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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
6,7,8,9,10,10-ヘキサクロロ-1,5,5a,6,9,9a-ヘキサヒドロ-6,9-メタノ-2,4,3-ベンゾジオキサチエピン=3-オキシド
作成日 2002年12月12日
改訂日 2006年08月21日
改訂日 2021年03月12日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称6,7,8,9,10,10-ヘキサクロロ-1,5,5a,6,9,9a-ヘキサヒドロ-6,9-メタノ-2,4,3-ベンゾジオキサチエピン=3-オキシド (別名: エンドスルファン) (Endosulfan)
製品コードR02-B-080
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファックス番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限農薬 (殺虫剤) (NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
R3.3.12、政府向けGHS分類ガイダンス (令和元年度改訂版 (ver2.0)) を使用
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用)
物理化学的危険性-
健康に対する有害性急性毒性 (経口)区分2
急性毒性 (経皮)区分2
急性毒性 (吸入: 粉じん、ミスト)区分1
生殖細胞変異原性区分2
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)区分1 (神経系)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)区分1 (神経系、血液系、腎臓、生殖器 (男性))
区分2 (肝臓)
分類実施日
(環境有害性)
平成18年度、GHS分類マニュアル (H18.2.10版)
環境に対する有害性水生環境有害性 (急性)区分1
水生環境有害性 (長期間)区分1
GHSラベル要素
絵表示どくろ健康有害性環境
注意喚起語危険
危険有害性情報飲み込むと生命に危険
皮膚に接触すると生命に危険
吸入すると生命に危険
遺伝性疾患のおそれの疑い
神経系の障害
長期にわたる、又は反復ばく露による神経系、血液系、腎臓、生殖器 (男性)の障害
長期にわたる、又は反復ばく露による肝臓の障害のおそれ
水生生物に非常に強い毒性
長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性
注意書き
 安全対策使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
容器を密閉しておくこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
眼、皮膚、衣類につけないこと。
取扱後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
環境への放出を避けること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
呼吸用保護具を着用すること。
 応急措置ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
特別な処置が緊急に必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。直ちに医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。直ちに医師に連絡すること。
飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
漏出物を回収すること。
 保管換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
単一製品・混合物の区別単一製品
化学名又は一般名6,7,8,9,10,10-ヘキサクロロ-1,5,5a,6,9,9a-ヘキサヒドロ-6,9-メタノ-2,4,3-ベンゾジオキサチエピン=3-オキシド
別名エンドスルファン
ベンゾエピン
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C9H6Cl6O3S (406.92)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号115-29-7
官報公示整理番号
(化審法)
情報なし
官報公示整理番号
(安衛法)
8-(8)-26
分類に寄与する不純物及び安定化添加物情報なし

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
直ちに医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
直ちに医師に連絡すること。
汚染された衣服を脱がせる。
眼に入った場合数分間多量の水で洗い流し (できればコンタクトレンズをはずして)、医療機関に連絡する。
飲み込んだ場合直ちに医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
吐かせる(意識がある場合のみ!)。
安静。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入: 「経口摂取」参照。
皮膚: 吸収される可能性あり!「経口摂取」参照。
経口摂取: 紫色(チアノーゼ)の唇、爪および皮膚、錯乱、頭痛、脱力感、めまい、吐き気、嘔吐、下痢、痙攣、息苦しさ、意識喪失。
応急措置をする者の保護情報なし
医師に対する特別な注意事項アルコール飲料の摂取により有害作用が増大する。

5.火災時の措置
適切な消火剤小火災: 粉末消火剤、二酸化炭素、散水
大火災: 散水、水噴霧、一般の泡消火剤
使ってはならない消火剤棒状注水
特有の危険有害性不燃性。
有機溶剤を含む液体製剤は、引火性のことがある。
火災時に、刺激性あるいは有毒なフュームやガスを放出する。
特有の消火方法水を噴霧して容器類を冷却する。
消火を行う者の保護情報なし

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式空気呼吸器付化学防護服を使用することとの記載あり)
環境に対する注意事項周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材下水に流してはならない。
こぼれた物質を、ふた付きの密閉式容器内に掃き入れる。
湿らせてもよい場合は、粉塵を避けるために湿らせてから掃き入れる。
残留分を、注意深く集める。
地域規則に従って保管処理する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
容器を密閉しておくこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
眼、皮膚、衣類につけないこと。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
環境への放出を避けること。
汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
製剤に溶剤が使用されている場合は、その溶剤のICSCも参照のこと。
作業衣を家に持ち帰ってはならない。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
保管
安全な保管条件換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
施錠して保管すること。
消火により生じる流出物を収容するための用意
酸、塩基、鉄および?品や飼料から離しておく。
乾燥
安全な容器包装材料国連危険物輸送勧告で規定された容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度未設定
許容濃度
日本産衛学会 (2020年度版)第3種粉じん: その他の無機及び有機粉じん*
吸入性粉じん: 2 mg/m3
総粉じん: 8 mg/m3
* 多量の粉じんの吸入によるじん肺を予防する観点から、この値以下とすることが望ましいとされる濃度。
ACGIH (2020年版)TLV-TWA: 0.006 ppm*, 0.1 mg/m3*
*(Inhalable fraction and vapor) (Skin)
設備対策粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器又は局所排気装置を使用する。
保護具
呼吸用保護具状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式空気呼吸器を使用することとの記載あり)
手の保護具保護手袋を着用する。
眼の保護具保護眼鏡や保護面を着用する。(ICSCには、呼吸用保護具と併用して、顔面シールドまたは保護眼鏡を使用することとの記載あり)
皮膚及び身体の保護具保護衣(化学防護服)を着用する。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式空気呼吸器付化学防護服を使用することとの記載あり)

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
無色
臭い特徴的な臭気
融点/凝固点106℃ (ICSC (1998))
沸点、初留点及び沸騰範囲106 ℃ (0.7 mmHg) (部分的に分解) (HSDB (Access on May 2020))
可燃性不燃性 (ICSC (1998))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界該当しない
引火点該当しない
自然発火点該当しない
分解温度データなし
pHデータなし
動粘性率該当しない
溶解度水: 溶けない (ICSC (1998))
クロロホルム、アセトン、酢酸エチル、ジクロロメタン、トルエン、エタノール及びヘキサンに可溶 (HSDB (Access on May 2020))
n-オクタノール/水分配係数log Pow = 3.55/3.62 (ICSC (1998))
蒸気圧1.73E-007 mmHg (25℃) (HSDB (Access on May 2020))
密度及び/又は相対密度1.7 g/cm3 (ICSC (1998))
相対ガス密度該当しない
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性情報なし
危険有害反応可能性加熱すると、分解する。
イオウ酸化物および塩素などの有毒なフュームを生じる。
塩基と反応する。
二酸化イオウのフュームを生じる。
中毒の危険を生じる。
鉄を侵す。
避けるべき条件加熱、混触危険物質との接触
混触危険物質塩基
危険有害な分解生成物イオウ酸化物および塩素などの有毒なフューム、二酸化イオウのフューム

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
(1)〜(7) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 雌: 10 mg/kg (JMPR (1999))
(2) ラットのLD50: 雌: 10〜23 mg/kg、雄: 40〜120 mg/kg (ACGIH (7th, 2009))
(3) ラットのLD50: 雌: 10〜240 mg/kg、雄: 40〜1,740 mg/kg (ATSDR (2015))
(4) ラットのLD50: 雌: 18 mg/kg、雄: 43〜121 mg/kg (EHC 40 (1984))
(5) ラットのLD50: 雌: 30 mg/kg、雄: 82 mg/kg (EPA Pesticides RED (2002))
(6) ラットのLD50: 40〜355 mg/kg (EHC 40 (1984))
(7) ラットのLD50: 80 mg/kg (IPCS PIM 576 (2000))
経皮【分類根拠】
(1)〜(7) より、区分2とした。
なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 雌: 74 mg/kg (EHC 40 (1984))
(2) ラットのLD50: 雌: 78 mg/kg、雄: 130 mg/kg (ACGIH (7th, 2009))
(3) ラットのLD50: 130〜681 mg/kg (EHC 40 (1984))
(4) ラットのLD50: 雌: 500 mg/kg (JMPR (1999))
(5) ウサギのLD50: 147〜359 mg/kg (EHC 40 (1984))
(6) ウサギのLD50: 290 mg/kg (IPCS PIM 576 (2000))
(7) ウサギのLD50: 2,000 mg/kg (EPA Pesticides RED (2002))
吸入: ガス【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト【分類根拠】
(1)〜(6) より、区分1とした。
なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (3.8E-006 mg/L) よりも高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (鼻部ばく露、4時間): 雌: 0.0126 mg/L、雄: 0.0345 mg/L (ACGIH (7th, 2009)、ATSDR (2015)、IPCS PIM 576 (2000))
(2) ラットのLC50 (4時間): 雌: 0.013 mg/L (JMPR (1999))
(3) ラットのLC50 (4時間): 0.013〜0.035 mg/L (GESTIS (Access on May 2020))
(4) ラットのLC50 (4時間): 0.08 mg/L (GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020))
(5) ラットのLC50 (4時間): 0.16〜0.5 mg/L (EPA Pesticides RED (2002))
(6) ラットのLC50 (4時間): 0.35 mg/L (EHC 40 (1984))
(7) 本物質の蒸気圧: 1.73E-007 mmHg (25℃) (HSDB (Access on May 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 3.8E-006 mg/L)
皮膚腐食性及び皮膚刺激性【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 本物質のウサギを用いた皮膚刺激性試験において刺激性を示さない (JMPR (1999)、GESTIS (Access on May 2020))。


【参考データ等】
(2) EPA OPPTS 870.2500に準拠した本物質の製剤 (有功濃度 50 %) のウサギを用いた皮膚刺激性試験で刺激性を示さない (EPA Pesticides RED (2002))。
(3) ラットの皮膚に本物質を6h/日、5日間の適用で、雌では62.5 mg/kg/day、雄では250 mg/kg/dayにおいて、軽度から中等度の紅斑、軽度の浮腫、乾燥及び落屑がみられたが、雌で48 mg/kg/day及び雄で 192 mg/kg/dayまでの適用量では刺激性はみられなかった。また、モルモットに本物質を 587 mg/kg/dayの用量で6h/日、3日/週、3週間適用した実験で紅斑及び浮腫はみられていない (ATSDR (2015))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 本物質のウサギを用いた眼刺激性試験で刺激性を示さない (JMPR (1999))。
(2) 本物質の20%水懸濁液のウサギの眼への適用は刺激性を示さない (ATSDR (2015))。

【参考データ等】
(3) 本物質のウサギを用いた眼刺激性試験で軽度の刺激性を示す (GESTIS (Access on May 2020))。
(4) EPA OPPTS 870.2400に準拠した本物質の製剤 (有功濃度 50 %) のウサギを用いた眼刺激性試験で刺激性を示し、角膜混濁は適用13日まで認められた (EPA Pesticides RED (2002))。
呼吸器感作性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性【分類根拠】
(1)〜(3) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 本物質のモルモットを用いた皮膚感作性試験において感作性を示さない (JMPR (1999)、GESTIS (Access on May 2020))。
(2) 本物質の職業性皮膚炎を有する農夫14人に対するパッチテストで感作性は認められていない (ATSDR (2015))
(3) モルモットに本物質を 587 mg/kg/dayの用量で6h/日、3日/週、3週間適用した実験で感作性は認められなかった (ATSDR (2015))。

【参考データ等】
(4) EPA OPPTS 870.2600に準拠した本物質の製剤 (有効濃度 50 %) のモルモットを用いた皮膚感作性試験で感作性を示さない (EPA Pesticides RED (2002))。
生殖細胞変異原性【分類根拠】
(1), (2) より専門家判断に基づき区分2とした。生殖細胞における染色体異常誘発性は相反しており、明確な証拠とは判断されなかった。新たな情報の追加により、分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、ラット5日間吸入ばく露の精原細胞及び骨髄細胞による染色体異常試験で陰性 (ATSDR (2015)、IPCS PIM 576 (2000)、EHC 40 (1984)、HSDB (Access on May 2020))、マウス5日間経口投与の精原細胞による染色体異常試験で60日後に陽性 (ATSDR (2015)、ACGIH (7th, 2009))。マウスまたはハムスターの骨髄細胞による染色体異常試験でそれぞれ陽性 、マウス経口投与の骨髄細胞による小核試験で陰性、ラット経口投与の骨髄細胞による小核試験、マウス腹腔内投与の骨髄細胞による小核試験でそれぞれ陽性の報告がある (ATSDR (2015))。マウス優性致死試験で陰性の報告がある (IPCS PIM 576 (2000)、EHC 40 (1984))。ラットまたはマウスの骨髄細胞で異常な分裂中期像の有意な変化の報告がある (ATSDR (2015))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性、陰性 (ATSDR (2015)、HSDB (Access on May 2020)、CEBS (Access on May 2020))、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陰性 (CEBS (Access on May 2020))、姉妹染色分体交換試験で陽性、陰性 (ATSDR (2015)、ACGIH (7th, 2009)、CEBS (Access on May 2020))、小核試験で陽性の報告がある (ATSDR (2015))。
発がん性【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、ACGIHでA4 (ACGIH (7th, 2009))、EPAでNL (Not Likely to be Carcinogenic to Humans) (EPA Annual Cancer Report 2019 (Access on August 2020):2000年分類) に分類されている。
生殖毒性【分類根拠】
(1)〜(3) より、分類根拠とする影響はみられていないことから、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた混餌による2世代生殖毒性試験において、親動物に体重増加抑制がみられたが、生殖影響はみられていない (IRIS (1994)、ACGIH (7th, 2009))。
(2) 雌ラットの妊娠6〜17日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (死亡、洗顔、活動亢進、被毛粗剛、体重減少等) がみられる用量で、胎児に胎児重量減少、頭臀長減少、胸骨骨化遅延、過剰肋骨がみられている (IRIS (1994))。ACGIH (7th, 2009) では、母動物毒性 (死亡等) がみられたが、発生影響はみられていないとしている。
(3) 雌ウサギの妊娠6〜28日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (死亡、呼吸雑音、呼吸促拍、活動亢進等) がみられる用量においても胎児に影響はみられていない (IRIS (1994))。

【参考データ等】
(4) 雄ラットの70日間経口投与試験では、精子数の減少及び精巣酵素活性の変化、精巣内精子数、精子産生量の減少、異常精子の発生率増加がみられたとの報告がある (ACGIH (7th, 2009))。
(5) ATSDR (2015) には、「入手可能な生殖試験に関する情報は、本物質が動物の生殖能に有害影響を及ぼさないことを示している。しかし、雄の生殖エンドポイント (精子パラメータ、精巣の病理組織学的変化、性ホルモン濃度) に対する有害影響がラット、マウス、ウサギ、モルモットで認められている。雄の生殖能を調べた試験で影響がみられなかったのは、少なくともラットでは、正常な受精能及び同腹児数に必要な精子数の10倍以上の精子が生産及び射出されたためと考えられる」と記載されている。

特定標的臓器毒性 (単回ばく露)【分類根拠】
(1)、(2) より、ヒトにおいて、神経系への影響と随伴症状として胃腸症状、呼吸機能障害、心血管系障害がみられ、(3)〜(4) より、実験動物では経口及び吸入経路とも区分1の範囲で神経系への影響が認められている。したがって、区分1 (神経系) とした。

【根拠データ】
(1) 本物質の摂取による急性致死性中毒の5例の報告において、初期臨床症状として、吐き気、嘔吐、下痢、興奮、もがくような動作、意識消失、チアノーゼ、呼吸困難、口の中での泡立ち、呼吸音の雑音などがあった。3例の剖検では、脳及び肺の浮腫、腎髄質の出血、急性肺気腫及びニューロンの虎斑融解 (chromatolysis) が認められた (ACGIH (7th, 2009))。
(2) 神経系への障害は重要な症候群 (めまい、錯乱、易刺激性、霧視および強直間代痙攣への筋攣縮) であった。随伴症状は、胃腸症状 (悪心、嘔吐、腹痛、下痢)、呼吸機能障害 (呼吸困難、呼吸数増加)、心血管系障害 (頻脈または徐脈) であった。発作や意識障害の場合、脳波の変化、見当識障害、興奮が数日間持続することがある。1例では、情緒及び認知障害 (部分健忘、協調障害、複雑な活動ができないこと)が2年後にも臨床的に診断された (GESTIS (Access on May 2020))。
(3) 実験動物の経口LD 50は雄マウスで8.4 mg/kg、雄ラットで40〜120 mg/kg、雌ラットで10〜23 mg/kg、雄イヌで76.7 mg/kg でいずれも区分1の範囲であり、急性致死性の中毒徴候として、興奮性亢進、呼吸困難、呼吸数減少、振戦、強直性間代性痙攣がみられる (ACGIH (7th, 2009))。
(4) ラットを用いた急性吸入ばく露後に、不規則呼吸が雌雄ラットの両方で観察された。3.6 mg/m 3群の雌と12.3 mg/m 3群の雄で、呼吸困難、振戦、運動失調がみられた (いずれも区分1の範囲)。さらに高濃度では (濃度記載なし)、振戦、強直性間代性痙攣、反射の低下 (角膜反射、瞳孔反射、踏み直り反射、ショック反射、痛覚反射及び皮膚反射) が認められた (ACGIH (7th, 2009))。

特定標的臓器毒性 (反復ばく露)【分類根拠】
本物質のヒトでの反復ばく露に関する報告はない。実験動物では、(1)〜(10) より区分1の用量で神経系、血液系、腎臓、生殖器 (男性) 、区分2の用量で肝臓への影響がみられていることから、区分1 (神経系、血液系、腎臓、生殖器 (男性))、区分2 (肝臓) とした。情報の再検討により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットの3ヵ月間混餌投与試験では、60 ppm (雄/雌: 3.8/4.6 mg/kg/day相当、いずれも区分1の範囲) 以上で近位尿細管細胞の色素沈着、さらに雌では脳アセチルコリンエステラーゼ活性の増加がみられ、360 ppm (雄/雌: 23/27 mg/kg/day相当、いずれも区分2の範囲) の雄では尿量及び尿蛋白濃度の増加、尿細管細胞質内の好酸性滴状物を伴う黄色の蛋白質凝集、雌では血漿及び赤血球コリンエステラーゼ (ChE) 活性の低下がみられたとの報告がある (JMPR (1998))。
(2) ラットの13週間経口投与試験では、0.8 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上でヘモグロビン濃度の低下、1.9 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上で平均赤血球ヘモグロビン濃度の低下、さらに雄では赤血球数の低下、平均赤血球容積の増加がみられたとの報告がある (ATSDR (2015))。
(3) マウスの3ヵ月間混餌投与試験では、54 ppm (雄/雌: 7.3/7.5 mg/kg/day、いずれも区分1の範囲) で痙攣や流涎がみられたとの報告がある (JMPR (1998))。
(4) マウスの12ヵ月間混餌投与試験では、300 ppm (42 mg/kg/day、区分2の範囲) で肝臓において巨細胞浸潤、褐色色素で満たされた巨大組織球性細胞、リンパ節において巨細胞浸潤及び細網内皮細胞増殖がみられたとの報告がある (JMPR (1998))。
(5) ラットの30日間経皮ばく露試験では、雄では致死量の190 mg/kg/day (90日換算値: 44.3 mg/kg/day、区分2の範囲) で振戦、強直性間代性痙攣、過呼吸、血清、赤血球及び脳ChE活性の低下、雌では48 mg/kg/day (90日換算値: 11.2 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上で血清ChE活性の低下がみられたとの報告がある (JMPR (1998))。
(6) ラットの30日間経皮ばく露試験では、雄の致死量である9 mg/kg/day (90日換算値: 2.1 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上で肝辺縁の肝実質細胞肥大、細胞質の好塩基性の喪失、血清及び脳内ChE活性の低下がみられたとの報告がある (JMPR (1998))。
(7) 雄ラットの70日間経口投与試験では、2.5 mg/kg/day (90日換算値: 1.4 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上で精子数の減少及び精巣酵素活性の変化、5 mg/kg/day (90日換算値: 2.8 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上で精巣内精子数、精子産生量の減少、異常精子の発生率増加がみられたとの報告がある (ACGIH (7th, 2009))。
(8) ラットの78週間混餌投与試験では、雌では影響がみられなかったが、220 ppm (ガイダンス換算値: 11 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上の雄で中毒性腎症(混濁腫脹、脂肪変性及び尿細管上皮の壊死を伴う近位尿細管の変性、硝子円柱、尿細管上皮の再生像)、胃、腎臓、精巣、大動脈、腸間膜動脈の石灰沈着、上皮小体過形成、精細管における生殖細胞の変性・壊死及び多核細胞に特徴付けられる精巣萎縮とそれに伴う精子形成の欠如がみられたとの報告がある (JMPR (1998)、NTP TR62 (1978))。
(9) 雄ラットの78週間経口投与試験では、20 mg/kg/day (区分2の範囲) で精巣の萎縮、精細管を覆う生殖細胞の変性・壊死がみられたとの報告がある (JMPR (1998))。
(10) マウスの3週間経口投与試験では、0.8 mg/kg/day (区分1の範囲) で精子の数及び運動性の減少、精子異常の頻度増加がみられたとの報告がある (ATSDR (2015))。

【参考データ等】
(11) ATSDR (2015) では、ラット、マウス、ウサギ、モルモットで雄の生殖エンドポイント (精子パラメータ、精巣の病理組織学的変化、性ホルモン濃度) に対する有害影響が認められており、この影響について、種間ではマウスの感受性が高く、また、若齢動物は老齢動物よりも感受性が高い可能性が指摘されている。


誤えん有害性*【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。本有害性項目の内容に変更はない。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 (急性)甲殻類 (ブラウンシュリンプ) の96時間LC50 = 0.2 μg/L (EHC40 (1984)) から、区分1とした。
水生環境有害性 (長期間)急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの (log Kow = 3.83 (PHYSPROP Database (2005)))、急速分解性がないと推定される (BIOWIN) ことから、区分1とした。
オゾン層への有害性-

13.廃棄上の注意
残余廃棄物廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号2761
国連品名ORGANOCHLORINE PESTICIDE, SOLID, TOXIC
国連危険有害性クラス6.1
副次危険-
容器等級I
海洋汚染物質該当する
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質-
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報毒物及び劇物取締法、道路法の規定に従う。
特別な安全上の対策毒物及び劇物取締法、道路法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*151
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2016 Emengency Response Guidebook (ERG 2016)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働基準法疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1)【6,7,8,9,10,10−ヘキサクロル−1,5,5a,6,9,9a−ヘキサヒドロ−6,9−メタノ−2,4,3−ベンゾジオキサチエピン3−オキシド】
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)【513 ヘキサクロロヘキサヒドロメタノベンゾジオキサチエピンオキサイド】
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)【513 ヘキサクロロヘキサヒドロメタノベンゾジオキサチエピンオキサイド】
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)
作業場内表示義務(法第101条の4)
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)第1種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)【388 6,7,8,9,10,10−ヘキサクロロ−1,5,5a,6,9,9a−ヘキサヒドロ−6,9−メタノ−2,4,3−ベンゾジオキサチエピン=3−オキシド】
毒物及び劇物取締法毒物(法第2条別表第1)【24 ヘキサクロルヘキサヒドロメタノベンゾジオキサチエピンオキサイド】
毒物(指定令第1条)【26 ヘキサクロルヘキサヒドロメタノベンゾジオキサチエピンオキサイドを含有する製剤】
化学物質審査規制法第1種特定化学物質(法第2条第2項・施行令第1条)【29 6,7,8,9,10,10−ヘキサクロロ−1,5,5a,6,9,9a−ヘキサヒドロ−6,9−メタノ−2,4,3−ベンゾジオキサエピン=3−オキシド】
道路法車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)【5 ベンゾエピン】
航空法毒物類・毒物(施行規則第194条危険物告示別表第1)【【国連番号】2761 殺虫殺菌剤(有機塩素系)(固体)(毒性のもの)】
船舶安全法毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1)【【国連番号】2761 有機塩素系殺虫殺菌剤類(固体)(毒性のもの)】
港則法その他の危険物・毒物類(毒物)(法第21条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)【2チ 有機塩素系殺虫殺菌剤類(固体)(毒性のもの)】
海洋汚染防止法個品運送P(施行規則第30条の2の3、国土交通省告示)【【国連番号】2761 有機塩素系殺虫殺菌剤類(固体)(毒性のもの)】
農薬取締法販売禁止農薬(法第18条第2項、平成15年3月5日省令第11号)【27 6,7,8,9,10,10−ヘキサクロロ−1,5,5a,6,9,9a−ヘキサヒドロ−6,9−メタノ−2,4,3−ベンゾジオキサチエピン=3−オキシド(別名ベンゾエピン又はエンドスルファン)】

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)
International Chemical Safety Cards (ICSC)
Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
GESTIS Substance database (GESTIS)
ERG 2016版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用