| 1.化学品等及び会社情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品の名称 | 水素化リチウムアルミニウム | ||
| 化学品の英語名称 | Lithium Aluminum Hydride | ||
| 製品コード | R06-A-027-JNIOSH | ||
| 供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
| 住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
| 電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
| 電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
| 緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| 推奨用途及び使用上の制限 | 還元剤(高純度シリコン製造,不飽和アルコール合成等)(NITE-CHRIPより引用) | ||
| 2.危険有害性の要約 | |||
|---|---|---|---|
| GHS分類 | |||
| 分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | 令和6年度(2024年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) | ||
| 物理化学的危険性 | 水反応可燃性化学品 | 区分1 | |
| 健康に対する有害性 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分1 | |
| 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | ||
| 生殖毒性 | 区分1A、授乳に対するまたは授乳を介した影響に関する追加区分 | ||
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分2(呼吸器) | ||
| 分類実施日 (環境有害性) | - | ||
| 環境に対する有害性 | 水生環境有害性 短期(急性) | - | |
| 水生環境有害性 長期(慢性) | - | ||
| GHSラベル要素 | |||
|---|---|---|---|
| 絵表示 | ![]() ![]() ![]() | ||
| 注意喚起語 | 危険 | ||
| 危険有害性情報 | 水に触れると自然発火するおそれのある可燃性ガスを発生 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ 授乳中の子に害を及ぼすおそれ 呼吸器の障害のおそれ | ||
| 注意書き | |||
| 安全対策 | 水と接触させないこと。 湿気を遮断し、不活性ガス下で取扱い保管すること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 妊娠中及び授乳期中は接触を避けること。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 | ||
| 応急措置 | 皮膚に付着した場合:固着していない粒子を皮膚から払いのけ、冷たい水に浸すこと【又は湿った包帯で覆うこと】。 火災の場合:消火するために適切な消火剤を使用すること。 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 直ちに医師に連絡すること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 | ||
| 保管 | 乾燥した場所で密閉容器に保管すること。 施錠して保管すること。 | ||
| 廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
| 他の危険有害性 | 情報なし | ||
| 3.組成及び成分情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
| 化学名又は一般名 | 水素化リチウムアルミニウム | ||
| 慣用名又は別名 | LAH | ||
| 英語名 | Lithium Aluminum Hydride | ||
| 濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
| 分子式 (分子量) | AlH4.Li (38) | ||
| 化学特性 (示性式又は構造式) | ![]() | ||
| CAS番号 | 16853-85-3 | ||
| 官報公示整理番号 (化審法) | 1-16 | ||
| 官報公示整理番号 (安衛法) | - | ||
| GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | - | ||
| 4.応急措置 | |||
|---|---|---|---|
| 吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
| 皮膚に付着した場合 | 大量の水で洗うこと。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
| 眼に入った場合 | 水で15〜20分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
| 飲み込んだ場合 | 水で口をすすぎ、直ちに医師の診断を受けること。 | ||
| 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 情報なし | ||
| 応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する | ||
| 医師に対する特別な注意事項 | 情報なし | ||
| 5.火災時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 適切な消火剤 | 乾燥消火剤、乾燥砂、石灰岩、粉じん、金属消火器 以上、GESTIS参照。 | ||
| 使ってはならない消火剤 | 水、二酸化炭素、泡消火剤 以上、GESTIS参照。 | ||
| 特有の危険有害性 | 火災の場合、有害物質(水酸化リチウム)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 特有の消火方法 | 突然の放出や大量の粉じんの発生に備えて、直ちに避難してください。 可能であれば、容器を危険区域から移動する。 加熱すると圧力が上昇し、破裂や爆発の危険がある。 着火(発火)源を遮断する。 燃え尽きるまで待つ 防爆証明済みの機器のみを使用すること。 下水道への侵入による爆発の危険性。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 6.漏出時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | すべての点火源を遮断します。 避難エリア。影響を受ける周囲に警告すること。 個人用保護具を着用すること(「個人用保護具」の章を参照)。 火花対策をした工具を使用すること。 物質は水と反応するため、水との接触を避けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 環境に対する注意事項 | 閉じた装置のみを使用すること。 容器とパイプラインにラベルを貼ること。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 少量の物質の収集:エーテルに懸濁する必要がある。保護ガスの下で集中的に攪拌しながら、1部の酢酸エチルと4部の使用済みエーテルの混合物を滴下する。試薬がフラスコの壁に接触したり、完全に反応しない残留物の巣が形成されたりしないように注意する必要がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 二次災害の防止策 | 情報なし | ||
| 7.取扱い及び保管上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 取扱い | |||
| 技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する 粉じんの形成を避けること。避けられない粉じんの発生は、定期的に収集する必要がある。 掃除中に粉じんを起こさないこと。 清掃にブロワーを使用しないこと。 粉じん状の分布や使用量により粉じん爆発のおそれがある場合は、発生防止、発火防止、建設的防爆による対策が必要となる場合がある。 水との接触や危険な量の可燃性ガスの放出の危険性がある場合は、形成の防止、発火の防止、および建設的な爆発保護に準拠した防爆対策が必要になる場合がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 安全取扱い注意事項 | 作業場を清潔で乾燥した状態に保つこと。 この物質は、作業に必要な量を超えて持ち込まない。 容器を開けたままにしないこと。 こぼさない。 ラベルの付いた容器にのみ注入すること。 粉じんが舞い上がるのを避けること。 物質は乾燥した保護ガスの下で取り扱う必要がある。 混触危険物質と一緒に輸送しないこと。 電気器具は、腐食のリスクが高いため、定期的に点検すること。 粉じん爆発が発生する可能性がある。 水と接触する可能性のある領域は、爆発の危険性がある。 発火源(電気機器、裸火、熱源、火花など)から距離を置くこと。 禁煙。 作業エリアでの溶接はしないこと。 火花の原因となる工具は使用しないこと。 湿気や発火と接触すると爆発する可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 接触回避 | 感染性、放射性、爆発性の物質 ガス。 エアゾール(スプレーボトル)。 可燃性液体 強酸化性および酸化性物質 硝酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムを含有する製剤 有機過酸化物および自己反応性物質 急性毒性物質 危険な化学反応が起こりうる物質と一緒に保管しない。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 衛生対策 | 眼、皮膚、衣類への接触を避けること。接触した場合は患部を洗浄する。 眼に入った場合は、影響を受けた眼を洗い流す。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 シャワー付きの洗面所と、可能であれば、私服と作業服用の独立した収納を備えた部屋を用意すること。 使用後は手を洗うこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 保管 | |||
| 安全な保管条件 | 容器にはラベルを貼付すること。 できるだけ元の容器に保管すること。 容器は、涼しく乾燥した換気の良い場所で密閉すること。 小さな容器は、収集浴槽付きのキャビネットに保管すること。 日光から保護すること。 過熱/加熱から保護すること。 湿気から保護すること。 内容物は不活性ガスの下に保管すること。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 安全な容器包装材料 | 消防法、道路法、国連輸送法規で規定されている容器を使用する。 | ||
| 8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
| 管理濃度 | - | |||
| 濃度基準値 | ||||
| 八時間濃度基準値 | - | |||
| 短時間濃度基準値 | - | |||
| 許容濃度 | ||||
| 日本産衛学会 (2024年度版) | - | |||
| ACGIH (2024年版) | - | |||
| 設備対策 | 粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。 作業場での洗浄設備を設置する。 取り扱いの場所の近くに、洗眼および身体洗浄のための設備を設ける。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 保護具 | ||||
| 呼吸用保護具 | 緊急時には、呼吸保護具を着用する。 フィルター装置の使用限界を超える濃度、体積18%未満の酸素濃度、または不明な状況では、絶縁装置を使用すること。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 手の保護具 | 必要に応じて適切な不浸透性の保護手袋を使用すること。着用する前に締まり具合を確認すること。手袋は取り外す前に十分に清掃し、換気の良い場所に保管すること。 ポリクロロプレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、FKM、およびポリ塩化ビニルは、未溶解の固形物から保護するための手袋材料として適している。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 眼の保護具 | 必要に応じて安全眼鏡、保護面、安全ゴーグルなどの眼用保護具を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 皮膚及び身体の保護具 | 身体の保護リスクに応じて、適切な防護服または適切な化学防護服を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 9.物理的及び化学的性質 | |||
|---|---|---|---|
| 物理的状態 | |||
| 物理状態 | 固体 | ||
| 色 | 白色〜灰色 | ||
| 臭い | 無臭 | ||
| 融点/凝固点 | > 125 ℃ 分解 (HSDB in PubChem (2024)) | ||
| 沸点、初留点及び沸騰範囲 | データなし | ||
| 可燃性 | 可燃性 (GESTIS(2024)) | ||
| 爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
| 引火点 | データなし | ||
| 自然発火点 | データなし | ||
| 分解温度 | > 125 ℃ (GESTIS(2024)) | ||
| pH | データなし | ||
| 動粘性率 | データなし | ||
| 溶解度 | 水:水と直ちに反応する (HSDB in PubChem (2024)) エーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルセロソルブ、ジブチルエーテル、ジオキサン:可溶 (HSDB in PubChem(2024)) | ||
| n-オクタノール/水分配係数 | データなし | ||
| 蒸気圧 | データなし | ||
| 密度及び/又は相対密度 | 0.92 g/cm3 (HSDB in PubChem (2024)) | ||
| 相対ガス密度 | データなし | ||
| 粒子特性 | データなし | ||
| 10.安定性及び反応性 | |||
|---|---|---|---|
| 反応性 | 物質は可燃性である。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 化学的安定性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
| 危険有害反応可能性 | 可燃性物質、難燃性。 水と接触すると、自然発火する可能性のある可燃性ガスが放出される。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 避けるべき条件 | 次の条件が満たされると、粉じん爆発の危険性がある: 物質は非常に細かく分布した形(粉末、粉じん)。 空気中で十分な量が渦巻いている。 発火源が存在する(炎、火花、静電放電など)。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 混触危険物質 | 接触すると爆発する危険性: 有機物質、酸化剤、過酸化水素、アセトニトリル、三フッ化ホウ素、ジエチルエーテル、カルボン酸、過酸化ジベンゾイル、ジブロモシクロペンテン、ジメチルエングリコルディメチルエーテル、ジメチルエーテル、ジオキサン、酢酸エチル、フルオロアミド、過酸化ニトロメタン、テトラフルオロアセトアミド、トリフルオロアセトアミド、トリフルオロ酢酸 以上、GESTIS参照。 | ||
| 危険有害な分解生成物 | 分解生成物:水素、アルミニウム、水素化リチウム 火災の場合、有害物質(水酸化リチウム)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 11.有害性情報 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 急性毒性 | ||||
| 経口 | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 | |||
| 経皮 | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 | |||
| 吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 | |||
| 吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 | |||
| 吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 | |||
| 皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1)より区分1とした。 【根拠データ】 (1)本物質は腐食性及び刺激性があり、皮膚に熱傷を引き起こすとの報告がある(HSDB (Accessed Oct. 2024)、GESTIS (Accessed Oct. 2024))。 【参考データ等】 (2)リチウムの水素化物は水分の存在下で容易に水酸化物に変換され、腐食作用と熱的作用により皮膚に強い刺激を与える。同様の作用は、目や呼吸器粘膜に接触した場合にも起こる可能性がある(HSDB (Accessed Oct. 2024))。 (3)アルミニウムの水素化物は水分と反応し、水酸化物を残す。リチウムの水素化物は水分の存在下で容易に水酸化物に変換され、腐食作用と熱作用により皮膚に強い刺激を与える。同様の影響が呼吸器粘膜に接触した場合にも起こりうる(HSDB (Accessed Sep 2024))。 (4)EUではSkin Corr. 1Aに分類されている(CLP分類結果 (Accessed Sep. 2024))。 | |||
| 眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 (1)より区分1とした。 【根拠データ】 (1)本物質は皮膚腐食性区分1に分類されている。 【参考データ等】 (2)リチウムの水素化物は水分の存在下で容易に水酸化物に変換され、腐食作用と熱的作用により皮膚に強い刺激を与える。同様の作用は、目や呼吸器粘膜に接触した場合にも起こる可能性がある(HSDB (Accessed Oct. 2024))。 (3)アルミニウムの水素化物は水分と反応し、水酸化物を残す。リチウムの水素化物は水分の存在下で容易に水酸化物に変換され、腐食作用と熱作用により皮膚に強い刺激を与える。同様の影響が呼吸器粘膜に接触した場合にも起こりうる(HSDB (Accessed Sep 2024))。 | |||
| 呼吸器感作性 | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 | |||
| 皮膚感作性 | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 | |||
| 生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 | |||
| 発がん性 | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 | |||
| 生殖毒性 | 【分類根拠】 本物質自体のデータはないが、(1)〜(5)より本物質もLi+イオンによる生殖発生影響を有すると考えられ、母乳への移行も懸念されることから、区分1A、追加区分(授乳影響)とした。 【根拠データ】 (1)リチウムの水素化物は水分の存在下で容易に水酸化物に変換される(HSDB (Accessed Oct. 2024))。水酸化リチウム(CAS登録番号:1310-65-2)は腐食性を有するが、水溶液中では完全に解離しリチウム陽イオン(Li+)と水酸化物イオン(OH-)を生成すると考えられている。OH-はもともと体内に存在する生理的な陰イオンであり、体内では生理的な陰イオンプールに迅速に取込まれるか、中和されるため影響を及ぼさないことから、水溶性リチウム化合物の全身毒性はLi+に依存すると考えられる(EU CLP CLH (2021))。 (2)妊娠第1三半期中の妊婦のリチウム使用が心奇形(エブスタイン奇形と対応した右心室の流出路の閉鎖障害)のリスク増加と関連があり、この相関は用量依存的であることが示された。これは最近の他の疫学研究結果からも支持される。妊婦のリチウム使用と心奇形のリスク増加の相関度は従来考えられていたよりも低いとの報告があるが、これはリチウム使用の妊婦では流産(自然流産及び治療的流産)の頻度が高いこと、リチウムが処方される妊婦の数が限られていることが関連していると考えられる。実験動物においても神経発生影響、胎児体重及び同腹児数の減少が認められている(EU CLP CLH (2021))。 (3)ヒトの母乳及び乳児の血清中にリチウムが検出されたこと、授乳中のみリチウムにばく露された母ラットの児動物では腎臓と甲状腺機能への影響に加えて、新生児では排出系の発達が未熟なためリチウムの排泄に時間がかかることから、リチウム治療を実施した母親の母乳で育てられた子供の健康には懸念がある(EU CLP CLH (2021))。 (4)本邦におけるリチウム製剤の主成分は炭酸リチウムであるが、添付文書には妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投薬は禁忌とされ、理由として動物実験で催奇形作用、ヒトで心臓奇形の増加の報告があると記載されている。また、ヒトで母乳を介した児への移行が確認されていること、母乳を介したリチウムばく露により児にリチウム中毒の徴候がみられたこと等から、授乳を避けさせる旨記載されている(炭酸リチウム錠の添付文書(複数社)、PMDA(医薬品医療機器総合機構)ホームページより入手)。 【参考データ等】 (5)本邦GHSの既存分類で、水酸化リチウムは区分1A、追加区分(授乳影響)に分類されている(政府GHS分類結果 (2022年度))。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 (1)〜(3)より区分2(呼吸器)とした。 【根拠データ】 (1)アルミニウムの水素化物は水分と反応し、水酸化物を残す。リチウムの水素化物は水分の存在下で容易に水酸化物に変換され、腐食作用と熱作用により皮膚に強い刺激を与える。同様の影響が呼吸器粘膜に接触した場合にも起こりうる(HSDB (Accessed Sep 2024))。 (2)吸入すると有害である可能性があり、呼吸器系に刺激を与える。過剰ばく露の症状として、喉頭、気管支の痙攣、炎症、浮腫、肺水腫、咳、喘鳴、喉頭炎、吐き気、嘔吐などがある(HSDB (Accessed Sep 2024))。 (3)リチウムの水素化物は水分の存在下で容易に水酸化物に変換され、腐食作用と熱的作用により皮膚に強い刺激を与える。同様の作用は、目や呼吸器粘膜に接触した場合にも起こる可能性がある(HSDB (Accessed Oct. 2024))。 【参考データ等】 (4)水酸化リチウム(CAS RN: 1310-65-2)の本項分類は区分1(気道)である(2009年度政府GHS分類結果)。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 | |||
| 誤えん有害性* | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 | |||
| * JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 | ||||
| 12.環境影響情報 | |||
|---|---|---|---|
| 生態毒性 | |||
| 水生環境有害性 短期(急性) | - | ||
| 水生環境有害性 長期(慢性) | - | ||
| 残留性・分解性 | - | ||
| 生態蓄積性 | - | ||
| 土壌中の移動性 | - | ||
| オゾン層への有害性 | - | ||
| 13.廃棄上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 | ||
| 14.輸送上の注意 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
| 国際規制 | ||||
| 国連番号 | 1410 | |||
| 品名(国連輸送名) | 水素化リチウムアルミニウム | |||
| 国連分類 | 4.3 | |||
| 副次危険 | - | |||
| 容器等級 | I | |||
| 海洋汚染物質 | 該当しない | |||
| MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
| 国内規制 | ||||
| 海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う | |||
| 航空規制情報 | 航空法の規定に従う | |||
| 陸上規制情報 | 消防法、道路法の規定に従う | |||
| 特別な安全上の対策 | 消防法、道路法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
| その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
| 緊急時応急措置指針番号* | 138 | |||
| * 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。 | ||||
| 15.適用法令 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
| 労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【37 アルミニウム及びその水溶性塩】 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降)【4 アルミニウム及びその水溶性塩】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【37 アルミニウム及びその水溶性塩】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降)【4 アルミニウム及びその水溶性塩】 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) | |||
| 化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | - | |||
| 毒物及び劇物取締法 | - | |||
| 消防法 | 第3類 自然発火性物質及び禁水性物質(法第2条第7項危険物別表第1・第3類) 【8 金属の水素化物】 | |||
| 水道法 | 水質基準(平15省令101号) 【33 アルミニウム及びその化合物】 | |||
| 水質汚濁防止法 | 指定物質(法第2条第4項、施行令第3条の3) 【44 アルミニウム及びその化合物】 | |||
| 船舶安全法 | 可燃性物質類・水反応可燃性物質(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
| 航空法 | 可燃性物質類・水反応可燃性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
| 港則法 | その他の危険物・可燃性物質類(水反応可燃性物質)(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表) | |||
| 道路法 | 車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2) | |||
| 16.その他の情報 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 参考文献 | ||||
| 9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・2024 Emengency Response Guidebook ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 ・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」 | ||||