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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
[3−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2−メチル−4−(メチルスルホニル)フェニル](5−ヒドロキシ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メタノン(別名トプラメゾン)
作成日 2025年3月14日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称[3−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2−メチル−4−(メチルスルホニル)フェニル](5−ヒドロキシ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メタノン(別名トプラメゾン)
化学品の英語名称4-[3-(4,5-dihydro-1,2-oxazol-3-yl)-2-methyl-4-methylsulfonylbenzoyl]-2-methyl-1H-pyrazol-3-one
製品コードR06-S51-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限情報なし

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
令和2年度(2020年度)、ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
物理化学的危険性-
健康に対する有害性生殖毒性区分1B
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)区分1(視覚器、甲状腺、膵臓)
分類実施日
(環境有害性)
令和3年度(2021年度)、ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
環境に対する有害性水生環境有害性 短期(急性)区分3

GHSラベル要素
絵表示健康有害性
注意喚起語危険
危険有害性情報生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
長期にわたる、又は反復ばく露による視覚器、甲状腺、膵臓の障害
水生生物に有害
注意書き
 安全対策使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
環境への放出を避けること。
 応急措置ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
気分が悪いときは,医師の診察/手当てを受けること。
 保管施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名[3−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2−メチル−4−(メチルスルホニル)フェニル](5−ヒドロキシ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メタノン
慣用名又は別名トプラメゾン
英語名4-[3-(4,5-dihydro-1,2-oxazol-3-yl)-2-methyl-4-methylsulfonylbenzoyl]-2-methyl-1H-pyrazol-3-one
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C16H17N3O5S (363.4)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号210631-68-8
官報公示整理番号
(化審法)
-
官報公示整理番号
(安衛法)
8-(7)-1783
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)-

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
症状が続く場合には、医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合大量の水で洗うこと。症状が続く場合には、医師に連絡すること。
眼に入った場合水で15〜20分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。症状が続く場合には、医師に連絡すること。
飲み込んだ場合水で口をすすぎ、直ちに医師の診断を受けること
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状情報なし
応急措置をする者の保護に必要な注意事項救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、粉末消火剤、泡消火剤、二酸化炭素を使用する。
使ってはならない消火剤火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。
特有の危険有害性一般的な注意として、粉末状物質の場合は、ある条件下では粉じん爆発を起こす可能性がある。
火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。
特有の消火方法火元への燃焼源を断ち、消火剤を使用して消火する。
延焼の恐れのないよう水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。
消火活動は風上から行う。
火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。
危険でなければ火災区域から容器を移動する。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服(耐熱性)を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
関係者以外の立ち入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
環境に対する注意事項周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材飛散した物を掃き集めるか、真空掃除機で吸引する等できるだけ飛散発じんしないようにして、空容器等に回収する。
二次災害の防止策情報なし

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
粉じんを発生させないようにする。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
保管
安全な保管条件施錠して保管すること。
保管場所には危険・有害物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な照明及び換気の設備を設ける。静電気放電に対する予防措置を講ずること。
安全な容器包装材料破損や漏れの無い密閉可能な容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度-
濃度基準値
八時間濃度基準値-
短時間濃度基準値-
許容濃度
日本産衛学会 (2024年度版)-
ACGIH (2024年版)-
設備対策粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。
保護具
呼吸用保護具粉じんが発生する場合、必要に応じて保護マスクや呼吸用保護具を着用する。
手の保護具手に接触する恐れがある場合、保護手袋を着用する。
眼の保護具眼に入る恐れがある場合、保護眼鏡やゴーグルを着用する。
皮膚及び身体の保護具必要に応じて保護衣、保護エプロン等を着用する。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体
明るいベージュ色
臭い芳香性がある
融点/凝固点220.9〜222.2 ℃ (HSDB in PubChem (2024))
沸点、初留点及び沸騰範囲データなし
可燃性データなし
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界データなし
引火点データなし
自然発火点データなし
分解温度データなし
pHデータなし
動粘性率データなし
溶解度水:510 mg/L (20℃、pH3.1) (HSDB in PubChem (2024))
水:100 g/L (20℃、pH9) (HSDB in PubChem (2024))
N,N-ジメチルホルムアミド:11.4〜13.3 g/100 mL (20℃) (HSDB in PubChem (2024))
n-オクタノール/水分配係数log Kow:-0.81 (pH4) (HSDB in PubChem (2024))
log Kow:-1.52 (pH7) (HSDB in PubChem (2024))
log Kow:-2.34 (pH9) (HSDB in PubChem (2024))
蒸気圧7.5006×10-13 mmHg (20℃) (HSDB in PubChem (2024))
密度及び/又は相対密度1.13 g/cm3 (20℃) (HSDB in PubChem (2024))
相対ガス密度データなし
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性通常の取扱い条件下では安定である。
化学的安定性通常の取扱い条件下では安定である。
危険有害反応可能性通常の取扱い条件下では危険有害反応を起こさない。
避けるべき条件直射日光を避け、冷暗所に保管する。
混触危険物質酸化剤、還元剤等
危険有害な分解生成物火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。

11.有害性情報
急性毒性
経口(1)、(2)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ラット(雌)のLD50:> 2,000 mg/kg(GLP)(農薬抄録 (2013))
(2)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(GLP)(農薬抄録 (2013))
経皮(1)、(2)の2件の試験結果より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(GLP)(農薬抄録 (2013))
(2)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(GLP)(農薬抄録 (2013))
吸入: ガスGHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト(1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ラットのLC50(4時間):> 5.05 mg/L(GLP)(農薬抄録 (2013))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性(1)、(2)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(GLP、半閉塞、4時間適用、3日観察)において、パッチ除去後24時間後に2例で軽度の紅斑がみられたが、皮膚反応はすべて72時間以内に消失した(紅斑・痂皮スコア:0.7/0.3/0、浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(農薬抄録 (2013))。
(2)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(GLP、半閉塞、4時間適用、3日観察)において、パッチ除去後1時間後に2例で軽度の紅斑がみられたが、皮膚反応はすべて72時間以内に消失した(紅斑・痂皮スコア:0/0/0.7、浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(農薬抄録 (2013))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性(1)、(2)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験(GLP、7日観察)において、全例で72時間後まで強膜血管の充血が限局性および環状に認められた。1匹は72時間以内に、2匹は7日以内に反応は消失した(角膜混濁スコア:0/0/0、虹彩炎スコア:0/0/0、結膜発赤スコア:1.3/2/1、結膜浮腫スコア:0/0.3/0)との報告がある(農薬抄録 (2013))。
(2)ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験(GLP、7日観察)において、24時間後に全例で中等度の結膜発赤、2例で軽度の結膜浮腫がみられたが、眼の反応は7日以内に消失した(角膜混濁スコア:0/0/0、虹彩炎スコア:0/0/0、結膜発赤スコア:1.3/1.7/1.7、結膜浮腫スコア:0.7/0.7/0.3)との報告がある(農薬抄録 (2013))。
呼吸器感作性データ不足のため分類できない。
皮膚感作性(1)、(2)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)モルモット(n=20)を用いたMaximisation試験(GLP、皮内投与:5%溶液)において、惹起後24、48時間後の陽性率はともに0%(0/20例)であったとの報告がある(農薬抄録 (2013))。
(2)モルモット(n=20)を用いたMaximisation試験(GLP、皮内投与:5%溶液)において、惹起後24、48時間後の陽性率はともに0%(0/20例)であったとの報告がある(農薬抄録 (2013))。
生殖細胞変異原性(1)〜(5)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)マウスの骨髄を用いた小核試験において、陰性との報告がある(農薬抄録 (2013))。
(2)細菌復帰突然変異試験(GLP)において、4件中1件で弱陽性、他3件で陰性との報告がある(農薬抄録 (2013))。
(3)チャイニーズハムスター肺由来細胞(V79)を用いた染色体異常試験(GLP)において、2件のうち1件が陽性(S9+)、他1件が弱陽性(S9+)との報告がある(農薬抄録 (2013))。
(4)チャイニーズハムスター卵巣由来細胞を用いた遺伝子突然変異試験(GLP)において、陰性との報告がある(農薬抄録 (2013))。
(5) In vitro、in vivo試験での十分な試験結果に基づき、本物質は遺伝毒性のポテンシャルを有しないと考えられる(Australian Pesticides and Veterinary Medicines Authority (2019))。
発がん性(1)〜(4)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)国内外の既存分類としては、EPAでNL(Not Like to be Carcinogenic to Humans)に分類された(EPA Annual Cancer Report 2018 (Accessed September 2020):2005年分類)。
(2)ラットを用いた2年間混餌投与による慢性毒性/発がん性併合試験において、最高用量(6,000 ppm)の雌雄で甲状腺濾胞上皮細胞腺腫の発生増加が認められた(農薬抄録 (2013))。
(3)マウスを用いた18か月間混餌投与による発がん性試験では、検体投与に関連して腫瘍発生率が増加した腫瘍はなく、発がん性は認められなかった(農薬抄録 (2013))。
(4)オ―ストラリア政府による報告によれば、本物質の甲状腺機能を調べた試験結果はTSHを介した腫瘍誘発の作用機構の証明(血清T4レベルの減少と血清TSHレベルの上昇)は明確な結論を出せなかった。甲状腺ホルモンレベルの変化の結果により生じる甲状腺腫瘍は概してヒトにも当てはまるとは考えられていない。本物質はヒトに対して発がん性のリスクを生じることはまずないと考えられると述べられている(Australian Pesticides and Veterinary Medicines Authority (2019))。
生殖毒性(1)〜(5)より、区分1Bとした。なお、(1)、(2)でウサギの児動物にみられた母動物毒性がみられない用量での内臓奇形(片側性の腎臓/尿管欠損)や骨格奇形の発生頻度増加には用量相関はなかったが、(3)のEFSAでの評価では当該影響を催奇形性と判断している。また、(4)ではウサギに母動物毒性がみられない用量で骨格変異がみられ、(5)のEPAでの評価では、本物質の母動物のばく露による児動物への神経発達毒性の懸念が示唆されている。
【根拠データ】
(1)ウサギを用いた強制経口投与による発生毒性試験(GLP、妊娠7〜28日)において、親動物に一般毒性がみられなかった用量で児動物に胎児体重の低値、片側性の腎臓/尿管欠損、骨格奇形(短肋骨の頻度増加:用量相関なし)、骨格変異(過剰胸骨・過剰肋骨)がみられたとの報告がある(農薬抄録 (2013))。
(2)ウサギを用いた強制経口投与による発生毒性試験(GLP、妊娠7〜28日)において、親動物に一般毒性がみられなかった用量で児動物に片側性の腎臓/尿管欠損がみられたとの報告がある。なお、奇形の発生頻度は低用量で最も高く、高用量で最も低かった(農薬抄録 (2013))。
(3)ラットを用いた二世代繁殖試験において、親動物の一般毒性発現用量で同腹児死亡の増加及び母動物の哺育能低下がみられた。マウスを用いた三世代繁殖毒性では繁殖毒性も児動物毒性もみられなかった。発生毒性はラット、マウス及びウサギで広範に検討された。マウスでは発生影響はみられず、ラットでは明らかな母体毒性がない用量で骨格変異の増加がみられた。一方、ウサギでは母動物毒性を生じない低用量で重大な奇形(腎臓/尿管の片側性無発生)の発生がみられた。この影響から本物質は発生毒性カテゴリー1Bに分類されるべきと考えられた(EFSA (2014))。
(4)ウサギを用いた強制経口投与による発生毒性試験(GLP、妊娠6〜28日)において、親動物に一般毒性がみられなかった5 mg/kg/dayで児動物に過剰肋骨、胸椎骨数の増加・腰椎骨数の減少等の骨格変異がみられたとの報告がある(農薬抄録 (2013))。
(5)EPAの評価では、本物質はラットを用いた発達神経毒性試験において、限られた母体毒性(角膜混濁)の発現用量で児動物に神経行動学的及び神経病理学的な変化が観察されたとして、本物質は母親のばく露により次世代への神経発達毒性の懸念があると示唆している(US Federal Register (2017))。
【参考データ等】
(6)ラットを用いた混餌投与による二世代生殖毒性試験(GLP)において、親動物に一般毒性影響(体重低下、眼・腎臓への影響等)がみられる用量で、死亡児数の増加、出生児に眼の異常や腎臓・脾臓重量の減少、体重低値等がみられたとの報告がある(農薬抄録 (2013))。
(7)マウスを用いた混餌投与による三世代繁殖試験(GLP)において、生殖毒性はみられなかったとの報告がある(農薬抄録 (2013))。
(8)ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(GLP、妊娠6〜19日)において、親動物に一般毒性がみられなかった用量で児動物に過剰肋骨・骨格変異の増加、胎児重量の低値がみられたとの報告がある(農薬抄録 (2013))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)(1)〜(6)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ラット(雌)を用いた単回経口投与試験(GLP)において、2,000 mg/kg(区分2の範囲)で症状はみられず、剖検所見では生存動物に異常はみられなかったとの報告がある(農薬抄録 (2013))。
(2)ラットを用いた単回経口投与試験(GLP)において、2,000 mg/kg(区分2の範囲)で症状はみられず、剖検所見では雌雄いずれの生存動物も異常はみられなかったとの報告がある(農薬抄録 (2013))。
(3)ラットを用いた経口投与による急性神経毒性試験(GLP)において、2,000 mg/kg/day(区分2の範囲)で全身毒性及び神経毒性はみられなかったとの報告がある(農薬抄録 (2013))。
(4)ラットを用いた単回経皮投与試験(GLP)において、2,000 mg/kg(区分2の範囲)で雌雄ともに全身性の症状は発現しなかったが、適用部位に紅斑がみられたとの報告がある(農薬抄録 (2013))。
(5)別のラットを用いた単回経皮投与試験(GLP)において、2,000 mg/kg(区分2の範囲)で雌雄ともに全身性の症状は発現しなかったが、投与1日後に雌動物1例の適用部位に非常に軽度の紅斑がみられたとの報告がある(農薬抄録 (2013))。
(6)ラットを用いた単回吸入(粉じん)ばく露試験(4時間、GLP)において、5.05 mg/L(区分に該当しない範囲)で雌雄ともにばく露後に呼吸亢進、うずくまり姿勢、立毛、被毛の汚れがみられたとの報告がある(農薬抄録 (2013))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)(1)〜(4)より、標的臓器は視覚器、甲状腺、膵臓と考えられ、区分1の用量範囲で影響がみられることから区分1(視覚器、甲状腺、膵臓)とした。
【根拠データ】
(1)ラットを用いた混餌投与による90日間反復経口投与試験(GLP)において、60 ppm以上(4.2 mg/kg/day(雄)、5.0 mg/kg/day(雌)、区分1の範囲)で眼影響(角膜の混濁、水晶体の線条痕、血管新生など)、膵臓影響(外分泌部のび漫性変性)及び甲状腺影響(濾胞内の薄片状コロイド)がみられ、600 ppm以上(43.8 mg/kg/day(雄)、50.9 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で慢性角膜炎がみられたとの報告がある(農薬抄録 (2013))。
(2)ラットを用いた混餌投与による90日間反復経口投与試験(GLP)において、15 ppm(1.1 mg/kg/day(雄)、1.3 mg/kg/day(雌)、区分1の範囲)で甲状腺濾胞細胞内薄片状コロイド(雄)、肝相対重量増加(雄)がみられ、30 ppm(2.1 mg/kg/day(雄)、2.5 mg/kg/day(雌)、区分1の範囲)で膵外分泌部び漫性変性、肝相対重量増加(雌)がみられたとの報告がある(農薬抄録 (2013))。
(3)ラットを用いた混餌投与による1年間慢性毒性/がん原性併合試験(GLP)において、60 ppm(3.9 mg/kg/day(雄)、5.3 mg/kg/day(雌)、区分1の範囲)で眼影響(角膜混濁・パンヌス・慢性角膜炎)、甲状腺影響(濾胞上皮細胞肥大の増加・限局性濾胞上皮細胞過形成(雄))がみられ、600 ppm(42.0 mg/kg/day(雄)、53.2 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で膵臓び漫性腺房細胞変性の増加(雄)、甲状腺限局性濾胞上皮細胞過形成(雌)がみられたとの報告がある(農薬抄録 (2013))。
(4)ラットを用いた混餌投与による2年間慢性毒性/発がん性併合試験(GLP)において、60 ppm(3.6 mg/kg/day(雄)、4.7 mg/kg/day(雌)、区分1の範囲)で眼影響(角膜混濁・慢性角膜炎)、膵臓のび漫性病変、甲状腺影響(び漫性濾胞上皮細胞肥大(雄)、限局性濾胞上皮細胞過形成(雌))がみられ、600 ppm以上(36.4 mg/kg/day(雄)、50.8 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で甲状腺限局性濾胞上皮細胞過形成(雄)がみられたとの報告がある(農薬抄録 (2013))。
【参考データ等】
(5)マウスを用いた混餌投与による90日間反復経口投与試験(GLP)において、1,000 ppm以上(288.0 mg/kg/day(雄)、406.0 mg/kg/day(雌)、区分に該当しない範囲)で肝臓相対重量増加(雌)がみられたとの報告がある(農薬抄録 (2013))。
(6)イヌを用いた混餌投与による90日間反復経口投与試験(GLP)において、25,000 ppm(535 mg/kg/day(雄)、624 mg/kg/day(雌)、区分に該当しない範囲)で淡褐色便、赤褐色変色尿(雄2例)、摂餌効率低下・体重増加量の減少(雄)がみられたとの報告がある(農薬抄録 (2013))。
(7)イヌを用いた混餌投与による1年間慢性毒性試験(GLP)において、雄の3,000 ppm及び雌の2,800 ppm以上(81mg/kg/day(雄)、92 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で腎臓絶対重量増加(雄)がみられ、雄の9,000 ppm及び雌の7,800 ppm以上(248 mg/kg/day(雄)、雌:287 mg/kg/day(雌)、区分に該当しない範囲)で膀胱粘膜の出血・膀胱炎、化膿性/壊死性腎盂腎炎・腎皮質化膿性炎症・腎髄質内帯壊死病変など腎臓と膀胱の重度病変がみられたとの報告がある(農薬抄録 (2013))。
(8)イヌを用いた混餌投与による1年間慢性毒性試験(GLP)において、500 ppm(15.3 mg/kg/day(雄)、15.4 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で特定の標的臓器毒性はみられなかったとの報告がある(農薬抄録 (2013))。
(9)マウスを用いた混餌投与による18ヵ月間慢性毒性/がん原性併合試験(GLP)において、80 ppm(19 mg/kg/day(雄)、26 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で腎臓相対重量増加、肝臓相対重量増加(雄)がみられ、800 ppm(194 mg/kg/day(雄)、256 mg/kg/day(雌)、区分に該当しない範囲)で精巣・精巣上体相対重量増加・小葉中心性肝細胞肥大(雄)、肝臓相対重量増加(雌)がみられたとの報告がある(農薬抄録 (2013))。

誤えん有害性*データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)藻類(ムレミカヅキモ)72時間ErC50 = 75.6 mg a.i./L(水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準の設定に関する資料, 2013)であることから、区分3とした。(a.i.: active ingredient)
水生環境有害性 長期(慢性)慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、藻類(ムレミカヅキモ)の72時間NOErC = 5.12 mg a.i./L(水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準の設定に関する資料, 2013)から、区分に該当しないとなる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階(甲殻類、魚類)に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく、甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 > 95.8 mg a.i./L、魚類(コイ)の96時間LC50 > 99.7 mg a.i./L(いずれも限度試験, 水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準の設定に関する資料, 2013)であり、難水溶性ではない(水溶解度=510 mg/L(農薬抄録, 2013))ことから、区分に該当しないとなる。
以上の結果から、区分に該当しないとした。(a.i.: active ingredient)
残留性・分解性情報なし
生態蓄積性情報なし
土壌中の移動性情報なし
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。


14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号該当しない
品名(国連輸送名)該当しない
国連分類該当しない
副次危険該当しない
容器等級該当しない
海洋汚染物質該当しない
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報該当しない
航空規制情報該当しない
陸上規制情報該当しない
特別な安全上の対策該当しない
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*-
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法-
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)第二種指定化学物質(法第2条第3項、施行令第2条別表第2) 【54 [3−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−4−メシル−2−メチルフェニル](5−ヒドロキシ−1−メチルピラゾール−4−イル)メタノン】
毒物及び劇物取締法-

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・2024 Emengency Response Guidebook
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」