化学品の名称 | 2-エチルヘキサン酸コバルト(U) | ||
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化学品の英語名称 | Hexanoic acid, 2-ethyl-, cobalt (2+) salt | ||
製品コード | R05-B-031-JNIOSH | ||
供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | ペンキのドライヤー (NITE-CHRIPより引用) |
2.危険有害性の要約 | |||
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GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R6.3.29、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver2.1))を使用 | ||
物理化学的危険性 | - | ||
健康に対する有害性 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A | |
呼吸器感作性 | 区分1A | ||
皮膚感作性 | 区分1A | ||
発がん性 | 区分1B | ||
生殖毒性 | 区分1B | ||
分類実施日 (環境有害性) | H29.3.31、ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) | ||
環境に対する有害性 | - | ||
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | 強い眼刺激 吸入するとアレルギー、ぜん(喘)息又は呼吸困難を起こすおそれ アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ 発がんのおそれ 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ | ||
注意書き | |||
安全対策 | 取扱い後は手をよく洗うこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 | ||
応急措置 | 医師の診察/手当てを受けること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。 皮膚に付着した場合:多量の水/石けんで洗うこと。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 | ||
保管 | 施錠して保管すること。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | - |
3.組成及び成分情報 | |||
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化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
化学名又は一般名 | 2−エチルヘキサン酸コバルト(II) | ||
慣用名又は別名 | オクチル酸金属石けん(Co) 2−エチルヘキサン酸第一コバルト | ||
英語名 | Hexanoic acid, 2-ethyl-, cobalt (2+) salt Cobalt bis(2-ethylhexanoate) Cobalt(II) 2-ethylhexanoate | ||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | C16H30CoO4 (374) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 136-52-7 | ||
官報公示整理番号(化審法) | 2-615 | ||
官報公示整理番号(安衛法) | 情報なし | ||
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。呼吸に関する症状が出た場合は医師に連絡すること。 以上、GHS分類結果参照。 | ||
皮膚に付着した場合 | 多量の水/石けんで洗うこと。皮膚刺激が生じた場合は医師の診察/手当てを受けること。 以上、GHS分類結果参照。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合は医師の診察/手当てを受けること。 以上、GHS分類結果参照。 | ||
飲み込んだ場合 | 医師の診察/手当てを受けること。 以上、GHS分類結果参照。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入:喘息のような呼吸障害の可能性。 皮膚:刺激、発疹、アレルギー症状。 眼:刺激 。 経口摂取:吐き気、嘔吐の可能性。 以上、PubChem参照。 | ||
応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
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適切な消火剤 | 水噴霧、粉末消火薬剤、二酸化炭素、泡消火薬剤。 以上、GESTIS参照。 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状注水 以上、GESTIS参照。 | ||
火災時の特有の危険有害性 | 火災の場合、有害物質(一酸化炭素、二酸化炭素、金属酸化物フューム)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
特有の消火方法 | 可能であれば、容器を危険区域外に持ち出す。着火源となるものを遮断する。 以上、GESTIS参照。 | ||
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 保護具を着用する。 以上、GESTIS参照。 | ||
環境に対する注意事項 | 水域に対する危険性は大きい。地面や河川、下水への流出を避ける。少量でも流出した場合は、自治体に連絡する。 以上、GESTIS参照。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | すべての着火源を取り除く(現場での喫煙、火花や火炎の禁止)。 こぼれた物質を密閉式容器内に掃き入れる。 残留分を注意深く集め、安全な場所に移す。 粉塵の拡散を防ぐ。 この物質を環境中に放出してはならない。 | ||
二次災害の防止策 | 火花を発生しない安全な用具を使用する。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱注意事項 | 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 容器を開けたままにしない。漏出を避ける。接触を避ける。補給または移送には排気装置付きの漏れ防止装置を使用すること。 換気が不十分な場合、呼吸用保護具を着用すること。 以上、GHS分類結果、GESTIS参照。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | 粉じんの吸入を避けること。 皮膚や眼への接触を避ける。接触した場合は洗浄する。休憩前や作業終了時には石鹸と水で皮膚を洗い、洗浄後は脂肪分の多いスキンケア製品を塗布する。衣服との接触を避ける。汚染された衣類は交換し、注意深く洗うこと。休憩前に着替えが必要になる場合がある。使用するときには飲食、喫煙をしないこと。 以上、GHS分類結果、GESTIS参照。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 施錠して保管する。容器を密閉し、涼しくて換気の良い場所で保管すること。 以上、GHS分類結果、GESTIS参照。 | ||
安全な容器包装材料 | 破損や漏れの無い密閉可能な容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
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許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
管理濃度 | - | |||
濃度基準値 | ||||
八時間濃度基準値 | - | |||
短時間濃度基準値 | - | |||
許容濃度等 | ||||
日本産衛学会(2023年版) | 0.05 mg/m3(コバルト及びコバルト化合物) | |||
ACGIH(2023年版) | - | |||
設備対策 | 作業場所には適切な換気設備を設置する。排出された空気は作業場所に戻さない。認められた方法で十分に洗浄された場合のみ戻すことができる。取り扱い場所の近くに洗浄のための設備を設け、標識を付けること。床に排水溝を設けないこと。 以上、GESTIS参照。 | |||
保護具 | ||||
呼吸用保護具 | 緊急時(例:意図しない物質の放出)には、呼吸保護具を着用する。 作業者が粉じんにばく露される場合は呼吸保護具(防じんマスク等)の着用を検討する。 防じんマスクの選択については、以下の点に留意する。 -酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。また、有害なガスが存在する場所においては防じんマスクを使用せず、その他の呼吸用保護具の利用を検討すること。 -防じんマスクは、国家検定合格品であることを確認し、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。 | |||
手の保護具 | 適切な不浸透性の保護手袋を着用する。 保護手袋の選択については、厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル」を参照のこと。 | |||
眼の保護具 | サイドガード付きの保護眼鏡を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
皮膚及び身体の保護具 | 適切な保護衣または化学防護服を着用する。 以上、GESTIS参照。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
物理状態 | 固体 | ||
色 | 紫色〜濃紺色 | ||
臭い | データなし | ||
融点/凝固点 | 64〜84 ℃(分解する)(GESTIS (2023)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 加熱した時に分解する(GESTIS (2023)) | ||
可燃性 | データなし | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
引火点 | データなし | ||
自然発火点 | データなし | ||
分解温度 | 64〜84 ℃(GESTIS(2023)) | ||
pH | データなし | ||
動粘性率 | データなし | ||
溶解度 | 水: 40.3 g/L(20℃)(GESTIS(2023)) 水: 25.05 g/L(20℃、pH 6.97 (after 72 hours shaking))(HSDB in PubChem (2023)) 水: 6.3 g/L(37℃、pH 6.31-6.54 (after 72 hours shaking))(HSDB in PubChem (2023)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | データなし | ||
蒸気圧 | データなし | ||
密度及び/又は相対密度 | 1.25 g/cm3(21.6℃)(GESTIS(2023)、HSDB in PubChem (2023)) | ||
相対ガス密度 | データなし | ||
粒子特性 | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 情報なし | ||
危険有害反応可能性 | 情報なし | ||
避けるべき条件 | 情報なし | ||
混触危険物質 | 情報なし | ||
危険有害な分解生成物 | 情報なし |
11.有害性情報 | ||||
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急性毒性 | ||||
経口 | 【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。なお、新たな情報に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。 【分類根拠】 (1)ラットのLD50:3,129 mg/kg(OECD TG425、GLP)(REACH登録情報 (Accessed July. 2023)) (2)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(OECD TG425、GLP)(AICIS IMAP (2014)) | |||
経皮 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 | |||
吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。 【根拠データ】 (1)EpiSkinを用いたin vitro 皮膚刺激性試験(OECD TG 439、GLP)において、細胞生存率R=88%との報告がある(AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed July 2023)、HSDB in PubChem (Accessed July 2023))。 (2)EST-1000を用いたin vitro 皮膚腐食性試験(OECD TG 431、GLP)において、T=3分 細胞生存率R=106.9%、T=60分 細胞生存率R=80.7%との報告がある(AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed July 2023)、HSDB in PubChem (Accessed July 2023))。 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 (1)より、区分2Aとした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、14日観察)において、3例中2例で角膜混濁(スコア≧1)及び結膜発赤(スコア≧2)がみられたが、最も重度の結膜発赤を含め全て14日以内に完全回復した(角膜混濁スコア:0/1/1、虹彩炎スコア:0/0/0、結膜発赤スコア:1/3/2.3、結膜浮腫スコア:0/1.3/1.3)との報告がある(AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed July 2023)、HSDB in PubChem (Accessed July 2023))。 【参考データ等】 (2)In vitro眼刺激性試験(OECD TG 437、GLP)において、in vitro刺激スコア(IVIS)は0で、本物質は眼の刺激性を有さないと判断されたとの報告がある(AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed July 2023))。 | |||
呼吸器感作性 | 【分類根拠】 (1)より、区分1Aとした。 【根拠データ】 (1)日本産業衛生学会でコバルト及びコバルト化合物は感作性物質気道第1群に分類されている(産衛学会 許容濃度の勧告等 (2022))。 【参考データ等】 (2)塩化コバルト(CAS登録番号:7646-79-9)、硫酸コバルト(CAS登録番号:10124-43-3)、炭酸コバルト(CAS登録番号:513-79-1)、酢酸コバルト(CAS登録番号:71-48-7) などいくつかの2価コバルト化合物は呼吸器感作性物質として、区分1又は1Aに分類されている(2015/2009/2016/2016年度GHS分類結果)。 | |||
皮膚感作性 | 【分類根拠】 (1)〜(3)より、区分1Aとした。 【根拠データ】 (1)日本産業衛生学会でコバルト及びコバルト化合物は感作性物質皮膚第1群に分類されている(産衛学会 許容濃度の勧告等 (2022))。 (2)手に湿疹を有するオフセット印刷作業に従事する52歳男性が、パッチテストで塩化コバルトにアレルギー反応を示し、本物質を含有する2種類のインク乾燥促進剤にもアレルギー反応を示したとの報告がある(AICIS IMAP (2014)、HSDB in PubChem (Accessed July 2023))。 (3)接触皮膚炎の46歳女性は、パッチテストで塩化コバルトとポリエステル樹脂に強い反応を示し、後にポリエステル樹脂の促進剤に使用された本物質によるアレルギー性接触皮膚炎であったことが判明したとの報告がある(HSDB in PubChem (Accessed July 2023))。 【参考データ等】 (4)塩化コバルト(CAS登録番号:7646-79-9)、硫酸コバルト(CAS登録番号:10124-43-3)、炭酸コバルト(CAS登録番号:513-79-1)、酢酸コバルト(CAS登録番号:71-48-7)などいくつかの2価コバルト化合物は皮膚感作性物質として、区分1又は1Aに分類されている(2015/2009/2016/2016年度GHS分類結果)。 | |||
生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 本物質及びその水和物のデータは(1)に限られ、(2)では金属コバルト及びコバルト化合物についてヒトに関連する遺伝毒性の証拠はないとされていることから分類できないとした。 【根拠データ】 (1)本物質については、マウスリンパ腫細胞L5178Y(hprt遺伝子座)を用いたin vitro遺伝子突然変異試験で陰性の報告がある(AICIS IMAP (2014)、HSDB in PubChem (Accessed July 2023))。 (2)In vivoでのGLPに準拠した試験で、染色体損傷が存在しないことため哺乳類全体の酸化的DNA損傷を防ぐ保護プロセスが十分であると示唆されていることから、全体として、金属コバルト及びコバルト化合物がヒトに関連する遺伝毒性の証拠はないとされている(Kirkland et al, 2015)。 【参考データ等】 (3)本物質は、人工胃液(pH 1.5)では100%、人工腸液(pH 7.4)では50.8%、人工肺胞液(pH 7.4)で100%、人工血清(pH 7.4)で100%、人工ライソゾーム液(pH 4.5-5.0)で100%などヒトの模倣体液中でほぼ完全に溶解し、2価のコバルトイオンと脂肪酸部分(2−エチルへキサノン酸(2−EHA)(CAS登録番号:149-57-5))に遊離する(AICIS IMAP (2014))。 (4)吸入又は経口経路でばく露後、体液中で溶解し2価のコバルトイオンを同程度に遊離するならば、1つのコバルト化合物で得られたデータは、データがない別のコバルト化合物にもリードアクロスにより利用することが可能である。すなわち、2価のコバルトイオンを遊離可能なコバルト化合物間では、データが相互に適用できる(ECHA Final background document (2020))。 | |||
発がん性 | 【分類根拠】 本物質自体のデータはないが、(1)より最新のIARCにおいてコバルト及び二価の可溶性コバルト化合物は区分1B相当(Group 2A)に分類されている。さらに、(2)より、本物質は生体内でコバルトイオンを遊離する可能性があり、(3)よりコバルトイオンが発がん性の主な原因であることが報告されていることから、区分1Bとした。新たな情報をもとに分類結果を変更した(2023年度)。 【根拠データ】 (1)コバルト及び二価の可溶性コバルト化合物はグループ2Aに分類された。可溶性二価コバルト化合物には実験動物において発がん性の十分な証拠があることに加え、作用機序の面でそれらの化合物では発がん性のキーとなる性質を示す強い証拠がヒトの細胞と実験系で得られているとの報告がある(IARC 131 (2023))。 (2)本物質は、人工胃液(pH 1.5)では100%、人工腸液(pH 7.4)では50.8%、人工肺胞液(pH 7.4)で100%、人工血清(pH 7.4)で100%、人工ライソゾーム液(pH 4.5-5.0)で100%などヒトの模倣体液中でほぼ完全に溶解し、2価のコバルトイオンと脂肪酸部分(2−エチルへキサノン酸(2−EHA)(CAS登録番号:149-57-5))に遊離する(AICIS IMAP (2014))。 (3)生体内でコバルトイオンを遊離するコバルト金属およびコバルト化合物(水への溶解度に関係なく)が、同様の作用機序を介して細胞死、DNA損傷、がんなどの同様の種類の影響を引き起こすことから、コバルトイオンが毒性と発がん性の主な原因であることを示している(NTP (2021)、IARC (2006))。 | |||
生殖毒性 | 【分類根拠】 本物質自体のデータはないが、(1)より、分解物である2価のコバルトイオン及び2-エチルヘキサノン酸(CAS登録番号:149-57-5)のデータが適用できることから、両物質についての生殖毒性情報(2)〜(6)より、区分1Bとした。なお、新たな情報に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。 【根拠データ】 (1)本物質はヒトの模倣体液中でほぼ完全に溶解する。経口投与ではほぼ完全に溶けて2価のコバルトイオンと脂肪酸部分(2-エチルへキサノン酸(CAS登録番号:149-57-5)に遊離する(AICIS IMAP (2014))。 (2)塩化コバルト(II)(CAS:7646-79-9)を雄マウスに12週間飲水投与後に無処置雌と交配させた結果、200 ppm(25 mg/kg/day)以上で吸収胚数及び生存胎児数減少、400 ppm(47 mg/kg/day)以上で妊娠雌数及び着床部位数の減少が認められた。雄には精巣・精巣上体等の重量減少、精巣及び精巣上体における精子数の減少、精子形成能の低下が認められており、妊娠雌数の減少は雄の授精能の低下に起因すると考えられている報告がある(環境省 リスク評価第11巻 (2013)、厚労省 初期リスク評価書 (2009))。 (3)硫酸コバルト(II)(CAS:10124-43-3)を妊娠ラットに妊娠期間を通して強制経口投与した結果、25及び 50 mg/kg/dayで、胎児の体重低値に加え、骨格・内臓の発達遅延、奇形(主に頭蓋、脊柱、腎盂、尿細管、卵巣、精巣に奇形)の増加がみられた。また、50 mg/kg/dayを妊娠マウスの器官形成期(妊娠6〜15日)に強制経口投与した場合も、胎児に骨格の発育遅延、奇形(主に眼瞼、腎臓、頭蓋、脊椎)発生率の増加がみられたとの報告がある(環境省 リスク評価第11巻(2013))。 (4)水溶性コバルト化合物である塩化コバルト(CAS登録番号:7646-79-9)、硫酸コバルト(CAS登録番号:10124-43-3)の本項分類結果はともに区分1Bである(2015/2021年度政府GHS分類結果)。 (5)2-エチルヘキサノン酸(CAS登録番号:149-57-5)ナトリウム塩を雌ラットに交配前の2週間から妊娠期と授乳期、雄ラットに交配前の10週間飲水投与した試験において、600 mg/kg投与した雄と交配すると、受胎は遅延し一腹あたりの児数が減少したとの報告がある(ACGIH(7th, 2001)、PATTY(5th, 2001))。 (6)脂肪酸部分の2−エチルへキサノン酸(CAS登録番号:149-57-5)の本項分類結果は区分1Bである(2008年度政府GHS分類結果)。 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 (1)より、経口経路では区分に該当しない。ただし、その他経路でデータ不足のため分類できない。 【参考データ等】 (1)ラットを用いた単回経口投与試験では、2,000 mg/kg(区分2の範囲)で鼻口分泌物、不整呼吸、過剰活動性、円背姿勢、肛門生殖器部位の汚染、下痢がみられたとの報告がある(AICIS IMAP (2014))。 | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
誤えん有害性* | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 |
12.環境影響情報 | |||
---|---|---|---|
生態毒性 | |||
水生環境有害性 短期(急性) | データなし | ||
水生環境有害性 長期(慢性) | データなし | ||
残留性・分解性 | 情報なし | ||
生態蓄積性 | 情報なし | ||
土壌中の移動性 | 情報なし | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
---|---|---|---|
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | - | |||
品名(国連輸送名) | - | |||
国連分類 | - | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | - | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 該当しない | |||
航空規制情報 | 該当しない | |||
陸上規制情報 | 該当しない | |||
特別な安全上の対策 | 該当しない | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 該当しない | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9) 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9) 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) 作業場内表示義務(法第101条の4) がん原性物質(作業記録等の30年保存対象物質)(労働安全衛生規則第577条の2) 皮膚等障害化学物質(労働安全衛生規則第594条の2) | |||
労働基準法 | 疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1)【コバルト及びその化合物】(皮膚障害又は気道・肺障害) | |||
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) | 第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1) | |||
毒物及び劇物取締法 | - | |||
大気汚染防止法 | 有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申) |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 ・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」 | ||||
修正履歴 | ||||
R6.3.29: ・危険有害性の分類について物理化学的危険性、健康に対する有害性を見直した。 ・SDS全般について表記の見直し・改訂をした。 |