1.化学品等及び会社情報 | |||
---|---|---|---|
化学品の名称 | 2,4,6-トリニトロトルエン (2,4,6-Trinitrotoluene) | ||
製品コード | R02-B-018 | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | ダイナマイト・硝安爆薬用成分 (NITE-CHRIPより引用) |
2.危険有害性の要約 | |||
---|---|---|---|
GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R3.3.12、政府向けGHS分類ガイダンス (令和元年度改訂版 (ver2.0)) を使用 | ||
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用) | |||
物理化学的危険性 | 爆発物 | 等級1.1 | |
健康に対する有害性 | 急性毒性 (経口) | 区分4 | |
皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | ||
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 | ||
皮膚感作性 | 区分1 | ||
発がん性 | 区分1B | ||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1 (血液系) 区分3 (気道刺激性) | ||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1 (眼、神経系、心血管系、血液系、造血器系、肝臓) | ||
分類実施日 (環境有害性) | 平成25年度、政府向けGHS分類ガイダンス(H25.7版) | ||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 (急性) | 区分1 | |
水生環境有害性 (長期間) | 区分1 | ||
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | 爆発物:大量爆発危険性 飲み込むと有害 皮膚刺激 アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ 強い眼刺激 呼吸器への刺激のおそれ 発がんのおそれ 血液系の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による眼、神経系、心血管系、血液系、造血器系、肝臓の障害 水生生物に非常に強い毒性 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 | ||
注意書き | |||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。 乾燥が危険有害性を増加させる場合は、適切な物質で湿らせて保管すること。 容器を密閉しておくこと。 他の容器に移し替えないこと。 容器を接地しアースをとること。 粉砕/衝撃/摩擦のような乱暴な取扱いをしないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | ||
応急措置 | 火災の場合:爆発する危険性あり。区域から退避させること。炎が爆発物に届いたら消火活動をしないこと。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 口をすすぐこと。 漏出物を回収すること。 | ||
保管 | 国又は都道府県の規則に従って保管すること。 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
---|---|---|---|
単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | 2,4,6-トリニトロトルエン | ||
別名 | トリニトロトルエン | ||
トリニトロトルオール | |||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | C7H5N3O6 (227.13) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 118-96-7 | ||
官報公示整理番号 (化審法) | 3-440 | ||
官報公示整理番号 (安衛法) | 情報なし | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | 情報なし |
4.応急措置 | |||
---|---|---|---|
吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。医師に連絡すること。 人工呼吸が必要なことがある。 | ||
皮膚に付着した場合 | 多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐこと。医師に連絡すること。 吐かせる (意識がある場合のみ!)。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入: 頭痛、紫色(チアノーゼ)の唇、爪および皮膚、咳、咽頭痛、息苦しさ、嘔吐、胃痙攣、意識喪失、症状は遅れて現われることがある。 皮膚: 吸収される可能性あり!発赤、痛み、皮膚の?染、他の症状については、「吸入」参照。 眼: 充血、痛み。 経口摂取: 他の症状については、「吸入」参照。 | ||
応急措置をする者の保護 | 応急処置を行うときは、保護手袋を着用する。 | ||
医師に対する特別な注意事項 | この物質により中毒を起こした場合は、特別の処置が必要であるため、指示のもとに適切な手段をとれるようにしておく。 ばく露の程度によっては、定期検診を勧める。 |
5.火災時の措置 | |||
---|---|---|---|
適切な消火剤 | 大量の水 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状注水 | ||
特有の危険有害性 | 多くの反応により、火災や爆発を?じることがある。 急速に加熱するとまたは強い衝撃を加えると火災および爆発の危険性がある。 爆発性。 | ||
特有の消火方法 | 大火災を消火しようとしてはならない、避難する。 水を噴霧して容器類を冷却する。 安全な場所から消火作業を行う。 | ||
消火を行う者の保護 | 情報なし |
6.漏出時の措置 | |||
---|---|---|---|
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式空気呼吸器付化学防護服を使用することとの記載あり) | ||
環境に対する注意事項 | 周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 危険区域から立ち退く! 専門家に相談する! この物質を環境中に放出してはならない。 下水に流してはならない。 集める前にこぼれた物質を湿らせる。乾燥した物質を掃き取ろうとしてはならない。 残留分を、注意深く集める。 地域規則に従って保管処理する。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
---|---|---|---|
取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱い注意事項 | 熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。 容器を密閉しておくこと。 他の容器に移し替えないこと。 容器を接地しアースをとること。 粉砕/衝撃/摩擦のような乱暴な取扱いをしないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 熱に曝露させず、少なくとも水分30%の湿潤状態を保つ。 閉ざされた場所で燃焼すると、爆轟することがある。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 作業衣を家に持ち帰ってはならない。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 乾燥が危険有害性を増加させる場合は、適切な物質で湿らせて保管すること。 容器を接地しアースをとること。 国又は都道府県の規則に従って保管すること。 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 耐火設備で保管すること。。 起爆剤、食品や飼料および混触危険物質から離しておくこと。 排水管や下水管へのアクセスのない場で貯蔵する。 | ||
安全な容器包装材料 | 消防法、火薬類取締法、国連危険物輸送勧告で規定された容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
---|---|---|---|---|
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
管理濃度 | 未設定 | |||
許容濃度 | ||||
日本産衛学会 (2020年度版) | 未設定 | |||
ACGIH (2020年版) | TLV-TWA: (0.1 mg/m3) NIC-0.1 (Inhalable fraction and vapor) (Skin; BEIM) | |||
設備対策 | 粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器又は局所換気装置を使用する。 局所排気装置を使用する。 | |||
保護具 | ||||
呼吸用保護具 | 状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式空気呼吸器を使用することとの記載あり) | |||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。 | |||
眼の保護具 | 保護眼鏡や保護面を着用すること。(ICSCには、呼吸用保護具と併用して、顔面シールドまたは保護眼鏡を着用することとの記載あり) | |||
皮膚及び身体の保護具 | 保護衣 (化学防護服) を着用する。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式空気呼吸器付化学防護服を使用することとの記載あり) |
9.物理的及び化学的性質 | |||
---|---|---|---|
物理的状態 | |||
物理状態 | 固体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 無色〜黄色 | ||
臭い | 無臭 | ||
融点/凝固点 | 80.1℃ (ICSC (2000)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 240℃ (爆発) (HSDB (Access on April 2020)) | ||
可燃性 | 可燃性で爆発性の高い固体 (ホンメル (1991)) | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | 該当しない | ||
引火点 | 該当しない | ||
自然発火点 | 該当しない | ||
分解温度 | 240℃ (爆発) (ICSC (2000)) | ||
pH | pH 5.8 (20℃、127 mg/L) (GESTIS (Access on April 2020)) | ||
動粘性率 | 該当しない | ||
溶解度 | 水:115 mg/L (23℃) (HSDB (Access on April 2020)) ベンゼン、トルエン、ピリジンに易溶、エーテルに可溶、エタノールに微溶 (HSDB (Access on April 2020)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | log Pow=1.60 (ICSC (2000)) | ||
蒸気圧 | 8.02E-006 mmHg (25℃) (HSDB (Access on April 2020)) | ||
密度及び/又は相対密度 | 1.65 g/cm3 (ICSC (2000)) | ||
相対ガス密度 | 該当しない | ||
粒子特性 | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
---|---|---|---|
反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 情報なし | ||
危険有害反応可能性 | 衝撃、摩擦、振動を加えると、爆発的に分解することがある。 加熱すると、有毒なフュームを生じる。 | ||
避けるべき条件 | 加熱、摩擦、振動 | ||
混触危険物質 | 情報なし | ||
危険有害な分解生成物 | 有毒なフューム |
11.有害性情報 | |||
---|---|---|---|
急性毒性 | |||
経口 | 【分類根拠】 (1)〜(6) より、区分4とした。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 607 mg/kg (MOE初期評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、GESTIS (Access on April 2020)) (2) ラットのLD50: 雌: 794 mg/kg (ACGIH (7th, 2019)) (3) ラットのLD50: 雌: 795 mg/kg (ATSDR (1995)、HSDB (Access on April 2020)) (4) ラットのLD50: 雌: 820 mg/kg (ATSDR (1995)) (5) ラットのLD50: 雄: 1,010 mg/kg (ATSDR (1995)、HSDB (Access on April 2020)) (6) ラットのLD50: 雄: 1,320 mg/kg (ACGIH (7th, 2019)、ATSDR (1995)) | ||
経皮 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | ||
吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しないとした。 | ||
吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | ||
吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1)〜(3) より、区分2とした。 【根拠データ】 (1) ヒトにおいて本物質のばく露は皮膚刺激性を示す可能性がある (ACGIH (7th, 2019)、IARC 65 (1996))。 (2) 本物質のばく露は皮膚や眼の刺激性を示すことが知られている (Patty (6th, 2012)、HSDB (Access on April 2020))。 (3) 本物質 (500 mg) をウサギに24時間適用した皮膚刺激性試験において中等度の刺激性を示す (GESTIS (Access on April 2020))。 【参考データ等】 (4) 本物質の50%ペーストを適用したウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG 404相当) において刺激性を示さないと報告されている (REACH登録情報 (Access on May 2020))。 (6) トリニトロトルエンによる皮膚障害、溶血性貧血、再生不良性貧血等の造血器障害又は肝障害は、労働基準法施行規則別表第一の二第四号1の厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物 (合金を含む) 並びに厚生労働大臣が定める疾病として定められている (労働省告示第三十三号)。 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 (1) より、区分2とした。 【根拠データ】 (1) 本物質のばく露は皮膚や眼の刺激性を示すことが知られている (Patty (6th, 2012)、HSDB (Access on April 2020))。 【参考データ等】 (2) 本物質の50%ペーストを適用したウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG 405相当) において刺激性を示さないと報告されている (REACH登録情報 (Access on May 2020))。 | ||
呼吸器感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | ||
皮膚感作性 | 【分類根拠】 (1) 〜(4) より、区分1とした。 【根拠データ】 (1) ヒトにおいて本物質へのばく露による皮膚炎の報告がある (ACGIH (7th, 2019)、MAK (DFG) (2014))。 (2) ヒトにおいて本物質への長期間のばく露によるアレルギー性皮膚反応を生じる (ATSDR (1995))。 (3) 本物質は皮膚感作性を有する (GESTIS (Access on April 2020))。 (4) 本物質のモルモットを用いた皮膚感作性試験 (OECD TG 406相当、マキシマイゼーション法) において中等度の感作性 (陽性率 40%) と報告されている (REACH登録情報 (Access on May 2020))。 【参考データ等】 (5) トリニトロトルエンによる皮膚障害、溶血性貧血、再生不良性貧血等の造血器障害又は肝障害は、労働基準法施行規則別表第一の二第四号1の厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物 (合金を含む。) 並びに厚生労働大臣が定める疾病として定められている (労働省告示第三十三号)。 | ||
生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 (1)、(2) より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) in vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験、ラット骨髄細胞の染色体異常試験、ラット肝細胞の不定期DNA合成試験で、陰性の報告がある (IARC 65 (1996)、ATSDR (1995)、IRIS (1989))。 (2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性及び陰性 (IARC 65 (1996)、ATSDR (1995)、IRIS (1989)、ACGIH (7th, 2019)、MAK (DFG) vol.1 (1991))、ほ乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験で陽性の報告がある ((IARC 65 (1996)、ACGIH (7th, 2019))。 | ||
発がん性 | 【分類根拠】 (1) の既存分類結果について、(4)のとおり、IARCはMAK (DFG) とEPA (IRIS) のラット/マウスの発がん性試験報告を評価に含めておらず、過小評価したと考えられる。(1)〜(3) より、MAK (DFG) でCategory 2に分類されていること及びラットで膀胱がん (自然発生が稀な腫瘍) の明らかな発生増加がみられていることに基づき、区分1Bとした。分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCで3 (IARC 65 (1996))、IRISでC (possible human carcinogen) (IRIS (1989))、MAK (DFG) でCategory 2 (MAK (DFG) (2014)、分類年2007年) に分類されている。 (2) ラットに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験において、雌で膀胱の移行上皮乳頭腫及びがんの発生率の有意な増加が認められた (IRIS (1989)、MAK (DFG) (2014))。 (3) マウスに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験において、雌で脾臓の白血病/悪性リンパ腫が用量に対応して増加し、最高用量で有意な増加が示された(MAK (DFG) (2014))。ただし、 IRISは全てのタイプの悪性リンパ腫及びリンパ性白血病を全臓器について集計した場合、腫瘍の発生率は有意に増加せず、有意な傾向もみられなかったことから、投与に関連しているとは考えられなかったとしている (IRIS (1989))。 (4) 既存分類のMAK (DFG) のCategory 2の根拠は、ラット、マウスの2種ともに発がん性がみられ、変異原性 (細菌、哺乳類培養細胞) があることである (MAK (DFG) (2014))。EPA (IRIS) のCの根拠は、雌ラットで膀胱の乳頭腫とがんがみられ、変異原性(細菌の復帰突然変異試験)があることである (IRIS (1989))。一方、IARCの発がん性評価ではMAK (DFG) とEPA (IRIS) が評価に用いたラット/マウスの発がん性試験報告を評価データに含めていない (IARC 65 (1996))。 |
生殖毒性 | 【分類根拠】 生殖毒性についての情報はない。(1)〜(3)より、精巣に対する影響が認められているが、雄性生殖器毒性に関連すると考えられる生殖能に対する影響の情報がないことから、データ不足のため分類できないとした。なお、雄性生殖器毒性のみでは分類根拠としなかったことから、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) ラットを用いた混餌投与による13週間反復投与毒性試験において、精細管上皮の変性、精巣の萎縮等が報告されている (IARC 65 (1996)、MOE初期評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1993)、ATSDR (1995))。 (2) ラットを用いた混餌投与による13週間反復投与毒性試験において、精巣萎縮、間細胞過形成等が報告されている (IARC 65 (1996)、MOE初期評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、ATSDR (1995))。 (3) ラットを用いた強制経口投与による6週間反復投与毒性試験において、血清中亜鉛の減少、精巣重量減少が報告されている (MOE初期評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、ATSDR (1995))。 【参考データ等】 (4) ラットでみられた精巣の影響について、ライディッヒ細胞過形成があることから精巣の変性のホルモン機構(肝臓の酵素誘導の結果として二次的)が著者によって示唆されたが、貧血に起因する酸素欠乏も二次的機構として考えられるとの記載がある (MAK (DFG) (2014))。 (5) 動物実験で観察された精巣の損傷は、おそらく無酸素影響によるとの記載がある (GESTIS (Access on April 2020))。 (6) 男性労働者の症例対照研究の結果、精液量及び運動性精子数の減少並びに精子奇形の増加が報告されているが、交絡変数 (喫煙と飲酒以外)は考慮されておらず、重要な変数として職場での熱や他の化学物質との同時ばく露が含まれるとの記載がある (ATSDR (1995))。 |
---|
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 (1)〜(3) より、区分1 (血液系)、区分3 (気道刺激性) とした。旧分類で標的臓器とされた肝臓については、単回ばく露による影響かどうか不明であることから標的臓器から外し、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) ヒトにおいて本物質へのばく露後、皮膚炎、チアノーゼ、胃炎、急性肝障害 (黄色萎縮) 及び再生不良性貧血が報告されている (ACGIH (7th, 2019))。 (2) 吸入及び経皮ばく露により中毒を起こした少年で、翌日にメトヘモグロビン濃度は43%となった (HSDB (Access on April 2020))。 (3) 本物質の製造及び充填を行う工場 (本物質濃度: 0.1〜1.2 mg/m3、最大10 mg/m3) の作業者38名を調査した結果、呼吸器の症状 (くしゃみ、喉の痛み、咳)と胃腸の症状 (胃の痛み、食欲不振、便秘、鼓腸、吐き気、嘔吐) の訴えが対照群より高く、さらに、平均血中ヘモグロビンレベルは85% (対照群では96%) であった (IARC 65 (1996))。 【参考データ等】 (4) トリニトロトルエンによる皮膚障害、溶血性貧血、再生不良性貧血等の造血器障害又は肝障害は、労働基準法施行規則別表第一の二第四号1の厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物 (合金を含む。) 並びに厚生労働大臣が定める疾病として定められている (労働省告示第三十三号)。 | ||
---|---|---|---|
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 (1)〜(6) より、区分1 (眼、神経系、心血管系、血液系、造血器系、肝臓) とした。新たな情報源の情報に基づき検討した結果、旧分類から標的臓器を一部変更した。 【根拠データ】 (1) ヒトにおいて本物質へのばく露後、皮膚炎、チアノーゼ、胃炎、急性肝障害 (黄色萎縮) 及び再生不良性貧血が報告されている (ACGIH (7th, 2019))。 (2) 労働者の臨床症状は、主に、メトヘモグロビン血症、再生不良性貧血、血液像の変化 (赤血球の減少及び損傷、白血球減少症、白血球増加症、リンパ球増加症及び断片化細胞など) から生じる倦怠感、蒼白、チアノーゼであり、その他の影響は気道、消化管及び皮膚への刺激、消化管、肝臓及び胆嚢、心血管系、神経系への全身作用、白内障の発生であったとの記載がある (MAK (DFG) (2014))。 (3) 本物質0.14〜0.58 mg/m3に6.8年間職業ばく露された作業者12名中6名、0.10〜0.35 mg/m3に平均14年間職業ばく露された9名中7名で白内障が生じたとの報告がある (ACGIH (7th, 2019))。 (4) 413名の作業者を対象に白内障及びその他の異常を調べた結果、白内障が約35%で生じ、本物質へのばく露期間及び作業内容と正の相関があった。最も重篤な白内障は本物質の混合及び充填を行う作業者でみられ、経皮ばく露が重要であることが示唆されている (ACGIH (7th, 2019))。 (5) ラットに本物質を2年間混餌投与した結果、2 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上で胸骨骨髄の線維化、10 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上で用量に依存した貧血、メトヘモグロビンや血小板の増加、腎臓重量の増加、尿細管の肥大や色素沈着、慢性腎症、肝腫脹、紫斑や嚢胞変性を伴った肝細胞の過形成、50 mg/kg/day (区分2の範囲) で膀胱で粘膜上皮の過形成などの変性、脾臓で重量増加や色素沈着、類洞うっ血、髄外造血等がみられた (MOE初期評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、ATSDR (1995))。 (6) トリニトロトルエンによる皮膚障害、溶血性貧血、再生不良性貧血等の造血器障害又は肝障害は、労働基準法施行規則別表第一の二第四号1の厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物 (合金を含む。) 並びに厚生労働大臣が定める疾病として定められている (労働省告示第三十三号)。 【参考データ等】 (7) ラットを用いた混餌投与による13週間反復投与毒性試験において、125 mg/kg/day以上 (区分2超) で精細管上皮の変性、精巣の萎縮が報告されている (IARC 65 (1996)、MOE初期評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1993)、ATSDR (1995))。 (8) ラットを用いた混餌投与による13週間反復投与毒性試験において、125 mg/kg/day (区分2超) で精巣萎縮、間細胞過形成等が報告されている (IARC 65 (1996)、MOE初期評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、ATSDR (1995))。 (9) ラットを用いた強制経口投与による6週間反復投与毒性試験において、200 mg/kg/day (区分2超) で血清中亜鉛の減少、精巣重量減少が報告されている (MOE初期評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、ATSDR (1995))。 |
誤えん有害性* | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
---|---|---|---|---|
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。本有害性項目の内容に変更はない。 |
12.環境影響情報 | |||
---|---|---|---|
生態毒性 | |||
水生環境有害性 (急性) | 甲殻類 (ミシッドシュリンプ) による96時間LC50 = 0.26 mg/L (AQUIRE (2013)) であることから、区分1とした。 | ||
水生環境有害性 (長期間) | 慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく (BIOWIN) 、甲殻類 (オオミジンコ) の21日間NOEC = 0.48 mg/L (AQUIRE (2013)) であることから、区分2となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく (BIOWIN) 、藻類 (Pseudokirchneriella subcapitata) の96時間IC50 = 0.72 mg/L (AQUIRE (2013)) であることから、区分1となる。 以上の結果を比較し、区分1とした。 | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
---|---|---|---|
残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 1356 | |||
国連品名 | TRINITROTOLUENE (TNT), WETTED with not less than 30% water, by mass | |||
国連危険有害性クラス | 4.1 | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | J | |||
海洋汚染物質 | 該当する | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | - | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 消防法、道路法、火薬類取締法の規定に従う。 | |||
特別な安全上の対策 | 消防法、道路法、火薬類取締法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 113 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2016 Emengency Response Guidebook (ERG 2016)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
---|---|---|---|---|
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働基準法 | 疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1)【トリニトロトルエン】 | |||
労働安全衛生法 | 危険物・爆発性の物(施行令別表第1第1号)【1の2 トリニトロトルエン】 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)【399 トリニトロトルエン】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)【399 トリニトロトルエン】 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) 作業場内表示義務(法第101条の4) | |||
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | - | |||
毒物及び劇物取締法 | - | |||
消防法 | 第5類自己反応性物質、ニトロ化合物(法第2条第7項危険物別表第1・第5類)【3 ニトロ化合物】 | |||
道路法 | 車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)【1 トリニトロトルエン】 | |||
火薬類取締法 | 火薬類(法第2条)【2−ホ 爆発の用途に供せられるトリニトロベンゼン、トリニトロトルエン、ピクリン酸、トリニトロクロルベンゼン、テトリル、トリニトロアニソール、ヘキサニトロジフエニルアミン、トリメチレントリニトロアミン、ニトロ基を3以上含むその他のニトロ化合物及びこれらを主とする爆薬】 | |||
航空法 | 可燃性物質類・可燃性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1)【【国連番号】1356 トリニトロトルエン(湿性としたもの)】 | |||
船舶安全法 | 可燃性物質類・可燃性物質(危規則第3条危険物告示別表第1)【【国連番号】1356 トリニトロトルエン(湿性としたもの)】 | |||
港則法 | その他の危険物・可燃性物質類(可燃性物質)(法第21条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)【2ハ トリニトロトルエン(湿性としたもの)】 爆発物・火薬類(法第21条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)【1イ トリニトロトルエン】 その他の危険物・可燃性物質類(可燃性物質)(法第21条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)【2ハ トリニトロトルエン(湿性としたもの)】 |
16.その他の情報 | ||||
---|---|---|---|---|
参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP) International Chemical Safety Cards (ICSC) Hazardous Substances Data Bank (HSDB) GESTIS Substance database (GESTIS) ERG 2016版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 |