| 1.化学品等及び会社情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品の名称 | N−(3−アミノプロピル)−N−ドデシルプロパン−1,3−ジアミン | ||
| 化学品の英語名称 | N-(3-Aminopropyl)-N-dodecylpropane-1,3-diamine | ||
| 製品コード | R06-A-017-JNIOSH | ||
| 供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
| 住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
| 電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
| 電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
| 緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| 推奨用途及び使用上の制限 | - | ||
| 2.危険有害性の要約 | |||
|---|---|---|---|
| GHS分類 | |||
| 分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | 令和6年度(2024年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) | ||
| 物理化学的危険性 | - | ||
| 健康に対する有害性 | 急性毒性 (経口) | 区分3 | |
| 皮膚腐食性/刺激性 | 区分1A | ||
| 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | ||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分2 (腎臓) | ||
| 分類実施日 (環境有害性) | |||
| 環境に対する有害性 | 水生環境有害性 短期(急性) | - | |
| 水生環境有害性 長期(慢性) | - | ||
| GHSラベル要素 | |||
|---|---|---|---|
| 絵表示 | ![]() ![]() ![]() | ||
| 注意喚起語 | 危険 | ||
| 危険有害性情報 | 飲み込むと有毒 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 長期にわたる、又は反復ばく露による腎臓の障害のおそれ | ||
| 注意書き | |||
| 安全対策 | 取扱い後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | ||
| 応急措置 | 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。 口をすすぐこと。 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を水【又はシャワー】で洗うこと。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。 | ||
| 保管 | 施錠して保管すること。 | ||
| 廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
| 他の危険有害性 | 情報なし | ||
| 3.組成及び成分情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
| 化学名又は一般名 | N−(3−アミノプロピル)−N−ドデシルプロパン−1,3−ジアミン | ||
| 慣用名又は別名 | - | ||
| 英語名 | N-(3-Aminopropyl)-N-dodecylpropane-1,3-diamine | ||
| 濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
| 分子式 (分子量) | C18H41N3 (300) | ||
| 化学特性 (示性式又は構造式) | ![]() | ||
| CAS番号 | 2372-82-9 | ||
| 官報公示整理番号 (化審法) | 7-5 | ||
| 官報公示整理番号 (安衛法) | 2-(10)-258 | ||
| GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | - | ||
| 4.応急措置 | |||
|---|---|---|---|
| 吸入した場合 | 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。 症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
| 皮膚に付着した場合 | 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を水【又はシャワー】で洗うこと。 大量の水で洗うこと。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
| 眼に入った場合 | 眼に入った場合:水で15〜20分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
| 飲み込んだ場合 | 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 直ちに医師の診断を受けること。 | ||
| 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 情報なし | ||
| 応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する | ||
| 医師に対する特別な注意事項 | 情報なし | ||
| 5.火災時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 適切な消火剤 | 水噴霧、乾燥消火剤、泡消火剤、二酸化炭素 以上、GESTIS参照。 | ||
| 使ってはならない消火剤 | 火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。 | ||
| 特有の危険有害性 | 火災の場合、有害物質(亜硝酸ガス(一酸化炭素)、一酸化炭素と二酸化炭素)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 特有の消火方法 | 可能であれば、容器を危険区域から移動する。 着火(発火)源を遮断する。 流出水が排水システムに入らないようにすること。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 6.漏出時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 個人用保護具を着用すること(「個人用保護具」の章を参照)。 影響を受ける周囲に警告すること。 周囲を換気し、こぼれた場所を洗浄する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 環境に対する注意事項 | 容器とパイプラインにラベルを貼ること 水、排水、下水、または地中への浸透を防ぐ。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 収集容器にはラベルを貼ること。容器は換気の良い場所に保管すること。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 二次災害の防止策 | 情報なし | ||
| 7.取扱い及び保管上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 取扱い | |||
| 技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 安全取扱い注意事項 | 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 作業場所を清潔に保つこと。 この物質は、作業に必要な量を超えて持ち込まない。 容器を開けたままにしないこと。 補充または移し替えには、排気口付きの漏れ防止機器を使用すること。 しぶきを避ける。 ラベルの付いた容器にのみ注入すること。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 接触回避 | 感染性、放射性、爆発性の物質 ガス 強酸化性物質 硝酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムを含有する製剤 有機過酸化物および自己反応性物質 危険な化学反応が起こりうる物質と一緒に保管しない。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 衛生対策 | この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 眼、皮膚、衣類への接触を避けること。接触した場合は患部を洗浄する。 眼に入った場合は、影響を受けた眼を洗い流す。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 シャワー付きの洗面所と、可能であれば、私服と作業服用の独立した収納を備えた部屋を用意すること。 使用後は手を洗うこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 保管 | |||
| 安全な保管条件 | 施錠して保管すること。 容器にはラベルを貼付すること。 できるだけ元の容器に保管すること。 容器は、涼しく乾燥した換気の良い場所で密閉すること。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 安全な容器包装材料 | 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。 | ||
| 8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
| 管理濃度 | - | |||
| 濃度基準値 | ||||
| 八時間濃度基準値 | - | |||
| 短時間濃度基準値 | - | |||
| 許容濃度 | ||||
| 日本産衛学会 (2023年度版) | - | |||
| ACGIH (2024年版) | - | |||
| 設備対策 | 取り扱いの場所の近くに、洗眼および身体洗浄のための設備を設ける。 高温下や、ミストが発生する場合は換気装置を使用する。 作業場は換気をすること。 床に排水溝を設置しない。 作業場での洗濯設備を設置する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 保護具 | ||||
| 呼吸用保護具 | 緊急時には、呼吸保護具を着用する。 フィルター装置の使用限界を超える濃度、体積18%未満の酸素濃度、または不明な状況では、絶縁装置を使用すること。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 手の保護具 | 必要に応じて適切な不浸透性の保護手袋を使用すること。着用する前に締まり具合を確認すること。手袋は取り外す前に十分に洗浄し、換気の良い場所に保管すること。 布製または革製の手袋は不適切である。 次の材料は保護手袋に適している(浸透時間>= 8時間): ブチルゴム - ブチル(ブチル(0,7 mm) 以下の材料の保護手袋が適している:ニトリルゴム/ニトリルラテックス - NBR (0,35 mm) 以上、GESTIS参照。 | |||
| 眼の保護具 | 必要に応じて安全眼鏡、保護面、安全ゴーグルなどの眼用保護具を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 皮膚及び身体の保護具 | 身体の保護リスクに応じて、適切な防護服または適切な化学防護服を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 9.物理的及び化学的性質 | |||
|---|---|---|---|
| 物理的状態 | |||
| 物理状態 | 液体 | ||
| 色 | 無色 | ||
| 臭い | アミン臭 | ||
| 融点/凝固点 | 9 ℃ (GESTIS (2024)) | ||
| 沸点、初留点及び沸騰範囲 | データなし | ||
| 可燃性 | 可燃性 | ||
| 爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
| 引火点 | > 65 ℃ (Closed Cup) (ECHA CHEM (2024)) | ||
| 自然発火点 | 288 ℃ (GESTIS (2024)) | ||
| 分解温度 | 326 ℃ (GESTIS(2024)) | ||
| pH | 11〜12 (20℃、10 g/L) (GESTIS(2024)) | ||
| 動粘性率 | データなし | ||
| 溶解度 | 水:190 g/L (20℃) (Chemical Book(2024)) | ||
| n-オクタノール/水分配係数 | Log P:0.34 (20℃) (Chemical Book(2024)) | ||
| 蒸気圧 | < 0.1 Pa (室温) (GESTIS (2024)) | ||
| 密度及び/又は相対密度 | 0.865 g/cm3 (20℃) (GESTIS (2024)) | ||
| 相対ガス密度 | データなし | ||
| 粒子特性 | データなし | ||
| 10.安定性及び反応性 | |||
|---|---|---|---|
| 反応性 | 物質は可燃性である。 電気器具は、腐食のリスクが高いため、定期的に点検すること。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 化学的安定性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
| 危険有害反応可能性 | 通常の取扱い条件下では危険有害反応を起こさない。 | ||
| 避けるべき条件 | 直射日光を避け、冷暗所に保管する。 | ||
| 混触危険物質 | 酸化剤、還元剤等 | ||
| 危険有害な分解生成物 | 火災の場合、有害物質(亜硝酸ガス(一酸化炭素)、一酸化炭素と二酸化炭素)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 11.有害性情報 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 急性毒性 | ||||
| 経口 | 【分類根拠】 (1)〜(3)より区分3とした。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:261 mg/kg (OECD TG401、GLP) (MAK(DFG)(2017)、ECHA CHEM (Accessed July 2024)) (2)ラットのLD50:> 50 - < 500 mg/kg (OECD TG420、GLP)(MAK(DFG)(2017)、ECHA CHEM (Accessed July 2024)) (3)ラットのLD50:> 25 - < 200 mg/kg (OECD TG423、GLP)(MAK(DFG)(2017)、ECHA CHEM (Accessed July 2024)) | |||
| 経皮 | 【分類根拠】 (1)のデータがあるが、区分を特定できず分類できない。 【参考データ等】 (1)ラットのLD50:> 600 mg/kg (EU Method B.3、GLP) (ECHA CHEM (Accessed July 2024)) | |||
| 吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における液体である。 | |||
| 吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 | |||
| 吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 | |||
| 皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1)〜(3)より区分1Aとした。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=1)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG404: 原液0.5 mL、3分及び4時間半閉塞、24時間及び20時間後に観察)では、3分間ばく露後1時間では紅斑スコア:3、浮腫スコア:2、24時間後は適用部位全体の壊死が認められた。4時間ばく露後1時間では紅斑スコア:3、浮腫スコア:4であり、20時間後には適用部位全体の壊死が認められた (MAK(DFG)(2017)、ECHA CHEM (Accessed July 2024))。 (2)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(EU Method B.4: 原液0.5 mL、3分間半閉塞、1時間後に観察)では、すべての適用部位で境界明瞭な紅斑と中等度の浮腫が認められ、1つの適用部位で真皮毛細血管の出血が、1つの適用部位で皮膚の白化が認められ、本物質は皮膚腐食性と判定された (ECHA CHEM (Accessed July 2024))。 (3)EpiDermを用いたin vitro試験(OECD TG 431、GLP)において、本物質 (90.9%) で3分間及び1 時間処理後の組織生存率は、陰性対照組織と比較して50%未満 (それぞれ 43% 及び 42%) であり、本物質は皮膚腐食性と判定された (MAK(DFG)(2017)、ECHA CHEM (Accessed July 2024))。 | |||
| 眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 (1)より区分1とした。 【根拠データ】 (1)本物質は皮膚腐食性区分1Bに分類されている。 | |||
| 呼吸器感作性 | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 | |||
| 皮膚感作性 | 【分類根拠】 本物質は皮膚腐食性物質であり、皮膚刺激性影響を避けることが困難なため信頼できるデータはない。 【参考データ等】 (1)本物質を含む消毒剤を使用した医療従事者で皮膚炎を生じた症例報告が複数あるが、これらの情報からは本物質自体の感作性について結論できない (MAK(DFG)(2017))。 (2)モルモットを用いたビューラー試験 (EU Method B.6 、GLP) の結果、皮膚感作性陰性と判定された (ECHA CHEM (Accessed July 2024))。 (3)マウス局所リンパ節試験 (LLNA)(OECD TG429、GLP) の結果、最高用量でのみSI値が3倍を超えたが、LLNAは腐食性物質や界面活性剤で偽陽性の結果となる可能性が指摘されている (ECHA CHEM (Accessed July 2024))。 (4)ランゲルハンス細胞 (LC)を組み込んだ再構築ヒト皮膚モデル (RhS-LC)を用いたin vitro試験の結果、本物質はLCの遊走を引き起こすものの、感作経路を介したものではなく刺激経路を介したものであることが示されている (ECHA CHEM (Accessed July 2024))。 | |||
| 生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 In vivoのデータはないが、in vitroの3つの指標の標準的な試験で陰性の結果が得られていることから、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1)細菌を用いた復帰突然変異試験(OECD TG471、GLP)3試験、ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験及びチャイニーズハムスター肺由来 (V79) 細胞を用いた染色体異常試験(いずれもOECD TG473、GLP)、マウスリンフォーマL5178Y細胞を用いた遺伝子突然変異試験及びチャイニーズハムスター肺由来 (V79) 細胞を用いた遺伝子突然変異試験 (いすれもOECD TG476、GLP) で、いずれも陰性(-/+ S9)の報告がある(MAK(DFG)(2017)、ECHA CHEM (Accessed July 2024))。 | |||
| 発がん性 | 【分類根拠】 ヒトの発がん性に関する情報はない。動物試験では(1)の試験により陰性の結果が示されているが、1種類の動物種のみの結果であることから分類できないとした。 【根拠データ】 (1)雌雄ラットに本物質を4〜20/15/12 mg/kg (高用量群は51週に15 mg/kg/day、さらに雄は56週、雌は59週に12 mg/kg/dayに減量) で104週間 (高用量群は生存率が低下したため、雄は65週、雌は86週で試験を終了した) 混餌投与した発がん性試験 (OECD TG453) において腫瘍発生率の増加はみられなかった(MAK(DFG) (2017)、ECHA CHEM (Accessed July 2024))。 | |||
| 生殖毒性 | 【分類根拠】 (1)〜(3)のデータがあるが、生殖発生影響は主に母動物毒性が明らかな用量で観察されており、これらのデータから生殖毒性の分類は行えないと判断した。よって、分類できないとした。 【参考データ等】 (1)ラットを用いた強制経口投与(交配前10週から交配、妊娠、授乳期間を経て離乳まで、3〜27 mg/kg/day)による二世代生殖毒性試験(OECD TG416、GLP)において、F0親動物(雄2例、雌3例)、F1親 動物(雄1例、雌2例)が死亡し、著しい体重増加抑制、摂餌量のわずかな減少、呼吸困難、立毛、猫背、流涎、円背位がみられた27 mg/kg/dayで、F2児動物の平均同腹児重量及び体重のわずかな減少、 振戦 (F0の児動物1例、F1の児動物1例) がみられた (MAK(DFG)(2017)、ECHA CHEM (Accessed July 2024))。 (2)ラットを用いた強制経口投与(妊娠6〜16日、7.5〜60 mg/kg/day)による発生毒性試験(OECD TG414、GLP)において、母動物への影響として22.5 mg/kg/day以上で摂餌量減少、呼吸困難、流涎、立毛、活動性低下、60 mg/kg/dayで体重増加抑制がみられ、60 mg/kg/dayで早期胎児死亡率の増加がみられた。当該影響について、MAK(DFG)(2017) では母体毒性の二次的影響の可能性があるとしている (MAK(DFG)(2017)、ECHA CHEM (Accessed July 2024))。 (3)ウサギを用いた強制経口投与(妊娠6〜28日、6〜20 mg/kg/day)による発生毒性試験(OECD TG414、GLP)において、20 mg/kg/dayで母動物の死亡(2例)、体重増加抑制、摂餌量減少、妊娠子宮重量の減少(妊娠初期における 2 匹の母動物の着床後早期喪失))、胃の幽門領域の発赤、早期吸収胚がみられ、6 mg/kg/day以上で生存胎児数減少 (対照群, 6, 9, 20 mg/kg/day群の総生存胎児数/母動物数: 120/19, 113/20, 102/20, 107/20, 母動物あたりの生存胎児数: 6.3, 5.7, 5.1, 5.4)、20 mg/kg/dayで後期吸収胚がみられた。このうち生存胎児数の減少について、MAK(DFG)(2017) では、背景データの範囲内であり自然発生とみなされるとしている (MAK(DFG)(2017)、ECHA CHEM (Accessed July 2024))。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 (1)〜(3)より、本物質の腐食性による局所影響がみられたが、標的臓器は特定できない。吸入経路の知見がなく、データ不足のため分類できない。 【参考データ等】 (1)ラットを用いた単回強制経口投与試験(OECD TG420、GLP)のLD50は261 mg/kg (区分1の範囲) であり、剖検の結果、肺の赤色化、肝臓と腎臓の黒変色、胃粘膜の出血と小腸と大腸のうっ血が認められた(MAK(DFG)(2017)、ECHA CHEM (Accessed July 2024))。 (2)ラットを用いた急性経皮毒性試験(EU Method B.3)では、600 mg/kg (区分1の範囲) を適用後、皮膚腐食に関連した深刻な苦痛のため安楽死させた(MAK(DFG)(2017)、ECHA CHEM (Accessed July 2024))。 (3)本物質はウサギの皮膚に対して腐食性があり、呼吸器系にも同様の影響が予想される(MAK(DFG)(2017))。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 (1)、(2)より、経口経路について区分2(腎臓)とした。なお、(4)、(5)で心筋・骨格筋への影響もみられているが、加齢及び腎臓への影響による二次的変化と判断し、標的臓器として採用しなかった。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた混餌投与(雄: 7〜57 mg/kg/day; 雌: 8〜65 mg/kg/day)による90日間反復投与毒性試験(OECD TG408、GLP)では、雄7/雌8 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上の雌雄で腸間膜リンパ節における泡沫状マクロファージ、雄20/雌22 mg/kg/day (区分2の範囲) 以上の雌雄で ASTの増加、腎臓の絶対及び相対重量増加、尿細管上皮の変性・壊死、上皮の扁平化を伴う尿細管拡張、尿細管好塩基性化、腸間膜リンパ節の腫大、雄で体重増加抑制、雌で四肢の蒼白が、雄57/雌65 mg/kg/day (区分2の範囲) の雌雄で立毛、円背位、活動性低下、摂餌量減少、体重増加抑制、眼底蒼白、尿素窒素増加、腎臓蒼白、雌で紅涙、衰弱がみられた (MAK(DFG)(2017)、ECHA CHEM (Accessed July 2024))。 (2)ラットを用いた強制経口投与(1.5〜27 mg/kg/day) による90日間反復投与毒性試験(OECD TG408、GLP)では、27 mg/kg/day (区分2の範囲) で腎毒性がみられた (MAK(DFG)(2017)、ECHA CHEM (Accessed July 2024))。 【参考データ等】 (3)イヌを用いた強制経口投与(8〜55.1/52.6 mg/kg/day) による90日間反復投与毒性試験(OECD TG408、GLP)では、20 mg/kg/day (区分2の範囲) 以上の雌で AST 及びALT の増加が、55.1/52.6 mg/kg/day (区分2の範囲) の雌雄で摂餌量減少、雄でAST 及びALTの増加、雌でカリウムの増加、胆嚢相対重量増加がみられた (MAK(DFG)(2017)、ECHA CHEM (Accessed July 2024))。 (4)ラットを用いた混餌投与 (4〜20 mg/kg/day) による慢性毒性/癌原性併合試験 (OECD TG453、GLP) では、投与52週間後の観察で、4 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上の雌雄で 腸間膜リンパ節における細胞質空胞を伴うマクロファージの肥大がみられたが、MAK(DFG)(2017) では用量依存性がなく、親油性で腐食性の物質の経口摂取に対する反応と解釈され、有害影響ではないとしている。 8 mg/kg/day以上の雄で 心臓におけるリンパ組織球性心筋炎、骨格筋におけるリンパ組織球性浸潤、腎臓における好塩基性尿細管細胞、雌で 肺胞組織球症、腎臓におけるリンパ組織球性浸潤が、20 mg/kg/day以上の雌雄で 体重減少、体重増加抑制、血液学的パラメータの変化(MCV、MCH、MCHCの減少等)、血液生化学パラメータの変化 (尿素、AST、LDHの増加等)、雄で死亡率40%(8/20)、肺の変色または赤化、骨髄/赤血球比の増加、血液生化学パラメータの変化(アルブミン、コレステロール、グルコース、総タンパク質の減少等)、前立腺の化膿性炎症、肺胞組織球症が、雌で腎臓絶対重量の増加、好塩基性尿細管、心臓におけるリンパ組織球性心筋炎、筋細胞の変性、骨格筋におけるリンパ組織球性浸潤がみられた(MAK(DFG)(2017)、ECHA CHEM (Accessed July 2024))。 (5)(4)の試験の癌原性試験部分として、ラットに混餌投与 (4〜20/15/12 mg/kg/day) (死亡率の上昇により高用量群の用量を雄は 51 週目に15 mg/kg/dayに減量し、さらに56 週 (雄) または 59 週 (雌) に 12 mg/kg/dayに減量 、61週 (雄) または 81週 (雌) に投与を中止) した結果、4 mg/kg/day以上の雌雄で被験物質の蓄積による腸間膜リンパ節での均質/空胞化した細胞質を有するマクロファージの増加、雄で心筋細胞の変性、骨格筋におけるリンパ組織球浸潤が、8 mg/kg/day以上の雌雄で 死亡率増加、体重増加抑制、心臓における肉芽組織/線維化、慢性腎症、雄で血液生化学的パラメータの変化(グルコースの減少、総タンパク質、アルブミン、グロブリン、ASTの増加等)、骨格筋細胞の変性が、20/15/12 mg/kg/dayの雌雄で 体重減少、血液学的パラメータの変化(ヘモグロビン、ヘマトクリット、MCVの減少、白血球 、網状赤血球 、血小板の増加等)、尿pH のわずかな低下、心臓におけるリンパ組織球性心筋炎、喉頭におけるリンパ組織球性筋炎が、雄で血液生化学的パラメータの変化(クレアチニン 、尿素 、LDH の増加等)尿(ヘモグロビンのわずかな増加)、心臓における軟骨化生、雌で液生化学的パラメータの変化(グルコース の減少、総タンパク質、アルブミン、グロブリン、AST の増加)、心筋細胞の変性、心房内の大きな血栓、骨格筋におけるリンパ組織球性浸潤がみられた (MAK(DFG)(2017)、ECHA CHEM (Accessed July 2024))。 | |||
| 誤えん有害性* | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 【参考データ等】 (1)40℃における動粘性率: 10.93 mm2/s(ECHA CHEM (Accessed July 2024))。 | |||
| * JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 | ||||
| 12.環境影響情報 | |||
|---|---|---|---|
| 生態毒性 | |||
| 水生環境有害性 短期(急性) | - | ||
| 水生環境有害性 長期(慢性) | - | ||
| 残留性・分解性 | - | ||
| 生態蓄積性 | - | ||
| 土壌中の移動性 | - | ||
| オゾン層への有害性 | - | ||
| 13.廃棄上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 | ||
| 14.輸送上の注意 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
| 国際規制 | ||||
| 国連番号 | 2922 | |||
| 品名(国連輸送名) | その他の腐食性液体、毒物、他に品名が明示されていないもの | |||
| 国連分類 | 8 | |||
| 副次危険 | 6.1 | |||
| 容器等級 | T | |||
| 海洋汚染物質 | - | |||
| MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
| 国内規制 | ||||
| 海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
| 航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
| 陸上規制情報 | 道路法の規定に従う。 | |||
| 特別な安全上の対策 | 道路法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
| その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
| 緊急時応急措置指針番号* | 153 | |||
| * 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。 | ||||
| 15.適用法令 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
| 労働安全衛生法 | - | |||
| 化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | - | |||
| 毒物及び劇物取締法 | - | |||
| 船舶安全法 | 腐食性物質(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
| 航空法 | 腐食性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
| 港則法 | その他の危険物・腐食性物質(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表) | |||
| 16.その他の情報 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 参考文献 | ||||
| 9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・2024 Emengency Response Guidebook ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 ・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」 | ||||