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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
N−[4−(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン−2−イル)−2−メチルフェニル]−3−ヨード−N’−[2−メチル−1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル]フタルアミド(別名フルベンジアミド)
作成日 2025年3月14日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称N−[4−(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン−2−イル)−2−メチルフェニル]−3−ヨード−N’−[2−メチル−1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル]フタルアミド(別名フルベンジアミド)
化学品の英語名称N-[4-(1,1,1,2,3,3,3-Heptafluoropropan-2-yl)-2-methylphenyl]-3-iodo-N'-[2-methyl-1-(methylsulfonyl)propan-2-yl]phthalamide
製品コードR06-S67-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限情報なし

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
令和2年度(2020年度)、ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
物理化学的危険性-
健康に対する有害性生殖毒性区分1B、授乳に対するまたは授乳を介した影響に関する追加区分
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)区分2(血液系、甲状腺、肝臓)
分類実施日
(環境有害性)
令和2年度(2020年度)、ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
環境に対する有害性水生環境有害性 短期(急性)区分1
水生環境有害性 長期(慢性)区分1

GHSラベル要素
絵表示健康有害性環境
注意喚起語危険
危険有害性情報生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
授乳中の子に害を及ぼすおそれ
長期にわたる、又は反復ばく露による血液系、甲状腺、肝臓の障害のおそれ
水生生物に非常に強い毒性
長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性
注意書き
 安全対策使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
妊娠中及び授乳期中は接触を避けること。
取扱い後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
環境への放出を避けること。
 応急措置ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
気分が悪いときは,医師の診察/手当てを受けること。
漏出物を回収すること。
 保管施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名N−[4−(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン−2−イル)−2−メチルフェニル]−3−ヨード−N’−[2−メチル−1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル]フタルアミド
慣用名又は別名フルベンジアミド
英語名N-[4-(1,1,1,2,3,3,3-Heptafluoropropan-2-yl)-2-methylphenyl]-3-iodo-N'-[2-methyl-1-(methylsulfonyl)propan-2-yl]phthalamide
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C23H22F7IN2O4S (682.4)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号272451-65-7
官報公示整理番号
(化審法)
-
官報公示整理番号
(安衛法)
4-(7)-2134
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)-

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
症状が続く場合には、医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合大量の水で洗うこと。症状が続く場合には、医師に連絡すること。
眼に入った場合水で15〜20分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。症状が続く場合には、医師に連絡すること。
飲み込んだ場合水で口をすすぎ、直ちに医師の診断を受けること
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状情報なし
応急措置をする者の保護に必要な注意事項救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、粉末消火剤、泡消火剤、二酸化炭素を使用する。
使ってはならない消火剤火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。
特有の危険有害性一般的な注意として、粉末状物質の場合は、ある条件下では粉じん爆発を起こす可能性がある。
特有の消火方法火元への燃焼源を断ち、消火剤を使用して消火する。
延焼の恐れのないよう水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。
消火活動は風上から行う。
火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。
危険でなければ火災区域から容器を移動する。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服(耐熱性)を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
関係者以外の立ち入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
環境に対する注意事項環境への放出を避けること。
周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材漏出物を回収すること。
飛散した物を掃き集めるか、真空掃除機で吸引する等できるだけ飛散発じんしないようにして、空容器等に回収する。
二次災害の防止策情報なし

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項妊娠中及び授乳期中は接触を避けること。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
取扱い後はよく手を洗うこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。
粉じんを発生させないようにする。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
保管
安全な保管条件施錠して保管すること。
保管場所には危険・有害物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な照明及び換気の設備を設ける。静電気放電に対する予防措置を講ずること。
安全な容器包装材料国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度-
濃度基準値
八時間濃度基準値-
短時間濃度基準値-
許容濃度
日本産衛学会 (2024年度版)(吸入性粉じん) 2 mg/m3
(総粉じん) 8 mg/m3
(第3種粉じん)
ACGIH (2024年版)PNOS* TLV: 3 mg/m3 (Respirable particles)
PNOS* TLV: 10 mg/m3 (Inhalable particles)
* Particles (insoluble or poorly soluble) Not Otherwise Specified
設備対策粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。
保護具
呼吸用保護具粉じんが発生する場合、必要に応じて保護マスクや呼吸用保護具を着用する。
手の保護具手に接触する恐れがある場合、保護手袋を着用する。
眼の保護具眼に入る恐れがある場合、保護眼鏡やゴーグルを着用する。
皮膚及び身体の保護具必要に応じて保護衣、保護エプロン等を着用する。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体
白色
臭いデータなし
融点/凝固点217.5〜220.7 ℃ (HSDB in PubChem (2024))
沸点、初留点及び沸騰範囲データなし
可燃性データなし
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界データなし
引火点データなし
自然発火点データなし
分解温度データなし
pHデータなし
動粘性率データなし
溶解度水:29.9 μg/L (20℃) (HSDB in PubChem (2024))
アセトン:102 g/L (20℃) (HSDB in PubChem (2024))
n-オクタノール/水分配係数log Kow:4.2 (25℃) (HSDB in PubChem (2024))
蒸気圧< 7.5×10-7 mmHg (25℃) (HSDB in PubChem (2024))
密度及び/又は相対密度1.659 g/cm3 (20℃) (HSDB in PubChem (2024))
相対ガス密度データなし
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性通常の取扱い条件下では安定である。
化学的安定性通常の取扱い条件下では安定である。
危険有害反応可能性通常の取扱い条件下では危険有害反応を起こさない。
避けるべき条件直射日光を避け、冷暗所に保管する。
混触危険物質酸化剤、還元剤等
危険有害な分解生成物火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。

11.有害性情報
急性毒性
経口(1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(OECD TG 401、GLP)(食安委 農薬評価書 (2019)、JMPR (2010))
経皮(1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(OECD TG 402、GLP)(食安委 農薬評価書 (2019)、JMPR (2010))
吸入: ガスGHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト(1)より、区分が特定できず、データ不足のため分類できない。
【根拠データ】
(1)ラットのLC50(4時間、粉じん):> 0.07 mg/L (OECD TG 403、GLP)(食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2015)、JMPR (2010)、HSDB (Accessed Dec. 2020))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性(1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、半閉塞、4時間適用、72時間観察)において、全例で刺激性変化はみられなかった(紅斑・痂皮スコア:0/0/0、浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、JMPR (2010)、農薬抄録 (2015))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性(1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、72時間観察)において、非洗眼群3例において、24時間後に軽微な結膜発赤がみられたが、48時間後に消失したとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、JMPR (2010)、農薬抄録 (2015))。
呼吸器感作性データ不足のため分類できない。
皮膚感作性(1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)モルモット(n=20)を用いたMaximisation試験(OECD TG 406、GLP、皮内投与:1%懸濁液)において、パッチ除去24、48時間後の陽性率はともに0%(0/20例)であったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、JMPR (2010)、農薬抄録 (2015))。
生殖細胞変異原性(1)〜(4)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)マウスの骨髄細胞を用いた小核試験(OECD TG 474、GLP、単回強制経口投与、2日間腹腔内投与)2件において陰性の報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2015)、JMPR Tox Monograph (2010))。
(2)細菌復帰突然変異試験(OECD TG 471、GLP)において陰性の報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2015)、JMPR Tox Monograph (2010))。
(3)ほ乳類培養細胞(チャイニーズハムスター肺由来 V79細胞CHL)を用いた遺伝子突然変異試験(OECD TG 476、GLP)において陰性の報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2015)、JMPR Tox Monograph (2010))。
(4)ほ乳類培養細胞(CHL)を用いた染色体異常試験(OECD TG 473、GLP)において陰性の報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2015)、JMPR Tox Monograph (2010))。
発がん性(1)〜(3)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)国内外の分類機関による既存分類では、EPAでNL(Not Likely to be Carcinogenic to Humans)に分類されている(EPA Annual Cancer Report 2019 (Accessed Dec. 2020):2008年分類)。
(2)ラットを用いた2年間発がん性試験(OECD TG 451、GLP、混餌投与)において、20,000 ppmまでの投与群でみられた腫瘍性病変について対照群と投与群の間で発生頻度に有意差のある所見は認められず、発がん性は認められなかった(食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2015)、JMPR Tox Monograph (2010))。
(3)マウスを用いた18カ月間発がん性試験(OECD TG 451、GLP、混餌投与)において、10,000 ppmまでの投与群でみられた腫瘍性病変について対照群と投与群の間で発生頻度に有意差のある所見は認められず、発がん性は認められなかった(食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2015)、JMPR Tox Monograph (2010))。
生殖毒性(1)〜(4)より、区分1Bとし、授乳影響を追加した。なお、(1)、(2)、(3)では、親動物の一般毒性発現用量において児動物に成長阻害、肝臓、甲状腺等の親動物と同じ臓器への影響がみられたことに加えて、眼病変がみられている。また、(4)において、児動物への影響が出生後の乳汁を介して母体から移行したことによるものと考察されている。
【根拠データ】
(1)ラットを用いた混餌投与による二世代生殖毒性試験(OECD TG 416、GLP)において、親動物に一般毒性影響(甲状腺、肝臓、腎臓、脾臓への影響等)がみられる用量で、児動物にも同様の影響がみられたことに加えて、眼病変(眼球腫大、虹彩癒着、出血、角膜上皮基底細胞水腫性変性、角膜上皮細胞空胞化、角膜炎、虹彩炎及び白内障(F1及びF2))等がみられた。なお、繁殖能に対する影響は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2015)、JMPR (2010))。
(2)ラットを用いた混餌投与による一世代生殖毒性試験(GLP)において、親動物に一般毒性影響(肝臓及び甲状腺への影響等)がみられる用量で、児動物に甲状腺、肝臓、脾臓の重量減少等に加えて、眼病変(虹彩癒着、出血、虹彩炎及び白内障、角膜上皮基底細胞の水腫様変性及び角膜上皮細胞の空胞化)、肛門生殖突起間距離増加・包皮分離完了遅延がみられた。なお、繁殖能に対する影響は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2015)、JMPR (2010))。
(3)ラットを用いた混餌投与による発達神経毒性試験(妊娠6日〜哺育21日)において、1,200 ppmで親動物に肝絶対及び比重量増加、小葉中心性肝細胞肥大、児動物に眼病変(眼球腫大、角膜混濁、眼球突出及び虹彩前癒着)、体重増加抑制・包皮分離発現日遅延がみられたが、発達神経毒性は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、JMPR (2010))。
(4)本物質の血液凝固系への影響と眼病変発生との関係を調べた研究の結果、ラット児動物の眼球異常は、妊娠期間の検体投与では発生せず、出生後の乳汁経由でのばく露により発生すること、また、検体の乳汁経由でのばく露によりビタミンK 依存性血液凝固能が低下し、眼房内出血の持続及び悪化により赤血球のフォンタナ腔への沈着及び虹彩角膜癒着が生じ、眼房水の排出が障害され、眼圧が上昇することにより眼球腫大が発症することが推察された(食安委 農薬評価書 (2019))。
【参考データ等】
(5)本物質の単回経口投与等により生ずる可能性のある毒性影響として、ラットを用いた二世代及び一世代繁殖試験及び発達神経毒性試験において、児動物に眼球腫大、虹彩癒着等の眼の異常が認められ、出生後の乳汁を介したばく露により惹起されると考えられることから、食品安全委員会は授乳中の女性を対象として急性参照用量(ARfD)を設定することが妥当と判断した。上記試験結果を総合的に評価し、15.0 mg/kg 体重/日を無毒性量とするのが妥当であると判断し、これを根拠として、安全係数100 で除した0.15 mg/kg 体重を授乳中の女性に対するARfD と設定した(食安委 農薬評価書 (2019))。

特定標的臓器毒性 (単回ばく露)(1)〜(3)より、経口及び経皮経路では区分に該当しない。ただし、吸入経路での毒性情報は用量設定が不十分であり、分類に利用できない。よって、データ不足のため分類できない。
【根拠データ】
(1)ラットを用いた単回経口投与試験(OECD TG 401、GLP)において、2,000 mg/kg(区分2の範囲)で症状及び死亡例はみられなかったと報告されている(食安委 農薬評価書 (2019)、JMPR (2010)、農薬抄録 (2015))。
(2)ラットを用いた単回経口投与による急性神経毒性試験(OECD TG 424、GLP)において、2,000 mg/kg(区分2の範囲)で急性神経毒性はみられなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、JMPR (2010)、農薬抄録 (2015))。
(3)ラットを用いた単回経皮投与試験(OECD TG 402、GLP)において、2,000 mg/kg(区分2の範囲)で症状及び死亡例はみられなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、JMPR (2010)、農薬抄録 (2015))。
【参考データ等】
(4)ラットを用いた単回吸入(粉じん)ばく露試験(OECD TG 403、GLP)において、0.0685 mg/kg(区分1の範囲)で症状及び死亡例はみられなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、JMPR (2010)、農薬抄録 (2015))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)(1)〜(6)より、標的臓器は血液系、甲状腺、肝臓と考えられ、区分2の用量範囲で影響がみられることから、区分2(血液系、甲状腺、肝臓)とした。
【根拠データ】
(1)ラットを用いた混餌投与による90日間反復経口投与試験(OECD TG 408、GLP)において、200 ppm(11.4 mg/kg/day(雄)、13.1 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で肝臓影響(肝絶対及び比重量増加・小葉周辺性肝細胞脂肪化(雌))がみられ、2,000 ppm(116 mg/kg/day(雄)、128 mg/kg/day(雌)、区分に該当しない範囲)でPLT増加、Ht、Hb減少・GGT及びカリウム増加(雌)、TG減少(雌)、ChE活性低下・腎絶対及び比重量増加・び漫性肝細胞肥大・甲状腺ろ胞上皮細胞肥大(雌)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、JMPR (2010)、農薬抄録 (2015))。
(2)イヌを用いた混餌投与による90日間反復経口投与試験(OECD TG 409、GLP)において、2,000 ppm(52.7 mg/kg/day(雄)、59.7 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)でAPTT短縮及び副腎絶対及び比重量増加、副腎皮質細胞肥大(雌)、ALP及びTG増加(雌)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、JMPR (2010)、農薬抄録 (2015))。
(3)ラットを用いた混餌投与による1年間慢性毒性/がん原性併合試験(OECD TG 452、GLP)において、2,000 ppm(79.3 mg/kg/day(雄)、97.5 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で血液影響(PT延長、網状赤血球数増加・APTT延長(雄)、Ht、Hb、RBC、MCV及びMCH減少(雌))、肝臓影響(肝比重量増加・GGT及びAlb増加、小葉周辺性肝細胞脂肪化及びび漫性肝細胞肥大(雌))、甲状腺影響(濾胞上皮細胞肥大)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、JMPR (2010)、農薬抄録 (2015))。
(4)イヌを用いた混餌投与による1年間慢性毒性試験(GLP)において、1,500 ppm(35.2 mg/kg/day(雄)、37.9 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で血液影響(APTT短縮、PLT増加(雌))、肝比重量増加(雄)、ALP増加(雌)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、JMPR (2010)、農薬抄録 (2015))。
(5)ラットを用いた混餌投与による2年間慢性毒性/がん原性併合試験(OECD TG 451、GLP)において、1,000 ppm(33.9 mg/kg/day(雄)、43.7 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で肝臓影響(小葉周辺性肝細胞脂肪化(雄)、肝絶対及び比重量増加・び漫性肝細胞脂肪化及びび漫性肝細胞肥大(雌))、腎臓(慢性腎症、腎比重量増加(雌))、甲状腺濾胞上皮細胞肥大(雌)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、JMPR (2010)、農薬抄録 (2015))。
(6)マウスを用いた混餌投与による18ヵ月間慢性毒性/がん原性併合試験(OECD TG 451、GLP)において、1,000 ppm(94 mg/kg/day(雄)、93 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で肝臓影響(小葉中心性肝細胞肥大、小葉中心性肝細胞脂肪化及びび漫性肝細胞脂肪化(小型脂肪滴)、肝絶対及び比重量増加・び漫性肝細胞脂肪化(大型脂肪滴)(雌))、甲状腺(甲状腺水腫様変性を伴うろ胞上皮細胞肥大及び大型ろ胞増加(雌))がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、JMPR (2010)、農薬抄録 (2015))。
【参考データ等】
(7)マウスを用いた混餌投与による90日間反復経口投与試験(OECD TG 408、GLP)において、1,000 ppm(123 mg/kg/day(雄)、145 mg/kg/day(雌)、区分に該当しない範囲)で肝臓影響(小葉中心性肝細胞肥大・小葉中心性肝細胞脂肪化)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、JMPR (2010)、農薬抄録 (2015))。

誤えん有害性*データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 0.0034 mg/L(農薬抄録, 2015)であることから、区分1とした。
水生環境有害性 長期(慢性)急速分解性がなく(BIOWIN)、甲殻類(ミシッドシュリンプ)の28日間NOEC = 0.020 mg/L(EPA OPP Pesticide Ecotoxicity Database, 2021)から、区分1とした。
残留性・分解性情報なし
生態蓄積性情報なし
土壌中の移動性情報なし
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。


14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号3077
品名(国連輸送名)環境有害物質、固体、他に品名が明示されていないもの
国連分類9
副次危険-
容器等級III
海洋汚染物質該当する
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う
航空規制情報航空法の規定に従う
陸上規制情報該当しない
特別な安全上の対策該当しない
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*171
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【605 沃素及びその化合物】
名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降)【32 沃素及びその化合物】
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【605 沃素及びその化合物】
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降)【32 沃素及びその化合物】
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)【266 N’−[1,1−ジメチル−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−ヨード−N−[2−メチル−4−[1,2,2,2−テトラフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル]フェニル]フタルアミド(別名フルベンジアミド)】
毒物及び劇物取締法-
水道法水質基準(平15省令101号) 【12 フッ素及びその化合物】
水質汚濁防止法有害物質(法第2条、施行令第2条)【25 ふつ素及びその化合物】
土壌汚染対策法第2種特定有害物質(法第2条第1項、施行令第1条)【22 ふっ素及びその化合物】
下水道法水質基準物質(法第12条の2第2項、施行令第9条の4) 【26 ふっ素及びその化合物】
船舶安全法有害性物質(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法有害性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1)

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・2024 Emengency Response Guidebook
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」