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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
ベンゾ[j]フルオランテン
作成日 2008年3月31日
改訂日 2023年3月31日
1.化学品及び会社情報
化学品の名称ベンゾ[j]フルオランテン
化学品の英語名称Benzo[j]fluoranthene
製品コードR04-C-028-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
R5.3.31、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver2.1))を使用 ※一部、マニュアル(H18.2.10 版)/技術上の指針(H17.12.6版)(GHS 初版)
物理化学的危険性-
健康に対する有害性発がん性区分1B
分類実施日
(環境有害性)
マニュアル(H18.2.10 版)/技術上の指針(H17.12.6版)(GHS 初版)
環境に対する有害性水生環境有害性 短期(急性)区分1
水生環境有害性 長期(慢性)区分1
GHSラベル要素
絵表示健康有害性環境
注意喚起語危険
危険有害性情報発がんのおそれ
水生生物に非常に強い毒性
長期継続的影響により水生生物に非常に強い毒性
注意書き
 安全対策使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
環境への放出を避けること。
 応急措置ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
漏出物を回収すること。
 保管施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名ベンゾ[j]フルオランテン
慣用名又は別名情報なし
英語名Benzo[j]fluoranthene
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C20H12 (252.3)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号205-82-3
官報公示整理番号(化審法)情報なし
官報公示整理番号(安衛法)情報なし
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)情報なし

4.応急措置
吸入した場合新鮮な空気のある場所に移動させる。呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
皮膚に付着した場合汚染された衣服を脱がせる。皮膚に付着した部分を流水と石鹸で十分に洗浄する。アルコール、ガソリン、その他の溶剤は絶対に使用しない。医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
眼に入った場合流水で10分間洗浄する。医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
飲み込んだ場合口をすすぐ。大さじ3杯の炭をコップ1杯の水に混ぜて飲ませる。食用油、ひまし油、牛乳またはアルコールは使用しない。無理に吐かせない。医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入:肺に刺激や炎症。
皮膚:皮膚に刺激や炎症。
以上、PubChem参照。
応急措置をする者の保護に必要な注意事項情報なし
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤粉末消火薬剤、泡消火薬剤、二酸化炭素
以上、GESTIS参照。
使ってはならない消火剤情報なし
火災時の特有の危険有害性火災の場合、有害物質が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。
特有の消火方法周囲の容器を水スプレーで冷却する。可能であれば、容器を危険区域外に持ち出す。加熱により圧力が上昇し破裂する恐れがある。着火源となるものを遮断する。
以上、GESTIS参照。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置周囲に注意喚起し、避難させる。漏出区域に入るときは保護具を着用すること。
以上、GESTIS参照。
環境に対する注意事項水域に対する危険性は大きい。地面や河川、下水への流出を避ける。少量でも流出した場合は、自治体に連絡する。
以上、GESTIS参照。
封じ込め及び浄化の方法及び機材粉じんが発生しないように回収する。その後、換気し漏出個所を洗浄する。
以上、GESTIS参照。
二次災害の防止策情報なし

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱注意事項容器を開けたままにしない。こぼれないようにする。粉じんの発生を避ける。いかなる接触も避ける。使用前に取扱説明書を入手する。すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わない。
以上、GESTIS、GHS分類結果参照。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策皮膚への接触を避ける。接触した場合は洗浄する。粉じんの吸入を避ける。汚染された衣服は慎重に交換、洗浄しなければならない。休憩前や作業終了時には石鹸と水で皮膚を洗い、洗浄後は脂肪分の多いスキンケア製品を塗布する。使用するときには飲食、喫煙をしないこと。
以上、GESTIS参照。
保管
安全な保管条件施錠して保管するか、権限のある者のみが管理する。容器を密閉して涼しくて乾燥した換気の良い場所に保管すること。
以上、GESTIS参照。
安全な容器包装材料国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度未設定
許容濃度等
日本産衛学会(2022年版)第3種粉じん: その他の無機及び有機粉じん*
吸入性粉じん: 2 mg/m3
総粉じん: 8 mg/m3
* 多量の粉じんの吸入によるじん肺を予防する観点から、この値以下とすることが望ましいとされる濃度。
ACGIH(2022年版)PNOS* TLV: 3 mg/m3 (Respirable particles)
PNOS* TLV: 10 mg/m3 (Inhalable particles)
* Particles (insoluble or poorly soluble) Not Otherwise Specified
設備対策作業場所には適切な局所排気装置等を設置する。排出された空気は作業場所に戻さない。取り扱い場所の近くに洗浄のための設備を設けること。床に排水溝を設けないこと。
以上、GESTIS参照。
保護具
呼吸用保護具緊急時(例:意図しない物質の放出)には、呼吸保護具を着用する。
作業者が粉じんにばく露される場合は呼吸保護具(防じんマスク等)の着用を検討する。
防じんマスクの選択については、以下の点に留意する。
-酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。また、有害なガスが存在する場所においては防じんマスクを使用せず、その他の呼吸用保護具の利用を検討すること。
-防じんマスクは、日本工業規格(JIS T8151)に適合した、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。
以上、GESTIS参照。
手の保護具保護手袋を着用する。ニトリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴムが適している。4時間未満ではクロロプレン、2時間未満ならPVCも可。
以上、GESTIS参照。
眼の保護具サイドガード付きの保護眼鏡を着用する。
以上、GESTIS参照。
皮膚及び身体の保護具必要に応じて適切な保護衣または化学防護服を着用する。
以上、GESTIS参照。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
黄色〜オレンジ色
臭いデータなし
融点/凝固点166 ℃(GESTIS(2022), Pubchem(2022))
沸点、初留点及び沸騰範囲データなし
可燃性データなし
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界データなし
引火点データなし
自然発火点データなし
分解温度データなし
pHデータなし
動粘性率データなし
溶解度水: 2.5X10-9 mg/L(HSDB in PubChem(2022))
n-オクタノール/水分配係数データなし
蒸気圧0.00000003 mmHg(HSDB in PubChem(2022))
密度及び/又は相対密度データなし
相対ガス密度データなし
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性情報なし
危険有害反応可能性火災の場合、有害物質が放出される可能性があります。
避けるべき条件情報なし
混触危険物質硝酸アンモニウムおよび硝酸アンモニウムを含む製剤
危険有害な分解生成物情報なし

11.有害性情報
急性毒性
経口データなし。
経皮データなし。
吸入: ガスGHSの定義による固体であり、分類対象外とした。
吸入: 蒸気データなし。
吸入: 粉じん及びミストデータなし。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性刺激性を持つ可能性が有ると記載されているが(HSFS, 2002)、根拠等の詳細は不明であり、データ不足により分類できない。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性刺激性を持つ可能性が有ると記載されているが(HSFS, 2002)、根拠等の詳細は不明であり、データ不足により分類できない。
呼吸器感作性データなし。
皮膚感作性データなし。
生殖細胞変異原性Ames試験およびin vivoDNA付加体試験で陽性(EHC 202, 1998)とされるが、他のin vivo知見がなくデータ不足で分類できない。
発がん性【分類根拠】
1)〜(3)より、実験動物で発がん性の十分な証拠があること、(3)、(4)より作用機序からヒトへの妥当性が高いと判断されることから、区分1Bとした。新たな情報源を追加・精査し分類結果を見直した(2022年度)。

【根拠データ】
(1)雌マウスを用いた2つの生涯経皮投与試験(3回/週)において、7か月後までに0.1及び0.5%投与群では11/20例及び20例全例が死亡した。皮膚乳頭腫(70及び95%)及び皮膚がん(100及び95%)の発生が認められた(IARC 32 (1983))。また、雌マウスを用いた生涯経皮投与試験(2回/週)において、3.4〜9.2μg/0.02 mL投与群で、低頻度であるが全体で4例に皮膚腫瘍(肉腫、腫瘍(NOS)、乳頭腫、がん:各1/30例)が認められた(IARC 92 (2010))。
(2)マウスを用いたTPAをプロモーターとした経皮投与による複数の二段階発がん性試験において、皮膚乳頭腫の発生率増加が認められ、本物質のイニシエーター作用が示されたとする報告、新生児マウスを用いた腹腔内投与試験で肺腫瘍及び/又は肝臓腫瘍を認めたとの報告(5)、及び雌ラットの肺内投与後に用量相関的な肺の扁平上皮がんを認めたとの報告(5)がある(IARC 92 (2010))。
(3)本物質は(6)〜(8)に記述のとおり、代謝活性化により少なくとも2種のジオールエポキシド体を形成しDNA付加体を形成するとともに、代謝物が変異原性及び発がんイニシエーター活性、及び発がん性を示すことが明らかにされている(IARC 92 (2010))。
(4)国内外の評価機関による既存分類では、IARCでグループ2B (IARC 92 (2010))、NTPでR(NTP RoC 15th (2021))、日本産業衛生学会で第2群B(産衛学会 許容濃度の勧告等(2022))、EUでCarc. 1B(CLP分類結果 (Accessed 2023))、DFGでCat. 2(List of MAK and BAT values (2021))に分類されている。

【参考データ等】
(5)雌雄新生児マウスを用いた腹腔内投与試験(1.1μmol、生後1、8及び15日の3回)で52週後に肺腫瘍(腺腫)が雄で52.3%、雌で22.2%、肝臓腫瘍(ヘパトーマ)が雄で52.3%の発生率で認められた。一方、雌ラットの肺内投与試験(0.2〜5.0 mg、1回)では、肺の扁平上皮がん発生率が用量相関的に増加し、高用量群では51.4%に認められた(IARC 92 (2010))。
(6)本物質を酵素誘導したラット肝ミクロソームとのin vitro培養後に2つのジオール代謝物が検出され、1つは9,10-ジオール体と同定された。また、マウスに経皮投与後に主代謝物として、9,10-ジオール体と4,5-ジオール体の産生が認められた(IARC 92 (2010))。
(7)本物質、代謝物の4,5-ジオール体及び9,10-ジオール体のいずれも代謝活性化系の存在下でネズミチフス菌TA, TA98及びTA100に対し変異原性を示した。また、両代謝物ともマウスの表皮でジオールエポキシド体としてDNA付加体を形成する(IARC 92 (2010))。
(8)両代謝物ともマウスを用いた経皮投与による2段階発がん性試験で、イニシエーション作用が認められており、新生児マウスに腹腔内投与(生後1、8及び15日の3回)した試験で、1年後に雌雄ともに肺腫瘍(細気管支-肺胞がん)及び肝臓腫瘍(4,5-ジオール体投与群の雌を除く)の用量相関的な発生率の増加が認められた(IARC 92 (2010))。
(9)EUでは本物質はSVHC物質として指定され、制限物質にリストされている(EU REACH Restriction (2021))。
生殖毒性データなし。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)データなし。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)データなし。
誤えん有害性*データなし。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)甲殻類(オオミジンコ)の48-hEC50が0.0023 mg/L(環境省 2003)であることから区分急性1とした。
水生環境有害性 長期(慢性)急性区分1であり、急速分解性が無い(BIOWIN 2007)、logPow=6.11(SRC 2005)こと及びNOEC:<1mg/Lから、区分慢性1とした。
残留性・分解性情報なし
生態蓄積性情報なし
土壌中の移動性情報なし
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号3077
品名(国連輸送名)環境有害性物質(固体)、n.o.s.
国連分類9
副次危険-
容器等級V
海洋汚染物質該当
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報該当しない
特別な安全上の対策該当しない
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*171
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法労働安全衛生法に基づくラベル表示・SDS交付の義務化候補物質リスト(令和5年)
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)該当しない
毒物及び劇物取締法該当しない
大気汚染防止法有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申)
船舶安全法有害性物質(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法有害性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1)

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
R5.3.31: 発がん性項目を見直した。