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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
1−メチル−N−[2−(4−メチルペンタン−2−イル)−3−チエニル]−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(別名ペンチオピラド)
作成日 2025年3月14日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称1−メチル−N−[2−(4−メチルペンタン−2−イル)−3−チエニル]−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(別名ペンチオピラド)
化学品の英語名称1-methyl-N-[2-(4-methylpentan-2-yl)thiophen-3-yl]-3-(trifluoromethyl)pyrazole-4-carboxamide
製品コードR06-S70-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限情報なし

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
令和2年度(2020年度)、ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
物理化学的危険性-
健康に対する有害性発がん性区分2
生殖毒性区分2
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)区分2(神経系)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)区分2(肝臓)
分類実施日
(環境有害性)
令和2年度(2020年度)、ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
環境に対する有害性水生環境有害性 短期(急性)区分1
水生環境有害性 長期(慢性)区分1

GHSラベル要素
絵表示健康有害性環境
注意喚起語警告
危険有害性情報発がんのおそれの疑い
生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い
神経系の障害のおそれ
長期にわたる、又は反復ばく露による肝臓の障害のおそれ
水生生物に非常に強い毒性
長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性
注意書き
 安全対策使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
環境への放出を避けること。
 応急措置ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
気分が悪いときは,医師の診察/手当てを受けること。
漏出物を回収すること。
 保管施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名1−メチル−N−[2−(4−メチルペンタン−2−イル)−3−チエニル]−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
慣用名又は別名ペンチオピラド
英語名1-methyl-N-[2-(4-methylpentan-2-yl)thiophen-3-yl]-3-(trifluoromethyl)pyrazole-4-carboxamide
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C16H20F3N3OS (359.4)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号183675-82-3
官報公示整理番号
(化審法)
-
官報公示整理番号
(安衛法)
8-(2)-2246
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)-

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
症状が続く場合には、医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合大量の水で洗うこと。症状が続く場合には、医師に連絡すること。
眼に入った場合水で15〜20分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。症状が続く場合には、医師に連絡すること。
飲み込んだ場合水で口をすすぎ、直ちに医師の診断を受けること
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状情報なし
応急措置をする者の保護に必要な注意事項救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、粉末消火剤、泡消火剤、二酸化炭素を使用する。
使ってはならない消火剤火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。
特有の危険有害性一般的な注意として、粉末状物質の場合は、ある条件下では粉じん爆発を起こす可能性がある。
特有の消火方法火元への燃焼源を断ち、消火剤を使用して消火する。
延焼の恐れのないよう水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。
消火活動は風上から行う。
火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。
危険でなければ火災区域から容器を移動する。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服(耐熱性)を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
関係者以外の立ち入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
環境に対する注意事項環境への放出を避けること。
周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材漏出物を回収すること。
飛散した物を掃き集めるか、真空掃除機で吸引する等できるだけ飛散発じんしないようにして、空容器等に回収する。
二次災害の防止策情報なし

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
粉じんを発生させないようにする。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
保管
安全な保管条件施錠して保管すること。
保管場所には危険・有害物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な照明及び換気の設備を設ける。
安全な容器包装材料国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度-
濃度基準値
八時間濃度基準値-
短時間濃度基準値-
許容濃度
日本産衛学会 (2024年度版)(吸入性粉じん)2 mg/m3
(総粉じん)8 mg/m3
(第3種粉じん)
ACGIH (2024年版)PNOS* TLV: 3 mg/m3 (Respirable particles)
PNOS* TLV: 10 mg/m3 (Inhalable particles)
* Particles (insoluble or poorly soluble) Not Otherwise Specified
設備対策粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。
保護具
呼吸用保護具粉じんが発生する場合、必要に応じて保護マスクや呼吸用保護具を着用する。
手の保護具手に接触する恐れがある場合、保護手袋を着用する。
眼の保護具眼に入る恐れがある場合、保護眼鏡やゴーグルを着用する。
皮膚及び身体の保護具必要に応じて保護衣、保護エプロン等を着用する。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体
白色
臭い無臭
融点/凝固点108.7±0.2 ℃(農薬抄録 (2013))
沸点、初留点及び沸騰範囲測定不能 233℃で分解(農薬抄録 (2013))
可燃性データなし
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界データなし
引火点データなし
自然発火点データなし
分解温度233 ℃(農薬抄録 (2013))
pHデータなし
動粘性率データなし
溶解度水:1.375 mg/L (20℃) (GESTIS (2024))
水:7.53 mg/L (20℃) (農薬抄録 (2013))
ヘキサン:0.75 g/L (20℃) (農薬抄録 (2013))
ヘプタン:0.74 g/L (20℃) (農薬抄録 (2013))
キシレン:42.7 g/L (20℃) (農薬抄録 (2013))
トルエン:67.0 g/L (20℃) (農薬抄録 (2013))
ジクロロメタン:531 g/L (20℃) (農薬抄録 (2013))
アセトン:557 g/L (20℃) (農薬抄録 (2013))
メタノール:402 g/L (20℃) (農薬抄録 (2013))
エタノール:235 g/L (20℃) (農薬抄録 (2013))
酢酸エチル:349 g/L (20℃) (農薬抄録 (2013))
n-オクタノール/水分配係数log Kow:3.9(GESTIS (2024))
log Pow:3.2(24℃)(農薬抄録 (2013))
蒸気圧6.43×10-6 Pa(25℃換算)(農薬抄録 (2013))
密度及び/又は相対密度1.273 g/cm3 (20.0℃) (農薬抄録 (2013))
相対ガス密度データなし
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性通常の取扱い条件下では安定である。
化学的安定性通常の取扱い条件下では安定である。
危険有害反応可能性通常の取扱い条件下では危険有害反応を起こさない。
避けるべき条件直射日光を避け、冷暗所に保管する。
混触危険物質酸化剤、還元剤等
危険有害な分解生成物火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。

11.有害性情報
急性毒性
経口(1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(OECD TG 423、GLP)(食安委 農薬評価書 (2019)、CLH Report (2015))
経皮(1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(OECD TG 402、GLP)(食安委 農薬評価書 (2019)、CLH Report (2015))
吸入: ガスGHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト(1)、(2)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ラットのLC50(4時間):> 5.67 mg/L (GLP)(食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2013))
(2)ラットのLC50(4時間):> 5.59 mg/L (OECD TG 403、GLP)(CLH Report (2015))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性(1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、閉塞、4時間適用、72時間観察)において、全例で刺激性変化はみられなかった(紅斑・痂皮スコア:0/0/0、浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、ECHA RAC Opinion (2015)、CLH Report (2015)、農薬抄録 (2013))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性(1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、72時間観察)において、非洗眼群3例で適用1時間後に結膜発赤及び結膜浮腫がみられたが、48時間以内に完全に回復した(非洗眼群3例の角膜混濁スコアの平均:0、虹彩炎スコアの平均:0、結膜発赤スコアの平均:0.2、結膜浮腫スコアの平均:0.2)との報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、ECHA RAC Opinion (2015)、CLH Report (2015)、農薬抄録 (2013))。
呼吸器感作性データ不足のため分類できない。
皮膚感作性(1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)モルモット(n=20)を用いたMaximisation試験(OECD TG 406、GLP、皮内投与:5%懸濁液)において、パッチ除去24、48時間後の陽性率はともに0%(0/20例)であったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、ECHA RAC Opinion (2015)、CLH Report (2015)、農薬抄録 (2013))。
生殖細胞変異原性(1)〜(5)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)マウスの骨髄細胞を用いた小核試験(2回経口投与)において陰性の報告がある(食安委 農薬評価書 (2019) 、農薬抄録 (2013)、CLH Report (2015))。
(2)In vivo/in vitro試験系のラット肝細胞を用いた不定期DNA合成試験において陰性の報告がある(食安委 農薬評価書 (2019) 、CLH Report (2015))。
(3)細菌復帰突然変異試験(GLP)において陰性の報告がある(食安委 農薬評価書 (2019) 、農薬抄録 (2013)、CLH Report (2015)))。
(4)チャイニーズハムスターの肺線維芽細胞を用いた染色体異常試験(GLP)で陽性(+S9)の報告がある(食安委 農薬評価書 (2019) 、農薬抄録 (2013)、CLH Report (2015)))。
(5)マウスリンフォーマ細胞を用いた遺伝子突然変異試験(OECD TG 475、GLP)で陰性の報告がある(食安委 農薬評価書 (2019) 、CLH Report (2015)))。
発がん性(1)〜(4)より、区分2とした。
【根拠データ】
(1)国内外の分類機関による既存分類としては、EPAでS(Suggestive Evidence of Carcinogenic Potential)に分類されている(EPA Annual Cancer Report (2019):2011年分類)。
(2)ラットを用いた混餌投与による2年間発がん性試験において、腫瘍性病変として250 mg/kg/day群の最終と殺動物の雄に甲状腺ろ胞細胞腺腫の発生頻度の有意な増加が認められた。同投与群の雄の全動物における発生頻度(18.4%)には統計学的有意差はなく、前がん病変の増加も観察されなかったが、試験実施施設における雄のWistar ラットの背景データ(ろ胞細胞腺腫:0%〜14.3%、ろ胞細胞癌:0%〜6%)を上回っていることから、検体投与の影響と考えられた(食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2013))。
(3)マウスを用いた混餌投与による18カ月間発がん性試験において、腫瘍性病変として200 mg/kg/day以上の投与群の雄に肝細胞腺腫の発生頻度の増加が認められた(同上)。
(4)EPAは雄マウスでみられた肝臓腫瘍の頻度増加は投与に関連した影響と判断し、「S」に分類した。一方、雄ラットにみられた甲状腺腫瘍は投与に関連した変化ではないと考えられた(US Federal Register Vol. 84, No. 109 (2019))。
【参考データ等】
(5)ラットの2年間発がん性試験において認められた甲状腺ろ胞上皮腺腫は、本物質投与により肝臓中の薬物代謝酵素UDPGT 活性が亢進し、血清中T4 が低下し、ネガティブフィードバック機構によりTSH 分泌が持続的に亢進した結果、誘発されたものと考えられた。甲状腺へのホルモンへの影響には回復性が示された(食安委 農薬評価書 (2019)、CLH Report (2015))。
(6)EUでは雄マウスの肝細胞腺腫の発生頻度は最新のヒストリカコントロールの範囲内である、また、ラットの甲状腺腫瘍は(5)で示した作用機序によるもので、甲状腺ホルモンの恒常性かく乱作用に対してヒトはげっ歯類に比べ感受性は低く、この機序による腫瘍発生はヒトには当てはまらないとした。したがって、CLP分類では「区分に該当しない」として提案され、RACはこれに同意した(CLH Report (2015)、RAC opinion (2015))。
生殖毒性(1)〜(4)より、区分2とした。なお、(2)では軽微な母体毒性がみられる用量で児動物に着床後胚・胎児死亡数の増加等がみられている。
【根拠データ】
(1)ラットを用いた混餌投与による二世代生殖毒性試験(GLP)において、親動物に一般毒性影響(肝臓、甲状腺、副腎への影響)がみられる用量で、児動物に低体重(F1及びF2)、包皮分離遅延(F1雄)がみられた。なお、繁殖能に対する影響は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2013)、CLH Report (2015))。
(2)ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(GLP、妊娠6〜19日)において、親動物に一般毒性影響(体重増加抑制、摂餌量減少、妊娠子宮重量減少)がみられる用量で、児動物に着床後胚・胎児死亡数の増加、生存胎児数の減少(雌)がみられた。なお、催奇形性は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2013)、CLH Report (2015))。
(3)ウサギを用いた強制経口投与による発生毒性試験(GLP、妊娠6〜28日)において、催奇形性は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2013)、CLH Report (2015))。
(4)ラットを用いた強制経口投与による発達神経毒性において、250 mg/kg/dayで親動物に摂餌量減少、児動物に肛門周囲の汚れ、体重増加抑制・自発運動の増加(雄)がみられたが、発達神経毒性は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、CLH Report (2015))。なお、EPAは、母体毒性がみられない用量で児動物に体重低下、自発運動増加及び振戦がみられたが、予備試験では、母体毒性がみられない用量で児動物に体重低下、衰弱及び死亡がみられたと報告した(US Federal Register (2019))。
【参考データ等】
(5)RACは、本物質について分類の必要はないと判断した。なお、(2)で児動物にみられた着床後胚・胎児死亡数の増加は、母体毒性の二次的影響ではないと考えられたが、わずかな増加であるため、発生毒性の分類は必要ないと判断した(RAC Opinion (2015))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)(1)より、急性神経毒性試験で検出された症状から、区分2(神経系)とした。
【根拠データ】
(1)ラットを用いた単回経口投与による急性毒性試験において、500 mg/kg(区分2の範囲)で円背位、体温低下及び着地開脚幅増加、自発運動量減少、接近及び接触反応に対する無反応(雄)、体幹筋緊張低下及び取扱いに対する反応低下・歩行異常(雌)が、2,000 mg/kg(区分2の範囲)で体重増加抑制・立毛、体幹筋緊張低下及び取扱いに対する反応低下・歩行異常及び緩徐呼吸・尾ばさみ反応に対する反応低下(雄)、振戦及び咀嚼行動・接近及び接触反応に対する無反応(雌)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019)、CLH Report (2015))。
【参考データ等】
(2)米国は上記(1)の急性神経毒性試験における(神経様)症状の発現しない用量である125 mg/kgを出発点(POD)として、急性参照用量(acute RfD)を設定している(US Federal Register vol. 84, No. 109 (2019))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)(1)〜(2)より、区分2(肝臓)とした。
【根拠データ】
(1)ラットを用いた混餌投与による90日間経口投与試験において、100 mg/kg/day(区分2の範囲)で肝臓への影響(比重量増加・肝細胞肥大)、雄にMCHC減少及びAPTT延長等が、250 mg/kg/day以上の高用量で(区分該当しない範囲)で血液及び肝臓に明瞭な影響がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019))。
(2)ラットを用いた混餌投与による2年間発がん性試験において、83 mg/kg/day(区分2の範囲)で雄に門脈周囲性肝細胞脂肪変性が、250 mg/kg/day(区分該当しない範囲)で肝臓、雄の腎臓、雌の副腎等に影響がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2019))。
【参考データ等】
(3)マウス及びイヌを用いた混餌投与による90日間経口投与試験、ラット及びイヌを用いた混餌投与による1年間慢性毒性試験等の各試験においては、区分2までの用量範囲では毒性所見は認められず、区分に該当しない範囲の高用量で、肝臓、血液、甲状腺、副腎等への影響がみられている(食安委 農薬評価書 (2019))。
(4)ラットの28日間亜急性経皮毒性試験では、1,000 mg/kg/day(90日換算値:311 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)まで毒性所見は認められなかった(CLH Report (2015))。
(5)ラット、マウス及びイヌを用いた短期投与試験において、決定的な影響は肝臓(重量増加及び病理組織所見)と胆嚢(水腫、イヌ)にみられた。イヌが最も感受性の高い動物種であった。また、ラット及びマウスを用いた長期投与試験において、決定的な影響は肝臓(肝重量増加:マウス、門脈周囲肝細胞変性:ラット)と甲状腺(甲状腺コロイド変性の増加:マウス)にみられた(EFSA (2013))。
(6)本物質の毒性の標的臓器は肝臓と甲状腺である。短期投与試験では、ラットとマウスでほぼ同様の用量、イヌではより高用量において肝臓に変化(重量増加、肝酵素の変動、肥大等)がみられた。これらの動物種の中でラットの肝臓所見(脂肪変性、肝細胞変性、クッパー細胞増殖)が他種の所見より重要である(US Federal Register vol. 84, No. 109 (2019))。
誤えん有害性*データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)魚類(ファットヘッドミノー)96時間LC50 = 0.29 mg/L(ECOTOX, 2021、OPP Pesticide Ecotoxicity Database)であることから、区分1とした。
水生環境有害性 長期(慢性)急速分解性がなく(BIOWIN)、魚類 (ファットヘッドミノー)の33日間NOEC = 0.1 mg/L(ECOTOX, 2021、OPP Pesticide Ecotoxicity Database)から、区分1とした。
残留性・分解性情報なし
生態蓄積性情報なし
土壌中の移動性情報なし
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。


14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号3077
品名(国連輸送名)環境有害物質、固体、他に品名が明示されていないもの
国連分類9
副次危険-
容器等級III
海洋汚染物質該当する
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う
航空規制情報航空法の規定に従う
陸上規制情報該当しない
特別な安全上の対策該当しない
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*171
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法-
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)【259 (RS)−N−[2−(1,3−ジメチルブチル)−3−チエニル]−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(別名ペンチオピラド)】
毒物及び劇物取締法-
水道法水質基準(平15省令101号) 【12 フッ素及びその化合物】
水質汚濁防止法有害物質(法第2条、施行令第2条)【25 ふつ素及びその化合物】
土壌汚染対策法第2種特定有害物質(法第2条第1項、施行令第1条)【22 ふっ素及びその化合物】
下水道法水質基準物質(法第12条の2第2項、施行令第9条の4)【26 ふっ素及びその化合物】
船舶安全法有害性物質(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法有害性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1)

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・2024 Emengency Response Guidebook
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」