1.化学品等及び会社情報 | |||
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化学品等の名称 | フタル酸ビス(2‐エチルヘキシル) (Phthalic acid bis(2-ethylhexyl)) | ||
製品コード | H26-B-081(製品コードなし) | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 本物質の主な用途は、可塑剤として塩化ビニル製品(シート、レザー、電線被覆材、農業用ビニルフィルム等)等に添加されている |
2.危険有害性の要約 | ||||
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GHS分類 | ||||
分類実施日 | H25.8.22、政府向けGHS分類ガイダンス(H25.7版)を使用 | |||
GHS改訂4版を使用 | ||||
物理化学的危険性 | 分類できない | |||
健康に対する有害性 | 眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 区分2B | ||
発がん性 | 区分2 | |||
生殖毒性 | 区分1B、 授乳に対する又は授乳を介した影響 | |||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | 区分3(気道刺激性) | |||
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | 区分2(肝臓、精巣) | |||
分類実施日 | 環境に対する有害性はH18.3.31、GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用 | |||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 (長期間) | 区分4 | ||
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」に該当する。なお、健康有害性については後述の11項に、「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」の記述がある。 | ||||
GHSラベル要素 | ||||
絵表示 | ||||
注意喚起語 | 危険 | |||
危険有害性情報 | 眼刺激 呼吸器への刺激のおそれ 発がんのおそれの疑い 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ 授乳中の子に害を及ぼすおそれ 長期にわたる、又は反復ばく露による臓器の障害のおそれ 長期継続的影響によって水生生物に有害のおそれ | |||
注意書き | ||||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 妊娠中/授乳期中は接触を避けること。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | |||
応急措置 | 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 気分が悪い時は医師に連絡すること。 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 | |||
保管 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 | |||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | |||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
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単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | フタル酸ビス(2‐エチルヘキシル) (Phthalic acid bis(2-ethylhexyl)) | ||
別名 | フタル酸ジ(2‐エチルヘキシル) (Phthalic acid di(2-ethylhexyl)) 1,2‐ベンゼンジカルボン酸ビス(2‐エチルヘキシル) (1,2-Benzenedicarboxylic acid bis(2-ethylhexyl)) ジエチルヘキシルフタラート (Diethylhexyl phthalate) DEHP (DEHP) | ||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | C24H38O4 (390.54) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 117-81-7 | ||
官報公示整理番号(化審法) | (3)-1307 | ||
官報公示整理番号(安衛法) | (3)-1307 | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | データなし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 医師の手当、診断を受けること。 気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 皮膚を速やかに洗浄すること。 皮膚刺激が生じた場合、医師の診断、手当てを受けること。 医師の手当、診断を受けること。 気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。 汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。 医師の手当、診断を受けること。 気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐこと。 医師の手当、診断を受けること。 気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入:咳、咽頭痛。 眼:発赤、痛み。 経口摂取:胃痙攣、下痢、吐き気。 | ||
応急措置をする者の保護 | データなし | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
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消火剤 | 粉末消火剤、一般の泡消火剤、二酸化炭素、砂、噴霧水 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状注水 | ||
特有の危険有害性 | 火災によって刺激性、毒性、又は腐食性のガスを発生するおそれがある。 | ||
特有の消火方法 | 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 移動不可能な場合、容器及び周囲に散水して冷却する。 消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。 | ||
消火を行う者の保護 | 消火作業の際は、適切な空気呼吸器と化学用保護衣を着用すること |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 関係者以外の立入りを禁止する。 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。 作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触やガスの吸入を避ける。 風上に留まる。 | ||
環境に対する注意事項 | 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。 環境中に放出してはならない。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 危険でなければ漏れを止める。 回収、中和: 乾燥土、砂や不燃材料で吸収し、あるいは覆って密閉できる空容器に回収する。後で廃棄処理する。 二次災害の防止策: すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。 『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の局所排気、全体換気を行う。 | ||
安全取扱い注意事項 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。 火気注意。 接触、吸入又は飲み込まないこと。 眼との接触を避けること。 ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 | ||
接触回避 | 『10.安定性及び反応性』を参照。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 酸化剤から離して保管する。 炎及び熱表面から離して保管すること。 冷所、換気の良い場所で保管すること。 施錠して保管すること。 技術的対策: 保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。 | ||
安全な容器包装材料 | 消防法で規定されている容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
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管理濃度 | 未設定 | ||
許容濃度 | |||
日本産衛学会(2014年度版) | 5 mg/m3 | ||
ACGIH(2014年版) | TLV-TWA (2 ppm) TLV-STEL (未設定) | ||
設備対策 | この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。 空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行なうこと。 | ||
保護具 | |||
呼吸用保護具 | 換気が不十分な場合は、適切な呼吸保護具を着用すること。 | ||
手の保護具 | 適切な保護手袋を着用すること。 | ||
眼の保護具 | 適切な眼の保護具を着用すること。 保護眼鏡(普通眼鏡型、側板付き普通眼鏡型、ゴーグル型) | ||
皮膚及び身体の保護具 | 適切な呼吸器保護具を着用すること。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
形状 | 液体 | ||
色 | 無色〜薄く着色 | ||
臭い | 特徴的な臭気 | ||
臭いのしきい(閾)値 | 情報なし | ||
pH | 情報なし | ||
融点・凝固点 | -55℃:HSDB(2014) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 384℃:HSDB(2014) | ||
引火点 | 195℃(密閉式):GESTIS(2014) | ||
蒸発速度(酢酸ブチル=1) | 情報なし | ||
燃焼性(固体、気体) | 該当しない | ||
燃焼又は爆発範囲 | 下限 0.3vol%(245℃):HSDB(2005) | ||
蒸気圧 | 1Pa(20℃):ICSC(2002) | ||
蒸気密度 | 13.46(計算値) | ||
比重(相対密度) | 0.9861(20℃/20℃):HSDB(2005) | ||
溶解度 | 水:0.285mg/L(24℃):HSDB(2014) 鉱油、ヘキサンと混和; 四塩化炭素:微溶:HSDB(2014) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | logKow=7.60(測定値):SRC:KowWin(2005) | ||
自然発火温度 | 390℃:HSDB(2014) | ||
分解温度 | 情報なし | ||
粘度(粘性率) | 81.4mPa・s(20℃):HSDB(2005) |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 情報なし | ||
化学的安定性 | 通常の取扱状態では安定である。 加熱すると分解し、刺激性のヒュームを生じる。 | ||
危険有害反応可能性 | 強酸化剤、酸、アルカリ、ニトラートと反応する。 | ||
避けるべき条件 | 加熱、高温。 | ||
混触危険物質 | 強酸化剤、酸、アルカリ、ニトラート。 | ||
危険有害な分解生成物 | 火災時の燃焼により、一酸化炭素、二酸化炭素などの有害ガスが発生する。 |
11.有害性情報 | |||
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急性毒性 | |||
経口 | ラットのLD50値として、> 20,000 mg/kg での複数の報告 (NICNAS (2010)、DFGOT vol. 25 (2009)、NITE初期リスク評価書 (2005)、EU-RAR (2003)、ATSDR (2002)、環境省リスク評価第1巻:環境リスク初期評価 (2002)、IARC 77 (2000)、ACGIH (7th, 2001)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1995)、CEPA (1994)、EHC 131 (1992)、NTP TR217 (1982)) に基づき、区分外とした。 | ||
経皮 | ウサギのLD50値として、25,000 mg/kg ((> 19,600 mg/kg (> 20mL/kg)) との報告 (PATTY (6th, 2012)、NICNAS (2010)、DFGOT vol. 25 (2009)、NITE初期リスク評価書 (2005)、EU-RAR (2003)、ATSDR (2002)、ACGIH (7th, 2001)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1995)、EHC 131 (1992)) に基づき、区分外とした。 | ||
吸入:ガス | GHSの定義における液体である。 | ||
吸入:蒸気 | データ不足のため分類できない。 | ||
吸入:粉じん及びミスト | ラットのLC50値 (4時間) として、> 10.62 mg/L との報告 (NICNAS (2010)、DFGOT vol. 25 (2009)、EU-RAR (2003)) に基づき、区分外とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度(0.16 mg/L) より高いため、ミストの基準値を適用した。 | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG 404) の報告が2件ある。一方の試験において、紅斑及び浮腫はみられず刺激性スコアは0であった (EU-RAR (2003))。もう一方の試験では、適用1時間後に軽微な紅斑 (3/3匹)、24時間後に顕著な紅斑 (1/3匹)、48時間後に軽微な紅斑 (3/3匹) がみられたが、8日後に回復したことから軽度の刺激性と判断されている (EU-RAR (2003))。また、ウサギを用いた別の皮膚刺激性試験 (FDA推奨法3、GLP適合) において、本物質を24時間適用した結果、軽度から中等度の皮膚反応がみられたが、48時間後に反応消失したことから軽度の皮膚刺激性と判断されている (EU-RAR (2003))。また、ヒトにおいて、被験者23人の背部に本物質原液を7日間閉塞適用し、10日目に再適用した結果皮膚反応は観察されなかったとの報告がある (EU-RAR (2003))。以上の結果から、区分外 (国連分類基準の区分3) とした。ガイダンスの改訂により区分を変更した。 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | ウサギに本物質の原液0.1 mLを適用した眼刺激性試験 (OECD TG 405) の結果が2件ある。一方の試験では、結膜発赤及び角膜混濁・結膜腫脹の平均スコアはそれぞれ0.1及び 0.0であった (EU-RAR(2003))。もう一方の試験では、適用1時間後に軽度の結膜発赤 (3/3匹) 及び軽度の眼漏 (1/3匹) がみられたが24時間以降に回復した (EU-RAR (2003))。また、ウサギを用いた別の眼刺激性試験 (FDA推奨法、GLP適合) において、本物質の原液0.1mLを適用した結果、1時間後及び24時間後に軽度の結膜発赤がみられたが、72時間後に回復した (EU-RAR(2003))。以上の結果から、区分2Bとした。 | ||
呼吸器感作性 | データ不足のため分類できない | ||
皮膚感作性 | モルモットを用いた感作性試験 (マキシマイゼーション法、ビューラー法) が2件ある。マキシマイゼーション試験において、皮膚紅斑の陽性反応は認められず、皮膚感作性を示さなかった (EU-RAR (2003))。ビューラー法では、対照群を含めすべてのモルモットに皮膚反応は認められず感作性を示さなかった (EU-RAR (2003))。なお被験者23人の背部に本物質原液を7日間閉塞適用し、10日目に再適用した結果皮膚反応は観察されなかったとの報告がある (EU-RAR (2003))。以上の結果から区分外とした。 | ||
生殖細胞変異原性 | ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、ラット、マウスの遺伝子突然変異試験、マウスの優性致死試験、骨髄細胞及び末梢血を用いる小核試験、ラット骨髄細胞小核試験、ラット、ハムスターの染色体異常試験、ラット、マウスの肝臓DNA損傷試験で、多くは陰性であるが、陽性結果も認められる (NITE初期リスク評価書 (2005)、EU-RAR (2008)、IARC 101 (2013)、NTP DB (Access on September 2014)、ATSDR (2002)、DFGOT vol. 25 (2009)、PATTY (6th, 2012))。in vitroでも、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験、DNA損傷試験、不定期DNA合成試験で、陰性結果が多いが、僅かに陽性結果も存在する (NITE初期リスク評価書 (2005)、NTP DB (Access on September 2014)、ATSDR (2002)、DFGOT vol. 25 (2009)、EU-RAR (2008))。EU-RAR (2008)、NICNAS (2010) では、in vivo、in vitroともに陽性結果が存在するが、遺伝子突然変異、染色体異常、DNA損傷の検出系で多くが陰性であり本物質に変異原性はないとしている。 | ||
発がん性 | IARC (2013) で2B、ACGIH (2001) でA3、日本産業衛生学会 (2001) で第2群 B、EPA (2002) でB2、NTP (2001) でRと分類されている。これらの分類から、EPAの分類からは区分1B、他の機関は区分2となる。評価年の新しいIARCの分類を優先し、区分2とした。 なお、IARCは、本物質及びPPARアゴニストの肝発がん性の機序に関する情報を継続的に収集し、肝臓 (肝細胞腺腫/がん)、精巣 (ライデッヒ細胞腺腫) における腫瘍発生の機序はPPARαを介した機序以外にも複数の機序 (酸化的ストレスによる肝クッパー細胞の活性化によりDNA損傷を生じる機構、PPAR以外の核内受容体 (CAR、PXR等) を介する機構等) が想定されることを示唆する知見が得られたため、肝臓、精巣における増殖性変化はPPARによるげっ歯類特異的な毒性発現機序であるとの仮説だけでは説明できないとして、2011年に本物質の発がん性を従来のグループ3 (IRAC vol. 77 (2000)) からグループ2Bに再変更した (IARC (2011)、IARC vol. 101 (2013))。 | ||
生殖毒性 | マウスを用いた経口経路 (混餌) での連続交配試験において、親動物毒性にみられた用量に関して明確でないが妊娠率の低下、産児数及び生存児数の減少がみられ、交差交配では雌雄両方の生殖能に関する影響が確認された。ラットを用いた経口経路 (混餌) での3世代生殖毒性試験において、精巣毒性がみられ精巣毒性がみられる用量よりも高い用量で生殖能に対する影響がみられた (EU-RAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2005))。 マウスを用いた経口経路 (強制) 催奇形性試験において、母動物毒性がみられない用量で、胎児毒性 (吸収胚の増加、胎児死亡、外表奇形及び内臓奇形の増加) がみられた。雌ラットを用い、妊娠期間中及び授乳期間中に経口経路 (飲水) でばく露した試験において、母動物毒性がみられない用量で児動物毒性 (精巣の精細管上皮の変性、腎臓の糸球体腎炎の兆候を伴う糸球体萎縮) がみられた (EU-RAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2005))。 以上から、区分1Bとした。また、妊娠期間中及び授乳期間中の母動物に対する投与において児動物毒性がみられたことから「追加区分:授乳に対する又は授乳を介した影響」とした。 なお、本物質は、産衛学会勧告 (2014) において生殖毒性物質の第1群として分類されており区分1A相当である。しかし、許容濃度の勧告の分類は暫定期間中であるので採用しなかった。 | ||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | 本物質は気道刺激性がある (環境省リスク評価第1巻:環境リスク初期評価 (2002)、ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on August 2014))。ヒトでは多くの事例が報告されているが、本物質のみによる急性の毒性症状と判断できるものは少ない。多量の経口摂取で腹部の痛み、下痢が報告されている (環境省リスク評価第1巻:環境リスク初期評価 (2002)、ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on August 2014)、ATSDR (2002)、DFGOT vol. 25 (2009)、EHC 131 (1992)、EU-RAR (2008)、NICNAS (2010))。以上より、区分3 (気道刺激性) とした。 | ||
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | ラットの13週間又は2年間混餌投与試験で精巣への影響 (セルトリ細胞の空胞化、両側性無精子症)、及び肝臓への影響 (重量増加、肝細胞肥大) がいずれも区分2の範囲内 (精巣: 28.9-37.6 mg/kg/day、肝臓: 37-63 mg/kg/day) でみられている (ATSDR (2002)、EU-RAR (2008)) ことから、区分2 (肝臓、精巣) に分類した。すなわち、肝臓及び精巣は、本物質の発がん標的臓器であり、その腫瘍発生の機序は、従来はPPARαに関連したもので種差があるとされていたが、最近はそれ以外の複数の機序も想定され、げっ歯類特異的な毒性発現機序とはみなされなくなった (IARC vol. 101 (2013))。GHS旧分類 (GHS分類結果 (経済産業省平成19年度事業、パブリックコメントの検討に基づく3省GHS分類の見直し)、平成20年3月公表)) は、ラット、マウスへの反復投与により肝臓、精巣等にみられる毒性はヒトでは生じないとの従来の仮説を支持し、本項の分類を「分類できない」から「区分外」に変更したが、今回、最近の知見を反映させ、さらに区分2に変更した。 | ||
吸引性呼吸器有害性 | データ不足のため分類できない。 |
12.環境影響情報 | |||
---|---|---|---|
生態毒性 | |||
水生環境有害性(急性) | 水溶解度(0.003mg/L(EU-RAR、2001))までの濃度で急性毒性が報告されていないことから、区分外とした。 | ||
水生環境有害性(長期間) | 難水溶性物質で水溶解度までの濃度で急性毒性が報告されておらず、環境中での分解速度は速くなく(水中での生分解性半減期:50日(EU-RAR、2001))、かつ生物蓄積性がある(BCF=840(EU-RAR、2001))ことから、区分4とした。 | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
---|---|---|---|
残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 本製品を含む廃液及び洗浄排水を直接河川等に排出したり、そのまま埋め立てたり投棄することは避ける。 特別管理産業廃棄物のため、廃棄においては特に「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の特別管理産業廃棄物処理基準に従うこと。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、分類実施中の12項の環境影響情報とに、基づく修正の必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 該当しない | |||
国連品名 | 該当しない | |||
国連危険有害性クラス | 該当しない | |||
副次危険 | 該当しない | |||
容器等級 | 該当しない | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 該当しない | |||
航空規制情報 | 該当しない | |||
陸上規制情報 | 消防法の規定に従う。 | |||
特別安全対策 | 危険物は当該危険物が転落し、又は危険物を収納した運搬容器が落下し、転倒もしくは破損しないように積載すること。 危険物又は危険物を収納した容器が著しく摩擦又は動揺を起こさないように運搬すること。 危険物の運搬中危険物が著しく漏れる等災害が発生するおそれがある場合には、災害を防止するための応急措置を講ずると共に、もよりの消防機関その他の関係機関に通報すること。 移送時にイエローカードの保持が必要。 | |||
緊急時応急措置指針番号 | 該当しない |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
化審法 | 優先評価化学物質 | |||
労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3) | |||
化学物質排出把握管理促進法 | 第1種指定化学物質 | |||
消防法 | 第4類引火性液体、第四石油類 |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | 各データ毎に記載した。 | |||
<モデルSDSを利用するときの注意事項> 本安全モデルデータシートは作成年月日時点における情報に基づいて記載されておりますので、事業場においてSDSを作成するに当たっては、新たな危険有害性情報について確認することが必要です。さらに、本安全データシートはモデルですので、実際の製品等の性状に基づき追加修正する必要があります。また、特殊な条件下で使用するときは、その使用状況に応じた情報に基づく安全対策が必要となります。 |