露試験において、69〜380 ppm(0.49〜2.70、区分1〜区分2の範囲)で濃度依存的な眼のかすみ、角膜混濁、努力呼吸、鼻孔外と眼のポルフィリン汚染物など眼と鼻腔への刺激症状がみられたとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2023))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)【分類根拠】
(1)からは、区分2上限で雄1例に死亡が生じた以外に重大な影響はみられなかった。一方、(2)、(3)より、区分2の用量で諸臓器・諸組織に影響がみられていることから、区分2(全身毒性)とした。なお、新たな情報に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた90日間反復経口投与試験(OECD TG408、7日/週)において、100 mg/kg/day(区分2の範囲)で死亡(雄1/10例)、体重減少、腎臓重量増加(雄)、初期の一過性症状(雌2/10例)がみられたが、雄死亡1例の死因は不明であった。血液・血液化学検査、病理学的検査等では異常はみられなかったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2023))。
(2)ラットを用いた強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生スクリーニング併合試験(OECD TG422、GLP)において、200 mg/kg/day(90日換算:約93 mg/kg/day、区分2の範囲)で死亡(雌7/12例)、体重の減少又は減少傾向、摂餌量の低値(雌)、血液影響、血管中膜及び平滑筋層の平滑筋細胞の空胞化、胃・気管/気管支・肺の粘膜・腺上皮、消化管粘膜固有層、肝細胞、脳の脈絡叢等における空胞化、リンパ節・脾臓・パイエル板における組織球の空胞化、上皮小体の空胞化(雌)がみられた。この他、雌の死亡例ではリンパ組織(下顎リンパ節リンパ濾胞、胸腺、脾臓、回腸パイエル板)の萎縮、骨髄造血細胞の変性などがみられたとの報告がある(経産省安全性試験 (2009))。
(3)ラットを用いた強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生スクリーニング併合試験(OECD TG422)において、100 mg/kg/day(90日換算:約47 mg/kg/day、区分2の範囲)以上で、肝臓重量増加と肝細胞空胞化、膵臓腺房細胞の空胞化(主に雄)、脾臓の空胞化(雄)、血中イオン(Na・K・Cl・P)レベルの変動(雄のみ検査)、300 mg/kg/day(90日換算:約140 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)で、脳の脈絡叢上皮の立方細胞の細胞質空胞化、回復性の脳浮腫(雄)、心筋動脈の中膜の空胞化(主に雌)、肺の動脈中膜の空胞化(雌)、副腎の空胞化(雌)がみられたとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2023))。

【参考データ等】
(4)ラットを用いた2週間吸入ばく露試験(3及び12 ppm(9回ばく露)、48 ppm(5回):6時間/日、5日/週)において、12 ppm(85 mg/m3:90日換算:0.00085 mg/L(区分1))で、両側性の角膜混濁が5日目以降にみられた。48 ppmばく露では両側性角膜混濁が1日目からみられ、紅涙、耳介の腫脹、充血と表層痂皮とともに全身状態の悪化により8日目に剖検された。病理組織学的検査の結果、12 ppm群では呼吸上皮と嗅上皮の空胞変性、48 ppmではさらに鼻腔の広範囲に及びびらん、壊死、呼吸上皮の扁平化生が認められた(REACH登録情報 (Accessed 2023))。
誤えん有害性*【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)データなし。
水生環境有害性 長期(慢性)データなし。
残留性・分解性化審法分解度試験:難分解性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性))
生態蓄積性化審法濃縮度試験:低濃縮性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性))
土壌中の移動性情報なし
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。
国際規制
国連番号2922
品名(国連輸送名)その他の腐食性物質(液体)(毒性のもの)
国連分類8
副次危険6.1
容器等級U
海洋汚染物質該当しない
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報道路法、消防法の規定に従う。
特別な安全上の対策道路法、消防法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*154
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、労働安全衛生規則別表第2)(令和8年4月1日以降)
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)(令和8年4月1日以降)
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)(令和8年4月1日以降)
作業場内表示義務(法第101条の4)(令和8年4月1日以降)
皮膚等障害化学物質(労働安全衛生規則第594条の2)
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)-
毒物及び劇物取締法-
消防法第4類 引火性液体 第三石油類 非水溶性(法第2条第7項危険物別表第1・第4類)
船舶安全法腐食性物質(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法腐食性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1)
港則法その他の危険物・腐食性物質(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」
修正履歴
R6.3.29:
・危険有害性の分類について物理化学的危険性、健康に対する有害性を見直した。
・SDS全般について表記の見直し・改訂をした。