1.化学品等及び会社情報 | |||
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化学品等の名称 | チオリン酸O,O-ジメチル-O-(3-メチル-4-ニトロフェニル) (別名:フェニトロチオン) (O,O-Dimethyl-O-(3-methyl-4-nitrophenyl) thiophosphate)、(Fenitrothion) | ||
製品コード | H29-B-076 | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 農薬(殺虫剤) |
2.危険有害性の要約 | ||||
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GHS分類 | ||||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | H30.3.16、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改訂版 (ver1.1):JIS Z7252:2014準拠) を使用 | |||
GHS改訂4版を使用 | ||||
物理化学的危険性 | - | |||
健康に対する有害性 | 急性毒性(経口) | 区分4 | ||
急性毒性(経皮) | 区分4 | |||
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | |||
皮膚感作性 | 区分1 | |||
生殖毒性 | 区分2 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1 (神経系) | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1 (神経系) | |||
分類実施日 (環境有害性) | 環境に対する有害性はH18.3.31、GHS分類マニュアル(H18.2.10版)を使用 | |||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 (急性) | 区分1 | ||
水生環境有害性 (長期間) | 区分1 | |||
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」又は「分類できない」に該当する。なお、これらに該当する場合は後述の11項に記載した。 | ||||
GHSラベル要素 | ||||
絵表示 | ||||
注意喚起語 | 危険 | |||
危険有害性情報 | 飲み込むと有害 皮膚に接触すると有害 アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ 眼刺激 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い 神経系の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による神経系の障害 水生生物に非常に強い毒性 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 | |||
注意書き | ||||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | |||
応急措置 | 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 口をすすぐこと。 皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 漏出物を回収すること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 | |||
保管 | 施錠して保管すること。 | |||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | |||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
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単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | チオリン酸O,O-ジメチル-O-(3-メチル-4-ニトロフェニル) | ||
別名 | フェニトロチオン | ||
濃度又は濃度範囲 | 100% | ||
分子式 (分子量) | C9H12NO5PS (277.23) | ||
化学特性 (示性式又は 構造式) | |||
CAS番号 | 122-14-5 | ||
官報公示整理番号 (化審法) | 3-2616 | ||
官報公示整理番号 (安衛法) | 4-(9)-232 | ||
分類に寄与する不純物及び 安定化添加物 | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させる。半座位をとる。人工呼吸が必要なことがある。医療機関に連絡する。 | ||
皮膚に付着した場合 | 多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐこと。意識がある場合のみ、吐かせる。気分が悪いときは医師に連絡すること。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入:咳、頭痛、縮瞳、筋痙攣、流涎、吐き気、めまい、息苦しさ、痙攣、発汗、意識喪失 皮膚:吸収される可能性あり。発赤、痛み、その他(「吸入」参照) 眼:発赤、痛み 経口摂取:胃痙攣、錯乱、下痢、息切れ、嘔吐、その他(「吸入」参照) | ||
応急措置をする者の保護 | 救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。 | ||
医師に対する特別な注意事項 | この物質により中毒を起こした場合は、特別の処置が必要である。 |
5.火災時の措置 | |||
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消火剤 | 水噴霧、泡消火薬剤、粉末消火薬剤、二酸化炭素 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状注水 | ||
特有の危険有害性 | 火災時に刺激性あるいは有毒なヒュームやガスを放出する。 | ||
特有の消火方法 | 火元への燃焼源を断ち、消火剤を使用して消火する。 延焼の恐れのないよう水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。 消火活動は風上から行う。 火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 | ||
消火を行う者の保護 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服(耐熱性)を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び 緊急措置 | 関係者以外の立ち入りを禁止する。 作業者は適切な保護具(自給式呼吸器付化学保護服等)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。 | ||
環境に対する注意事項 | 周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。下水に流してはならない。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | すべての着火源を取り除く(現場での喫煙、火花や火炎の禁止)。 漏れた液やこぼれた液を密閉式の容器に出来る限り集める。 残留液を砂又は不活性吸収剤に吸収させて安全な場所に移す。 下水に流してはならない。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱い注意事項 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 ミストの発生を防ぐ。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 施錠して保管すること。 食品、飼料から離しておく。 換気のよい場所に保管する。 | ||
安全な容器包装材料 | 消防法及び国連輸送法規で規定されている容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
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管理濃度 | 未設定 | ||
許容濃度 | |||
日本産衛学会(2017年度版) | 1 mg/m3 | ||
ACGIH(2017年版) | 未設定 | ||
設備対策 | 取り扱いの場所の近くに、洗眼及び身体洗浄剤のための設備を設ける。 高温下や、ミストが発生する場合は換気装置を使用する。 | ||
保護具 | |||
呼吸用保護具 | 換気、局所排気、又は呼吸用保護具。 | ||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。 | ||
眼の保護具 | 顔面シールド、眼用保護具を併用する。 | ||
皮膚及び身体の保護具 | 保護衣を着用する。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
形状 | 液体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 黄褐色液体 (HSDB (2017)) | ||
臭い | フェノール臭 (HSDB (2017)) | ||
臭いのしきい(閾)値 | 情報なし | ||
pH | 情報なし | ||
融点・凝固点 | 3.4℃ (HSDB (2017)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 沸点以下140〜145℃で分解 (ICSC (J) (1996)) | ||
引火点 | 157℃[方式不明] (GESTIS (2017)) | ||
蒸発速度(酢酸ブチル=1) | 情報なし | ||
燃焼性(固体、気体) | 該当しない | ||
燃焼又は爆発範囲 | 情報なし | ||
蒸気圧 | 0.018 Pa (20℃) (ICSC (J) (1996)) | ||
蒸気密度 | 1,328 g/cm3 (20℃) (GESTIS (2017)) | ||
比重(相対密度) | 1.3227 (25℃/4℃) (HSDB (2017)) | ||
溶解度 | 水:21 mg/L (20℃) (GESTIS (2017)) アルコール、エステル、ケトン、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素に易溶。ヘキサン:24 g/L (20℃)、イソプロパノール:138 g/L (20℃) (HSDB (2017)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | log Kow = 3.30 (HSDB (2017)) | ||
自然発火温度 | 315℃ (化学防災指針集成 (1996)) | ||
分解温度 | 沸点以下140〜145℃で分解 (ICSC (J) (1996)) | ||
粘度(粘性率) | 20.81 cPs (20℃) (化学商品 (2016)) |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
危険有害反応可能性 | 加熱や燃焼により分解し、窒素酸化物、リン酸化物、イオウ酸化物などの有毒なヒュームを生じる。 | ||
避けるべき条件 | 混触危険物質との接触 | ||
混触危険物質 | 強酸化剤 | ||
危険有害な分解生成物 | 火災時に刺激性あるいは有毒なヒュームやガスを放出する。 |
11.有害性情報 | |||
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急性毒性 | |||
経口 | GHS分類: 区分4 ラットのLD50値として、330 mg/kg (雄)、800 mg/kg (雌)、660 mg/kg (雄)、1,050 mg/kg (雌)、415 mg/kg (雄)、860 mg/kg (雌)、1,700 mg/kg (雄)、1,720 mg/kg (雌) (食品安全委員会農薬・動物用医薬品評価書 (2014))、740 mg/kg (雄)、570 mg/kg (雌) (JMPR (1970)) との報告に基づき、区分4とした。 | ||
経皮 | GHS分類: 区分4 ラットのLD50値として、890 mg/kg (雄)、1,200 mg/kg (雌)、2,700 mg/kg (雄)、約5,000 mg/kg (雌)、1,260 mg/kg (雄)、1,910 mg/kg (雌) (食品安全委員会農薬・動物用医薬品評価書 (2014)) の6件の報告があり、1件が区分3、3件が区分4、2件が区分外 (国連分類基準の区分5) に該当する。件数の多い区分を採用して区分4とした。 | ||
吸入:ガス | GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における液体である。 | ||
吸入:蒸気 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。 | ||
吸入:粉じん及びミスト | GHS分類: 分類できない ラットの4時間吸入試験のLC50値として、 > 0.186 mg/L (雌雄)、> 2.21 mg/L (雌雄) (食品安全委員会農薬・動物用医薬品評価書 (2014)) との報告があるが、これらの値のみでは区分を特定できないため、分類できないとした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度0.002 mg/L (0.178 ppm) より高いため、ミストとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。 | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | GHS分類: 区分外 ウサギを用いた皮膚刺激性試験において皮膚刺激性は認められなかったとの報告 (EHC 133 (1992)、食品安全委員会農薬・動物用医薬品評価書 (2014)) から区分外とした。 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は 眼刺激性 | GHS分類: 区分2B ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質を適用後に洗眼しない場合、適用後1時間で結膜における軽度の充血を生じたが48時間後には回復し本物質の刺激性は軽度であるとの報告 (EHC 133 (1992))、眼刺激性は軽度又は刺激性は認めなかったとの報告 (食品安全委員会農薬・動物用医薬品評価書 (2014)) から、軽度の刺激性と判断し区分2Bとした。 | ||
呼吸器感作性 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、モルモットを用いた吸入感作性試験において、本物質はアレルギー性喘息の惹起作用を有しないと考えられたとの記載 (食品安全委員会農薬・動物用医薬品評価書 (2014)、PATTY (6th, 2012)) があるが、詳細が不明のため分類できないとした。 | ||
皮膚感作性 | GHS分類: 区分1 モルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) で、本物質の5%溶液による惹起では陽性率70% (惹起後24、48時間後とも) で、0.5%溶液による惹起では陽性率30% (24時間後) 及び40% (48時間後) と高い陽性率を示したとの報告 (EHC 133 (1992)) がある。又、モルモットを用いたランドシュタイナー・ドレイズ法による試験で皮膚感作性は陰性との報告 (EHC 133 (1992)、食品安全委員会農薬・動物用医薬品評価書 (2014)) がある。より感度の高いマキシマイゼーション法の試験結果を優先し、区分1とした。 | ||
生殖細胞変異原性 | GHS分類: 分類できない ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、ラット、マウスの優性致死試験、小核試験、染色体異常試験、ラットの肝細胞を用いた不定期DNA合成試験でいずれも陰性 (EHC 133 (1992)、食品安全委員会農薬・動物用医薬品評価書 (2014))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験でネズミチフス菌TA100に陽性であるが、他の菌株では陰性、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陰性である (EHC 133 (1992)、食品安全委員会農薬・動物用医薬品評価書 (2014))。ネズミチフス菌TA100の陽性結果については、TA100がもつニトロレダクターゼに起因するものと推定されている (食品安全委員会農薬・動物用医薬品評価書 (2014))。 | ||
発がん性 | GHS分類: 区分外 ラット又はマウスに2年間混餌投与した慢性毒性/発がん性併合試験、及びマウスに18ヵ月間混餌投与した発がん性試験において、マウス2年間混餌投与試験では100 ppm の雄で肝細胞腺腫の頻度に有意な増加 (対照群16/50例に対して27/50例) がみられたが、用量相関性がなく、投与による影響と考えられなかった。その他、いずれの試験においても腫瘍性病変の頻度増加はみられず、発がん性はないと結論された (食品安全委員会農薬・動物用医薬品評価書 (2014))。EPAは本物質の発がん性をグループE (Evidence of non-carcinogenicity for humans) に分類した (EPA Pesticide (1995))。以上より、区分外とした。 | ||
生殖毒性 | GHS分類: 区分2 ラットに最大 60 ppm を混餌投与した1世代試験では、F0親動物、F1児動物ともに影響はみられなかった (食品安全委員会農薬・動物用医薬品評価書 (2014))。しかし、ラットに最大 120 ppm を混餌投与した2世代試験において、親動物にはF1雌 (40 ppm で体重増加抑制、120 ppm で軟便、振戦) を除くF0、F1の雌雄 120 ppm で体重増加抑制がみられ、F1、F2児動物ともに 120 ppm で体重増加抑制、一般状態の悪化に加えて死亡児数の増加、4日生存率低下、離乳率の低下がみられた (食品安全委員会農薬・動物用医薬品評価書 (2014))。また、ラットに最大150/100 ppm (F1離乳後以降150 ppmから100 ppmに減量) を混餌投与した3世代試験では、高用量 (150/100 ppm) で F0、F1、F2親動物に体重増加抑制、F1、F2、F3児動物に離乳時生存率の低下がみられた (食品安全委員会農薬・動物用医薬品評価書 (2014))。一方、妊娠ラット、又は妊娠ウサギの器官形成期に強制経口投与した発生毒性試験では、母動物に明らかな一般毒性影響 (体重増加抑制、振戦など (ラット)、死亡、体重増加抑制、流産 (ウサギ)) がみられる用量においても、胎児に発生影響はみられなかった (食品安全委員会農薬・動物用医薬品評価書 (2014)、PATTY (6th, 2012)、EPA Pesticide (1995))。 以上、ラットを用いた2世代及び3世代試験において、親動物に一般毒性影響がみられる用量で児動物に生存率の低下がみられたことから、本項は区分2とした。 | ||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | GHS分類: 区分1 (神経系) 本物質は有機リン系殺虫剤であり、コリンエステラーゼを阻害する (JMPR (1970)、食品安全委員会農薬・動物用医薬品評価書 (2014))。ヒトでは、本物質の事故又は自殺企図による急性経口摂取の中毒症状として、初期に疲労感、頭痛、脱力感、錯乱、嘔吐、腹痛、大量の発汗、流涎、瞳孔収縮が起こる。肺のうっ血あるいは呼吸筋の脱力による呼吸困難を生じる場合もある。重症の場合には筋肉痙攣、意識喪失、痙攣を起こして呼吸不全により死に至る場合もあるとの報告がある (EHC 133 (1992))。実験動物では、ラットの単回経口、経皮又は吸入ばく露試験で、自発運動減少、不規則呼吸、呼吸困難、運動失調、流涎、振戦、攣縮、間代性痙攣、眼球突出、立毛及び流涙が認められたとの報告がある。動物試験での神経系への影響は区分1範囲の50 mg/kg以上で認められた (食品安全委員会農薬・動物用医薬品評価書 (2014))。以上より区分1 (神経系) とした。 | ||
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | GHS分類: 区分1 (神経系) ヒトに関する情報はない。 実験動物については、ラットを用いた90日間混餌投与毒性試験において、区分1のガイダンス値の範囲内である60 ppm (雄: 3.05〜5.88 mg/kg/day、雌: 3.96〜5.96 mg/kg/day) 以上で赤血球・脳コリンエステラーゼ活性阻害 (20%以上)、区分2のガイダンス値の範囲内である200 ppm (雄: 10.6〜18.5 mg/kg/day、雌: 14.9〜20.7 mg/kg/day) で前後肢握力低下、このほかラットを用いた6ヵ月間混餌投与毒性試験、ラット・イヌ・サルを用いた2年間混餌投与毒性試験においても区分1のガイダンス値の範囲内で赤血球・脳コリンエステラーゼ活性阻害 (20%以上) がみられている。また、ラットを用いた28日間吸入毒性試験 (2時間/日、5〜6日/週) において、区分1のガイダンス値の範囲内である0.015 mg/L (90日換算: 0.0016 mg/L) 以上で赤血球・脳コリンエステラーゼ活性阻害 (20%以上)、卵巣の絶対及び相対重量減少、マウスを用いた28日間吸入毒性試験 (2時間/日、5〜6日/週) において、区分1のガイダンス値の範囲内である0.062 mg/L (90日換算: 0.0064 mg/L) で脳コリンエステラーゼ活性阻害 (20%以上) がみられている (食品安全委員会農薬・動物用医薬品評価書 (2014))。 以上より区分1 (神経系) とした。 | ||
吸引性呼吸器有害性 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性(急性) | 甲殻類 (ノーザンブラウンシュリンプ)の96時間LC50 = 0.0015 mg/L (EHC 133 (1992))から、区分1とした。 | ||
水生環境有害性(長期間) | 急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いものの (BCF = 101.7 (既存化学物質安全性点検データ))、急速分解性がない (BODによる分解度:0%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。 | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
---|---|---|---|
残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 3018 | |||
国連品名 | ORGANOPHOSPHORUS PESTICIDE, LIQUID, TOXIC | |||
国連危険有害性クラス | 6.1 | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | J,K,L | |||
海洋汚染物質 | 該当する | |||
MARPOL73/78附属書K及び IBCコードによるばら積み 輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 消防法の規定に従う。 | |||
特別な安全上の対策 | 消防法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 152 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2008 Emengency Response Guidebook (ERG 2008)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
---|---|---|---|---|
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
化審法 | 旧第3種監視化学物質(旧法第2条第6項) 旧第2種監視化学物質(旧法第2条第5項) | |||
労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9) 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9) 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) | |||
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) | 第1種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1) | |||
消防法 | 第4類引火性液体、第三石油類非水溶性液体(法第2条第7項危険物別表第1) | |||
航空法 | 毒物類・毒物(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
船舶安全法 | 毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
水質汚濁防止法 | 指定物質(法第2条第4項、施行令第3条の3) | |||
大気汚染防止法 | 有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申) | |||
海洋汚染防止法 | 個品運送P(施行規則第30条の2の3、国土交通省告示) | |||
労働基準法 | 疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1) |
16.その他の情報 | ||||
---|---|---|---|---|
参考文献 | 各データ毎に記載した。 | |||
[注意] 本SDSはJIS Z7253:2012 に準拠して作成しています。 |