1.化学品等及び会社情報 | |||
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化学品等の名称 | メチル-tert-ブチルエーテル (別名: MTBE) (Methyl tert-butyl ether) | ||
製品コード | H29-B-045 | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | ガソリンのオクタン価向上剤 |
2.危険有害性の要約 | ||||
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GHS分類 | ||||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | H30.3.16、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改訂版 (ver1.1):JIS Z7252:2014準拠) を使用 | |||
GHS改訂4版を使用 | ||||
物理化学的危険性 | 引火性液体 | 区分2 | ||
健康に対する有害性 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | ||
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分3 (気道刺激性、麻酔作用) | |||
分類実施日 (環境有害性) | 環境に対する有害性はH18年度、GHS分類マニュアル(H18.2.10版)を使用 | |||
環境に対する有害性 | - | |||
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」又は「分類できない」に該当する。なお、これらに該当する場合は後述の11項に記載した。 | ||||
GHSラベル要素 | ||||
絵表示 | ||||
注意喚起語 | 危険 | |||
危険有害性情報 | 引火性の高い液体及び蒸気 皮膚刺激 眼刺激 呼吸器への刺激のおそれ 眠気又はめまいのおそれ | |||
注意書き | ||||
安全対策 | 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 容器を密閉しておくこと。 容器を接地すること/アースをとること。 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器を使用すること。 火花を発生させない工具を使用すること。 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 取扱後はよく手を洗うこと。 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | |||
応急措置 | 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 気分が悪い時は医師に連絡すること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 火災の場合:消火するために適切な消火剤を使用すること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 | |||
保管 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 涼しいところに置くこと。 施錠して保管すること。 | |||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | |||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
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単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | メチル-tert-ブチルエーテル | ||
別名 | MTBE 1-メトキシ-1,1-ジメチルエタン | ||
濃度又は濃度範囲 | 100% | ||
分子式 (分子量) | C5H12O (88.15) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 1634-04-4 | ||
官報公示整理番号 (化審法) | 2-3220 | ||
官報公示整理番号 (安衛法) | 2-(2)-133(官報公示名称 2−メトキシ−2−メチルプロパン ) 2-(12)-134(官報公示名称 tert−ブチルメチルエーテル ) | ||
分類に寄与する不純物及び 安定化添加物 | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。人工呼吸が必要な場合がある。医療機関に連絡する。 | ||
皮膚に付着した場合 | 直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐ。水に活性炭を懸濁した液を飲ませる。吐かせない。医療機関に連絡する。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入:嗜眠、めまい、頭痛、脱力感、意識喪失 皮膚:皮膚の乾燥、発赤 眼:発赤 経口摂取:腹痛、吐き気、嘔吐、その他(「吸入」参照) | ||
応急措置をする者の保護 | 救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。 | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
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消火剤 | 粉末消火薬剤、AFFF(水性膜泡消火薬剤)、泡消火薬剤、二酸化炭素 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状注水 | ||
特有の危険有害性 | きわめて燃えやすい。熱、火花、火炎により容易に発火する。 蒸気は空気と爆発性混合気を形成する。 蒸気が着火源まで達し、発火するおそれがある。 火災時に刺激性、腐食性、毒性のガスを発生するおそれがある。 | ||
特有の消火方法 | 引火点が極めて低い:消火の効果がないおそれがある場合は散水を行う。 火元への燃焼源を断ち、消火剤を使用して消火する。 延焼の恐れのないよう水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。 消火活動は風上から行う。 火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 | ||
消火を行う者の保護 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服(耐熱性)を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び 緊急措置 | 関係者以外の立ち入りを禁止する。 作業者は適切な保護具(有機ガス及び蒸気用フィルター付マスク等)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。 | ||
環境に対する注意事項 | 周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。下水に流してはならない。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 危険でなければ漏れを止める。 すべての発火源を取り除く。 漏れた液やこぼれた液を密閉式の容器に出来る限り集める。 残留液を砂又は不活性吸収物質に吸収させて安全な場所に移す。 下水に流してはならない。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱い注意事項 | 充填、取り出し、取扱い時に圧縮空気を使用しないこと。 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 容器を密閉しておくこと。 容器を接地すること/アースをとること。 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器を使用すること。 火花を発生させない工具を使用すること。 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 取扱後はよく手を洗うこと。 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 涼しいところに置くこと。 施錠して保管すること。 耐火設備で保管する。 強酸化剤、強酸から離しておく。 | ||
安全な容器包装材料 | 消防法及び国連輸送法規で規定されている容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
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管理濃度 | 未設定 | ||
許容濃度 | |||
日本産衛学会(2017年度版) | 未設定 | ||
ACGIH(2017年版) | TLV-TWA: 50 ppm、180 mg/m3 | ||
設備対策 | 取り扱いの場所の近くに、洗眼及び身体洗浄剤のための設備を設ける。 高温下や、ミストが発生する場合は換気装置を使用する。 | ||
保護具 | |||
呼吸用保護具 | 換気、局所排気、又は呼吸用保護具を使用する。 | ||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。 | ||
眼の保護具 | 安全ゴーグル、顔面シールドを着用する。 | ||
皮膚及び身体の保護具 | 保護衣を着用する。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
形状 | 液体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 無色液体 (HSDB (2017)) | ||
臭い | テルペン臭 (HSDB (2017)) | ||
臭いのしきい(閾)値 | 情報なし | ||
pH | 情報なし | ||
融点・凝固点 | -108.6℃ (HSDB (2017)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 55℃ (HSDB (2017)) | ||
引火点 | -33.0℃(-27.4°F)(c.c.) (HSDB (2017)) | ||
蒸発速度(酢酸ブチル=1) | 情報なし | ||
燃焼性(固体、気体) | 該当しない | ||
燃焼又は爆発範囲 | 1.5〜8.5 (HSDB (2017)) | ||
蒸気圧 | 27 kPa (20℃) (ICSC (J) (2000)) | ||
蒸気密度 | 3.0(計算値) (ICSC (J) (2000)) | ||
比重(相対密度) | 0.741 (20℃/4℃) (HSDB (2017)) | ||
溶解度 | 水:4.8 g/100 g (HSDB (2017)) エタノールに易溶 (HSDB (2017)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | log Kow = 0.94 (HSDB (2017)) | ||
自然発火温度 | 374℃ (HSDB (2017)) | ||
分解温度 | 情報なし | ||
粘度(粘性率) | 情報なし |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 酸溶液中で不安定である。 | ||
危険有害反応可能性 | 強酸化剤と激しく反応し、火災の危険をもたらす。酸と接触すると分解する。 | ||
避けるべき条件 | 混触危険物質との接触 | ||
混触危険物質 | 強酸化剤、強酸 | ||
危険有害な分解生成物 | 火災時に刺激性、腐食性、毒性のガスを発生するおそれがある。 |
11.有害性情報 | |||
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急性毒性 | |||
経口 | GHS分類: 区分外 ラットのLD50値として、2,963 mg/kg (IARC 73 (1999)、ACGIH (7th, 2002))、3,800 mg/kg (EHC 206 (1998)、EU-RAR (2002)、DFGOT vol. 17 (2002))、3,866 mg/kg (ATSDR (1996)、EHC 206 (1998)、EU-RAR (2002)、PATTY (6th, 2012))、4,000 mg/kg (EU-RAR (2002)、DFGOT vol. 17 (2002))、> 2,000 mg/kg (EU-RAR (2002)) との5件の報告があり、4件が区分外 (国連分類基準の区分5)、1件が区分外 (国連分類基準の区分5)又は区分外に該当する。件数の多い区分を採用し、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。 | ||
経皮 | GHS分類: 区分外 ウサギのLD50値として、10,000 mg/kg (EHC 206 (1998)、DFGOT vol. 17 (2002))、> 7,400 mg/kg (IARC 73 (1999))、> 10,000 mg/kg (ATSDR (1996)、EHC 206 (1998))、> 10,200 mg/kg (EHC 206 (1998)、DFGOT vol. 17 (2002)、EU-RAR (2002))、及びラットのLD50値として、> 2,000 mg/kg (EU-RAR (2002))、> 6,800 mg/kg (DFGOT vol. 17 (2002)) との報告に基づき、区分外とした。 | ||
吸入:ガス | GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における液体である。 | ||
吸入:蒸気 | GHS分類: 区分外 ラットの4時間吸入ばく露試験のLC50値として、23,576 ppm (ACGIH (7th, 2002))、85 mg/L (23,800 ppm) (EU-RAR (2002))、86 mg/L (24,080 ppm) (IARC 73 (1999))、33,370 ppm (ATSDR (1996)、EU-RAR (2002)、PATTY (6th, 2012))、39,395 ppm (PATTY (6th, 2012)、EU-RAR (2002))、85〜142 mg/L (23,800〜39,760 ppm) (DFGOT vol. 17 (2002)) との報告に基づき、区分外とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (267,327 ppm) の90%よりも低いため、ミストがほとんど混在しないものとして、ppmを単位とする基準値を適用した。 | ||
吸入:粉じん及びミスト | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。 | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | GHS分類: 区分2 ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG 404準拠) において、本物質の4時間の適用で中等度から重度の浮腫及び中等度の紅斑が認められたとの報告 (EU-RAR (2002)) から、区分2とした。なお、EU CLP分類において本物質はSkin Irrit. 2 に分類されている(ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | GHS分類: 区分2B ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG 405準拠) において、本物質の適用により発赤、肥厚、結膜浮腫、分泌亢進等の眼刺激性を示す症状がみられたが、7日以内に回復したとの報告 (DFGOT vol. 17 (2002)) から、区分2Bとした。 | ||
呼吸器感作性 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。 | ||
皮膚感作性 | GHS分類: 区分外 モルモットを用いた皮膚感作性試験において、複数の試験で本物質は陰性であるとの報告 (EHC 206 (1998)、DFGOT vol. 17 (2002)、EU-RAR (2002)、ATSDR (1996)) から、区分外とした。 | ||
生殖細胞変異原性 | GHS分類: 分類できない ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウスの末梢血を用いた小核試験、ラット、マウスの骨髄細胞を用いた染色体異常試験、マウスの脾臓リンパ球を用いた遺伝子突然変異試験、マウスの肝臓細胞を用いた不定期DNA合成試験でいずれも陰性、ラットのリンパ球を用いたコメットアッセイで陽性である (EU-RAR (2002)、IARC 73 (1999)、環境省リスク評価第4巻 (2005)、ACGIH (7th, 2002)、ATSDR (1996)、EHC 206 (1998)、DFGOT vol. 17 (2002)、ECETOC TR72 (1997))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、小核試験、染色体異常試験で陰性、マウスリンフォーマ試験で陽性、姉妹染色分体交換試験で不明確な結果である (EU-RAR (2002)、IARC 73 (1999)、環境省リスク評価第4巻 (2005)、ACGIH (7th, 2002)、DFGOT vol. 17 (2002)、EHC 206 (1998)、PATTY (6th, 2012)、ECETOC TR72 (1997))。 | ||
発がん性 | GHS分類: 分類できない ラットに2年間、マウスに18ヵ月間吸入ばく露した発がん性試験において、ラットでは雄に3,000 ppm で腎臓腫瘍 (尿細管腺腫及びがんの合計頻度) と精巣間細胞腺腫の有意な増加が、マウスの試験では雌の8,000 ppm群で肝臓腫瘍 (肝細胞腺腫及びがんの合計頻度) の増加がみられた (ACGIH (7th, 2002)、IARC 73 (1999)、EU-RAR (2002))。また、ラットに2年間強制経口投与した発がん性試験では1,000 mg/kg/day で雄に精巣間細胞の腫瘍、雌にリンパ腫及び白血病の増加がみられた (ACGIH (7th, 2002)、IARC 73 (1999)、EU-RAR (2002))。これらの腫瘍のうち、腎臓腫瘍はα2uグロブリン増加に関連した雄ラット特異的な所見で (EU-RAR (2002))、精巣間細胞の腫瘍は加齢による寄与が大きい (ACGIH (7th, 2002)) など、いずれもヒトには当てはまらないと結論された (EU-RAR (2002))。既存分類としては、IARCが実験動物での発がん性の証拠は限定的としてグループ3に分類した (IARC 73 (1999)) のに対し、ACGIHはα2uグロブリンによる雄ラットの腎臓腫瘍と雌マウスの肝臓腫瘍は実験動物での発がん性を示す所見と判断し、A3に分類した (ACGIH (7th, 2002))。一方、EUリスク評価ではマウスの肝臓腫瘍も、ラットのリンパ血液系のがんもヒトへの外挿性を考える上で不確実性があり、本物質の発がん性分類は分類区分なし (non-classification) とカテゴリー3 (旧DSD分類で現行CLP分類のカテゴリー2に相当) との境界域に該当すると結論しており (EU-RAR (2002))、EUは本物質の発がん性に関し分類区分を付していない (ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。以上、IARCの結論とEUの見解を踏まえて、区分2とするには根拠が不十分と考え、分類できないとした。 | ||
生殖毒性 | GHS分類: 分類できない ラットを用いた吸入ばく露による1世代試験では、親動物では250 ppm 以上で2回目の妊娠時に妊娠率の低下傾向 (有意差なし)、児動物には1,000 ppm以上で出生時及び生後4日での生存率低下がみられたが、2腹目の児動物には生存率の低下はみられなかった (EU-RAR (2002))。また、ラットを用いた吸入ばく露による2世代試験において、親動物ではF0の3,000 ppm以上で活動性低下及び眼瞼痙攣、8,000 ppm以上で体重増加抑制、F1の3,000 ppm以上で体重増加抑制が、児動物ではF1の8,000 ppmで死亡児数の増加がみられた (一腹で全児16匹の死亡がみられたことによる死亡児数増加で、全体の生存率には変化がなく、本物質投与による影響とは考えられなかった) だけで、生殖能への影響は示されなかった (EU-RAR (2002)、ACGIH (7th, 2002))。一方、妊娠ラット又は妊娠マウスの器官形成期に吸入ばく露した発生毒性試験では、ラット、マウスとも250 ppmから母動物に摂餌量減少がみられたが、胎児には2,500 ppmまでラットでは影響なし、マウスでは2,500 ppmで胸骨分節癒合がみられた (EU-RAR (2002)、ACGIH (7th, 2002)) が、肋骨、脊椎骨に異常がないことから投与による影響ではないと考えられた (EU-RAR (2002))。また、妊娠マウス及び妊娠ウサギを用いたより高濃度 (最高8,000 ppm) の発生毒性試験においても、ウサギの試験では発生影響はみられず、マウスの試験では8,000 ppmで胎児に口蓋裂の頻度増加がみられた (EU-RAR (2002)、ACGIH (7th, 2002)) が、顕著な母動物毒性 (4,000 ppm以上で運動失調、衰弱、努力呼吸などの症状、8,000 ppmで体重増加抑制、着床後胚損失など) による二次的影響と考えられた (EU-RAR (2002))。 | ||
一方、ACGIHでは妊娠マウスを用いた発生毒性試験において、4,000 ppm以上でみられた骨格変異頻度の増加、及び8,000 ppmでの口蓋裂はともに本物質投与による影響と判断し、母動物毒性、発生毒性に対するNOELはともに1,000 ppmであると記述されている (ACGIH (7th, 2002))。 以上、吸入経路によるラットを用いた1世代及び2世代試験、及び複数の発生毒性試験からは生殖発生毒性の証拠は示されなかった。しかしながら、妊娠マウスを用いた発生毒性試験の最高用量でみられた口蓋裂の頻度増加が母動物毒性による二次的影響かどうかの判断は難しく、本項は分類ガイダンスに従い、分類できないとした。 | |||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | GHS分類: 区分3 (気道刺激性、麻酔作用) マウスの単回吸入ばく露試験において、300 mg/m3以上で、ばく露開始直後から呼吸数の低下が認められ、気道刺激性を示すものであると報告されている (EHC 206 (1998)、ACGIH (7th, 2002)、EU-RAR (2002))。また、ラットの4時間単回吸入ばく露試験において、区分2超の20 mg/L以上で運動失調、歩行異常、振戦が認められたとの報告がある (EHC 206 (1998)、ACGIH (7th, 2002)、EU-RAR (2002)、DFGOT vol. 17 (2002)、IARC 73 (1999))。更にラットの単回経口投与試験において、区分2超の2,000 mg/kg以上で、自発運動低下、筋力低下、過呼吸、運動失調、振戦、立ち直り反射の消失がみられたとの報告がある (EHC 206 (1998)、EU-RAR (2002))。これらの症状は、報告者らにより、一過性の中枢神経系の抑制を示すものであると考察されている (EHC 206 (1998)、EU-RAR (2002)、DFGOT vol. 17 (2002))。以上より区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。なお、ヒトでは、ボランティアによる吸入ばく露試験で、75 ppm、3時間の吸入ばく露で、問診の結果、被験者の一部がごく軽微な頭重感を訴えたとの報告がある (EU-RAR (2002)、EHC 206 (1998)、DFGOT vol. 17 (2002))。 | ||
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | GHS分類: 分類できない ヒトについては、本物質を含むガソリンにばく露された労働者のうち血中濃度が高いヒトで、ばく露と関連した症状 (頭痛、眼刺激、鼻や喉の灼熱感) を1 つ以上訴えた人達のオッズ比は8.9 (95%信頼区間1.2〜75.6) と有意に高いことが報告されている (環境省リスク評価第4巻 (2005)、ACGIH (7th, 2002))。 実験動物については、ラットあるいはマウスを用いた複数の経口あるいは吸入毒性試験が実施されており、区分2のガイダンス値の範囲内では分類根拠となる影響はみられていない。なお、区分2のガイダンス値の範囲を超える用量において主に神経系への影響がみられたほか、雄ラット特有の腎障害がみられている (環境省リスク評価第4巻 (2005)、ACGIH (7th, 2002)、EHC 206 (1998)、DFGOT vol. 17 (2002)、EU-RAR (2002))。 以上、分類根拠となる所見はみられないものの、ヒトにおいて刺激性のほか頭痛がみられていること、実験動物においても高用量で神経系への影響がみられることから区分外とはせず分類できないとした。 | ||
吸引性呼吸器有害性 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。 |
12.環境影響情報 | |||
---|---|---|---|
生態毒性 | |||
水生環境有害性(急性) | 甲殻類 (ミシッドシュリンプ)の96時間EC50 = 136 mg/L (EU-RAR (2002))から、区分外とした。 | ||
水生環境有害性(長期間) | 難水溶性でなく (水溶解度 = 51,000 mg/L (PHYSPROP Database (2005)))、急性毒性が低いことから、区分外とした。 | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
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残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 2398 | |||
国連品名 | METHYL tert-BUTYL ETHER | |||
国連危険有害性クラス | 3 | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | K | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書K及び IBCコードによるばら積み 輸送される液体物質 | 該当する(Z) | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 消防法、道路法の規定に従う。 | |||
特別な安全上の対策 | 消防法、道路法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 127 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2008 Emengency Response Guidebook (ERG 2008)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 危険物・引火性の物(施行令別表第1第4号) 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9) 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9) 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) | |||
道路法 | 車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2) | |||
消防法 | 第4類引火性液体、第一石油類非水溶性液体(法第2条第7項危険物別表第1・第4類) | |||
港則法 | その他の危険物・引火性液体類(法第21条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表) | |||
航空法 | 引火性液体(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
船舶安全法 | 引火性液体類(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
水質汚濁防止法 | 指定物質(法第2条第4項、施行令第3条の3) | |||
海洋汚染防止法 | 有害液体物質(Z類物質)(施行令別表第1) |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | 各データ毎に記載した。 | |||
[注意] 本SDSはJIS Z7253:2012 に準拠して作成しています。 |