1.化学品等及び会社情報 | |||
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化学品の名称 | 酸化モリブデン(VI) (Molybdenum trioxide) | ||
製品コード | R01-B-001 | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 触媒・金属モリブデン・モリブデン塩原料、金属表面処理剤、セラミックス添加剤、焼結金属添加剤、難燃剤・減煙剤 (NITE-CHRIPより引用) |
2.危険有害性の要約 | |||
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GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R2.3.13、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改訂版 (ver1.1)) を使用 | ||
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用) | |||
物理化学的危険性 | - | ||
健康に対する有害性 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 | |
発がん性 | 区分2 | ||
生殖毒性 | 区分2 | ||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分3 (気道刺激性) | ||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1 (呼吸器、生殖器 (男性)) 区分2 (腎臓) | ||
分類実施日 (環境有害性) | H20年度、政府向けGHS分類ガイダンス (H20.9.5版) (R1年度、分類実施中) | ||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 (急性) | 区分3 | |
水生環境有害性 (長期間) | 区分3 | ||
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | 強い眼刺激 呼吸器への刺激のおそれ 発がんのおそれの疑い 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い 長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器、生殖器 (男性) の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による腎臓の障害のおそれ 水生生物に有害 長期継続的影響によって水生生物に有害 | ||
注意書き | |||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | ||
応急措置 | ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。気分が悪い時は医師に連絡すること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。 | ||
保管 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
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単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | 酸化モリブデン(VI) | ||
別名 | 三酸化モリブデン | ||
過酸化モリブデン | |||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | MoO3 (143.94) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 1313-27-5 | ||
官報公示整理番号 (化審法) | 1-479 | ||
官報公示整理番号 (安衛法) | 情報なし | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。気分が悪い時は医師に連絡すること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 大量の水で洗うこと。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐこと。気分が悪いときは医師に連絡すること。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 眼及び気道粘膜に対する刺激作用 | ||
応急措置をする者の保護 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
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適切な消火剤 | 情報なし | ||
使ってはならない消火剤 | 情報なし | ||
特有の危険有害性 | 情報なし | ||
特有の消火方法 | 情報なし | ||
消火を行う者の保護 | 情報なし |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 関係者以外の立ち入りを禁止する。 作業者は適切な保護具を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。 | ||
環境に対する注意事項 | 周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 粉じんが発生しないように回収した後、換気し、漏出部分を洗浄する。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱い注意事項 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 | ||
安全な容器包装材料 | 情報なし |
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
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許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | |||
管理濃度 | 未設定 | ||
許容濃度 | |||
日本産衛学会 (2019年度版) | 未設定 | ||
ACGIH (2019年版) | TLV-TWA: 10 mg/m3 (Inhalable Paticulate Matter)* TLV-TWA: 0.3 mg/m3 (Respirable Paticulate Matter)* * Molybdenum, as Mo (Metal and insoluble compounds) | ||
設備対策 | 粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所排気装置を使用する。 | ||
保護具 | |||
呼吸用保護具 | 緊急時には呼吸用保護具を着用する。 | ||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。 | ||
眼の保護具 | 保護眼鏡を着用する。 | ||
皮膚及び身体の保護具 | 保護衣を着用する。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
物理状態 | 固体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 白色 | ||
臭い | 無臭 | ||
融点/凝固点 | 795℃ (HSDB (Access on May 2019)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 1,155℃ (HSDB (Access on May 2019)) | ||
可燃性 | 不燃性 (HSDB (Access on May 2019)) | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | 該当しない | ||
引火点 | 該当しない | ||
自然発火点 | 該当しない | ||
分解温度 | データなし | ||
pH | データなし | ||
動粘性率 | データなし | ||
溶解度 | 水: 0.49 g/1,000 mL (28℃) (HSDB (Access on May 2019)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | データなし | ||
蒸気圧 | データなし | ||
密度及び/又は相対密度 | 4.696 (4℃/26℃) (環境リスク評価 (2012)) | ||
相対ガス密度 | データなし | ||
粒子特性 | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 情報なし | ||
危険有害反応可能性 | 情報なし | ||
避けるべき条件 | 情報なし | ||
混触危険物質 | 情報なし | ||
危険有害な分解生成物 | 情報なし |
11.有害性情報 | ||||
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急性毒性 | ||||
経口 | 【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。なお、旧分類では、(2) より区分3としていたが、(2) の原著の信頼性が低く、別の情報源ではこのLD50の信頼性を疑問視する記載があること (GESTIS (Access on May 2019))から、採用しなかった。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 2,689、2,690 mg/kg (GESTIS (Access on May 2019)、ChemIDplus (Access on June 2019)) 【参考データ等】 (2) ラットのLD50: 125 mg/kg (DFGOT vol.18 (2002)、HSDB (Access on May 2019)) | |||
経皮 | 【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50: > 2,000 mg/kg (GESTIS (Access on May 2019)、ChemIDplus (Access on June 2019)) | |||
吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 | |||
吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (0.0000001 mg/L) よりも高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。 【根拠データ】 (1) ラットのLC50値 (4時間): > 5.84 mg/L (GESTIS (Access on May 2019)、ChemIDplus (Access on June 2019)) | |||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) OECD TG 404に準拠したウサギの皮膚刺激性試験で刺激性反応は認められず非刺激物と報告されている (REACH登録情報 (Access on June 2019))。 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 (1) の記載及び粉体は物理的に眼を刺激することが想定されるため区分2と判断した。なお、旧分類から区分を変更した。 【根拠データ】 (1) 本物質の粉じんが眼及び粘膜を刺激するとの記載がある (NTP TR462 (1997))。 【参考データ等】 (2) EU-CLP分類でEye Irrit. 2 (H319) に分類されている (EU CLP分類 (Access on May 2019))。 | |||
呼吸器感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
皮膚感作性 | 【分類根拠】 (1)〜(3) の報告はあるが、本物質の区分を判断するには不十分なデータであり、分類できないとした。 【参考データ等】 (1) ステンレス製ステント等を留置した患者に対し本物質を貼付した複数のヒトパッチテストにおいて低頻度ながら陽性の報告がある (ATSDR (2017))。 (2) モリブデン酸ナトリウム (CAS番号 7631-95-0) あるいはモリブデンペンタクロリド (CAS番号 10241-05-1) を用いたモルモットの感作性試験 (マキシマイゼーション法) において陽性の報告がある (ATSDR (2017)、DFGOT vol.18 (2002)) 。 (3) 結果の詳細は不明だが感作性陰性とするモリブデン酸ナトリウムを用いたモルモットの感作性試験 (マキシマイゼーション法) 及びモリブデンペンタクロリドのC58Bl/6マウスを用いた局所リンパ節試験 (LLNA) で陰性の報告がある (DFGOT vol.18 (2002)) | |||
生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 【根拠データ】 (1) in vivoでは、本物質の試験データはない。 (2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陰性 (NTP TR462 (1997)、ATSDR (2017)、DFGOT vol.18 (2002)、IARC 118 (2018)、環境省リスク評価書第10巻 (2012)、ACGIH (7th, 2003))、哺乳類培養細胞の小核試験で陽性 (ATSDR (2017)、環境省リスク評価第10巻 (2012)、ACGIH (7th, 2003)) の報告がある。 【参考データ等】 (3) 可溶性モリブデン化合物のモリブデン酸ナトリウム (CAS番号 7631-95-0) に関して、腹腔内投与によるマウス優性致死試験及び腹腔内投与によるマウス骨髄細胞小核試験で陽性の報告がある (環境省リスク評価第10巻 (2012)、ATSDR (2017))。ATSDRではいずれの試験結果も弱陽性と報告されている。また、パイロット試験による予備的なデータのため、確定的な結論は導けないと原著者が結論している (ACGIH (7th, 2003)、Titenko-Holland et al., Environ Mol Mutagen 32: 251-259 (1998))。 (4) モリブデンの可溶性塩 (詳細不明) においてin vitroで細菌の復帰突然変異試験で陰性の報告がある (環境省リスク評価第10巻 (2012))。 (5) モリブデン酸ナトリウムにおいてin vitroで哺乳類培養細胞の小核試験で陽性の報告がある (環境省リスク評価第10巻 (2012))。 | |||
(6) 七モリブデン酸六アンモニウム (CAS番号 12027-67-7)、モリブデン酸ナトリウムにおいてin vitroで哺乳類培養細胞の染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陽性の報告がある (環境省リスク評価第10巻 (2012))。なお、環境省リスク評価第10巻 (2012) では七モリブデン酸六アンモニウムで哺乳類培養細胞の小核試験で陽性と報告されているが、ACGIH (7th, 2003) ではモリブデン酸アンモニウムの結果として報告されている (環境省リスク評価第10巻 (2012)、ACGIH (7th, 2003))。 (7) モリブデン (CAS番号 7439-98-7)、二硫化モリブデン (MoS2、CAS番号 1317-33-5)、パラモリブデン酸アンモニウム (七モリブデン酸六アンモニウム) 及び本物質への職業ばく露によるヒト末梢血リンパ球における染色体異常の発生率増加が報告されている (DFGOT vol.18 (2002))。 (9) 可溶性モリブデン化合物であるリンモリブデン酸 (CAS番号 12026-57-2) 及びモリブデン酸ナトリウムは各々2016年度及び2015年度GHS分類において区分2に分類されている。一方、同じく可溶性モリブデン化合物であるモリブデン酸アンモニウム (CAS番号 12027-67-7) は2015年度GHS分類において分類できないとされている。 | ||||
発がん性 | 【分類根拠】 (1) の既存分類結果から、ガイダンスに従い区分2とした。 【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCがグループ2B (IARC 118 (2018))、EU CLPがCarc.2 (EU CLP分類 (Access on May 2019))、ACGIHがA3 (ACGIH (7th, 2003))、日本産業衛生学会が第2群B (産衛学会許容濃度等の勧告 (2017年提案)) に分類している。 【参考データ等】 (2) マウスを用いた2年間吸入ばく露による発がん性試験 (10、30、100 mg/m3) において、雄では細気管支肺胞上皮がん並びに細気管支肺胞上皮腺腫又はがんの有意な増加、雌では細気管支肺胞上皮腺腫並びに細気管支肺胞上皮腺腫又はがんの有意な増加が認められた。これより、雌雄マウスともに本物質の発がん性に関してある程度の証拠 (some evidence) があると結論した (NTP TR462 (1997))。 (3) ラットを用いた2年間吸入ばく露による発がん性試験 (10、30、100 mg/m3) において、雌雄ともに有意な増加を示した腫瘍の発生は認められていない (NTP TR462 (1997))。 (4) 男性の肺がん患者478人、肺がん及び肺疾患以外の男性入院患者536人を対照としたベルギーの症例対照研究で、モリブデンを含む16種類の潜在的な発がん物質に対する職業ばく露を自己申告データをもとに分類し、肺がんに対するオッズ比を求めると、モリブデンで2.1、鉱油で1.7、クロムで1.4と有意に高かった。モリブデンのオッズ比が最も高かったことから、著者らはモリブデンばく露と肺がんの関連を認めた初の研究としたが、気中濃度の測定は未実施であり、具体的なばく露物質の種類や濃度は不明であった (環境省リスク評価第10巻 (2012))。 | |||
生殖毒性 | 【分類根拠】 本物質に関する情報はない。また、本物質の水溶解度は0.49 g/1,000 mL (28℃) (HSDB (Access on May 2019)) と高くないものの、(1) より、経口経路で50%以上吸収されることが示されていることから、可溶性モリブデン化合物の情報を元に分類可能と判断し、(2)、(3) より、実験動物で性機能・生殖能への有害影響を生じる可能性があると考えられるため、区分2とした。 なお、可溶性モリブデン化合物の情報を加えて分類を見直し、旧分類から区分を変更した。 【根拠データ】 (1) ラットに99Mo でラベルした本物質を強制経口投与した結果、6時間後に投与量の26%、12時間後に51%が尿中に排泄され、24 時間で58%が尿中に、8%が糞中に排泄された。一方、不溶性の二硫化モリブデン (CAS番号 1317-33-5) をモルモットに経口投与した結果、肺を除いた組織中のモリブデン濃度に有意な変化はみられず、消化管からの吸収はなかったものと考えられた (環境省リスク評価第10巻 (2012))。 (2) モリブデン酸ナトリウム二水和物 (CAS番号 10102-40-6) (水溶解度は654.2 g/1,000 mL (20℃) (SIAP (2013))) を雌ラットに6週間飲水投与後、未処置雄と交配させ妊娠21日まで継続投与した試験において、性周期の延長、母動物に体重増加抑制、胎児重量の低値、胎児数の低値傾向、吸収胚の増加、胎児の臓器発達遅延がみられた (環境省リスク評価第10巻 (2012)) 。 (3) モリブデン酸ナトリウム二水和物を雌雄ラットに13週間混餌投与後、交配させた結果、80 ppm (約 8 mg/kg/day) 以上の用量で受胎率の低下がみられ、不妊のペアーの雄を未処置雌と交配させた結果、妊娠雌は得られず、不妊の原因は雄側にあると考えられた。これらの雄の精巣で精細管の変性がみられた (環境省リスク評価第10巻 (2012)) 。 | |||
【参考データ等】 (4) 本物質をラット、マウスに13週間吸入ばく露した試験において、雌雄で生殖器の重量や組織、雄で精子の数や運動性に影響はなかった (環境省リスク評価第10巻 (2012)、NTP TR462 (1997)、DFGOT vol.18 (2002))。 | ||||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 (1)、(2) より区分3 (気道刺激性) とした。旧分類は (3) の情報に基づいて心臓、腎臓及び肝臓も標的臓器としていたが、(4) では約100倍高い濃度で影響がみられなかったとされている。いずれの試験も詳細が不明であるため、根拠としなかった。したがって分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) 本物質へのばく露により、鼻と喉の粘膜の刺激を生じるとの記載がある (HSDB (Access on May 2019))。 (2) 本物質は、ACGIH (7th, 2003) において可溶性モリブデン化合物とされている。他の可溶性モリブデン化合物であるモリブデン酸アンモニウム (CAS番号 12027-67-7) では、ラットを用いた単回吸入ばく露試験において粉じん3,000〜5,000 mg/m3、1時間のばく露で上気道と結膜の刺激性を示したとの報告がある (ACGIH (7th, 2003)、DFGOT vol.18 (2002))。 【参考データ等】 (3) ラットを用いた2時間単回吸入ばく露試験において、本物質のエアロゾル64 mg/m3 (4時間換算値: 0.032 mg/L) のばく露で2週間後に心臓、腎臓及び肝臓に萎縮が認められたが、体重への影響はみられなかったとの報告がある (DFGOT vol.18 (2002))。 (4) ラットを用いた1時間単回吸入ばく露試験において、本物質の粉じん12,000〜15,000 mg/m3 (4時間換算値: 3.0〜3.75 mg/L) のばく露後、4週間の観察期間中に、影響は認められなかったとの報告がある (ACGIH (7th, 2003)、DFGOT vol.18 (2002))。 | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 (1)〜(3) より吸入経路ではヒトで肺に対する影響を示す所見がみられ、実験動物では区分1の範囲から呼吸器に影響がみられた。経口経路での影響はモリブデンイオンによる影響と考えられ、可溶性モリブデンであるモリブデン酸ナトリウム及びモリブデン酸アンモニウムの情報を利用することが妥当と判断した。(4) 及び (5) より可溶性モリブデンについて、経口経路では、区分1の範囲から全身影響、精巣に対する影響、区分2の範囲で腎臓に対する影響が考えられた。したがって、区分1 (呼吸器、生殖器 (男性))、区分2 (腎臓) とした。なお、旧分類の情報源に新たな情報源を加えて標的臓器を見直した。 【根拠データ】 (1) ヒトのデータとして、本物質に4年から7年間で1〜25 mg/m3ばく露された19名のうち3名に呼吸困難と咳の頻発が生じ、レントゲン撮影の結果、初期のじん肺と診断された (DFGOT vol.18 (2002))。 (2) ラットに本物質10〜100 mg/m3を2年間吸入ばく露した結果、非腫瘍性病変として10 mg/m3 (0.01 mg/L、区分1の範囲) 以上で鼻腔の嗅上皮及び呼吸上皮の硝子様変性、喉頭蓋の扁平上皮化生、30 mg/m3 (0.03 mg/L、区分2の範囲) 以上で肺胞の慢性炎症がみられた (NTP TR462 (1997)、環境省リスク評価第10巻 (2012)、DFGOT vol.18 (2002)、ACGIH (7th, 2003)、IARC 118 (2018)、ATSDR (2017))。 (3) マウスに本物質10〜100 mg/m3を2年間吸入ばく露した結果、非腫瘍性病変として10 mg/m3 (0.01 mg/L、区分1の範囲) 以上で喉頭蓋の扁平上皮化生、肺における組織球浸潤及び肺胞上皮の化生、30 mg/m3 (0.03 mg/L、区分2の範囲) 以上で鼻腔の化膿性炎症、100 mg/m3 (0.1 mg/L、区分2の範囲) で鼻腔の嗅上皮の萎縮、鼻腔の嗅上皮及び呼吸上皮の硝子様変性、喉頭の上皮過形成がみられた (同上)。 | |||
(4) モリブデン酸ナトリウム (CAS番号: 7631-95-0) の2015年度GHS分類では、モリブデン酸ナトリウム二水和物 (CAS番号 10102-40-6) を4週間混餌投与した試験で、死亡以外にはモリブデン投与による体内からの銅の排泄亢進が原因の極端な削痩、体重減少のみがみられ、0.05% (約25 mg/kg/day) (90日間換算: 7.78 mg/kg/day、区分1の範囲) で体重減少がみられた (環境省リスク評価第10巻 (2012))、ラットにモリブデン酸ナトリウム二水和物を13週間混餌投与した試験で、0.008% (8 mg/kg/day、区分1の範囲) の雄で精巣の精細管の変性がみられた (環境省リスク評価第10巻 (2012))、ラットにモリブデン酸ナトリウム二水和物を90日間強制経口投与した試験において、60 mg/kg/day (区分2の範囲) で体重増加抑制、近位尿細管のわずかなび漫性過形成がみられた (SIAP (2013)) との情報に基づき、区分1 (全身毒性、精巣)、区分2 (腎臓) に分類されている。これらのうち、全身影響、精巣への影響がみられた用量は本物質に換算した場合、各々4.62 mg/kg/day、5 mg/kg/dayであり区分1の範囲、腎臓への影響がみられた用量は本物質換算で36 mg/kg/dayとなり区分2の範囲であった。 (5) モリブデン酸アンモニウム (CAS番号 12027-67-7) の2015年度GHS分類では、ラットを用いた8週間強制経口投与毒性試験において、80 mg/kg/day (90日間換算: 約50 mg/kg/day、区分2の範囲) で体重増加抑制、腎臓の絶対重量減少、腎臓の相対重量増加、尿量増加、尿中のクレアチニン量増加、クレアチニンクリアランスの低下、遠位尿細管からの尿中逸脱酵素 (カリクレイン) 排泄の増加がみられており (環境省リスク評価第10巻 (2012))、腎臓の器質的変化がみられないが機能に影響がみられること、また、類縁物質であるモリブデン酸ナトリウム塩では器質的変化がみられていることから、区分2 (腎臓) に分類されている。 | ||||
誤えん有害性* | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性 (急性) | 魚類 (ファットヘッドミノー) での96時間LC50 = 70 mg/L (AQUIRE (2008)) であることから、区分3とした。 | ||
水生環境有害性 (長期間) | 急性分類が区分3であり、金属化合物のため急速分解性が無いと考えられることから、区分3とした。 | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
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残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
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該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 該当しない | |||
国連品名 | 該当しない | |||
国連危険有害性クラス | 該当しない | |||
副次危険 | 該当しない | |||
容器等級 | 該当しない | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 該当しない | |||
航空規制情報 | 該当しない | |||
陸上規制情報 | 該当しない | |||
特別な安全上の対策 | 該当しない | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 該当しない | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2016 Emengency Response Guidebook (ERG 2016)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)【603 モリブデン及びその化合物】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)【603 モリブデン及びその化合物】 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) | |||
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | 第1種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)【453 モリブデン及びその化合物】 | |||
毒物及び劇物取締法 | 該当しない | |||
大気汚染防止法 | 有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申)【243 モリブデン及びその化合物】 | |||
水質汚濁防止法 | 指定物質(法第2条第4項、施行令第3条の3)【46 モリブデン及びその化合物】 |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) International Chemical Safety Cards (ICSC) Hazardous Substances Data Bank (HSDB) GESTIS Substance database (GESTIS) ERG 2016版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 |