| 1.化学品等及び会社情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品の名称 | ペンタナトリウム=2,2’,2’’,2’’’−{[(カルボキシラトメチル)イミノ]ビス(エチレンニトリロ)}テトラアセタート | ||
| 化学品の英語名称 | Pentasodium [(carboxylatomethyl)iminodiethylenedinitrilo]tetraacetate | ||
| 製品コード | R06-A-006-JNIOSH | ||
| 供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
| 住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
| 電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
| 電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
| 緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| 推奨用途及び使用上の制限 | キレート化剤,化粧品原料(NITE-CHRIPより引用) | ||
| 2.危険有害性の要約 | |||
|---|---|---|---|
| GHS分類 | |||
| 分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | 令和6年度(2024年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) | ||
| 物理化学的危険性 | - | ||
| 健康に対する有害性 | 急性毒性 (吸入: 粉じん、ミスト) | 区分4 | |
| 生殖毒性 | 区分1B | ||
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分2 (呼吸器) | ||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1 (呼吸器) | ||
| 分類実施日 (環境有害性) | - | ||
| 環境に対する有害性 | 水生環境有害性 短期(急性) | - | |
| 水生環境有害性 長期(慢性) | - | ||
| GHSラベル要素 | |||
|---|---|---|---|
| 絵表示 | ![]() ![]() | ||
| 注意喚起語 | 危険 | ||
| 危険有害性情報 | 吸入すると有害 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ 呼吸器の障害のおそれ 長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器の障害 | ||
| 注意書き | |||
| 安全対策 | 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 | ||
| 応急措置 | 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 気分が悪い時は医師に連絡すること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。 | ||
| 保管 | 施錠して保管すること。 | ||
| 廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
| 他の危険有害性 | 情報なし | ||
| 3.組成及び成分情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
| 化学名又は一般名 | ペンタナトリウム=2,2’,2’’,2’’’−{[(カルボキシラトメチル)イミノ]ビス(エチレンニトリロ)}テトラアセタート | ||
| 慣用名又は別名 | - | ||
| 英語名 | Pentasodium [(carboxylatomethyl)iminodiethylenedinitrilo]tetraacetate | ||
| 濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
| 分子式 (分子量) | C14H18N3Na5O10 (508) | ||
| 化学特性 (示性式又は構造式) | ![]() | ||
| CAS番号 | 140-01-2 | ||
| 官報公示整理番号 (化審法) | 2-1274 | ||
| 官報公示整理番号 (安衛法) | - | ||
| GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | - | ||
| 4.応急措置 | |||
|---|---|---|---|
| 吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
| 皮膚に付着した場合 | 大量の水で洗うこと。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
| 眼に入った場合 | 水で15〜20分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
| 飲み込んだ場合 | 水で口をすすぎ、直ちに医師の診断を受けること。 | ||
| 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 情報なし | ||
| 応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。 | ||
| 医師に対する特別な注意事項 | 情報なし | ||
| 5.火災時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 適切な消火剤 | 乾式消火剤、泡消火剤 以上、GESTIS参照。 | ||
| 使ってはならない消火剤 | 二酸化炭素 以上、GESTIS参照。 | ||
| 特有の危険有害性 | 火災の場合、有害物質(亜硝酸ガス、一酸化炭素と二酸化炭素)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 特有の消火方法 | 突然の放出や大量の粉じんの発生に備えて、直ちに避難する。 周囲の容器を水スプレーで冷却する。 可能であれば、容器を危険区域から移動する。 加熱すると圧力が上昇し、破裂や爆発の危険がある。 着火(発火)源を遮断する。 流出水が排水システムに入らないようにする。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 6.漏出時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 影響を受ける周囲に警告する。 個人用保護具を着用すること(「個人用保護具」の章を参照)。 周囲を換気し、こぼれた場所を洗う。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 環境に対する注意事項 | 容器とパイプラインにラベルを貼る。 水、排水、下水、または地中への浸透を防ぐ。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 封じ込め及び浄化の方法及び機材 | リサイクルの方法がない場合は、それぞれの地域の規制に従って廃棄する必要がある。 廃棄物を流し台やゴミ箱に入れたり置いたりしない。 固体有機残留物の容器に集める。 収集容器には、内容物の説明がされているラベルを貼る。容器は換気の良い場所に保管する。それらを適切な当局に委託して処分する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 二次災害の防止策 | 情報なし | ||
| 7.取扱い及び保管上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 取扱い | |||
| 技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する 粉じんの形成を避ける。避けられない粉じんの発生は、定期的に収集する必要がある。 清掃にブロワーを使用しない。 掃除中に粉じんを起こさないこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 安全取扱い注意事項 | 作業場を清潔で乾燥した状態に保つように注意する。 この物質は、作業に必要な量を超えて持ち込まない。 容器を開いたままにしない。 補充、移し替え、または開放使用のためには、十分な換気を確保する必要がある。 こぼれないようにする。 粉じん爆発が発生する可能性のある量の粉塵として物質が発生する可能性のある領域は、爆発の危険性があると考えられる。 ラベルの付いた容器にのみ入れる。 粉じんが舞い上がるのを避ける。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 接触回避 | 両性金属、軽金属 感染性、放射性、爆発性の物質。 強酸化性物質。 硝酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムを含有する製剤 有機過酸化物および自己反応性物質。 自然発火性物質。 水と接触した場合、可燃性ガスを放出する物質。 危険な化学反応が起こりうる物質と一緒に保管しない。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 衛生対策 | 飲食禁止。 眼、皮膚、衣類への接触を避けること。接触した場合は患部を洗浄する。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 シャワー付きの洗面所と、可能であれば、私服と作業服用の独立した収納を備えた部屋を用意する。 使用後は手を洗うこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 保管 | |||
| 安全な保管条件 | 食品容器は使用しない。 容器にラベルを貼付する。 できるだけ元の容器に保管する。 容器は、涼しく乾燥した換気の良い場所で密閉して保管する。 物質は吸湿性で、湿気を避ける。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 安全な容器包装材料 | 破損や漏れの無い密閉可能な容器を使用する。 | ||
| 8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
| 管理濃度 | - | |||
| 濃度基準値 | ||||
| 八時間濃度基準値 | - | |||
| 短時間濃度基準値 | - | |||
| 許容濃度 | ||||
| 日本産衛学会 (2024年度版) | - | |||
| ACGIH (2024年版) | - | |||
| 設備対策 | 粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。 作業場は換気をする。 床に排水口を作らない。 洗浄設備を設置する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 保護具 | ||||
| 呼吸用保護具 | 緊急時には、呼吸保護具を着用する。 フィルター装置の使用限界を超える濃度、18%未満の酸素濃度、または不明な状況では使用しない。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 手の保護具 | 必要に応じて適切な不浸透性の保護手袋を使用すること。着用する前に締まり具合を確認する。手袋は取り外す前に十分に洗浄し、換気の良い場所に保管する。 次の材料は保護手袋に適している: ニトリルゴム/ニトリルラテックス NBR、ポリクロロプレン CR、ポリ塩化ビニル PVC 以上、GESTIS参照。 | |||
| 眼の保護具 | 必要に応じて安全眼鏡、保護面、安全ゴーグルなどの眼用保護具を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 皮膚及び身体の保護具 | 身体の保護リスクに応じて、適切な防護服または適切な化学防護服を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 9.物理的及び化学的性質 | |||
|---|---|---|---|
| 物理的状態 | |||
| 物理状態 | 固体 | ||
| 色 | 白色 | ||
| 臭い | データなし | ||
| 融点/凝固点 | 230 ℃(分解) (HSDB (2024)) | ||
| 沸点、初留点及び沸騰範囲 | データなし | ||
| 可燃性 | 可燃性 (GESTIS (2024)) | ||
| 爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
| 引火点 | データなし | ||
| 自然発火点 | 386 ℃ (純度88%) (ECHA CHEM(2024)) | ||
| 分解温度 | > 150 ℃ (GESTIS (2024)) | ||
| pH | 11〜12 (10 g/L) (GESTIS (2024)) | ||
| 動粘性率 | データなし | ||
| 溶解度 | 水: 混和 (GESTIS (2024)) | ||
| n-オクタノール/水分配係数 | log Kow:-3.05 (EU CLP CLH (2015)) | ||
| 蒸気圧 | データなし | ||
| 密度及び/又は相対密度 | データなし | ||
| 相対ガス密度 | データなし | ||
| 粒子特性 | データなし | ||
| 10.安定性及び反応性 | |||
|---|---|---|---|
| 反応性 | 物質は可燃性である。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 化学的安定性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 自己発熱性が無い 以上、GESTIS参照。 | ||
| 危険有害反応可能性 | 粉じん状の分布や使用量により粉じん爆発のおそれがある場合は、発生防止、発火防止、建設的防爆による対策が必要となる場合がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 避けるべき条件 | 発火源(火気、加熱、高温、静電気、火花など)に近づけないこと。 吸湿性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 混触危険物質 | 酸化剤、還元剤等 | ||
| 危険有害な分解生成物 | 火災の場合、有害物質(亜硝酸ガス、一酸化炭素と二酸化炭素)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 11.有害性情報 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 急性毒性 | ||||
| 経口 | 【分類根拠】 (1) より区分に該当しない。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50:約4,550 mg/kg (RAC Opinion (2017)、ECHA CHEM (Accessed May 2024)) | |||
| 経皮 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 【参考データ等】 (1) DTPA-K5 (ジエチレントリアミン五酢酸五カリウム:CAS登録番号 7216-95-7) のラットのLD50:> 2,000 mg/kg (RAC Opinion (2017)、ECHA CHEM (Accessed May 2024)) (2) EDTA (エチレンジアミン四酢酸:CAS登録番号 60-00-4) では、経皮経由の浸透性は極めて低く、吸収率は約0.001%との報告されている。本物質の方がEDTAより分子量が大きいことを考慮すると本物質の経皮吸収率もEDTAと同様に低いと考えられる (RAC Opinion (2017)) 。 | |||
| 吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 | |||
| 吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 【参考データ等】 (1) ラットに本物質の蒸気 (濃度不明) を8時間/日で5日間吸入ばく露したが、死亡例は生じなかったとの報告がある (RAC Opinion (2017)、ECHA CHEM (Accessed May 2024)) 。 | |||
| 吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 本物質自体のデータはないが、RAC Opinion (2017) でリードアクロスに用いられた類似の分子構造 (エチレンジアミンまたはジエチレントリアミン骨格を有し、窒素に 4 つまたは 5 つの酢酸基が結合) を有するキレート化合物のデータを含め検討した。類縁物質の (1) 、 (2) の情報に基づき、区分4とした。 【根拠データ】 (1) EDTA-Na2H2 (エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム :CAS登録番号 139-33-3) について、ラットを用いた5日間吸入ばく露試験において、1,000 mg/m3 (粉じん) の6時間ばく露 (1日のみ) で6/20例が死亡し、肺の組織学的所見 (うっ血、浮腫、多巣性出血、及び炎症性浸潤) が認められた。この結果より、ラットのLC30 (6時間) は1 mg/L (Haberの規則を適用したラットLC30 (4時間換算値) :1.14 mg/L) であり、EDTA-Na2H2のLC50は> 1ー< 5 mg/L (区分4) の範囲と推定される (RAC Opinion (2017)、ECHA CHEM (Accessed May 2024)) 。 (2)(1) の影響は、金属イオンと配位していない強いキレート剤であるEDTA-Na2H2の肺でのカルシウムのキレート作用によるものと考えられ、本物質も同様に強いキレート作用により、吸入すると有害であると考えられる (RAC Opinion (2017)) 。 【参考データ等】 (3) EUではAcute Tox. 4 (H332: Harmful if inhaled) に分類されている (CLP分類 (Accessed May 2024)) 。 | |||
| 皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1) より区分に該当しない。 【根拠データ】 (1) 本物質のウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG404相当:原液0.5 mL、4時間閉塞、72時間観察) で陰性の報告がある (4/24/72hの全体の個体別平均スコア:3例全例0)(ECHA CHEM (Accessed May 2024)) 。 | |||
| 眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 (1) より区分に該当しない。 【根拠データ】 (1) 本物質のウサギ (n= 3) を用いた眼刺激性試験 (OECD TG405、非GLP:原液0.1 mL、8日間観察) で陰性の報告がある (24/48/72hの個体別平均刺激スコア:角膜混濁 (0/0/0) 、虹彩炎 (0/0/0) 、結膜発赤 (1.33/2/1) 、結膜浮腫 (0/0.33/0.33) ) の報告がある (ECHA CHEM (Accessed May 2024)) 。 | |||
| 呼吸器感作性 | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 | |||
| 皮膚感作性 | 【分類根拠】 (1) 〜 (3) より区分に該当しない。 【根拠データ】 (1) モルモット (n= 20) を用いたマキシマイゼーション試験 (OECD TG406、GLP:感作:皮内5%、経皮5%、惹起:2%) では、惹起24時間後の観察で全例陰性 (0/20) の結果であった (ECHA CHEM (Accessed May 2024)) 。 (2) DTPA (ジエチレントリアミン五酢酸:CAS登録番号 67-43-6) のモルモット (n= 20) を用いたビューラー試験 (OECD TG406、GLP:原体0.25 g (水で湿らせ適用) 、感作:100%、惹起:100%) では、24及び48時間後に陽性反応は認められなかった (陽性率:0/20)(同上) 。 【参考データ等】 (3) 本物質、DTPA及びDTPA-K5 (ジエチレントリアミン五酢酸五カリウム:CAS登録番号 7216-95-7)) 、又はEDTA-Na2H2 (エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム :CAS登録番号 139-33-3) を被験物質とした動物試験では、いずれも陰性の結果が得られており、これらの物質は皮膚感作性を有さないと判断されている (RAC Opinion (2017)) 。 | |||
| 生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 本物質自体のデータはなく分類できない。 【参考データ等】 (1) In vitroでは、細菌を用いた復帰突然変異試験で陰性 (本物質、DTPA-K5 (ジエチレントリアミン五酢酸五カリウム:CAS登録番号 7216-95-7) 及びEDTA-Na3H (エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム:CAS登録番号 150-38-9) ) 、CHO細胞を用いた遺伝子突然変異試験 (DTPA-K5及びEDTA-Na3Hで陰性、マウスリンフォーマ試験 (EDTA-Na2H2 (エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム :CAS登録番号 139-33-3) 及びEDTA-Na3H) で陰性の報告がある (RAC Opinion (2017)) 。 (2) In vivoでは、EDTA-Na2H2を被験物質とするマウスの骨髄細胞を用いた強制経口投与 (500〜2,000 mg/kg/day、2回 (24時間間隔) ) による小核試験 (OECD TG474、GLP) で陰性の報告、並びにEDTA-Na2H2・二水和物 (CAS登録番号 6381-92-6) を被験物質とするマウス骨髄細胞を用いた小核試験 (単回腹腔内投与、186 mg/kg、24及び48時間後に試料採取) で陰性の報告がある (RAC Opinion (2017)、ECHA CHEM (Accessed May 2024))。 | |||
| 発がん性 | 【分類根拠】 本物質自体のデータはなく分類できない。 【参考データ等】 (1) EDTA-Na3H (エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム:CAS登録番号 150-38-9) を被験物質としたラット及びマウスを用いた2年間混餌投与による発がん性試験では、ラット、マウスの雌雄とも7,500 ppm (約500 mg/kg/day) まで発がん性の証拠は認められなかった (RAC Opinion (2017)、NTP TR11 (1977)) 。 (2) EDTA-CaNa2 (エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム:CAS登録番号 62-33-9)について、ラットを用いた2年間混餌投与による慢性毒性試験では、最高用量の250 mg/kg/dayまで毒性徴候は認められなかった (RAC Opinion (2017)) 。 | |||
| 生殖毒性 | 【分類根拠】 (1) 、 (2) より、母動物毒性が軽度な用量において、本物質の作用機序との関連が強く示唆される催奇形性が認められたことから、区分1Bとした。 【根拠データ】 (1) 妊娠ラットを用いた強制経口投与 (妊娠6〜15日、100〜1,000 mg/kg/day) による発生毒性では、軽度の母動物毒性 (摂餌量減少及び体重増加抑制 (7〜16%) ) がみられる1,000 mg/kg/dayで、母動物に子宮重量の減少、胎児に生存胎児数の減少、骨格奇形 (特に胸椎・腰椎の欠損、二分胸骨分節、骨化中心の位置異常 (ossification centres dislocaed) の発生増加 (多くは背景データの発生頻度を超える) が認められた。中用量 (400 mg/kg/day) では奇形発生率の増加はみられなかったが、頭蓋骨の不完全骨化、胸椎分節の未骨化など骨化遅延の発生率の増加がみられている (RAC Opinion (2017)) 。 (2) DTPA (塩) の催奇形性の機序として、DTPAがキレート剤として亜鉛と強く結合することから、妊娠母動物への投与により亜鉛欠乏を生じることにより奇形が誘発されるとの仮説が有力である。動物実験で亜鉛欠乏により様々な奇形が生じることが知られている (同上) 。 【参考データ等】 (3) EUで本物質はRepr. 1Bに分類されている (CLP分類 (Accessed May 2024)) 。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 本物質自体のデータはないが、RAC Opinion (2017) でリードアクロスに用いられた類似の分子構造 (エチレンジアミンまたはジエチレントリアミン骨格を有し、窒素に 4 つまたは 5 つの酢酸基が結合) を有するキレート化合物のデータを含め検討した。類縁物質の (1) 、 (2) の情報に基づき、区分2 (呼吸器) とした。 【根拠データ】 (1) EDTA-Na2H2 (エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム :CAS登録番号 139-33-3) について、ラットを用いた5日間吸入ばく露試験において、1,000 mg/m3 (粉じん) の6時間ばく露 (1日のみ) で6/20例が死亡し、肺の組織学的所見 (うっ血、浮腫、多巣性出血、及び炎症性浸潤) が認められた (RAC Opinion (2017)、ECHA CHEM (Accessed May 2024)) 。 (2) (1) の影響は、金属イオンと配位していない強いキレート剤であるEDTA-Na2H2の肺でのカルシウムのキレート作用によるものと考えられ、本物質も同様に強いキレート作用により、吸入すると有害であると考えられる (RAC Opinion (2017)) 。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 本物質自体のデータはないが、RAC Opinion (2017) でリードアクロスに用いられた類似の分子構造 (エチレンジアミンまたはジエチレントリアミン骨格を有し、窒素に 4 つまたは 5 つの酢酸基が結合) を有するキレート化合物のデータを含め検討した。類縁物質の (1) 〜 (3) の情報に基づき、区分1 (呼吸器) とした。 【根拠データ】 (1) EDTA-Na2H2 (エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム :CAS登録番号 139-33-3)(粉じん) のラットを用いた13週間吸入ばく露試験 (6時間/日、5日/週) において、3 mg/m3以上で肺絶対重量の増加 (雌) 、15 mg/m3で肺の絶対/相対重量増加、喉頭蓋基部における喉頭上皮の限局性過形成 (雌1例) 、喉頭蓋基部における軽度の顆粒球浸潤 (雌2例) が認められた。LOAELは15 mg/m3 (90日換算:0.011 mg/L) と決定された (RAC Opinion (2017)) 。 (2)(1) の用量設定予備試験 (EDTA-Na2H2 (粉じん) のラット5日間吸入ばく露試験) においても、30 mg/m3以上で喉頭 (上皮の壊死) 、喉頭蓋 (炎症性細胞浸潤) 及び肺 (細気管支上皮の再生性過形成、気管支の粘膜細胞過形成) に組織変化がみられている (RAC Opinion (2017)) 。 (3) RAC Opinion (2017) では、 (1) 、 (2) で観察された局所的影響について、重要部位に付着した物質のキレート特性によるものと考えられ、カルシウムとおそらく亜鉛が、細胞間結合部およびその他の膜または結合組織から浸出し、その結果として沈殿した細胞剥離、それに続く再生および化生が起こった可能性があると考察している (RAC Opinion (2017)) 。 【参考データ等】 (4) DTPA-Na5 (ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム:CAS登録番号 140-01-2) のラットを用いた28日間飲水投与試験 (OECD TG407) 及びDTPA-K5 (ジエチレントリアミン五酢酸五カリウム:CAS登録番号 7216-95-7) のラットを用いた28日間強制経口投与試験 (OECD TG407) では、区分2までの用量範囲で明瞭な有害影響はみられていない。LOAELは前者で333 mg/kg/day (90日換算:103.6 mg/kg/day) 、後者で420 mg/kg/day (同130.7 mg/kg/day) と判断された (RAC Opinion (2017)、ECHA CHEM (Accessed May 2024)) 。 | |||
| 誤えん有害性* | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
| * JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 | ||||
| 12.環境影響情報 | |||
|---|---|---|---|
| 生態毒性 | |||
| 水生環境有害性 短期(急性) | - | ||
| 水生環境有害性 長期(慢性) | - | ||
| 残留性・分解性 | - | ||
| 生態蓄積性 | - | ||
| 土壌中の移動性 | - | ||
| オゾン層への有害性 | - | ||
| 13.廃棄上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 | ||
| 14.輸送上の注意 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
| 国際規制 | ||||
| 国連番号 | 該当しない | |||
| 品名(国連輸送名) | 該当しない | |||
| 国連分類 | 該当しない | |||
| 副次危険 | 該当しない | |||
| 容器等級 | 該当しない | |||
| 海洋汚染物質 | - | |||
| MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
| 国内規制 | ||||
| 海上規制情報 | 該当しない | |||
| 航空規制情報 | 該当しない | |||
| 陸上規制情報 | 該当しない | |||
| 特別な安全上の対策 | 該当しない | |||
| その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
| 緊急時応急措置指針番号* | - | |||
| * 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。 | ||||
| 15.適用法令 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
| 労働安全衛生法 | - | |||
| 化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | - | |||
| 毒物及び劇物取締法 | - | |||
| 水道法 | 水質基準(平15省令101号) 【36 ナトリウム及びその化合物】 | |||
| 16.その他の情報 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 参考文献 | ||||
| 9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・2024 Emengency Response Guidebook ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 ・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」 | ||||