1.化学品及び会社情報 | |||
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化学品の名称 | 塩酸アニリン | ||
化学品の英語名称 | Aniline hydrochloride | ||
製品コード | R03-C-009-MHLW | ||
供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 染料原料、有機合成原料 (NITE-CHRIPより引用) |
2.危険有害性の要約 | |||
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GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R4.3.15、政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver2.0))を使用 ※一部、ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) | ||
物理化学的危険性 | - | ||
健康に対する有害性 | 急性毒性(経口) | 区分4 | |
生殖細胞変異原性 | 区分2 | ||
発がん性 | 区分1B | ||
生殖毒性 | 区分2 | ||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1(血液系、神経系) | ||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1(血液系、神経系) | ||
分類実施日 (環境有害性) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) | ||
環境に対する有害性 | - | ||
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | 飲み込むと有害 遺伝性疾患のおそれの疑い 発がんのおそれ 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い 血液系、神経系の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による血液系、神経系の障害 | ||
注意書き | |||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱い後は手をよく洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | ||
応急措置 | 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 口をすすぐこと。 | ||
保管 | 施錠して保管すること。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
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化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
化学名又は一般名 | 塩酸アニリン | ||
慣用名又は別名 | アニリニウム=クロリド アニリン塩酸塩 | ||
英語名 | Aniline salt Anilinium chloride Aniline hydrochloride | ||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | C6H8ClN (129.59) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 142-04-1 | ||
官報公示整理番号(化審法) | 3-105 | ||
官報公示整理番号(安衛法) | 情報なし | ||
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 | ||
皮膚に付着した場合 | 情報なし | ||
眼に入った場合 | 情報なし | ||
飲み込んだ場合 | 気分が悪いときは医師に連絡すること。 口をすすぐこと。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入:咳。咽頭痛。紫色(チアノーゼ)の唇、爪および皮膚。錯乱。痙攣。めまい。頭痛。吐き気。意識喪失。 皮膚: 吸収される可能性あり。発赤。 眼:充血。 経口摂取:「吸入」参照。 | ||
応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | ばく露の程度によっては、定期検診を勧める。 紫色(チアノーゼ)の唇、爪および皮膚を起こした場合は、100%酸素での処置が必要な場合があるため、指示のもとに適切な手段をとれるようにしておく。 この物質により中毒を起こした場合は、特別の処置が必要であるため、指示のもとに適切な手段をとれるようにしておく。 メチレンブルー等の解毒剤を用いた特別な処置は、妊娠中の女性およびG6PD(グルコース6リン酸脱水素酵素)欠乏者には使えないため、これらの者はあらゆる接触を避けること。 |
5.火災時の措置 | |||
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適切な消火剤 | 小火災:粉末消火剤、二酸化炭素、散水 大火災:粉末消火剤、二酸化炭素、耐アルコール泡消火剤、散水 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状注水 | ||
火災時の特有の危険有害性 | 可燃性。 火災の場合、有害物質(窒素酸化物、塩化水素、一酸化炭素)が放出される可能性がある。 | ||
特有の消火方法 | 安全にできるのであれば、火災の場所から損傷していない容器を移動する。 消火水をせき止め、後で廃棄する。 消火活動は、有効に行える最も遠い距離から、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。 容器内に水を入れてはいけない。 消火後も大量の水を用いて容器を冷却する。 安全弁から音が発生したり、タンクが変色したときは直ちに避難する。 火災に巻き込まれたタンクから常に離れる。 | ||
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具を着用する。 密閉型防護服を着用する。 防火服は、熱に対する防護はするが、化学物質に対しては限定的である。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 適切な呼吸器用保護具を着用する。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 耐薬品用保護衣を着用する(火災の危険性がない時)。 すべての着火源をすぐ近くから取り除く(現場での喫煙、火花や火炎の禁止)。 適切な防護衣を着けていないときは、破損した容器あるいは漏洩物に触れてはいけない。 流出や漏れている場所から、全ての方向に適切な距離をとる。 必要により、風下に適切な隔離距離をとる。 | ||
環境に対する注意事項 | 環境汚染を引き起こすおそれがある。 この物質を環境中に放出してはならない。 漏出物を地面や河川や下水に直接流してはいけない。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 危険でなければ、漏れを止める。 排水溝、下水溝、地下室や狭い場所への流入を防ぐ。 乾燥した土、砂や不燃性物質で吸収し、あるいは覆って容器に移す。 容器内に水をいれてはいけない。 こぼれた物質を、ふた付きの密閉式容器内に掃き入れる。 湿らせてもよい場合は、粉じんを避けるために湿らせてから掃き入れる。 残留分を、注意深く集める。 地域規則に従って保管・処理する。 | ||
二次災害の防止策 | 情報なし |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱注意事項 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 裸火禁止。 酸化剤との接触禁止。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | 取扱い後は手をよく洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 施錠して保管すること。 強酸化剤、強酸および食品や飼料から離しておく。 乾燥。 密封。 排水管や下水管へのアクセスのない場で貯蔵する。 消火により生じる流出物を収容するための用意。 | ||
安全な容器包装材料 | 国連危険物輸送勧告モデル規則で規定されている容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
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許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
管理濃度 | 未設定 | |||
許容濃度等 | ||||
日本産衛学会(2021年版) | 未設定 | |||
ACGIH(2022年版) | 未設定 | |||
設備対策 | 取り扱いの場所の近くに、洗眼及び身体洗浄のための設備を設ける。 作業場では全体換気を行う。 設備は局所排気装置を用いる。 | |||
保護具 | ||||
呼吸用保護具 | 作業者が粉塵に暴露される場合は呼吸保護具(防じんマスク等)の着用を検討する。 防じんマスクの選択については、以下の点に留意する。 -酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。また、有害なガスが存在する場所においては防じんマスクを使用せず、その他の呼吸用保護具の利用を検討すること。 -防じんマスクは、日本工業規格(JIS T8151)に適合した、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。 | |||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。 | |||
眼の保護具 | 保護眼鏡を着用する。 | |||
皮膚及び身体の保護具 | 保護衣を着用する。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
物理状態 | 固体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 白色。空気および光に曝露すると暗色になる。 | ||
臭い | データなし | ||
融点/凝固点 | 196〜202 ℃(ICSC(2001)) 198 ℃(GESTIS(2022)、PubChem(2022)) 388 °F(PubChem(2022)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 245 ℃(ICSC(2001)、GESTIS(2022)) 473 °F(760 mm Hg)(PubChem(2022)) | ||
可燃性 | 可燃性(ICSC(2001)) | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
引火点 | 193 ℃(Open cup)(ICSC(2001)) 193 ℃(Closed cup)(GESTIS(2022)) 380 °F(PubChem(2022)) | ||
自然発火点 | データなし | ||
分解温度 | データなし | ||
pH | データなし | ||
動粘性率 | データなし | ||
溶解度 | 水: 107 g/100 ml(20℃)(ICSC(2001)) 水: 1070 g/l(25℃)(GESTIS(2022)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | データなし | ||
蒸気圧 | 30 mmHg(20℃、測定値)(Howard (1997)) 3.999 Pa(20℃、測定値)(Howard (1997)) | ||
密度及び/又は相対密度 | 1.22 g/cm3(20℃)(ICSC(2001)、GESTIS(2022)) 1.2215 (PubChem(2022)) | ||
相対ガス密度 | 4.46 (空気=1)(ICSC(2001)、PubChem(2022)) | ||
粒子特性 | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
危険有害反応可能性 | 可燃性。加熱や酸との接触により分解する。 アニリン、窒素酸化物および塩化水素を含む、有毒で腐食性のフュームを生じる。 酸化剤と激しく反応する。火災や爆発の危険を生じる。 | ||
避けるべき条件 | 熱 | ||
混触危険物質 | 酸、酸化剤 | ||
危険有害な分解生成物 | アニリン、窒素酸化物、塩化水素 |
11.有害性情報 | ||||
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急性毒性 | ||||
経口 | 本物質のラットのLD50値として、840〜1,070 mg/kgとの報告 (CEPA (1994)) に基づき、区分4とした。以下の健康に対する有害性に関する項目については、類縁物質であるアニリン (CAS番号 62-53-3) も参照のこと。 | |||
経皮 | データ不足のため分類できない。 | |||
吸入: ガス | GHSの定義における固体である。 | |||
吸入: 蒸気 | GHSの定義における固体である。 | |||
吸入: 粉じん及びミスト | データ不足のため分類できない。 | |||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | データ不足のため分類できない。なお、旧分類で採用したGESTIS (Access on May 2016) は、List 3の情報源で試験ガイドラインのばく露時間より長く、ICSC (2001) は、同じくList 3の情報源で元文献の記載がないため、分類に用いなかった。 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | データ不足のため分類できない。なお、旧分類で採用したGESTIS (Access on May 2016) は、List 3の情報源で元文献はList 3のRTECSでありデータの信頼性を確認できず、ICSC (2001) は、同じくList 3の情報源で元文献の記載がないため、分類に用いなかった。 | |||
呼吸器感作性 | データ不足のため分類できない。 | |||
皮膚感作性 | データ不足のため分類できない。 | |||
生殖細胞変異原性 | 本物質の分類にはアニリン (CAS番号 62-53-3) のデータを含む。In vivoでは、ラットの腹腔内投与による優性致死試験で陰性及び不明確な結果の報告、マウスの腹腔内投与、経口投与、ラットの経口投与による骨髄細胞小核試験で陽性、陰性の結果、マウスの混餌投与による末梢血の小核試験で陽性、マウスの腹腔内投与による骨髄細胞染色体異常試験で陰性、ラットの経口投与による骨髄細胞染色体異常試験で陽性、陰性の結果、マウスの腹腔内投与による骨髄細胞姉妹染色分体交換試験で陽性、マウス又はラットの腹腔内投与による肝臓、腎臓、脾臓等を用いるDNA鎖切断試験、コメットアッセイで陽性、陰性の結果が報告されている (NITE初期リスク評価書 (2007)、EU-RAR (2004)、CEPA (1994)、DFGOT vol. 26 (2010)、IRIS (1990)、NTP DB (Access on June 2016))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、マウスリンフォーマ試験の多くで陽性、哺乳類培養細胞の小核試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験の多くで陽性である (NITE初期リスク評価書 (2007)、EU-RAR (2004)、IRIS (1990)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 26 (2010)、CEPA (1994)、NTP DB (Access on June 2016))。以上より、ガイダンスに従い区分2とした。 | |||
発がん性 | 【分類根拠】 (1)〜(6)より、区分1Bとした。旧分類からIARCの分類が変更されたため、発がん性項目のみ見直した(2021年)。 【根拠データ】 (1)国外の分類機関による既存分類について、IARCは(2)〜(6)のデータを踏まえて従来のグループ3(IARC (1987))からグループ2Aに変更した(IARC 127 (2021))。 (2)ラットを用いた2年間混餌投与による発がん性試験において、3,000〜6,000 ppmで雄に脾臓や体腔内臓器の線維肉腫又は肉腫(非特定)及び血管肉腫の発生増加がみられた。また、雄に副腎の褐色細胞腫、雌に脾臓や体腔内臓器の線維肉腫又は肉腫(非特定)の増加傾向がみられたとの報告がある(IARC 127 (2021)、NITE初期リスク評価書 (2007)、AICIS IMAP (2013)、EU RAR (2004)、IRIS (1990)、NTP TR130 (1978))。 (3)ラットを用いた2年間混餌投与による発がん性試験において、10〜100 mg/kg/dayで雄に脾臓(間質性肉腫、血管肉腫)、精巣鞘膜中皮腫(30 mg/kg/dayのみ)の発生増加がみられた。なお、雌では腫瘍の発生増加がみられなかったとの報告がある(IARC 127 (2021)、NITE初期リスク評価書 (2007)、AICIS IMAP (2013)、EU RAR (2004)、IRIS (1990))。 (4)マウスを用いた2年間混餌投与による発がん性試験において、6,000〜12,000 ppmで腫瘍の発生増加はみられなかったとの報告がある(IARC 127 (2021)、NITE初期リスク評価書 (2007)、AICIS IMAP (2013)、EU RAR (2004)、IRIS (1990)、NTP TR130 (1978))。 (5)本物質は生体内において塩基性化合物のアニリン(CAS番号 62-53-3)との間でpH依存性の酸-塩基平衡が成立する。したがって、発がん危険性の分類はアニリンと本物質の双方に適用できる(IARC 127 (2021))。 (6)IARCはアニリンと本物質の発がん性に関して、ヒトの証拠は不十分であるが、実験動物での証拠は十分であり、さらに機序的にヒトに対して発がん性のある芳香族アミンのクラスに属することから、グループ2Aとした(IARC 127 (2021))。 【参考データ等】 (7)アニリン(CAS番号 62-53-3)は機序的に、芳香族アミンのクラスに属し、このクラスの複数の物質(4-アミノビフェニル(p-フェニルアニリン)、2-ナフチルアミン、o-トルイジン(o-メチルアニリン)等)はグループ1(ヒトに対して発がん性がある)に分類されている(IARC 127 (2021))。 (8)アニリン(CAS番号 62-53-3)のヒトの発がん性に疫学研究として、コホート研究や症例対照研究で膀胱がんの誘発を懸念する報告はあるが、いずれも本物質単独ばく露ではなく、o-トルイジン等、他の膀胱がん誘発物質との共ばく露下における研究報告に限られる(IARC 127 (2021)、DFG MAK (2018)、NITE初期リスク評価書 (2007)、EU RAR (2004)、IRIS (1990))。 | |||
生殖毒性 | ヒトの生殖影響に関する情報はない。実験動物では本物質を妊娠ラットに対して妊娠7〜20日に強制経口投与した試験で、母動物には10 mg/kg/day 以上で体重増加抑制及び脾臓相対重量の増加、100 mg/kg/dayで血中メトヘモグロビン濃度の上昇、赤血球数の減少、網状赤血球の増加がみられたが、胎児には100 mg/kg/day で肝臓相対重量の軽度増加と血液パラメータの僅かな変化がみられたのみで、胎児毒性や奇形は認められなかった (EU-RAR (2004))。また、母ラットに妊娠7日から分娩0日まで同様に投与し、自然分娩させ母動物は生後30日に、出生児は生後60日まで観察後にそれぞれ剖検した結果、母動物には100 mg/kg/day で脾臓相対重量の増加、血中メトヘモグロビン濃度の上昇、MCVの増加がみられたが、出生児には100 mg/kg/day まで明確な毒性影響はみられなかった (EU-RAR (2004))。一方、厚生労働省ではこのデータに対し、100 mg/kg/dayでの胎児の肝臓相対重量の増加と平均赤血球容積 (MCV) の増加が、また100 mg/kg/day投与群の出生児では生後0日にMCVの増加、生後2日に雌の体重減少がみられており、これらは発生影響とされている (厚生労働省有害性評価書 (Access on August 2016))。また、ラットに本物質を195 mg/kg/day で皮下投与した試験で、母動物にメトヘモグロビン血症 (25〜42%メトヘモグロビン)、胎児に口蓋裂、心臓及び肋骨の奇形がみられ、メチレンブルーの投与により心臓異常と口蓋裂の頻度が減少することから、胎児への影響はメトヘモグロビン形成による低酸素症によると考察されている (厚生労働省アニリン有害性評価書 (Access on August 2016))。以上、厚労省のアニリン有害性評価における実験動物での発生影響に基づき、本項は区分2が妥当と判断した。 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 本物質の単回ばく露のデータはない。アニリンの急性中毒はメトヘモグロビン形成に因るものであり、チアノーゼ、意識障害、呼吸困難、痙攣などを引き起こし死に至る可能性があると記載されている (ACGIH (7th, 2001)、EU-RAR (2004)、NITE初期リスク評価書 (2007))。実際にヒトでアニリンの誤飲や自殺企図による摂取、あるいは職業ばく露により、めまい、昏睡、錯乱、蒼白、チアノーゼ、呼吸困難などの症状が報告されており、その症状は総ヘモグロビン中に占めるメトヘモグロビンの量に依存すると記述されている (EU-RAR (2004)、NITE初期リスク評価書 (2007))。以上より本物質もアニリンと同じ毒性影響を示す可能性があると考えられるため、区分1 (血液系、神経系) とした。なお、旧分類では 本物質がヒトに対して気道刺激作用を有するとの ICSC (2001) 及びHSFS (2003) の記載に基づいて区分3 (気道刺激性) と分類しているが、現在のガイダンスではこれらはList 3の資料となるため、区分を見直した。 | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 本物質は、アニリンと同様の影響を及ぼすと考えられる。 ヒトにおいて、アニリン製造工場従業員の多くにチアノーゼのほか、頭痛、めまい、嚥下困難、悪心、嘔吐、胸部及び腹部の痛み又は痙れん、脱力、動悸、不整呼吸、瞳孔収縮 (光に対する反応性あり)、体温異常、呼気及び汗のアニリン臭、暗色尿がみられ、重症時には肺浮腫、尿及び便の失禁がみられている (NITE初期リスク評価書 (2007))。 実験動物では、本物質の経口経路及びアニリンを用いた吸入経路の試験が複数実施されており、いずれの経路においても区分1の範囲で血液系への影響 (メトヘモグロビン血症、溶血) とそれに関連する二次的影響が認められている。 以上のように主に血液系と神経系に影響が認められた (NITE初期リスク評価書 (2007)、DFGOT vol.26 (2010))。 したがって、区分1 (血液系、神経系) とした。 | |||
誤えん有害性* | データ不足のため分類できない。 | |||
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性 短期(急性) | データなし | ||
水生環境有害性 長期(慢性) | データなし | ||
残留性・分解性 | 情報なし | ||
生態蓄積性 | 情報なし | ||
土壌中の移動性 | 情報なし | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
---|---|---|---|
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 1548 | |||
品名(国連輸送名) | アニリン塩酸塩 | |||
国連分類 | 6.1 | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | V | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 道路法、毒物及び劇物取締法の規定に従う。 | |||
特別な安全上の対策 | 道路法、毒物及び劇物取締法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 153 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 該当しない | |||
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) | 該当しない | |||
毒物及び劇物取締法 | 劇物(指定令第2条) | |||
船舶安全法 | 毒物類(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
航空法 | 毒物類(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
道路法 | 車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2) |
16.その他の情報 | ||||
---|---|---|---|---|
参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 |