| 1.化学品等及び会社情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品の名称 | ペルフルオロ(オクタン−1−スルホン酸)(別名 PFOS) | ||
| 化学品の英語名称 | Perfluoro(octane-1-sulfonic acid) | ||
| 製品コード | R06-C-121-JNIOSH | ||
| 供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
| 住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
| 電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
| 電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
| 緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| 推奨用途及び使用上の制限 | メッキ薬,半導体用,LSI用膜原料,消火剤,撥水剤,紙の表面処理剤, 樹脂改質剤(NITE-CHRIPより引用) | ||
| 2.危険有害性の要約 | |||
|---|---|---|---|
| GHS分類 | |||
| 分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | 令和6年度(2024年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) ※一部、平成27年度(2015年度)、ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) | ||
| 物理化学的危険性 | - | ||
| 健康に対する有害性 | 急性毒性 (経口) | 区分3 | |
| 急性毒性 (吸入: 粉じん、ミスト) | 区分4 | ||
| 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | ||
| 発がん性 | 区分2 | ||
| 生殖毒性 | 区分1B、授乳に対するまたは授乳を介した影響に関する追加区分 | ||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1 (肝臓、免疫系) | ||
| 分類実施日 (環境有害性) | 平成27年度(2015年度)、ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) | ||
| 環境に対する有害性 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分2 | |
| 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分2 | ||
| GHSラベル要素 | |||
|---|---|---|---|
| 絵表示 | ![]() ![]() ![]() | ||
| 注意喚起語 | 危険 | ||
| 危険有害性情報 | 飲み込むと有毒 吸入すると有害 眼刺激 発がんのおそれの疑い 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ 授乳中の子に害を及ぼすおそれ 長期にわたる、又は反復ばく露による肝臓、免疫系の障害 水生生物に毒性 長期継続的影響によって水生生物に毒性 | ||
| 注意書き | |||
| 安全対策 | 取扱い後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 妊娠中及び授乳期中は接触を避けること。 環境への放出を避けること。 | ||
| 応急措置 | 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。 口をすすぐこと。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 気分が悪い時は医師に連絡すること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。 漏出物を回収すること。 | ||
| 保管 | 施錠して保管すること。 | ||
| 廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
| 他の危険有害性 | 情報なし | ||
| 3.組成及び成分情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
| 化学名又は一般名 | ペルフルオロ(オクタン−1−スルホン酸) | ||
| 慣用名又は別名 | パーフルオロオクタンスルホン酸 ペルフルオロオクタンスルホン酸 ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸 PFOS | ||
| 英語名 | Perfluoro(octane-1-sulfonic acid) | ||
| 濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
| 分子式 (分子量) | C8HF17O3S (500) | ||
| 化学特性 (示性式又は構造式) | ![]() | ||
| CAS番号 | 1763-23-1 | ||
| 官報公示整理番号 (化審法) | 2-1595 | ||
| 官報公示整理番号 (安衛法) | - | ||
| GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | - | ||
| 4.応急措置 | |||
|---|---|---|---|
| 吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
| 皮膚に付着した場合 | 大量の水で洗うこと。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
| 眼に入った場合 | 水で15〜20分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
| 飲み込んだ場合 | 水で口をすすぎ、直ちに医師の診断を受けること。 症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
| 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 情報なし | ||
| 応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。 | ||
| 医師に対する特別な注意事項 | 情報なし | ||
| 5.火災時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 適切な消火剤 | 水噴霧、粉末消火剤、泡消火剤、二酸化炭素を使用する。 | ||
| 使ってはならない消火剤 | 火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。 | ||
| 特有の危険有害性 | 一般的な注意として、粉末状物質の場合は、ある条件下では粉じん爆発を起こす可能性がある。 | ||
| 特有の消火方法 | 火元への燃焼源を断ち、消火剤を使用して消火する。 延焼の恐れのないよう水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。 消火活動は風上から行う。 火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 | ||
| 消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。 | ||
| 6.漏出時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 影響を受ける周囲に警告する。 個人用保護具を着用すること(「個人用保護具」の章を参照)。 周囲を換気し、こぼれた場所を洗う。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 環境に対する注意事項 | 容器とパイプラインにラベルを貼る。 水、排水、下水、または地中への浸透を防ぐ。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 封じ込め及び浄化の方法及び機材 | リサイクルの方法がない場合は、それぞれの地域の規制に従って廃棄する必要がある。 廃棄物を流し台やゴミ箱に入れたり置いたりしない。 塩溶液の収集容器に入れ、pH値を6?8に調整する。 収集容器には、内容物の説明がされているラベルを貼る。容器は換気の良い場所に保管する。それらを適切な当局に委託して処分する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 二次災害の防止策 | 情報なし | ||
| 7.取扱い及び保管上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 取扱い | |||
| 技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する 以上、GESTIS参照。 | ||
| 安全取扱い注意事項 | 粉じんを発生させないようにする。 作業場所を清潔に保つ。 この物質は、作業に必要な量を超えて持ち込まない。 容器を開いたままにしない。 補充または移し替えには、排気口付きの漏れ防止機器を使用する。 ラベルの付いた容器にのみ入れる。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 接触回避 | 感染性、放射性、爆発性の物質。 強酸化性物質。 硝酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムを含有する製剤 有機過酸化物および自己反応性物質。 可燃性液体。 可燃性固体。 自然発火性物質。 水と接触した場合、可燃性ガスを放出する物質。 危険な化学反応が起こりうる物質と一緒に保管しない。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 衛生対策 | 飲食禁止。 眼、皮膚、衣類への接触を避けること。接触した場合は患部を洗浄する。 目に入った場合は洗い流す。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 シャワー付きの洗面所と、可能であれば、私服と作業服用の独立した収納を備えた部屋を用意する。 使用後は手を洗うこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 保管 | |||
| 安全な保管条件 | 作業場は換気をする。 床に排水口を作らない。 洗濯設備を設置する。 洗眼設備を設置する。 標識を付ける。 物質を大量に取り扱う場合は、非常用シャワーを設置する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 安全な容器包装材料 | 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。 | ||
| 8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
| 管理濃度 | - | |||
| 濃度基準値 | ||||
| 八時間濃度基準値 | - | |||
| 短時間濃度基準値 | - | |||
| 許容濃度 | ||||
| 日本産衛学会 (2024年度版) | - | |||
| ACGIH (2024年版) | - | |||
| 設備対策 | 粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。 取り扱い場所の近くに洗浄のための設備を設ける。 | |||
| 保護具 | ||||
| 呼吸用保護具 | 緊急時には、呼吸保護具を着用する。 フィルター装置の使用限界を超える濃度、18%未満の酸素濃度、または不明な状況では使用しない。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 手の保護具 | 厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル」参照のこと。 必要に応じて適切な不浸透性の保護手袋を使用すること。着用する前に締まり具合を確認する。手袋は取り外す前に十分に清掃し、換気の良い場所に保管する。 布製または革製の手袋は不適切である。 適切な手袋の素材の情報はない。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 眼の保護具 | 必要に応じて安全眼鏡、顔面シールド、安全ゴーグルなどの眼用保護具を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 皮膚及び身体の保護具 | 身体の保護リスクに応じて、不浸透性の適切な防護服または適切な化学防護服を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 9.物理的及び化学的性質 | |||
|---|---|---|---|
| 物理的状態 | |||
| 物理状態 | 固体 | ||
| 色 | データなし | ||
| 臭い | データなし | ||
| 融点/凝固点 | 90 ℃ (Chemical Book (2024)) | ||
| 沸点、初留点及び沸騰範囲 | 260 ℃ (Chemical Book (2024)) | ||
| 可燃性 | 不燃性 | ||
| 爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
| 引火点 | データなし | ||
| 自然発火点 | データなし | ||
| 分解温度 | データなし | ||
| pH | データなし | ||
| 動粘性率 | データなし | ||
| 溶解度 | 水:水に混和 (GESTIS(2024)) | ||
| n-オクタノール/水分配係数 | log Kow:-1.08 (HSDB (2024)) | ||
| 蒸気圧 | 0.85 Pa (25℃、est) (MOE初期評価第6巻 (2008)) | ||
| 密度及び/又は相対密度 | 1.25 g/cm3 (GESTIS(2024)) | ||
| 相対ガス密度 | データなし | ||
| 粒子特性 | データなし | ||
| 10.安定性及び反応性 | |||
|---|---|---|---|
| 反応性 | 不燃性である。他の使用する物質に応じて、火災および爆発防止対策を選択する。 電気器具は、腐食のリスクが高いため、定期的に点検する。 不燃性である。消火対策は、周囲の状況に合わせて選択する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 化学的安定性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
| 危険有害反応可能性 | 通常の取扱い条件下では危険有害反応を起こさない。 | ||
| 避けるべき条件 | 直射日光を避け、冷暗所に保管する。 | ||
| 混触危険物質 | 酸化剤、還元剤等 | ||
| 危険有害な分解生成物 | 周囲の火災に含まれると、有害物質(硫黄酸化物フッ化水素、一酸化炭素と二酸化炭素)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 加熱して分解すると、SOx と F(-) の有毒な蒸気を放出する。(HSDB (2024)) | ||
| 11.有害性情報 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 急性毒性 | ||||
| 経口 | ラットのLD50値として、154 mg/kg (環境省リスク評価第6巻 (2008))、251 mg/kg及び> 50〜< 1,500 mg/kg (OECD ENVJMRD (2002)) との3件の報告がある。2件が区分3に、1件は分類できないので、最も多くのデータが該当する区分3とした。 | |||
| 経皮 | データ不足のため分類できない。 | |||
| 吸入: ガス | GHSの定義における固体である。 | |||
| 吸入: 蒸気 | GHSの定義における固体である。 | |||
| 吸入: 粉じん及びミスト | ラットのLC50値 (1時間) として、5.2 mg/L (4時間換算値:1.3 mg/L) との報告 (OECD ENVJMRD (2002)) に基づき、区分4とした。なお、被験物質が固体であるために、粉じん・ミストの基準値を適用した。今回の調査で入手した新たな情報を追加し、区分を見直した。 | |||
| 皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、本物質を24時間又は72時間適用した結果、刺激性はみられなかったとの報告がある (OECD ENVJMRD (2002))。また、本物質は刺激性なしとの記載 (HSDB (Access on September 2015)) や、本物質のカリウム塩は皮膚を刺激しないとの記載 (環境省リスク評価書 (2008)) がある。以上より、区分に該当しないとした。 | |||
| 眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 本物質をウサギに適用した試験において、軽度の刺激性がみられたとの報告がある (OECD ENVJMRD (2002)、HSDB (Access on September 2015))。以上より区分2Bとした。 | |||
| 呼吸器感作性 | データ不足のため分類できない。 | |||
| 皮膚感作性 | データ不足のため分類できない。 | |||
| 生殖細胞変異原性 | In vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験で陰性、ラット骨髄細胞の小核試験で陽性である (環境省リスク評価第6巻 (2008)、OECD ENVJMRD (2002)、ATSDR draft (2015)、HSDB (Access on september 2015))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、ヒトリンパ球の染色体異常試験で陰性である (環境省リスク評価第6巻 (2008)、OECD ENVJMRD (2002)、HSDB (Access on september 2015))。以上より、小核試験では陽性/陰性の両知見があり、その小核誘発性は明確ではない (すなわち、小核知見はequivocalである) ことから、分類できないとした。なお、本物質及び本物質のカリウム塩のデータを含め分類した。 | |||
| 発がん性 | 【分類根拠】 ヒトの発がん性に関する証拠は不十分である。 (1) 、 (2) より、本物質のカリウム塩でラットの雌雄に肝臓腫瘍、雄に甲状腺腫瘍の発生増加が示されたが、主に良性腫瘍の発生増加であり限定的な証拠と考えられることから、区分2とした (2024年度) 。 【根拠データ】 (1) 本物質 (PFOS) のカリウム塩 (PFOS-K: CAS登録番号 2795-39-3) について、ラットを用いた2年間混餌投与 (0.025〜1.04 mg/kg/day) による発がん性試験において、雌雄ともに投与群では肝細胞腺腫の発生頻度に有意な正の傾向が認められ、対照群との比較では高用量 (1.04 mg/kg/day) 群において有意な増加が示された。また、高用量群の回復試験群 (1年間投与後1年間無投与 (普通飼料を給餌) ) では甲状腺ろ胞上皮腺腫の発生頻度増加もみられた (ATSDR (2021)、EU EFSA (2018)、MAK (DFG)(2015)、MOE初期評価 (2008)) 。 【参考データ等】 (2) 疫学調査から、本物質の血清濃度と肝臓がん及び乳がんとの関連が報告された。肝臓がん及び乳がんと本物質との関連では、それぞれ1文献のみで関連がみられただけで、関連の有無を判断するための証拠は不十分であると考えられる (食安委 (2024)) 。本物質とPFOAの発がん性評価に関して疫学研究報告からの裏付けは不十分である (EU EFSA (2018)) 。 (3) 本物質ばく露によるラットの肝臓腫瘍誘発の機序はペルフルオロオクタン酸 (PFOA: CAS登録番号335-67-1) の肝臓腫瘍及び膵臓腺腫と同様にPPARα活性化等核内受容体を介した細胞増殖による機序が想定されたが、これはげっ歯類特異的な機序でヒトには当てはめられない可能性がある。ただし、PPARα非依存性機序の可能性も指摘されており、それらのメカニズムの関与の詳細は不明であり、更なる検討が必要である (EU EFSA (2018)、ATSDR (2021)、食安委 (2024)) 。IARCはPFOSの発がん機序に関して、エピジェネティックな変化、酸化ストレス、免疫抑制等の関与の証拠があるとしている (IARC 135 (in prep.)) 。 (4) 国内外の評価機関による発がん性分類では、IARCでグル−プ2B (IARC 135 (in prep)) 、EUでCarc. 2 (CLP分類 (Accessed June 2024)) 、DFGでCat. 3 (List of MAK and BAT values (2024)) に分類されている。 | |||
| 生殖毒性 | 【分類根拠】 (1) 、 (2) の最新の評価書レビューにおいて、動物試験において発生毒性が認められること、 (3) の乳汁移行性も併せて、区分1B (追加区分:授乳影響) とした。 (4) 、 (5) より、最新の知見を踏まえてヒトでの証拠は十分とは言えないことから、分類結果を変更した (2024年度) 。 【根拠データ】 (1) 本物質 (PFOS)(主にカリウム塩) を用いた生殖発生毒性試験の多くはマウス及びラットで実施されている。報告された具体的な発生影響には新生児の体重及び生存率の低下、口蓋裂、成長遅延 (開眼の遅延) 、神経発達の変化が含まれる。これらの影響は主に明白な母体毒性がない状況で発生した。一方、本物質が妊娠母体において胎盤の発達を阻害することで胎児側に十分な栄養が供給されないことが新生児死亡に繋がる可能性が想定され、これには胎盤プロラクチンの関与があるとの母体側の要因を示唆する報告もある (ATSDR (2021)、EU EFSA (2018)) 。 (2) 動物試験では、PFOSばく露により胎児死亡の増加、出生した児動物の生存率及び出生時体重の低下、離乳期までの体重増加の抑制、開眼時期の遅れ等が認められた。ただし、出生した児動物の出生時体重の低下を起こしたPFOSの投与量は1.6 mg/kg以上であり、胎児死亡を起こした投与量 (2 mg/kg) に近い高投与量 (PFOS血中濃度比較で疫学研究対象のヒトの約千倍以上) であった (食安委 (2024)) 。 (3) 血清中PFOS濃度比べると著しく低いが、ヒト母乳から本物質が検出されている (同上) 。また、動物実験で母体から出生児へPFOSの乳汁移行が起こることが報告されている (EU EFSA (2018)) 。 (4) 疫学研究ではPFOSの出生前ばく露と出生時体重との因果関係を示すいくつかの証拠が得られた。ただし、これらの所見の臨床的関連性に関しては不確実性が存在する。実施された疫学研究では、PFOS及びPFOAへの出生前ばく露と先天性欠損症又は死産、多産能低下、流産又は妊娠高血圧のリスクの有病率の増加との因果関係を示す証拠は不十分である。PFOSへの出生前又は周産期ばく露と神経発達、乳児期、小児期又は思春期の成長、精液の質又は代謝のアウトカムとの間の因果関係についての裏付けは不十分であると結論された (EU EFSA (2018)) 。 (5) 疫学研究では、国内外の複数の疫学研究の結果から血清PFOS濃度と出生時体重の低下との関連が多く報告されている。しかし、在胎不当過小 (SGA) 児、低出生体重児 (2,500 g未満) 等の影響を報告した研究は限られている (食安委 (2024)) 。 【参考データ等】 (6) EUではRepr. 1B、Lact. (授乳に対するまたは授乳を介した影響) に分類されている (CLP分類 (Accessed June 2024)) 。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | ヒトのデータはない。実験動物では、本物質のカリウム塩のラット経口投与 (区分1相当の用量) で、活動低下、四肢緊張低下、協調運動失調、胃の拡張と腺粘膜の充血、肺うっ血の報告がある (環境省リスク評価第6巻 (2008))。しかし、この情報源以外に単回ばく露のデータがないことから、データ不足のため分類できないとした。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 (1) 〜 (5) より、区分1 (肝臓、免疫系) とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した (2024年度) 。 【根拠データ】 (1) ペルフルオロアルキル化合物 (PFAS) にばく露されたラット、及びマウスでみられる主な影響は肝毒性、発生毒性及び免疫毒性である (ATSDR (2021)) 。 (2) 肝臓については、本物質 (PFOS) 又は本物質のカリウム塩 (PFOS-K: CAS登録番号 2795-39-3) を被験物質としたラット、マウス等の反復投与毒性試験で壊死、変性など明らかに毒性変化とみなせる病理組織変化がみられた試験はラット2年間混餌投与試験の1.04 mg/kg/day群 (区分1) で肝臓に単細胞壊死、嚢胞変性がみられたとの結果、ラット28日間強制経口投与試験の5及び20 mg/kg/day (90日換算:1.6〜6.2 mg/kg/day:区分1) 以上で肝臓の限局性壊死・脂肪変性がみられたとの結果、マウス30日間強制経口投与試験の10 mg/kg/day (同3.3 mg/kg/day:区分1) で肝臓の細胞質空胞化、巣状/フレーク状壊死巣がみられたとの結果等が挙げられる (ATSDR (2021)) 。 (3) 免疫系については、同様に本物質又はそのカリウム塩を被験物質とした試験では、マウス60日間強制経口投与試験の0.083 mg/kg/day (90日換算:0.055 mg/kg/day:区分1) でヒツジ赤血球に対する応答能低下、マウス21日間強制経口投与試験の0.025 mg/kg/day (同0.0058 mg/kg/day:区分1) でインフルエンザウイルスに対する宿主抵抗性の減少がみられたとの結果、マウス3週間経口投与試験の5 mg/kg/day (同1.17 mg/kg/day:区分1) 以上でConA誘発性T細胞増殖阻害、CD3陽性CD8陽性細胞及びCD3陽性CD4陽性細胞の増加がみられたとの結果等が挙げられる (ATSDR (2021)) 。 (4) PFOS-Kのサルを用いた26週間経口 (カプセル) 投与試験では0.75 mg/kg/dayで肝臓への影響 (絶対重量増加、肝細胞肥大、胆汁うっ滞) がみられている (ATSDR (2021)) 。 (5) 食品安全委員会では本物質について、疫学研究で報告された血清ALT値の増加、血清総コレステロール値の増加、出生時体重の低下、ワクチン接種後の抗体応答の低下との関連は否定できないと評価された (食安委 (2024)) 。 | |||
| 誤えん有害性* | データ不足のため分類できない。 | |||
| * JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 | ||||
| 12.環境影響情報 | |||
|---|---|---|---|
| 生態毒性 | |||
| 水生環境有害性 短期(急性) | 甲殻類(Mysidopsis bahia)の96時間LC50 = 3.34mg/L(カリウム塩のデータ、PFOS換算値:3.10 mg/L相当)(環境省リスク評価第6巻, 2008)から区分2とした。 | ||
| 水生環境有害性 長期(慢性) | 急速分解性がなく(BioWin)、甲殻類(Mysidopsis bahia)の35日間NOEC (繁殖) = 0.232 mg/L(カリウム塩のデータ、PFOS換算値:0.216 mg/L相当)(環境省リスク評価第6巻, 2008)から、区分2とした。 | ||
| 残留性・分解性 | 情報なし | ||
| 生態蓄積性 | 情報なし | ||
| 土壌中の移動性 | 情報なし | ||
| オゾン層への有害性 | データなし | ||
| 13.廃棄上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 | ||
| 14.輸送上の注意 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
| 国際規制 | ||||
| 国連番号 | 2811 | |||
| 品名(国連輸送名) | その他の毒性固体、有機物、他に品名が明示されていないもの | |||
| 国連分類 | 6.1 | |||
| 副次危険 | - | |||
| 容器等級 | III | |||
| 海洋汚染物質 | 該当する | |||
| MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
| 国内規制 | ||||
| 海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う | |||
| 航空規制情報 | 航空法の規定に従う | |||
| 陸上規制情報 | 該当しない | |||
| 特別な安全上の対策 | 該当しない | |||
| その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
| 緊急時応急措置指針番号* | 154 | |||
| * 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。 | ||||
| 15.適用法令 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
| 労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【530の2 ペルフルオロ(オクタン1スルホン酸)(別名PFOS)】 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降) 【1891 ペルフルオロ(オクタン1スルホン酸)(別名PFOS)】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【530の2 ペルフルオロ(オクタン1スルホン酸)(別名PFOS)】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降) 【1891 ペルフルオロ(オクタン1スルホン酸)(別名PFOS)】 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) 皮膚等障害化学物質(労働安全衛生規則第594条の2) | |||
| 化学物質審査規制法 | 第一種特定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条) 【17 ペルフルオロ(オクタン1スルホン酸)(別名PFOS)又はその塩】 | |||
| 化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | 第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1) 【447 ペルフルオロ(オクタン1スルホン酸)(別名PFOS)】 | |||
| 毒物及び劇物取締法 | - | |||
| 大気汚染防止法 | 有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申) 【210 ペルフルオロ(オクタン1スルホン酸)(別名:PFOS)】 | |||
| 水質汚濁防止法 | 有害物質(法第2条、施行令第2条) 【247 ペルフルオロ(オクタン1スルホン酸)(別名PFOS)】 指定物質(法第2条第4項、施行令第3条の3) 【59 ペルフルオロ(オクタン1スルホン酸)(別名PFOS)及びその塩】 | |||
| 船舶安全法 | 毒物類(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
| 航空法 | 毒物類(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
| 港則法 | その他の危険物・毒物類(毒物)(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表) | |||
| 16.その他の情報 | |||
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| 水道法 | 水質管理目標設定項目、暫定目標値:PFOS 及びPFOAの合算値で50 ng/L | ||
| 参考文献 | 9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・2024 Emengency Response Guidebook ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 ・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」 | ||