1.化学品等及び会社情報 | |||
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化学品等の名称 | 無水クロム酸 (Chromic acid anhydride) | ||
製品コード | H26-B-100 ( 製品コードなし) | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 |
2.危険有害性の要約 | ||||
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GHS分類 | ||||
分類実施日 | H25.8.22、政府向けGHS分類ガイダンス(H25.7版)を使用 | |||
GHS改訂4版を使用 | ||||
物理化学的危険性 | 酸化性固体 | 区分2 | ||
健康に対する有害性 | 急性毒性(経口) | 区分3 | ||
急性毒性(経皮) | 区分2 | |||
急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分2 | |||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 区分1 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 区分1 | |||
呼吸器感作性 | 区分1 | |||
皮膚感作性 | 区分1 | |||
生殖細胞変異原性 | 区分1B | |||
発がん性 | 区分1A | |||
生殖毒性 | 区分1B | |||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | 区分1 (中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓) | |||
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | 区分1 (呼吸器) | |||
分類実施日 | 環境に対する有害性はH18.3.31、GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用 | |||
環境に対する有害性 | 分類できない | |||
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」に該当する。なお、健康有害性については後述の11項に、「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」の記述がある。 | ||||
GHSラベル要素 | ||||
絵表示 | ||||
注意喚起語 | 危険 | |||
危険有害性情報 | 火災助長のおそれ:酸化性物質 飲み込むと有毒 皮膚に接触すると生命に危険 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ 重篤な眼の損傷 吸入すると生命に危険 吸入するとアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ 遺伝性疾患のおそれ 発がんのおそれ 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ 中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器の障害 | |||
注意書き | ||||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 衣類及び他の可燃物から遠ざけること。 可燃物と混合を回避するために予防策をとること。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 眼、皮膚、衣類につけないこと。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。−【】の文言は、化学品の使用時に関する追加的な情報が、安全な使用のために十分であろう換気のタイプを説明している場合に使用しても良い | |||
応急措置 | 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 直ちに医師に連絡すること。 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの・・・を見よ)。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 口をすすぐこと。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。 汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 火災の場合:消火するために適切な消火剤を使用すること。 | |||
保管 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 | |||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | |||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
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単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | 無水クロム酸 (Chromic acid anhydride) | ||
別名 | 酸化クロム(VI) (Chromium(VI) oxide)、酸化クロム (Chromium trioxide)、三酸化クローム | ||
濃度又は濃度範囲 | 100% | ||
分子式 (分子量) | CrO3 (99.96) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 1333-82-0 | ||
官報公示整理番号(化審法) | (1)-284 | ||
官報公示整理番号(安衛法) | |||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 直ちに医師に連絡すること。 呼吸が困難な場合には、新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 呼吸に関する症状が出た場合には、医師に連絡すること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、又は取り去ること。 皮膚を流水またはシャワーで洗うこと。 多量の水と石鹸で洗うこと。 汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。 直ちに医師に連絡すること。 皮膚刺激又は発疹が生じた場合は、医師の診断、手当てを受けること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 直ちに医師に連絡すること。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 直ちに医師に連絡すること。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入 : 咳、息苦しさ、息切れ、咽頭痛、喘鳴、灼熱感。症状は遅れて現われることがある。 皮膚 : 発赤、痛み、皮膚熱傷。 眼 : 発赤、痛み、重度の熱傷。 経口摂取 : 腹痛、灼熱感、ショック/虚脱。 | ||
応急措置をする者の保護 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
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消火剤 | 水噴霧、泡消火剤、粉末消火剤(水素化炭酸塩を除く)、乾燥砂類 | ||
使ってはならない消火剤 | 炭酸ガス、水素化炭酸塩の粉末消火剤 | ||
特有の危険有害性 | 火災によって刺激性、腐食性及び/又は毒性のガスを発生するおそれがある。 不燃性であり、それ自身は燃えないが、加熱されると分解して、腐食性及び/又は毒性の煙霧を発生するおそれがある。 火災に巻き込まれると、燃焼を加速する。 熱又は不純物の混入により爆発するおそれがある。 速やかに燃焼するおそれがある。 | ||
特有の消火方法 | 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。 容器が熱に晒されているときは、移さない。 | ||
消火を行う者の保護 | 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。 関係者以外の立入りを禁止する。 作業者は適切な保護具(『8.ばく露防止措置及び保護措置』の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。 立ち入る前に、密閉された場所を換気する。 | ||
環境に対する注意事項 | 環境中に放出してはならない。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 漏洩物を掃き集めて密閉できる空容器に回収し、後で廃棄処理する。 水で湿らせ、空気中のダストを減らし分散を防ぐ。 プラスチックシートで覆いをし、散乱を防ぐ。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。 『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の局所排気、全体換気を行う。 | ||
安全取扱い注意事項 | 使用前に使用説明書を入手すること。 すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。 周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。 火気注意。 可燃物や酸化されやすい物質との混触を避けること。 周辺での高温物の使用を禁止する。 この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 飲み込みを避けること。 皮膚との接触を避けること。 ミスト、ヒューム、蒸気、スプレーを吸入しないこと。 眼、皮膚に付けないこと。 眼に入れないこと。 皮膚と接触しないこと。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 | ||
接触回避 | 『10.安定性及び反応性』を参照。 | ||
衛生対策 | この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 技術的対策:特別に技術的対策は必要としない。 保管条件:熱、火花、裸火のような着火源から離して保管すること。−禁煙。 可燃性物質や還元性物質から離しておくこと。 塩基から離しておくこと。 冷所、換気の良い場所で保管すること。 容器を密閉して保管すること。 火源の近くに保管しない。 施錠して保管すること。 | ||
安全な容器包装材料 | 情報なし |
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
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管理濃度 | 0.05mg/m3(クロムとして) | ||
許容濃度 | |||
日本産衛学会(2014年度版) | 0.05 mg/m3 (クロムとして、6価クロム化合物)、0.01 mg/m3 (クロムとして、ある種の6価クロム化合物) | ||
ACGIH(2014年版) | TLV-TWA 0.05 mg/m3 (クロムとして、水溶性クロム(VI)化合物) | ||
設備対策 | この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。 ばく露を防止するため、装置の密閉化又は局所排気装置を設置すること。 | ||
保護具 | |||
呼吸用保護具 | 適切な呼吸器保護具を着用すること。 | ||
手の保護具 | 適切な保護手袋を着用すること。 | ||
眼の保護具 | 適切な眼の保護具を着用すること。 | ||
皮膚及び身体の保護具 | 適切な保護衣を着用すること。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
形状 | 固体(針状結晶) | ||
色 | 暗赤色 | ||
臭い | 無臭 | ||
臭いのしきい(閾)値 | 情報なし | ||
pH | 情報なし | ||
融点・凝固点 | 197℃ : ICSC(2013) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 250℃(分解) : ICSC(2013) | ||
引火点 | 不燃性 : ICSC (2003) | ||
蒸発速度(酢酸ブチル=1) | 情報なし | ||
燃焼性(固体、気体) | 不燃性 : ICSC (2003) | ||
燃焼又は爆発範囲 | 不燃性 : ICSC (2003) | ||
蒸気圧 | 情報なし | ||
蒸気密度 | 情報なし | ||
比重(相対密度) | 2.70g/cm3 : Merck(13th,2001) | ||
溶解度 | 水 : 1654g/L(20℃): GESTIS (2014) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | 情報なし | ||
自然発火温度 | 不燃性 : ICSC (2003) | ||
分解温度 | 250℃(分解) : ICSC(2013) | ||
粘度(粘性率) | 情報なし |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 法規制に従った保管及び取扱においては安定と考えられる | ||
化学的安定性 | 法規制に従った保管及び取扱においては安定と考えられる | ||
危険有害反応可能性 | 約250℃で酸化クロム(L)と酸素に分解し、火災の危険性が増大する。 強力な酸化剤で、可燃性物質や還元性物質と激しく反応し、火災や爆発の危険をもたらす。 この物質の水溶液は強酸で、塩基と激しく反応し、腐食性を示す。 火災に巻き込まれると、燃焼を加速する。 加熱されたり、不純物が混入すると、爆発するおそれがある。 可燃物(木、紙、油、布等)を発火させるおそれがある。 加熱により容器が爆発するおそれがある。 | ||
避けるべき条件 | 約250℃を超える温度 加熱、不純物の混入、可燃物との接触 | ||
混触危険物質 | 可燃性物質、還元性物質、塩基 | ||
危険有害な分解生成物 | 酸化クロム(L)、酸素 |
11.有害性情報 | |||
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急性毒性 | |||
経口 | ラットのLD50値として、52-113 mg/kgとの報告 (EU-RAR (2005)) に基づき、区分3とした。新たな情報源 (EU-RAR (2005)) を追加し、区分を見直した。 | ||
経皮 | ウサギのLD50値として、30 mg Cr (VI) /kg (CrO3換算値:57.7 mg/kg) との報告 (CICAD 78 (2013)、ATSDR (2012)) に基づき、区分2とした。新たな情報源 (CICAD 78 (2013)、ATSDR (2012)) を追加し、区分を見直した。 | ||
吸入:ガス | GHSの定義における固体である。 | ||
吸入:蒸気 | データ不足のため分類できない。 | ||
吸入:粉じん及びミスト | ラットのLC50値 (4時間) として、217 mg/m3 (0.217 mg/L) との報告 (EU-RAR (2005)) に基づき、区分2とした。飽和蒸気圧のデータがないが、エアロゾルとの記載に従い、粉じんの基準値を採用した。新たな情報源 (EU-RAR (2005)) を追加し区分を見直した。 | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 本物質は腐食作用を持つとの記載 (EU-RAR (2005)、ATSDR (2012)、産業衛生学会 許容濃度の提案理由書 (1989)) がある。また6価のクロム化合物について、腐食性を持つとの記載が多くある (DFG vol. 3 (1992))。以上から区分1とした 。なお、本物質はEU DSD分類で「C; R35」、EU CLP分類で「Skin Corr. 1A H314」に分類されている。 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | ヒトの事故例で、本物質の眼へのばく露の結果、結膜の充血、壊死、角膜浮腫や角膜混濁がみられたとの報告がある (EU-RAER (2005))。また、本物質は皮膚腐食性/刺激性の分類で区分1とされている。以上より区分1と判断した。 | ||
呼吸器感作性 | 日本産業衛生学会はクロム化合物として気道感作性物質「第2群」に分類している。この既存分類は本物質を明示していないものの、許容濃度の提案理由書 (1989) には、6価のクロム化合物は2価や3価のものより毒性が強いとの記載がある。また、クロム化合物は喘息を引き起こすとの記載がある (ATSDR (2012)、EU-RAR (2005))。以上から区分1とした。なお、本物質はEU DSD分類で「R42」、EU CLP分類で「Resp. Sens. 1 H334」に分類されている。 | ||
皮膚感作性 | 本物質に限定された情報ではないが、6価のクロム化合物について皮膚感作性をもつとの記載がある (EU-RAR (2005)、ATSDR (2012)、PATTY (6th,2012))。また、6価のクロム化合物を用いたヒトに対するパッチテストにおいて、感作性がみられたとの報告がある (ATSDR (2012))。また、本物質を含むクロム化合物は、日本産業衛生学会で皮膚感作性物質「第1群」に分類されている (日本産業衛生学会許容濃度の勧告 (2014))。この既存分類は本物質を明示していないものの、許容濃度の提案理由書 (1989) には、6価のクロム化合物は2価や3価のものより毒性が強いとの記載がある。以上から区分1とした。なお、本物質はEU DSD分類で「R43」、EU CLP分類で「Skin Sens. 1 H317」に分類されている。 | ||
生殖細胞変異原性 | In vivoでは、マウス骨髄細胞の染色体異常試験で陽性 (CICAD 78 (2013)、ATSDR (2012))、ヒトの末梢リンパ球を用いた染色体分析 (モニタリング解析)、姉妹染色分体交換分析 (モニタリング解析) で陽性である (ATSDR (2012)、EHC 61 (1988)、IARC 49 (1990))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、ヒト培養リンパ球及び哺乳類培養細胞の染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陽性である (ATSDR (2012)、IARC 49 (1990))。本物質に関するin vivo生殖細胞変異原性、in vivo生殖細胞遺伝毒性のデータはないが、水溶性Cr (VI) はin vivo生殖細胞変異原性を有する (EU-RAR (2005)) との評価がされている。したがって、水溶性Cr (VI) である本物質にEU-RAR (2005) の評価を適用し、区分1Bとした。 旧分類では区分2としていたが、上述のような理由により区分を変更した。 | ||
発がん性 | IARCでグループ1 (クロム (VI) として) (IARC (1990))、ACGIHでA1 (クロムVI化合物として) (ACGIH (7th, 2001))、NTPでK (6価クロム化合物として) (NTP RoC (2013))、日本産業衛生学会で1 (クロム化合物 (6価) として) (日本産業衛生学会 (1989))、EUで1 (EU (Access on Dec. 2014)) であることから、区分1Aとした。 | ||
生殖毒性 | 本物質については、ハムスターを用いた静脈内投与での催奇形性試験において、口蓋裂がみられている (EHC 61 (1988)、IARC 49 (1990))。静脈内投与のデータであることから採用しなかった。 クロム (VI) の生殖毒性については、本物質と同様に水溶性であるニクロム酸カリウム (CAS:7778-50-9)、クロム酸カリウム (CAS:7789-00-6) では区分1Bに分類される。したがって、本物質についても区分1Bとした。 このほか、産業衛生学会では許容濃度の勧告 (2014) において、クロムおよびクロム化合物を生殖毒性第3群 (暫定) (区分2相当) に分類している。しかし、許容濃度の勧告の分類は暫定期間中であるので採用しなかった。 また、EU CLP分類では「Repr. 2 H361f」、EU DSD分類では「Repr. Cat. 3; R62」に分類されている。 | ||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | 本物質は気道刺激性がある (ACGIH (7th, 2001))。ヒトの吸入経路では、クロムめっき作業での本物質フューム (高濃度) へのばく露で、鼻粘膜の重度の充血、頭痛、悪心、嘔吐、咳、喘鳴、めまい、努力呼吸、呼吸減弱、呼吸困難、腹痛、また、本物質ミストのばく露で、気道の炎症、鼻及び胸の痛み、呼吸困難、チアノーゼ、急性胃炎、激しい出血を伴う貧血、蛋白尿、血尿、無尿による急性腎不全、黄疸、ビリルビン量増加、血清乳酸脱水素酵素増加の肝臓障害が報告されている。ヒトの経口摂取による事故例では、口、喉、胃の痛み、灼熱感、出血、嘔吐、下痢など腐食性による障害が報告されている (ATSDR (2012)、EU-RAR (2005))。 実験動物では、本物質としてのデータはラットの吸入ばく露 (0.217 mg/L、4時間) での気道組織の重篤な損傷の報告のみである (EU-RAR (2005)、SIAP (2005))。このデータは区分1に相当する用量範囲であった。また、6価クロム化合物共通として、経口投与で血液系への影響、経皮ばく露で腎障害、経路不明ながら肝細胞および腎近位尿細管上皮細胞の壊死、肝臓や腎臓の損傷の記述がある (ATSDR (2012)、EU-RAR (2005)、SIAP (2005))。 なお、本物質のデータではないが、6価クロム化合物に共通するヒト影響として、吸入経路では肺の刺激性、肺のマクロファージ蓄積、過形成、炎症、肺機能障害など呼吸器系への重篤な影響、経口経路では消化管潰瘍、壊死など重篤な胃腸障害、多量摂取で呼吸器、心血管、消化器、血液、肝臓、腎臓、神経学的な重度の影響があるとの記述がある (ATSDR (2012)、CICAD 78 (2013))。 本物質は6価クロム化合物であり、6価クロム化合物の毒性知見を本物質の分類に使用することが可能と考えられる。消化管の所見については、局所刺激の影響として採用しなかった。 以上より、区分1 (中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓) とした。 旧分類から区分を変更した。 | ||
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | 本物質に0.2-23.6年間 (中央値: 2.5年間) ばく露された塗装工43名の疫学調査で、0.002 mg Cr (VI)/m3 以下の低濃度ばく露群では鼻中隔粘膜の汚染、硬化、及び鼻粘膜の萎縮がみられたのみであったが、0.02-0.046 mg Cr (VI)/m3 の高濃度ばく露群では鼻腔粘膜の潰瘍、並びに鼻中隔穿孔がみられた (ATSDR (2013)、EU-RAR (2005)) との報告がある。また、本物質、0.1 mg/m3以上の濃度の反復ばく露により鼻粘膜傷害が生じるとされ、さらに2-3 mg Cr/m3以上の高濃度ばく露では咳、胸痛、呼吸困難、口唇のチアノーゼ、肺のうっ血を生じる (DFGOT vol. 3 (1992)) との報告もある。なお、本物質を含む一連の6価クロム化合物の有害性評価において、職業的に6価クロムにばく露されたヒトでは、呼吸器と眼に刺激性を生じ、その結果、鼻中隔に潰瘍・穿孔を生じるおそれがある (CICAD 78 (2013)) との記述がある。 実験動物では、ラットに無水クロム酸ミストを 8ヶ月間吸入ばく露した結果、3.5 mg/m3以上で呼吸器に腐食性影響がみられた (EU-RAR (2005)) との報告、或いはマウスに無水クロム酸を約 3.9 mg/m3の濃度で12ヶ月間にわたり間欠的にばく露した結果、肺気腫、並びに鼻中隔穿孔を生じた (CICAD 78 (2013)) との報告があり、ヒトでの呼吸器障害を支持する知見が得られている。 以上より、区分1 (呼吸器) に分類した。 | ||
吸引性呼吸器有害性 | データ不足のため分類できない。 |
12.環境影響情報 | |||
---|---|---|---|
生態毒性 | |||
水生環境有害性(急性) | データ不足のため分類できない。 | ||
水生環境有害性(長期間) | データ不足のため分類できない。 | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
---|---|---|---|
残余廃棄物 | 廃棄の前に、可能な限り無害化、安定化及び中和等の処理を行って危険有害性のレベルを低い状態にする。 廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、分類実施中の12項の環境影響情報とに、基づく修正の必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 1463 | |||
国連品名 | CHROMIUM TRIOXIDE, ANHYDROUS | |||
国連危険有害性クラス | 5.1 | |||
副次危険 | 6.1, 8 | |||
容器等級 | K | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 消防法の規制に従う。 毒劇法の規制に従う。 | |||
特別安全対策 | 移送時にイエローカードの保持が必要。 食品や飼料と一緒に輸送してはならない。 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号 | 141 |
15.適用法令 | ||||
---|---|---|---|---|
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
化審法 | 優先評価化学物質 | |||
労働安全衛生法 | 特定化学物質第2類物質、管理第2類物質 作業環境評価基準 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3) 特定化学物質特別管理物質 | |||
化学物質排出把握管理促進法 | 第1種指定化学物質、特定第1種指定化学物質 | |||
毒物及び劇物取締法 | 劇物 | |||
消防法 | 第1類酸化性固体、クロム、鉛またはよう素の酸化物 | |||
航空法 | 酸化性物質類・酸化性物質 | |||
船舶安全法 | 酸化性物質類・酸化性物質 | |||
労働基準法 | 疾病化学物質 |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | 各データ毎に記載した。 | |||
<モデルSDSを利用するときの注意事項> 本安全モデルデータシートは作成年月日時点における情報に基づいて記載されておりますので、事業場においてSDSを作成するに当たっては、新たな危険有害性情報について確認することが必要です。さらに、本安全データシートはモデルですので、実際の製品等の性状に基づき追加修正する必要があります。また、特殊な条件下で使用するときは、その使用状況に応じた情報に基づく安全対策が必要となります。 |