1.化学品等及び会社情報 | |||
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化学品の名称 | N-[1-(N-n-ブチルカルバモイル)-1H-2-ベンゾイミダゾリル]カルバミン酸メチル (別名: ベノミル) (Benomyl) | ||
製品コード | R02-B-039 | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 農薬 (殺菌剤) (NITE-CHRIPより引用) | 触媒・金属モリブデン・モリブデン塩原料、金属表面処理剤、セラミックス添加剤、焼結金属添加剤、難燃剤・減煙剤 |
2.危険有害性の要約 | |||
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GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R3.3.12、政府向けGHS分類ガイダンス (令和元年度改訂版 (ver2.0)) を使用 | ||
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用) | |||
物理化学的危険性 | - | ||
健康に対する有害性 | 皮膚感作性 | 区分1A | |
生殖細胞変異原性 | 区分1B | ||
発がん性 | 区分2 | ||
生殖毒性 | 区分1B | ||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1 (生殖器 (男性)) | ||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分2 (鼻腔、肝臓、生殖器 (男性)) | ||
分類実施日 (環境有害性) | 令和元年度(2019年度)、政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) | ||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 (急性) | 区分1 | |
水生環境有害性 (長期間) | 区分1 | ||
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ 遺伝性疾患のおそれ 発がんのおそれの疑い 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ 生殖器 (男性) の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による鼻腔、肝臓、生殖器 (男性) の障害のおそれ 水生生物に非常に強い毒性 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 | ||
注意書き | |||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | ||
応急措置 | ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 漏出物を回収すること。 | ||
保管 | 施錠して保管すること。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
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単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | N-[1-(N-n-ブチルカルバモイル)-1H-2-ベンゾイミダゾリル]カルバミン酸メチル | ||
別名 | ベノミル | ||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | C14H18N4O3 (290.32) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 17804-35-2 | ||
官報公示整理番号 (化審法) | 情報なし | ||
官報公示整理番号 (安衛法) | 情報なし | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 医師に連絡すること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 汚染された衣服を脱がせる。 | ||
眼に入った場合 | 数分間多量の水で洗い流す(できればコンタクトレンズをはずす)。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐ。 医師に連絡すること。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入: 咳。 皮膚: 発赤。 眼: 充血。 経口摂取: 急性症状はない。 | ||
応急措置をする者の保護 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
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適切な消火剤 | 水噴霧、粉末消火薬剤、耐アルコール性泡消火薬剤、二酸化炭素 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状注水 | ||
特有の危険有害性 | 可燃性。 火災時に、刺激性あるいは有毒なフュームやガスを放出する。 空気中で粒子が細かく拡散して、爆発性の混合気体を生じる。 | ||
特有の消火方法 | 情報なし | ||
消火を行う者の保護 | 情報なし |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に防じんマスクを使用することとの記載あり) | ||
環境に対する注意事項 | 周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | この物質を環境中に放出してはならない。 湿らせてもよい場合は、粉塵を避けるために湿らせてから掃き入れる。 こぼれた物質を、ふた付きの容器内に掃き入れる。 残留分を、注意深く集める。 地域規則に従って保管処理する。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱い注意事項 | 裸火禁止。 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 環境への放出を避けること。 粉塵の拡散を防ぐ。 作業衣を家に持ち帰ってはならない。 製剤に溶剤が使用されている場合は、その溶剤のICSCも参照のこと。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 施錠して保管すること。 食品や飼料から離しておく。 乾燥 密封 排水管や下水管へのアクセスのない場で貯蔵する。 消火により生じる流出物を収容するための用意をする。 | ||
安全な容器包装材料 | 国連危険物輸送勧告で規定された容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
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許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
管理濃度 | 未設定 | |||
許容濃度 | ||||
日本産衛学会 (2020年度版) | 1 mg/m3 | |||
ACGIH (2020年版) | TLV-TWA: 1 mg/m3 (Inhalable fraction of the aerosol) | |||
設備対策 | 粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器又は局所排気装置を使用する。 | |||
保護具 | ||||
呼吸用保護具 | 状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に防じんマスクを使用することとの記載あり) | |||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。 | |||
眼の保護具 | 安全ゴーグルを着用する。 | |||
皮膚及び身体の保護具 | 保護衣を着用する。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
物理状態 | 固体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 白色 | ||
臭い | 特徴的な臭気 | ||
融点/凝固点 | 140℃で分解する (ICSC (2012)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | データなし | ||
可燃性 | 可燃性 (ICSC (2012)) | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | 該当しない | ||
引火点 | 該当しない | ||
自然発火点 | 該当しない | ||
分解温度 | 140℃ (ICSC (2012)) | ||
pH | データなし | ||
動粘性率 | 該当しない | ||
溶解度 | 水: 3.8 mg/L (非常に溶けにくい) (ICSC (2012)) アセトン: 18 g/kg、クロロホルム: 94 g/kg、ジメチルホルムアミド: 53 g/kg、エタノール: 4 g/kg、ヘプタン: 0.4 g/kg、キシレン: 10 g/kg (HSDB (Access on May 2020)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | log Pow = 2.12 (ICSC (2012)) | ||
蒸気圧 | 3.7E-009 mmHg (25℃) (HSDB (Access on May 2020)) | ||
密度及び/又は相対密度 | 0.38 g/cm3 (ICSC (2012)) | ||
相対ガス密度 | 該当しない | ||
粒子特性 | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 情報なし | ||
危険有害反応可能性 | 加熱すると、分解する。 窒素酸化物などの有毒なフュームを?じる。 強酸化剤および過酸化物と反応する。 火災や爆発の危険を?じる。 | ||
避けるべき条件 | 加熱、混触危険物質との接触 | ||
混触危険物質 | 強酸化剤、過酸化物 強塩基 | ||
危険有害な分解生成物 | 窒素酸化物などの有毒なフューム |
11.有害性情報 | ||||
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急性毒性 | ||||
経口 | 【分類根拠】 (1)〜(3) より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 9,590 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)) (2) ラットのLD50: > 9,590 mg/kg (HSDB (Access on May 2020)) (3) ラットのLD50: > 10,000 mg/kg (EHC 148 (1993)、JMPR (1995)、GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020)、Patty (6th, 2012)) | |||
経皮 | 【分類根拠】 (1)、(2) より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) ウサギのLD50: 10,000 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)) (2) ウサギのLD50: > 10,000 mg/kg (JMPR (1995)、GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020)) 【参考データ等】 (3) ラットのLD50: > 1 g/kg (> 1,000 mg/kg) (HSDB (Access on May 2020)) | |||
吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 | |||
吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 (1)、(2) からは区分を特定できず、分類できないとした なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (5.8E-008 mg/L) よりも高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。 【根拠データ】 (1) ラットのLC50 (4時間): > 2 mg/L (ACGIH (7th, 2001)、GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020)、Patty (6th, 2012)) (2) ラットのLC50 (4時間): > 4 mg/L (EHC 148 (1993)) (3) 本物質の蒸気圧: 3.7E-009 mmHg (25℃) (HSDB (Access on May 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 5.8E-008 mg/L) | |||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1)〜(4) の記載はあるが、データ不足のため分類できないとした。旧分類はラットのデータを基に決定されており、新たに得られたデータも区分の特定に十分なデータではないため、分類結果を変更した。 【参考データ等】 (1) モルモットの皮膚に40%ペーストを適用した皮膚刺激性試験で刺激はほとんどみられなかった (ACGIH (7th, 2014))。 (2) ウサギの皮膚に本物質 (5 mg/cm2、通常の適用面積約 6cm2では30 mgに相当) を適用した皮膚刺激性試験において軽度刺激物と報告されている (EHC 148 (1993)、JMPR (1995))。 (3) EU-CLP分類でSkin Irrit. 2 (H315) に分類されている (EU CLP分類 (Access on July 2020))。 (4) 本物質の水懸濁液のウサギ及びモルモットの皮膚への適用は明白な刺激性を示さない (Patty (6th, 2012))。 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 (1)〜(4) の記載はあるが、データ不足により分類できないとした。 【参考データ等】 (1) 本物質はヒトに眼刺激性を示す (ACGIH (7th, 2014))。 (2) ウサギの眼に本物質 (5 mg) を適用した眼刺激性試験において軽度刺激物と報告されている (EHC 148 (1993)、JMPR (1995))。 (3) 本物質のウサギの眼への適用は一過性軽度の結膜刺激性を示す (Patty (6th, 2012))。 (4) 本物質にばく露された作業者に眼の刺激と接触皮膚炎が生じたとの報告がある(ACGIH (7th, 2014))。 | |||
呼吸器感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため、分類できない。 | |||
皮膚感作性 | 【分類根拠】 (1)〜(5) より、区分1Aとした。新しいデータが得られたことから細区分を実施した。 【根拠データ】 (1) 本物質は産衛学会 感作性分類 皮膚第2群に指定されている (産衛学会感作分類基準 (暫定) 提案理由書 (2018))。 (2) 本物質はモルモット及びヒトに皮膚感作性を示す (ACGIH (7th, 2014))。 (3) モルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) で陽性となり、陽性率は100%と報告されている (EHC 148 (1993)、JMPR (1995)、MAK (DFG) (2015))。 (4) 本物質にばく露された作業者において感作性の報告がある (MAK (DFG) (2015))。 (5) 本物質にばく露された作業者に眼の刺激と接触皮膚炎が生じたとの報告がある(ACGIH (7th, 2014))。 【参考データ等】 (6) EU-CLP分類でSkin Sens. 1 (H317)に分類されている(EU CLP分類 (Access on July 2020))。 | |||
生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 (1)、(2) より、区分1Bとした。 【根拠データ】 (1) in vivoでは、ラットの生殖細胞を用いた優性致死試験で陰性の報告が複数あるが、本物質を経口投与した雌ラットの卵母細胞において用量依存的な異数性頻度の増加がみられたとの報告がある。また、ラット又はマウスを用いた染色体異常試験においては、胚細胞で陽性、生殖細胞で陰性、骨髄細胞で陽性及び陰性の報告がある。ラット又はマウスの骨髄細胞を用いる小核試験で陽性の結果がある (EHC 148 (1993)、MAK (DFG) (2015)、JMPR (1995))。 (2) in vitroでは、ヒトのリンパ球を用いた染色体異常試験において弱陽性及び陰性の結果や、異数性及び倍数性の増加が報告されている。ヒトのリンパ球を用いた姉妹染色分体交換試験において弱い陽性の結果がある。また、細菌の復帰突然変異試験で陽性及び陰性、ほ乳類の培養細胞を用いた染色体異常試験で陽性、遺伝子突然変異で陰性の結果が報告されている (同上)。 【参考データ等】 (3) EU CLP分類でMuta. 2に分類されている (EU CLP分類 (Access on April 2020))。 (4) ドイツMAKにおいてGerm cell mutagenicity (2005) Category 3Aに分類されている (MAK (DFG) (2015))。 (5) 本物質は様々な哺乳類の雄性生殖器に有害な影響を及ぼすことが知られておりセルトリ細胞だけでなく、生殖細胞自体も影響を受ける。これは代謝物カルベンダジムの影響と考えられる (MAK (DFG) (2015))。 | |||
発がん性 | 【分類根拠】 利用可能なヒトを対象とした報告はない。(1)、(2) より区分2とした。最新の既存分類に従い分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、ACGIHでA3 (ACGIH (7th, 2014))、EPAでGroup C (Possible Human Carcinogen) (EPA Annual Cancer Report 2019 (Access on September 2020):2000年分類) に分類されている。 (2) 雌雄のラット及びマウスに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験において、ラットでは投与に関連した腫瘍の発生は認められなかった。マウスの雌では、肝細胞腺腫及びがんの発生率の用量依存的な増加が、マウスの雄では最高投与量群以外の投与群で肝細胞腺腫及びがんの発生率の有意な増加がみられた (ACGIH (7th, 2014))。 【参考データ等】 (3) 本物質の主要代謝物であるカルベンダジムをマウスに2年間混餌投与した試験では、肝細胞がんと肝細胞腺腫及びがんの合計の発生率の有意な増加がみられた (ACGIH (7th, 2014))。 | |||
生殖毒性 | 【分類根拠】 (1)〜(3) より、区分1Bとした。 【根拠データ】 (1) 産衛学会許容濃度提案理由書 (2018) において、疫学研究による十分な証拠が示されているとは言えないが、動物実験により、生殖毒性を示す証拠が複数示されていることから、生殖毒性分類第2群に分類されている。 (2) 雌ラットの妊娠7〜21日に強制経口投与した発生毒性試験において、大脳及び全身の奇形が発生し、タンパク質欠乏症食で飼育した場合、水頭症 (69.4%)、髄膜瘤 (8.2%)、脳ヘルニア (14.3%)、脳脱出 (44.9%)、無脳症 (14.3%)、脳梁発育不全 (26.5%)、脳室周囲の壊死 (26.5%)、脳室周囲の細胞異常増殖 (55.1%)がみられている (産衛学会許容濃度提案理由書 (2018) )。 (3) 雌ラットの妊娠7〜21日に強制経口投与した発生毒性試験において、眼及び大脳の奇形がタンパク質の不十分な飼料で増加した。眼の奇形として網膜形成異常 (網膜細胞や網膜の陥入のロゼッタ形成を伴う)、白内障、小眼球症及び無眼球症がみられた (産衛学会許容濃度提案理由書 (2018) )。 【参考データ等】 (4) EU-CLP分類でRepr.1Bに分類されている(EU CLP分類 (Access on July 2020))。 (5) ラットの単回経口投与試験 及びイヌの単回吸入ばく露試験 において、生殖上皮の壊死及び精子形成不全を伴う精巣の変性が観察された (JMPR (1995))。 (6) イヌを用いた2年間混餌投与毒性試験において、精巣変性(精巣重量の減少、精子の不在及び精子巨細胞)がみられた (JMPR (1995)、EHC 148 (1993))。 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 (1)〜(3) より、区分1 (生殖器 (男性)) とした。新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) ラットの単回経口投与試験 (100 mg/kg以上、区分1の範囲) 及びイヌの単回吸入ばく露試験 (1.65 mg/L、ばく露時間の記載なし) において、生殖上皮の壊死及び精子形成不全を伴う精巣の変性が観察された (JMPR (1995))。 (2) 雄イヌに本物質のエアロゾル (1.65 mg/L) を4時間吸入ばく露 (区分2の範囲) した結果、病理組織学的検査により、14日目に精子形成能の低下が認められた (EHC 148 (1993))。 (3) 本物質の活性代謝物のカルベンダジムがβ-チューブリンに結合することから、特に精子形成過程への影響が危惧されている (産衛学会許容濃度提案理由書 (2018))。 【参考データ等】 (4) ラットの単回経口投与試験 (投与量不明) において、化合物を投与したときの精子形成周期の段階に依存して、精子に変化が生じる (Patty (6th, 2012))。 | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 (1)、(2) より、経口経路で区分2の範囲で肝臓、生殖器 (男性)、(3) より、吸入経路で区分2の範囲で鼻腔に影響がみられている。したがって、区分2 (鼻腔、肝臓、生殖器 (男性)) とした。新たな情報を基に検討した結果、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) イヌを用いた混餌投与による3ヵ月間経口投与毒性試験において、2,500 ppm (ガイダンス値換算:62.5 mg/kg/day、区分2の範囲) の雌雄でALP、ALT増加、A/G比減少、胸腺重量減少、甲状腺重量増加、雄で前立腺重量減少 (3/4例)、雌の1例で赤血球数、ヘモグロビン濃度及びヘマトクリット値の低下、脾臓の腫大、脾臓及び骨髄の骨髄細胞過形成及び赤血球過形成がみられた (JMPR (1995)、EHC 148 (1993))。 (2) イヌを用いた混餌投与による2年間経口投与毒性試験において、2,500 ppm (ガイダンス値換算:62.5 mg/kg/day、区分2の範囲) で摂餌量減少、体重増加抑制、胆管増生、肝細胞空胞化、雄でコレステロール、ALP及びALT増加、総蛋白及びA/G比減少、精巣変性(精巣重量の減少、精子の不在及び精子巨細胞)がみられた (JMPR (1995)、EHC 148 (1993))。 (3) ラットを用いた90日間吸入暴露した試験において、50 mg/m3 (0.05 mg/L、区分2の範囲) 以上の雄、200 mg/m3 (0.2 mg/L、区分2の範囲) の雌で嗅上皮の変性、200 mg/m3 (0.2 mg/L、区分2の範囲) の雄で体重減少、摂餌量減少がみられた (JMPR (1995)、EHC 148 (1993))。 | |||
誤えん有害性* | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。本有害性項目の内容に変更はない。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性 (急性) | 甲殻類 (オオミジンコ) 48時間LC50 = 0.11 mg/L (EHC 148 (1993)) であることから、区分1とした。 | ||
水生環境有害性 (長期間) | 慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく (BIOWIN)、藻類 (セレナストラム) のNOEC (時間不明) = 0.5 mg/L (EHC 148 (1993)) であることから、区分2となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく (BIOWIN)、甲殻類 (オオミジンコ) の48時間LC50 = 0.11 mg/L (EHC 148 (1993)) であることから、区分1となる。 以上の結果を比較し、区分1とした。 | ||
オゾン層への有害性 | データ不足。 |
13.廃棄上の注意 | |||
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残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 3077 | |||
国連品名 | ENVIRONMENTALLY HAZARDOUS SUBSTANCE, SOLID, N.O.S. | |||
国連危険有害性クラス | 9 | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | L | |||
海洋汚染物質 | 該当する | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | - | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | - | |||
特別な安全上の対策 | - | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 171 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2016 Emengency Response Guidebook (ERG 2016)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
---|---|---|---|---|
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)【436 N−[1−(N−ノルマル−ブチルカルバモイル)−1H−2−ベンゾイミダゾリル]カルバミン酸メチル】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)【436 N−[1−(N−ノルマル−ブチルカルバモイル)−1H−2−ベンゾイミダゾリル]カルバミン酸メチル】 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) 作業場内表示義務(法第101条の4) | |||
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | 第1種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)【360 N−[1−(N−ノルマル−ブチルカルバモイル)−1H−2−ベンゾイミダゾリル]カルバミン酸メチル】 | |||
毒物及び劇物取締法 | 該当しない | |||
航空法 | 有害性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1)【【国連番号】3077 環境有害物質(固体)】 | |||
船舶安全法 | 有害性物質(危規則第3条危険物告示別表第1)【【国連番号】3077 環境有害物質(固体)】 |
16.その他の情報 | ||||
---|---|---|---|---|
参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP) International Chemical Safety Cards (ICSC) Hazardous Substances Data Bank (HSDB) GESTIS Substance database (GESTIS) ERG 2016版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 |