| 1.化学品等及び会社情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品の名称 | 3−[(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イル)メチル]−5−メチル−N−ニトロ−1,3,5−オキサジアジナン−4−イミン(別名チアメトキサム) | ||
| 化学品の英語名称 | (NE)-N-[3-[(2-chloro-1,3-thiazol-5-yl)methyl]-5-methyl-1,3,5-oxadiazinan-4-ylidene]nitramide | ||
| 製品コード | R06-S27-JNIOSH | ||
| 供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
| 住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
| 電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
| 電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
| 緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| 推奨用途及び使用上の制限 | 農薬(殺虫殺菌剤)(NITE-CHRIPより引用) | ||
| 2.危険有害性の要約 | |||
|---|---|---|---|
| GHS分類 | |||
| 分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | 令和2年度(2020年度)、ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) | ||
| 物理化学的危険性 | - | ||
| 健康に対する有害性 | 急性毒性 (経口) | 区分4 | |
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分2(神経系) | ||
| 分類実施日 (環境有害性) | 令和2年度(2020年度)、ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) | ||
| 環境に対する有害性 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分1 | |
| 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分1 | ||
| GHSラベル要素 | |||
|---|---|---|---|
| 絵表示 | ![]() ![]() ![]() | ||
| 注意喚起語 | 警告 | ||
| 危険有害性情報 | 飲み込むと有害 神経系の障害のおそれ 水生生物に非常に強い毒性 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 | ||
| 注意書き | |||
| 安全対策 | 取扱い後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 環境への放出を避けること。 | ||
| 応急措置 | 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。 口をすすぐこと。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 漏出物を回収すること。 | ||
| 保管 | 施錠して保管すること。 | ||
| 廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
| 他の危険有害性 | 粉じん爆発の危険がある。 | ||
| 3.組成及び成分情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
| 化学名又は一般名 | 3−[(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イル)メチル]−5−メチル−N−ニトロ−1,3,5−オキサジアジナン−4−イミン | ||
| 慣用名又は別名 | チアメトキサム | ||
| 英語名 | (NE)-N-[3-[(2-chloro-1,3-thiazol-5-yl)methyl]-5-methyl-1,3,5-oxadiazinan-4-ylidene]nitramide | ||
| 濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
| 分子式 (分子量) | C8H10ClN5O3S (291.72) | ||
| 化学特性 (示性式又は構造式) | ![]() | ||
| CAS番号 | 153719-23-4 | ||
| 官報公示整理番号 (化審法) | 5-6844 | ||
| 官報公示整理番号 (安衛法) | - | ||
| GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | - | ||
| 4.応急措置 | |||
|---|---|---|---|
| 吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
| 皮膚に付着した場合 | 大量の水で洗うこと。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
| 眼に入った場合 | 水で15〜20分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
| 飲み込んだ場合 | 水で口をすすぎ、直ちに医師の診断を受けること | ||
| 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 情報なし | ||
| 応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。 | ||
| 医師に対する特別な注意事項 | 情報なし | ||
| 5.火災時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 適切な消火剤 | 水噴霧、粉末消火剤、泡消火剤、二酸化炭素 以上、GESTIS参照。 | ||
| 使ってはならない消火剤 | 火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。 | ||
| 特有の危険有害性 | 一般的な注意として、粉末状物質の場合は、ある条件下では粉じん爆発を起こす可能性がある。 火災が発生した場合、危険物質(亜窒素ガス(一酸化窒素)、塩化水素、硫黄酸化物、一酸化炭素および二酸化炭素)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 特有の消火方法 | 火元への燃焼源を断ち、消火剤を使用して消火する。 延焼の恐れのないよう水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。 消火活動は風上から行う。 火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 | ||
| 消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 突然の放出や大量の粉じんの舞い上がりが発生した場合は、直ちに避難すること。 可能であれば、容器を危険区域から移動すること。 発火源を遮断すること。 流出物が下水道に流れ込まないようにする。 自給式呼吸器と密閉性の高い特殊スーツを着用する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 6.漏出時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | すべての発火源を遮断すること。 漏出した場所から避難する。周囲に警告する。 個人用保護具を着用する(個人用保護具の章を参照)。 粉じんを出さずに回収すること。 その後、周囲を換気し、漏出場所を洗浄する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 環境に対する注意事項 | 環境への放出を避けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 漏出物を回収すること。 廃棄物を流しやゴミ箱に入れない。 固形有機残留物用の容器に収集する。 掃き集めたものを入れた容器には、内容物を説明したラベルを貼付する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 二次災害の防止策 | 情報なし | ||
| 7.取扱い及び保管上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 取扱い | |||
| 技術的対策 | 食品容器は使用しないこと。 容器にラベルを貼る。 できる限り元の容器に保管する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 安全取扱い注意事項 | 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 作業場を清潔に保つ。 作業場に必要な量を超える物質を持ち込まない。 容器を開いたままにしないこと。 補充、移送、または蓋を開けたままの使用の場合は、十分な換気を確保する必要がある。 こぼさない。 ラベルの付いた容器にのみ充填する。 粉じんの発生を避ける。避けられない粉じんの発生は定期的に収集すること。 爆発の危険性が高い場所では、工業用掃除機または吸引システムを使用する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
| 衛生対策 | この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 必要に応じて、清掃中に保護具を使用する。 清掃中に粉じんを巻き上げない。 清掃に送風機を使用しないこと。 衣服との接触を避ける。汚染された衣服は交換し、慎重に洗浄する。 休憩前と作業終了時には、皮膚を石鹸と水で洗う。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 保管 | |||
| 安全な保管条件 | 施錠して保管すること。 保管場所には危険・有害物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な照明及び換気の設備を設ける。 容器は換気の良い場所に保管する。 容器はしっかりと閉める。 乾燥した場所に保管する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 安全な容器包装材料 | 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。 | ||
| 8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
| 管理濃度 | - | |||
| 濃度基準値 | ||||
| 八時間濃度基準値 | - | |||
| 短時間濃度基準値 | - | |||
| 許容濃度 | ||||
| 日本産衛学会 (2024年度版) | - | |||
| ACGIH (2024年版) | - | |||
| 設備対策 | 作業場所の換気を良くすること。 床排水溝を設けない。 作業場に洗浄設備を設置する。 可能であれば密閉式装置を使用する。 容器とパイプラインにラベルを貼る。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 保護具 | ||||
| 呼吸用保護具 | 緊急時には、呼吸用保護具を着用する。 フィルター装置の使用限度を超える濃度、酸素濃度が 18% 未満、または状況が不明な場合は、使用しない。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 手の保護具 | 保護手袋を使用する。手袋の素材は、物質に対して十分な不浸透性と耐性が必要である。着用前に締め付け具合を確認する。手袋は外す前によく洗浄し、換気の良い場所に保管する。 ポリクロロプレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、ポリ塩化ビニルは、溶解していない固形物に対する保護用の手袋の素材として適している。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 眼の保護具 | 眼の保護具を着用する。 側面保護付きのメガネを着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 皮膚及び身体の保護具 | リスクに応じて、適切な防護衣または化学防護服を着用する。 耐火性、帯電防止性の防護服を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 9.物理的及び化学的性質 | |||
|---|---|---|---|
| 物理的状態 | |||
| 物理状態 | 固体 | ||
| 色 | ベージュ色 | ||
| 臭い | 無臭〜カビ臭 | ||
| 融点/凝固点 | 139.1 ℃ (GESTIS (2024)) | ||
| 沸点、初留点及び沸騰範囲 | データなし | ||
| 可燃性 | データなし | ||
| 爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
| 引火点 | データなし | ||
| 自然発火点 | データなし | ||
| 分解温度 | 147 ℃ (GESTIS (2024)) | ||
| pH | データなし | ||
| 動粘性率 | データなし | ||
| 溶解度 | 水:4.1 g/L 25℃ (GESTIS (2024)) アセトン:48 g/L (HSDB in PubChem(2024)) ジクロロメタン:110 g/L (HSDB in PubChem(2024)) | ||
| n-オクタノール/水分配係数 | log Kow:-0.13 25℃ (HSDB in PubChem(2024)) | ||
| 蒸気圧 | 6.6×10-6 mPa 25℃ (HSDB in PubChem(2024)) 4.95×10-11 mmHg 25℃ (HSDB in PubChem(2024)) | ||
| 密度及び/又は相対密度 | 1.57 g/cm3 20℃ (GESTIS (2024)) | ||
| 相対ガス密度 | データなし | ||
| 粒子特性 | データなし | ||
| 10.安定性及び反応性 | |||
|---|---|---|---|
| 反応性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
| 化学的安定性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
| 危険有害反応可能性 | 通常の取扱い条件下では危険有害反応を起こさない。 | ||
| 避けるべき条件 | 粉じん爆発の危険 以上、GESTIS参照。 | ||
| 混触危険物質 | 感染性、放射性、爆発性の物質。 可燃性液体。 強酸化性物質。 硝酸アンモニウムおよび硝酸アンモニウムを含む製剤。 非可燃性急性毒性物質。 この物質は、危険な化学反応を起こす可能性のある物質と一緒に保管しないこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 危険有害な分解生成物 | 火災が発生した場合、危険物質(亜窒素ガス(一酸化窒素)、塩化水素、硫黄酸化物、一酸化炭素および二酸化炭素)が放出される可能性がある。 | ||
| 11.有害性情報 | |||
|---|---|---|---|
| 急性毒性 | |||
| 経口 | (1)より、区分4とした。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:1,560 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2012)、JMPR (2010)、ECHA RAC Opinion (2019)) 【参考データ等】 (2)マウス(雄)のLD50:783 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2012) 、JMPR (2010)、ECHA RAC Opinion (2019)) (3)マウス(雌)のLD50:964 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2012) 、JMPR (2010)、ECHA RAC Opinion (2019)) | ||
| 経皮 | (1)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(OECD TG 402)(ECHA RAC Opinion (2018))、AICIS (旧NICNAS IMAP) (2018)) 【参考データ】 (2)ウサギのLD50:> 652 mg/kg(OECD TG 402、純度:32.6%(媒体:キシレン))(ECHA RAC Opinion (2018)) | ||
| 吸入: ガス | GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 | ||
| 吸入: 蒸気 | データ不足のため分類できない。 | ||
| 吸入: 粉じん及びミスト | (1)より、区分4上限付近の用量における影響が不明のため、分類できない。 【根拠データ】 (1)ラットのLC50(4時間):> 3.72 mg/L (食安委 農薬評価書 (2012)、JMPR (2010)、ECHA RAC Opinion (2019)) | ||
| 皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | (1)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、4時間適用、72時間観察)において、全例で皮膚反応はみられなかった(紅斑・痂皮スコア:0/0/0/0/0/0、浮腫スコア:0/0/0/0/0/0)との報告がある(EU CLH提案文書 (2018)、RAC Opinion (2019)、食安委 農薬評価書 (2012)、JMPR (2010)、農薬抄録 (2018))。 | ||
| 眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | (1)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=9)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、3日観察)において、適用後1時間に非洗眼群6例のうち全例で軽度の結膜発赤がみられたが、24時間以内に完全に回復した(角膜混濁スコア:0/0/0/0/0/0、虹彩炎スコア:0/0/0/0/0/0、結膜発赤スコア:0/0/0/0/0/0、結膜浮腫スコア:0/0/0/0/0/0)との報告がある(EU CLH提案文書 (2018)、RAC Opinion (2019)、食安委 農薬評価書 (2012)、JMPR (2010)、農薬抄録 (2018))。 | ||
| 呼吸器感作性 | データ不足のため分類できない。 | ||
| 皮膚感作性 | (1)より、陽性率は30%に満たず、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)モルモット(n=20)を用いたMaximisation試験(OECD TG 406、GLP、皮内投与:1%溶液)において、惹起24、48時間後の陽性率は0%(0/20例)、5%(1/20例)であったとの報告がある(CLH Report (2018)、RAC Opinion (2019)、食安委 農薬評価書 (2012)、JMPR (2010)、農薬抄録 (2018))。 | ||
| 生殖細胞変異原性 | (1)〜(5)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)マウスの骨髄細胞を用いた小核試験(OECD TG474、GLP)で、陰性の結果が得られている(食安委 農薬評価書 (2012)、農薬抄録 (2013)、JMPR (2010))。 (2)細菌復帰突然変異試験陰性の結果であった(食安委 農薬評価書 (2012)、JMPR (2010))。 (3)哺乳類のin vitro遺伝子突然変異試験で、陰性の結果であった(食安委 農薬評価書 (2012)、JMPR (2010))。 (4)哺乳類のin vitro染色体異常試験で、陰性の結果であった(食安委 農薬評価書 (2012)、JMPR (2010))。 (5)ラット及びマウスの肝初代培養細胞を用いた2つのUDS試験で、陰性の結果であった(食安委 農薬評価書 (2012)、JMPR (2010))。 | ||
| 発がん性 | (1)〜(7)より、区分に該当しない。なお、(2)、(3)の動物試験結果からは、ラットで陰性、マウスで陽性の結果が得られており、マウスの肝臓腫瘍の発生増加が明瞭であることから、区分2の可能性が考えられる。 【根拠データ】 (1)国内外の分類機関による既存分類では、EPAでNL(Not Likely to be Carcinogenic to Humans)に分類されている(EPA Annual Cancer Report (2018):2005年分類)。 (2)ラットを用いる2年間慢性毒性/発がん性併合試験において、最高投与群の雄で脳悪性膠細胞腫(2/50例)、皮膚/皮下組織の脂肪腫(3/50例)の有意な増加が示されたが、背景データに近いか範囲内であった。また、自然発生腫瘍として腫瘍発生の早期化も認められず、投与に関連した所見ではないと考えられた(食安委 農薬評価書 (2012))。 (3)マウスを用いる18ヵ月間発がん性試験において、雌雄の高用量3群で肝細胞腺腫の発生頻度の増加、雄の最高用量及び雌の高用量2群で肝細胞がんの発生頻度の増加が認められた(食安委 農薬評価書 (2012))。 【参考データ等】 (4)EPAは本物質の発がん性に関してマウスの肝臓腫瘍に基づき、当初はL(Likely to be Carcinogenic to Humans)に分類していた(EPA Pesticide Review (2000)) が、(1)のとおり2005年にNLに変更した。NLに分類変更した根拠は、本物質が遺伝毒性を欠くことから、マウスの肝臓腫瘍は非遺伝毒性機序によるものであること、及びマウスは肝毒性を有する代謝物(本物質の主代謝物であるクロチアニジン(CGA 322704)を介して生成する)をラットやヒトよりも多く産生することが知られており、マウスの発がん性試験結果はヒトには当てはまらないと考えられたからである(US Federal Register vol. 77 No.42 (2012))。 (5)EUでは、本物質のCLP分類の作業が進められている。本物質の発がん性の分類に関して、マウスの試験結果に基づけばカテゴリー2となる可能性があるが、独立した専門家チームがマウスで認められた肝臓腫瘍発生の作用様式(mode of action)を詳細に調査した結果、マウスの肝臓腫瘍は持続性の細胞毒性と持続性の肝細胞に対し細胞毒性を持つ本物質代謝物(マウスは肝毒性代謝物[CGA 265307(デスメチルクロチアニジン):本物質の主代謝物であるクロチアニジン(CGA 322704)を介して生成する]をラットやヒトよりも多く産生することがわかっている)に誘発される再生性過形成を介して生じると結論された。この作用様式のヒトへの妥当性は、マウスとヒトの代謝の間には量的に大きな差があることを考慮すれば、合理的に排除されるものと考えられるとし、発がん性の分類に関しては区分に該当しない「“Not classified (conclusive but not sufficient for classification)”」と結論づけた(ECHA RAC Opinion (2019))。 (6)JMPRは本物質長期投与によるマウスの肝臓腫瘍について、本物質が遺伝毒性を有さないこと、ラットでは発がん性が認められないこと、マウスで提唱されている作用機序に基づき、ヒトの食事を介したばく露レベルでは本物質は発がん性を示さないと思われると結論づけた(JMPR (2010))。 (7)発がん性試験において、雌雄のマウスで肝細胞腺腫及び肝細胞癌の増加が認められた。肝腫瘍発生の作用機メカニズムに関する検討結果から、本物質が肝酵素誘導作用、細胞分裂促進作用に加えて細胞傷害作用も有すると考えられた。本物質の肝腫瘍の発生メカニズムは、細胞障害による二次的な細胞増殖の結果生じたプロモーション作用によるものと考えられた(食安委 農薬評価書 (2012))。 | ||
| 生殖毒性 | (1)〜(5)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた混餌投与による二世代生殖毒性試験において、2,500 ppmで親動物に尿細管硝子滴沈着増加、体重増加抑制・脾及び肝比重量増加・尿細管円柱、摂餌量減少・心比重量増加(雄)、児動物に体重増加抑制(F1雌雄及びF2雄)がみられ、繁殖能に対する影響は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2012)、JMPR (2010))。 (2)ラットを用いた混餌投与による二世代生殖毒性試験において、繁殖能に対する影響は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2012)、JMPR (2010))。 (3)ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験において、750 mg/kg/dayで親動物に体重増加抑制、摂餌量減少、一過性の活動低下、立毛、吐出及びカーカス重量の低下、児動物に低体重、骨格変異として後頭骨骨化不整、第13 肋骨短小、胸骨分節、中足骨、指節骨及び趾節骨等の未骨化又は骨化不全(雌雄)がみられ、催奇形性は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2012)、JMPR (2010))。 (4)ウサギを用いた強制経口投与による発生毒性試験において、150 mg/kg/dayで親動物に摂餌量減少及び体重増加抑制、会陰部又は膣に血液様分泌物及び体重減少、児動物に体重減少、胸骨分節癒合及び指節骨未化骨の増加(雌雄)がみられ、催奇形性は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2012)、JMPR (2010))。 (5)ラットを用いた強制経口投与による発達神経毒性試験において、4,000 ppmで親動物に体重増加抑制及び摂餌量の低値、児動物に出生時の低体重、その後の体重低値、脳絶対重量の減少(雌雄)、包皮分離日齢の遅延(雄)、生後12 日に小脳の錐体前裂・分子層の厚さ及び小脳の幅の低値(雄)、生後63 日に背側皮質の厚さ、視床と皮質全体の幅及び海馬全体の幅の低値(雌雄)がみられ、発達神経毒性は認められなかったとの報告がある。ただし、脳及び神経系組織の病理組織学的検査で異常はみられず、機能検査でも投与の影響はみられていない(食安委 農薬評価書 (2012)、JMPR (2010))。 | |||
|---|---|---|---|---|
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | (1)〜(3)より、区分2(神経系)とした。なお(1)、(2)はLD50から推定して区分2の範囲の影響と考えた。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた単回経口投与試験において、眼瞼下垂、自発運動の低下、硬直性痙攣がみられ、LD50は1,560 mg/kgであるとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2012)、JMPR (2010))。 (2)マウスを用いた単回経口投与試験において、自発運動の低下、間代性痙攣、伏臥がみられ、LD50は783 mg/kg(雄)、964 mg/kg(雌)であるとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2012)、JMPR (2010))。 (3)ラットを用いた単回経口投与による急性神経毒性試験において、500〜1,500 mg/kg(区分2の範囲)で正向反射への影響、直腸体温低下、眼瞼閉鎖、歩行異常、立ち上がり回数減少、覚醒状態の低下、振戦などがみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2012)、JMPR (2010))。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | (1)〜(5)より、経口経路では標的臓器を特定できず区分に該当しないと考えられるが、他経路での毒性情報がなく、データ不足のため分類できない。なお(4)より、肝臓影響がみられるが、マウスの肝臓(前がん病変)所見は、ヒトへの外挿性がないことから、標的臓器から除外した。 【根拠データ】 (1)ラットの混餌投与による90日間反復経口投与試験において、1,250ppm(84.9mg/kg/day(雄)、92.5mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で尿細管硝子滴沈着、尿細管慢性病変、Cre増加の腎臓影響(雄)がみられ、2,500ppm(168mg/kg/day(雄)、182mg/kg/day(雌)、区分に該当しない範囲)で尿細管慢性病変(雌)がみられた。しかし、雄の腎尿細管組織の変化は免疫組織学的染色によりα2u-グロブリン蓄積によるものでヒトに当てはまらない所見とされ、雌の尿細管病変については長期投与試験で再現されていないことから偶発所見と結論づけられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2012)、JMPR (2010))。 (2)イヌの混餌投与による90日間反復経口投与試験において、1,000〜2,500ppm(32.0〜54.8mg/kg/day(雄)、区分2の範囲)および1,000〜2,000ppm(33.9〜50.5mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で赤血球数・ヘモグロビン・ヘマトクリット減少(雌)、MCH、単球比、PT延長(雌雄)の血液影響および精巣重量減少、精子形成低下(雄)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2012) 、JMPR (2010))。 (3)イヌの混餌投与による1年間慢性毒性試験において、750〜1,500ppm(21.0〜42.0mg/kg/day(雄)、24.6〜45.1mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)でBUN・Cre増加および赤血球粒度分布幅及び好中球比増加、好塩基球比及びリンパ球比減少の血液影響がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2012))。 (4)マウスの混餌投与による18ヵ月間発がん性試験において、500〜2,500ppm(63.8〜354mg/kg/day(雄)、87.6〜479mg/kg/day(雌)、区分2〜区分に該当しない範囲)で肝細胞肥大、肝単細胞壊死、炎症性細胞浸潤、肝細胞脂肪化(雄)の肝臓影響がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2012) 、JMPR (2010))。 (5)ラットの混餌投与による2年間慢性毒性/がん原性併合試験において、500 ppm (21.0 mg/kg bw per day(雄)、区分2の範囲)で慢性腎症増加、腎リンパ球浸潤増加、BUN増加の腎臓影響がみられた。しかし、(1)と同様に、ヒトに外挿できないα2u-グロブリンを介した雄ラット特異的な所見であるとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2012) 、JMPR (2010))。 | |||
| 誤えん有害性* | データ不足のため分類できない。 | |||
| * JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 | ||||
| 12.環境影響情報 | |||
|---|---|---|---|
| 生態毒性 | |||
| 水生環境有害性 短期(急性) | 本物質はネオニコチノイド系殺虫剤であり、特異な感受性分布を有することが知られている。専門家判断により、甲殻類(ユスリカ幼虫)48時間EC50 = 0.035 mg/L(水域の生活環境動植物の被害防止に係る農薬登録基準の設定に関する資料, 2016)であることから、区分1とした。 | ||
| 水生環境有害性 長期(慢性) | 本物質はネオニコチノイド系殺虫剤であり、特異な感受性分布を有することが知られている。急速分解性がなく(BODによる分解度:7%(EU CLP CLH, 2018))、専門家判断により、甲殻類(フタバカゲロウ)の35日間NOEC = 0.0003 mg/L(REACH登録情報, 2021)から、区分1とした。 | ||
| 残留性・分解性 | 試験報告書なし 化審法分解度試験:良分解性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性)) | ||
| 生態蓄積性 | 試験報告書なし 化審法濃縮度試験:低濃縮性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性)) | ||
| 土壌中の移動性 | 情報なし | ||
| オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。 | ||
| 13.廃棄上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 | ||
| 14.輸送上の注意 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
| 国際規制 | ||||
| 国連番号 | 3077 | |||
| 品名(国連輸送名) | 環境有害物質、固体、他に品名が明示されていないもの | |||
| 国連分類 | 9 | |||
| 副次危険 | - | |||
| 容器等級 | III | |||
| 海洋汚染物質 | 該当する | |||
| MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
| 国内規制 | ||||
| 海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う | |||
| 航空規制情報 | 航空法の規定に従う | |||
| 陸上規制情報 | 該当しない | |||
| 特別な安全上の対策 | 該当しない | |||
| その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
| 緊急時応急措置指針番号* | 171 | |||
| * 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。 | ||||
| 15.適用法令 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
| 労働安全衛生法 | - | |||
| 化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | 第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)【135 3−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−5−メチル−N−ニトロ−1,3,5−オキサジアジナン−4−イミン(別名チアメトキサム)】 | |||
| 毒物及び劇物取締法 | - | |||
| 水道法 | 水質基準(平15省令101号) 【38 塩化物イオン】 | |||
| 船舶安全法 | 有害性物質(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
| 航空法 | 有害性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
| 16.その他の情報 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 参考文献 | ||||
| 9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・2024 Emengency Response Guidebook ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 ・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」 | ||||