1.化学物質等及び会社情報 | |||
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化学物質等の名称 | テトラクロロエチレン、(Tetrachloroethylene) | ||
製品コード | 21B3144 | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
緊急時の電話番号 | 03-1234-5678 | ||
FAX番号 | 03-1234-5678 | ||
メールアドレス | |||
推奨用途及び使用上の制限 | ドライクリーニング用、金属の脱脂洗浄および乾燥剤、一般溶剤、抽出剤、駆虫剤、トリクロロ酢酸の製造原料。 | ||
2.危険有害性の要約 | |||
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GHS分類 | |||
分類実施日 | H22.2.19、政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)を使用 |
物理化学的危険性 | 火薬類 | 分類対象外 | |
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可燃性・引火性ガス | 分類対象外 | ||
可燃性・引火性エアゾール | 分類対象外 | ||
支燃性・酸化性ガス類 | 分類対象外 | ||
高圧ガス | 分類対象外 | ||
引火性液体 | 区分外 | ||
可燃性固体 | 分類対象外 | ||
自己反応性化学品 | 区分外 | ||
自然発火性液体 | 区分外 | ||
自然発火性固体 | 分類対象外 | ||
自己発熱性化学品 | 区分外 | ||
水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | ||
酸化性液体 | 分類対象外 | ||
酸化性固体 | 分類対象外 | ||
有機過酸化物 | 分類対象外 | ||
金属腐食性物質 | 分類できない | ||
健康に対する有害性 | 急性毒性(経口) | 区分外 | |
急性毒性(経皮) | 区分外 | ||
急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | ||
急性毒性(吸入:蒸気) | 区分4 | ||
急性毒性(吸入:粉じん) | 分類対象外 | ||
急性毒性(吸入:ミスト) | 分類できない | ||
皮膚腐食性・刺激性 | 区分2 | ||
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 | 区分2B | ||
呼吸器感作性 | 分類できない | ||
皮膚感作性 | 分類できない | ||
生殖細胞変異原性 | 区分外 | ||
発がん性 | 区分1B | ||
生殖毒性 | 区分2 | ||
生殖毒性 | 授乳に対する又は授乳を介した影響 | ||
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露) | 区分1(神経系、呼吸器、肝臓)、区分3(麻酔作用) | ||
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露) | 区分1(神経系、肝臓、呼吸器) | ||
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露) | 区分2(腎臓) | ||
吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | ||
環境に対する有害性 | |||
分類実施日 | 急性毒性:H22.2.19、政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)を使用 | ||
慢性毒性:H18.3.31、GHS分類マニュアル(H18.2.10)を使用 | |||
水生環境急性有害性 | 区分1 | ||
水生環境慢性有害性 | 区分1 |
ラベル要素 | |||
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絵表示又はシンボル | |||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | 吸入すると有害 | ||
皮膚刺激 | |||
眼刺激 | |||
発がんのおそれ | |||
生殖能または胎児への悪影響のおそれの疑い | |||
授乳中に子に害を及ぼすおそれ | |||
神経系、呼吸器、肝臓の障害 | |||
眠気やめまいのおそれ | |||
長期にわたる、または、反復ばく露により神経系、肝臓、呼吸器の障害 | |||
長期にわたるまたは反復ばく露による腎臓の障害のおそれ | |||
水生生物に非常に強い毒性 | |||
長期的影響により水生生物に非常に強い毒性 | |||
注意書き | |||
【安全対策】 | |||
屋外または換気の良い場所でのみ使用すること。 | |||
取扱い後はよく手を洗うこと。 | |||
適切な保護手袋を着用すること。 | |||
使用前に取扱説明書を入手すること。 | |||
すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 | |||
適切な個人用保護具を使用すること。 | |||
ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。 | |||
この製品を使用する時に、飲食または喫煙をしないこと。 | |||
環境への放出を避けること。 | |||
【応急措置】 | |||
吸入した場合、空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 | |||
吸入した場合、気分が悪い時は、医師に連絡すること。 | |||
皮膚に付着した場合、多量の水と石鹸で洗うこと。 | |||
皮膚に付着した場合、皮膚刺激が生じた場合、医師の診断、手当てを受けること。 | |||
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯すること。 | |||
眼に入った場合、水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 | |||
眼に入った場合、眼の刺激が続く場合は、医師の診断、手当てを受けること。 | |||
ばく露またはばく露の懸念がある場合、医師の診断、手当てを受けること。 | |||
ばく露した場合、医師に連絡すること。 | |||
気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。 | |||
漏出物を回収すること。 | |||
【保管】 | |||
施錠して保管すること。 | |||
換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 | |||
【廃棄】 | |||
内容物、容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。 | |||
国・地域情報 | |||
3.組成及び成分情報 | |||
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化学物質 | |||
化学名又は一般名 | テトラクロロエチレン | ||
別名 | テトラクロルエチレン、(Tetrachloroethylene)、パークレン、(Perclene)、1,1,2,2‐テトラクロロエチレン、(1,1,2,2-Tetrachloroethylene)、エチレンテトラクロリド、(Ethylene tetrachloride) | ||
分子式 (分子量) | C2Cl4(165.83) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 127-18-4 | ||
官報公示整理番号(化審法・安衛法) | (2)-114 | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | データなし | ||
濃度又は濃度範囲 | 100% | ||
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 | ||
気分が悪い時は、医師に連絡すること。 | |||
皮膚に付着した場合 | 多量の水と石鹸で洗うこと。 | ||
皮膚刺激が生じた場合、医師に連絡すること。 | |||
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯すること。 | |||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 | ||
眼の刺激が続く場合は、医師に連絡すること。 | |||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐこと。 | ||
気分が悪い時は、医師に連絡すること。 | |||
予想される急性症状及び遅発性症状 | 吸入:めまい、し眠、頭痛、吐き気、脱力感、意識喪失。 | ||
皮膚:皮膚の乾燥、発赤 | |||
眼:発赤、痛み。 | |||
経口摂取 : めまい、し眠、頭痛、吐き気、脱力感、意識喪失、腹痛。 | |||
最も重要な兆候及び症状 | 液体を飲み込むと、肺に吸い込んで化学性肺炎を引き起こす危険がある。中枢神経系に影響を与えることがある。高濃度の場合、意識を喪失することがある。 | ||
応急措置をする者の保護 | 許容濃度を超えても、臭気として十分に感じないので注意すること。 | ||
医師に対する特別注意事項 | ばく露の程度によっては、定期検診が必要である。 | ||
5.火災時の措置 | |||
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消火剤 | 水噴霧、泡消火剤、粉末消火剤、炭酸ガス、乾燥砂類 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状放水 | ||
特有の危険有害性 | 不燃性であり、それ自身は燃えないが、加熱されると分解して、腐食性及び毒性の煙霧を発生するおそれがある。 | ||
火災時に刺激性、腐食性及び毒性のガスを発生するおそれがある。 | |||
特有の消火方法 | 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 | ||
消火を行う者の保護 | 適切な空気呼吸器、防護服(耐熱性)を着用する。 | ||
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具および緊急措置 | 全ての着火源を取り除く。 | ||
直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。 | |||
関係者以外の立入りを禁止する。 | |||
密閉された場所に立入る前に換気する。 | |||
環境に対する注意事項 | 環境中に放出してはならない。 | ||
回収・中和 | 不活性材料(例えば、乾燥砂又は土等)で流出物を吸収して、化学品廃棄容器に入れる。 | ||
封じ込め及び浄化方法・機材 | 危険でなければ漏れを止める。 | ||
二次災害の防止策 | 排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。 | ||
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。 | ||
局所排気・全体換気 | 『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の局所排気、全体換気を行う。 | ||
安全取扱い注意事項 | 屋外または換気の良い場所でのみ使用すること。 | ||
取扱い後はよく手を洗うこと。 | |||
使用前に取扱説明書を入手すること。 | |||
すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 | |||
ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。 | |||
この製品を使用する時に、飲食または喫煙をしないこと。 | |||
皮膚との接触を避けること。 | |||
眼に入れないこと。 | |||
接触回避 | 『10.安定性及び反応性』を参照。 | ||
保管 | |||
技術的対策 | 特別に技術的対策は必要としない。 | ||
混触危険物質 | 『10.安定性及び反応性』を参照。 | ||
保管条件 | 容器を密閉して冷乾所にて保存すること。 | ||
施錠して保管すること。 | |||
換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 | |||
容器包装材料 | データなし | ||
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
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管理濃度 | 50ppm | ||
許容濃度 (ばく露限界値、生物学的ばく露指標) | |||
日本産衛学会 | (検討中)(経皮吸収)(2009年版) | ||
ACGIH | TWA 25ppm STEL 100ppm (2009年版) | ||
設備対策 | この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。 | ||
ばく露を防止するため、装置の密閉化又は局所排気装置を設置すること。 | |||
保護具 | |||
呼吸器の保護具 | 適切な呼吸器保護具を着用すること。 | ||
手の保護具 | 適切な保護手袋を着用すること。 | ||
眼の保護具 | 適切な眼の保護具を着用すること。 | ||
皮膚及び身体の保護具 | 適切な保護衣を着用すること。 | ||
衛生対策 | 取扱い後はよく手を洗うこと。 | ||
この製品を使用する時に、飲食または喫煙をしないこと。 | |||
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
形状 | 液体 | ||
色 | 無色 | ||
臭い | 特徴臭 | ||
pH | データなし | ||
融点・凝固点 | -22℃ : ICSC (2000) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 121℃ : ICSC (2000) | ||
引火点 | なし (密閉式) : HSDB (2005) | ||
自然発火温度 | なし : NFPA (13th,2006) | ||
燃焼性(固体、ガス) | データなし | ||
爆発範囲 | なし : NFPA (13th,2006) | ||
蒸気圧 | 18.5mmHg (25℃) : HSDB (2005) | ||
蒸気密度 | 5.7 (空気=1) : HSDB (2005) | ||
蒸発速度(酢酸ブチル=1) | データなし | ||
比重(密度) | 1.62 (20℃,4℃) : Chapman (2009) 1.623g/cm3 (20℃) : Lide (88th,2008) | ||
溶解度 | 水 : 0.015g/100mL (25℃) : HSDB (2005) | ||
ほとんどの有機溶媒 : 可溶 : Ullmanns(E) (6th,2003) | |||
オクタノール・水分配係数 | log P=3.4 (測定値) : SRC (access on Jul.. 2009) | ||
分解温度 | データなし | ||
粘度 | 0.844mPa・s (25℃) : Lide (88th,2008) | ||
粉じん爆発下限濃度 | データなし | ||
最小発火エネルギー | データなし | ||
体積抵抗率(導電率) | データなし | ||
10.安定性及び反応性 | |||
---|---|---|---|
安定性 | 法規制に従った保管及び取扱においては安定と考えられる | ||
危険有害反応可能性 | 高温面や炎に触れると分解し、有毒で腐食性のヒューム(塩化水素、ホスゲン、塩素)を生成する。水分と接触すると徐々に分解し、トリクロロ酢酸、塩酸を生じる。アルミニウム、リチウム、バリウム、ベリリウムなどの金属と反応する。 | ||
避けるべき条件 | 高温 | ||
混触危険物質 | アルミニウム、リチウム、バリウム、ベリリウム | ||
危険有害な分解生成物 | 塩化水素、ホスゲン、塩素、トリクロロ酢酸、塩酸 | ||
11.有害性情報 | |||
---|---|---|---|
急性毒性 | |||
経口 | ラットのLD50値 13000 mg/kg (EHC 31(1984))、2400-13000 mg/kg (NITE初期リスク評価書 No.65(2006))に基づき、区分外とした。 | ||
経皮 | マウスのLD50値 5000 mg/kg(IUCLID (2000))に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5)とした。 | ||
吸入 | 吸入(ガス): | GHSの定義における液体である。 | |
吸入(蒸気): | ラットのLC50値 27.8 mg/L(4時間換算値:5013 ppm)(EHC 31(1984))、5000 ppm(4時間換算値:7071 ppm)(IARC vol.63(1995))に基づき、区分4とした。なお、飽和蒸気圧濃度(24342.1 ppmV)の90%値よりも低く、気体と判断し、ppm単位の基準値で分類した。 | ||
吸入(ミスト): | データなし | ||
皮膚腐食性・刺激性 | ヒトでは、「男女が親指を本物質中に浸漬させたところ、弱から中、強度のやけど感覚が約10分間続き、その後約1時間で痛みは消失した。被験者全員に著しい赤斑がばく露後1〜2時間続いた。」(CERI・NITE有害性評価書 No.65 (2005))、「本物質の染み込んだ衣服を身につけて意識を失っていた2人の労働者に、広範囲の皮膚の紅化と水疱形成がみられた。」(CICAD No.68(2006))との報告があり、ウサギを用いた皮膚刺激性試験(4時間適用)では、明確な刺激(marked irritation)はみられるが、腐食性はみられない(CICAD No.68(2006))。以上の結果より区分2とした。 | ||
眼に対する重篤な損傷・刺激性 | ウサギを用いた2つの眼刺激性試験では「中等度の刺激性」または「軽度の刺激性」(CERI・NITE有害性評価書 No.65(2005))との記述がそれぞれあり、CICAD No.68(2006)において「液体はウサギの眼に対して最小限の刺激(minimal irritation)のみをあたえる」と評価されているため、区分2Bとした。なお、本物質の蒸気(0.52 mg/L)にばく露されたボランティアにおいては、眼に一時的な軽度の刺激性がみられている(CICAD No.68(2006))。 | ||
呼吸器感作性又は皮膚感作性 | 呼吸器感作性:ヒトでは、ドライクリーニング工場で2年間働いていた女性に本物質に依存した喘息が発症した例、18歳の男子学生が本物質の長期ばく露の後、急性の喘息性発作(重度の呼吸困難、咳、胸部圧迫)をおこした例が報告されているが(いずれもCICAD No.68(2006))、「刺激性物質の高濃度ばく露による喘息は、呼吸器症状の前兆を欠き、ばく露後すぐに呼吸器症状が生じた場合、免疫学的なものよりはむしろ刺激性に誘発された反応だと思われる。」(CICAD No.68(2006))との記載があり、免疫学的試験の結果など具体的な証拠も示されていないため、分類できないとした。 | ||
皮膚感作性:ヒトで、パッチテストにより、アレルギー性接触皮膚炎が2症例で確認された(CICAD No.68(2006))との報告があるが、複数の皮膚科診療所からの報告であるか不明であり、動物試験のデータもないため、分類できないとした。 | |||
生殖細胞変異原性 | in vivo試験では、ラットの優性致死試験(CERI・NITE有害性評価書 No.65(2005))、ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換試験(NITE初期リスク評価書 No.65(2006))、マウスの骨髄、赤血球及び肝細胞を用いた小核試験(CERI・NITE有害性評価書 No.65(2005)、NTP DB(access on Jul.. 2009))、マウス、ラットの骨髄を用いた染色体異常試験(CERI・NITE有害性評価書 No.65(2005)、NTP DB(access on Jul.. 2009))で陰性であることから、区分外とした。なお、その他in vivoではDNA結合試験で陽性と陰性の結果があり(CERI・NITE有害性評価書 No.65(2005))、in vitroでは全ての試験(染色体異常試験、遺伝子突然変異試験、復帰突然変異試験、姉妹染色分体交換試験)において陰性である(CERI・NITE有害性評価書 No.65(2005)、NITE初期リスク評価書 No.65(2006))。 | ||
発がん性 | IARCで2A(IARC vol.63(1995))、NTPでR(NTP RoC(11th(2005))に分類されていることから、区分1Bとした。動物実験では、ラット及びマウスを用いた104週間吸入ばく露試験において、ラットでは雌雄に脾臓の単核球性白血病の発生増加が認められ、テトラクロロエチレンのF344/DuCrj(Fischer)ラットの雌雄に対するがん原性が示された。マウスでは雄に肝細胞癌、肝細胞腺腫およびハーダー腺の腺腫の発生増加が、雌に肝細胞癌、肝細胞腺腫の発生増加が認められ、テトラクロロエチレンのCrj:BDF1マウスの雌雄に対するがん原性が示された(厚生労働省がん原性試験(1992))、ことから、厚生労働省より健康障害を防止するための指針が出されている(厚労省指針(1995))。また、ヒトについては「どの報告例も作業者がテトラクロロエチレン単体にばく露されたものでないため、これらのがん発生とテトラクロロエチレンとの直接的因果関係の実証には至っていない」(NITE初期リスク評価書 No.65(2006))との記載がある。 | ||
生殖毒性 | ラットの吸入ばく露による多世代生殖毒性試験において、親動物に毒性(体重増加抑制)が見られる用量で、受胎能、交尾行動には影響はみられないが、産仔生存率の低下と授乳中の仔の死亡率増加(ATSDR (1997))がみられる。ラットの吸入ばく露による発生毒性試験においては、親動物への一般毒性に関する記述がないが、新生仔の運動機能障害がみられる(CERI・NITE有害性評価書 No.65(2005))。以上のことから、区分2とした。 また、ヒトで生後6週間の母乳で育てられた乳児に、黄疸と肝腫脹がみられ、本物質が母乳と両親の血液中に検出されており、母乳を中断すると急速に臨床的、生化学的な改善がみられた(IARC vol.63(1995))との報告があることから、授乳に対するまたは授乳を介した影響に関する追加区分とした。 なお、本物質のヒト生殖毒性に関したいくつかの調査事例において、自然流産のリスクの増大を示したものと示さなかったものあるが、「これらの事例にはばく露環境に共存した他の混合物によるばく露影響、対照群の不適切な設定、特に、喫煙や飲酒等の習慣、労働環境における妊婦の作業負担など自然流産のリスクファクターの問題があり、これらの報告事例からテトラクロロエチレンのヒトへの生殖毒性リスクを正確に評価することは困難とされている。」(NITE初期リスク評価書 No.65(2006))との記載があり、分類には考慮しなかった。 | ||
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露) | ボランティアによる試験で最も発生頻度の高かった自覚症状は、ふらつき、めまい、し眠状態、協調障害など中枢神経系の抑制であった(EHC 31 (1984))との報告に加え、本物質の急性吸入ばく露は、中枢神経系の抑制を招く(IARC 63 (1995))との記述もあり、区分1(中枢神経系)とした。次いで本物質ばく露後の死亡例で剖検により肺水腫が判明した症例報告(CERI・NITE有害性評価書 65 (2005))の外、高濃度の吸入ばく露後に剖検で肺うっ血が認められた症例が複数ある(ECETOC TR (1995))ことから、区分1(呼吸器)とした。また、ばく露後2-3 週目に肝機能障害を伴う意識混濁を起こしたヒトの症例報告(NITE初期リスク評価書 65 (2006))に加え、マウスに1.366 mg/Lを4時間吸入ばく露(ガイダンス値区分1相当用量)後に肝臓に中等度の脂肪浸潤を認めたとの報告(EHC 31 (1984))に基づき、区分1(肝臓)とした。さらに、ふらつき、めまい、し眠状態、協調障害など中枢神経系抑制症状が認められた(EHC 31 (1984))がいずれも回復しているので、区分3(麻酔作用)とした。以上より、分類は区分1(中枢神経系、呼吸器、肝臓)、区分3(麻酔作用)となる。 | ||
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露) | 本物質のばく露を受けた101 人のドライクリーニング工場従業員の調査において、感覚運動反応、記憶、集中といった神経心理学的機能の重大な障害、刺針感覚の障害、手足のしびれ、リウマチ性の痛み、体のふらつき、悪心といった自律神経障害の徴候、情緒不安定のようなパーソナリテイ構造の変化が観察されている(CERI・NITE有害性評価書 (2005))ことから、区分1(神経系)とした。また、疫学調査において3週間〜6年間の本物質ばく露による所見として、肝障害、肝硬変、肝腫大の記載、および呼吸困難、咳、肺水腫の記載がある(CERI・NITE有害性評価書 (2005))ので区分1(肝臓、呼吸器)とした。肝臓の場合は、ラットに1.356 mg/L/4hを8週間吸入(蒸気)ばく露により肝臓の細胞浸潤(EHC 31 (1984))、マウスに200 ppm/6h以上を28日間吸入(蒸気)ばく露により肝臓の小葉中心性脂肪変性(NITE初期リスク評価書 (2006))などの報告がある。一方、マウスに100 ppm/6h(0.690 mg/L/6h)以上を2年間吸入(蒸気)ばく露により腎臓の尿細管上皮細胞の核肥大、尿円柱、ネフローゼが報告(CERI・NITE有害性評価書 (2005))され、用量がガイダンス値区分2に相当することから、区分2(腎臓)とした。以上より、分類は区分1(神経系、肝臓、呼吸器)、区分2(腎臓)となる。 | ||
吸引性呼吸器有害性 | データなし。なお、ICSC(J)(2000)より、短期ばく露の影響:液体を飲み込むと誤嚥により化学性肺炎を起こす危険性がある、との記載がある。 | ||
12.環境影響情報 | |||
---|---|---|---|
水生環境急性有害性 | 甲殻類(オオミジンコ)での48時間EC50 = 0.602mg/L(NITE初期リスク評価書, 2006)であることから、区分1とした。 | ||
水生環境慢性有害性 | 急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いものの(BCF=77.1(既存化学物質安全性点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:11%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。 | ||
13.廃棄上の注意 | |||
---|---|---|---|
残余廃棄物 | 廃棄の前に、可能な限り無害化、安定化及び中和等の処理を行って危険有害性のレベルを低い状態にする。 | ||
廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。 | |||
汚染容器及び包装 | 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 | ||
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 | |||
14.輸送上の注意 | |||
---|---|---|---|
国際規制 | |||
海上規制情報 | IMOの規定に従う。 | ||
UN No. | 1897 | ||
Proper Shipping Name. | TETRACHLOROETHYLENE | ||
Class | 6.1 | ||
Packing Group | L | ||
Marine Pollutant | P | ||
航空規制情報 | ICAO・IATAの規定に従う。 | ||
UN No. | 1897 | ||
Proper Shipping Name. | Tetrachloroethylene | ||
Class | 6.1 | ||
Packing Group | L | ||
国内規制 | |||
陸上規制情報 | 該当しない | ||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | ||
国連番号 | 1897 | ||
品名 | テトラクロロエチレン | ||
クラス | 6.1 | ||
容器等級 | L | ||
海洋汚染物質 | P | ||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | ||
国連番号 | 1897 | ||
品名 | テトラクロロエチレン | ||
クラス | 6.1 | ||
等級 | 3 | ||
特別安全対策 | 移送時にイエローカードの保持が必要。 | ||
食品や飼料と一緒に輸送してはならない。 | |||
輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 | |||
重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号 | 160 | ||
15.適用法令 | |||
---|---|---|---|
化審法 | 第2種特定化学物質(法第2条第3項・施行令第1条の2)(政令番号:2特-2) | ||
労働安全衛生法 | 特定化学物質第2類物質、特別有機溶剤等(施行令別表第3、特定化学物質障害予防規則第2条第1項第3号の3) | ||
特定化学物質特別管理物質(特定化学物質障害予防規則第38条の3) | |||
作業環境評価基準(法第65条の2第1項) | |||
健康障害防止指針公表物質(法第28条第3項・厚労省指針公示) | |||
名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3) | |||
水質汚濁防止法 | 有害物質(法第2条、令第2条、排水基準を定める省令第1条) | ||
海洋汚染防止法 | 有害液体物質(Y類物質)(施行令別表第1) | ||
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) | 第1種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)(政令番号:1-262) | ||
船舶安全法 | 毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1) | ||
航空法 | 毒物類・毒物(施行規則第194条危険物告示別表第1) | ||
労働基準法 | 疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条・別表第1の2第4号1・昭53労告36号) | ||
16.その他の情報 | |||
---|---|---|---|
参考文献 | 各データ毎に記載した。 |