1.化学品等及び会社情報 | |||
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化学品等の名称 | カルシウムシアナミド (Calcium cyanamide) | ||
製品コード | H29-B-044 | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 肥料、有機合成原料 |
2.危険有害性の要約 | ||||
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GHS分類 | ||||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | H30.3.16、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改訂版 (ver1.1):JIS Z7252:2014準拠) を使用 | |||
GHS改訂4版を使用 | ||||
物理化学的危険性 | - | |||
健康に対する有害性 | 急性毒性(経口) | 区分4 | ||
皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | |||
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | |||
皮膚感作性 | 区分1 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分3 (気道刺激性) | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1 (甲状腺) 区分2 (肝臓) | |||
分類実施日 (環境有害性) | 環境に対する有害性はH18年度、GHS分類マニュアル(H18.2.10版)を使用 | |||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 (急性) | 区分2 | ||
水生環境有害性 (長期間) | 区分2 | |||
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」又は「分類できない」に該当する。なお、これらに該当する場合は後述の11項に記載した。 | ||||
GHSラベル要素 | ||||
絵表示 | ||||
注意喚起語 | 危険 | |||
危険有害性情報 | 飲み込むと有害 皮膚刺激 アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ 重篤な眼の損傷 呼吸器への刺激のおそれ 長期にわたる、又は反復ばく露による甲状腺の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による肝臓の障害のおそれ 水生生物に毒性 長期継続的影響によって水生生物に毒性 | |||
注意書き | ||||
安全対策 | 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | |||
応急措置 | 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 口をすすぐこと。 皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 直ちに医師に連絡すること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 漏出物を回収すること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 | |||
保管 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 | |||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | |||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
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単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | カルシウムシアナミド | ||
別名 | 石灰窒素 | ||
濃度又は濃度範囲 | 100% | ||
分子式 (分子量) | CCaN2 (80.1) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 156-62-7 | ||
官報公示整理番号 (化審法) | 1-121 | ||
官報公示整理番号 (安衛法) | 1-(3)-47 | ||
分類に寄与する不純物及び 安定化添加物 | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐこと。医療機関に連絡する。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入:咳、灼熱感、咽頭痛 皮膚:発赤、痛み 経口摂取:咽頭痛、咽喉や胸部の灼熱感、腹痛 | ||
応急措置をする者の保護 | 救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。 | ||
医師に対する特別な注意事項 | ごく少量のアルコールとともに、心血管系及び中枢神経系に影響を与え、顔面紅潮、動悸、血圧低下、過換気を引き起こす。これらの影響は遅れて現われることがある。 |
5.火災時の措置 | |||
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消火剤 | 粉末消火薬剤 | ||
使ってはならない消火剤 | 二酸化炭素、泡消火薬剤、水 | ||
特有の危険有害性 | 火災時に刺激性あるいは有毒なヒュームやガスを放出する。 水と接触すると可燃性のガスを発生する。 水や湿気と接触すると発火するおそれがある。 熱、火花及び火炎で発火するおそれがある。 消火後再び発火するおそれがある。 | ||
特有の消火方法 | 消火活動は風上から行う。 火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 | ||
消火を行う者の保護 | 消火作業の際は、適切な保護具や耐火服を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 関係者以外の立ち入りを禁止する。 作業者は適切な保護具(有害粒子用フィルター付マスク等)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。 | ||
環境に対する注意事項 | 周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。下水に流してはならない。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | すべての着火源を取り除く(現場での喫煙、火花や火炎の禁止)。 漏洩物を不燃性、不活性かつ乾燥した吸収剤で覆う。 こぼれた物質をふた付のプラスチック容器内に掃き入れる。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱い注意事項 | 火災や爆発の危険があるため、水と接触させないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 乾燥した換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 食品や飼料から離しておく。 | ||
安全な容器包装材料 | 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
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管理濃度 | 未設定 | ||
許容濃度 | |||
日本産衛学会(2017年度版) | 未設定 | ||
ACGIH(2017年版) | TLV-TWA: 0.5 mg/m3 | ||
設備対策 | 粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器又は局所換気装置を使用する。 | ||
保護具 | |||
呼吸用保護具 | 局所排気又は呼吸用保護具を使用する。 | ||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。 | ||
眼の保護具 | 安全ゴーグル、又は粉末の場合には、呼吸用保護具と眼用保護具を併用する。 | ||
皮膚及び身体の保護具 | 保護衣を着用する。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
形状 | 固体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 無色結晶又は粉末 (HSDB (2017)) | ||
臭い | 情報なし | ||
臭いのしきい(閾)値 | 情報なし | ||
pH | 情報なし | ||
融点・凝固点 | 約1,340℃ (HSDB (2017)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 1,150〜1,200℃(昇華する) (ホンメル (1991)) | ||
引火点 | 情報なし | ||
蒸発速度(酢酸ブチル=1) | 情報なし | ||
燃焼性(固体、気体) | 不燃性 (不純物による火災の危険がある)(ICSC (J) (2006)) | ||
燃焼又は爆発範囲 | 情報なし | ||
蒸気圧 | 1.8 mmHg (25℃) [換算値 239 Pa (25℃)] (SRC PhysProp (2017)) | ||
蒸気密度 | 情報なし | ||
比重(相対密度) | 2.29 (20℃/4℃) (HSDB (2017)) | ||
溶解度 | 反応する (ICSC (J) (2006)) 有機溶剤に不溶,水に本質的に不溶(分解する) (HSDB (2017)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | -0.2 (SRC PhysProp (2017)) | ||
自然発火温度 | 情報なし | ||
分解温度 | 情報なし | ||
粘度(粘性率) | 情報なし |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
危険有害反応可能性 | 水の影響下で分解し、シアナミド、アンモニア、水酸化カルシウム、アセチレンを生じ、火災や爆発の危険をもたらす。多くの金属を侵して引火性/爆発性気体を生じる。 | ||
避けるべき条件 | 水との接触 | ||
混触危険物質 | 水 | ||
危険有害な分解生成物 | 火災時に刺激性あるいは有毒なヒュームやガスを放出する。 |
11.有害性情報 | |||
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急性毒性 | |||
経口 | GHS分類: 区分4 ラットのLD50値として、700 mg/kg (純度40〜60%、100%純度換算値: 280〜420 mg/kg) (農薬工業会 (農薬時報別冊「農薬技術情報」 (1992))、765 mg/kg (純度62〜65%、100%純度換算値: 474〜497 mg/kg) (DFGOT vol. 5 (1993))、690 mg/kg (純製品、EU SCHER (2016)) との3件の報告があり、1件が区分3〜4、2件が区分4に該当する。件数の多い区分を採用し、区分4とした。 | ||
経皮 | GHS分類: 分類できない ウサギのLD50値として、> 2,000 mg/kg (純度62%、100%純度換算値: > 1,240 mg/kg) (DFGOT vol. 24 (2007)) との報告があり、区分4又は区分外に該当するが、この値だけでは区分を特定できないため、分類できないとした。 | ||
吸入:ガス | GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。 | ||
吸入:蒸気 | GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。 | ||
吸入:粉じん及びミスト | GHS分類: 分類できない ラットの4時間吸入試験のLC50値として、> 0.155 mg/L (DFGOT vol. 24 (2007)) との報告があるが、この値だけでは区分を特定できないため、分類できないとした。 | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | GHS分類: 区分2 ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG 404準拠) で、乾燥した本物質では皮膚刺激性は認められないのに対して、湿らせた本物質では軽度から中等度の刺激性を認めたとの報告 (DFGOT vol. 24 (2007)) がある。また、ヒトに対して顕著な眼刺激性がみられるとの報告 (DFGOT vol. 24 (2007)) がある。よって、これらの結果から総合的に判断し、区分2とした。 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | GHS分類: 区分1 ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG 405準拠) において、瞬膜の壊死、角膜混濁、重度の刺激性を生じ、又は適用後7日目の観察で結膜浮腫 (グレード4)、紅斑 (グレード2)、虹彩のうっ血 (グレード2) 、角膜混濁 (グレード4) の眼刺激性が生じたとの報告 (DFGOT vol. 24 (2007)) から、区分1とした。なお、本物質の水溶液は強アルカリ性を示すとの記述 (EU SCHER (2016)) がある。EU CLP分類において本物質は Eye Dam. 1 に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。 | ||
呼吸器感作性 | GHS分類: 分類できない データがなく分類できない。 | ||
皮膚感作性 | GHS分類: 区分1 モルモットを用いた改変マキシマイゼーション試験 (OECD TG 406準拠) において本物質は陽性であるとの報告 (EU SCHER (2016)) がある。また、労働者65名でのパッチテストによる皮膚感作性調査では感作性が認められなかったとの報告 (EU SCHER (2016)) があるが、動物試験の結果を否定できないことから、区分1とした。 | ||
生殖細胞変異原性 | GHS分類: 分類できない ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、小核試験で陰性 (EU SCHER (2016))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で弱い陽性、陰性の結果、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陰性である (NTP DB (Access on June 2017)、ACGIH (7th, 2001)、EU SCHER (2016))。 | ||
発がん性 | GHS分類: 分類できない ラット及びマウスを用いた2年間混餌投与による発がん性試験において、ラットでは投与に関連した腫瘍の増加はなかった (NTP TR163 (1979)、ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012))。マウスでは雄で血管肉腫に用量相関性がみられたが、統計的に有意差はなかった。雌ではリンパ腫又は白血病に用量相関性がみられ、高用量群では統計的有意差があったが、発生率は背景データの範囲内であった (NTP TR163 (1979)、ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012))。したがって、雄マウスの血管肉腫も雌マウスのリンパ腫又は白血病も本物質投与との関連性はないと考えられ、本物質はラット、マウスともに発がん性を示さないと結論された (NTP TR163 (1979)、PATTY (6th, 2012))。既存分類としては、ACGIHがA4に分類している (ACGIH (7th, 2001))。以上より、分類できないとした。 | ||
生殖毒性 | GHS分類: 分類できない 妊娠ラットに強制経口投与 (妊娠6〜19日) した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制、摂餌量減少、子宮重量減少) がみられた 21 mg/kg/day 以上で、胎児には軽微な影響 (胎児体重の低値) がみられただけであった (EU SCHER (2016))。しかし、生殖能・性機能への影響に関する情報がなく、データ不足のため分類できない。 | ||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | GHS分類: 区分3 (気道刺激性) ヒトでは本物質が鼻、喉、気道の粘膜を刺激し、咳、喉の擽感 (れきかん)、鼻炎、扁桃炎を起こすとの記載がある (DFGOT vol. 5 (1993))。実験動物では、ラットの単回吸入ばく露試験で、本物質の市販品5.1 mg/L (純度62〜65%との記載 (DFGOT vol. 5 (1993)) より、100%純度換算値: 3.16〜3.32 mg/L) の吸入で呼吸障害、振戦、全身状態の悪化、体重減少がみられたとの報告 (DFGOT vol. 24 (2007)) があるが、ばく露時間の記載がなく、原典も非公開資料で詳細が確認できないため、根拠としなかった。以上より区分3 (気道刺激性) とした。 なお、本物質は経口投与後にシアナミド (CAS番号 420-04-2) に変化し、本物質について観察された毒性作用が主としてシアナミドの毒性に起因するとされている (EU SCHER (2016))。シアナミドはアルデヒド脱水素酵素を阻害することから酒量抑制剤として用いられており、経口摂取後にアルコール (及びアルコールを含む食品等) を摂取することにより、顔面紅潮、血圧下降、悪心、頻脈、めまい、呼吸困難、視力低下が起こることがあるとの記載がある (医療用医薬品集2017 (2016))。 | ||
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | GHS分類: 区分1 (甲状腺)、区分2 (肝臓) ヒトについては、本物質はシアナミドと同様に嫌酒作用がある。本物質を主成分とし様々な量の苛性石灰を含む製品であるニトロリムの作業に従事した65名についてばく露濃度と産業医による検査の結果、雇用期間は5〜41年間 (平均19年間)、ばく露濃度は0.23〜8.36mg/m3、ばく露と関連する悪影響はみられておらず、仕事の1〜7時間後にアルコール摂取した22人の従業員のうち6人で中等度のアルコール不耐性反応を引き起こし、7人では弱い反応を引き起こしたとの報告がある (DFGOT vol. 5 (1993))。 実験動物については、本物質の市販品 (本物質を63%含有) のデータがある。ラットを用いた混餌による7週間反復経口投与毒性試験において、区分1のガイダンス値の範囲内である0.04% (ガイダンス換算: 20 mg/kg/day、本物質として13 mg/kg/day) (90日換算: 7 mg/kg/day) 以上で体重増加抑制、0.06% (ガイダンス換算: 30 mg/kg/day、本物質として19 mg/kg/day) (90日換算: 10 mg/kg/day) 以上で甲状腺の過形成、区分2のガイダンス値の範囲内である0.15% (ガイダンス換算: 60 mg/kg/day、本物質として47 mg/kg/day) (90日換算: 26 mg/kg/day) 以上で胆管の過形成がみられている (環境省リスク評価第9巻:暫定的有害性評価シート (2011)、NTP TR163 (1979))。なお、マウスを用いた混餌による7週間反復経口投与毒性試験では、区分2のガイダンス値の範囲を超える用量において肝臓に対する影響 (胆管の軽微な過形成、門脈周囲の肝細胞の空胞化、限局性の肝細胞壊死) がみられている(環境省リスク評価第9巻:暫定的有害性評価シート (2011)、NTP TR163 (1979))。 | ||
以上、ヒトにおいては本物質の直接的影響ではなくアルコール代謝障害に関連した影響がみられ、実験動物では甲状腺への影響が区分1、肝臓に影響が区分2のガイダンス値の範囲でみられている。したがって、区分1 (甲状腺)、区分2 (肝臓) とした。 なお、本物質は経口投与後にシアナミド (CAS番号 420-04-2) に変化し、本物質について観察された毒性作用が主としてシアナミド毒性に起因するとされている (EU SCHER (2016))。シアナミドのGHS分類は区分1 (血液系、甲状腺、肝臓、生殖器 (男性)) に分類されているが、本物質については本物質のデータのみから分類を行った。 | |||
吸引性呼吸器有害性 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性(急性) | 甲殻類 (オオミジンコ)の48時間EC50 = 7.7mg/L (農薬登録申請資料 (2004))から、区分2とした。 | ||
水生環境有害性(長期間) | 急性毒性が区分2、生物蓄積性が低いと推定されるものの (log Kow = -0.2 (PHYSPROP Database (2005)))、急速分解性がないと推定される (BIOWIN)ことから、区分2とした。 | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
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残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
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該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 1403 | |||
国連品名 | CALCIUM CYANAMIDE with more than 0.1% calcium carbide | |||
国連危険有害性クラス | 4.3 | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | L | |||
海洋汚染物質 | 該当する | |||
MARPOL73/78附属書K及び IBCコードによるばら積み 輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 該当しない | |||
特別な安全上の対策 | イエローカードの携行が望ましい。 | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 138 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2008 Emengency Response Guidebook (ERG 2008)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9) 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9) 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) | |||
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) | 第1種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1) | |||
航空法 | 可燃性物質類・水反応可燃性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
船舶安全法 | 可燃性物質類・水反応可燃性物質(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
労働基準法 | 疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1) |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | 各データ毎に記載した。 | |||
[注意] 本SDSはJIS Z7253:2012 に準拠して作成しています。 |