| 1.化学品等及び会社情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品の名称 | 三酸化二アンチモン | ||
| 化学品の英語名称 | Diantimony trioxide | ||
| 製品コード | R06-C-115-JNIOSH | ||
| 供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
| 住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
| 電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
| 電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
| 緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| 推奨用途及び使用上の制限 | 繊維・塗料などの難燃助剤,ガラス清澄剤,ほうろう,吐酒石(酒石酸アンチモンカリウム)原料,合繊触媒(NITE-CHRIPより引用) | ||
| 2.危険有害性の要約 | |||
|---|---|---|---|
| GHS分類 | |||
| 分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | 令和6年度(2024年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) ※一部、平成24年度(2012年度)、ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009) | ||
| 物理化学的危険性 | - | ||
| 健康に対する有害性 | 急性毒性 (経口) | 区分4 | |
| 発がん性 | 区分1B | ||
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分2(呼吸器) | ||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1(呼吸器) | ||
| 分類実施日 (環境有害性) | 平成26年度(2014年度)、ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) | ||
| 環境に対する有害性 | - | ||
| GHSラベル要素 | |||
|---|---|---|---|
| 絵表示 | ![]() ![]() | ||
| 注意喚起語 | 危険 | ||
| 危険有害性情報 | 飲み込むと有害 発がんのおそれ 呼吸器の障害のおそれ 長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器の障害 | ||
| 注意書き | |||
| 安全対策 | 取扱い後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 | ||
| 応急措置 | 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。 口をすすぐこと。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。 | ||
| 保管 | 施錠して保管すること。 | ||
| 廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
| 他の危険有害性 | 情報なし | ||
| 3.組成及び成分情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
| 化学名又は一般名 | 三酸化二アンチモン | ||
| 慣用名又は別名 | 三酸化アンチモン 酸化アンチモン(III) アンチモンホワイト 過酸化アンチモン セナルモナイト | ||
| 英語名 | Diantimony trioxide | ||
| 濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
| 分子式 (分子量) | O3Sb2 (292) | ||
| 化学特性 (示性式又は構造式) | ![]() | ||
| CAS番号 | 1309-64-4 | ||
| 官報公示整理番号 (化審法) | 1-543 | ||
| 官報公示整理番号 (安衛法) | - | ||
| GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | - | ||
| 4.応急措置 | |||
|---|---|---|---|
| 吸入した場合 | 新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で安静にさせる。医師に連絡すること。 意識がないが呼吸がある場合は、横向きに安定した姿勢で寝かせ、低体温症から保護する。 気分が悪い時や呼吸に関する症状が現れた場合は、医師の診察/手当てを受けること。 気道/呼吸器疾患の刺激が発生した場合:できるだけ早く、グルココルチコイド吸入スプレーを吸入する。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 皮膚に付着した場合 | 皮膚に付着した部分を流水またはシャワーで洗い流したのち、水と石けん(鹸)で丁寧に洗浄する。 炎症を起こした場合: 医師の診察/手当てを受けること。 直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 眼に入った場合 | 症状が続く場合には、医師に連絡すること。 まぶたを大きく広げて流水で少なくとも10分間(できればコンタクトレンズをはずして)、患部を洗眼する。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 飲み込んだ場合 | 口をすすぐこと。 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 意識がある場合は、コップ1〜2杯の水を飲ませる。 自然嘔吐の場合は、嘔吐物が呼吸器に侵入するのを防ぐため、頭を胸より低くし、うつぶせの姿勢にする。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 急性:眼、皮膚および気道を軽度に刺激する。経口摂取の場合:胃腸障害。 慢性: 呼吸路への刺激、胃腸障害、皮膚の損傷、反復または長期の粉じんの吸入により、肺に影響を与えることがある。 心機能への影響 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する | ||
| 医師に対する特別な注意事項 | 情報なし | ||
| 5.火災時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 適切な消火剤 | 水噴霧、粉末消火剤、泡消火剤、二酸化炭素を使用する。 | ||
| 使ってはならない消火剤 | 火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。 | ||
| 特有の危険有害性 | 火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。 | ||
| 特有の消火方法 | 消火活動は風上から行う。 火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 | ||
| 消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。 | ||
| 6.漏出時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 周囲を換気し、こぼれた場所を洗浄する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 環境に対する注意事項 | 容器とパイプラインにラベルを貼ること 以上、GESTIS参照。 | ||
| 封じ込め及び浄化の方法及び機材 | こぼれた物質を密閉容器内に収集する。 収集容器にはラベルを貼ること。容器は換気の良い場所に保管すること。 湿らせてもよい場合は、粉じんを避けるために湿らせてから掃き入れる 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 二次災害の防止策 | 情報なし | ||
| 7.取扱い及び保管上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 取扱い | |||
| 技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 粉じんを発生させないこと。避けられない粉じんの発生は、定期的に収集すること。 掃除中に粉じんを起こさないこと。 清掃にブロワーを使用しないこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 安全取扱い注意事項 | 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 使用前に取扱説明書を入手すること。 作業場所を清潔に保つこと。 容器を開けたままにしないこと。 補充または移し替えには、排気口付きの漏れ防止機器を使用すること。 こぼれないようにすること。 ラベルの付いた容器にのみ注入すること。 粉じんを発生させないこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 接触回避 | 感染性、放射性、爆発性の物質。 強酸化性物質。 危険な化学反応が起こりうる物質と一緒に保管しない。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 衛生対策 | この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 眼、皮膚、衣類への接触を避けること。汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 保管 | |||
| 安全な保管条件 | 容器にはラベルを貼付すること。 できるだけ元の容器に保管すること。 密閉すること。。 乾燥した場所に保管すること。 過熱/加熱を避けること。 施錠して保管すること。 作業場の換気を良好に保つこと。 作業場での洗濯設備を設置する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 安全な容器包装材料 | 毒劇法、国連輸送法規で規定されている容器を使用する。 | ||
| 8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
| 管理濃度 | Sbとして 0.1 mg/m3 | |||
| 濃度基準値 | ||||
| 八時間濃度基準値 | - | |||
| 短時間濃度基準値 | - | |||
| 許容濃度 | ||||
| 日本産衛学会 (2023年度版) | Sbとして 0.1 mg/m3 (アンチモン及びアンチモン化合物 (Sbとして)) | |||
| ACGIH (2024年版) | TLV-TWA: 0.02 mg/m3 (Inhalable paticulate matter) | |||
| 設備対策 | 粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。 取り扱い場所の近くに洗浄のための設備を設ける。 | |||
| 保護具 | ||||
| 呼吸用保護具 | 緊急時には、呼吸保護具を着用する。 フィルター装置の使用限界を超える濃度、体積18%未満の酸素濃度、または不明な状況では、絶縁装置を使用すること。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 手の保護具 | 必要に応じて適切な不浸透性の保護手袋を使用すること。着用する前に締まり具合を確認すること。手袋は取り外す前に十分に洗浄し、換気の良い場所に保管すること。 ポリクロロプレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、FKM、およびポリ塩化ビニルは、未溶解の固形物から保護するための手袋材料として適している。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 眼の保護具 | 必要に応じて安全眼鏡、保護面、安全ゴーグルなどの眼用保護具を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 皮膚及び身体の保護具 | 身体の保護リスクに応じて、不浸透性の適切な防護服または適切な化学防護服を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 9.物理的及び化学的性質 | |||
|---|---|---|---|
| 物理的状態 | |||
| 物理状態 | 固体 | ||
| 色 | 白色 | ||
| 臭い | 無臭 | ||
| 融点/凝固点 | 655 ℃ (GESTIS (2024)) | ||
| 沸点、初留点及び沸騰範囲 | 1,550 ℃ (一部昇華する) (ICSC (2013)) 1,425 ℃ (GESTIS (2024)) | ||
| 可燃性 | 不燃性 | ||
| 爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
| 引火点 | データなし | ||
| 自然発火点 | データなし | ||
| 分解温度 | データなし | ||
| pH | データなし | ||
| 動粘性率 | データなし | ||
| 溶解度 | 水:14 mg/L (30℃) (NITE初期リスク評価書 (2008)) 水:28.7 mg/L (20℃) 不溶 (GESTIS (2024)) | ||
| n-オクタノール/水分配係数 | データなし | ||
| 蒸気圧 | 1 mmHg (574℃) (ECHA CHEM(2024)) | ||
| 密度及び/又は相対密度 | 5.9 g/cm3 (24℃) (ICSC (2013)) | ||
| 相対ガス密度 | データなし | ||
| 粒子特性 | データなし | ||
| 10.安定性及び反応性 | |||
|---|---|---|---|
| 反応性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
| 化学的安定性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
| 危険有害反応可能性 | 不燃性物質。 粉末状の酸化物は、空気の存在下で加熱すると発火する。 他の使用する物質に応じて、火災および爆発防止対策を選択すること。 消火対策は、周囲の状況に合わせて選択すること。 水素とある状況下で反応する。 非常に有毒なガス(スチビン)を生じる。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 避けるべき条件 | 直射日光を避け、冷暗所に保管する。 | ||
| 混触危険物質 | 接触して爆発する危険性:アルミニウム(粉末)、塩素化ゴム(200°C)、過塩素酸/熱 危険な反応を示す可能性:強力な還元剤、、臭素、三フッ化物、金属粉 以上、GESTIS参照。 | ||
| 危険有害な分解生成物 | 火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。 | ||
| 11.有害性情報 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 急性毒性 | ||||
| 経口 | ヒトの疫学事例で、死亡がみられており(CERIハザードデータ集 2001-7(2002))、ヒト健康に対する急性的な懸念が示唆され、ある状況下ではヒトの死亡がみられたため、区分4とした。 | |||
| 経皮 | データなし。 | |||
| 吸入: ガス | GHSの定義による固体であるため、ガスの吸入は想定されず、分類対象外とした。 | |||
| 吸入: 蒸気 | データなし。 | |||
| 吸入: 粉じん及びミスト | データなし。 | |||
| 皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | EUリスク警句(2005)では刺激性ありとしているが、根拠となるデータが不明のため分類できない。 | |||
| 眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 3省GHS分類では、RTECSに記載されている「ウサギの眼に100mg投与で軽度の(mild)刺激性」との試験結果に基づき「区分2B」と分類されている。一方、パブリックコメントの文献(LPT(2005))には、OECD テストガイドラインに従ったGLP試験機関のウサギを用いた試験結果から「刺激性なし(non-irritating)」と明示されている。即ち、ウサギを用いた試験で陽性と陰性の1例ずつが存在する。 LPT(2005)の文献はパブリックコメントでは未公開であるとしているが、一般ルートで入手可能であるので、当事業において考察に使用した。 ここで、前者の陽性結果の試験は1972年に行われたものであり、用いた物質の性状や症状の詳細は不明である。 これに対して、後者の陰性結果の試験は、2002年のOECDテストガイドラインに則って行われたものであり、物質の由来と性状や発生した症状の詳細が記載されている。 従って、試験の信頼性は後者の陰性結果が優ると考えられる。 よって、本物質の分類は「区分2B」から「区分に該当しない」へ修正するのが妥当と考える。 | |||
| 呼吸器感作性 | データなし。 | |||
| 皮膚感作性 | データなし。 | |||
| 生殖細胞変異原性 | PATTY(4th, 2000)、CERIハザードデータ集 2001-7(2002)、IARC 47(1989)の記述から、生殖細胞in vivo経世代変異原性試験なし、生殖細胞 in vivo変異原性試験(染色体異常試験)陰性であり、体細胞in vivo変異原性試験(染色体異常試験)については結果(1回投与で陰性、21日目までの投与で骨髄の染色体が変化する度合が増加)を陰性と判断し区分に該当しないとした。なお、専門家の判断(文献検索により収集した情報に基き判断した分類結果)も区分に該当しないであり本分類結果と合致する。 | |||
| 発がん性 | 【分類根拠】 ヒトの発がん性に関する情報は不十分である。動物試験では、(1)より、1種類の動物種(マウス)ではあるが信頼性のある試験で雌雄ともに悪性を含む腫瘍の発生増加が認められていることから、区分1Bとした。 【根拠データ】 (1)高純度(> 99.9%)の本物質を被験物質としたラット及びマウスを用いた2年間吸入ばく露(粒子、3〜30 mg/m3、6時間/日、5日/週)による発がん性試験において、雄マウスで肺腫瘍(細気管支肺胞上皮がん)と皮膚腫瘍(線維性組織球腫、線維性組織球腫と線維肉腫の組み合わせ)の発生増加、雌マウスで肺腫瘍(細気管支肺胞上皮腺腫、細気管支肺胞上皮がん)と悪性リンパ腫の発生増加が認められた。ラットは雌雄に肺腫瘍と副腎髄質の発生増加が報告されているが、主に良性腫瘍である細気管支肺胞上皮腺腫と副腎髄質の良性褐色細胞腫の増加であり、また、雄ラットの肺腫瘍には統計学的な有意差が認められない(IARC 131 (2023)、ATSDR (2019)、MOE初期評価 (2017)、NTP TR590 (2017))。 【参考データ等】 (2)三価アンチモンへのばく露がヒトの肺がんを引き起こすという証拠は限られている。三価アンチモンへのばく露と肺がんリスクとの間には、3つの研究全てにおいて正の関連が認められたが、ヒ素や他の既知肺がん物質へのばく露による交絡を完全に排除することができなかった(IARC 131 (2023))。 (3)IARCはアンチモン化合物の発がん性機序を調査した結果、三価アンチモン化合物は、@遺伝毒性を有する、A酸化ストレスを誘発する、B慢性炎症を誘発する、C細胞増殖、細胞死、細胞への栄養供給を変化させる等、発がん性物質としてのキーとなる特性を有していると結論した(IARC 131 (2023))。 (4)国内外の評価機関による発がん性分類では、三価アンチモン化合物についてIARCがグループ2A(IARC 131 (2023))、三酸化二アンチモンについてEUでCarc. 2(CLP分類 (Accessed July 2024))、ACGIHがA2(ACGIH (2020))、日本産業衛生学会は2A(暫定)・(産衛学会許容濃度の提案理由書 (2024))、アンチモン及びアンチモン化合物(スチビン除く)についてDFGがカテゴリー2(List of MAK and BAT values (2023))に分類している。 | |||
| 生殖毒性 | 本物質(三酸化二アンチモン)自体の生殖発生毒性試験は、生殖毒性1件、発生毒性2件の計3件の報告がある。生殖毒性については、雌ラットを用い、交配前1.5〜2ヵ月より、無処置の雄との交配、妊娠期間を通じ出産の3〜5日前まで吸入ばく露した試験で、妊娠率の低下、同腹仔数の減少が見られ、受胎能に悪影響を及ぼす可能性が示された。しかし、吸収または胎仔死亡の発生率のデータがなく、1用量(ダスト:250 mg/m3)のみの試験で対照群での形態学的検査が実施されていないなど、試験条件全体が不明瞭で、試験物質の純度、粒径等も不明なため、この試験の結果から結論は得られず、リスク評価には使用できないと述べられている(NITE初期リスク評価書 132(2008)、EU-RAR(2008)DRAFT)。一方、発生毒性については、ラットの妊娠期間中(21日間)に吸入ばく露した試験で、母動物の体重変化に影響はなく、着床前後の子宮内胚・胎児死亡率の増加がみられたが、試験物質が酸化アンチモンと伝えられているのみで純度や粒径、試験条件等の報告もなく、試験物質に関する情報を欠くため、この試験は確定的ものではないと結論されている(NITE初期リスク評価書 132(2008)、EU-RAR(2008)DRAFT)。唯一、残り1件の発生毒性試験(OECD TG 414)において、2.6〜6.3 mg/m3の濃度で吸入ばく露により、母動物に一般毒性が観察された一方、催奇形性を含め発生毒性は認められなかった(EU-RAR(2008)DRAFT)と報告されているが、分類ガイダンスの変更もあり、この結果のみでは分類できない。前述のように性機能・生殖能に対する影響について、評価に耐える生殖毒性試験のデータがなく、データ不足のため「分類できない」とした。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 心臓に関しては、3省GHS分類結果の判定根拠としている資料の元文献に当該記述が見当たらないのでGHS分類の「区分1(心臓)」は、削除することが妥当である。 呼吸器に関しては、3省GHS分類結果の判定根拠で使用したCERIハザードデータ集の元文献を順次精査して判断すると、「区分2」である。一方、パブリックコメントで提示された文献から判断すると「区分に該当しない」である。いずれも有用なデータによる区分が異なるので、危険性を周知させる観点から「区分2」とすることが妥当である。 以上より、「区分1(心臓)、区分2(呼吸器)」を「区分2(呼吸器)」に修正する。 なお、平成19年度パブリックコメントで提供された文献(LPT, 2005)は、パブリックコメントでは未公開であるとしているが、一般ルートで入手可能であるので、当事業において考察に使用した。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | ヒトについては「胸部レントゲン検査で肺炎が確認された」、「 アンチモン塵肺症が見られさら塵肺症が疑われた」、「胸部レントゲン像異常とアンチモンの肺内残留とばく露期間の関係を報告した」、「浸潤状に広がった直径1mm未満の斑状陰影 の存在とそれの肺中葉部への集積」(IRIS(2002))等の記述があり、実験動物では「剖検では肺の色調変化が見られた。粒子含有食細胞、変性食細胞、肺胞壁内の細胞屑が観察された」、「間質性線維化、肺胞上皮細胞の肥大及び過形成」、「肉芽腫様炎症および肉芽腫」(IRIS(2002))、「体重減少、肺の間質性線維化、肺胞上皮細胞の肥大及び過形成、立方及び円柱上皮化生、コレステロール裂」(CERIハザードデータ集 2001-7(2002))等の記述があることから、呼吸器及び消化器が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1 に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(呼吸器)とした。 | |||
| 誤えん有害性* | データなし。 | |||
| * JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 | ||||
| 12.環境影響情報 | |||
|---|---|---|---|
| 生態毒性 | |||
| 水生環境有害性 短期(急性) | 魚類(ブルーギル)の96時間LC50 > 530 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2008)、甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 506 mg/L(環境省リスク評価 第6巻, 2008)、藻類(Psudokirchneriella subcapitata)の72時間EC50 > 2.87 mg/L(EU-RAR, 2008)から、区分に該当しないとした。 | ||
| 水生環境有害性 長期(慢性) | 慢性毒性データを用いた場合、無機化合物につき環境中動態が不明であるが、魚類(ファットヘッドミノー)の33-35日間NOEC > 0.00898 mg/L(環境省リスク評価第6巻, 2008、NITE初期リスク評価書, 2008、EU-RAR, 2008)であることから、区分に該当しないとなる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、藻類、甲殻類ともに急性毒性が区分に該当しない相当であり、難水溶性ではない(水溶解度=2.76 mg Sb/L (pH 8、22.2deg C調製水、7日間) (EU-RAR, 2008))ことから、区分に該当しないとなる。 以上の結果から、区分に該当しないとした。 | ||
| 残留性・分解性 | - | ||
| 生態蓄積性 | - | ||
| 土壌中の移動性 | - | ||
| オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。 | ||
| 13.廃棄上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 | ||
| 14.輸送上の注意 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
| 国際規制 | ||||
| 国連番号 | 1549 | |||
| 品名(国連輸送名) | 無機アンチモン化合物、固体、他に品名が明示されていないもの | |||
| 国連分類 | 6.1 | |||
| 副次危険 | - | |||
| 容器等級 | III | |||
| 海洋汚染物質 | 該当しない | |||
| MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
| 国内規制 | ||||
| 海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う | |||
| 航空規制情報 | 航空法の規定に従う | |||
| 陸上規制情報 | 道路法、毒物及び劇物取締法の規定に従う | |||
| 特別な安全上の対策 | 道路法、毒物及び劇物取締法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
| その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
| 緊急時応急措置指針番号* | 157 | |||
| * 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。 | ||||
| 15.適用法令 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
| 労働安全衛生法 | 特定化学物質第2類物質(施行令別表第3第2号・特定化学物質障害予防規則第2条第1項第2号) 【15の2 三酸化二アンチモン】 特定化学物質第2類物質、管理第2類物質(特定化学物質障害予防規則第2条第1項第2、5号) 【15の2 三酸化二アンチモン】 特定化学物質特別管理物質(特定化学物質障害予防規則第38条の4) 【三酸化二アンチモン】 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【38 アンチモン及びその化合物】 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年4月1日以降) 【5 アンチモン及びその化合物】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【38 アンチモン及びその化合物】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年4月1日以降) 【5 アンチモン及びその化合物】 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) 作業環境評価基準(法第65条の2第2項) 【13の3 三酸化二アンチモン】 特殊健康診断対象物質・現行取扱労働者(法第66条第2項、施行令第22条第1項) 【3 三酸化二アンチモン】 特殊健康診断対象物質・過去取扱労働者(法第66条第2項、施行令第22条第2項) 【14の3 三酸化二アンチモン】 | |||
| 労働基準法 | 疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1) 【アンチモン及びその化合物】 | |||
| 化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | 第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1) 【48 アンチモン及びその化合物】 | |||
| 毒物及び劇物取締法 | 劇物(指定令第2条)【7 アンチモン化合物及びこれを含有する製剤】 | |||
| 水質汚濁防止法 | 指定物質(法第2条第4項、施行令第3条の3) 【47 アンチモン及びその化合物】 | |||
| 船舶安全法 | 毒物類(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
| 航空法 | 毒物類(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
| 港則法 | その他の危険物・毒物類(毒物)(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表) | |||
| 道路法 | 車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2) 【硫化りん、赤リン、硫黄、鉄粉、金属粉、マグネシウム、前記に掲げるもののいずれかを含有するもの、引火性固体】 | |||
| 大気汚染防止法 | 有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申) 【14 アンチモン及びその化合物】 | |||
| 16.その他の情報 | ||||
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| 参考文献 | ||||
| 9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・2024 Emengency Response Guidebook ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 ・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」 | ||||