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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
三硫化アンチモン
作成日 2010年3月31日
改訂日 2025年3月14日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称三硫化アンチモン
化学品の英語名称Antimony sulphide
製品コードR06-C-119-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限顔料,花火・マッチ・起爆性導火線・雷管・写真閃光剤原料,アンチモン塩原料(NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
令和6年度(2024年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) ※一部、平成21年度(2009年度)、ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
物理化学的危険性-
健康に対する有害性眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分2A
発がん性区分1B
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)区分1(心血管系)
分類実施日
(環境有害性)
平成21年度(2009年度)、ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
環境に対する有害性-

GHSラベル要素
絵表示健康有害性感嘆符
注意喚起語危険
危険有害性情報強い眼刺激
発がんのおそれ
長期にわたる、又は反復ばく露による心血管系の障害
注意書き
 安全対策取扱い後はよく手を洗うこと。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
 応急措置眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。
 保管施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名三硫化アンチモン
慣用名又は別名三硫化アンチモン
三硫化二アンチモン
ピグメントレッド107
英語名Antimony sulphide
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)S3Sb2 (340)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号1345-04-6
官報公示整理番号
(化審法)
1-567
官報公示整理番号
(安衛法)
-
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)-

4.応急措置
吸入した場合新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で安静にさせる。
意識がないが呼吸がある場合は、横向きに安定した姿勢で寝かせ、低体温症から保護する。
気分が悪い時や呼吸に関する症状が現れた場合は、医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
皮膚に付着した場合直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。
皮膚の粉じんを払い落とし、流水で石鹸で患部を洗浄する。
炎症を起こした場合:医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
眼に入った場合眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
以上、GESTIS参照。
飲み込んだ場合口をすすぎ、吐き出す。
意識がある場合は、コップ1〜2杯の水を飲ませる。
自然嘔吐の場合は、嘔吐物が呼吸器に侵入するのを防ぐため、頭を胸より低くし、うつぶせの姿勢にする。
以上、GESTIS参照。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状急性: 胃腸障害。
慢性: 心臓障害。
以上、GESTIS参照。
応急措置をする者の保護に必要な注意事項救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、粉末消火剤、泡消火剤、二酸化炭素を使用する。
使ってはならない消火剤火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。
特有の危険有害性一般的な注意として、粉末状物質の場合は、ある条件下では粉じん爆発を起こす可能性がある。
特有の消火方法火元への燃焼源を断ち、消火剤を使用して消火する。
延焼の恐れのないよう水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。
消火活動は風上から行う。
火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。
危険でなければ火災区域から容器を移動する。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服(耐熱性)を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
関係者以外の立ち入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
環境に対する注意事項周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材飛散した物を掃き集めるか、真空掃除機で吸引する等できるだけ飛散発じんしないようにして、空容器等に回収する。
取扱いや保管場所の近傍での飲食の禁止。
二次災害の防止策情報なし

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
粉じんを発生させないようにする。
接触回避接触して爆発の危険性: 硝酸、バリウム、塩素酸塩、硝酸カリウム、過塩素酸
以上、GESTIS参照。
衛生対策この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
保管
安全な保管条件施錠して保管すること。
高温、多湿を避け室温で保管する。
安全な容器包装材料破損や漏れの無い密閉可能な容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度-
濃度基準値
八時間濃度基準値-
短時間濃度基準値-
許容濃度
日本産衛学会 (2023年度版)Sbとして 0.1 mg/m3
(アンチモン及びアンチモン化合物 (Sbとして))
ACGIH (2024年版)TLV-TWA: 0.5 mg/m3 (Sbとして)
設備対策粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。
取り扱い場所の近くに洗浄のための設備を設ける。
保護具
呼吸用保護具粉じんが発生する場合、必要に応じて保護マスクや呼吸用保護具を着用する。
手の保護具手に接触する恐れがある場合、保護手袋を着用する。
眼の保護具眼に入る恐れがある場合、保護眼鏡やゴーグルを着用する。
皮膚及び身体の保護具必要に応じて保護衣、保護エプロン等を着用する。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体
赤橙色〜灰黒色
臭い無臭
融点/凝固点550 ℃ (GESTIS (2024))
沸点、初留点及び沸騰範囲1150 ℃ (GESTIS (2024))
可燃性データなし
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界データなし
引火点データなし
自然発火点データなし
分解温度データなし
pHデータなし
動粘性率データなし
溶解度水:944 μg/L (20℃) (GESTIS (2024))
水:43.5±2.5 mg/L (pH=約5.2) (MOE初期評価第15巻 (2017))
n-オクタノール/水分配係数データなし
蒸気圧データなし
密度及び/又は相対密度4.73 g/cm3 (20℃) (GESTIS(2024))
4.64 g/cm3 (輝安鉱) (NITE初期リスク評価書 (2008))
相対ガス密度データなし
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性通常の取扱い条件下では安定である。
化学的安定性通常の取扱い条件下では安定である。
危険有害反応可能性次の物質と危険な反応をする: フッ素、強力な酸化剤、塩素酸溶液、過塩素酸、濃塩酸酸、硫黄、酸化銀、酸化タリウム、水蒸気
以上、GESTIS参照。
避けるべき条件直射日光を避け、冷暗所に保管する。
混触危険物質接触して爆発の危険性: 硝酸、バリウム、塩素酸塩、硝酸カリウム、過塩素酸
以上、GESTIS参照。
危険有害な分解生成物火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。

11.有害性情報
急性毒性
経口ラットのLD50 > 2000 mg/kg bw [ >1434 mgSb/kg bwから分子量比で換算](DFGOT vol.23(2007))より、分類JISの区分に該当しない(国連分類基準では区分5または区分に該当しない)とした。
経皮ラットのLD50 > 2000 mg/kg bw(DFGOT vol.23(2007))に基づいて分類JISの区分に該当しない(国連分類基準では区分5または区分に該当しない)とした。
吸入: ガスGHSの定義における固体である。
吸入: 蒸気データなし。
吸入: 粉じん及びミストラットのLC50 > 5 mg/L/4h [ >3584 mgSb/m3から分子量比で換算](DFGOT vol.23(2007))に基づいて分類JISの区分に該当しない(国連分類基準では区分5または区分に該当しない)とした。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性データなし。なお、アンチモンヒュームは皮膚刺激性を示すと考えられるとの報告もある(厚生労働省:アンチモン及びその化合物有害性評価書(2009))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性ウサギに用量100mgを適用した試験(OECD Guid Line 405準拠)で、軽度の角膜混濁があり、可逆性が確認された期間が14日以内であったとのデータ(DFGOT vol.23(2007))に基づいて区分2Aとした。
呼吸器感作性データなし。
皮膚感作性データなし。
生殖細胞変異原性データなし。なお、MAK/BATでは、アンチモンおよびその無機化合物の吸入画分は、生殖細胞変異原性カテゴリー「3B」(DFGOT 23, 2007)となっている。
発がん性【分類根拠】
本物質自体のデータはないが、(1)、(2)より区分1Bとした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した(2024年度)。

【根拠データ】
(1)本物質は三価アンチモン化合物である。三価アンチモン化合物のうち三酸化二アンチモン(CAS登録番号 1309-64-4)について、1種類の動物種(マウス)ではあるが信頼性のある試験で雌雄ともに悪性を含む腫瘍の発生増加が認められていることから、区分1Bに分類された(2024年度政府GHS分類結果)。
(2)IARCの最新評価において、三価アンチモン化合物は主として三酸化二アンチモンのデータに基づきグループ2Aに分類された(IARC 131 (2023))。

【参考データ等】
(3)三酸化二アンチモン(CAS登録番号 1309-64-4)のラット及びマウスを用いた2年間吸入ばく露発がん性試験において、雄マウスで肺腫瘍と皮膚腫瘍の発生増加、雌マウスで肺腫瘍と悪性リンパ腫の発生増加が認められた(IARC 131 (2023)、ATSDR (2019)、MOE初期評価 (2017)、NTP TR590 (2017))。
(4)国内外の評価機関による発がん性分類では、三価アンチモン化合物についてIARCがグループ2A(IARC 131 (2023))、アンチモン及びアンチモン化合物(スチビン除く)についてDFGがカテゴリー2(List of MAK and BAT values (2023))に分類している。
生殖毒性データなし。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)データなし。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)ラットに濃度3.1mg/m3で6週間反復吸入投与して、心電図で顕著なT波平低が見られ、剖検で心臓の肥大と退行性変化の兆候、更に心不全の2次的影響と考えられる肺の局所出血とうっ血が見られた報告(IARC 47(1989))、および、8ヶ月から2ヶ年の職業ばく露で125人中6人の心臓障害が疑われる死亡例があったが、三硫化二アンチモンの使用中止後は、心臓死はなく、心血管障害の異常増加もなかったとの報告(NITE初期リスク評価書(2008))がある事から区分1(心血管系)とした。なお、呼吸器についてアンチモンにばく露されると非腫瘍性呼吸器による死亡率が増加することを示唆する報告もある(厚生労働省:アンチモン及びその化合物有害性評価書(2009))。
誤えん有害性*データなし。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)データなし。
水生環境有害性 長期(慢性)データなし。
残留性・分解性-
生態蓄積性-
土壌中の移動性-
オゾン層への有害性-

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。


14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号該当しない
品名(国連輸送名)該当しない
国連分類該当しない
副次危険該当しない
容器等級該当しない
海洋汚染物質該当しない
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報該当しない
航空規制情報該当しない
陸上規制情報該当しない
特別な安全上の対策該当しない
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*-
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【38 アンチモン及びその化合物】
名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年4月1日以降) 【5 アンチモン及びその化合物】
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【38 アンチモン及びその化合物】
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年4月1日以降) 【5 アンチモン及びその化合物】
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)
労働基準法疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1) 【アンチモン及びその化合物】
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1) 【48 アンチモン及びその化合物】
毒物及び劇物取締法-
水質汚濁防止法指定物質(法第2条第4項、施行令第3条の3) 【47 アンチモン及びその化合物】
大気汚染防止法有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申) 【14 アンチモン及びその化合物】

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・2024 Emengency Response Guidebook
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」