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安全データシート
ジフェニルアミン
作成日 2008年10月06日
改訂日 2015年3月31日
改訂日 2019年3月15日
1.化学品等及び会社情報
化学品等の名称ジフェニルアミン
製品コードH30-C-010-MHLW
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファックス番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限医薬・染料・有機ゴム薬品中間体/有機ゴム薬品の老化防止剤であるN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン等の合成原料,染料・医薬品の合成原料,重合禁止剤(フェノチアジン)の合成原料,安定剤 (火薬用・塩素系溶剤用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
H31.3.15、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改訂版 (ver1.1):JIS Z7252:2014準拠) を使用
GHS改訂4版を使用
物理化学的危険性-
健康に対する有害性眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性区分1
発がん性区分2
生殖毒性区分2
特定標的臓器毒性
(単回ばく露)
区分1(中枢神経系、血液系)、区分3(気道刺激性)
特定標的臓器毒性
(反復ばく露)
区分2 (血液系、腎臓)
分類実施日
(環境有害性)
環境に対する有害性はH18年度、GHS分類マニュアル(H18.2.10版)を使用
環境に対する有害性水生環境有害性(急性)区分1
水生環境有害性(長期間)区分1
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」又は「分類できない」に該当する。なお、これらに該当する場合は後述の11項に記載した。
GHSラベル要素
絵表示腐食性健康有害性環境
注意喚起語危険
危険有害性情報重篤な眼の損傷
発がんのおそれの疑い
生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い
中枢神経系、血液系の障害
呼吸器への刺激のおそれ
長期にわたる又は反復ばく露による血液系、腎臓の障害のおそれ
水生生物に非常に強い毒性
長期継続的影響により水生生物に非常に強い毒性
注意書き
 安全対策保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
取扱い後は...よく洗うこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
環境への放出を避けること。
 応急措置眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
直ちに医師に連絡すること。
ばく露またはばく露の懸念がある場合:医師の診断/手当を受けること。
特別な処置が必要である (このラベルの...を見よ)。注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
気分が悪いときは、医師に連絡すること。
気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
漏出物を回収すること。
 保管施錠して保管すること。
換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性-

3.組成及び成分情報
単一製品・混合物の区別単一製品
化学名又は一般名ジフェニルアミン
別名N,N−ジフェニルアミン
N−フェニルアニリン
N−フェニルベンゼンアミン
Anilinobenzene
Benzenamine, N-phenyl-
diphenylamine
N,N-Diphenylamine
N-Phenylaniline
濃度又は濃度範囲100%
分子式 (分子量)C12H11N (169.23)
化学特性 (示性式又は
構造式)
構造式
CAS番号122-39-4
官報公示整理番号
(化審法)
3-133
官報公示整理番号
(安衛法)
4-(12)-219
分類に寄与する不純物及び
安定化添加物
-

4.応急措置「2.危険有害性の要約」における応急措置も確認すること。
吸入した場合被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
医師の手当、診断を受けること。
皮膚に付着した場合皮膚を速やかに洗浄すること。
多量の水と石鹸で洗うこと。
医師の手当、診断を受けること。
眼に入った場合汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
直ちに医師に連絡すること。
飲み込んだ場合直ちに医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入:咳、咽頭痛、チアノーゼの唇や爪、チアノーゼの皮膚、頭痛、めまい、吐き気、錯乱、痙攣、意識喪失。
皮膚:発赤、チアノーゼの唇や爪、チアノーゼの皮膚。他の症状については、「吸入した場合」参照。
眼:発赤。
経口摂取:「吸入した場合」を参照。
応急措置をする者の保護救助者は、状況に応じて適切な保護具を着用する。
医師に対する特別な注意事項情報なし。

5.火災時の措置
消火剤小火災:粉末消火剤、二酸化炭素、散水
大火災:散水、噴霧水、耐アルコール性泡消火剤
使ってはならない消火剤情報なし
特有の危険有害性加熱により容器が爆発するおそれがある。
火災によって刺激性、腐食性又は毒性のガスを発生するおそれがある。
特有の消火方法危険でなければ火災区域から容器を移動する。
消火活動は、有効に行える最も遠い距離から、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。
容器内に水を入れてはいけない。
消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。
消火を行う者の保護消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣(耐熱性)を着用すること。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び
緊急措置
直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。
風上に留まる。
低地から離れる。
密閉された場所に立入る前に換気する。
環境に対する注意事項環境中に放出してはならない。
河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
封じ込め及び浄化の方法及び機材危険でなければ漏れを止める。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
安全取扱い注意事項使用前に使用説明書を入手すること。
すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行うこと。
粉じん、ヒュームの吸入を避けること。
接触、吸入又は飲み込まないこと。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
環境への放出を避けること。
接触回避情報なし
衛生対策情報なし
保管
安全な保管条件情報なし
安全な容器包装材料国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度未設定
許容濃度
日本産衛学会(2019年度版)未設定
ACGIH(2019年度版)TLV-TWA: 10 mg/m3
設備対策粉じんが発生する場合は、局所排気装置を設置する。
高熱工程で粉じん、ヒュームが発生するときは、空気汚染物質を許容濃度以下に保つために換気装置を設置する。
この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
適切な呼吸器保護具を着用すること。
保護具
呼吸用保護具情報なし
手の保護具適切な保護手袋を着用すること。
眼の保護具適切な眼の保護具を着用すること。
化学飛沫用のゴーグル、顔面シールド及び規格にあった顔面保護具を着用すること。
皮膚及び身体の保護具必要に応じて適切な保護衣、保護面、防護長靴(耐油性)等を使用すること。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
形状結晶: ICSC(2004)
無色 : ICSC(2004)
臭い特異臭: ICSC(2004)
臭いのしきい(閾)値情報なし
pH情報なし
融点・凝固点53℃(融点): GESTIS(2014), 53-54℃: HSDB(2014)
沸点、初留点及び沸騰範囲302℃(沸点) : GESTIS(2014) & HSDB(2014)
引火点153℃(密閉式): GESTIS(2014), 153℃(Open cup): HSDB(2014)
蒸発速度(酢酸ブチル=1)情報なし
燃焼性(固体、気体)可燃性
燃焼又は爆発範囲情報なし
蒸気圧6.70×10(-4)mmHg(25℃) [換算値 0.0893Pa(25℃)] HSDB(2006)
蒸気密度5.83(空気=1) : 計算値
比重(相対密度)1.2: ICSC(2004)
溶解度水: 不溶 HSDB(2006)
有機溶媒: エタノール、アセトン、ベンゼン、四塩化炭素、ピリジン、酢酸エチルに易溶、エーテル、酢酸に可溶、クロロホルムに微溶 HSDB(2006)
n-オクタノール/水分配係数logKow=3.50(測定値):SRC:KowWin(2006)
自然発火温度634℃:HSDB(2014)、 630℃:GESTIS(2014)
分解温度情報なし
粘度(粘性率)情報なし

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性通常の取扱条件においては安定。
危険有害反応可能性強酸化剤や酸と反応する。
避けるべき条件混触危険物質との接触。
混触危険物質混触危険物質との接触。
危険有害な分解生成物燃焼により、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物などを発生する

11.有害性情報
急性毒性
経口ラットのLD50値として、> 800 mg/kg-> 15,000 mg/kg の範囲内において、11件の報告 (PATTY (6th, 2012)、NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2007)、EU-RAR (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2004)、JMPR 949 (1998)、JMPR 701 (1984)、JMPR 157 (1969)) がある。最も多くのデータ (4件) (2,960 mg/kg (雄)、2,480 mg/kg (雌) (EU-RAR (2007)、JMPR 701 (1984))、3,000 mg/kg (雄)、2,700 mg/kg (雌) (JMPR 949 (1998))、3,000 mg/kg (EU-RAR (2007))、3,200 mg/kg (JMPR 157 (1969))) が該当する区分外 (国連分類基準の区分5) とした。新たな情報源 (PATTY (6th, 2012)、NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2004)、JMPR 949 (1998)、JMPR 701 (1984)、JMPR 157 (1969)) を追加し、区分を見直した。
経皮ウサギのLD50値として、> 2,000 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2007)、JMPR 949 (1998))、及び> 5,000 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2008))、ラットのLD50値として、> 5,000 mg/kg (EU-RAR (2007)、JMPR 701 (1984)) との報告に基づき、区分外とした。新たな情報源 (NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2007)、JMPR 949 (1998)) を追加し、区分を見直した。
吸入:ガスGHSの定義における固体である。
吸入:蒸気GHSの定義における固体である。
吸入:粉じん及びミストデータ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性ウサギを用いた皮膚刺激性試験の報告が多数あり、いずれも刺激性なし、又は軽度の刺激性がみられたとの結果であった (NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2007)、JMPR 701_ Diphenylamine (Pesticide residues in food 1984 evaluations))。以上の結果から区分外 (国連分類基準の区分3) とした。List1の情報を追加し区分を変更した。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性ウサギ3匹に本物質0.1 gを適用した眼刺激性試験 (EU TG 及び OECD TGに準拠) において、角膜を含め刺激症状や眼の損傷が投与後 21 日より長く持続したことから「腐食性」を示す物質と判断されている (EU-RAR (2007))。また、1匹のウサギに本物質0.1gを7日間適用した試験において、腐食性と角膜混濁が観察された (JMPR 949_ Diphenylamine (addendum) (JMPR Evaluations 1998 Part II Toxicological))。一方、ウサギを用いた他の眼刺激性試験において、軽度の虹彩炎、中等度の結膜炎がみられたが10日以内に回復した (NITE初期リスク評価書 (2008)、JMPR701_ Diphenylamine (Pesticide residues in food 1984 evaluations)) との報告や、軽度の発赤及び浮腫 (1/2匹) がみられたが3日以内に消失したとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。さらに、本物質のウサギに対する眼刺激性試験で刺激性は軽度であるとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。以上の結果から、腐食性と軽度の刺激性との相反するデータがあるが、ガイドラインに従った試験において腐食性がみられていることから、眼に対して重篤な影響をもたらす可能性を考慮し、区分1と判断した。
呼吸器感作性データ不足のため分類できない。
皮膚感作性データ不足のため分類できない。なお、モルモットを用いた感作性試験において陰性との報告があるが (NITE初期リスク評価書 (2008)、JMPR 949_ Diphenylamine (addendum) (JMPR Evaluations 1998 Part II Toxicological))、試験法等詳細不明であるため分類に用いるには十分なデータでないと判断した。また、ヒトのパッチテストにおいて1000人中3名に陽性を示したとの報告がある (環境省リスク評価第3巻 (2004)) が、環境省リスク評価第3巻 (2004) では「本物質には感作性はないと考えられる」と考察していることや、試験条件等が詳細不明であることから、分類に用いるには十分なデータでないと判断した。
生殖細胞変異原性ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、ラット及びマウスの骨髄細胞の小核試験、ラット骨髄細胞の染色体異常試験 (この試験は慢性毒性試験において骨髄細胞の染色体異常を調べたもの)、マウス骨髄細胞の姉妹染色分体交換試験でいずれも陰性 (EU-RAR (2007)、NITE初期リスク評価書 (2008)、IRIS (1987)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、IUCLID (2000)、BUA 15 (1991)) である。In vitroでは、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で唯一陽性結果が報告されている (NITE初期リスク評価書 (2008)) が、その他の情報は、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、ヒトリンパ球培養細胞の姉妹染色分体交換試験、ラット初代肝細胞の不定期DNA合成試験でいずれも陰性である (EU-RAR (2007)、NITE初期リスク評価書 (2008)、IRIS (1987)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、BUA 15 (1991)、NTP DB (Access on July 2014)、IUCLID (2000))。 
発がん性【分類根拠】
発がんに関して利用可能なヒトを対象とした報告はない。
(3)の既存分類判定以降に適切な試験ガイドラインとGLP基準に準拠して実施された(1)及び(2)において、動物種2種に腫瘍の発生増加が報告されたが、悪性腫瘍の発生増加は明確でなかった。また、平成23年度化学物質のリスク評価検討会(第4回有害性評価小検討会)で議論した結果、指針は不要とされたことから、がん原性を示す証拠とするには不十分であると判断し区分2とした。

【根拠データ】
(1)ラットに2年間混餌投与したがん原性試験において、雄に脾臓の血管系腫瘍の発生の増加傾向、並びに脾臓と皮下組織を含む全臓器の血管系腫瘍の発生増加、雌では子宮に腺がんの発生の増加傾向が認められた(厚労省委託がん原性試験結果(2011))。
(2)マウスに2年間混餌投与したがん原性試験において、雄に脾臓、並びに脾臓及び肝臓等を含む全臓器に血管系腫瘍の発生増加が認められた(厚労省委託がん原性試験結果(2011))。
(3)国内外の分類機関による既存分類では、EPAがNL(EPA OPP Annual Cancer Report(2017):1997年分類)、ACGIHがA4(ACGIH(7th, 2001))に分類しているが、(1)及び(2)の結果は評価に含まれていない。

【参考データ等】
(4)マウスに18ヵ月間経口投与(混餌、強制経口)投与した2試験で、投与に関連した腫瘍発生は認められなかった(NITE初期リスク評価書(2008)、EU-RAR(2008)、環境省リスク評価第5巻(2006)、JMPR(1998)、EPA Pesticide RED(1998))。
(5)ラットに2年間混餌投与した2試験で、投与に関連した腫瘍発生は認められなかった(NITE初期リスク評価書(2008)、EU-RAR(2008)、ACGIH(7th, 2001)、環境省リスク評価第5巻(2006)、JMPR(1998))。
(6)ビーグル犬に2年間混餌投与した試験で、投与に関連した腫瘍発生は認められなかった(EU-RAR(2008)、ACGIH(7th, 2001))。
(7)N-エチル-N-ヒドロキシエチルニトロサミンの腫瘍発生に対して、プロモーター作用を示したとの報告がある(NITE初期リスク評価書(2008)、JMPR(1998))。
(8)EUリスク評価書では、ガイドライン準拠の長期試験は利用できないが、ラット、マウスのいくつかの系統とイヌを用いた数多くの古い研究報告からは本物質に関連した腫瘍性変化の報告はないとしている(EU-RAR(2008))。
生殖毒性ラットを用いた経口経路での2世代生殖毒性試験において、親動物毒性 (体重減少、脾臓の黒紫色化、脾臓うっ血・ヘモジデリン沈着、脾臓肥大、肝臓相対重量増加、肝細胞肥大、腎臓近位尿細管褐色色素沈着、肝臓クッパー細胞への褐色色素沈着、乳腺腫脹、側腹部触診による腫瘤 (病理組織学的検査なし)) がみられる用量 (450 mg/kg bw/day相当) で着床痕数の減少、同腹児数の減少がみられている (NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、JMPR (1998))。
ラット、ウサギを用いた経口経路での催奇形性試験において、母動物毒性がみられる用量においても発生毒性はみられていない (NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、JMPR (1998))。
以上より、2世代生殖毒性試験において親動物毒性のみられる用量で同腹児数の減少がみられたことから、ガイダンス文書に従い区分2とした。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)ヒトにおいて、吸入ばく露により、気道 (粘膜) 刺激性を有する (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on June 2014)、PATTY (6th, 2012))。また、血液に影響を及ぼしてメトヘモグロビン血症、その他、泌尿器への影響 (詳細不明)、吸入ばく露や経口摂取によって、咳、咽頭痛、チアノ−ゼ、頭痛、眩暈、吐き気、錯乱、痙攣、意識喪失をおこすとの報告がある。また、経皮経路で吸収されてチアノ−ゼ等を引き起こすことがある (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on June 2014)、PATTY (6th, 2012))。
以上より、区分1 (中枢神経系、血液系)、区分3 (気道刺激性) とした。なお、泌尿器への影響は血液系への影響の二次的影響と考え区分の対象としなかった。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)ヒトでは本物質の職業ばく露による中毒症状として、膀胱刺激症状、頻脈、高血圧、湿疹が生じるとの記述がある (ACGIH (7th, 2001)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、NITE初期リスク評価書 (2008)) が、ばく露の詳細が不明であり、原著での確認が困難 (1957年発刊の書籍の記述をACGIHが引用。他評価書はACGIHよりの再引用) であるため、信頼性の観点からも分類に使用するには不適切な知見と判断した。この他、利用可能な情報はなく、ヒトで分類に利用可能な知見はない。
実験動物では、ラットに90日間又は2年間混餌投与、及びイヌ (ビーグル) に1年間強制 (カプセル) 経口投与した試験において、区分2に該当する用量 (15-93 mg/kg/day) で、貧血様所見 (赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値の減少など) が認められ、血液毒性による二次的影響と考えられる所見 (ヘモジデリン沈着、髄外造血、色素沈着、うっ血) が脾臓、肝臓、腎臓の各臓器にみられた (NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2007))。同様の所見はマウスに90日間又は78週間混餌投与試験でも区分2の範囲内から区分外の高用量 (73- >110 mg/kg/day) で認められ (NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2007))、さらに厚生労働省委託によるラット及びマウスを用いた13週間又は2年間混餌投与試験でも、区分2の用量範囲 (12-93 mg/kg/day) における貧血所見及び脾臓、肝臓、腎臓への二次的影響が確認されている (厚生労働省委託がん原性試験結果 (Access on May 2014))。一方、ラットに28日間強制経口投与した試験において、区分2のほぼ上限値 (333 mg/kg/day: 90日換算 (103 mg/kg/day)) の用量で、腎臓に重量増加とともに尿細管の変性がみられた (NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2007)) との記述より、「腎臓」を標的臓器に加えることとした。
以上より、区分2 (血液系、腎臓) に分類した。なお、旧分類は冒頭のヒトでの職業ばく露による影響を中心に分類した結果であった。
吸引性呼吸器有害性データ不足のため分類できない。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性(急性)甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 0.31 mg/L (NITE 初期リスク評価書, 2008、EU-RAR, 2008)であることから、区分1とした。
水生環境有害性(長期間)急速分解性がなく(BODによる分解度=0%(既存点検, 1977))、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間NOEC(生長阻害) = 0.0273 mg/L(環境庁生態影響試験, 1995、環境省リスク評価第5巻, 2006)であることから、区分1とした。
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。

13.廃棄上の注意
残余廃棄物廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。
国際規制
国連番号2811
国連品名TOXIC SOLID, ORGANIC, N.O.S.
国連危険有害性クラス6.1
副次危険該当しない
容器等級I
海洋汚染物質該当しない
MARPOL73/78附属書K及び
IBCコードによるばら積み
輸送される液体物質
該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報道路法、消防法の規定に従う。
特別な安全上の対策道路法、消防法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意化学品を扱う場合の一般的な注意として、輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*171
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2008 Emergency Response Guidebook (ERG 2008)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示し、又は通知すべき危険物及び有害物(法第57条、施行令第17条別表第3第1号並びに施行令第18条及び第18条の2別表第9)
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)
消防法指定可燃物、可燃性固体類 (法第9条の3、危険物規制令別表第4)
海洋汚染防止法有害液体物質(Y類物質)(施行令別表第1)

16.その他の情報
参考文献各データ毎に記載した。
[注意] 本SDSはJIS Z7253:2012 に準拠して作成しています。