1.化学品及び会社情報 | |||
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化学品の名称 | 酢酸鉛(II) | ||
化学品の英語名称 | Lead (II) acetate | ||
製品コード | R04-B-008-JNIOSH | ||
供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 鉛化合物原料,防水剤,分析用試薬,医薬(収れん剤) (NITE-CHRIPより引用) |
2.危険有害性の要約 | |||
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GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R5.3.31、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver2.1))を使用 | ||
物理化学的危険性 | - | ||
健康に対する有害性 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | |
発がん性 | 区分1B | ||
生殖毒性 | 区分1A、授乳に対するまたは授乳を介した影響に関する追加区分 | ||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1(神経系、血液系、腎臓) | ||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1(神経系、血液系、腎臓) | ||
分類実施日 (環境有害性) | マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版) | ||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分1 | |
水生環境有害性 長期(慢性) | 区分1 | ||
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | 重篤な眼の損傷 発がんのおそれ 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ 授乳中の子に害を及ぼすおそれ 神経系、血液系、腎臓の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による神経系、血液系、腎臓の障害 水生生物に非常に強い毒性 長期継続的影響により水生生物に非常に強い毒性 | ||
注意書き | |||
安全対策 | 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱い後は手をよく洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 環境への放出を避けること。 | ||
応急措置 | 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 直ちに医師に連絡すること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。 漏出物を回収すること。 | ||
保管 | 施錠して保管すること。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
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化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
化学名又は一般名 | 酢酸鉛(II) | ||
慣用名又は別名 | 情報なし | ||
英語名 | Lead (II) acetate | ||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | C2H4O2.1/2Pb (266.24) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 301-04-2 | ||
官報公示整理番号(化審法) | 2-693 | ||
官報公示整理番号(安衛法) | 情報なし | ||
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 新鮮な空気のある場所に移動させる。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
皮膚に付着した場合 | 汚染された衣服を脱がせる。皮膚に付着した部分を流水と石鹸で十分に洗浄する。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
眼に入った場合 | 流水で10分間洗浄する。コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外し、洗浄を続けること。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS、GHS分類結果参照。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐ。負傷者に意識がある場合は、コップ1杯の水(約200ml)を飲ませる。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入:粘膜の灼熱、咳の可能性。 皮膚:局所的な炎症。 眼:局所的な炎症、白い斑点が(徐々に)生じる可能性。 経口摂取:白色プラークを伴う(遅い)粘膜損傷、(血性)下痢を伴う急性びらん性胃腸炎の可能性。 吸収:金属味、吐き気、嘔吐、腸の疝痛、閉塞、まれに下痢、腎機能障害(尿閉および同様の作用)、貧血が始まる可能性。 以上、GESTIS参照。 | ||
応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
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適切な消火剤 | 不燃性。周辺の火災に応じた適切な消火剤を使用する。 以上、GESTIS参照。 | ||
使ってはならない消火剤 | 情報なし | ||
火災時の特有の危険有害性 | 火災の場合、有害物質(金属ヒューム、酢酸蒸気)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
特有の消火方法 | 情報なし | ||
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 周囲に注意喚起し、避難させる。漏出区域に入るときは保護具を着用すること。 以上、GESTIS参照。 | ||
環境に対する注意事項 | 水域に対する危険性は大きい。地面や河川、下水への流出を避ける。少量でも流出した場合は、自治体に連絡する。 以上、GESTIS参照。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 粉じんが発生しないように回収する。その後、換気し漏出個所を洗浄する。 以上、GESTIS参照。 | ||
二次災害の防止策 | 情報なし |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱注意事項 | 容器を開けたままにしない。粉じんの発生を避ける。使用前に取扱説明書を入手する。すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わない。使用時は十分な換気をすること。 以上、GESTIS、GHS分類結果参照。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | 皮膚や衣類への接触を避ける。接触した場合は洗浄する。粉じんの吸入を避ける。休憩前や作業終了時には石鹸と水で皮膚を洗い、洗浄後は脂肪分の多いスキンケア製品を塗布する。使用するときには飲食、喫煙をしないこと。 以上、GHS分類結果 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 施錠して保管する。容器を密閉して乾燥した換気の良い場所に保管する。光、空気/酸素は避ける。内容物を不活性ガス下で保管する。臭素酸塩および酸から離しておく。 以上、GESTIS、ICSC、GHS分類結果参照。 | ||
安全な容器包装材料 | 毒劇法及び国連輸送法規で規定されている容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
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許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
管理濃度 | (鉛として)0.05 mg/m3 | |||
許容濃度等 | ||||
日本産衛学会(2022年版) | 許容濃度: (鉛として)0.03 mg/m3 | |||
ACGIH(2022年版) | TLV-TWA: 0.05 mg/m3(鉛、無機化合物、鉛として) | |||
設備対策 | 作業場所には適切な局所排気装置等を設置する。取り扱い場所の近くに洗浄のための設備を設ける。床に排水溝を設けないこと。 以上、GESTIS参照。 | |||
保護具 | ||||
呼吸用保護具 | 緊急時(例:意図しない物質の放出、ばく露限界値を超える場合)には、呼吸保護具を着用する。 作業者が粉じんにばく露される場合は呼吸保護具(防じんマスク等)の着用を検討する。 防じんマスクの選択については、以下の点に留意する。 -酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。また、有害なガスが存在する場所においては防じんマスクを使用せず、その他の呼吸用保護具の利用を検討すること。 -防じんマスクは、日本工業規格(JIS T8151)に適合した、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。 以上、GESTIS参照。 | |||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
眼の保護具 | サイドガード付きの保護眼鏡を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
皮膚及び身体の保護具 | 必要に応じて適切な保護衣または化学防護服を着用する。 以上、GESTIS参照。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
物理状態 | 固体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 無色ないし白色 | ||
臭い | データなし | ||
融点/凝固点 | 280 ℃(Ullmann (2011)) 75 / 280 ℃(3水塩 / 無水塩)(Hommel (1996)) 75 / 200 ℃(loose water / decomposes)(Lewis (2001)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | decomposes(Weiss (1985)) 200℃以上で分解が始まる(分解)(Hommel (1996)) 280 ℃(anhydrous)(Lewis (2001)) | ||
可燃性 | データなし | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
引火点 | 難燃性固体(Hommel (1996)) | ||
自然発火点 | 難燃性固体(Hommel (1996)) | ||
分解温度 | データなし | ||
pH | 5.5-6.5 (5% aq soln at 25 °C)(HSDB (2022)) | ||
動粘性率 | データなし | ||
溶解度 | 水: 44 g/100mL(20℃)(ICSC (2017)) 水: 44.3 g/100mL(20℃)(Ullmann (2011)) 44 g/100mL(20℃)(HSDB (2022)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | データなし | ||
蒸気圧 | 0.000722 mmHg(HSDB (2022)) | ||
密度及び/又は相対密度 | 3.12 g/cm3(Merck (2013)) 3.25 g/cm3(Ullmann (2011)) 3.25 g/cm3(CRC (2018)) | ||
相対ガス密度 | データなし | ||
粒子特性 | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 情報なし | ||
危険有害反応可能性 | 臭素酸塩類、有機酸、フェノールと激しく反応し、爆発の危険がある。(GESTIS) | ||
避けるべき条件 | 高温、加熱 | ||
混触危険物質 | 臭素酸塩類、有機酸、フェノール | ||
危険有害な分解生成物 | 熱分解により鉛酸化物および酢酸を含む、有毒で腐食性のフュームを生成する。 |
11.有害性情報 | ||||
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急性毒性 | ||||
経口 | 【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50(雄):4,665 mg/kg(AICIS IMAP (2013)) (2)ラットのLD50(雌):5,610 mg/kg(AICIS IMAP (2013)) | |||
経皮 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 | |||
吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。なお、旧分類の根拠となった知見の情報源はList 3のものであり、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)酢酸鉛(II)・三水和物(CAS登録番号:6080-56-4)について、再構築ヒト表皮モデル(EpiDerm)を用いた in vitro皮膚刺激性試験(OECD TG 439、GLP)において、細胞生存率R=85.7%(区分に該当しない結果)であったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Aug. 2022))。 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 (1)より、区分1とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)酢酸鉛(II)・三水和物(CAS登録番号:6080-56-4)について、ウサギ(n=1)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP)において、適用1時間〜72時間後の観察時に虹彩の光反射が消失したため回復の見込みなしと判断され、72時間で試験を終了した(角膜混濁スコア:1.33、虹彩炎スコア:2、結膜発赤スコア:2.67、結膜浮腫スコア:2.67)との報告がある(REACH登録情報 (Accessed Aug. 2022))。 【参考データ等】 (2)酢酸鉛(II)・三水和物(CAS登録番号:6080-56-4)について、in vitro眼刺激性試験(OECD TG 437、GLP)において、in vitro 刺激性スコア(IVIS)=32.54(予測不可に該当)との報告がある(REACH登録情報 (Accessed Aug. 2022))。 | |||
呼吸器感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
皮膚感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 データ不足のため、分類できないとした。(1)、(2)より、in vivoのコメットアッセイでは哺乳類の生殖細胞で陽性の報告があるが、これらのデータのみでは区分をつけることができない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)In vivoでは、コメットアッセイによるDNA傷害(一本鎖切断)は本物質の飲水又は経口投与後のマウス及びラットの骨髄、白血球、精子細胞等でみられた。また、ラットを用いた本物質の経口投与によるコメットアッセイでは、腎臓細胞において姉妹染色分体交換のレベルの増加がみられ、単一の高用量がより効果的であるとする結果がある(IARC 87 (2006))。 (2)In vitroでは、異なる動物細胞を用いた遺伝子突然変異試験では陽性及び陰性の結果が得られた。また、細菌復帰突然変異試験、ヒト細胞を用いた遺伝子突然変異試験及び染色体異常試験でほぼ陰性の結果が得られている(食安委 評価書 (2021)、IARC 87 (2006))。 | |||
発がん性 | 【分類根拠】 (1)より、動物種1種(ラット)であるが複数の試験で腎臓腫瘍とそれ以外に様々な臓器に腫瘍を誘発することが示されるため、区分1Bとした。なお、新たな情報源を利用し分類結果を見直した。 【根拠データ】 (1)酢酸鉛をラットに慢性経口投与下7つの異なる試験で、ラットの雌雄の腎臓に腺腫と腺がんが認められ、これらのうち用量反応関係の評価が可能であった2試験で用量反応関係がみられた。妊娠期及び授乳期を通して酢酸鉛に経口投与した雌マウスの子孫において、鉛誘発性慢性腎症の非存在下で腎臓腫瘍の用量相関的な増加が示された。酢酸鉛をラットに経口投与した2つの試験で脳の神経膠腫(グリオーマ)がみられた。酢酸鉛を経口投与したラットの1試験では、雄で副腎、精巣及び前立腺の腫瘍、雌で陰核腺の腫瘍との関連性が示された。雌雄ラットの混合群として扱われた試験では、酢酸鉛への経口ばく露と肺、下垂体、前立腺、乳腺及び副腎の腫瘍と相関がみられた(IARC 87 (2006)、NTP RoC 15th (2021))。 【参考データ等】 (2)国内外の評価機関による発がん分類としては、無機鉛化合物についてIARCがグループ2A(IARC 87 (2006))に、鉛及び鉛化合物についてNTPがRに(NTP RoC 15th (2021))、ACGIHがA3に(ACGIH-TLV (2022))、日本産業衛生学会が第2群Bに(産衛学会許容濃度の勧告等 (2021))、DFGがカテゴリー2に(List of MAK and BAT values 2020)、それぞれ分類している。 | |||
生殖毒性 | 【分類根拠】 (1)〜(10)より、区分1Aとした。また(11)より、授乳に対する又は授乳を介した影響の追加区分とした。 【根拠データ】 (1)職業的鉛ばく露を受けた男性では、血中鉛濃度が40 μg/dL 以上で精液中の精子数等に変化がみられ、血中鉛最高濃度51 μg/dL以上で妊娠するまでの時間の長期化、血中鉛濃度31 μg/dL 以上で自然流産のリスクが高まり、平均血中鉛濃度46.3 μg/dL で出生率が低下したとの報告がある(食安委 評価書 (2021))。 (2)血中Pb濃度が10 μg/dL以下の集団において、精子障害の証拠が示されており、10 μg/dL以上では授精能低下、精巣への組織学的傷害を含めより重度の影響みられたとの報告がある(ATSDR (2020))。 (3)日本産業衛生学会は鉛及び鉛化合物を生殖毒性物質第1群に分類している(産衛学会許容濃度等の提案理由書 (2013))。 (4)ロシアの8〜9 歳の男児489人を対象として、血中鉛濃度と発育並びに医師が評価した精巣容積及び思春期開始との関連性について調査された横断的研究において、血中鉛濃度の中央値は3 μg/dLであった。多変量解析では、血中鉛濃度が5 μg/dL 以上の男児は、それより低い濃度の男児と比較して生殖器の成熟度のオッズが43%減少した (オッズ比=0.57、p=0.03)。これらの結果から、比較的低い血中鉛濃度においても、青年期前後の男児の発育不良や思春期開始の遅れには関連性があると報告された(食安委 評価書 (2021))。 (5)米国人少女(血中鉛濃度0.7〜21.7 μg/dL)の解析では、血中鉛濃度の高値は初潮遅延・恥毛発達遅延と関連していたが、乳房発達とは関連しなかったとの報告がある。しかし、同国のアフリカ系及びヒスパニック系の少女では、血中鉛濃度が3μg/dLの群では1 μg/dL群比べて乳房・恥毛の発達が遅れていたが、白人系少女では乳房・恥毛の発達の差はみられなかったとの報告がある(食安委 評価書 (2021))。 (6)生殖器官への影響については、ラットを用いた試験において、血中鉛濃度が30 μg/dL 以上で、雄の精子数への影響及び精巣萎縮がみられ、雌の性周期に影響がみられたとの報告がある(食安委 評価書 (2021))。 (7)ラットを用いた経口投与による発生毒性試験(30日間、0.013、0.26 mg Pb/kg/day)において、雄の発情周期の不規則化、雌の発情周期の不規則化及び卵巣黄体嚢胞数の減少を伴う卵胞嚢胞の発達等がみられたとの報告がある(食安委 評価書 (2021))。 (8)ラットを用いた経口投与による発生毒性試験(妊娠期間を通して、32〜64 mg Pb/kg 体重/日)において、胎児の発育阻害がみられたとの報告がある(食安委 評価書 (2021))。 (9)ラットを用いた飲水経口投与による発生毒性試験(妊娠5〜21日、0.6%)において、死産児発生率の増加等がみられたとの報告がある(食安委 評価書 (2021))。 (10)女性のばく露について、5 μg/dL以下の母体血中鉛(PbB)レベルにおいて、胎児の成長遅延や出生体重の低下との関連を示す十分な証拠があるとの報告がある(日本産業衛生学会 許容濃度等の提案理由書 (2013))。 (11)授乳期に鉛は母乳へ移行し、母乳中鉛濃度は母体血中鉛濃度の10〜30%とされている(食安委 評価書 (2021))。 【参考データ等】 (12)EUではRepr. 1Aに分類されている(CLP分類結果 (Accessed Aug. 2022))。 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 本物質については、無機鉛化合物のデータを基に分類するものとする。(1)、(2)より、血液系、神経系、腎臓を標的臓器と判断し、区分1(神経系、血液系、腎臓)とした。 【根拠データ】 (1)鉛による急性影響は、通常、短期高濃度ばく露によって発症し、溶血、肝細胞障害を伴うことが多い。極めて強いばく露の場合には、腎尿細管障害と急性脳障害がみられるが、軽症では関節痛・頭痛にとどまるとの報告がある(食安委 食品健康評価書 (2021))。 (2)急性中毒の明らかな症状として、感情鈍麻、落ち着かない、怒りっぽい、注意力散漫、頭痛、筋肉の震え、腹部痙攣、腎障害、幻覚、記憶の喪失などがあり、脳障害は血中鉛濃度が成人で100〜200μg/dL、小児で80〜100 μg/dLで起こるとの報告がある(食安委 食品健康評価書 (2021))。 | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 本物質については、無機鉛化合物のデータを基に分類するものとする。(1)、(2)より、神経系、血液系、腎臓を標的臓器と判断し、区分1(神経系、血液系、腎臓)とした。 【根拠データ】 (1)鉛による慢性影響は、通常、継続的な鉛ばく露を受けている人にみられ、神経系及び内分泌系障害が特徴的であるが、臨床所見は明らかでないことも多い。また筋骨格系やその他の非特異的な自覚症状が多い。高尿酸血症がみられるが、貧血、疝痛、腎糸球体障害は重くない。遅発症状(‘late’ syndrome)は、痛風、慢性腎障害、脳障害を特徴とし、高濃度ばく露のあと多くの年月を経てから発症する。急性中毒の発症が既往症としてみられることも多い(食安委 食品健康評価書 (2021))。 (2)小児は、一般的に手から口への動作を行い、これが成人よりも高いレベルの鉛ばく露につながる。また、小児の鉛の吸収と蓄積は成人よりも大きいことから、小児の体重当たりの体内負荷量は成人よりも高い傾向を示す。小児における相対的に大きなばく露と体内負荷は、成長期の敏感な時期に起こり、小児の様々なエンドポイント(鉛脳症、貧血、神経行動学発達障害、運動神経伝導速度低下など)における最小作用量(LOEL)は、成人よりも低い(食安委 食品健康評価書 (2021))。 | |||
誤えん有害性* | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性 短期(急性) | 甲殻類(カブトミジンコ)の48時間LC50=0.6mg/L(EHC85、1989)(酢酸鉛(II)濃度換算値:0.9mg/L)から、区分1とした。 | ||
水生環境有害性 長期(慢性) | 急性毒性が区分1、金属化合物であり水中での挙動および生物蓄積性が不明であるため、区分1とした。 | ||
残留性・分解性 | 情報なし | ||
生態蓄積性 | 情報なし | ||
土壌中の移動性 | 情報なし | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
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化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 特別管理産業廃棄物に該当する。 特別管理産業廃棄物処理基準に従って処理を行うか、特別管理産業廃棄物の許可業者に運搬又は処分を委託する。 | ||
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
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本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 1616 | |||
品名(国連輸送名) | 酢酸鉛 | |||
国連分類 | 6.1 | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | V | |||
海洋汚染物質 | 該当 | |||
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 道路法、毒物及び劇物取締法の規定に従う。 | |||
特別な安全上の対策 | 道路法、毒物及び劇物取締法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 151 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9) 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)、リスクアセスメント対象物(法第57の3) 鉛等(施行令別表第4) 特殊健康診断対象物質・現行取扱労働者(法第66条第2項、施行令第22条第1項)【鉛業務】 作業環境評価基準(法第65条の2第1項) 作業場内表示義務(法第101条の4) | |||
労働基準法 | 女性労働基準規則の対象物質(女性労働基準規則第2条の18)【鉛およびその化合物】 疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1)【鉛及びその化合物(頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状、造血器障害、末梢神経障害又は疝痛、便秘等の胃腸障害)】 | |||
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) | 特定第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1、施行令第4条) | |||
毒物及び劇物取締法 | 劇物(指定令第2条) | |||
水道法 | 有害物質(法第4条第2項)【鉛及びその化合物】 水質基準(平15省令101号)【鉛及びその化合物】 | |||
水質汚濁防止法 | 有害物質(法第2条、施行令第2条) | |||
土壌汚染対策法 | 第2種特定有害物質(法第2条第1項、施行令第1条、施行規則第4条) | |||
下水道法 | 水質基準物質(法第12条の2第2項、施行令第9条の4)【鉛及びその化合物】 | |||
廃棄物の処理及び清掃に関する法律 | 特別管理産業廃棄物(法第2条第5項、施行令第2条の4) | |||
船舶安全法 | 毒物類(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
航空法 | 毒物類(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
道路法 | 車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2) |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 R5.3.31: 物理化学的危険性、健康に対する有害性を見直した。 |