職場のあんぜんサイト

安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
ジチオりん酸O,O−ジエチル−S−[(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−2−オキソベンゾオキサゾリニル)メチル](別名ホサロン)
作成日 2008年10月8日
改訂日 2021年3月12日
改訂日 2025年3月14日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称ジチオりん酸O,O−ジエチル−S−[(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−2−オキソベンゾオキサゾリニル)メチル](別名ホサロン)
化学品の英語名称O,O-Diethyl S-(6-chloro-2,3-dihydro-2-oxobenzoxazolinyl)methyl phosphorodithioate
製品コードR06-C-125-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限農薬(殺虫剤)(NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
令和6年度(2024年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) ※一部、令和2年度(2020年度)、ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
物理化学的危険性-
健康に対する有害性急性毒性 (経口)区分3
急性毒性 (経皮)区分3
急性毒性 (吸入: 粉じん、ミスト)区分3
皮膚腐食性/刺激性区分2
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分2
生殖毒性区分2
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)区分1 (神経系)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)区分1 (神経系)
分類実施日
(環境有害性)
令和2年度(2020年度)、ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
環境に対する有害性水生環境有害性 短期(急性)区分1
水生環境有害性 長期(慢性)区分1

GHSラベル要素
絵表示どくろ健康有害性環境
注意喚起語危険
危険有害性情報飲み込むと有毒
皮膚に接触すると有毒
吸入すると有毒
皮膚刺激
強い眼刺激
生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い
神経系の障害
長期にわたる、又は反復ばく露による神経系の障害
水生生物に非常に強い毒性
長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性
注意書き
 安全対策取扱い後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
環境への放出を避けること。
 応急措置飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。
口をすすぐこと。
皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
気分が悪い時は医師に連絡すること。
汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。
漏出物を回収すること。
 保管施錠して保管すること。
換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名ジチオりん酸O,O−ジエチル−S−[(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−2−オキソベンゾオキサゾリニル)メチル]
慣用名又は別名ホサロン
O,O−ジエチル−S−(2−オキソ−6−クロロベンゾオキサゾロメチル)−ジチオホスファート
英語名O,O-Diethyl S-(6-chloro-2,3-dihydro-2-oxobenzoxazolinyl)methyl phosphorodithioate
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C12H15ClNO4PS2 (368)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号2310-17-0
官報公示整理番号
(化審法)
-
官報公示整理番号
(安衛法)
8-(7)-170, 8-(7)-490
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)-

4.応急措置
吸入した場合医師に連絡すること。
気分が悪い時や呼吸に関する症状が現れた場合は、医師の診察/手当てを受けること。
以上、ICSC参照。
皮膚に付着した場合直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。 皮膚に付着した部分を流水またはシャワーで洗い流したのち、水と石けん(鹸)で丁寧に洗浄する。
以上、ICSC参照。
眼に入った場合できればコンタクトレンズをはずして数分間多量の水で洗い流す。
以上、ICSC参照。
飲み込んだ場合医師に連絡すること。
口をすすぎ、液体を吐き出す。
以上、ICSC参照。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状短期ばく露の影響:コリンエステラーゼ阻害。 神経系に影響を与えることがある。 痙攣および呼吸抑制を生じることがある。 これらの影響は、遅れて現われることがある。 医学的な経過観察が必要である。 ばく露すると、死を引き起こすことがある。 本物質は、眼および皮膚を軽度に刺激する。
長期または反復ばく露の影響:コリンエステラーゼ阻害。 影響が蓄積される可能性がある。 反復または長期の接触により、皮膚感作を引き起こすことがある。
以上、ICSC参照。
応急措置をする者の保護に必要な注意事項救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、粉末消火薬剤を使用する。
以上、ICSC参照。
使ってはならない消火剤火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。
特有の危険有害性一般的な注意として、粉末状物質の場合は、ある条件下では粉じん爆発を起こす可能性がある。
特有の消火方法火元への燃焼源を断ち、消火剤を使用して消火する。
延焼の恐れのないよう水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。
消火活動は風上から行う。
火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。
危険でなければ火災区域から容器を移動する。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服(耐熱性)を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置関係者以外の立ち入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
個人用保護具:自給式呼吸器付完全保護衣
以上、ICSC参照。
環境に対する注意事項周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材この物質を環境中に放出してはならない
こぼれた物質を密閉式容器内に収集する。
湿らせてもよい場合は、粉じんを避けるために湿らせてから掃き入れる。
残留分を、注意深く集める。
地域規則に従って保管・処理する。
以上、ICSC参照。
二次災害の防止策情報なし

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項粉じんの発生を抑えること。
裸火禁止。
以上、ICSC参照。
接触回避酸化剤、還元剤等
衛生対策眼、皮膚、衣類への接触を避けること。接触した場合は患部を洗浄する。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
使用後は手を洗うこと。
以上、GESTIS参照。
保管
安全な保管条件容器を密閉し、涼しくて乾燥した換気の良い場所で保管すること。
排水管や下水管へのアクセスのない場で貯蔵する。
以上、ICSC参照。
安全な容器包装材料道路法、毒劇法、国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度-
濃度基準値
八時間濃度基準値-
短時間濃度基準値-
許容濃度
日本産衛学会 (2024年度版)(吸入性粉じん)2 mg/m3
(総粉じん)8 mg/m3
(第3種粉じん)
ACGIH (2024年版)PNOS* TLV: 3 mg/m3 (Respirable particles)
PNOS* TLV: 10 mg/m3 (Inhalable particles)
* Particles (insoluble or poorly soluble) Not Otherwise Specified
設備対策粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。
洗眼および身体洗浄のための設備と、可能であれば、私服と作業服用の独立した収納を備えた部屋を用意すること。
保護具
呼吸用保護具緊急時には、呼吸保護具を着用する。
以上、GESTIS参照。
手の保護具必要に応じて適切な不浸透性の保護手袋を使用すること。
以上、ICSC参照。
眼の保護具必要に応じて安全眼鏡、保護面、安全ゴーグルなどの眼用保護具を着用する。
以上、GESTIS参照。
皮膚及び身体の保護具必要に応じて保護衣、保護エプロン等を着用する。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体
無色〜白色
臭いガーリック様
融点/凝固点47.5〜48 ℃ (HSDB in PubChem (2024))
沸点、初留点及び沸騰範囲データなし
可燃性可燃性 (ICSC (2010))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界データなし
引火点100 ℃ (closed cup) (ICSC (2010))
自然発火点データなし
分解温度データなし
pHデータなし
動粘性率データなし
溶解度水:3.05 ml/L (25℃、水) (HSDB in PubChem (2024))
ケトン、アルコール、ほとんどの芳香族系溶剤:溶ける (HSDB in PubChem (2024))
n-オクタノール/水分配係数log Kow:4.38 (HSDB in PubChem (2024))
蒸気圧データなし
密度及び/又は相対密度1.338 g/cm3 (20℃) (HSDB in PubChem (2024))
相対ガス密度データなし
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性可燃性。 有機溶剤を含む液体製剤は、引火性のことがある。 火災時に、刺激性あるいは有毒なフュームやガスを放出する。
以上、ICSC参照。
化学的安定性通常の取扱い条件下では安定である。
危険有害反応可能性加熱により分解する 塩化水素、窒素酸化物、リン酸化物および硫黄酸化物を含む、有毒で腐食性のフュームを生じる。
以上、ICSC参照。
避けるべき条件直射日光を避け、冷暗所に保管する。
混触危険物質酸化剤、還元剤等
危険有害な分解生成物火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
(1)〜(4) より、区分3とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 85 mg/kg (GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020))
(2) ラットのLD50: 雄: 120〜170 mg/kg (HSDB (Access on May 2020))
(3) ラットのLD50: 約150 mg/kg (JMPR (2001))
(4) ラットのLD50: 雌: 188 mg/kg、雄: 198 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2014)、農薬抄録 (2013))
経皮【分類根拠】
(1)、(2) より、区分3とした。

【根拠データ】
(1) ウサギのLD50: 1,000 mg/kg (GESTIS (Access on May 2020))
(2) ラットのLD50: 雌: 1,530 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2014))
吸入: ガス【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト【分類根拠】
(1)、(2) より、区分3とした。
なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。
ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (9.0E-007 mg/L) よりも高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間): 雌: 0.7 mg/L、雄: 1.4 mg/L (食安委 農薬評価書 (2014))
(2) ラットのLC50 (4時間): 雌: 1.3 mg/L、雄: 2.1 mg/L (JMPR (2001))
(3) 本物質の蒸気圧: 4.5E-008 mmHg (25℃) (HSDB (Access on May 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 9.0E-007 mg/L)
皮膚腐食性及び皮膚刺激性【分類根拠】
(1) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) 本物質は皮膚と眼に対して中等度刺激物である (HSDB (Access on May 2020))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
(1) より、区分2とした。細区分に十分な情報がないため、分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質は皮膚と眼に対して中等度刺激物である (HSDB ( Access on May 2020))。

【参考データ等】
(2) 本物質 (0.06 g) をウサギ (6匹) に適用した眼刺激性試験 (ドレイズ法) で、中等度の刺激性が認められたと報告されているが、適用24/48/72h後の平均スコアは角膜混濁及び虹彩の平均スコアは全例 1未満、結膜発赤及び浮腫の平均スコアも全例 2未満であった (食安委 農薬評価書 (2014)、農薬抄録 (2013))。
呼吸器感作性【分類根拠】
データがなく分類できない。
皮膚感作性【分類根拠】
(3)の陽性知見があるが、詳細不明であり、データ不足で分類できない。なお、データの精査により分類結果を変更した(2024年度)。

【参考データ等】
(1)モルモット(n= 10)を用いたBuehler試験(局所感作:25%、惹起:25%)では、惹起終了24及び48時間後の陽性率は0%(0/10例)で、皮膚感作性は陰性と判断された(農薬抄録 (2013)、食安委 農薬評価書 (2014))。
(2)モルモット(n= 10)を用いた皮膚感作性試験(Sulser & Schwartz法:感作、誘発:20%)では、惹起終了24時間後の陽性率は0%(0/10例)で、皮膚感作性は陰性と判断された(同上)。
(3)モルモットを用いたマキシマイゼーション試験(Magnusson & Kligman法)で陽性の結果があり、本物質は皮膚感作性物質の可能性があると記述されている(EFSA (2006))。
(4)EU CLP分類(Accessed Sep. 2024)ではSkin Sens. 1に分類されている。
生殖細胞変異原性【分類根拠】
(1)〜(3) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウスを用いた優性致死試験及びマウスの骨髄細胞を用いた小核試験において陰性の報告がある (食安委 農薬評価書 (2014)、農薬抄録 (2013))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性及び陰性、チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いた染色体異常試験及び小核試験で陰性、ラット肝細胞を用いた不定期DNA合成試験で陰性の報告がある (同上)。
(3) 食安委農薬評価書において「生体において問題となる遺伝毒性はないものと考えられた」との記載がある (食安委 農薬評価書 (2014))。
発がん性【分類根拠】
利用可能なヒトを対象とした報告はない。(1)〜(3) より区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、EPAでNL (Not Likely to be Carcinogenic to Humans) (EPA Annual Cancer Report 2019 (Access on July 2020):1999年分類) に分類されている。
(2) 雌雄のラットに本物質を2年間混餌投与した2つの慢性毒性/発がん性併合試験では、いずれの試験においても本物質の投与により発生頻度の増加した腫瘍性病変は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2014))。
(3) 雌雄のマウスに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験では、本物質の投与により発生頻度の増加した腫瘍性病変は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2014))。
生殖毒性【分類根拠】
(1) より、母動物では赤血球コリンエステラーゼ (ChE) 活性阻害のほかに体重増加抑制もみられており、(2)〜(3) の母動物毒性は神経系への影響、呼吸困難等もみられていることから重篤な影響と考えられる。児動物、胎児に対する影響は (1)、(2) は重篤と考えられる。これらを総合的に考慮して、母体毒性が認められる用量で児動物に影響があることから区分2とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた混餌投与による2世代繁殖試験において、親動物では50 ppm (3.6〜4.3 mg/kg/day) 以上投与群で赤血球ChE 活性阻害(20%以上)、400 ppm投与群 (29.4〜36.7 mg/kg/day) で体重増加抑制が認められ、児動物では400 ppm 投与群で、生後4 日の調整前における累積死亡率増加及び体重低値が認められた (食安委 農薬評価書 (2014))。
(2) 雌ラットの妊娠6〜15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (連続咀嚼行動、音に対する過敏症、立毛、難呼吸、体重増加抑制及び摂餌量減少) がみられる用量 (20 mg/kg/day) で、胎児に着床後胚死亡率増加及び同腹児数減少がみられた (食安委 農薬評価書 (2014))。
(3) 雌ウサギの妊娠6〜18日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (呼吸困難、伸張性痙攣、痙攣、虚脱状態、腹部痙攣及び体重減少) がみられる用量 (20 mg/kg/day) で、胎児に指骨の不完全骨化がみられている (食安委 農薬評価書 (2014))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)【分類根拠】
(1) より、実験動物においても区分1の用量で神経系への影響がみられたとの情報があったことから、区分1 (神経系) とした。なお、(2) のとおり、ヒトにおいても神経系への影響の可能性が示されている。情報の再検討により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットの経口投与試験では、60 mg/kg (区分1の範囲) で四肢及び体幹の振戦、円背位、四肢の体温低下、不安定歩行、不安定、体温低下、自発運動レベル低下、赤血球及び脳コリンエステラーゼ (ChE) 活性阻害 (20%以上) がみられたとの報告がある (食安委 農薬評価書 (2014))。

【参考データ等】
(2) ヒトでChE阻害を引き起こす可能性がある。これにより、吐き気、めまい、精神錯乱が生じ、事故や大規模な流出等による高濃度ばく露では呼吸器麻痺及び死亡を引き起こす可能性が示されている (HSDB (Access on May 2020))。
(3) 旧分類ではHSDBの記述 「肝臓への障害は器質的なものにとどまらず、機能面にも及んだ。みられた症状は、抑制、協調運動不備、流涎、筋肉運動障害、振戦、気管支痙攣、不全麻痺、完全麻痺、昏睡等であった 」 より 肝臓を標的臓器としていたが、この報告の試験動物種はヒツジであることを確認した (HSDB (Access on May 2020))。従って、肝臓は標的臓器から除外した。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)【分類根拠】
(1) より、実験動物において区分1の用量で神経系への影響がみられたとの情報があったことから、区分1 (神経系) とした。なお、(2) のとおり、ヒトにおいても神経系への影響の可能性が示されている。

【根拠データ】
(1) ラットの90日間混餌投与試験では、50 ppm (雄: 3.9 mg/kg、雌: 4.4 mg/kg、いずれも区分1の範囲) で脳及び赤血球コリンエステラーゼ (ChE) 活性阻害、600 ppm (雄: 45.9 mg/kg、雌: 56.0 mg/kg、いずれも区分2の範囲) で握力低下や着地開脚の減少がみられた (食安委 農薬評価書 (2014)、JMPR (2001))。

【参考データ等】
(2) ヒトでChE阻害を引き起こす可能性がある。これにより、吐き気、めまい、精神錯乱が生じ、事故や大規模な流出等による高濃度ばく露では呼吸器麻痺及び死亡を引き起こす可能性が示されている (HSDB (Access on May 2020))。
誤えん有害性*【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 0.000739 mg/L(農薬抄録, 2013)であることから、区分1とした。
水生環境有害性 長期(慢性)慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、藻類(デスモデスムス属)の72時間NOEC = 0.56 mg/L(農薬抄録, 2013)から、区分2となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 0.000739 mg/L(農薬抄録, 2013)から、区分1となる。
以上の結果を比較し、区分1とした。
残留性・分解性-
生態蓄積性-
土壌中の移動性-
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。


14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号2783
品名(国連輸送名)有機リン殺虫剤、固体、毒性のもの
国連分類6.1
副次危険-
容器等級III
海洋汚染物質該当する
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法に従う
航空規制情報航空法に従う
陸上規制情報道路法、毒物及び劇物取締法の規定に従う
特別な安全上の対策道路法、毒物及び劇物取締法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*152
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降)【889 ジチオりん酸O,O−ジエチル−S−[(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−2−オキソベンゾオキサゾリニル)メチル](別名ホサロン)】
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降)【889 ジチオりん酸O,O−ジエチル−S−[(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−2−オキソベンゾオキサゾリニル)メチル](別名ホサロン)】
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)(令和7年4月1日以降)
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)-
毒物及び劇物取締法劇物(指定令第2条)【34の2 ジエチル−S−(2−オキソ−6−クロルベンゾオキサゾロメチル)−ジチオホスフエイト及びこれを含有する製剤】
水道法水質基準(平15省令101号) 【38 塩化物イオン】
船舶安全法毒物類(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法毒物類(施行規則第194条危険物告示別表第1)
港則法その他の危険物・毒物類(毒物)(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)
道路法車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・2024 Emengency Response Guidebook
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」