1.化学品及び会社情報 | |||
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化学品の名称 | ピグメントイエロー 34 | ||
化学品の英語名称 | C.I. Pigment Yellow 34 | ||
製品コード | R04-B-014-JNIOSH | ||
供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 顔料,油性塗料・合成樹脂塗料原料 (NITE-CHRIPより引用) |
2.危険有害性の要約 | |||
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GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R5.3.31、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver2.1))を使用 | ||
物理化学的危険性 | - | ||
健康に対する有害性 | 呼吸器感作性 | 区分1A | |
皮膚感作性 | 区分1A | ||
生殖細胞変異原性 | 区分1B | ||
発がん性 | 区分1A | ||
生殖毒性 | 区分1A、授乳に対するまたは授乳を介した影響に関する追加区分 | ||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1(神経系、呼吸器、心血管系、血液系、消化管、肝臓、腎臓) | ||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1(神経系、呼吸器、血液系、消化管、腎臓、生殖器(男性)) | ||
分類実施日 (環境有害性) | ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版) | ||
環境に対する有害性 | - | ||
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | 吸入するとアレルギー、ぜん(喘)息又は呼吸困難を起こすおそれ アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ 遺伝性疾患のおそれ 発がんのおそれ 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ 授乳中の子に害を及ぼすおそれ 神経系、呼吸器、心血管系、血液系、消化管、肝臓、腎臓の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による神経系、呼吸器、血液系、消化管、腎臓、生殖器(男性)の障害 | ||
注意書き | |||
安全対策 | 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱い後は手をよく洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 | ||
応急措置 | 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。 皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。 | ||
保管 | 施錠して保管すること。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
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化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
化学名又は一般名 | ピグメントイエロー 34 | ||
慣用名又は別名 | クロム酸鉛 | ||
英語名 | C.I. Pigment Yellow 34 lead chromate | ||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | () | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 1344-37-2 | ||
官報公示整理番号(化審法) | 5-5161 | ||
官報公示整理番号(安衛法) | 情報なし | ||
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させる。呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
皮膚に付着した場合 | 皮膚に付着した部分を石鹸と流水で十分に洗浄する。溶液(染料、酸)と接触した場合は、汚染部位を水で十分にすすぐ。ビタミンC溶液(水に5gを溶かしたもの)を飲ませる。医師の診察を受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
眼に入った場合 | 流水で10分間洗浄する。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐ。負傷者に意識がある場合は、コップ1杯の水(約200ml)を飲ませる。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 情報なし | ||
応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
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適切な消火剤 | 不燃性。周辺の火災に応じた適切な消火剤を使用する。 以上、GESTIS参照。 | ||
使ってはならない消火剤 | 情報なし | ||
火災時の特有の危険有害性 | 情報なし | ||
特有の消火方法 | 情報なし | ||
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 自給式呼吸器を着用する。 以上、GESTIS参照。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 周囲に注意喚起し、避難させる。漏出区域に入るときは保護具を着用すること。 以上、GESTIS参照。 | ||
環境に対する注意事項 | 水域に対する危険性は大きい。地面や河川、下水への流出を避ける。少量でも流出した場合は、自治体に連絡する。 以上、GESTIS参照。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 粉じんが発生しないように回収する。その後、換気し漏出個所を洗浄する。 以上、GESTIS参照。 | ||
二次災害の防止策 | 情報なし |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱注意事項 | 容器を開けたままにしない。粉じんの発生を避ける。使用前に取扱説明書を入手する。すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わない。使用時は十分な換気をすること。 以上、GESTIS参照。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | 皮膚や衣類への接触を避ける。粉じんの吸入を避ける。休憩前や作業終了時には石鹸と水で皮膚を洗い、洗浄後は脂肪分の多いスキンケア製品を塗布する。汚染された作業衣は作業場から出さないこと。使用するときには飲食、喫煙をしないこと。 以上、GESTIS、GHS分類結果参照。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 施錠して保管するか、権限のある者のみが管理する。容器を密閉して保管すること。強酸化剤から離しておく。 以上、GESTIS参照。 | ||
安全な容器包装材料 | 毒劇法で規定されている容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
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許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
管理濃度 | (クロムとして)0.05、(鉛として)0.05 mg/m3 | |||
許容濃度等 | ||||
日本産衛学会(2022年版) | 許容濃度: (3価クロム化合物として)0.5、(Pbとして)0.03 mg/m3 | |||
ACGIH(2022年版) | TLV-TWA: 0.05*, 0.03** mg/m3(*鉛および無機化合物、Pbとして、**クロム(V)無機化合物、Crとして) | |||
設備対策 | 作業場所には適切な局所排気装置等を設置する。取り扱い場所の近くに洗浄のための設備を設ける。 以上、GESTIS参照。 | |||
保護具 | ||||
呼吸用保護具 | 緊急時(例:意図しない物質の放出、ばく露限界値を超える場合)には、呼吸保護具を着用する。 作業者が粉じんにばく露される場合は呼吸保護具(防じんマスク等)の着用を検討する。 防じんマスクの選択については、以下の点に留意する。 -酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。また、有害なガスが存在する場所においては防じんマスクを使用せず、その他の呼吸用保護具の利用を検討すること。 -防じんマスクは、日本工業規格(JIS T8151)に適合した、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。 以上、GESTIS参照。 | |||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。クロロプレン、ニトリルゴム、PVCが適している。 以上、GESTIS参照。 | |||
眼の保護具 | サイドガード付きの保護眼鏡を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
皮膚及び身体の保護具 | 必要に応じて適切な保護衣または化学防護服を着用する。 以上、GESTIS参照。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
物理状態 | 固体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 黄色 | ||
臭い | データなし | ||
融点/凝固点 | データなし | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | データなし | ||
可燃性 | データなし | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
引火点 | データなし | ||
自然発火点 | データなし | ||
分解温度 | データなし | ||
pH | データなし | ||
動粘性率 | データなし | ||
溶解度 | 水: (不溶)(GESTIS (2022)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | データなし | ||
蒸気圧 | データなし | ||
密度及び/又は相対密度 | 5〜6 g/cm3(20℃)(GESTIS (2022)) | ||
相対ガス密度 | データなし | ||
粒子特性 | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 粉じん爆発の危険性はない。(GESTIS) | ||
危険有害反応可能性 | 情報なし | ||
避けるべき条件 | 情報なし | ||
混触危険物質 | 情報なし | ||
危険有害な分解生成物 | 鉛酸化物(ICSC) |
11.有害性情報 | ||||
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急性毒性 | ||||
経口 | 【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。なお、本物質はクロム酸鉛(CAS登録番号:7758-97-6)と硫酸鉛(CAS登録番号:7446-14-2)を含み、組成比は前者が61〜76%(平均68%)、後者が20〜38%(平均29%)と報告されている(Canada CMP(2008)、EU REACH SVHC (2009))。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50: > 5,000 mg/kg(AICIS IMAP (2015)、Canada CMP Screening Assessment (2008)) | |||
経皮 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 | |||
吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、半閉塞、4時間適用、72時間観察)において、みられた刺激性影響は72時間以内に消失した(紅斑・痂皮スコア:0.3/0/0.7、浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(AICIS IMAP (2015)、Canada CMP Screening Assessment (2008)、REACH登録情報 (Accessed Aug. 2022))。 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。なお、用いる知見を精査し、分類結果を変更した。旧分類の根拠データはC.I.ピグメントレッド104(CAS登録番号:12656-85-8)のものと考えられるため、採用しなかった。 | |||
呼吸器感作性 | 【分類根拠】 (1)〜(3)より、区分1Aとした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)本物質は六価クロム化合物であるクロム酸鉛(CAS登録番号:7758-97-6)を約68%含む顔料である(EU REACH SVHC (2009)、Canada CMP Screening Assessment (2008))。 (2)六価クロム化合物については、EUのリスク評価でクロム化合物の呼吸器感作性の潜在能力が調査され、症例報告と気管支誘発性テスト結果に基づいて、六価クロム化合物は職業性喘息を生じるおそれがあり、呼吸器感作性物質と同時に皮膚感作性物質に分類すべきと結論された(REACH登録情報 (Accessed Aug. 2022))。 (3)日本産業衛生学会ではクロム及びクロム化合物は感作性物質気道第2群に分類されている(産衛学会許容濃度の勧告等 (2021))。 | |||
皮膚感作性 | 【分類根拠】 (1)、(2)より、区分1Aとした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)本物質は六価クロム化合物であるクロム酸鉛(CAS登録番号:7758-97-6)を約68%含む顔料である(EU REACH SVHC (2009)、Canada CMP Screening Assessment (2008))。 (2)日本産業衛生学会ではクロム及びクロム化合物は感作性物質皮膚第1群に分類されている(産衛学会許容濃度の勧告等 (2021))。 | |||
生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 本物質及びその構成成分のクロム酸鉛の試験データ(1)〜(3)での陽性の報告、(4)及び(5)の六価クロム化合物の陽性の報告から区分1Bとした。 【根拠データ】 (1)In vivoでは、本物質についてマウスを用いた小核試験(腹腔内投与、25〜100 mg/kg単回、又は100 mg/kgで2回投与)では、陰性の結果であった(REACH登録情報 (Accessed Aug. 2022))。しかし、原著者は検体が標的組織まで到達したという証拠がないため、この結果は確定的なものではないと報告した(Canada CMP Screening Assessment (2008))。 (2)本物質の構成成分であるクロム酸鉛(CAS登録番号:7758-97-6)について、マウスを用いた小核試験(腹腔内投与)では、結果は陽性であった(Canada CMP Screening Assessment (2008)、AICIS IMAP (2015))。 (3)In vitroでは、本物質について、細菌(ネズミチフス菌TA100)を用いた2つの復帰突然変異試験では、陽性(NaOHに溶解又はニトリロ三酢酸に懸濁)又は陰性(水に懸濁)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)を用いた染色体異常試験で陽性(NaOHに溶解又は培養培地で懸濁)又は陰性(水に懸濁)の結果が得られている(REACH登録情報、Canada CMP Screening Assessment (2008))。 (4)クロム酸鉛は六価クロム化合物であり、in vivoではマウス及びラットに腹腔内投与した遺伝子突然変異試験、染色体異常試験、小核試験及びDNA損傷試験で陽性の結果、マウスに強制経口投与したDNA損傷試験で陽性、マウスに飲水投与した小核試験でほぼ陰性の報告がある (食安委 清涼飲料水評価書 (2018))。 (5)クロム酸鉛は六価クロム化合物であり、in vitroでは、細菌た復帰突然変異試験は陽性及び陰性であった。哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験、不定期DNA合成試験及び形質転換試験では陽性の報告がある (食安委 清涼飲料水評価書 (2018))。 (6)鉛及び鉛化合物の遺伝毒性について、国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer:IARC)(2006)によれば、細菌を用いた復帰突然変異試験でほぼ陰性の結果が得られている。また、in vivo の試験系において、動物を用いた小核試験で陽性の結果が得られている。これらの結果から、鉛は直接的な遺伝毒性物質ではなく、観察された遺伝毒性は間接的な影響によるものであると考えられた(食安委 評価書 (2021))。 【参考データ等】 (7)国内外の分類機関による既存分類では、EUでMuta.1Bに分類されている (CLP分類結果 (Access June 2019))。 | |||
発がん性 | 【分類根拠】 (1)〜(3)より本物質は六価クロム(CAS登録番号:18540?29?9)を含むことから、六価クロムのデータに基づき区分1Aとした。 【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、六価クロム化合物として、IARCでグループ1 (IARC 100C (2012))、ACGIHでA1 (ACGIH (7th, 2018))、EUでCarc.1B (EU CLP分類 (Access on July 2019)) に分類されている。 (2)クロム酸鉛は六価クロム化合物であり、六価クロムはIARCでグループ1に分類されている(IARC 100C (2012))。本物質はそのクロム酸鉛を約68%含むUVCB物質である(EU REACH SVHC (2009))。 (3)労働基準法施行規則別表第1の2 において、「クロム酸塩又は重クロム酸塩を製造する工程における業務による肺がん又は上気道のがん」が業務上疾病の対象になっている(労働基準法施行規則別表第1の2 (Accessed Oct. 2022))。 【参考データ等】 (4)本物質は、クロム酸鉛(CAS登録番号:7758-97-6)と硫酸鉛(CAS登録番号:7446-14-2)を含み、組成比は前者が61〜76%(平均68%)、後者が20〜38%(平均29%)と報告されている(Canada CMP(2008)、EU REACH SVHC (2009))。 (5)本物質の構成成分の一つであるクロム酸鉛(CAS登録番号:7758-97-6)について、2 mgをラットの気管支内に2年間埋植した結果、本物質埋植群の各1例の雄に気管支癌が発生した。本結果は統計的には有意ではなかった。気管支の炎症、扁平上皮化生、異形成が認められたと報告されている(Canada CMP Screening Assessment (2008)、IARC 87 (2006))。 (6)本物質の構成成分の一つであるクロム酸鉛(CAS登録番号:7758-97-6)をラットに単回皮下投与後に注射部位に肉腫を生じたとの報告、ラットに筋肉内注射した後に腎臓腫瘍(腎臓がん)を生じたとの報告がある。クロム酸鉛を含む無機鉛化合物としては実験動物で発がん性の十分な証拠があると結論された(IARC 87 (2006))。 | |||
生殖毒性 | 【分類根拠】 (1)〜(10)より、区分1Aとした。また(11)より、授乳に対する又は授乳を介した影響の追加区分とした。なお、本物質については、生殖毒性物質として知られている無機鉛化合物のデータを基に分類した。 【根拠データ】 (1)職業的鉛ばく露を受けた男性では、血中鉛濃度が40 μg/dL 以上で精液中の精子数等に変化がみられ、血中鉛最高濃度51 μg/dL以上で妊娠するまでの時間の長期化、血中鉛濃度31 μg/dL 以上で自然流産のリスクが高まり、平均血中鉛濃度46.3 μg/dL で出生率が低下したとの報告がある(食安委 評価書 (2021))。 (2)血中Pb濃度が10 μg/dL以下の集団において、精子障害の証拠が示されており、10 μg/dL以上では授精能低下、精巣への組織学的傷害を含めより重度の影響みられたとの報告がある(ATSDR (2020))。 (3)日本産業衛生学会は鉛及び鉛化合物を生殖毒性物質第1群に分類している(産衛学会許容濃度等の提案理由書 (2013))。 (4)ロシアの8〜9 歳の男児489人を対象として、血中鉛濃度と発育並びに医師が評価した精巣容積及び思春期開始との関連性について調査された横断的研究において、血中鉛濃度の中央値は3 μg/dLであった。多変量解析では、血中鉛濃度が5 μg/dL 以上の男児は、それより低い濃度の男児と比較して生殖器の成熟度のオッズが43%減少した (オッズ比=0.57、p=0.03)。これらの結果から、比較的低い血中鉛濃度においても、青年期前後の男児の発育不良や思春期開始の遅れには関連性があると報告された(食安委 評価書 (2021))。 (5)米国人少女(血中鉛濃度0.7〜21.7 μg/dL)の解析では、血中鉛濃度の高値は初潮遅延・恥毛発達遅延と関連していたが、乳房発達とは関連しなかったとの報告がある。しかし、同国のアフリカ系及びヒスパニック系の少女では、血中鉛濃度が3μg/dLの群では1 μg/dL群比べて乳房・恥毛の発達が遅れていたが、白人系少女では乳房・恥毛の発達の差はみられなかったとの報告がある(食安委 評価書 (2021))。 (6)生殖器官への影響については、ラットを用いた試験において、血中鉛濃度が30 μg/dL 以上で、雄の精子数への影響及び精巣萎縮がみられ、雌の性周期に影響がみられたとの報告がある(食安委 評価書 (2021))。 (7)ラットを用いた経口投与による発生毒性試験(30日間、0.013、0.26 mg Pb/kg/day)において、雄の発情周期の不規則化、雌の発情周期の不規則化及び卵巣黄体嚢胞数の減少を伴う卵胞嚢胞の発達等がみられたとの報告がある。(食安委 評価書 (2021))。 (8)ラットを用いた経口投与による発生毒性試験(妊娠期間を通して、32〜64 mg Pb/kg 体重/日)において、胎児の発育阻害がみられたとの報告がある(食安委 評価書 (2021))。 (9)ラットを用いた飲水経口投与による発生毒性試験(妊娠5〜21日、0.6%)において、死産児発生率の増加等がみられたとの報告がある(食安委 評価書 (2021))。 (10)女性のばく露について、5 μg/dL以下の母体血中鉛(PbB)レベルにおいて、胎児の成長遅延や出生体重の低下との関連を示す十分な証拠があるとの報告がある(日本産業衛生学会 許容濃度等の提案理由書 (2013))。 (11)授乳期に鉛は母乳へ移行し、母乳中鉛濃度は母体血中鉛濃度の10〜30%とされている(食安委 評価書 (2021))。 【参考データ等】 (12)EUではRepr. 1Aに分類されている(CLP分類結果 (Accessed Aug. 2022))。 (13)日本産業衛生学会はクロムおよびクロム化合物を生殖毒性第3群に分類している。(日本産業衛生学会 許容濃度等の提案理由書 (2014))。 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 本物質については、無機鉛化合物及び六価クロム化合物のデータを基に分類するものとする。(1)〜(4)より、神経系、呼吸器、心血管系、血液系、消化管、肝臓、腎臓を標的臓器と判断し、区分1(神経系、呼吸器、心血管系、血液系、消化管、肝臓、腎臓)とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)鉛による急性影響は、通常、短期高濃度ばく露によって発症し、溶血、肝細胞障害を伴うことが多い。極めて強いばく露の場合には、腎尿細管障害と急性脳障害がみられるが、軽症では関節痛・頭痛にとどまるとの報告がある(食安委 食品健康評価書 (2021))。 (2)急性中毒の明らかな症状として、感情鈍麻、落ち着かない、怒りっぽい、注意力散漫、頭痛、筋肉の震え、腹部痙攣、腎障害、幻覚、記憶の喪失などがあり、脳障害は血中鉛濃度が成人で100〜200μg/dL、小児で80〜100 μg/dLで起こるとの報告がある(食安委 食品健康評価書 (2021))。 (3)極めて高用量の六価クロム化合物をヒトが事故又は意図的に摂取した場合、呼吸器、心血管系、消化管、血液系、肝臓、腎臓、及び神経系影響を生じた。また疥癬の治療目的に、六価クロム化合物(クロム酸カリウム)を経皮適用後に腎不全、心臓の脂肪変性、腎尿細管の充血と壊死、胃粘膜の充血を生じたとの報告がある(CICAD 73 (2013)、ATSDR (2012))。 (4)22 か月の男児が重クロム酸ナトリウム(VI)(量不明)を摂取し、18.5 時間後に心肺停止で死亡した。解剖の結果、全身性浮腫、両側性胸水、肺水腫、重度の気管支炎、急性気管支肺炎、心筋における初期の低酸素性変化並びに尿細管及び消化管の壊死等がみられたとの報告がある(食安委 清涼飲料水評価書 (2018)) | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 本物質については、無機鉛化合物及び六価クロム化合物のデータを基に分類するものとする。(1)〜(5)より、ヒト知見において標的臓器は神経系、呼吸器、血液系、消化管、腎臓、生殖器(男性)と考えられることから、区分1(神経系、呼吸器、血液系、消化管、腎臓、生殖器(男性))とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)鉛による慢性影響は、通常、継続的な鉛ばく露を受けている人にみられ、神経系及び内分泌系障害が特徴的であるが、臨床所見は明らかでないことも多い。また筋骨格系やその他の非特異的な自覚症状が多い。高尿酸血症がみられるが、貧血、疝痛、腎糸球体障害は重くない。遅発症状(‘late’ syndrome)は、痛風、慢性腎障害、脳障害を特徴とし、高濃度ばく露のあと多くの年月を経てから発症する。急性中毒の発症が既往症としてみられることも多い(食安委 食品健康評価書 (2021))。 (2)小児は、一般的に手から口への動作を行い、これが成人よりも高いレベルの鉛ばく露につながる。また、小児の鉛の吸収と蓄積は成人よりも大きいことから、小児の体重当たりの体内負荷量は成人よりも高い傾向を示す。小児における相対的に大きなばく露と体内負荷は、成長期の敏感な時期に起こり、小児の様々なエンドポイント(鉛脳症、貧血、神経行動学発達障害、運動神経伝導速度低下など)における最小作用量(LOEL)は、成人よりも低い(食安委 食品健康評価書 (2021))。 (3)職業的鉛曝露を受けた男性では、血中鉛濃度が40 μg/dL 以上で精液中の精子数等に変化が認められ、血中鉛最高濃度51 μg/dL以上で妊娠するまでの時間の長期化、血中鉛濃度31 μg/dL 以上で自然流産のリスクが高まり、平均血中鉛濃度46.3 μg/dL で出生率が低下したと報告された(食安委 評価書 (2020))。ATSDRでは、血中Pb濃度が10 μg/dL以下の集団でも精子障害の証拠が示されており、10 μg/dL以上では授精能低下、精巣への組織学的傷害を含めより重度の影響が数件の報告から示されるとしている(ATSDR (2020))。 (4)空中に浮遊する六価クロム化合物にヒトが職業性ばく露された場合の影響には、気道や眼の刺激が含まれ、これらは鼻中隔潰瘍、鼻中隔穿孔及び呼吸器癌の発生頻度の増加につながる可能性があるとの報告がある(食安委 清涼飲料水評価書 (2018))。 (5)六価クロム化合物について、ヒトと動物で用量反応関係のデータが利用可能なデータで、最も感度の高い非腫瘍性の影響は呼吸器(鼻腔と肺の刺激、肺機能低下)、消化管(刺激、潰瘍、胃腸の非腫瘍性病変)、血液系(小球性低色素性貧血)、生殖器(精子数、精巣上体の組織変化など男性生殖器への影響)であるとの報告がある(ATSDR (2012))。 【参考データ等】 (6)イヌを用いた混餌投与による90日間反復経口投与試験において、2,000 ppm(75.4 mg/kg/day、区分2の範囲)で僅かな血液影響(ヘモグロビン・ヘマトクリット及びMCVの減少、分葉核好中球比の減少、桿状好中球比の増加、赤血球形態の変化)、腎臓病変(尿細管の限局性変性:数例)、精巣の変性、小腸(粘膜上皮の分裂増殖促進)がみられ、高用量では神経症状、骨髄、肝臓への影響等もみられているとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Aug. 2022)、AICIS IMAP (2015))。 | |||
誤えん有害性* | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性 短期(急性) | データ不足のため分類できない。 | ||
水生環境有害性 長期(慢性) | データ不足のため分類できない。 | ||
残留性・分解性 | 情報なし | ||
生態蓄積性 | 情報なし | ||
土壌中の移動性 | 情報なし | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
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化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 特別管理産業廃棄物に該当する。 特別管理産業廃棄物処理基準に従って処理を行うか、特別管理産業廃棄物の許可業者に運搬又は処分を委託する。 | ||
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
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本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | - | |||
品名(国連輸送名) | - | |||
国連分類 | - | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | - | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 該当しない | |||
航空規制情報 | 該当しない | |||
陸上規制情報 | 道路法、毒物及び劇物取締法の規定に従う。 | |||
特別な安全上の対策 | 道路法、毒物及び劇物取締法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 該当しない | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9) 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)、リスクアセスメント対象物(法第57の3) 鉛等(施行令別表第4) 特殊健康診断対象物質・現行取扱労働者(法第66条第2項、施行令第22条第1項)【鉛業務】 作業環境評価基準(法第65条の2第1項) 作業場内表示義務(法第101条の4) | |||
労働基準法 | 女性労働基準規則の対象物質(女性労働基準規則第2条の18)【クロム酸塩】 がん原性化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第7号)(クロム酸塩又は重クロム酸塩を製造する工程における業務による肺がん又は上気道のがん) 疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1)【鉛及びその化合物(頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状、造血器障害、末梢神経障害又は疝痛、便秘等の胃腸障害)】【クロム及びその化合物(皮膚障害、気道・肺障害、鼻中隔穿孔又は嗅覚障害)】 | |||
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) | 特定第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1、施行令第4条) | |||
毒物及び劇物取締法 | 劇物(指定令第2条)【鉛化合物】【クロム酸塩類及びこれを含有する製剤】 | |||
水道法 | 有害物質(法第4条第2項)【鉛及びその化合物】【六価クロム化合物】 水質基準(平15省令101号)【鉛及びその化合物】【六価クロム化合物】 | |||
水質汚濁防止法 | 有害物質(法第2条、施行令第2条)【鉛及びその化合物】【六価クロム化合物】 | |||
土壌汚染対策法 | 第2種特定有害物質(法第2条第1項、施行令第1条、施行規則第4条)【六価クロム化合物】【鉛及びその化合物】 | |||
下水道法 | 水質基準物質(法第12条の2第2項、施行令第9条の4)【鉛及びその化合物】【六価クロム化合物】 | |||
廃棄物の処理及び清掃に関する法律 | 特別管理産業廃棄物(法第2条第5項、施行令第2条の4)【鉛及びその化合物を含有する特定有害産業廃棄物】【六価クロム化合物を含有する特定有害産業廃棄物】 | |||
道路法 | 車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2) |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 R5.3.31: 物理化学的危険性、健康に対する有害性を見直した。 |