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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
1-(2-メトキシ-2-メチルエトキシ)-2-プロパノール
作成日 2002年5月6日
改訂日 2006年9月11日
改訂日 2023年3月31日
1.化学品及び会社情報
化学品の名称1-(2-メトキシ-2-メチルエトキシ)-2-プロパノール
化学品の英語名称1-(2-Methoxypropoxy)-2-propanol
製品コードR04-B-005-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限 印刷インキ、エナメルの溶剤、切削油、作動油、洗浄剤などのカップリング溶剤 (NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
R5.3.31、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver2.1))を使用
物理化学的危険性引火性液体区分4
健康に対する有害性特定標的臓器毒性
(単回ばく露)
区分3(気道刺激性、麻酔作用)
分類実施日
(環境有害性)
マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
環境に対する有害性-
GHSラベル要素
絵表示感嘆符
注意喚起語警告
危険有害性情報引火性液体
呼吸器への刺激のおそれ
眠気またはめまいのおそれ
注意書き
 安全対策熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
 応急措置火災の場合:消火するために適切な消火剤を使用すること。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
気分が悪いときは医師に連絡すること。
 保管換気の良い場所で保管すること。
容器を密閉しておくこと。
施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名1-(2-メトキシ-2-メチルエトキシ)-2-プロパノール
慣用名又は別名1−(2−メトキシプロポキシ)プロパン−2−オール
英語名1-(2-Methoxypropoxy)propan-2-ol
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C7H16O3 (148.2)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号13429-07-7
官報公示整理番号(化審法)2-426
官報公示整理番号(安衛法)情報なし
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)情報なし

4.応急措置
吸入した場合新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させる。呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。呼吸が止まっている場合は人工呼吸を行う。医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
皮膚に付着した場合汚染された衣服を脱がせる。皮膚に付着した部分を石鹸と多量の水で10分以上洗浄する。医師の診察を受けること。
以上、GESTIS参照。
眼に入った場合流水で10分間洗浄する。医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
飲み込んだ場合口をすすぐ。負傷者に意識がある場合は、コップ1杯の水(約200ml)を飲ませる。無理に吐かせない。医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入:低濃度の35ppmで呼吸器にわずかな刺激、約300ppmまで濃度が上昇すると全身に影響する可能性あり。
皮膚:刺激はほとんどない。
眼:直接接触後、短期的に痛みを伴う刺激。
経口摂取:影響を受けた粘膜の刺激、胃腸の不調、全身的な影響の可能性。
吸収:中枢神経系抑制(頭痛、めまい、ナルコーシス);心血管系障害(低血圧、ショック)。
以上、GESTIS参照。
応急措置をする者の保護に必要な注意事項情報なし
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、粉末消火薬剤、二酸化炭素。大規模火災には耐アルコール泡消火薬剤、水噴霧。
以上、GESTIS参照。
使ってはならない消火剤棒状注水
以上、GESTIS参照。
火災時の特有の危険有害性火災の場合、有害物質が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。
特有の消火方法周囲の容器を水スプレーで冷却する。可能であれば、容器を危険区域外に持ち出す。加熱により圧力が上昇し破裂する恐れがある。着火源となるものを遮断する。
以上、GESTIS参照。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置自給式呼吸器を着用する。
以上、GESTIS参照。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置保護具を着用する。
以上、GESTIS参照。
環境に対する注意事項水域に対する危険性は低い。非常に多量に水、排水、下水、または地中に入った場合は、自治体に連絡する。
以上、GESTIS参照。
封じ込め及び浄化の方法及び機材こぼれた液体を吸収剤(例:珪藻土、バーミキュライト、砂)で吸収し、規則に従って廃棄する。その後、換気し、漏出した場所を洗浄する。
以上、GESTIS参照。
二次災害の防止策付近の着火源となるものを速やかに除くとともに消火剤を準備する。
火花を発生しない安全な用具を使用する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
機器類は防爆構造とし、設備は静電気対策を実施する。
周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。
静電気放電に対する予防措置を講ずること。
安全取扱注意事項裸火から遠ざける。容器を開けたままにしない。使用時は十分な換気をすること。
通風、換気を行い、発生する蒸気の濃度を爆発下限値以下にする。
爆発性混合気の形成を防止する。
その他の着火源(断熱圧縮,迷走電流,電磁波,イオン放射,衝撃波,超音波等)を排除する。
火花を発生しない工具を使用する。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策休憩前や作業終了時には石鹸と水で皮膚を洗い、洗浄後は脂肪分の多いスキンケア製品を塗布する。蒸気やミストは吸入しないようにする。
以上、GESTIS参照。
保管
安全な保管条件施錠して保管する。容器を密閉し、室温の換気の良い場所に保管する。
以上、GESTIS、GHS分類結果参照。
安全な容器包装材料消防法で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度未設定
許容濃度等
日本産衛学会(2022年版)未設定
ACGIH(2022年版)TLV-TWA: 50 ppm
設備対策作業場所には換気設備を設置する(特に高温時)。取り扱い場所の近くに洗眼及び身体洗浄のための設備を設ける。
以上、GESTIS参照。
保護具
呼吸用保護具緊急時(例:意図しない物質の放出、ばく露限界値を超える場合)には、呼吸保護具を着用する。
状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用する。
防毒マスクの選択については、以下の点に留意する。
-防毒マスクは、日本工業規格(JIS T8152)に適合した、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。
-濃度に対応した・・・用吸収缶を使用する
注) ”…”は、物質に対応した吸収缶を記載します。SDS作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
-作業者が粉じんにばく露される環境で防毒マスクを使用する場合には、防じん機能付き吸収缶を使用する
-酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。
以上、GESTIS参照。
手の保護具保護手袋を着用する。ブチルゴム、フッ素ゴムが適している。天然ゴム、クロロプレン、ニトリルゴム、PVCは適さない。
以上、GESTIS参照。
眼の保護具サイドガード付きの保護眼鏡を着用する。
以上、GESTIS参照。
皮膚及び身体の保護具エプロンまたは白衣を着用する。
以上、GESTIS参照。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態液体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
無色
臭いわずかな臭い
融点/凝固点-117 ℃(Lange(2017))
約-80 ℃(混合異性体として)(GESTIS(2022))
沸点、初留点及び沸騰範囲188.3 ℃(Lange(2017))
180〜190 ℃(混合異性体として)(GESTIS(2022))
可燃性可燃性物質;難燃性(引火点>60〜93℃)(GESTIS(2022))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界1.1〜14 vol%(混合異性体として)(GESTIS(2022))
引火点74 ℃(Lange(2017))
70〜80 ℃(混合異性体として)(GESTIS(2022))
自然発火点270 ℃(混合異性体として)(GESTIS(2022))
分解温度データなし
pHデータなし
動粘性率3.57 MPa・s(25℃、混合異性体として)(GESTIS(2022))
溶解度水: (混合異性体として)(可溶)(GESTIS(2022))
n-オクタノール/水分配係数log Pow: -0.3(計算値)(PubChem(2021))
log Kow: -0.06(混合異性体として)(GESTIS(2022))
蒸気圧0.7 hPa(20℃、混合異性体として)(GESTIS(2022))
2.6 hPa(40℃、混合異性体として)(GESTIS(2022))
密度及び/又は相対密度0.951 g/mL(20℃)(Lange(2017))
0.95 g/cm3(混合異性体として)(GESTIS(2022))
相対ガス密度5.11 (乾燥空気=1、混合異性体として)(GESTIS(2022))
粒子特性該当しない

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性情報なし
危険有害反応可能性加熱分解すると有毒なガスを放出する。引火点以上で加熱すると、爆発性混合気を形成する。(GESTIS)
避けるべき条件加熱、高温、裸火、静電気、火花などの着火源。加熱、高温、裸火、静電気、火花などの着火源。
混触危険物質強酸化剤
危険有害な分解生成物情報なし

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
(2)〜(4)より、区分に該当しない(国連分類基準の区分5)。なお、(1)より、本物質の異性体混合物であるジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPGME)(CAS登録番号:34590-94-8)のデータを用いて分類を行った。

【根拠データ】
(1)本物質は個別では製造されておらず、異性体混合物であるDPGME(CAS登録番号:34590-94-8)に40〜50%含まれる形で市販されている(SIAR(2001))。
(2)本物質の異性体混合物DPGME(CAS登録番号:34590-94-8)におけるラットのLD50:5,180〜5,400 mg/kgの間(本物質換算:2,072〜2,700 mg/kgの間)(SIAR (2001)、ECETOC TR (2005)、DFG MAK (1994))
(3)本物質の異性体混合物DPGME(CAS登録番号:34590-94-8)におけるラットのLD50:> 5,000 mg/kg(本物質換算:> 2,000〜2,500 mg/kg)(REACH登録情報 (Accessed July 2022))
(4)本物質の異性体混合物DPGME(CAS登録番号:34590-94-8)におけるイヌのLD50:7,500 mg/kg(本物質換算:3,000〜3,750 mg/kg)(SIAR (2001)、ECETOC TR (2005)、DFG MAK (1994))
経皮【分類根拠】
(2)〜(5)より、区分に該当しない。なお、(1)より、本物質の異性体混合物であるDPGME(CAS登録番号:34590-94-8)のデータを用いて分類を行った。

【根拠データ】
(1)本物質は個別では製造されておらず、異性体混合物であるDPGME(CAS登録番号:34590-94-8)に40〜50%含まれる形で市販されている(SIAR(2001))。
(2)本物質の異性体混合物DPGME(CAS登録番号:34590-94-8)におけるウサギのLD50:9,500〜19,000 mg/kgの間(本物質換算:3,800〜9,500 mg/kgの間)(SIAR (2001)、DFG MAK (1994)、ECETOC TR (2005))
(3)本物質の異性体混合物DPGME(CAS登録番号:34590-94-8)におけるウサギのLD50:> 19,000 mg/kg(本物質換算:> 7,600〜9,500 mg/kg)(ECETOC TR (2005)、DFG MAK (1994))
(4)本物質の異性体混合物DPGME(CAS登録番号:34590-94-8)におけるウサギのLD50:13,000〜14,000 mg/kgの間(本物質換算:5,200〜7,000 mg/kgの間)(DFG MAK (1994))
(5)本物質の異性体混合物DPGME(CAS登録番号:34590-94-8)におけるウサギ(雄)のLD50:9,510 mg/kg(本物質換算:3,800〜4,760 mg/kg)(REACH登録情報 (Accessed July 2022))
(6)本物質の異性体混合物DPGME(CAS登録番号:34590-94-8)におけるウサギのLD50:19,020 mg/kg(本物質換算:7,610〜9,510 mg/kg)(REACH登録情報 (Accessed July 2022))
吸入: ガス【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト【分類根拠】
(1)より、異性体混合物では区分に該当しないが、40%〜50%含まれる本物質に換算した場合、区分を特定できないことから、分類できない。

【根拠データ】
(1)本物質の異性体混合物DPGME(CAS登録番号:34590-94-8)におけるラット(雄)のLC50(7時間):> 5.3 mg/L (本物質における4時間換算:> 1.59〜2.19 mg/L)(SIAR (2002)、DFG MAK (1994)、ECETOC TR (2005)、REACH登録情報 (Accessed July 2022))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性【分類根拠】
(2)〜(4)より、区分に該当しない。なお、(1)より、本物質の異性体混合物であるDPGME(CAS登録番号:34590-94-8)のデータを用いて分類を行った。

【根拠データ】
(1)本物質は個別では製造されておらず、異性体混合物であるDPGME(CAS登録番号:34590-94-8)に40〜50%含まれる形で市販されている(SIAR(2001))。
(2)本物質を含む異性体混合物であるDPGME(CAS登録番号:34590-94-8)について、ウサギを用いた5つの皮膚刺激性試験で、いずれも刺激性みられなかったとの報告がある(SIAR (2002))。
(3)本物質を含む異性体混合物であるDPGME(CAS登録番号:34590-94-8)について、ウサギを用いた90日間経皮投与試験では、死亡例が生じた最高用量群(10 mL/kg/day)で軽度の刺激性(軽度の鱗状化)がみられたとの報告がある(DFG MAK (1994)、ECETOC TR95 vol. II (2005))。
(4)本物質を含む異性体混合物であるDPGME(CAS登録番号:34590-94-8)について、ウサギ(n=2)を用いた皮膚刺激性試験(閉塞、2時間適用、5日間観察)では、皮膚刺激性はみられなかったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2022))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
(2)、(3)より、区分に該当しない。なお、(1)より、本物質の異性体混合物であるDPGME(CAS登録番号:34590-94-8)のデータを用いて分類を行った。用いる知見を精査し、分類結果を見直した。

【根拠データ】
(1)本物質は個別では製造されておらず、異性体混合物であるDPGME(CAS登録番号:34590-94-8)に40〜50%含まれる形で市販されている(SIAR(2001))。
(2)本物質を含む異性体混合物であるDPGME(CAS登録番号:34590-94-8)について、20%水溶液を10人に1滴適用したところ、軽度の一過性知覚刺激、結膜血管の充血、眼内圧の軽度増加を生じた。全ての影響は2時間以内に消失したとの報告がある(MOE 初期評価暫定的有害性評価シート (2011)、SIAR (2002)、REACH登録情報 (Accessed July 2022))。
(3)本物質を含む異性体混合物であるDPGME(CAS登録番号:34590-94-8)について、ウサギを用いた眼刺激性試験において、結膜と眼瞼の縁に刺激性変化がみられたが、7日以内に回復したとの報告がある(SIAR (2002)、ECETOC TR95 vol. II (2005))。
呼吸器感作性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1)本物質を含む異性体混合物であるDPGME(CAS登録番号:34590-94-8)について、200人の背部皮膚にDPGMEを5日間接触させ、3週間後にDPGMEを同じ部位に48時間適用したが、皮膚感作性反応はみられなかった。また、50人の皮膚にDPGMEを1日おきに4〜5時間計10回適用し、3週間後に24〜48時間適用したが、皮膚感作性反応はみられなかったとの報告がある。(SIAR (2002)、REACH登録情報 (Accessed July 2022))。
生殖細胞変異原性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1)本物質の異性体混合物DPGME(CAS登録番号:34590-94-8)について、細菌復帰突然変異試験(OECD TG471準拠又は相当、GLP)で、代謝活性化の有無にかかわらず複数の陰性の報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2022)、SIAR (2001)、DFG MAK (1994)、ECETOC TR95 vol. II (2005))。
(2)本物質の異性体混合物DPGME(CAS登録番号:34590-94-8)について、CHL細胞及びCHO細胞を用いた2つの染色体異常試験(OECD TG473準拠又は相当、GLP)で代謝活性化の有無にかかわらず陰性の報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2022)、SIAR (2001)、DFG MAK (1994)、ECETOC TR95 vol. II (2005))。ラット肝細胞を用いた染色体異常試験でも陰性(S9-)の報告がある (REACH登録情報 (Accessed July 2022))。
発がん性【分類根拠】
データがなく分類できない。

【参考データ等】
(1)本物質の構造関連物質のプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)(CAS登録番号:107-98-2)について、ラットとマウスを用いた2年間吸入ばく露による慢性毒性/発がん性併合試験(OECD TG453、GLP:300〜3,000 ppm)において、ラットでは雄の腎臓腫瘍(α2u―グロブリン関連性腫瘍)を含め、ヒトに妥当性のある腫瘍発生の増加は認められなかった。マウスも腫瘍発生の増加は認められなかった(REACH登録情報 (Accessed July 2022)、SIAR (2001))。
(2)本物質を構成成分とするDPGME(CAS登録番号:34590-94-8)はPGMEには完全には加水分解されない。DPGMEの14C-放射標識体を経口投与後にはPGMEやPGME酢酸塩を経口投与した場合の尿中放射能排泄比率より高い比率(投与放射能の60%)で14C-DPMGEを尿中排泄した。DPGME投与後の動物の尿中からはDPGME、PGME、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールとDPGMEの硫酸抱合体及びグルクロン酸抱合体が同定された。DPGMEの尿中代謝物はPGMEと同じタイプであることから、両者は同一の代謝経路を介して代謝されると結論される(REACH登録情報 (Accessed July 2022))。
生殖毒性【分類根拠】
本物質自体のデータはない。(1)より、異性体混合物のDPGMEの発生毒性の懸念は低いと考えられることから、主構成成分である本物質も同様と考えられる。ただし、受胎能など生殖影響に関する情報はDPGMEからは得られず、データ不足のため分類できないとした。

【根拠データ】
(1)本物質の異性体混合物のDPGME(CAS登録番号: 34590-94-8)について、妊娠ラットと妊娠ウサギを用いた吸入ばく露による発生毒性試験(EPAガイドライン、GLP:妊娠6〜15日(ラット)、妊娠7〜19日(ウサギ)、50〜300 ppm(蒸気))において、ラット、ウサギともに技術的に達成可能な最高濃度の300 ppmまで、母動物毒性、胚/胎児毒性及び催奇形性はみられなかったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2022)、SIAR (2001)、ECETOC TR95 vol. II (2005))。

【参考データ等】
(2)構造関連物質のPGME(Propylene Glycol Monomethyl Ether)について、ラットを用いた吸入ばく露による二世代生殖毒性試験(OECD TG416、GLP:300〜3,000 ppm(蒸気))では、P1及びP2母動物に鎮静、体重低下が認められる3,000 ppmで、P1、P2雌に性周期延長、受胎率の低下、卵巣萎縮等、F1、F2児動物に発生・発達影響(出生児の体重低値、生存率低下、同腹児数の減少、膣開口及び包皮分離の遅延等)が認められたが、雌親動物の体重低下による全身状態悪化によるストレス等による影響、母体毒性の二次的影響と考えられたとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2022)、SIAR (2001))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)【分類根拠】
(2)〜(4)より、区分3(気道刺激性、麻酔作用)とした。なお、(1)より、本物質の異性体混合物であるDPGME(CAS登録番号:34590-94-8)のデータを用いて分類を行った。

【根拠データ】
(1)本物質は個別では製造されておらず、異性体混合物であるDPGME(CAS登録番号:34590-94-8)に40〜50%含まれる形で市販されている(SIAR(2001))。
(2)本物質の異性体混合物DPGME(CAS登録番号:34590-94-8)において、300〜400 ppm(1,850〜2,500 mg/m3)の気中濃度でヒトは極めて不快感を示すと報告されているとの報告がある(ECETOC TR95 (2005))。
(3)本物質の異性体混合物DPGME(CAS登録番号:34590-94-8)における中毒に関する公表報告はない。ボランティアは300 ppmの気中濃度で不快感を示した。35 ppm以上で軽度の鼻の刺激、75 ppm以上で眼と気道の刺激を生じる可能性があるとの報告がある(DFG MAK (1994)、SIAR (2001))。
(4)本物質の異性体混合物DPGME(CAS登録番号:34590-94-8)におけるラットを用いた単回吸入(蒸気)ばく露試験において、3.03 mg/L(本物質換算:1.21〜1.51 mg/L、区分1の範囲)で一時的な軽度の麻酔症状がみられたとの報告がある(SIAR (2001))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)【分類根拠】
(2)〜(7)より、経口及び経皮経路では異性体混合物、本物質換算ともに区分に該当しないが、吸入経路では異性体混合物で区分に該当しないものの、本物質換算では区分を特定できないため、分類できない。なお、(1)より、本項目は本物質の異性体混合物であるDPGME(CAS登録番号:34590-94-8)のデータを用いて分類を行った。

【根拠データ】
(1)本物質は個別では製造されておらず、異性体混合物であるDPGME(CAS登録番号:34590-94-8)に40〜50%含まれる形で市販されている(SIAR(2001))。
(2)本物質の異性体混合物DPGME(CAS登録番号:34590-94-8)におけるラットを用いた強制経口による4週間反復経口投与試験(GLP)において、1,000 mg/kg/day(本物質における90日換算:124〜156 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)で一過性流涎、肝臓絶対/相対重量増加(雄)、小葉中心性肝細胞肥大がみられたとの報告がある(SIAR(2001)、ECETOC TR (2005))。
(3)本物質の異性体混合物DPGME(CAS登録番号:34590-94-8)におけるラットを用いた4週間経皮投与試験(4時間/日、5日/週)において、1,000 mg/kg/day(本物質における90日換算:286〜357 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)で影響はみられなかったとの報告がある(SIAR(2001)、ECETOC TR (2005))。
(4)本物質の異性体混合物DPGME(CAS登録番号:34590-94-8)におけるウサギを用いた90日間経皮投与試験(5日/週)において、4,750 mg/kg/day(本物質換算:1,360〜1,700 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)で麻酔作用、死亡がみられたとの報告がある(SIAR(2001)、ECETOC TR (2005)、DFG MAK (1994)、REACH登録情報 (Accessed July 2022))。
(5)本物質の異性体混合物DPGME(CAS登録番号:34590-94-8)におけるラットを用いた13週間吸入ばく露試験(GLP、蒸気、6時間/日、5日/週)において、1.21 mg/L(本物質換算:0.346〜0.432 mg/L、区分2の範囲)で影響はみられなかったとの報告がある(SIAR(2001)、ECETOC TR(2005)、DFG MAK (1994)、REACH登録情報 (Accessed July 2022))。
(6)本物質の異性体混合物DPGME(CAS登録番号:34590-94-8)におけるウサギを用いた13週間吸入ばく露試験(GLP、蒸気、6時間/日、5日/週)において、1.21 mg/L(本物質換算:0.864 mg/L、区分2の範囲)で影響はみられなかったとの報告がある(SIAR(2001)、ECETOC TR (2005)、DFG MAK (1994)、REACH登録情報 (Accessed July 2022))。
(7)本物質の異性体混合物DPGME(CAS登録番号:34590-94-8)におけるラット、ウサギ、モルモット、サルを用いた吸入ばく露試験(蒸気、7時間/日、5日/週)において、1.82 mg/L(本物質換算:0.608〜0.76 mg/L、区分2の範囲)で軽度の麻酔(ラット)、軽度の肝臓傷害(モルモット(雌)、ウサギ、サル)がみられたとの報告がある(DFG MAK (1994)、SIAR (2001))。
誤えん有害性*【分類根拠】
データがなく分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)甲殻類(オオミジンコ)の48時間LC50=1919mg/L(SIDS、2004)から、区分外とした。
水生環境有害性 長期(慢性)難水溶性でなく(水と混和(SIDS、2004))、急性毒性が低いことから、区分外とした。
残留性・分解性情報なし
生態蓄積性化審法分解度試験:低濃縮性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性))
土壌中の移動性情報なし
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号-
品名(国連輸送名)-
国連分類-
副次危険-
容器等級-
海洋汚染物質該当しない
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報該当しない
航空規制情報該当しない
陸上規制情報消防法の規定に従う。
特別な安全上の対策消防法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*該当しない
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)、リスクアセスメント対象物(法第57の3)
作業場内表示義務(法第101条の4)
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)該当しない
毒物及び劇物取締法該当しない
消防法第4類 引火性液体 第三石油類 水溶性(法第2条第7項危険物別表第1・第4類)
海洋汚染防止法有害液体物質(Z類物質)(施行令別表第1)【ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル】

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
R5.3.31: 物理化学的危険性、健康に対する有害性を見直した。