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安全データシート
アジピン酸
作成日 2008年10月06日
改訂日 2015年3月31日
1.化学品等及び会社情報
化学品等の名称アジピン酸
製品コードH26-B-004(製品コードなし)
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファックス番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限ナイロン樹脂原料(ヘキサメチレンジアミンとナイロン66をつくる)・可塑剤DOA・塗料・医薬品原料・香料固定剤・有機合成・分析用試薬
吸湿性がなく、酒石酸、クエン酸の代用としてアストリンゼント、レモン乳液、ヘアリンスなどに使用される
化粧品原料(清浄用化粧品、頭髪用化粧品、基礎化粧品、メークアップ化粧品、芳香化粧品、日焼け・日焼け止め化粧品、爪化粧品、口唇化粧品、口腔化粧品、入浴用化粧品)
食品添加物(酸味料、乳製品ホイッピング改良剤、食用油脂品質改良、フレーバー増強剤)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日H25.8.22、政府向けGHS分類ガイダンス(H25.7版)を使用
GHS改訂4版を使用
物理化学的危険性分類できない
健康に対する有害性眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性区分2A
特定標的臓器毒性(単回ばく露)区分3 (気道刺激性)
分類実施日環境に対する有害性はH18.3.31、GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用
環境に対する有害性水生環境有害性 (急性)区分3
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」に該当する。なお、健康有害性については後述の11項に、「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」の記述がある。
GHSラベル要素
絵表示感嘆符
注意喚起語警告
危険有害性情報強い眼刺激
呼吸器への刺激のおそれ
水生生物に有害
注意書き
安全対策粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
取扱後はよく手を洗うこと。
屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
環境への放出を避けること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
応急措置吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
気分が悪い時は医師に連絡すること。
眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
保管換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
施錠して保管すること。
廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
単一製品・混合物の区別単一製品
化学名又は一般名アジピン酸(Adipic acid)
別名ヘキサン二酸(Hexanedioic acid)、1,4-ブタンジカルボン酸(1,4-Butanedicarboxylic acid)
濃度又は濃度範囲100%
分子式 (分子量)C6H10O4  (146.14)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号124-04-9
官報公示整理番号(化審法)(2)-858
官報公示整理番号(安衛法)情報なし
分類に寄与する不純物及び安定化添加物情報なし

4.応急措置
吸入した場合新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。気分が悪い時は医師を呼ぶこと。
皮膚に付着した場合皮膚を速やかに洗浄すること。
皮膚刺激があれば、医師の診断、手当てを求めること。
眼に入った場合水で数分間、注意深く洗うこと。
コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。洗浄を続けること。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合速やかに口をすすぎ、医師の診断を受けること。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入により咳、息苦しさ、咽頭痛。
皮膚に触れたとき発赤。
眼に入った場合、発赤、痛み。
応急措置をする者の保護情報なし
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
消火剤二酸化炭素、粉末消火剤、砂、土、一般の泡消火剤
使ってはならない消火剤情報なし
特有の危険有害性塩基類、還元剤、酸化剤との混触危険性あり。
特有の消火方法火災時:ドラム缶などに水を噴霧して冷却する。
空気中で粒子が細かく拡散し、爆発性の混合気体を形成する。
消火を行う者の保護消火作業の際には防護衣、空気呼吸器、循環式酸素呼吸器、ゴム長靴、防火服を使用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
風上に留まる。
低地から離れる。
環境に対する注意事項河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
封じ込め及び浄化の方法及び機材漏洩物を掃き集めて空容器に回収する。
危険でなければ漏れを止める。
床面に残るとすべる危険性があるため、こまめに処理する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行なう。
安全取扱い注意事項火気注意。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
接触、吸入又は飲み込んではならない。
眼に入れてはならない。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
接触回避「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
安全な保管条件酸化剤から離して保管する。
施錠して貯蔵すること。
安全な容器包装材料密閉され、衝撃に耐え得る容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度未設定
許容濃度
日本産衛学会(2014年度版)未設定
ACGIH(2014年版)TLV-TWA 5 mg/m3
設備対策空気中の濃度を制御するには、一般適正換気で十分である。
この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
保護具
呼吸用保護具換気が不十分な場合は、適切な呼吸保護具を着用すること。
燻蒸/スプレー中は、適切な呼吸保護具を着用すること。
手の保護具適切な手袋を着用すること。
眼の保護具適切な眼の保護具を着用すること。
保護眼鏡(普通眼鏡型、側板付き普通眼鏡型、ゴーグル型)
皮膚及び身体の保護具適切な顔面用の保護具を着用すること。
保護衣及び長靴を着用すること。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
形状単斜晶系柱状晶: Merck (13th, 2001); 固体:ICSC(J) (1998)
無色:ICSC(J) (1998)
臭い無臭:ICSC(J) (1998)
臭いのしきい(閾)値
pHpH=2.7 (飽和水溶液,25℃), pH=3.2 (1%水溶液,25℃):Merck (13th, 2001)
融点・凝固点152℃(融点) :HSDB(2014)
沸点、初留点及び沸騰範囲337.5℃(沸点) :HSDB(2014)
引火点196℃(密閉式) :HSDB(2014)
蒸発速度(酢酸ブチル=1)データなし
燃焼性(固体、気体)データなし
燃焼又は爆発範囲データなし
蒸気圧10 Pa (18.5℃) :ICSC(J) (1998), 9.7Pa (18℃):Verschueren (4th, 2003)
蒸気密度5.04: Sax's (11th, 2004)
比重(相対密度)1.360 (25℃/4℃):Merck (13th, 2001)
溶解度14g/L (水15℃):ICSC(J) (1998)
n-オクタノール/水分配係数log Pow = 0.08
自然発火温度422℃: ICSC(2014), 420℃:HSDB(2014)
分解温度データなし
粘度(粘性率)データなし

10.安定性及び反応性
反応性情報なし
化学的安定性通常の取り扱い温度、圧力で安定
危険有害反応可能性塩基類、還元剤、酸化剤と反応する。
避けるべき条件粉末又は顆粒状で空気との混合を避ける。
混触危険物質塩基類、還元剤、酸化剤
危険有害な分解生成物燃焼した時、有害ガス(一酸化炭素、二酸化炭素)を発生する。
火災時に刺激性もしくは有毒なヒュームやガスを放出する。

11.有害性情報
急性毒性
経口ラットのLD50値として、940 mg/kg、3,615 mg/kg (ACGIH (7th, 2001))、5,050 mg/kg (HPVIS (2008))、5,560 mg/kg (SIDS (2006))、> 11,000 mg/kg (PATTY (6th, 2012)) の5件の報告がある。ガイダンスの改訂に基づき、最も多くのデータが該当する区分外 (3件) とした。なお、1件が区分4、1件が区分外 (国連分類基準の区分5) に該当する。
経皮コーン油 (本物質40%濃度) を用いたウサギのLD50値として、> 7,940 mg/kg (純品換算値:> 3,176 mg/kg) との報告 (SIDS (2006)、HPVIS (2008)) に基づき、区分外とした。
新たな情報源 (SIDS (2006)、HPVIS (2008)) を追加し、分類を見直した。
吸入:ガスGHSの定義における固体である。
吸入:蒸気データ不足のため分類できない。
吸入:粉じん及びミストラットのLC0値 (4時間) として、7.7 mg/L (SIDS (2006)、HPVIS (2008)) との報告に基づき、区分外とした。なお、LC0値が飽和蒸気圧濃度 (0.57 mg/L) より高いため、粉じんの基準値を適用した。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性ウサギを用いた皮膚刺激性試験において回復性の発赤や浮腫がみられ、刺激性スコア2.21であった (SIDS (2006))。その他にもウサギやモルモットを用いた皮膚刺激性試験において軽度の刺激性が認められた (SIDS (2006)、BUA 68 (1991))。また、ヒトにおいて皮膚を乾燥させ皮膚炎を起こすことがあるとの報告がある (ACGIH (7th, 2001))。以上の結果から区分外 (国連分類基準の区分3) とした。ガイダンスの変更に従い区分を見直した。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG 405) において、角膜混濁 (スコア1〜3) が認められている (SIDS (2006))。また別の眼刺激性試験において、角膜反応、虹彩炎、結膜炎、結膜浮腫の平均スコアはそれぞれ1.33、0.83、2、2と報告されている (SIDS (2006))。以上の結果から区分2Aとした。なお、本物質はEU DSD分類において「Xi; R36」、EU CLP分類において「Eye Irrit. 2 H319」に分類されている。
呼吸器感作性データ不足のため分類できない。なお、詳細不明であるがアジピン酸を扱う2人の作業者が気管支喘息を起こした (PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2001)) との記載がある。
皮膚感作性データ不足のため分類できない。なお、モルモットを用いた試験で皮膚感作性なしとの報告があるが (SIDS (2006)、PATTY (6th, 2012))、陽性対照群がない、アジュバントを使用していない等の理由から、分類に用いるには不十分な情報と判断した。
生殖細胞変異原性ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、ラットの優性致死試験で陰性、ラットの骨髄細胞の染色体異常試験で陰性結果が報告されている (SIDS (2006)、ACGIH (7th, 2001)、HPVIS (2008)、JECFA FAS 12 (1977)、PATTY (6th, 2012))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、染色体異常試験でいずれも陰性である (SIDS (2006)、ACGIH (7th, 2001)、HPVIS (2008)、JECFA 12 (1977)、PATTY (6th, 2012))。
発がん性国際機関等による発がん性分類はない。SIDS (2006) では、ラットの2年間混餌試験 (雄:5 % (3,750 mg/kg bw/day) 以下の用量、雌:1 % (750 mg/kg bw/day) の用量) で発がん性がみられないとの報告があるが、この試験については非GLPであるほか、動物数、検査対象とした器官が少なく組織病理学的検査に使用した動物数が不明であるなど限定的な情報と報告されている。また、PATTY (6th, 2012) でもラットの2年間試験から発がん性の証拠なしと報告されているが十分な情報はない。さらに、BUA (1991) でもラットの2年間試験の記載があるが、文献情報がない。以上、総じて本物質についてはデータ不足のため、「分類できない」とした。
生殖毒性ラット、マウス、ウサギを用いた経口経路での催奇形性試験において催奇形性は認められていない (SIDS (2006)、JECFA FAS12 (1977)、ACGIH (2001)、PATTY (6th, 2012)) が、生殖能に関する情報が得られていないため分類できないとした。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)ヒトでは、本物質のダストの作業者への吸入ばく露で自律神経系、胃腸管、上部気道粘膜の機能障害、鼻粘膜の刺激、本物質の溶液の吸入ばく露でぜんそく反応悪化、呼吸器の軽いしゃく熱感が報告されている (ACGIH (7th, 2001)、SIDS (2006)、PATTY (6th, 2012))。
ラットでは、経口経路のガイダンス値を上回る用量で、死亡動物の急性心拡張、腺胃の急性うっ血・充血、潰瘍 (腐食性胃炎) など、本物質による刺激と出血の影響がみられているが、吸入経路及び閉塞経皮適用では毒性兆候がみられなかった (SIDS (2006)、HPVIS (2008))。以上より、区分3 (気道刺激性) とした。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)経口経路ではヒトボランティアが100 mg/kg/dayの用量を10日間内服しても毒性症状がみられなかったこと、ラットに混餌投与で2年間投与した試験で、区分外の高用量 (SIDS (2006) では2,250 mg/kg/日、HPVIS (2008) では809 mg/kg/日と算出) で体重増加抑制がみられたに過ぎない (SIDS (2006)、ACGIH (7th, 2001)、JECFA FAS 12 (1977)、HPVIS (2008)) ことから、区分外相当と判断される。吸入経路ではラットに本物質のダストを0.126 mg/Lの濃度で、6時間/日、5日/週で3週間ばく露 (ガイダンス値換算濃度: 0.021 mg/L) したが、異常は認められなかった (ACGIH (7th, 2001)) との記述があるが、本試験を含め、区分2までの範囲をカバーした吸入ばく露試験が行われておらず、分類に利用可能なデータがない。よって、本物質は経口経路では区分外相当であるが、吸入及び経皮経路での分類に適したデータがなく、データ不足のため分類できないとした。なお、旧分類では本物質ダストを吸入した作業者で自律神経系への影響がみられたとの記述から、区分1 (自律神経系) と分類したが、ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012) に該当する記述は単回ばく露による影響で、かつ眼刺激性を生じる濃度での影響であることを確認したため、今回の分類では除外した。
吸引性呼吸器有害性データ不足のため分類できない。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性(急性)甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=46mg/L(環境省生態影響試験、1997)から、区分3とした。
水生環境有害性(長期間)急速分解性があり(BODによる分解度:81%(既存化学物質安全性点検データ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=0.08(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外とした。
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。

13.廃棄上の注意
残余廃棄物廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、分類実施中の12項の環境影響情報とに、基づく修正の必要がある。
国際規制
国連番号該当しない
国連品名該当しない
国連危険有害性クラス該当しない
副次危険 -
容器等級該当しない
海洋汚染物質該当しない
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報非危険物
航空規制情報非危険物
陸上規制情報該当しない
特別安全対策輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号該当しない

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9)
名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)

16.その他の情報
参考文献各データ毎に記載した。
<モデルSDSを利用するときの注意事項>
本安全モデルデータシートは作成年月日時点における情報に基づいて記載されておりますので、事業場においてSDSを作成するに当たっては、新たな危険有害性情報について確認することが必要です。さらに、本安全データシートはモデルですので、実際の製品等の性状に基づき追加修正する必要があります。また、特殊な条件下で使用するときは、その使用状況に応じた情報に基づく安全対策が必要となります。