| 1.化学品等及び会社情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品の名称 | 2-エチルヘキサン酸コバルト(II) | ||
| 化学品の英語名称 | Hexanoic acid, 2-ethyl-, cobalt (2+) salt | ||
| 製品コード | R06-C-086-JNIOSH | ||
| 供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
| 住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
| 電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
| 電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
| 緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| 推奨用途及び使用上の制限 | ペンキのドライヤー(NITE-CHRIPより引用) | ||
| 2.危険有害性の要約 | |||
|---|---|---|---|
| GHS分類 | |||
| 分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | 令和6年度(2024年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) ※一部、令和5年度(2023年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) | ||
| 物理化学的危険性 | - | ||
| 健康に対する有害性 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A | |
| 呼吸器感作性 | 区分1A | ||
| 皮膚感作性 | 区分1A | ||
| 発がん性 | 区分1B | ||
| 生殖毒性 | 区分1B | ||
| 分類実施日 (環境有害性) | 令和5年度(2023年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) | ||
| 環境に対する有害性 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分1 | |
| 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分2 | ||
| GHSラベル要素 | |||
|---|---|---|---|
| 絵表示 | ![]() ![]() | ||
| 注意喚起語 | 危険 | ||
| 危険有害性情報 | 強い眼刺激 吸入するとアレルギー、ぜん(喘)息又は呼吸困難を起こすおそれ アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ 発がんのおそれ 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ 水生生物に非常に強い毒性 長期継続的影響によって水生生物に毒性 | ||
| 注意書き | |||
| 安全対策 | 取扱い後はよく手を洗うこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 環境への放出を避けること。 | ||
| 応急措置 | 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。 皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 漏出物を回収すること。 | ||
| 保管 | 施錠して保管すること。 | ||
| 廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
| 他の危険有害性 | 情報なし | ||
| 3.組成及び成分情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
| 化学名又は一般名 | 2-エチルヘキサン酸コバルト(II) | ||
| 慣用名又は別名 | オクチル酸金属石けん(Co) 2-エチルヘキサン酸第一コバルト | ||
| 英語名 | Hexanoic acid, 2-ethyl-, cobalt (2+) salt | ||
| 濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
| 分子式 (分子量) | C16H30CoO4 (374) | ||
| 化学特性 (示性式又は構造式) | ![]() | ||
| CAS番号 | 136-52-7 | ||
| 官報公示整理番号 (化審法) | 2-615 | ||
| 官報公示整理番号 (安衛法) | - | ||
| GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | - | ||
| 4.応急措置 | |||
|---|---|---|---|
| 吸入した場合 | 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 | ||
| 皮膚に付着した場合 | 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 | ||
| 眼に入った場合 | 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 | ||
| 飲み込んだ場合 | 水で口をすすぎ、直ちに医師の診断を受けること | ||
| 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 情報なし | ||
| 応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する | ||
| 医師に対する特別な注意事項 | 情報なし | ||
| 5.火災時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 適切な消火剤 | 水噴霧、乾燥消火剤、泡消火剤、二酸化炭素。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 使ってはならない消火剤 | 火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。 | ||
| 特有の危険有害性 | 火災の場合、有害物質(一酸化炭素と二酸化炭素、金属酸化物ヒューム)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 特有の消火方法 | 可能であれば、容器を危険区域から移動する。 着火(発火)源を遮断する。 流出水が排水システムに入らないようにすること。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 6.漏出時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 影響を受ける周囲に警告すること。 個人用保護具を着用すること(「個人用保護具」の章を参照)。 周囲を換気し、こぼれた場所を洗浄する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 環境に対する注意事項 | 環境への放出を避けること。 閉じた装置のみを使用すること。 容器とパイプラインにラベルを貼ること 水、排水、下水、または地中への浸透を防ぐ。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 漏出物を回収すること。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 収集容器にはラベルを貼ること。容器は換気の良い場所に保管すること。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 二次災害の防止策 | 情報なし | ||
| 7.取扱い及び保管上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 取扱い | |||
| 技術的対策 | すべての部屋と備品は定期的に清掃する必要がある。 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 安全取扱い注意事項 | 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 使用前に取扱説明書を入手すること。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 作業場所を清潔に保つこと。 この物質は、作業に必要な量を超えて持ち込まない。 容器を開けたままにしないこと。 補充または移し替えには、排気口付きの漏れ防止機器を使用すること。 こぼれないようにすること。 ラベルの付いた容器にのみ注入すること。 粉じんを発生させないようにする。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 接触回避 | 感染性、放射性、爆発性の物質。 ガス。 強酸化性物質。 硝酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムを含有する製剤 有機過酸化物および自己反応性物質。 危険な化学反応が起こりうる物質と一緒に保管しない。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 衛生対策 | 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 取扱い後はよく手を洗うこと。 眼、皮膚、衣類への接触を避けること。接触した場合は患部を洗浄する。 眼に入った場合は、影響を受けた眼を洗い流す。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 シャワー付きの洗面所と、可能であれば、私服と作業服用の独立した収納を備えた部屋を用意すること。 使用後は手を洗うこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 保管 | |||
| 安全な保管条件 | 施錠して保管すること。 容器にラベルを貼ること。 できるだけ元の容器に保管すること。 容器は、涼しく乾燥した換気の良い場所で密閉して保管する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 安全な容器包装材料 | 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。 | ||
| 8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
| 管理濃度 | - | |||
| 濃度基準値 | ||||
| 八時間濃度基準値 | - | |||
| 短時間濃度基準値 | - | |||
| 許容濃度 | ||||
| 日本産衛学会 (2023年度版) | 0.05 mg/m3 (コバルト及びコバルト化合物として) | |||
| ACGIH (2024年版) | - | |||
| 設備対策 | 粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。 作業場は、可能であれば物理的に分離する必要がある。 作業場は換気をすること。 床に排水溝を設置しない。 取り扱い場所の近くに洗浄のための設備を設ける。 洗眼設備を設置し、標識を付ける。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 保護具 | ||||
| 呼吸用保護具 | 【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。 緊急時には、呼吸保護具を着用する。 フィルター装置の使用限界を超える濃度、体積18%未満の酸素濃度、または不明な状況では、絶縁装置を使用すること。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 手の保護具 | 必要に応じて適切な不浸透性の保護手袋を使用すること。着用する前に締まり具合を確認すること。手袋は取り外す前に十分に洗浄し、換気の良い場所に保管すること。 布製または革製の手袋は不適切である。 次の材料は保護手袋に適している(透過時間>= 8時間):ニトリルゴム/ニトリルラテックス-NBR(0.35 mm)、フッ素樹脂ゴム-FKM(0.4 mm)。 次の材料の保護手袋は、2時間以上連続して着用しない(透過時間>= 2時間)、ポリクロロプレン - CR (0.5 mm)、ポリ塩化ビニル - PVC (0.5 mm) 次の材料は、劣化、重度の膨潤、または低透過性のために保護手袋には適していない:天然ゴム/天然ラテックス - NR、ブチルゴム - ブチル 記載されている時間は、22°Cで測定し、一定の接触によって示唆されている。温められた物質や体温などによる温度の上昇や、膨張による有効層厚の弱化により、透過時間が大幅に短縮される可能性がある。層の厚さが1.5倍に増減すると、透過時間が2倍/半減する。このデータは純物質にのみ適用される。 厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル」参照のこと。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 眼の保護具 | 必要に応じて安全眼鏡、保護面、安全ゴーグルなどの眼用保護具を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 皮膚及び身体の保護具 | 身体の保護リスクに応じて、不浸透性の適切な防護服または適切な化学防護服を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 9.物理的及び化学的性質 | |||
|---|---|---|---|
| 物理的状態 | |||
| 物理状態 | 固体 | ||
| 色 | 紫色~濃青色 | ||
| 臭い | データなし | ||
| 融点/凝固点 | 64~84 ℃ (分解) (HSDB in PubChem(2024)) | ||
| 沸点、初留点及び沸騰範囲 | データなし | ||
| 可燃性 | 可燃性 | ||
| 爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
| 引火点 | データなし | ||
| 自然発火点 | データなし | ||
| 分解温度 | 約90 ℃ (HSDB in PubChem(2024)) 64~84 ℃ (GESTIS (2024)) | ||
| pH | データなし | ||
| 動粘性率 | データなし | ||
| 溶解度 | 水:40.3 g/L (20℃、pH6.8) (HSDB in PubChem(2024)) | ||
| n-オクタノール/水分配係数 | データなし | ||
| 蒸気圧 | 0.05 hPa (25℃) (ECHA CHEM(2024)) | ||
| 密度及び/又は相対密度 | 1.25 g/cm3 (21.6℃) (HSDB in PubChem (2024)) | ||
| 相対ガス密度 | データなし | ||
| 粒子特性 | データなし | ||
| 10.安定性及び反応性 | |||
|---|---|---|---|
| 反応性 | 物質は可燃性である。 消火設備が利用可能であること。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 化学的安定性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
| 危険有害反応可能性 | 通常の取扱い条件下では危険有害反応を起こさない。 | ||
| 避けるべき条件 | 直射日光を避け、冷暗所に保管する。 | ||
| 混触危険物質 | 酸化剤、還元剤等 | ||
| 危険有害な分解生成物 | 火災の場合、有害物質(一酸化炭素と二酸化炭素、金属酸化物ヒューム)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 11.有害性情報 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 急性毒性 | ||||
| 経口 | 【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。なお、新たな情報に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。 【分類根拠】 (1)ラットのLD50:3,129 mg/kg(OECD TG425、GLP)(REACH登録情報 (Accessed July. 2023)) (2)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(OECD TG425、GLP)(AICIS IMAP (2014)) | |||
| 経皮 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
| 吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 | |||
| 吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
| 吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
| 皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。 【根拠データ】 (1)EpiSkinを用いたin vitro 皮膚腐食性/刺激性試験(OECD TG 439、GLP)において、細胞生存率R=88%との報告がある(AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed July 2023)、HSDB in PubChem (Accessed July 2023))。 (2)EST-1000を用いたin vitro 皮膚腐食性試験(OECD TG 431、GLP)において、T=3分 細胞生存率R=106.9%、T=60分 細胞生存率R=80.7%との報告がある(AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed July 2023)、HSDB in PubChem (Accessed July 2023))。 | |||
| 眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 (1)より、区分2Aとした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、14日観察)において、3例中2例で角膜混濁(スコア≧1)及び結膜発赤(スコア≧2)がみられたが、最も重度の結膜発赤を含め全て14日以内に完全回復した(角膜混濁スコア:0/1/1、虹彩炎スコア:0/0/0、結膜発赤スコア:1/3/2.3、結膜浮腫スコア:0/1.3/1.3)との報告がある(AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed July 2023)、HSDB in PubChem (Accessed July 2023))。 【参考データ等】 (2)In vitro眼刺激性試験(OECD TG 437、GLP)において、in vitro刺激スコア(IVIS)は0で、本物質は眼の刺激性を有さないと判断されたとの報告がある(AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed July 2023))。 | |||
| 呼吸器感作性 | 【分類根拠】 (1)より、区分1Aとした。 【根拠データ】 (1)日本産業衛生学会でコバルト及びコバルト化合物は感作性物質気道第1群に分類されている(産衛学会 許容濃度の勧告等 (2022))。 【参考データ等】 (2)塩化コバルト(CAS登録番号:7646-79-9)、硫酸コバルト(CAS登録番号:10124-43-3)、炭酸コバルト(CAS登録番号:513-79-1)、酢酸コバルト(CAS登録番号:71-48-7) などいくつかの2価コバルト化合物は呼吸器感作性物質として、区分1又は1Aに分類されている(2015/2009/2016/2016年度GHS分類結果)。 | |||
| 皮膚感作性 | 【分類根拠】 (1)~(3)より、区分1Aとした。 【根拠データ】 (1)日本産業衛生学会でコバルト及びコバルト化合物は感作性物質皮膚第1群に分類されている(産衛学会 許容濃度の勧告等 (2022))。 (2)手に湿疹を有するオフセット印刷作業に従事する52歳男性が、パッチテストで塩化コバルトにアレルギー反応を示し、本物質を含有する2種類のインク乾燥促進剤にもアレルギー反応を示したとの報告がある(AICIS IMAP (2014)、HSDB in PubChem (Accessed July 2023))。 (3)接触皮膚炎の46歳女性は、パッチテストで塩化コバルトとポリエステル樹脂に強い反応を示し、後にポリエステル樹脂の促進剤に使用された本物質によるアレルギー性接触皮膚炎であったことが判明したとの報告がある(HSDB in PubChem (Accessed July 2023))。 【参考データ等】 (4)塩化コバルト(CAS登録番号:7646-79-9)、硫酸コバルト(CAS登録番号:10124-43-3)、炭酸コバルト(CAS登録番号:513-79-1)、酢酸コバルト(CAS登録番号:71-48-7)などいくつかの2価コバルト化合物は皮膚感作性物質として、区分1又は1Aに分類されている(2015/2009/2016/2016年度GHS分類結果)。 | |||
| 生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 本物質及びその水和物のデータは(1)に限られ、(2)では金属コバルト及びコバルト化合物についてヒトに関連する遺伝毒性の証拠はないとされていることから分類できないとした。 【根拠データ】 (1)本物質については、マウスリンパ腫細胞L5178Y(hprt遺伝子座)を用いたin vitro遺伝子突然変異試験で陰性の報告がある(AICIS IMAP (2014)、HSDB in PubChem (Accessed July 2023))。 (2)In vivoでのGLPに準拠した試験で、染色体損傷が存在しないことため哺乳類全体の酸化的DNA損傷を防ぐ保護プロセスが十分であると示唆されていることから、全体として、金属コバルト及びコバルト化合物がヒトに関連する遺伝毒性の証拠はないとされている(Kirkland et al, 2015)。 【参考データ等】 (3)本物質は、人工胃液(pH 1.5)では100%、人工腸液(pH 7.4)では50.8%、人工肺胞液(pH 7.4)で100%、人工血清(pH 7.4)で100%、人工ライソゾーム液(pH 4.5-5.0)で100%などヒトの模倣体液中でほぼ完全に溶解し、2価のコバルトイオンと脂肪酸部分(2-エチルへキサノン酸(2-EHA)(CAS登録番号:149-57-5))に遊離する(AICIS IMAP (2014))。 (4)吸入又は経口経路でばく露後、体液中で溶解し2価のコバルトイオンを同程度に遊離するならば、1つのコバルト化合物で得られたデータは、データがない別のコバルト化合物にもリードアクロスにより利用することが可能である。すなわち、2価のコバルトイオンを遊離可能なコバルト化合物間では、データが相互に適用できる(ECHA Final background document (2020))。 | |||
| 発がん性 | 【分類根拠】 ヒトの発がん性に関する情報はない。動物試験では、本物質自体のデータはないが、(1)より本物質が属する二価の可溶性コバルト化合物には動物試験において発がん性の十分な証拠がある物質(硫酸コバルト(II)七水和物)があり、また(2)よりコバルトイオンが発がん性の主な原因であることが報告されていることから、区分1Bとした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した(2024年度)。 【根拠データ】 (1)二価の可溶性コバルト化合物である硫酸コバルト(II)七水和物は動物試験において発がん性の十分な証拠があることに加え、作用機序の面で二価の可溶性コバルト化合物は発がん性のキーとなる性質を示す強い証拠がヒト初代細胞と実験系で得られている(NTP TR471(1998)、IARC 131 (2023))。 (2)生体内でコバルトイオンを遊離するコバルト金属およびコバルト化合物(水への溶解度に関係なく)が、同様の作用機序を介して細胞死、DNA損傷、がんなどの同様の種類の影響を引き起こすことから、コバルトイオンが毒性と発がん性の主な原因であることを示している(NTP (2021)、IARC 131 (2023))。 【参考データ等】 (3)国内外の評価機関による発がん性分類では、本物質を含む可溶性コバルト(II)塩に対しIARCでグループ2A(IARC 131 (2023))に、コバルト及び(無機)コバルト化合物に対しACGIHでA3(ACGIH (2019))、日本産業衛生学会で2B(産衛学会許容濃度等の勧告 (2023))、DFGでカテゴリー2(List of MAK and BAT values (2023))に分類されている。 | |||
| 生殖毒性 | 【分類根拠】 本物質自体のデータはないが、(1)より、分解物である2価のコバルトイオン及び2-エチルヘキサノン酸(CAS登録番号:149-57-5)のデータが適用できることから、両物質についての生殖毒性情報(2)~(6)より、区分1Bとした。なお、新たな情報に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。 【根拠データ】 (1)本物質はヒトの模倣体液中でほぼ完全に溶解する。経口投与ではほぼ完全に溶けて2価のコバルトイオンと脂肪酸部分(2-エチルへキサノン酸(CAS登録番号:149-57-5)に遊離する(AICIS IMAP (2014))。 (2)塩化コバルト(II)(CAS:7646-79-9)を雄マウスに12週間飲水投与後に無処置雌と交配させた結果、200 ppm(25 mg/kg/day)以上で吸収胚数及び生存胎児数減少、400 ppm(47 mg/kg/day)以上で妊娠雌数及び着床部位数の減少が認められた。雄には精巣・精巣上体等の重量減少、精巣及び精巣上体における精子数の減少、精子形成能の低下が認められており、妊娠雌数の減少は雄の授精能の低下に起因すると考えられている報告がある(環境省 リスク評価第11巻 (2013)、厚労省 初期リスク評価書 (2009))。 (3)硫酸コバルト(II)(CAS:10124-43-3)を妊娠ラットに妊娠期間を通して強制経口投与した結果、25及び 50 mg/kg/dayで、胎児の体重低値に加え、骨格・内臓の発達遅延、奇形(主に頭蓋、脊柱、腎盂、尿細管、卵巣、精巣に奇形)の増加がみられた。また、50 mg/kg/dayを妊娠マウスの器官形成期(妊娠6~15日)に強制経口投与した場合も、胎児に骨格の発育遅延、奇形(主に眼瞼、腎臓、頭蓋、脊椎)発生率の増加がみられたとの報告がある(環境省 リスク評価第11巻(2013))。 (4)水溶性コバルト化合物である塩化コバルト(CAS登録番号:7646-79-9)、硫酸コバルト(CAS登録番号:10124-43-3)の本項分類結果はともに区分1Bである(2015/2021年度政府GHS分類結果)。 (5)2-エチルヘキサノン酸(CAS登録番号:149-57-5)ナトリウム塩を雌ラットに交配前の2週間から妊娠期と授乳期、雄ラットに交配前の10週間飲水投与した試験において、600 mg/kg投与した雄と交配すると、受胎は遅延し一腹あたりの児数が減少したとの報告がある(ACGIH(7th, 2001)、PATTY(5th, 2001))。 (6)脂肪酸部分の2-エチルへキサノン酸(CAS登録番号:149-57-5)の本項分類結果は区分1Bである(2008年度政府GHS分類結果)。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 (1)より、経口経路では区分に該当しない。ただし、その他経路でデータ不足のため分類できない。 【参考データ等】 (1)ラットを用いた単回経口投与試験では、2,000 mg/kg(区分2の範囲)で鼻口分泌物、不整呼吸、過剰活動性、円背姿勢、肛門生殖器部位の汚染、下痢がみられたとの報告がある(AICIS IMAP (2014))。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
| 誤えん有害性* | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
| * JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 | ||||
| 12.環境影響情報 | |||
|---|---|---|---|
| 生態毒性 | |||
| 水生環境有害性 短期(急性) | 藻類(ラフィドセリス属)の72時間ErC50 (OECD TG201, GLP) = 0.6542 mg/L(REACH登録情報 (2010))であることから、区分1に該当するとした。新たに得られた情報の使用により、旧分類から分類結果が変更となった。 なお、専門家より、魚類、甲殻類の試験結果が得られていないことから、本分類は暫定的であり、新たな毒性値が入手できた場合には分類を見直すことが指摘されている。 | ||
| 水生環境有害性 長期(慢性) | 慢性毒性データがある栄養段階(藻類)に対して、藻類(ラフィドセリス属)の72時間NOErC (OECD TG201, GLP) = 0.1506 mg/L(REACH登録情報 (2023))がある。本物質に対して急速分解性がある(CO2生成量を指標にした10日間分解度(OECD TG301B、GLP):60%(REACH登録情報 (2010)))とのデータがあるが、専門家から本物質がCo(Ⅱ)イオンと2-エチルヘキサン酸に解離した場合の両者の毒性の違いを考慮する必要性を指摘され、Co(Ⅱ)イオンの毒性が高いことから無機イオンは残存するとみなした。よって、区分2となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階(魚類、甲殻類)に対する急性毒性のデータはない。急速分解性がなく、生物蓄積性はありと推定され(推定logKow:4.68(KOWWIN v1.69))、難水溶性ではない(水溶解度(OECD TG105):40.3 g/L(HSDB (2017), REACH登録情報 (2023)))ことから、分類できないとなる。 以上の結果より、区分2とした。 新たに得られた情報の使用により、旧分類から分類結果が変更となった。 | ||
| 残留性・分解性 | - | ||
| 生態蓄積性 | - | ||
| 土壌中の移動性 | - | ||
| オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書A~C及びEに列記されていない。 | ||
| 13.廃棄上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 | ||
| 14.輸送上の注意 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
| 国際規制 | ||||
| 国連番号 | 3077 | |||
| 品名(国連輸送名) | 環境有害物質、固体、他に品名が明示されていないもの | |||
| 国連分類 | 9 | |||
| 副次危険 | - | |||
| 容器等級 | III | |||
| 海洋汚染物質 | 該当する | |||
| MARPOL73/78附属書Ⅱ及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
| 国内規制 | ||||
| 海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
| 航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
| 陸上規制情報 | 該当しない | |||
| 特別な安全上の対策 | 該当しない | |||
| その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
| 緊急時応急措置指針番号* | 171 | |||
| * 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。 | ||||
| 15.適用法令 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
| 労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【172 コバルト及びその化合物】 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年4月1日以降) 【12 コバルト及びその化合物】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【172 コバルト及びその化合物】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年4月1日以降) 【12 コバルト及びその化合物】 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) 皮膚等障害化学物質(労働安全衛生規則第594条の2) | |||
| 労働基準法 | 疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1) 【コバルト及びその化合物】 | |||
| 化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | 第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1) 【156 コバルト及びその化合物】 | |||
| 毒物及び劇物取締法 | - | |||
| 船舶安全法 | 有害性物質(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
| 航空法 | 有害性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
| 大気汚染防止法 | 有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申) 【60 コバルト及びその化合物】 | |||
| 16.その他の情報 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 参考文献 | ||||
| 9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・2024 Emengency Response Guidebook ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ-タシ-ト作成指針」 ・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」 | ||||