1.化学品等及び会社情報 | |||
---|---|---|---|
化学品等の名称 | ヒドラジン (Hydrazine) | ||
製品コード | H28-B-032 | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | ロケット燃料(無水ヒドラジン),一般的に用いられるヒドラジン水和物(CAS番号:7803−57−8)の用途は発泡剤原料,清缶剤・水処理剤,工業薬品合成原料,農薬合成原料,医薬合成原料 (NITE CHRIP) |
2.危険有害性の要約 | ||||
---|---|---|---|---|
GHS分類 | ||||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | H29.3.1、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改定版 (ver1.1): JIS Z7252:2014準拠) を使用 | |||
GHS改訂4版を使用 | ||||
物理化学的危険性 | 引火性液体 | 区分3 | ||
健康に対する有害性 | 急性毒性(経口) | 区分3 | ||
急性毒性(経皮) | 区分2 | |||
急性毒性(吸入:蒸気) | 区分3 | |||
皮膚腐食性/刺激性 | 区分1 | |||
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | |||
皮膚感作性 | 区分1 | |||
生殖細胞変異原性 | 区分2 | |||
発がん性 | 区分1B | |||
生殖毒性 | 区分2 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1 (中枢神経系、肝臓)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1 (中枢神経系、呼吸器、心臓、肝臓、生殖器) | |||
分類実施日 (環境有害性) | 環境に対する有害性はH18.3.31、GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用 | |||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 (急性) | 区分1 | ||
水生環境有害性 (長期間) | 区分1 | |||
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」に該当する。なお、健康有害性については後述の11項に、「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」の記述がある。 | ||||
GHSラベル要素 | ||||
絵表示 | ||||
注意喚起語 | 危険 | |||
危険有害性情報 | 引火性液体及び蒸気 飲み込むと有毒 皮膚に接触すると生命に危険 吸入すると有毒 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ 重篤な眼の損傷 遺伝性疾患のおそれの疑い 発がんのおそれ 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い 中枢神経系、肝臓の障害 呼吸器への刺激のおそれ 眠気又はめまいのおそれ 長期にわたる、又は反復ばく露による中枢神経系、呼吸器、心臓、肝臓、生殖器の障害 水生生物に非常に強い毒性 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 | |||
注意書き | ||||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 容器を密閉しておくこと。 容器を接地すること/アースをとること。 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器を使用すること。 火花を発生させない工具を使用すること。 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 眼、皮膚、衣類につけないこと。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | |||
応急措置 | 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 直ちに医師に連絡すること。 気分が悪い時は医師に連絡すること。 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 口をすすぐこと。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。 医師に連絡すること。 汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 火災の場合:消火するために適切な消火剤を使用すること。 漏出物を回収すること。 | |||
注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 | ||||
保管 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 施錠して保管すること。 | |||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | |||
他の危険有害性 | - |
3.組成及び成分情報 | |||
---|---|---|---|
単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | ヒドラジン | ||
別名 | ジアミン ジアミド | ||
濃度又は濃度範囲 | 100% | ||
分子式 (分子量) | N2H4 | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 302-01-2 | ||
官報公示整理番号 (化審法) | 1-374 | ||
官報公示整理番号 (安衛法) | データなし | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | 情報なし |
4.応急措置 | |||
---|---|---|---|
吸入した場合 | 気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。 症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
飲み込んだ場合 | 水で口をすすぎ、直ちに医師の診断を受けること。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 情報なし | ||
応急措置をする者の保護 | 救助者は、状況に応じて適切な保護具を着用する。 | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
---|---|---|---|
消火剤 | 水噴霧、粉末消火剤、泡消火剤、二酸化炭素を使用する。 | ||
使ってはならない消火剤 | 火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。 | ||
特有の危険有害性 | 火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。 | ||
特有の消火方法 | 火元への燃焼源を断ち、消火剤を使用して消火する。 延焼の恐れのないよう水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。 消火活動は風上から行う。 火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 | ||
消火を行う者の保護 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服(耐熱性)を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
---|---|---|---|
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 関係者以外の立ち入りを禁止する。 作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。 | ||
環境に対する注意事項 | 周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 危険でなければ漏れを止める。 少量の場合、ウエス、雑巾等でよく拭き取り適切な廃棄容器に回収する。 大量の場合、盛土等で囲って流出を防止する。 取扱いや保管場所の近傍での飲食の禁止。 排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
---|---|---|---|
取扱い | |||
技術的対策 | 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱い注意事項 | 取扱い後はよく手を洗うこと。 熱、火花、裸火、高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 容器を接地すること、アースをとること。 防爆型の電気機器、換気装置、照明機器を使用すること。 火花を発生させない工具を使用すること。 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯すること。 | ||
接触回避 | 情報なし | ||
衛生対策 | 情報なし | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 直射日光を避け、冷暗所に保管する。高温物を近づけない。 | ||
安全な容器包装材料 | 破損や漏れの無い密閉可能な容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
---|---|---|---|
管理濃度 | 未設定 | ||
許容濃度 | |||
日本産衛学会(2016年度版) | 0.1 (0.13 mg/m3) (無水ヒドラジン) | ||
ACGIH(2016年版) | TLV-TWA: 0.01 ppm (0.013 mg/m3) (Skin) (ヒドラジン) | ||
設備対策 | 取り扱いの場所の近くに、洗眼および身体洗浄剤のための設備を設ける。 高温下や、ミストが発生する場合は換気装置を使用する。 | ||
保護具 | |||
呼吸用保護具 | 粉じんが発生する場合、必要に応じて保護マスクや呼吸用保護具を着用する。 | ||
手の保護具 | 手に接触する恐れがある場合、保護手袋を着用する。 | ||
眼の保護具 | 眼に入る恐れがある場合、保護眼鏡やゴーグルを着用する。 | ||
皮膚及び身体の保護具 | 必要に応じて保護衣、保護エプロン等を着用する。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
---|---|---|---|
物理的状態 | |||
形状 | 液体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 無色 (ICSC(J) (2009)) | ||
臭い | アンモニア類似臭 (HSDB (2016)) | ||
臭いのしきい(閾)値 | 160 mg/L (HSDB (2016)) | ||
pH | 12.75 (64 wt%水溶液), 10.5 (15 wt%水溶液) (GESTIS (2016)) | ||
融点・凝固点 | 2℃ (HSDB (2016)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 113.5℃ (760 mmHg) (HSDB (2016)) | ||
引火点 | 38℃(密閉式) (HSDB (2016)) | ||
蒸発速度(酢酸ブチル=1) | データなし | ||
燃焼性(固体、気体) | データなし | ||
燃焼又は爆発範囲 | 2.9〜98 vol% (NFPA (13th, 2002)) | ||
蒸気圧 | 2.1kPa (20℃) (ICSC(J) (2009)) | ||
蒸気密度 | 1,05 (GESTIS (2016)) | ||
比重(相対密度) | 1.0036(25℃/4℃) (HSDB (2016)) | ||
溶解度 | 水: 混和 (Merck (15th, 2013)) メチル、エチル、プロピル、イソブチルアルコールと混和 (Merck (15th, 2013)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | logPow=-2.07 (SRC (2016)) | ||
自然発火温度 | データなし | ||
分解温度 | データなし | ||
粘度(粘性率) | 0.974 uPa・sec (20℃) (HSDB (2016)) |
10.安定性及び反応性 | |||
---|---|---|---|
反応性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
化学的安定性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
危険有害反応可能性 | 分解すると、アンモニア、水素および窒素酸化物を生じ、火災および爆発の危険をもたらす。強還元剤であり、酸化剤と激しく反応する。 この物質は中程度の強さの塩基である。酸や多くの金属、金属の酸化物、多孔性物質と激しく反応し、火災および爆発の危険をもたらす。空気や酸素がなくても分解する。 | ||
避けるべき条件 | 直射日光を避け、冷暗所に保管する。 | ||
混触危険物質 | 酸化剤、還元剤等 | ||
危険有害な分解生成物 | 火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。 |
11.有害性情報 | |||
---|---|---|---|
急性毒性 | |||
経口 | GHS分類: 区分3 ラットのLD50値として、60 mg/kg (環境省リスク評価第1巻 (2002)、産衛学会 許容濃度の提案理由書 (1998)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol.1 (1992)、PATTY (6th, 2012)、90 mg/kg (BUA 205 (1996))、60〜90 mg/kg (初期リスク評価書 (2005)) の3件の報告がある。これらに基づき、区分3とした。 | ||
経皮 | GHS分類: 区分2 ウサギのLD50値として、91 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2005)、環境省リスク評価第1巻 (2002)、DFGOT vol.1 (1992))、93 mg/kg (産衛学会 許容濃度の提案理由書 (1998)、ATSDR (1997)、EHC 68 (1987))、91〜283 mg/kg (PATTY (6th, 2012)) の3件の報告がある。2件が区分2に、1件が区分2〜区分3に該当することから、件数の最も多い区分2とした。 | ||
吸入:ガス | GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における液体である。 | ||
吸入:蒸気 | GHS分類: 区分3 ラットのLC50値 (4時間) として、570 ppm (環境省リスク評価第1巻 (2002)、産衛学会 許容濃度の提案理由書 (1998)、ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (1997)、EHC 68 (1987)、DFGOT vol.1 (1992)) との報告に基づき、区分3とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (19,005 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。 | ||
吸入:粉じん及びミスト | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。 | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | GHS分類: 区分1 ウサギの皮膚刺激性試験 (4時間適用) で適用部位に刺激性が認められ (NITE初期リスク評価書 (2005))、ウサギを含む各種の動物試験 (イヌ、モルモット) で重度の刺激性がある (ACGIH (2001))。また、ヒトにおいても皮膚刺激性が報告されていることから (EHC 68 (1987)、ACGIH (2001)、PATTY (6th, 2012))、区分1とした。 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | GHS分類: 区分1 ウサギの眼刺激性試験で重度の眼の損傷がみられ (NITE初期リスク評価書 (2015))、また、眼の高度ないし重度の刺激性が報告されている (DFGOT vol. 1 (1992)、PATTY (6th, 2012))。ヒトでも眼の刺激性が知られていることから (EHC 68 (1987)、ACGIH (2001)、PATTY (6th, 2012))、区分1とした。 | ||
呼吸器感作性 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。 | ||
皮膚感作性 | GHS分類: 区分1 産業衛生学会勧告 (2015年) で皮膚感作性物質第1類に分類され、ヒトにおいてアレルギー性接触皮膚炎が認められたことから (EHC 68 (1987)、DFGOT (1999)、ACGIH (2001)、PATTY (6th, 2012))、区分1とした。 | ||
生殖細胞変異原性 | GHS分類: 区分2 In vivoでは、マウスの優性致死試験で陰性、マウス精子の不定期DNA合成試験で陰性、マウス骨髄細胞の小核試験で陽性、陰性、マウス骨髄細胞の姉妹染色分体交換試験で陰性、マウス肝臓、肺のDNA損傷試験で陽性である (NITE初期リスク評価書 (2005)、ACGIH (7th, 2001)、EHC 68 (1987)、IARC 71 (1999)、環境省リスク評価第2巻 (2003)、ATSDR (1997))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、マウスリンフォーマ試験、小核試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で多くの陽性結果が報告されている (NITE初期リスク評価書 (2005)、IARC 71 (1999)、環境省リスク評価第2巻 (2003)、EHC 68 (1987)、ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (1997))。以上より、ガイダンスに従い区分2とした。 | ||
発がん性 | GHS分類: 区分1B ヒトでは小さな集団の疫学研究のみで腫瘍発生の増加の報告はないが、実験動物ではラット又はハムスターへの経口 (飲水) 投与で肝臓腫瘍の増加、ラットの吸入ばく露で鼻腔のポリープ様腺腫の増加の報告がある (IARC 71 (1999))。当初、IARCはヒドラジンの発がん性はヒトで不十分な証拠、実験動物で十分な証拠があるとしてグループ2Bに分類していたが、最近グループ2Aに引き上げた (IARC 115 (in prep., Access on June 2016))。他機関による分類結果としては、EPAがB2 (probable human carcinogen: 区分1B相当) に (IRIS (1988))、NTPがRに (NTP RoC (13th, 2014))、EUが Carc. 1B に (ECHA (2011))、ACGIHがA3 に (ACGIH (7th, 2001))、日本産業衛生学会が第2群Bに (産衛学会勧告 (2015))、それぞれ分類している。よって、本項は区分1Bとした。 | ||
生殖毒性 | GHS分類: 区分2 ヒトの情報はない。実験動物では本物質をラットに 6ヵ月間経口 (飲水) 又は4ヵ月吸入ばく露した試験で胚毒性 (生存胚の減少、吸収胚の増加) がみられたとの記述 (NITE初期リスク評価書 (2005))、本物質塩酸塩を妊娠ラットに妊娠期間中経口投与 (8 mg/kg/day) した結果、母動物に体重増加抑制、死亡例がみられる用量で胎児毒性 (体重の減少、蒼白化及び浮腫) がみられたとの記述 (ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012))、本物質を妊娠ラットに経口投与 (妊娠6〜15日、5及び10 mg/kg/day) した結果、母動物毒性のみられる用量で胎児毒性として発生遅延がみられたとの記述がある (ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012))。なお、ラット、又はマウスに腹腔内投与した試験では胎児に奇形発生 (肋骨癒合、水腎症、外脳症など) の頻度増加を認めたとの報告もある (NITE初期リスク評価書 (2005)、ACGIH (7th, 2001)) が、上記のごとく、経口又は吸入経路での試験では概ね母動物毒性のみられる用量で胚/胎児毒性がみられたものの、奇形発生の増加はみられていない。よって、本項は区分2とした。 | ||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | GHS分類: 区分1 (中枢神経系、肝臓)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) ヒトでは事故による本物質の経口摂取で、嘔吐、神経症状 (錯乱、運動失調など) 及び肝毒性関連酵素 (AST、LDH) 値の大幅な上昇がみられた (EHC 68 (1987)、DFGOT vol. 1 (1992)、ACGIH (7th, 2001)、NITE初期リスク評価書 (2005))。また、嗜眠がみられた (EHC 68 (1987)、DFGOT vol. 1 (1992))。さらに事故による本物質蒸気の吸入ばく露で、吐き気、嘔吐、上部気道の局所刺激、肝毒性関連酵素値の大幅な上昇がみられた (DFGOT vol. 1 (1992)、NITE初期リスク評価書 (2005))。以上より区分1 (中枢神経系、肝臓)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。なお、投与量の詳細な記載はないが、実験動物において本物質の急性毒性症状は、経口投与、非経口的投与で大差なく、運動失調、活動性低下、呼吸困難、興奮性の亢進、流涎、嘔吐及び痙攣がみられたとの記載がある (NITE初期リスク評価書 (2005))。 | ||
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | GHS分類: 区分1 (中枢神経系、呼吸器、心臓、肝臓、生殖器) ヒトにおいては、38歳の水処理技師の男性 (ばく露濃度は不明だが臭気が感じられたことから 3〜4 mg/m3と推定されている) で継続的な神経行動的異常が認められたとの報告がある。本症例では無水ヒドラジン及びヒドラジン1水和物による経気道暴露と経皮吸収もあったと考えられている (産衛学会 許容濃度の提案理由書 (1998))。 実験動物では、ラット、ハムスター、イヌを用いた12ヵ月間吸入ばく露毒性試験が行われており、ラットでは区分1の範囲である0.066 mg/m3以上で呼吸器への影響 (喉頭と気管粘膜上皮の扁平上皮化生と炎症、肺上皮過形成等)、1.33 mg/m3 以上の雌で肝臓への影響 (肝細胞過形成)、雄で心臓への影響 (心筋変性)、6.65 mg/m3 で、精巣への影響 (精巣ライディッヒ細胞過形成)、子宮への影響 (子宮内膜過形成、子宮内膜炎)、卵巣への影響 (卵巣萎縮、卵管炎) がみられ、ハムスターでは区分1の範囲である0.33 mg/m3 以上でヘモジデリン沈着 (肝臓)、精巣萎縮がみられ、イヌでは、区分1相当である 1.33 mg/m3 で肝臓への影響 (ALT 増加と肝細胞空胞化) がみられている (NITE初期リスク評価書 (2005))。 したがって、区分1 (中枢神経系、呼吸器、心臓、肝臓、生殖器) とした。 | ||
吸引性呼吸器有害性 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。 |
12.環境影響情報 | |||
---|---|---|---|
生態毒性 | |||
水生環境有害性(急性) | 甲殻類 (オオミジンコ) の48時間EC50=160μg/L (環境省リスク評価第1巻、2002) から、区分1とした。 | ||
水生環境有害性(長期間) | 急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの (log Kow=-2.07 (PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がない (BODによる分解度:2% (既存化学物質安全性点検データ)) ことから、区分1とした。 | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
---|---|---|---|
残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、または地方公共団体が廃棄物処理を行っている場合はそこに委託して処理する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 2029 | |||
国連品名 | HYDRAZINE, ANHYDROUS | |||
国連危険有害性クラス | 8 | |||
副次危険 | 3及び6.1 | |||
容器等級 | J | |||
海洋汚染物質 | 該当する | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の以下の規則に従う。 腐食性物質(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
航空規制情報 | 航空法の以下の規則に従う。 腐食性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
陸上規制情報 | 消防法、道路法、毒物及び劇物取締法に従う。 消防法 第4類引火性液体、第二石油類水溶性液体(法第2条第7項危険物別表第1・第4類) 道路法 車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2) 毒物及び劇物取締法 毒物(指定令第1条) | |||
特別な安全上の対策 | 消防法、道路法、毒物及び劇物取締法の規定によるイエローカード保持の対象物。 | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号 | 132 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2008 Emengency Response Guidebook (ERG 2008)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
---|---|---|---|---|
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
化審法 | 旧第2種監視化学物質(旧法第2条第5項) 旧第3種監視化学物質(旧法第2条第6項) 優先評価化学物質(法第2条第5項) | |||
労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3) 変異原性が認められた既存化学物質(法第57条の5、労働基準局長通達) 危険物・引火性の物(施行令別表第1第4号) 健康障害防止指針公表物質(法第28条第3項・厚労省指針公示) | |||
港則法 | その他の危険物・腐食性物質(法第21条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表) | |||
船舶安全法 | 腐食性物質(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
航空法 | 腐食性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
消防法 | 第4類引火性液体、第二石油類水溶性液体(法第2条第7項危険物別表第1・第4類) | |||
道路法 | 車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2) | |||
毒物及び劇物取締法 | 毒物(指定令第1条) | |||
水質汚濁防止法 | 指定物質(法第2条第4項、施行令第3条の3) | |||
大気汚染防止法 | 有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申) | |||
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) | 第1種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1) | |||
外国為替及び外国貿易管理法 | 輸出貿易管理令別表第1の4項 輸出貿易管理令別表第1の16の項 | |||
労働基準法 | 疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1) |
16.その他の情報 | ||||
---|---|---|---|---|
参考文献 | 各データ毎に記載した。 | |||
[注意] 本SDSはJIS Z7253:2012 に準拠して作成しています。 |