職場のあんぜんサイト

安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
2-(2-エトキシエトキシ)エタノール
作成日 2024年3月29日
化学品の名称2-(2-エトキシエトキシ)エタノール
化学品の英語名称2-(2-Ethoxyethoxy)ethanol
製品コードR05-D-003-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限ブレーキ液,各種樹脂溶剤,可塑剤原料(NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
R1.3.29、ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
物理化学的危険性引火性液体区分4
健康に対する有害性眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分2B
特定標的臓器毒性
(反復ばく露)
区分1(呼吸器)
分類実施日
(環境有害性)
R1.3.29、ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
環境に対する有害性-
GHSラベル要素
絵表示健康有害性
注意喚起語危険
危険有害性情報可燃性液体
眼刺激
長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器の障害
注意書き
 安全対策熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
取扱い後は手をよく洗うこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
 応急措置火災の場合:消火するために適切な消火剤を使用すること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。
気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。
 保管換気の良い場所で保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性-

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名2−(2−エトキシエトキシ)エタノール
慣用名又は別名エチルジグリコール
ジエチレングリコール=モノエチル=エーテル
英語名2-(2-Ethoxyethoxy)ethanol
2-(2-Ethoxyethoxy) ethanol
3, 6-Dioxa-1-octanol
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C6H14O3 (134)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号111-90-0
官報公示整理番号(化審法)2-422
官報公示整理番号(安衛法)情報なし
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)情報なし

4.応急措置
吸入した場合新鮮な空気のある場所に移動させる。呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。呼吸が止まっている場合は、口鼻蘇生法を行う。それが不可能な場合は、口から口への蘇生を行う。医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
皮膚に付着した場合汚染された衣服を脱がせる。皮膚に付着した部分を流水で十分に洗浄する。医師の診察を受けること。
以上、GESTIS参照。
眼に入った場合流水で10分間洗浄する。できればコンタクトレンズを外す。医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS、ICSC参照。
飲み込んだ場合口をすすぐ。コップ一杯の水(約200mL) を飲ませる。無理に吐かせない。食用油、ひまし油、牛乳またはアルコールは使用しない。医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入:粘膜の刺激、咳、息切れ、極端な暴露は中毒性 ARDS(急性呼吸窮迫症候群)を引き起こす可能性。
皮膚:乾燥、皮膚刺激性、経皮吸収の可能性。
眼:充血。
経口摂取:粘膜刺激、腹痛、吐き気と嘔吐、下痢。
吸収:意識混濁〜昏睡、呼吸抑制、アシドーシス、乏尿、アルブミン尿、急性腎不全、肝臓損傷、溶血。
以上、GESTIS、ICSC参照。
応急措置をする者の保護に必要な注意事項情報なし
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、粉末消火薬剤、二酸化炭素。大規模火災には耐アルコール泡消火薬剤、水噴霧。
以上、GESTIS参照。
使ってはならない消火剤棒状注水
以上、PubChem参照。
火災時の特有の危険有害性火災の場合、有害物質(一酸化炭素、二酸化炭素)が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。
特有の消火方法周囲の容器を水スプレーで冷却する。可能であれば、容器を危険区域外に持ち出す。加熱により圧力が上昇し破裂する恐れがある。着火源となるものを遮断する。
以上、GESTIS参照。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置情報なし
環境に対する注意事項水域に対する危険性は低い。非常に多量に水、排水、下水、または地中に入った場合は、自治体に連絡する。
以上、GESTIS参照。
封じ込め及び浄化の方法及び機材すべての着火源を取り除く(現場での喫煙、火花や火炎の禁止)。
危険でなければ漏れを止める。
少量の場合、ウエス、雑巾等でよく拭き取り適切な廃棄容器に回収する。
大量の場合、盛土等で囲って流出を防止する。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。
二次災害の防止策付近の着火源となるものを速やかに除くとともに消火剤を準備する。
火花を発生しない安全な用具を使用する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱注意事項容器を開けたままにしない。使用時は十分な換気をすること。
熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
機器類は防爆構造とし、設備は静電気対策を実施する。
周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。
静電気放電に対する予防措置を講ずること。
以上、GESTIS、日化協発行ガイドライン参照
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策休憩前や作業終了時には石鹸と水で皮膚を洗い、洗浄後は脂肪分の多いスキンケア製品を塗布する。濡れた衣類は着替え、完全に乾くまで再使用しないこと。蒸気またはミストの吸入を避ける。使用するときには飲食、喫煙をしないこと。
以上、GESTIS、GHS分類結果参照。
保管
安全な保管条件容器を密閉して換気の良い場所に保管すること。強酸化剤から離しておく。
以上、GESTIS、ICSC、GHS分類結果参照。
安全な容器包装材料消防法で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度-
濃度基準値
八時間濃度基準値-
短時間濃度基準値-
許容濃度等
日本産衛学会(2023年版)-
ACGIH(2023年版)-
設備対策作業場所には適切な換気装置を設置する(特に高温時)。取り扱い場所には洗浄のための設備を設ける。
以上、GESTIS参照。
保護具
呼吸用保護具必要に応じて状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用する。
防毒マスクの選択については、以下の点に留意する。
−防毒マスクは、電動ファン又は面体が国家検定合格品であることを確認し、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。
−濃度に対応した・・・用吸収缶を使用する
注) ”…”の吸収缶は国家検定合格品又は日本産業規格(JIS T8152)に適合した物質に対応した吸収缶を記載します。SDS作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
−作業者が粉じんにばく露される環境で防毒マスクを使用する場合には、防じん機能付き吸収缶を使用する
−酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。
手の保護具保護手袋を着用する。ブチルゴム、フッ素ゴムが適している。天然ゴム、クロロプレン、ニトリルゴム、PVCは適さない。
以上、GESTIS参照。
眼の保護具サイドガード付きの保護眼鏡を着用する。
以上、GESTIS参照。
皮膚及び身体の保護具エプロンまたは白衣を着用する。
以上、GESTIS参照。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態液体
無色
臭いフルーティーな香り
融点/凝固点-76 ℃(ICSC(2004)、GESTIS(2023))
沸点、初留点及び沸騰範囲202 ℃(GESTIS(2023))
196〜202 ℃(ICSC(2004))
可燃性可燃性(ICSC(2014))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界1.3 vol%(GESTIS(2023))
引火点90 ℃(密閉式)(GESTIS(2023))
96 ℃(開放式)(ICSC(2004))
91 ℃(密閉式)(HSDB(2002))
自然発火点190 ℃(GESTIS(2023))
204 ℃(ICSC(2004))
分解温度データなし
pHデータなし
動粘性率3.85 mPa*s(25℃)(GESTIS(2023))
溶解度水:(混和)(ICSC(2004)、GESTIS(2023))
アセトン:(混和)(HSDB(1994))
クロロホルム:(混和)(HSDB(2001))
n-オクタノール/水分配係数log Kow: 0.54(GESTIS(2023))
log Kow: 0.15(ICSC(2004))
蒸気圧0.19 hPa(ICSC(2004)、GESTIS(2023))
密度及び/又は相対密度0.99 g/cm3(20℃)(GESTIS(2023))
0.9885 g/cm3(20℃)(HSDB(2005))
相対ガス密度4.62 (空気=1)(GESTIS(2023))
4.6 (空気=1)(ICSC(2004))
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性酸化剤と反応する
危険有害反応可能性この物質は強酸化剤、酸、アルミニウム(水素形成)酸無水物および酸塩化物と危険な反応を起こす可能性がある
避けるべき条件火気、加熱、高温、静電気、爆発性混合気の形成。
混触危険物質過塩素酸
危険有害な分解生成物情報なし

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
(1)〜(8)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)ラットのLD50:10,502 mg/kg (SIAR(2005)、DFG(2007)、Patty(6th, 2012))。
(2)ラットのLD50:7,410 mg/kg (SCCS(2013)、ECETOC TR 95 vol. II(2005))。
(3)ラットのLD50:5,400〜5,500 mg/kg (SCCS(2013)、ECETOC TR95 vol. II(2005))。
(4)ラットのLD50:6,000 mg/kg (SCCS(2013)、ECETOC TR95 vol. II(2005))。
(5)ラットのLD50:6,310 mg/kg (SCCS(2013)、ECETOC TR95 vol. II(2005))。
(6)ラットのLD50:8,690 mg/kg (SCCS(2013)、Patty(6th, 2012))。
(7)ラットのLD50:5,540 mg/kg (SCCS(2013)、Patty(6th, 2012))。
(8)ラットのLD50:> 5,000 mg/kg (SCCS(2013))。
経皮【分類根拠】
(1)〜(4)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)ウサギのLD50:9,143 mg/kg (SIAR(2005)、DFG(2007)、Patty(6th, 2012))
(2)ウサギのLD50:8,300 mg/kg (SCCS(2013)、ECETOC TR95 vol. II(2005))
(3)ウサギのLD50:4,200 mg/kg (SCCS(2013))
(4)ラットのLD50:6,000 mg/kg (SCCS(2013)、ECETOC TR95 vol. II(2005))
吸入: ガス【分類根拠】
GHSの定義における液体である。
吸入: 蒸気【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト【分類根拠】
(1)より、区分に該当しない。なお、試験濃度は飽和蒸気濃度は126 ppm(0.69 mg/L)よりも遥かに高い濃度であり、ミスト基準を適用した。

【根拠データ】
(1)ラットのLC50(4時間):5.24 mg/L(SCCS(2013)、BG Chemie Toxicological Evaluations(1995))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性【分類根拠】
(1)〜(4)より刺激性を示さないとの情報、(5)〜(7)より軽度の刺激性を示すとの情報が得られており、ガイダンスに従い、区分に該当しない(国連分類基準の区分3)。

【根拠データ】
(1)ヒト25人に本物質調剤(20%ワセリン)を48時間閉塞適用したところ、刺激性は見られなかったとの報告がある(SIAR(2005)、DFG(2007))。
(2)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(n=6)で本物質50%水溶液を24時間閉塞適用したところ、72時間後までの紅斑、浮腫平均スコアは共に0だったとの報告がある(SCCS(2013))。
(3)本物質はヒトで皮膚一次刺激性を示さないとの報告がある(ECETOC TR95 vol. II(2005))。
(4)ウサギの皮膚への適用時間を延長したり、反復ばく露しても、本物質は刺激性を示さないとの記述がある(Patty(6th, 2012))。
(5)ヒトボランティア10人に本物質を48時間閉塞適用したところ、1例で軽度(グレード1)の紅斑が見られただけだったとの報告がある(SCCS(2013))。
(6)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(n=6)でに本物質原液を24時間閉塞適用したところ、無傷部位のうち1箇所で紅斑又は痂皮又は浮腫のスコアが2を示したが、その他のスコアは0、平均スコアも0.3だったとの報告がある(SIDS Dossier(2005))。
(7)ウサギの皮膚に最大11,300 mg/kg、モルモットの皮膚に最大1,000 mg/kgを閉塞適用したところ、軽度の刺激性がみられたとの報告がある(SIDS Dossier(2005)、DFG(2007))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
(1)〜(5)より、本物質は軽度の眼刺激性を示すこと、また(1)、(2)より細区分可能と判断し、区分2Bとした。なお、区分2を示唆する情報(6)も得られているが、信頼性が高い複数のデータ(1)、(2)及びそれを支持するデータ(3)〜(5)を重視した。

【根拠データ】
(1)ウサギを用いた眼刺激性試験(OECD TG405、GLP準拠、n= 3)で本物質原液を適用したところ、24時間後に結膜の浮腫(スコア1)が1/3、結膜の発赤(スコア1)が3/3で見られたが、48時間で回復したとの報告がある(SCCS(2013))。
(2)ウサギを用いた眼刺激性試験(OECD TG405、GLP準拠、n= 3)で本物質30%水溶液を適用したところ、1時間後に結膜の発赤(スコア1)が2/3、浮腫(スコア1)が2/2で見られたが、24時間後には回復したとの報告がある(SCCS(2013))。
(3)ウサギ用いた眼刺激性試験(Directive 79/831/EEC B.5(OECD TG405相当)、GLP準拠、n= 6)で本物質原液を用いたところ、結膜の紅斑、浮腫及び角膜混濁の平均スコアはそれぞれ1.37、0.17及び0.22だったとの報告がある(SIDS Dossier(2005))。
(4)ウサギを用いた眼刺激性試験で本物質原液を適用したところ、軽度の刺激性(障害の程度:10段階中レベル2)が見られたとの報告がある(SIDS Dossier(2005))。
(5)本物質はウサギの眼に軽度の刺激性を示し、軽度の疼痛反応、結膜の発赤、角膜の肥厚が認められたとの報告がある(ECETOC TR95 vol. II(2005))。

【参考データ等】
(6)本物質はウサギの眼に中等度(moderate)の刺激性を示すとの報告がある(Patty(6th, 2012))。
呼吸器感作性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性【分類根拠】
ヒトに関するデータは得られているが、感作性の有無を判断できる十分な情報は得られておらず、データ不足で分類できない。

【参考データ等】
(1)ヒトボランティア24人に本物質の腕の皮膚への3週間閉塞適用を9回繰り返し(感作段階)、15日間の適用休止後に背部皮膚に適用したところ(誘発段階)、感作性は見られなかったとの報告がある(SCCS(2013))。
(2)ヒトボランティア25人に本物質20%調剤(ワセリン中)を適したMaximization試験において、皮膚感作性は陰性だったとの報告がある(SIAR(2005)、DFG(2007))。
(3)本物質はヒトで感作性を示さないとの報告がある(ECETOC TR95 vol. II(2005))。
生殖細胞変異原性【分類根拠】
(1)〜(3)より、ガイダンスに従い分類できない。

【根拠データ】
(1)マウス骨髄を用いたin vivo小核試験(腹腔内投与、1,980 mg/kgを2日連続投与)で、陰性の結果が得られている(SCCS(2013)、ECETOC TR 95(2005)、SIAR(2005)、DFG(2007))。
(2)ラット初代肝細胞を用いたin vivo不定期DNA合成試験(経口投与、最大2,000 mg/kg、単回投与)で、陰性の結果が得られている (SCCS(2013))。
(3)In vitroでは、複数の細菌を用いた復帰突然変異試験で陰性(弱陽性1件)であった(ECETOC TR 95 vol. II(2005)、SCCS(2013)、SIAR(2005)、NTP DB(Accessed Jan. 2019))。
発がん性【分類根拠】
発がん性に関して、利用可能なヒトを対象とした報告はない。
国内外の分類機関による既存分類はなく、データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1)ラットを用いた2年間混餌投与(約1,000 mg/kg/day)、および718日間飲水投与(最大950 mg/kg/day)試験で、腫瘍発生の増加はみられなかったが、いずれも現行の発がん性試験の要求基準を満たさず、発がん性評価に利用できない(SIAR(2005)、ECETOC TR 95 vol. II(2005)、DFG(2007)、Patty(6th, 2012))。
生殖毒性【分類根拠】
(1)、(2)より、本物質は経口経路では繁殖毒性を示さないと考えられる。また、(3)、(4)から経口経路での発生影響は、限度量、ないしそれを上回る大量投与にも関わらず、ラットで最小限の影響、マウスで不検出であり、分類根拠とすべき所見はみられていない。その他の経路についても、(5)、(6)から、発生影響に関して懸念すべき所見はない。ただし(3)では母体に影響のないレベルで軽度の影響(骨化遅延)がみとめられていること及びウサギのデータが得られなかったことを踏まえ、区分に該当しないではなく分類できない。

【根拠データ】
(1)マウスを用いた飲水投与による2世代試験(NTPによる連続交配試験)において、F1雄親動物の25,000 ppm(4,400 mg/kg/day:SCCS(2013))で精巣上体尾部の精子運動能の低下がみられたが、F0、F1親動物ともに最高用量の25,000 ppmまで繁殖能への影響は認められなかった(SIDS Dossier(2005)、ECETOC TR95 vol. II(2005)、DFG(2007)、SCCS(2013)、Patty(6th, 2012))。
(2)本物質製品(Transcutol HP、純度:99.9%)を被験物質とした経口投与によるラット1世代生殖毒性試験(最大2,000 mg/kg/day:OECD TG 415、GLP準拠)では、雄に交配63日前から交配期間を経て剖検前日まで、雌には交配14日前から交配期間を経て妊娠7日まで投与した結果、親動物には1,000 mg/kg/day以上で体重増加抑制や症状(流涎、鎮静)がみられたが、最大投与量である2,000 mg/kg/dayまで生殖発生影響は認められなかった(SCCS(2013))。
(3)本物質製品(Transcutol HP、純度:99.98%)を被験物質としたラット出生前発生毒性試験(OECD TG 414、GLP準拠)では、妊娠ラットの器官形成期(妊娠6〜17日)に強制経口投与された。その結果、2,000 mg/kg/dayの投与により母動物毒性(体重増加抑制、摂餌量減少)がみられ、より低用量の1,000 mg/kg/dayの投与により胎児に骨化遅延がみられたが、他に発生影響はみられなかった(SCCS(2013))。
(4)妊娠マウスの器官形成期(妊娠6〜13日)に本物質を5,500 mg/kg/dayで強制経口投与した試験では、母動物の14%(7/50例)が死亡したが、得られた胎児には異常所見はみられなかった(SIDS Dossier(2005)、DFG(2007)、SCCS(2013))。
(5)妊娠ラットの器官形成期(妊娠7〜15日)に本物質を102 ppmで吸入ばく露(7時間/日)した試験では、母動物、胎児ともに異常所見はみられなかった(SIDS Dossier(2005)、Patty(6th, 2012)、DFG(2007)、SCCS(2013))。
(6)妊娠ラットの器官形成期(妊娠7〜16日)に本物質を4回/日で計1.4 mL/rat/day(5,600 mg/kg/day:SCCS(2013))を経皮適用した試験では、母動物、胎児ともに異常所見はみられなかった(SIDS Dossier(2005)、DFG(2007)、Patty(6th, 2012)、SCCS(2013))。なお、SCCSは本試験では被験物質が閉塞適用されていないため、適用部位からの蒸発による損失を無視できず、結論を導けないと指摘している(SCCS(2013))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1)本物質47%を含む液体を300 mL飲んだアルコール依存症男性が重篤な中枢神経症状、呼吸器障害(呼吸困難)、口渇およびアシドーシスを生じ、尿にはアルブミンが含まれていたとの報告がある(SCCS(2013)、ECETOC TR 95 vol. II(2005)、DFG(2007))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)【分類根拠】
(1)より区分1(呼吸器)とした。なお、(2)〜(4)より経口経路、経皮経路では、区分2までの用量範囲では標的臓器を特定可能な所見はない。

【根拠データ】
(1)ラットの28日間吸入ばく露試験(6時間/日、5日/週:蒸気と推定)において、270 mg/m3(ガイダンス値換算:0.06 mg/L、区分1の範囲)から、喉頭と鼻甲介の軽度刺激、および喉頭の腹側小軟骨の壊死(2/5〜3/5例)が認められた(SIAR(2005)、ECETOC TR 95 vol. II(2005)、DFG(2007)、Patty(6th, 2012)、SCCS(2013))。なお、試験空気の濃度範囲(0.02〜0.24 mg/L:3.6〜10.9 ppm)は飽和蒸気圧濃度(126 ppm)の90%未満であり、蒸気の基準を適用した。

【参考データ等】
(2)げっ歯類を用いた経口投与試験としては、ラット6週間強制経口投与1試験、ラット90日間混餌投与2試験、およびマウス90日間混餌投与1試験の報告があるが、全般に本物質は低毒性で、最小のNOAELはラット90日間混餌投与試験の250 mg/kg/dayであった。なお、各試験とも区分2超の高用量では腎臓への影響が共通してみられている(SIAR(2005)、ECETOC TR 95 vol. II(2005)、DFG(2007)、Patty(6th, 2012)、SCCS(2013))。
(3)本物質製品(Transcutol HP、純度(本物質として):> 99.9%)をイヌに90日間強制経口投与した試験(OECD TG 408、GLP準拠)で、最高用量の2,000 mg/kg/dayでは雄2例、雌1例が死亡し、死亡例の腎臓に重度の尿細管変性が認められた。それ以下の用量では肝臓重量増加がみられたが、適応性の変化と判断され、NOAELは1,000 mg/kg/dayと報告されている(SCCS(2013))。
(4)ウサギに12週間経皮適用(5日/週)した試験、およびウサギに90日間経皮適用した試験で、いずれも1,000 mg/kg/day相当以上で腎臓への影響がみられ、NOELが約300 mg/kg/dayと報告されている(SIAR(2005)、DFG(2007)、SCCS(2013))。
誤えん有害性*【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)甲殻類(オオミジンコ)48時間LC50 = 3340 mg/L(EPA AQUIRE: 2018、Thurston,R.V. et al. (1985))、魚類(アメリカナマズ)96時間LC50 = 6010 mg/L(EPA AQUIRE: 2018、NLM HSDB:2018、Thurston,R.V. et al. (1985))であることから、区分に該当しない。
水生環境有害性 長期(慢性)急速分解性があり(良分解性: 類似化学物質の分解性との比較により判定(化審法DB: 2012))、甲殻類(ネコゼミジンコ)の7日間NOEC (繁殖) = 7.38 mg/L(OECD SIDS: 2005)であることから、区分に該当しない。
残留性・分解性化審法分解度試験:良分解性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性))
生態蓄積性情報なし
土壌中の移動性情報なし
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。
国際規制
国連番号-
品名(国連輸送名)-
国連分類-
副次危険-
容器等級-
海洋汚染物質該当しない
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報該当しない
航空規制情報該当しない
陸上規制情報消防法の規定に従う。
特別な安全上の対策消防法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*該当しない
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降)
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降)
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)(令和7年4月1日以降)
作業場内表示義務(法第101条の4)(令和7年4月1日以降)
化審法優先評価化学物質(法第2条第5項)
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)-
毒物及び劇物取締法-
消防法第4類 引火性液体 第三石油類 水溶性(法第2条第7項危険物別表第1・第4類)
大気汚染防止法揮発性有機化合物(法第2条第4項)(環境省から都道府県への通達)

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」