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安全データシート
クレゾール
作成日 2008年10月06日
改訂日 2015年3月31日
1.化学品等及び会社情報
化学品等の名称クレゾール(Cresol)
製品コードH26-B-034(製品コードなし)
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファックス番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限消毒剤、合成樹脂、ワニス、TCp(可塑剤原料)、選鉱剤、ホルマール電線溶剤。m-クレゾール=合成樹脂・消毒剤・薬品原料。o-クレゾール=クマリン、潤滑油精製用。p-クレゾール=クレゾチン酸染料可塑剤原料、農薬、化粧品原料(防腐剤)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日H25.8.22、政府向けGHS分類ガイダンス(H25.7版)を使用
GHS改訂4版を使用
物理化学的危険性引火性液体区分4
健康に対する有害性急性毒性(経口)区分4
急性毒性(経皮)区分3
皮膚腐食性及び刺激性区分1
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性区分1
発がん性区分2
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) 区分1 (中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓)、
区分3 (麻酔作用)
特定標的臓器毒性(反復ばく露)区分1 (中枢神経系、心血管系、血液系、呼吸器、肝臓、腎臓)
分類実施日環境に対する有害性はH18.3.31、GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用
環境に対する有害性水生環境有害性 (急性)区分2
水生環境有害性 (長期間)区分外
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」に該当する。なお、健康有害性については後述の11項に、「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」の記述がある。
GHSラベル要素
絵表示どくろ腐食性健康有害性
注意喚起語危険
危険有害性情報可燃性液体
飲み込むと有害
皮膚に接触すると有毒
重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷
重篤な眼の損傷
眠気又はめまいのおそれ
発がんのおそれの疑い
中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓の障害
長期にわたる、又は反復ばく露による中枢神経系、心血管系、血液系、呼吸器、肝臓、腎臓の障害
水生生物に毒性
注意書き
安全対策使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
取扱後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
環境への放出を避けること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
応急措置飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。
皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
直ちに医師に連絡すること。
気分が悪い時は医師に連絡すること。
気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
口をすすぐこと。
汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
火災の場合:消火するために適切な消火剤を使用すること。
保管換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
施錠して保管すること。
廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
単一製品・混合物の区別単一製品
化学名又は一般名クレゾール(Cresol)
別名メチルフェノール (Methylphenol)
クレシル酸(Cresylic acid)
ハイドロキシトルエン(Hydroxytoluene)
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C7H8O (108.14)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号クレゾール:1319-77-3
o-クレゾール:95-48-7
m-クレゾール:108-39-4
p-クレゾール:106-44-5
官報公示整理番号(化審法)クレゾール:(3)-499(化審法)
官報公示整理番号(安衛法)o-クレゾール:4-(10)-150(安衛法)
m-クレゾール:4-(10)-151(安衛法)
p-クレゾール:4-(10)-152(安衛法)
分類に寄与する不純物及び安定化添加物情報なし

4.応急措置
吸入した場合被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
直ちに医師に連絡すること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
皮膚に付着した場合直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、又は取り去ること。
直ちに医師に連絡すること。
皮膚を速やかに洗浄すること。
皮膚を流水又はシャワーで洗うこと。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
眼に入った場合直ちに医師に連絡すること。
水で数分間、注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
飲み込んだ場合直ちに医師に連絡すること。
口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入すると、灼熱感、咽頭痛、咳、頭痛、吐き気、嘔吐、息苦しさ、息切れ、意識喪失。症状は遅れて現われることがある。
皮膚に吸収される可能性あり。発赤、ざらつき、痛み、水疱、皮膚熱傷)。

眼に触れると、発赤、痛み、重度の熱傷。

経口摂取すると、吐き気、嘔吐、腹痛、灼熱感、めまい、感覚鈍麻、頭痛、ショック又は虚脱、意識喪失。

応急措置をする者の保護情報なし
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
消火剤二酸化炭素、粉末消火剤、砂、土、一般の泡消火剤。
使ってはならない消火剤火災によって刺激性、又は毒性のガスを発生するおそれがある。
特有の危険有害性危険でなければ火災区域から容器を移動する。
移動不可能な場合、容器及び周囲に散水して冷却する。
特有の消火方法危険でなければ火災区域から容器を移動する。
移動不可能な場合、容器及び周囲に散水して冷却する。
消火を行う者の保護消火作業の際は、適切な空気呼吸器を含め完全な防護服(耐熱性)を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置関係者以外の立入りを禁止する。
直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触やガスの吸入を避ける。
適切な防護衣を着けていないときは破損した容器あるいは漏洩物に触れてはいけない。
風上に留まる。
低地から離れる。
環境に対する注意事項河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
環境中に放出してはならない。
封じ込め及び浄化の方法及び機材漏洩物を掃き集めて空容器に回収する。
危険でなければ漏れを止める。
すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行なう。
安全取扱い注意事項火気注意。
接触、吸入又は飲み込まないこと。
眼に入れないこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
環境への放出を避けること。
接触回避「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
安全な保管条件保管場所は壁、柱、床を耐火構造とし、かつ、はりを不燃材料で作ること。
保管場所は屋根を不燃材料で作るとともに、金属板その他の軽量な不燃材料でふき、かつ天井を設けないこと。
保管場所の床は、床面に水が浸入し、又は浸透しない構造とすること。
保管場所の床は、危険物が浸透しない構造とするとともに、適切な傾斜をつけ、かつ、適切なためますを設けること。
保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
酸化剤から離して保管する。
容器を密閉して換気の良い場所で保管すること。
施錠して保管すること。
安全な容器包装材料消防法及び国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度5ppm
許容濃度
日本産衛学会(2014年度版)5 ppm
22 mg/m3
ACGIH(2014年版)TLV-TWA (20 mg/m3)
設備対策この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行なうこと。
高熱工程でミストが発生するときは、空気汚染物質を管理濃度以下に保つために換気装置を設置する。
保護具
呼吸用保護具適切な呼吸器保護具を着用すること。
手の保護具適切な保護手袋を着用すること。
一切の接触を防止するにはネオプレン製の、手袋、エプロン、ブーツ、又は全体スーツ等の不浸透性の防具を適宜着用すること。
飛沫を浴びる可能性のある時は、全身の化学用保護衣(耐酸スーツ等)を着用する。
眼の保護具適切な眼の保護具を着用すること。
化学飛沫用のゴーグル及び適切な顔面保護具を着用すること。
安全眼鏡を着用すること。撥ね飛び又は噴霧によって眼及び顔面接触が起こりうる時は、包括的な化学スプラッシュゴーグル、及び顔面シールドを着用すること
皮膚及び身体の保護具適切な顔面用の保護具を着用すること。
一切の接触を防止するにはネオプレン製の、手袋、エプロン、ブーツ、又は全体スーツ等の不浸透性の防具を適宜着用すること。
しぶきの可能性がある場合は、全面耐薬品性防護服(例えば、酸スーツ)及びブーツが必要である。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
形状液体: HSDB(2014)
無色うす黄色: HSDB(2014)
臭い特徴的な臭気: ICSC (2000)
臭いのしきい(閾)値情報なし
pH飽和溶液では中性;或いは(リトマス紙)弱酸性: HSDB(2014)
融点・凝固点11-35℃:HSDB(2014)
沸点、初留点及び沸騰範囲191-203℃:HSDB(2014)
引火点82℃(Closed cup): ACGIH(2001)
蒸発速度(酢酸ブチル=1)情報なし
燃焼性(固体、気体)情報なし
燃焼又は爆発範囲下限::1.4 vol%(o-体)、1.1vol%(m-体)、1.1vol%(150℃)(p-体): ICSC (2000)
蒸気圧0.11 to 0.299 mm Hg at 25 deg C: HSDB(2014)
蒸気密度3.72 (Air = 1):HSDB(2014)
比重(相対密度)1.030-1.038 at 25 deg C/25 deg C: HSDB(2014)
溶解度2.5g/100mL (25℃) (o-体) (水): ICSC (2000)
2.4g/100mL (20℃) (m-体) (水):ICSC (1999)
1.9g/100mL (25℃) (p-体) (水) : ICSC (2000)
アルコール、クロロホルム、エーテルと混和(o-体)(m-体)
通常の有機溶媒に可溶(p-体):Merck (13th, 2001)
n-オクタノール/水分配係数1.95 (測定値) (o-体)、1.96 (測定値) (m-体)、1.94 (測定値) (p-体):SRC:KowWin (2005)
自然発火温度555℃: GESTIS(2014)
分解温度情報なし
粘度(粘性率)4.49 to 7.0 cP at 40 deg C: HSDB(2014)

10.安定性及び反応性
反応性情報なし
化学的安定性通常の取扱い条件においては安定である。
危険有害反応可能性強酸化剤と激しく反応する。
空気や光にばく露すると黒ずむ。
避けるべき条件日光、空気
混触危険物質強酸化剤
危険有害な分解生成物燃焼すると分解し、有毒で刺激性のヒュームを生じる。

11.有害性情報
急性毒性
経口ラットのLD50値として、1,454 mg/kg (HSDB (Access on July 2014)、IUCLID (2000)) との報告に基づき、区分4とした。
経皮ラットのLD50値として、242 mg/kg、825 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2007))、ウサギのLD50値として、2,000 mg/kg (ATSDR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2007)、EHC 168 (1995)) の3件の報告がある。分類ガイダンスに従い、最も多くのデータが該当する区分3とした。新たな情報源 ((ATSDR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2007)) を追加し、区分を見直した。
吸入:ガスGHSの定義における液体である。
吸入:蒸気データ不足のため分類できない。
吸入:粉じん及びミストデータ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性ウサギを用いた皮膚刺激性試験の結果、非可逆性の組織破壊がみられた (EHC 168 (1995)) との記載や、強度の刺激性がみられた (NITE初期リスク評価書 (2007)) との記載がある。また、本物質は皮膚に対して強い刺激性又は腐食性を示す (DFGOT vol.14 (2000)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1986)) との記載がある。以上より、区分1とした。また、本物質はEU DSD分類により「C;R34」、EU CLP分類により「H314 Skin Corr. 1B」に分類されている。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性ウサギの眼に本物質 0.1 mL を適用した試験で、強度の刺激性がみられた (NITE初期リスク評価書 (2007)) との報告や、ウサギやマウスに対して強度の刺激性を示した (EHC 168 (1995)) との報告がある。また、本物質は眼に対して強い刺激性又は腐食性を示すとの記載がある (DFG vol.14 (2000)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1986))。以上から、区分1とした。
呼吸器感作性呼吸器感作性:データ不足のため分類できない。
皮膚感作性皮膚感作性:データ不足のため分類できない。なお、モルモットに本物質 (m-クレゾールとp-クレゾールの混合物) を適用した結果、感作性はみられなかった (DFGOT vol. 14 (2000)) との報告があるが、試験法等の詳細不明であるため、分類に用いるには不十分なデータと判断した。
生殖細胞変異原性データ不足のため分類できない。In vivoでは、m-及び p-クレゾール (60:40) 混合物を用いたマウス末梢血の小核試験で陰性である (NITE初期リスク評価書 (2007)、ATSDR (2008)、EHC 168 (1995)、NTP TR 550 (2008))。In vitroでは、o-、m-及び p-クレゾール (1:1:1) の混合物を用いた細菌の復帰突然変異試験で陰性 (NITE初期リスク評価書 (2007)、EHC 168 (1995)、ATSDR (2008))、m-及び p-クレゾール (60:40) 混合物を用いた細菌の復帰突然変異試験で陰性 (NITE初期リスク評価書 (2007)、EHC 168 (1995)、NTP TR 550 (2008))、o-、m-及び p-クレゾール (1:1:1) の混合物を用いた哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、姉妹染色分体交換試験、不定期DNA合成試験で陽性の結果が示されている (NITE初期リスク評価書 (2007)、EHC 168 (1995)、ATSDR (2008))。 以上より、m-及び p-クレゾール混合物を用いたin vivo試験データの陰性結果はあるが、o-、m-及び p-クレゾールの混合物を用いたin vivo試験データがないことから、異性体混合物の十分なデータがないと判断した。
発がん性クレゾール (CAS No. 1319-77-3) としての国際機関等による発がん性分類はないが、当該物質の各異性体 (o-、m-、p-クレゾール) について、同一の既存分類 ((EPA (1991) でグループCに分類) が存在しているため、それらの分類結果を用いてGHS分類を行い、区分2とした。
生殖毒性実験動物において、クレゾール (o-、m-、p-の混合物) を用いた生殖毒性試験の情報は得られなかった。
ヒトの疫学において、クレゾールとクロロベンゼンあるいは塩化ホスホリルを使う工場で働く女性で女性ホルモン量変化と月経の異常、周産期死亡率と奇形発生率の増加したとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006))。しかし、みられた変化はクレゾールばく露との関連性が明らかでないため分類に用いるには適当でない。
なお、生殖毒性試験ではないが、ラットを用いた4ヶ月間の吸入毒性試験において発情周期及び発情期の延長と発情間期の短縮、卵巣で一次卵胞の減少、閉鎖卵胞の増加を認めたとした報告がある (環境省リスク評価第5巻 (2006)、EHC 168 (1995))。この情報については詳細が不明である。
したがって、データ不足により分類できないとした。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)ヒトにおいては、経口経路による嚥下の例で、呼吸困難、昏睡、心室性期外収縮を伴う頻脈がみられ、急性心不全により死亡した。病理学検査では、腎臓の近位尿細管の好酸性壊死、気管支上皮のび漫性壊死が認められた。経皮経路では、めまい、嘔吐、意識障害、無呼吸を伴うてんかん、昏睡、脈拍数減少、乏尿、重篤な腎症、急性腎不全、尿細管壊死、肺水腫、溶血、ヘモグロビン尿症、死亡が報告され、病理学検査で、肺に出血性水腫、肝臓小葉壊死、腎臓のうっ血、腫大、脳うっ血、腫大がみられた (NITE初期リスク評価書 (2007)、ATSDR (2008)、EHC 168 (1995))。
実験動物では、ラットに吸入ばく露した試験で、強い気道刺激性、神経興奮、痙攣、間代性痙攣、死亡がみられている。経口経路では、気道刺激性、腐食性、出血、経路不詳であるが、気道刺激性、血尿、腎尿細管損傷、結節性肺炎、蒼白を伴う肝臓の鬱血、肝細胞壊死が報告されている (NITE初期リスク評価書 (2007)、ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (2008)、DFGOT vol. 14 (2000))。その他の情報として、メトヘモグロビン血症、ハインツ小体形成、溶血性貧血、尿細管の壊死の報告がある (NITE初期リスク評価書 (2007)、EHC 168 (1995))。実験動物の知見については、ばく露用量の記載が不足している。以上より、クレゾールの主な標的器官は、中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓と考えられた。

本分類では、以上の異性体混合物による動物試験結果による分類と、o-異性体 (ID: 32)、m-異性体、及びp-異性体 (ID: 33) の動物試験結果による分類結果、ヒトでの混合物による知見を併せて、「クレゾール」の分類結果とみなすこととし、未だ分類結果が示されていない「m-異性体」についての毒性情報を記述する。m-クレゾールについては、o-異性体、p-異性体と同様、マウス及びラットへの経口投与で自発運動低下、流涎、協調運動失調、筋収縮、振戦、けいれん、呼吸困難、衰弱、嗜眠、昏睡、死亡がみられた (NITE初期リスク評価書 (2007)、ATSDR (2008))。これらm-異性体単独の中枢神経系への影響を示す知見は、区分1に相当するガイダンス値の範囲であった。以上より、ヒト (混合物) 及び実験動物 (異性体混合物、並びに各異性体単体) での知見に基づき、区分1 (中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓)、区分3 (麻酔作用) とした。
なお、今回はList 1の情報源を基に、かつ、他の異性体に対する分類との整合性も勘案し分類結果を見直した。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)ヒトでは、クレゾール混合物の蒸気 (濃度不明) に1.5-3ヶ月間、吸入ばく露された作業者7名に吐き気と嘔吐を伴う頭痛、うち4名には加えて血圧上昇、腎機能障害、血中カルシウム濃度異常、及び顕著な振戦が認められた (ACGIH (7th, 2001)、 DFGOT vol. 14 (2000)、PATTY (6th, 2012)) との記述がある。
実験動物ではo-、m-、p-の各異性体以外の混合物の情報としては、クレゾール混合物 (m-/p-: 60%:40%) をラット又はマウスに4週間及び13週間混餌投与した試験のみが利用可能なデータであると判断した。このうち、ラットの4週間混餌投与試験において、区分2相当の用量 (90-95 mg/kg/日 (28-30 mg/kg/day (90日換算)) で肝臓相対重量の増加及び鼻腔に呼吸上皮の過形成が認められ、他の3試験でも区分外の高用量では鼻腔の組織変化、肝臓重量増加に加え、中枢神経症状 (嗜眠、不動、振戦)、骨髄の低形成、腎臓重量増加がみられた (NITE初期リスク評価書 (2007)、ATSDR (2008))。
この異性体混合物による動物試験結果による分類と、o-異性体 (ID: 32)、m-異性体、及びp-異性体 (ID: 33) の動物試験結果による分類結果、ヒトでの混合物による知見を併せて、「クレゾール」の分類結果とみなすこととし、未だ分類結果が示されていない「m-異性体」についての毒性情報を記述する。m-クレゾールについては、ラット又はマウスを用いた28日間又は13週間混餌投与による複数の試験結果では、区分外の高用量で中枢神経系、呼吸系への影響がみられたが、区分2までの用量範囲で特定の標的臓器はみられなかった。また、他の経路での毒性情報はない (NITE初期リスク評価書 (2007)、ATSDR (2008))。したがって、m-異性体単独の分類結果は、ヒト (混合物) の知見を実験動物での知見 (m-異性体) で裏付けることができず、情報不足のため、「分類できない」とするのが妥当と考えられる。
以上より、ヒト (混合物) 及び実験動物 (異性体混合物、並びにo-、及びp-異性体) での知見に基づき、区分1 (中枢神経系、心血管系、血液系、呼吸器、肝臓、腎臓) に分類した。なお、旧分類はList 3の情報源からの分類結果であり、今回はList 1の情報源を基に、かつ他の異性体に対する分類との整合性も勘案し、分類結果を見直した。
吸引性呼吸器有害性データ不足のため分類できない。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性(急性)甲殻類(ヨコエビ科)の48時間EC50=7mg/L(CERI・NITE有害性評価書(暫定版)、2006)から、区分2とした。
水生環境有害性(長期間)急速分解性があり(o-体、p-体、m-体の各異性体の分解度が60%を超えている(SIDS、1998、2005)ことから類推)、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=1.95(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外とした。
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。

13.廃棄上の注意
残余廃棄物廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、分類実施中の12項の環境影響情報とに、基づく修正の必要がある。
国際規制
IMOの規定に従う。
国連番号2022
国連品名CRESYLIC ACID
国連危険有害性クラス6.1
副次危険8
容器等級II
海洋汚染物質該当する
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当する
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報消防法の規制に従う。 毒劇法の規制に従う。
特別安全対策危険物は当該危険物が転落し、又は危険物を収納した運搬容器が落下し、転倒もしくは破損しないように積載すること。
危険物又は危険物を収納した容器が著しく摩擦又は動揺を起こさないように運搬すること。
危険物の運搬中、危険物が著しく漏れる等災害が発生するおそれがある場合には、災害を防止するための応急措置を講ずると共に、もよりの消防機関その他の関係機関に通報すること。
輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
移送時にイエローカードの保持が必要。
緊急時応急措置指針番号153

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
化審法優先評価化学物質
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9)
名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)
第2種有機溶剤等
化学物質排出把握管理促進法
(PRTR法)
第1種指定化学物質
毒物及び劇物取締法劇物
消防法危険物第四類第三石油類非水溶性液体
(m-クレゾール)、指定可燃物可燃性固体類(o-クレゾール、p-クレゾール)
船舶安全法毒物類・毒物
航空法毒物類・毒物
労働基準法疾病化学物質

16.その他の情報
参考文献各データ毎に記載した。
<モデルSDSを利用するときの注意事項>
本安全モデルデータシートは作成年月日時点における情報に基づいて記載されておりますので、事業場においてSDSを作成するに当たっては、新たな危険有害性情報について確認することが必要です。さらに、本安全データシートはモデルですので、実際の製品等の性状に基づき追加修正する必要があります。また、特殊な条件下で使用するときは、その使用状況に応じた情報に基づく安全対策が必要となります。