1.化学品及び会社情報 | |||
---|---|---|---|
化学品の名称 | エテホン | ||
化学品の英語名称 | Ethephon | ||
製品コード | R03-C-042-MHLW | ||
供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 農薬(植物成長調整剤) (NITE-CHRIPより引用) |
2.危険有害性の要約 | |||
---|---|---|---|
GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R4.3.15、政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver2.0))を使用 ※一部、ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009) | ||
物理化学的危険性 | - | ||
健康に対する有害性 | 急性毒性(経口) | 区分4 | |
急性毒性(経皮) | 区分3 | ||
急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分4 | ||
皮膚腐食性/刺激性 | 区分1 | ||
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | ||
生殖毒性 | 区分2 | ||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分2(神経系) | ||
分類実施日 (環境有害性) | ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009) | ||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分3 | |
水生環境有害性 長期(慢性) | 区分3 | ||
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | 飲み込んだ場合や吸入した場合は有害 皮膚に接触すると有毒 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い 神経系の障害のおそれ 長期継続的影響により水生生物に有害 | ||
注意書き | |||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 取扱い後は手をよく洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | ||
応急措置 | 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を水【又はシャワー】で洗うこと。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 直ちに医師に連絡すること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 口をすすぐこと。 汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 | ||
保管 | 施錠して保管すること。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
---|---|---|---|
化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
化学名又は一般名 | エテホン | ||
慣用名又は別名 | 2−クロロエチルホスホン酸 | ||
英語名 | Ethephon 2-chloroethylphosphonic acid | ||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | C2H6ClO3P (144.49) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 16672-87-0 | ||
官報公示整理番号(化審法) | 2-2930 | ||
官報公示整理番号(安衛法) | 2-(3)-21 | ||
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | 情報なし |
4.応急措置 | |||
---|---|---|---|
吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 直ちに医師に連絡すること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 | ||
皮膚に付着した場合 | 多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を水【又はシャワー】で洗うこと。 気分が悪いときは医師に連絡すること。P312 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 直ちに医師に連絡すること。 | ||
飲み込んだ場合 | 気分が悪いときは医師に連絡すること。 口をすすぐこと。 無理に吐かせないこと。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 情報なし | ||
応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
---|---|---|---|
適切な消火剤 | 小火災:粉末消火剤、二酸化炭素、散水 大火災:粉末消火剤、二酸化炭素、耐アルコール泡消火剤、散水 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状注水 | ||
火災時の特有の危険有害性 | 可燃性。 火災の場合、有害物質(リン酸化物、塩化水素、一酸化炭素)が放出される可能性がある。 | ||
特有の消火方法 | 安全にできるのであれば、火災の場所から損傷していない容器を移動する。 消火水をせき止め、後で廃棄する。 消火活動は、有効に行える最も遠い距離から、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。 容器内に水を入れてはいけない。 消火後も大量の水を用いて容器を冷却する。 安全弁から音が発生したり、タンクが変色したときは直ちに避難する。 火災に巻き込まれたタンクから常に離れる。 | ||
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具を着用する。 密閉型防護服を着用する。 防火服は、熱に対する防護はするが、化学物質に対しては限定的である。 |
6.漏出時の措置 | |||
---|---|---|---|
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 適切な呼吸器用保護具を着用する。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 耐薬品用保護衣を着用する(火災の危険性がない時)。 すべての着火源をすぐ近くから取り除く(現場での喫煙、火花や火炎の禁止)。 適切な防護衣を着けていないときは、破損した容器あるいは漏洩物に触れてはいけない。 流出や漏れている場所から、全ての方向に適切な距離をとる。 必要により、風下に適切な隔離距離をとる。 | ||
環境に対する注意事項 | 環境汚染を引き起こすおそれがある。 漏出物が地面や河川や下水に流出することを避ける。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 危険でなければ、漏れを止める。 排水溝、下水溝、地下室や狭い場所への流入を防ぐ。 乾燥した土、砂や不燃性物質で吸収し、あるいは覆って容器に移す。 容器内に水をいれてはいけない。 | ||
二次災害の防止策 | 情報なし |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
---|---|---|---|
取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱注意事項 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 環境への放出を避けること。 粉じんの発生を防ぐ。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | 取扱い後は手をよく洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 施錠して保管すること。 | ||
安全な容器包装材料 | 情報なし |
8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
---|---|---|---|---|
許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
管理濃度 | 未設定 | |||
許容濃度等 | ||||
日本産衛学会(2021年版) | 未設定 | |||
ACGIH(2022年版) | 未設定 | |||
設備対策 | 取り扱いの場所の近くに、洗眼及び身体洗浄のための設備を設ける。 作業場では全体換気を行う。 設備は可能であれば密閉系とし局所排気装置を用いる。 | |||
保護具 | ||||
呼吸用保護具 | 作業者が粉塵に暴露される場合は呼吸保護具(防じんマスク等)の着用を検討する。 防じんマスクの選択については、以下の点に留意する。 -酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。また、有害なガスが存在する場所においては防じんマスクを使用せず、その他の呼吸用保護具の利用を検討すること。 -防じんマスクは、日本工業規格(JIS T8151)に適合した、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。 | |||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。 | |||
眼の保護具 | 保護眼鏡を着用する。 | |||
皮膚及び身体の保護具 | 保護衣を着用する。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
---|---|---|---|
物理的状態 | |||
物理状態 | 固体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 白色 | ||
臭い | データなし | ||
融点/凝固点 | 74〜75 ℃(GESTIS(2022)、PubChem(2022)) 47.25 ℃(PubChem(2022)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 加熱分解する(GESTIS(2022)) | ||
可燃性 | 可燃性(GESTIS(2022)) | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
引火点 | データなし | ||
自然発火点 | データなし | ||
分解温度 | 265 ℃(GESTIS(2022)) | ||
pH | データなし | ||
動粘性率 | データなし | ||
溶解度 | 水: 1239 g/l(GESTIS(2022)) 水: 6.92 M(PubChem(2022)) メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、ジエチルエーテル、その他の極性有機溶媒に易溶(PubChem(2022)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | Log Kow: -0.22(PubChem(2022)) | ||
蒸気圧 | 9.80X10-8 mmHg(PubChem(2022)) <7.5X10-8 mmHg(20℃)(PubChem(2022)) | ||
密度及び/又は相対密度 | 1.409 g/cm3(GESTIS(2022)) 1.2 g/cu cm(PubChem(2022)) | ||
相対ガス密度 | データなし | ||
粒子特性 | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
---|---|---|---|
反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 水溶液はpH3.5以下で安定。 | ||
危険有害反応可能性 | 可燃性。吸湿性がある。紫外線に対し影響を受ける。加熱分解すると一酸化炭素、二酸化炭素、塩化水素を生じる。アルカリ性との反応によりエチレンガスが発生する。 | ||
避けるべき条件 | 熱、紫外線 | ||
混触危険物質 | 塩基 | ||
危険有害な分解生成物 | 一酸化炭素、塩化水素 |
11.有害性情報 | ||||
---|---|---|---|---|
急性毒性 | ||||
経口 | 【分類根拠】 (1)〜(4)より、有害性の高い区分を採用し、区分4とした。なお、新たな知見に基づき分類結果を変更した。旧分類からEUで急性毒性(経口、経皮)のGHS区分が変更されたことに伴い、急性毒性項目のみ見直した(2021年)。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:2,144 mg/kg(雄:2,664 mg/kg、雌:1,563 mg/kg)(OECD TG 401)(CLP Report (2011)、JMPR (2015)) (2)ラットのLD50:1,600 mg/kg(EPA pestiside RED (1995)) (3)ラット(雄)のLD50:2,639 mg/kg(JMPR (2015)) (4)ラット(雌)のLD50:1,564 mg/kg(JMPR (2015)) 【参考データ等】 (5)本物質はEU CLHにおいて、区分4に分類されている。 | |||
経皮 | 【分類根拠】 (1)より、雌のデータに基づき区分3とした。なお、新たな知見に基づき分類結果を変更した。旧分類からEUで急性毒性(経口、経皮)のGHS区分が変更されたことに伴い、急性毒性項目のみ見直した(2021年)。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:1,517 mg/kg (雄:1,210 mg/kg、雌:983 mg/kg)(OECD TG 402)(CLP Report (2011)、JMPR (2015)) 【参考データ等】 (2)本物質はEU CLHにおいて、区分3に分類されている。 | |||
吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 | |||
吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。旧分類からEUで急性毒性(経口、経皮)のGHS区分が変更されたことに伴い、急性毒性項目のみ見直したが、分類結果に変更はない(2021年)。 | |||
吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 (1)より、区分4とした。旧分類からEUで急性毒性(経口、経皮)のGHS区分が変更されたことに伴い、急性毒性項目のみ見直したが、分類結果に変更はない(2021年)。 【根拠のデータ】 (1)ラットのLC50(4時間):3.20 mg/L(OECD TG 403)(CLH Report (2011)) 【参考データ等】 (2)ラットのLC50(ばく露時間不明) :3.26mg/L(OECD TG 403)(JMPR(2015)、EFSA (2008)、EPA pestiside RED (1995)) | |||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | ウサギの皮膚に水溶液として0.5 mLを1〜4時間適用し、6匹中4匹に斑点状の壊死と浮腫、6匹に接触性紅斑が観察され、本物質の腐食性(corrosive)が明らかになったと報告され(JMPR 861(1993))、かつ、本物質のpHはおよそ1との記述(Sax(11th, 2004))により、区分1とした。 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | ウサギの結膜嚢に適用した試験で角膜傷害が報告され(HSDB(2010))、かつ、本物質のpHがおよそ1との記述(Sax(11th, 2004))により、区分1とした。なお、本物質は皮膚刺激性試験で腐食性を示し、眼に対しても作用をがあり、EPAではカテゴリーI(4段階中の最も高いカテゴリー)に位置付けられいる(EPA RED factsheet(1996))。 | |||
呼吸器感作性 | データなし。 | |||
皮膚感作性 | モルモットを用いた皮膚感作性試験で接触感作性の証拠は認められなかった(JMPR 861(1993))との結果、さらに本物質は皮膚感作性を惹起せず、EPAにより陰性であると結論付けられている(EPA RED(1995))ことから、区分に該当しないとした。 | |||
生殖細胞変異原性 | ラットを用いた優性致死試験(生殖細胞in vivo経世代変異原性試験)およびマウスを用いた小核試験(in vivo変異原性試験)でいずれも陰性(JMPR 861(1993))の報告に基づき、区分に該当しないとした。なお、in vitro試験としては、エームス試験で陽性、チャイニーズハムスターの卵巣細胞を用いた染色体異常試験で陰性、チャイニーズハムスターの卵巣細胞を用いたHGPRT遺伝子突然変異試験で陰性の結果(JMPR 861(1993))が報告されている。 | |||
発がん性 | ラットを用い104週間または97〜104週間の混餌投与による2つの試験でいずれも発がん性は認められなかった(JMPR 861(1993))と報告され、さらにマウスに78週間混餌投与による2つの試験でいずれもばく露に関連する腫瘍発生の増加はなく、発がん性は示されなった(JMPR 861(1993))と報告されている。2種の動物で各2回実施された発がん性試験で、いずれも発がん性の証拠が得られなかったことにより区分に該当しないとした。 | |||
生殖毒性 | ラットに交配前から交配、妊娠、分娩および授乳の各期間を通じて混餌投与した二世代生殖試験の二世代目において、高用量(30000 ppm)群の親動物が妊娠および授乳期間中に体重低下を示し、第2産仔で死産および周産期死亡の増加が報告されている(JMPR 861(1993))、さらに妊娠ウサギの器官形成期に経口投与した試験では催奇形性は認められなかったが、母動物が生存率低下および体重増加抑制を示し、同一用量で着床後胚損失率および早期吸収率の高値、平均生存仔数の低値が報告されている(JMPR 861(1993))。以上の結果により、区分2とした。なお、二世代生殖試験の各世代とも交配、受胎、妊娠を含む性機能および生殖能に影響はなく(EPA RED(1995))、また、妊娠ラットの器官形成期投与試験では、催奇形性を含む仔の発生に悪影響は認められなかった(JMPR 861(1993))。 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | ラットに経口投与により1000〜2000 mg/kgで死亡例の発生(雌のみ)に加え、一過性の症状として瞳孔収縮、排尿増加、体温低下、運動低下などが認められた(JMPR 861(1993))。一方、本物質は高用量で実験動物に対し、流涎、流涙、排尿、排便などの有機リン酸類に類似の中毒症状を引き起こし、最も鋭敏なばく露の指標は低用量でも現れる血球および血漿のコリンエステラーゼ阻害である(IRIS RED(2006))と述べられている。以上の知見に基づき、ラットでガイダンス値区分2に相当する用量で症状が認められていることから区分2(神経系)とした。 | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | ヒトのボランティアを用いた試験で16日間または22日間経口投与により、血漿コリンエステラーゼ活性の有意な阻害が報告されている(JMPR 861(1993))。また、実験動物では、ラットに4週間、マウスに4週間、およびイヌに2年間経口投与した試験で、血漿および赤血球のコリンエステラーゼ活性の有意な阻害が報告されている(JMPR 861(1993))。本物質のばく露による血漿および赤血球のコリンエステラーゼ活性阻害は低用量でも現れ、鋭敏なばく露の指標とされている(IRIS(2006))が、上述のヒトの試験および動物試験とも認められた影響は、検査値(コリンエステラーゼ活性値)の変化のみで、関連する中毒症状や病理学的変化などその他の影響を伴っていないことから、「分類できない」とした。 | |||
誤えん有害性* | データなし。 | |||
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 |
12.環境影響情報 | |||
---|---|---|---|
生態毒性 | |||
水生環境有害性 短期(急性) | 藻類(Chlorella pyrenoidosa)の96時間EC50 = 23.5 mg/L(AQUIRE, 2012)から、区分3とした。 | ||
水生環境有害性 長期(慢性) | 慢性毒性データを用いた場合、急速分解性でない(BIOWIN)が、藻類(Chlorella pyrenoidosa)の96時間NOEC = 2 mg/L(AQUIRE, 2012)であることから、区分に該当しないとなる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 31.7 mg/L(AQUIRE, 2012)であることから、区分3となる。 以上の結果を比較し、区分3とした。 | ||
残留性・分解性 | 情報なし | ||
生態蓄積性 | 情報なし | ||
土壌中の移動性 | 情報なし | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
---|---|---|---|
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 2811 | |||
品名(国連輸送名) | 毒性固体(有機物)、n.o.s. | |||
国連分類 | 6.1 | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | V | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 該当しない | |||
特別な安全上の対策 | 該当しない | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 154 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
---|---|---|---|---|
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 該当しない | |||
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) | 該当しない | |||
毒物及び劇物取締法 | 該当しない | |||
船舶安全法 | 腐食性物質(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
航空法 | 腐食性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1) |
16.その他の情報 | ||||
---|---|---|---|---|
参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 |