1.化学品等及び会社情報 | |||
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化学品の名称 | N-メチルカルバミン酸2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチル-7-ベンゾ[b]フラニル (別名: カルボフラン) (Carbofuran) | ||
製品コード | R02-B-095 | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 殺虫剤 (NITE-CHRIPより引用) |
2.危険有害性の要約 | |||
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GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R3.3.12、政府向けGHS分類ガイダンス (令和元年度改訂版 (ver2.0)) を使用 | ||
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用) | |||
物理化学的危険性 | - | ||
健康に対する有害性 | 急性毒性 (経口) | 区分1 | |
急性毒性 (経皮) | 区分4 | ||
急性毒性 (吸入: 粉じん、ミスト) | 区分1 | ||
生殖毒性 | 区分1B | ||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1 (神経系) 区分3 (麻酔作用) | ||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1 (神経系) | ||
分類実施日 (環境有害性) | 令和元年度(2019年度)、政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) | ||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 (急性) | 区分1 | |
水生環境有害性 (長期間) | 区分1 | ||
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | ![]() ![]() ![]() | ||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | 飲み込むと生命に危険 皮膚に接触すると有害 吸入すると生命に危険 眠気又はめまいのおそれ 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ 神経系の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による神経系の障害 水生生物に非常に強い毒性 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 | ||
注意書き | |||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 容器を密閉しておくこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 呼吸用保護具を着用すること。 | ||
応急措置 | ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 直ちに医師に連絡すること。 皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 気分が悪いときは医師に連絡すること。 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 口をすすぐこと。 漏出物を回収すること。 | ||
保管 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
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単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | N-メチルカルバミン酸2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチル-7-ベンゾ[b]フラニル | ||
別名 | カルボフラン | ||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | C12H15NO3 (221.26) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | ![]() | ||
CAS番号 | 1563-66-2 | ||
官報公示整理番号 (化審法) | 情報なし | ||
官報公示整理番号 (安衛法) | 情報なし | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 直ちに医師に連絡すること。 人工呼吸が必要なことがある。 | ||
皮膚に付着した場合 | 多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 気分が悪いときは医師に連絡すること。 汚染された衣服を脱がせる。 | ||
眼に入った場合 | 数分間多量の水で洗い流し(できればコンタクトレンズをはずして)、医療機関に連絡する。 | ||
飲み込んだ場合 | 直ちに医師に連絡すること。 口をすすぐこと。 水に活性炭を懸濁した液を飲ませる。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入: 発汗、縮瞳、筋痙攣、唾液分泌過剰、めまい、嘔吐、息苦しさ、意識喪失。 経口摂取: 胃痙攣、下痢、頭痛、吐き気、嘔吐、脱力感、他の症状については、「吸入」参照。 | ||
応急措置をする者の保護 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | この物質により中毒を起こした場合は、特別の処置が必要であるため、指示のもとに適切な手段をとれるようにしておく。 市販の製剤に用いられている溶剤が、この物質の物性および毒性を変化させることがある。 |
5.火災時の措置 | |||
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適切な消火剤 | 水噴霧、乾燥粉末消火薬剤、耐アルコール性泡消火薬剤、二酸化炭素 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状注水 | ||
特有の危険有害性 | 不燃性。 有機溶剤を含む液体製剤は、引火性のことがある。 火災時に、刺激性あるいは有毒なフュームやガスを放出する。 製剤が引火性/爆発性溶剤を含む場合火災および爆発の危険性がある。 | ||
特有の消火方法 | 水を噴霧して容器類を冷却する。 | ||
消火を行う者の保護 | 情報なし |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式呼吸器を使用することとの記載あり) | ||
環境に対する注意事項 | 周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | この物質を環境中に放出してはならない。 こぼれた物質を、ふた付きの容器内に掃き入れる。 湿らせてもよい場合は、粉塵を避けるために湿らせてから掃き入れる。 残留分を、注意深く集める。 地域規則に従って保管処理する。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱い注意事項 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 容器を密閉しておくこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 環境への放出を避けること。 呼吸用保護具を着用すること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 作業衣を家に持ち帰ってはならない。 製剤に溶剤が使用されている場合は、その溶剤のICSCも参照のこと。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 消火により生じる流出物を収容するための用意 食品や飼料から離しておく。 | ||
安全な容器包装材料 | 国連危険物輸送勧告で規定された容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
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許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
管理濃度 | 未設定 | |||
許容濃度 | ||||
日本産衛学会 (2020年度版) | 未設定 | |||
ACGIH (2020年版) | TLV-TWA: 0.1 mg/m3 IFV (BEIC) | |||
設備対策 | 粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器又は局所排気装置を使用する。 | |||
保護具 | ||||
呼吸用保護具 | 状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式呼吸器を使用することとの記載あり) | |||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。 | |||
眼の保護具 | 呼吸用保護具と併用して、保護眼鏡を着用する。 | |||
皮膚及び身体の保護具 | 必要に応じて保護衣、保護エプロン等を着用する。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
物理状態 | 固体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 無色 | ||
臭い | 無臭 | ||
融点/凝固点 | 153℃ (ICSC (2004)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 310℃ (est) (U.S.EPA: Mpbpwin v1.43) | ||
可燃性 | 不燃性 (ICSC (2004)) | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | 該当しない | ||
引火点 | 該当しない | ||
自然発火点 | 該当しない | ||
分解温度 | 150℃ (ICSC (2004)) | ||
pH | データなし | ||
動粘性率 | 該当しない | ||
溶解度 | 水: 0.07 g/100 mL (25℃) (ICSC (2004)) N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、アセトニトリル、メチレンクロリドに易溶 (HSDB (Access on June 2020)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | log Kow = 2.32 (ICSC (2004)) | ||
蒸気圧 | 5.4E-007 mmHg (25℃) (HSDB (Access on June 2020)) | ||
密度及び/又は相対密度 | 1.2 g/cm3 (ICSC (2004)) | ||
相対ガス密度 | 該当しない | ||
粒子特性 | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 情報なし | ||
危険有害反応可能性 | 加熱すると、分解する。 窒素酸化物などの有毒なフュームを生じる。 | ||
避けるべき条件 | 加熱 | ||
混触危険物質 | 塩基、酸、強酸化剤 | ||
危険有害な分解生成物 | 窒素酸化物などの有毒なフューム |
11.有害性情報 | |||
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急性毒性 | |||
経口 | 【分類根拠】 (1)~(6) より、区分1とした。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 4.4~21 mg/kg (Canada Pesticides (2009)) (2) ラットのLD50: 雄: 5 mg/kg、雌: 18 mg/kg (ACGIH (7th, 2004)) (3) ラットのLD50: 5 mg/kg (GESTIS (Access on June 2020)、HSDB (Access on June 2020)) (4) ラットのLD50: 雌: 5.3~9.5 mg/kg、雄: 8.6~13.3 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2020)) (5) ラットのLD50: 6.0~7.8 mg/kg (EPA Pesticides RED (2007)) (6) ラットのLD50: 6~14 mg/kg (EHC 64 (1986)) | ||
経皮 | 【分類根拠】 (1)~(6) より、区分4とした。 なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) ウサギのLD50: 1,000~2,000 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2020)) (2) ウサギのLD50: > 2,000 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2020)) (3) ウサギのLD50: 3,400 mg/kg (ACGIH (7th, 2004)、EHC 64 (1986)) (4) ウサギのLD50: 4,403 mg/kg (EPA Pesticides RED (2007)) (5) ラットのLD50: > 500 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2020)) (6) ラットのLD50: 雌: 3,094 mg/kg、雄: > 5,000 mg/kg (Canada Pesticides (2009)) | ||
吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 | ||
吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | ||
吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 (1)~(3) より、区分1とした。 なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (6.4E-006 mg/L) よりも高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。 【根拠データ】 (1) ラットのLC50 (4時間): 雌: 0.04 mg/L、雄: 0.06 mg/L (食安委 農薬評価書 (2020)) (2) ラットのLC50 (4時間): 0.047 mg/L (食安委 農薬評価書 (2020)) (3) ラットのLC50 (4時間): 0.08 mg/L (EPA Pesticides RED (2007)) (4) 本物質の蒸気圧: 5.4E-007 mmHg (25℃) (HSDB (Access on May 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 6.4E-006 mg/L) | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1)、(2) より、区分に該当しないとした。新しいデータ (1)、(2) が得られたことから分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) 本物質のEPA OPPTS 870.2500に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験で一次刺激性スコアは0.25と報告されている (EPA Pesticides RED (2007))。 (2) ウサギを用いた眼及び皮膚刺激性試験が実施され、眼及び皮膚に対する刺激性は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2020))。 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 (1)~(3) より、区分に該当しないとした。新しいデータ (1)~(3) が得られたことから分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) 本物質のEPA OPPTS 870.2400に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験でごく軽度の刺激性と報告されている (EPA Pesticides RED (2007))。 (2) ウサギを用いた眼及び皮膚刺激性試験が実施され、眼及び皮膚に対する刺激性は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2020))。 (3) ウサギを用いた眼刺激性試験 で、ごく軽度の刺激性と報告されている (HSDB (Access on June 2020))。 【参考データ等】 (4) 本質 (5 mg) のウサギを用いた眼刺激性試験 で、ごく軽度の刺激性と報告されている (Canada Pesticides (2009))。 | ||
呼吸器感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | ||
皮膚感作性 | 【分類根拠】 (1)~(3) より、区分に該当しないとした。新しいデータ (1)~(3) が得られたことから分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) 本物質は皮内感作によるモルモットを用いた皮膚感作性試験で感作性を示さない (ACGIH (7th, 2004)、Canada Pesticides (2009)、HSDB (Access on June 2020))。 (2) 本物質のEPA OPPTS 870.2600に準拠したモルモットを用いた皮膚感作性試験で感作性なしと報告されている (EPA Pesticides RED (2007))。 (3) モルモットを用いた皮膚感作性試験 (ビューラー法、ドレイズ法及びマキシマイぜーション法) が実施され、結果は陰性であった (食安委 農薬評価書 (2020) )。 【参考データ等】 (4) 接触性皮膚炎の農夫30 人 (対照群20 人) に種々の農薬のパッチテストを実施した結果、本物質を含むカルバメートでは7 人が感作を誘発した (MOE初期評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004))。 | ||
生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 (1)~(3) より、 証拠の重み付けに基づき、区分に該当しないとした。新たな情報を追加し分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) in vivoでは、マウス骨髄細胞を用いた小核試験及びマウス、ラットの骨髄細胞を用いた染色体異常試験において陽性、陰性の報告がある (食安委 農薬評価書 (2020)、ACGIH (7th, 2004))。 (2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性 (代謝活性化系非存在下のTA1535) 及び陰性の報告が複数ある。哺乳類培養細胞を用いたマウスリンフォーマ試験及び姉妹染色分体交換試験で陽性、遺伝子突然変異試験及び染色体異常試験で陰性の報告がある (食安委 農薬評価書 (2020)、ACGIH (7th, 2004))。 (3) ACGIH (2004)においてWoE による評価の結果、弱い遺伝毒性のポテンシャルを有する程度だと考えられるとの記載がある (ACGIH(2004))。また、食安委農薬評価書において「生体において問題となる遺伝毒性はないものと考えられた」との記載がある (食安委 農薬評価書 (2013))。 | ||
発がん性 | 【分類根拠】 (1)~(3) より区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、ACGIHでA4 (ACGIH (7th, 2004))、EPAでNL (Not Likely to be Carcinogenic to Humans) (EPA Annual Cancer Report 2019 (Access on September 2020):1997年分類) に分類されている。 (2) 雌雄のラットに本物質を2年間混餌投与した2つの慢性毒性/発がん性併合試験において、投与により発生頻度の増加した腫瘍性病変は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2020))。 (3) 雌雄のマウスに本物質を2年間混餌投与した慢性毒性/発がん性併合試験及び発がん性試験において、投与により発生頻度の増加した腫瘍性病変は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2020))。 | ||
生殖毒性 | 【分類根拠】 (1)、(2) より、親動物毒性用量であるが児動物の生存率低下、産児死亡数増加、発達遅延がみられていることから区分1Bとした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) ラットを用いた混餌投与による2世代繁殖試験において、親動物毒性 (体重増加抑制、摂餌量減少) がみられる用量で児動物の生存率低下等 (体重増加抑制 (生後21日)、生存率低下(生後4日、7日、14日及び21日)) がみられている (食安委 農薬評価書 (2020))。 (2) 雌ラットの妊娠6日~哺育10日に混餌投与した発達神経毒性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制 (妊娠10~20日)、摂餌量減少 (妊娠6~10日) がみられる用量で、児動物の生存率低下、産児死亡数増加及び児動物の発達遅延 (生後4日生存率低下、低体重/体重増加抑制 (生後0日以降)、性成熟 (膣開口及び包皮分離) 遅延、耳介展開、下顎切歯萌出及び眼瞼開裂遅延、遊泳能力 (頭角度維持) 発達遅延 (雌雄、生後6日以降)、産児死亡数増加傾向、Y 型水路トライアル回数増加 (雄: 生後24、25及び30日、雌: 生後24日)) が認められた (食安委 農薬評価書 (2020))。 【参考データ等】 (3) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (嗜眠、死亡 (1例)、角膜混濁、流涎、流涙、振戦及び痙攣) がみられる用量においても胎児に影響はみられていない (食安委 農薬評価書 (2020))。 (4) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (流涎、下顎の震え (投与後2時間)、体重増加抑制) がみられ、胎児では低体重、第5/6胸骨分節未骨化の増加傾向がみられたが催奇形性はみられていない (食安委 農薬評価書 (2020))。 (5) 雌ウサギの妊娠6~18日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (死亡 (1/20例)、粗毛、被毛の汚れ及び体重増加抑制 (投与初期、詳細不明)) がみられる用量において、胎児では骨格変異 (胸骨分節の不整配列、23.1%) が認められた (食安委 農薬評価書 (2020))。 |
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 (1)~(6) より、区分1 (神経系)、区分3 (麻酔作用) とした。 【根拠データ】 (1) 本物質を含む農薬を空中散布した2時間後に、約4時間作業したヒトに吐気、頭痛、眩暈、筋力低下、涙目、嘔吐、唾液分泌過多、徐脈、発汗、縮瞳等の症状がみられた (MOE初期評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004))。 (2) ボランティアへ本物質を単回経口投与した結果、0.10 mg/kg (2人) で頭痛、眩暈がみられ、0.25 mg/kg (4人) で口中の渇き感、唾液分泌過多、発汗、腹痛、傾眠、眩暈、不安、嘔吐、縮瞳等のコリンエステラーゼ阻害の症状がみられた (MOE初期評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004)、ACGIH (7th, 2004))。 (3) 本物質 (濃度不明、100 mL) を意図的に摂取した23歳の男性で、感覚運動神経障害 (sensorimotor neuropathy) がみられた (ACGIH (7th, 2004))。 (4) ラットの単回経口投与試験において、5 mg/kg (区分1の範囲) 以上で立毛、異常体位、異常歩行、嗜眠、四肢蒼白、流涎、振戦がみられた (食安委 農薬評価書 (2020))。 (5) ウサギの単回経皮適用試験 (影響がみられた最小用量の記載なし、少なくともLD50値 (1,000~2,000 mg/kg、区分2の範囲) 付近で影響がみられたと想定) において、立毛、振戦、歯軋り、不安定歩行、嗜眠、うずくまり姿勢、鶏状歩行、呼吸数増加、体重減少がみられた (食安委 農薬評価書 (2020))。 (6) ラットの単回吸入ばく露試験 (影響がみられた最小用量の記載なし、少なくともLC50値 (雄: 0.06 mg/L、雌: 0.04 mg/L、区分1の範囲) 付近で影響がみられたと想定) において、被毛湿潤、円背位、立毛、運動失調、線維束性収縮、努力性呼吸、呼吸数増加又は減少、被毛並びに眼、鼻及び頭部周囲の赤褐色汚れ、嗜眠、眼瞼下垂、振戦、四肢蒼白、眼球突出、つま先歩行及び頬の腫脹がみられた (食安委 農薬評価書 (2020))。 |
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特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 本物質のヒトでの反復ばく露に関する報告はない。実験動物では、(1)~(4) より区分1の用量で神経系への影響がみられていることから、区分1 (神経系) とした。(5)、(6) では血液系、肝臓、生殖器 (雄) への影響も報告されているが、(3) では報告されておらず、一貫性がないため標的臓器としなかった。情報の再検討により、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) ラットの90日間混餌投与試験では、120 ppm (雄/雌: 16.2/6.8 mg/kg/day相当、区分2/区分1の範囲) 以上で脳コリンエステラーゼ (ChE) 活性阻害がみられ、720 ppm (雄/雌: 38.7/43.5 mg/kg/day相当、いずれも区分2の範囲) で赤血球ChE活性阻害がみられたとの報告がある (食安委 農薬評価書 (2020))。 (2) イヌの13週間混餌投与試験では、10 ppm (雄/雌: 0.45/0.41 mg/kg/day相当、いずれも区分1の範囲) 以上で流涎、赤血球ChE活性阻害がみられ、500 ppmを5日間投与後に投与量を250 ppmに引き下げた群 (雄/雌: 10.9/10.4 mg/kg/day相当、いずれも区分2の範囲) では筋攣縮、運動失調、運動性低下、頻呼吸/呼吸深大及び嘔吐がみられ、雄1匹が死亡したとの報告がある (食安委 農薬評価書 (2020)、ACGIH (7th, 2004)、JMPR (2008))。 (3) イヌの1年間カプセル経口投与試験では、1 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上で軟便、縮瞳、赤血球ChE活性阻害、10 mg/kg/day (区分1の範囲) で嘔吐、さらに雄では流涎、振戦がみられたとの報告がある (食安委 農薬評価書 (2020))。 (4) 複数のウサギの21日間経皮投与試験において、100 mg/kg/day (90日換算値: 23.3 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上で脳ChE活性阻害がみられたとの報告がある (食安委 農薬評価書 (2020)、ACGIH (7th, 2004))。 【参考データ等】 (5) イヌの1年間混餌投与試験では、12.5 mg/kg/day (区分2の範囲) で嘔吐に伴う体重増加抑制、筋の痙攣、流涎、ヘマトクリット値、ヘモグロビン濃度、赤血球数の減少、血漿、赤血球及び脳ChEの活性阻害がみられたとの報告がある (食安委 農薬評価書 (2020)、MOE初期評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004))。雄ではさらに精巣精細管変性及び精巣精細管巨細胞形成がみられたとの報告もあるが、体重減少等による二次的影響の可能性が指摘されている (食安委 農薬評価書 (2020))。 (6) イヌの1年間混餌投与試験では、20 ppm (雄/雌: 0.84/0.63 mg/kg/day、いずれも区分1の範囲) で肝細胞脂肪変性、500 ppm (雄/雌: 14.6/13.4 mg/kg/day、いずれも区分2の範囲) で嘔吐、軟便、流涎、衰弱、ヘマトクリット値及びヘモグロビン減少、肺炎症性変化、さらに雄では振戦、嗜眠、赤血球数減少、赤血球及び脳ChE活性阻害がみられたとの報告がある (食安委 農薬評価書 (2020)、ACGIH (7th, 2004))。 |
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誤えん有害性* | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
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* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。本有害性項目の内容に変更はない。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性 (急性) | 甲殻類 (ニセネコゼミジンコ) 48時間EC50 = 0.002 mg/L (環境省リスク評価第6巻 (2008)) であることから区分1とした。 | ||
水生環境有害性 (長期間) | 慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく (BIOWIN)、魚類 (シープスヘッドミノー) の19週間NOEC = 0.015 mg/L (環境省リスク評価第6巻 (2008)) であることから、区分1となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく (BIOWIN) 、甲殻類 (ニセネコゼミジンコ) 48時間EC50 = 0.002 mg/L (環境省リスク評価第6巻 (2008)) であることから、区分1となる。 以上の結果から、区分1とした。 | ||
オゾン層への有害性 | データ不足。 |
13.廃棄上の注意 | |||
---|---|---|---|
残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
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本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 2757 | |||
国連品名 | CARBAMATE PESTICIDE, SOLID, TOXIC | |||
国連危険有害性クラス | 6.1 | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | I | |||
海洋汚染物質 | 該当する | |||
MARPOL73/78附属書Ⅱ及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | - | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | - | |||
特別な安全上の対策 | - | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 151 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2016 Emengency Response Guidebook (ERG 2016)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)【572 N-メチルカルバミン酸2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチル-7-ベンゾ[b]フラニル】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)【572 N-メチルカルバミン酸2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチル-7-ベンゾ[b]フラニル】 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) 作業場内表示義務(法第101条の4) | |||
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | 第1種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)【426 N-メチルカルバミン酸2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチル-7-ベンゾ[b]フラニル】 | |||
毒物及び劇物取締法 | - | |||
化学物質審査規制法 | 旧第2種監視化学物質(旧法第2条第5項)【旧番号444 N-メチルカルバミン酸2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチル-7-ベンゾ[b]フラニル(別名カルボフラン)(平成23年4月1日をもって廃止)】 旧第3種監視化学物質(旧法第2条第6項)【旧番号44 N-メチルカルバミン酸2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチル-7-ベンゾ[b]フラニル(別名カルボフラン)(平成23年4月1日をもって廃止)】 | |||
航空法 | 毒物類・毒物(施行規則第194条危険物告示別表第1)【【国連番号】2757 殺虫殺菌剤(カーバメート系)(固体)(毒性のもの)】 | |||
船舶安全法 | 毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1)【【国連番号】2757 カーバメート系殺虫殺菌剤類(固体)(毒性のもの)】 | |||
港則法 | その他の危険物・毒物類(毒物)(法第21条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)【2チ カーバメート系殺虫殺菌剤類(固体)(毒性のもの)】 | |||
海洋汚染防止法 | 個品運送P(施行規則第30条の2の3、国土交通省告示)【【国連番号】2757 カーバメート系殺虫殺菌剤類(固体)(毒性のもの)】 |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP) International Chemical Safety Cards (ICSC) Hazardous Substances Data Bank (HSDB) GESTIS Substance database (GESTIS) ERG 2016版 緊急時応急措置指針-容器イエローカードへの適用 |