| 1.化学品等及び会社情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品の名称 | 酸化コバルト(II) | ||
| 化学品の英語名称 | Cobalt oxide (CoO) | ||
| 製品コード | R06-C-114-JNIOSH | ||
| 供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
| 住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
| 電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
| 電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
| 緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| 推奨用途及び使用上の制限 | 顔料(濃い群青),コバルト塩原料,電子材料,ホーロー下びき(NITE-CHRIPより引用) | ||
| 2.危険有害性の要約 | |||
|---|---|---|---|
| GHS分類 | |||
| 分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | 令和6年度(2024年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) ※一部、平成27年度(2015年度)、ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) | ||
| 物理化学的危険性 | - | ||
| 健康に対する有害性 | 急性毒性 (経口) | 区分3 | |
| 呼吸器感作性 | 区分1 | ||
| 皮膚感作性 | 区分1 | ||
| 発がん性 | 区分2 | ||
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1 (肝臓)、区分2 (心臓) | ||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1 (呼吸器、甲状腺、血液系) | ||
| 分類実施日 (環境有害性) | 平成27年度(2015年度)、ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) | ||
| 環境に対する有害性 | - | ||
| GHSラベル要素 | |||
|---|---|---|---|
| 絵表示 | ![]() ![]() | ||
| 注意喚起語 | 危険 | ||
| 危険有害性情報 | 飲み込むと有毒 吸入するとアレルギー、ぜん(喘)息又は呼吸困難を起こすおそれ アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ 発がんのおそれの疑い 肝臓の障害 心臓の障害のおそれ 長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器、甲状腺、血液系の障害 | ||
| 注意書き | |||
| 安全対策 | 取扱い後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 | ||
| 応急措置 | 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。 口をすすぐこと。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。 皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。 | ||
| 保管 | 施錠して保管すること。 | ||
| 廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
| 他の危険有害性 | 情報なし | ||
| 3.組成及び成分情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
| 化学名又は一般名 | 酸化コバルト(II) | ||
| 慣用名又は別名 | 酸化コバルト 酸化コバルト(CoO) 酸化第一コバルト ピグメントブラック13 | ||
| 英語名 | Cobalt oxide (CoO) | ||
| 濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
| 分子式 (分子量) | CoO (75) | ||
| 化学特性 (示性式又は構造式) | ![]() | ||
| CAS番号 | 1307-96-6 | ||
| 官報公示整理番号 (化審法) | 1-267 | ||
| 官報公示整理番号 (安衛法) | - | ||
| GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | - | ||
| 4.応急措置 | |||
|---|---|---|---|
| 吸入した場合 | 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 意識がないが呼吸がある場合は、横向きに安定した姿勢で寝かせ、低体温症から保護する。 気分が悪い時や呼吸に関する症状が現れた場合は、医師の診察/手当てを受けること。 気道/呼吸器疾患の刺激が発生した場合:できるだけ早く、グルココルチコイド吸入スプレーを吸入する。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 皮膚に付着した場合 | 直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。 皮膚に付着した部分を流水またはシャワーで洗い流したのち、水と石けん(鹸)で丁寧に洗浄する。 刺激が現れた場合:医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 眼に入った場合 | 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 飲み込んだ場合 | 口をすすぎ、吐き出す。 意識がある場合は、コップ1〜2杯の水を飲ませる。 自然嘔吐の場合は、嘔吐物が呼吸器に侵入するのを防ぐため、頭を胸より低くし、うつぶせの姿勢にする。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 急性: 皮膚や気道への感作作用 慢性: 皮膚や気道のアレルギー疾患、肺障害(線維症)の可能性。ヒトで発がん性を示す可能性がある。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する | ||
| 医師に対する特別な注意事項 | 情報なし | ||
| 5.火災時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 適切な消火剤 | 不燃性。 周辺の火災時には、適切な消火剤を使用する。 以上、ICSC参照。 | ||
| 使ってはならない消火剤 | 火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。 | ||
| 特有の危険有害性 | 周囲の火災に含まれると、有害物質(金属酸化物ヒューム)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 特有の消火方法 | 火災の場合:区域から退避させ、爆発の危険性があるため、離れた距離から消火すること。 消火活動は風上から行う。 火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 | ||
| 消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 6.漏出時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 影響を受ける周囲に警告すること。 個人用保護具を着用すること(「個人用保護具」の章を参照)。 周囲を換気し、こぼれた場所を洗浄する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 環境に対する注意事項 | 容器とパイプラインにラベルを貼ること 水、排水、下水、または地中への浸透を防ぐ。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 封じ込め及び浄化の方法及び機材 | こぼれた物質を密閉容器内に収集する。 湿らせてもよい場合は、粉じんを避けるために湿らせてから掃き入れる。 収集容器にはラベルを貼ること。容器は換気の良い場所に保管すること。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 二次災害の防止策 | 情報なし | ||
| 7.取扱い及び保管上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 取扱い | |||
| 技術的対策 | 毎日掃除すること。 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 粉じんを発生させないこと。避けられない粉じんの発生は、定期的に収集すること。 掃除中に粉じんを起こさないこと。 清掃にブロワーを使用しないこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 安全取扱い注意事項 | 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 使用前に取扱説明書を入手すること。 密閉状態での加熱又は鈍性化剤の減少を避けること。 熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。 作業場所を清潔に保つこと。 この物質は、作業に必要な量を超えて持ち込まない。 容器を開けたままにしないこと。 補充または移し替えには、排気口付きの漏れ防止機器を使用すること。 こぼれないようにすること。 ラベルの付いた容器にのみ注入すること。 粉じんを発生させないこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 接触回避 | 感染性、放射性、爆発性の物質。 ガス。 可燃性液体。 可燃性固体。 自然発火性物質。 水と接触した可燃性ガスを放出する物質。 強酸化性物質。 硝酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムを含有する製剤 有機過酸化物および自己反応性物質。 化学反応が起こりうる物質と一緒に保存しない。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 衛生対策 | この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 眼、皮膚、衣類への接触を避けること。接触した場合は患部を洗浄する。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 シャワー付きの洗面所と、可能であれば、私服と作業服用の独立した収納を備えた部屋を用意すること。 使用後は手を洗うこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 保管 | |||
| 安全な保管条件 | 施錠して保管すること。 国又は都道府県の規則に従って保管すること。 容器を密閉しておくこと。 容器にはラベルを貼付すること。 できるだけ元の容器に保管すること。 容器は、涼しく乾燥した換気の良い場所で密閉すること。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 安全な容器包装材料 | 毒劇法、国連輸送法規で規定されている容器を使用する。 | ||
| 8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
| 管理濃度 | 0.02 mg/m3 (コバルトとして) | |||
| 濃度基準値 | ||||
| 八時間濃度基準値 | - | |||
| 短時間濃度基準値 | - | |||
| 許容濃度 | ||||
| 日本産衛学会 (2023年度版) | 0.05 mg/m3 (コバルト及びコバルト化合物として) | |||
| ACGIH (2024年版) | TLV-TWA:0.02 mg/m3 (コバルトとして,Inhalable paticulate matter) (コバルト及び無機コバルト化合物) | |||
| 設備対策 | 粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。 作業場は、可能であれば物理的に分離する必要がある。 作業場は換気をすること。 床に排水溝を設置しない。 取り扱い場所の近くに洗浄のための設備を設ける。 本物質を大量に取り扱う場合は、緊急用シャワーを設置すること。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 保護具 | ||||
| 呼吸用保護具 | 【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。 緊急時には、呼吸保護具を着用する。 フィルター装置の使用限界を超える濃度、体積18%未満の酸素濃度、または不明な状況では、絶縁装置を使用すること。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 手の保護具 | 必要に応じて適切な不浸透性の保護手袋を使用すること。着用する前に締まり具合を確認すること。手袋は取り外す前に十分に洗浄し、換気の良い場所に保管すること。 布製または革製の手袋は不適切である。 次の材料は保護手袋に適している: ポリクロロプレン-CR、ニトリルゴム/ニトリルラテックス-NBR、ポリ塩化ビニル-PVC。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 眼の保護具 | 必要に応じて安全眼鏡、保護面、安全ゴーグルなどの眼用保護具を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 皮膚及び身体の保護具 | 身体の保護リスクに応じて、不浸透性の適切な防護服または適切な化学防護服を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 9.物理的及び化学的性質 | |||
|---|---|---|---|
| 物理的状態 | |||
| 物理状態 | 固体 | ||
| 色 | 緑色、赤色、灰色、黒色 | ||
| 臭い | データなし | ||
| 融点/凝固点 | 1,935 ℃ (HSDB in PubChem(2024)) | ||
| 沸点、初留点及び沸騰範囲 | データなし | ||
| 可燃性 | 不燃性 | ||
| 爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
| 引火点 | データなし | ||
| 自然発火点 | データなし | ||
| 分解温度 | データなし | ||
| pH | データなし | ||
| 動粘性率 | データなし | ||
| 溶解度 | 水:4.88 mg/L (20℃) (HSDB in PubChem(2024)) 酸、アルカリ: 可溶 (HSDB in PubChem(2024)) | ||
| n-オクタノール/水分配係数 | データなし | ||
| 蒸気圧 | 0 Pa (20℃) (ECHA CHEM(2024)) | ||
| 密度及び/又は相対密度 | 5.7〜6.7 g/cm3 (HSDB in PubChem (2024)) ca. 6.656 (20℃) (ECHA CHEM (2024)) | ||
| 相対ガス密度 | データなし | ||
| 粒子特性 | データなし | ||
| 10.安定性及び反応性 | |||
|---|---|---|---|
| 反応性 | 不燃性である。他の使用する物質に応じて、火災および爆発防止対策を選択すること。 消火対策は、周囲の状況に合わせて選択すること。 流出水が排水システムに入らないようにすること。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 化学的安定性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
| 危険有害反応可能性 | 通常の取扱い条件下では危険有害反応を起こさない。 | ||
| 避けるべき条件 | 直射日光を避け、冷暗所に保管する。 | ||
| 混触危険物質 | この物質は、過酸化水素と危険な反応を示す可能性がある。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 危険有害な分解生成物 | 周囲の火災に含まれると、有害物質(金属酸化物ヒューム)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 11.有害性情報 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 急性毒性 | ||||
| 経口 | ラットのLD50値として、159 mg/kg (ATSDR (2004))、202 mg/kg (環境省リスク評価第11巻 (2013)) に基づき、区分3とした。 | |||
| 経皮 | データ不足のため分類できない。 | |||
| 吸入: ガス | GHSの定義における固体である。 | |||
| 吸入: 蒸気 | GHSの定義における固体である。 | |||
| 吸入: 粉じん及びミスト | データ不足のため分類できない。 | |||
| 皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | データ不足のため分類できない。なお、本物質は機械的刺激を引き起こすことがあるとの記載がある (環境省リスク評価第11巻 (2013))。 | |||
| 眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | データ不足のため分類できない。なお、本物質は機械的刺激を引き起こすことがあるとの記載がある (環境省リスク評価第11巻 (2013))。 | |||
| 呼吸器感作性 | 日本産業衛生学会はコバルト化合物として気道感作性第1群としている (日本産業衛生学会 許容濃度の勧告 (2015))。以上から区分1とした。なお、感作性に関わる全ての物質が同定されているわけではないとの記載がある (日本産業衛生学会 許容濃度の勧告 (2015))。 | |||
| 皮膚感作性 | 日本産業衛生学会はコバルト化合物として皮膚感作性第1群としている (日本産業衛生学会 許容濃度の勧告 (2015))。以上から区分1とした。なお、感作性に関わる全ての物質が同定されているわけではないとの記載がある (日本産業衛生学会 許容濃度の勧告 (2015))。なお、本物質はEU CLP分類において「Skin sens. 1 H317」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。 | |||
| 生殖細胞変異原性 | データ不足のため分類できない。 | |||
| 発がん性 | 【分類根拠】 ヒトの発がん性に関する情報はない。動物試験では(1)より複数の試験で悪性を含む腫瘍の増加が認められたが、気管内投与試験は片性のみの腫瘍の発生増加であること、皮下、筋肉内及び腹腔内投与試験は投与部位のみの腫瘍の発生増加であることから、確実に区分1に分類するには不十分な証拠であると考えられ、区分2とした。なお、(2)より本物質は生体内で2価のコバルトイオンを遊離すると推察される。 【根拠データ】 (1)本物質の微粒子をラットの雌雄に2年間気管内投与した試験で雄に肺腫瘍(細気管支-肺胞上皮腺腫、細気管支-肺胞上皮がん及び腺がんの組み合わせ)の発生増加が認められた。また、ラットの雄にに皮下投与した試験では投与部位の腫瘍(悪性組織球腫と肉腫の組み合わせ)の発生増加、ラットの雌雄に筋肉内投与した試験では投与部位の腫瘍(雌雄の横紋筋肉腫の合計)の発生増加、ラットの雌雄に腹腔内投与した試験では投与部位の腫瘍(雌雄の悪性組織球腫の合計)の発生増加が認められた(IARC 131 (2023)、AICIS IMAP (2014)、MOE初期評価 (2013)、MAK (DFG) (2007))。 (2)本物質は人工胃液中で可溶性コバルト化合物と比較して中程度から同レベルの Co2+イオンを放出することが示唆されており、経口ばく露後は可溶性コバルト化合物と同程度のハザードプロファイルを有する (AICIS IMAP (2014))。 【参考データ等】 (2)ヒト初代細胞を用いた1試験及びヒト細胞を用いた複数のin vitro試験で、本物質が染色体異常とDNA一本鎖切断を誘発する結果が得られたが、in vivo試験で陽性の結果はなく、本物質が遺伝毒性物質であるという証拠は不十分である。一方、本物質が酸化ストレスを誘発するという証拠がヒト細胞株を用いたin vitroとげっ歯類のin vivo試験を含む2つの試験から得られている(IARC 131 (2023))。 (3)国内外の評価機関による発がん性分類では、本物質に対しIARCでグループ2B(IARC 131 (2023))に、コバルト及び(無機)コバルト化合物に対しACGIHでA3(ACGIH (2019))、日本産業衛生学会で2B(産衛学会許容濃度等の勧告 (2023))、DFGでカテゴリー2(List of MAK and BAT values (2023))に分類されている。 | |||
| 生殖毒性 | デ-タ不足のため分類できない。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 本物質のヒトデータはない。実験動物については、ラットの経口投与(157.3 mg/kg、区分1相当用量) で、肝臓の充血、肝細胞の器質的変化の報告、ラットの経口投与 (795 mg/kg、区分2相当) で、心臓間質性細胞の増殖、心筋線維の肥大、変性の報告があるのみである (ATSDR (2004))。以上より、心臓、肝臓を標的臓器とし、区分1 (肝臓)、区分2 (心臓) とした。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | ヒトで本物質自体へのばく露が明らかな有害性情報はない。 コバルト及びコバルト化合物のヒトでの健康影響に関し以下の知見があり、本物質の有害性評価に利用が可能と考えられる。すなわち、ダイヤモンドの研磨作業中に飛散したコバルトにばく露された作業者では咳など呼吸器症状の主訴、高濃度ばく露症例では肺機能への影響 (努力肺活量、1秒量、最大中間呼気流量の有意な減少) がみられた (環境省リスク評価第11巻 (2013)、CICAD 69 (2006)、ACGIH (7th, 2001)) との記述、コバルト精錬所の作業者では、皮膚病変 (湿疹、紅斑)、呼吸器症状 (呼吸困難、喘鳴、慢性気管支炎)、肺機能の低下、貧血所見 (赤血球数数、ヘモグロビン量、ヘマトクリット値の減少)、甲状腺機能影響 (T3の低値、甲状腺ホルモンの異常値) がみられた (環境省リスク評価第11巻 (2013)、CICAD 69 (2006)、ACGIH (7th, 2001)) との記述がある。このうち、皮膚病変は皮膚感作性による影響と考えられ、特定標的臓器の対象外の所見と判断した。 実験動物ではハムスターに本物質 (酸化コバルト) を生涯吸入ばく露した試験で、10 mg/m3 (ガイダンス値換算: 0.0083 mg/L/6 hr/day) で肺気腫、肺胞上皮及び遠位気管支に増殖性変化がみられた (環境省リスク評価第11巻 (2013)、CICAD 69 (2006)) との記述がある。 以上、ヒトでのコバルト及びコバルト化合物の反復ばく露による影響を本物質の反復ばく露影響とみなすことは妥当であると考え、本項は区分1 (呼吸器、甲状腺、血液系) とした。 | |||
| 誤えん有害性* | データ不足のため分類できない。 | |||
| * JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 | ||||
| 12.環境影響情報 | |||
|---|---|---|---|
| 生態毒性 | |||
| 水生環境有害性 短期(急性) | データなし | ||
| 水生環境有害性 長期(慢性) | データなし | ||
| 残留性・分解性 | - | ||
| 生態蓄積性 | - | ||
| 土壌中の移動性 | - | ||
| オゾン層への有害性 | - | ||
| 13.廃棄上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 | ||
| 14.輸送上の注意 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
| 国際規制 | ||||
| 国連番号 | 3288 | |||
| 品名(国連輸送名) | 毒性固体、無機物、他に品名が明示されていないもの | |||
| 国連分類 | 6.1 | |||
| 副次危険 | - | |||
| 容器等級 | III | |||
| 海洋汚染物質 | 該当しない | |||
| MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
| 国内規制 | ||||
| 海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う | |||
| 航空規制情報 | 航空法の規定に従う | |||
| 陸上規制情報 | 道路法、毒物及び劇物取締法の規定に従う | |||
| 特別な安全上の対策 | 道路法、毒物及び劇物取締法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
| その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
| 緊急時応急措置指針番号* | 151 | |||
| * 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。 | ||||
| 15.適用法令 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
| 労働安全衛生法 | 特定化学物質第2類物質(施行令別表第3第2号・特定化学物質障害予防規則第2条第1項第2号) 【13の2 コバルト又はその無機化合物】 特定化学物質第2類物質、管理第2類物質(特定化学物質障害予防規則第2条第1項第2、5号) 【13の2 コバルト又はその無機化合物】 特定化学物質特別管理物質(特定化学物質障害予防規則第38条の4) 【コバルト又はその無機化合物】 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【172 コバルト及びその化合物】 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年4月1日以降) 【12 コバルト及びその化合物】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【172 コバルト及びその化合物】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年4月1日以降) 【12 コバルト及びその化合物】 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) 作業環境評価基準(法第65条の2第2項) 【12の2 コバルト及びその無機化合物】 特殊健康診断対象物質・現行取扱労働者(法第66条第2項、施行令第22条第1項) 【3 コバルト又はその無機化合物】 特殊健康診断対象物質・過去取扱労働者(法第66条第2項、施行令第22条第2項) 【13の2 コバルト及びその無機化合物】 | |||
| 労働基準法 | 疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1) 【コバルト及びその化合物】 | |||
| 化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | 第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1) 【156 コバルト及びその化合物】 | |||
| 毒物及び劇物取締法 | 毒物(指定令第1条)【6の13 酸化コバルト(U)及びこれを含有する製剤】 | |||
| 道路法 | 車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2) | |||
| 船舶安全法 | 毒物類(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
| 航空法 | 毒物類(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
| 港則法 | その他の危険物・毒物類(毒物)(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表) | |||
| 大気汚染防止法 | 有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申) 【60 コバルト及びその化合物】 | |||
| 16.その他の情報 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 参考文献 | ||||
| 9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・2024 Emengency Response Guidebook ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 ・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」 | ||||