1.化学品等及び会社情報 | |||
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化学品の名称 | 2,4-ジニトロトルエン (2,4-Dinitrotoluene) | ||
製品コード | R02-B-012 | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 有機合成薬品、トルイジン原料、染料中間体、有機合成原料 (トルエンジアミン、火薬の中間体、染料) (NITE-CHRIPより引用) |
2.危険有害性の要約 | |||
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GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R3.3.12、政府向けGHS分類ガイダンス (令和元年度改訂版 (ver2.0)) を使用 | ||
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用) | |||
物理化学的危険性 | 自己反応性化学品 | タイプG | |
健康に対する有害性 | 急性毒性 (経口) | 区分3 | |
生殖細胞変異原性 | 区分2 | ||
発がん性 | 区分1B | ||
生殖毒性 | 区分2 | ||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1 (血液系) 区分3 (麻酔作用) | ||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1 (神経系、血液系、肝臓) 区分2 (腎臓、生殖器 (男性)) | ||
分類実施日 (環境有害性) | 平成26年度、政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版) | ||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 (急性) | 区分1 | |
水生環境有害性 (長期間) | 区分1 | ||
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | 飲み込むと有毒 眠気又はめまいのおそれ 遺伝性疾患のおそれの疑い 発がんのおそれ 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い 血液系の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による神経系、血液系、肝臓の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による腎臓、生殖器 (男性)の障害のおそれ 水生生物に非常に強い毒性 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 | ||
注意書き | |||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 容器を密閉しておくこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | ||
応急措置 | ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 口をすすぐこと。 漏出物を回収すること。 | ||
保管 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
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単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | 2,4-ジニトロトルエン | ||
別名 | 1-メチル-2,4-ジニトロベンゼン | ||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | C7H6N2O4 (182.14) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 121-14-2 | ||
官報公示整理番号 (化審法) | 3-446 | ||
官報公示整理番号 (安衛法) | 情報なし | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。医師に連絡すること。 人工呼吸が必要なことがある。 | ||
皮膚に付着した場合 | 汚染された衣服を脱がせる。 洗い流してから水と石鹸で皮膚を洗浄する。 医療機関に連絡する。 | ||
眼に入った場合 | 数分間多量の水で洗い流し (できればコンタクトレンズをはずして)、医療機関に連絡する。 | ||
飲み込んだ場合 | 直ちに医師に連絡すること。 口をすすぐこと。 コップ1、2杯の水を飲ませる。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入: 紫色(チアノーゼ)の唇、爪および皮膚、頭痛、めまい、吐き気、錯乱、痙攣、意識喪失。 皮膚: 吸収される可能性あり! 「吸入」参照。 経口摂取: 「吸入」参照。 | ||
応急措置をする者の保護 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | この物質により中毒を起こした場合は、特別の処置が必要であるため、指示のもとに適切な手段をとれるようにしておく。 ばく露の程度によっては、定期検診を勧める。 |
5.火災時の措置 | |||
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適切な消火剤 | 水噴霧、粉末消火薬剤、泡消火薬剤、二酸化炭素 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状注水 | ||
特有の危険有害性 | 可燃性。 火災時に、刺激性あるいは有毒なフュームやガスを放出する。 空気中で粒子が細かく拡散して、爆発性の混合気体を生じる。 多くの物質と接触すると、爆発の危険性がある。 | ||
特有の消火方法 | 水を噴霧して容器類を冷却する。 安全な場所から消火作業を行う。 | ||
消火を行う者の保護 | 情報なし |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式空気呼吸器付化学防護服を使用することとの記載あり) | ||
環境に対する注意事項 | 周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 専門家に相談する! この物質を環境中に放出してはならない。 こぼれた物質を、ふた付きの容器内に掃き入れる。 湿らせてもよい場合は、粉塵を避けるために湿らせてから掃き入れる。 残留分を、注意深く集める。 地域規則に従って保管処理する。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱い注意事項 | 裸火禁止。 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 容器を密閉しておくこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 環境への放出を避けること。 粉塵の堆積を防ぐ。 作業衣を家に持ち帰ってはならない。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 耐火設備で保管すること。 強塩基、食品や飼料、酸化剤および強還元剤から離しておくこと。 排水管や下水管へのアクセスのない場で貯蔵する。 | ||
安全な容器包装材料 | 消防法、国連危険物輸送勧告で規定された容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
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許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
管理濃度 | 未設定 | |||
許容濃度 | ||||
日本産衛学会 (2020年度版) | 未設定 | |||
ACGIH (2020年版) | TLV-TWA: 0.2 mg/m3 (Skin; BEIM) (ジニトロトルエン) | |||
設備対策 | 密閉系、粉塵防爆型電気設備および照明を用いる。 局所排気装置を使用する。 | |||
保護具 | ||||
呼吸用保護具 | 状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式空気呼吸器を使用することとの記載あり) | |||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。 | |||
眼の保護具 | 保護眼鏡や保護面を着用すること。 | |||
皮膚及び身体の保護具 | 保護衣 (化学防護服) を着用する。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式空気呼吸器付化学防護服を使用することとの記載あり) |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
物理状態 | 固体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 黄色 | ||
臭い | 特徴的な臭気 | ||
融点/凝固点 | 71℃ (ICSC (2005)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 300℃ (分解) (HSDB (Access on April 2020)) | ||
可燃性 | 可燃性 (ICSC (2005)) | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | 該当しない | ||
引火点 | 該当しない | ||
自然発火点 | 該当しない | ||
分解温度 | 250℃ (HSDB (Access on April 2020)) | ||
pH | データなし | ||
動粘性率 | 該当しない | ||
溶解度 | 水:2.70E+002 mg/L (22℃) (HSDB (Access on April 2020)) エタノール、クロロホルム、ベンゼン、エチルエーテルに可溶、アセトン、ピリジンに易溶 (HSDB (Access on April 2020)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | log Kow = 1.98 (HSDB (Access on April 2020)) | ||
蒸気圧 | 1.47E-004 mmHg (22℃) (HSDB (Access on April 2020)) | ||
密度及び/又は相対密度 | 1.52 g/cm3 (ICSC (2005)) | ||
相対ガス密度 | 該当しない | ||
粒子特性 | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 情報なし | ||
危険有害反応可能性 | 加熱すると、爆発することがある。 空気がなくても窒素酸化物を含む、有毒で腐食性のフュームを生じる。 還元剤、強塩基および酸化剤と反応する。 | ||
避けるべき条件 | 加熱、混触危険物質との接触 | ||
混触危険物質 | 還元剤、強塩基、酸化剤 | ||
危険有害な分解生成物 | 窒素酸化物を含む、有毒で腐食性のフューム |
11.有害性情報 | |||
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急性毒性 | |||
経口 | 【本物質の健康有害性について、分類結果が「分類できない」の場合、ジニトロトルエン (異性体混合物) (CAS番号 25321-14-6) も参照のこと。ジニトロトルエン (異性体混合物) 中の、健康有害性への影響を及ぼす異性体の全てを特定できていないが、記載されている情報が参考になると考えられる。】 【分類根拠】 (1)〜(8) より、区分3とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から区分を変更した。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 268 mg/kg (MAK (DFG) vol.6 (1994)、MOE初期評価第5巻 (2006)、厚労省リスク評価書 (2009)) (2) ラットのLD50: 268〜790 mg/kg (厚労省リスク評価書 (2009)) (3) ラットのLD50: 270 mg/kg (ATSDR (2016)、EURAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2005)、厚労省リスク評価書 (2009)) (4) ラットのLD50: 400 mg/kg (EURAR (2008)、SIAR (2001)、厚労省リスク評価書 (2009)) (5) ラットのLD50: 474 mg/kg (EURAR (2008)) (6) ラットのLD50: 雄: 568 mg/kg、雌: 650 mg/kg (EURAR (2008)、ATSDR (2016)、NITE初期リスク評価書 (2005)、MAK (DFG) vol.6 (1994)、AICIS IMAP (Access on April 2020)、厚労省リスク評価書 (2009)) (7) ラットのLD50: 893 mg/kg (EURAR (2008)) (8) ラットのLD50: 1,000 mg/kg (MAK (DFG) vol.6 (1994)) | ||
経皮 | 【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50: > 2,500 mg/kg (EURAR (2008)、SIAR (2001)) | ||
吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しないとした。 | ||
吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | ||
吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1)〜(3) より、区分に該当しないとした。なお、現ガイダンスでは区分3は用いないことから分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) 本物質はウサギを用いた皮膚刺激性試験 (ドレイズ法) で軽度の刺激性を示した (厚労省リスク評価書 (2009)、MAK (DFG) vol.6 (1994)、ACGIH (7th, 2001))。 (2) 本物質 (用量不明) をウサギに 適用した皮膚刺激性試験で、軽度の刺激性がみられた (NITE初期リスク評価書 (2005) 、ATSDR (2016))。 (3) 本物質はウサギの皮膚及び眼に対して刺激性を示さない (GESTIS (Access on April 2020))。 【参考データ等】 (4) 本物質 (50%) は改変ドレイズ法によるウサギを用いた皮膚刺激性試験において、非刺激性であった (EURAR (2008)、AICIS IMAP (Access on April 2020))。 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 (1)〜(3) より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) ウサギを用いた眼刺激性試験 (ドレイズ法) で本物質を含むジニトロトルエンの6 つの異性体は全てウサギの眼に対する刺激性を示さなかった (厚労省リスク評価書 (2009)、MAK (DFG) vol.6 (1994)、ACGIH (7th, 2001))。 (2) ウサギの眼に 2,4-又は2,6-DNT (濃度不明) を適用した眼刺激性試験で、刺激性はみられなかった (NITE初期リスク評価書 (2005))。 (3) 本物質はウサギの皮膚及び眼に対して刺激性を示さない (GESTIS (Access on April 2020))。 【参考データ等】 (4) 本物質は眼、皮膚を刺激し、皮膚に付くと発赤を生じる可能性があり、眼に付くと発赤を生じる (MOE初期評価第5巻 (2006))。 (5) 本物質 (濃度不詳) はウサギの眼に対し、刺激性を示さないという報告がある一方、本物質は軽度の刺激性を示すとする報告もある (ATSDR (2016))。 (6) 本物質 (50%) はウサギを用いた眼刺激性試験において、非刺激性であった (EURAR (2008)、AICIS IMAP (Access on April 2020))。 (7) 本物質はウサギの粘膜刺激性を示す (HSDB (Access on April 2020))。 | ||
呼吸器感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | ||
皮膚感作性 | 【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。新たなデータが得られたことから分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) 本物質のモルモット (10 匹、性別不明) を用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) で陰性と報告されている (厚労省リスク評価書 (2009)、NITE初期リスク評価書 (2005)、ATSDR (2016)、EURAR (2008)、MAK (DFG) vol.6 (1994)、GESTIS (Access on April 2020)、AICIS IMAP (Access on April 2020))。 | ||
生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 (1)〜(3) より、区分2とした。 【根拠データ】 (1) in vivoでは、ラット及びマウスの優性致死試験で陰性、ラットの肝細胞や末梢血を用いた染色体異常試験で陽性及び陰性、マウスの骨髄を用いた小核試験で陽性及び陰性、ラットの肝細胞を用いた不定期DNA合成試験で陽性及び陰性、ラットの肝臓等を用いたDNA結合試験において陽性の報告がある。また、イヌの骨髄及び腎臓を用いた染色体異常試験において陰性、ラット肝臓を用いたコメットアッセイで陰性の報告がある (ATSDR (2016)、EURAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2005)、MOE初期評価第5巻 (2006)、IARC65 (1996))。また、げっ歯類において精子形態異常はみられなかったとの報告がある (MOE初期評価第5巻 (2006))。 (2) in vitroでは、ラットの生殖細胞においてDNA切断を誘発したとの報告がある (ATSDR (2016)、MOE初期評価第5巻 (2006))。また、細菌の復帰突然変異試験で陽性及び陰性の報告が多数ある。哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異及び姉妹染色分体交換試験において陽性及び陰性の結果が報告されている(ATSDR (2016)、EURAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2005)、MOE初期評価第5巻 (2006)、IARC65 (1996))。 (3) 職業ばく露において本物質を含む混合物にばく露されたヒトのリンパ球において染色体異常の誘発が報告されている (ATSDR (2016)、NITE初期リスク評価書 (2005)、EURAR (2008))。 【参考データ等】 (4) EU CLP分類でMuta. 2に分類されている (EU CLP分類(Access on April 2020))。 | ||
発がん性 | 【分類根拠】 (1) の既存分類では、IARCで2B、産衛学会で第2群Bに分類されている一方、EU CLPでは1Bに分類されている。(2)、(3) より実験動物2種で発がん性の証拠があることから、区分1Bとした。 【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCで2B (IARC 65 (1996))、EU CLPでCarc.1B (EU CLP分類 (Access on April 2020))、産衛学会では2, 4-(または 2, 6-)ジニトロトルエン (CAS番号 121-14-2) として第2群B (産業衛生学会誌許容濃度の勧告 (1998年提案)) に分類されている。また、EPAで2,4-/2,6-Dinitrotoluene mixtureとしてB2 (probable human carcinogen) (IRIS (1990)) に分類されている。 (2) 雌雄のマウスに本物質を24ヵ月間混餌投与した試験において、雄で腎臓の腺腫またはがんの誘発がみられた (厚労省リスク評価書 (2009))。 (3) 雌雄のラットに本物質を24ヵ月間混餌投与した試験において、雌で肝細胞がん、乳腺の線維腺腫の発生率の増加が、雄で皮膚の線維腫の発生率の増加がみられた (厚労省リスク評価書 (2009))。 【参考データ等】 (4) ヒトでは本物質と2,6-DNTの混合物にばく露された作業者の間に肝臓及び胆嚢の発がんリスクの増加が米国の作業者を対象としたコホート研究でみられたとする報告と、このような発がんリスクの増加は検出されなかったとの報告があり、結果に一貫性がなく、IARCでは本物質を含むジニトロトルエン類の発がん性に関するヒトでの証拠は不十分であると結論された (IARC 65 (1996))。 (5) ジニトロトルエンのプロモーション活性の有無を検討するために、雄ラットにN-ニトロソジエチルアミンを単回腹腔内投与した2週間後から本物質、2,6-DNT及び異性体混合物 (2,3-DNT 1.5%、本物質 76.5 %、2,5-DNT 0.7%、2,6-DNT 18.8%、3,4-DNT 2.4%、3,5-DNT 0.1%) を投与し、肝臓のγ-GTP陽性細胞巣を指標とする系を用いた試験では、いずれの物質においてもプロモーション活性が認められ、2,6-DNTの活性は本物質よりも約10倍高かった (厚労省リスク評価書 (2009)、MOE初期評価第5巻 (2006))。 |
生殖毒性 | 【分類根拠】 (1)〜(6) より、雄性生殖器毒性に関連すると考えられる生殖能に対する影響が親動物毒性用量でみられている。したがって、区分2とした。 【根拠データ】 (1) ラットを用いた混餌投与による3世代生殖毒性試験において、親動物毒性 (F0及びF1親動物: 体重減少) のみられる用量で、F1親動物で受胎率の低下、平均同腹児数の減少、F1新生児の生存率低下がみられている (EURAR (2008)、MOE初期評価第5巻 (2006))。 (2) 雄ラットに強制経口投与したのち無処置の雌と交配した試験において、雄親動物毒性 (チアノーゼ) がみられる用量で、交配率減少、着床前胚吸収の増加がみられている (EURAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2005))。 (3) 雄ラットに3週間混餌投与した試験において、精子濃度の低下、血清ホルモンレベル (LH、FSH) の増加、精巣の形態学的変化 (精母細胞、精子細胞の変性変化、セルトリ細胞の空胞化等) がみられている (EURAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2005))。 (4) 雌雄ラットに14日間混餌投与した試験において、雄で精子形成細胞層の厚さの減少、精子数減少がみられ、雌の生殖器に影響はみられていない (EURAR (2008))。 (5) 種々のジニトロトルエン (DNT) 異性体 (2,3-DNT、本物質、2,5-DNT、2,6-DNT、3,4-DNT、3,5-DNT) について雄ラットを用いた14日間反復投与毒性試験が実施された。その結果、本物質、2,6-DNT及び3,5-DNTで雄性生殖器に影響 (精巣の矮小、精巣の重量減少、精細管の変性及び精巣における多核巨細胞形成等) がみられ、本物質では142 mg/kg/day、2,6-DNTでは68 mg/kg/day、3,5-DNTでは19 mg/kg/dayで同様な影響がみられた。一方、2,3-DNT、2,5-DNT及び3,4-DNTでは、雄性生殖器に影響 (精巣及び精巣上体の重量及び病理組織学的影響等) はみられていない (ATSDR (2016))。 (6) 雄ラット、雄マウス、雄イヌに13週間経口投与した試験において、いずれの種においても精子形成抑制がみられ、ラットではさらに精巣萎縮がみられている (EURAR (2008))。 【参考データ等】 (7) EU CLP分類ではRepr. 2に分類されている (EU CLP分類(Access on April 2020))。 |
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特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 (1)〜(3) より、本項分類にジニトロトルエン (異性体混合物) のデータを適用し、区分1 (血液系)、区分3 (麻酔作用) とした。異性体混合物の情報の参照により、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) ジニトロトルエンの一般的な組成は、本物質が約75%、2,6-DNTが約20%である (NITE初期リスク評価書 (2005))。 (2) ジニトロトルエンの情報として、ヒトでの急性中毒はメトヘモグロビン形成によって生じ、チアノーゼ、頭痛、過敏症、めまい、虚弱、吐き気、嘔吐、呼吸困難、嗜眠、意識喪失を引き起こし、死に至る可能性もあるとの記載がある (ACGIH (7th, 2001))。 (3) ジニトロトルエンの情報として、実験動物での急性毒性には、中枢神経抑制、呼吸抑制、筋肉協調運動障害、チアノーゼが含まれるとの記載がある (ACGIH (7th, 2001))。 | ||
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特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 (1)〜(5) より、区分1 (神経系、血液系、肝臓)、区分2 (腎臓、生殖器 (男性)) とした。新たな情報も加えて検討し、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) ラットに本物質を13週間混餌投与した結果、93 mg/kg/day (区分2の範囲) の雄で小脳と脳幹の脱髄、異常歩行、網状赤血球の増加、ヘモジデリン沈着、精子形成の大幅な減少、108 mg/kg/day (区分2超) の雌で網状赤血球の増加、ヘモジデリン沈着、145 mg/kg/day (区分2超) の雌で脳と脳幹の脱髄、異常歩行、貧血、266 mg/kg/day (区分2超) の雄で貧血がみられた (ATSDR (2016))。 (2) ラットに本物質を52週間混餌投与した結果、27 mg/kg/day (区分2の範囲) の雄で肝細胞の変性及び空胞化、好酸性及び好塩基性変異肝細胞巣がみられた (ATSDR (2016))。 (3) マウスに本物質を24ヵ月間混餌投与した結果、14 mg/kg/day (区分2の範囲) の雄で肝細胞異形成、腎臓における嚢胞状異形成、腎症、精子形成の減少、変性、精巣の萎縮がみられた (ATSDR (2016))。 (4) イヌに本物質を3ヵ月間経口投与した結果、1.5 mg/kg/day (区分1の範囲) の雌でメトヘモグロビンの増加、10 mg/kg/day (区分1の範囲) の雄でハインツ小体及びメトヘモグロビンの増加、雌で赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット値の減少、網状赤血球及びハインツ小体の増加がみられた (ATSDR (2016))。 (5) イヌに本物質を24ヵ月間経口投与した結果、1.5 mg/kg/day (区分1の範囲) で後肢のコントロール不能、痙攣、メトヘモグロビン血症が、10 mg/kg/day (区分1の範囲) で胆管の過形成がみられた (ATSDR (2016))。 【参考データ等】 (6) ジニトロトルエンの一般的な組成は、本物質が約75%、2,6-DNTが約20%である (NITE初期リスク評価書 (2005))。 (7) 職業ばく露研究及び動物試験の結果から、ジニトロトルエンにより引き起こされる最も敏感な標的毒性は血液毒性 (メトヘモグロビン血症、貧血、及び代償性造血) 及び神経系への影響 (神経毒性を示す臨床所見、運動失調、振戦、脚の衰弱、痙攣) である。動物試験では、高用量では肝臓、気道、及び生殖器への影響も示されている (ATSDR (2016))。 (8) 入手可能なヒトの情報は、適切な対照群が含まれておらず、ばく露濃度も報告されていないため、限定的な証拠である (ATSDR (2016))。 |
誤えん有害性* | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
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* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。本有害性項目の内容に変更はない。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性 (急性) | 魚類 (ブルーギル) の96時間LC50 = 0.33 mg/L (NITE 初期リスク評価書 (2005)) であることから、区分1とした。 | ||
水生環境有害性 (長期間) | 急速分解性がなく (ジニトロトルエンのBODによる分解度:0% (既存点検 (1975))) 、甲殻類 (オオミジンコ) の21日間NOEC = 0.02 mg/L (NITE 初期リスク評価書 (2005) 、環境省リスク評価第5巻 (2006) 、EU-RAR (2008)) であることから、区分1とした。 | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
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残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
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本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 3454 | |||
国連品名 | DINITROTOLUENES, SOLID | |||
国連危険有害性クラス | 6.1 | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | K | |||
海洋汚染物質 | 該当する | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 有害液体物質(X類物質) | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 毒物及び劇物取締法、消防法、道路法の規定に従う。 | |||
特別な安全上の対策 | 毒物及び劇物取締法、消防法、道路法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 152 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2016 Emengency Response Guidebook (ERG 2016)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 変異原性が認められた既存化学物質(法第57条の5、労働基準局長通達)【101 2,4−ジニトロトルエン】 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)【272 2,4−ジニトロトルエン】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)【272 2,4−ジニトロトルエン】 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) 作業場内表示義務(法第101条の4) | |||
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | 第1種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)【200 ジニトロトルエン】 | |||
毒物及び劇物取締法 | 劇物(指定令第2条)【43の2 2,4−ジニトロトルエン及びこれを含有する製剤】 | |||
化学物質審査規制法 | 旧第2種監視化学物質(旧法第2条第5項)【旧番号412 ジニトロトルエン(平成23年4月1日をもって廃止)】 旧第3種監視化学物質(旧法第2条第6項)【旧番号25 ジニトロトルエン(平成23年4月1日をもって廃止)】 | |||
消防法 | 第5類自己反応性物質、ニトロ化合物(法第2条第7項危険物別表第1・第5類)【3 ニトロ化合物】 | |||
道路法 | 車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)【5 ニトロ化合物】 | |||
航空法 | 毒物類・毒物(施行規則第194条危険物告示別表第1)【【国連番号】3454 ジニトロトルエン(固体)】 | |||
船舶安全法 | 毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1)【【国連番号】3454 ジニトロトルエン(固体)】 | |||
海洋汚染防止法 | 有害液体物質(X類物質)(施行令別表第1)【35 ジニトロトルエン】 個品運送P(施行規則第30条の2の3、国土交通省告示)【【国連番号】3454 ジニトロトルエン(固体)】 | |||
大気汚染防止法 | 有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申)【86 ジニトロトルエン】 |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP) International Chemical Safety Cards (ICSC) Hazardous Substances Data Bank (HSDB) GESTIS Substance database (GESTIS) ERG 2016版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 |