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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
ジ‐ターシャリ‐ブチルペルオキシド
作成日 2009年3月30日
改訂日 2022年3月15日
改訂日 2024年3月29日
化学品の名称ジ‐ターシャリ‐ブチルペルオキシド
化学品の英語名称Peroxide, bis(tert-butyl)-
製品コードR05-B-022-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限有機過酸化物(重合触媒) (NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
R6.3.29、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver2.1))を使用
物理化学的危険性引火性液体区分2
有機過酸化物タイプE
健康に対する有害性生殖細胞変異原性区分2
分類実施日
(環境有害性)
H21.3.31、ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
環境に対する有害性-
GHSラベル要素
絵表示炎健康有害性
注意喚起語危険
危険有害性情報引火性の高い液体及び蒸気
熱すると火災のおそれ
遺伝性疾患のおそれの疑い
注意書き
 安全対策熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。
容器を密閉しておくこと。
他の容器に移し替えないこと。
涼しいところに置くこと。
容器を接地しアースをとること。
防爆型の電気機器/換気装置/照明機器を使用すること。
火花を発生させない工具を使用すること。
静電気放電に対する措置を講ずること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
 応急措置皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を水【又はシャワー】で洗うこと。
火災の場合:消火するために適切な消火剤を使用すること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
 保管換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
日光から遮断すること。
・・℃以下の温度で保管すること。
隔離して保管すること。
施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性-

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名ジ−tert−ブチルペルオキシド
慣用名又は別名ジ−t−ブチルパーオキサイド
ジ−tert−ブチル=ペルオキシド
英語名Peroxide, bis(tert-butyl)-
Bis(1,1-dimethylethyl)peroxide
di-tert-butyl peroxide
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C8H18O2 (146)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号110-05-4
官報公示整理番号(化審法)2-367
官報公示整理番号(安衛法)情報なし
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)情報なし

4.応急措置
吸入した場合新鮮な空気のある場所に移動させる。呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。気道刺激/大量吸入の徴候がある場合はできるだけ早く、グルココルチコイド吸入用スプレーで繰り返し深呼吸させる。医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
皮膚に付着した場合汚染された衣服を脱がせる。ウォータージェットで液体を除去した後、水と石けんで少なくとも15分間注意深く洗う。その後、ポリエチレングリコール 400 ですすぐことを推奨する。最後に石けんと水で洗う。医師の診察を受けること。
以上、GESTIS、ICSC参照。
眼に入った場合多量の流水で10分間洗浄する。できればコンタクトレンズを外す。直ちに医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS、ICSC参照。
飲み込んだ場合口をすすぐ。意識があればコップ一杯の水(約200mL)を飲ませる。医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入:咳、息切れ、咽頭痛(おそらく高濃度の場合)。
皮膚:刺激はほとんどないと考えられる。
眼:充血。 痛み。
経口摂取:胃痙攣、嘔吐、咳、息切れ、咽頭痛。
吸収:神経毒性作用(興奮/嗜眠、ナルコーシス、振戦、麻痺症状)、心血管系障害、呼吸障害および/またはMetHbの形成の結果としての低酸素症、腎臓の機能障害の可能性。
以上、GESTIS、ICSC参照。
応急措置をする者の保護に必要な注意事項情報なし
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、粉末消火薬剤、二酸化炭素、耐アルコール泡消火薬剤、砂。
以上、GESTIS、ICSC参照。
使ってはならない消火剤棒状注水
以上、GESTIS参照。
火災時の特有の危険有害性火災の場合、有害物質(一酸化炭素、二酸化炭素)が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。
特有の消火方法周囲の容器を水スプレーで冷却する。可能であれば、容器を危険区域外に持ち出す。加熱により圧力が上昇し破裂する恐れがある。着火源となるものを遮断する。バックファイヤーに注意する。防爆機器を使用する。
以上、GESTIS参照。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置保護具(空気中濃度に応じた有機ガスおよび蒸気用フィルター付マスク)を着用する。
以上、GESTIS、ICSC参照。
環境に対する注意事項水域に対する危険性は低い。非常に多量に水、排水、下水、または地中に入った場合は、自治体に連絡する。
以上、GESTIS参照。
封じ込め及び浄化の方法及び機材すべての着火源を取り除く(現場での喫煙、火花や火炎の禁止)。
危険でなければ漏れを止める。
少量の場合、ウエス、雑巾等でよく拭き取り適切な廃棄容器に回収する。
大量の場合、盛土等で囲って流出を防止する。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。
二次災害の防止策火花を発生しない安全な用具を使用する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
周囲を十分な強度を有する防護壁などで囲むか、または防爆式の構造とするとともに、常時労働者が就業する場所から十分な距離をおくこと。
できるかぎり遠隔操作による自動制御方式を採用し、かつ、制御室は、有機過酸化物による爆発のおそれがある化学設備から十分な距離をおくか、またはその周囲を十分な強度を有する防護壁で囲むこと。
異常が生じた場合に自動的に作動する緊急冷却装置、緊急排出装置、反応急停止装置などの安全装置を設けること。
安全取扱注意事項熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
容器を開けたままにしない。飛沫を避ける。圧縮空気で輸送してはならない。補給または移送には排気装置付きの漏れ防止装置を使用すること。
機器類は防爆構造とし、設備は静電気対策を実施する。
周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。
静電気放電に対する予防措置を講ずること。
金属片、強酸、有機物などの有機過酸化物と反応し、またはその分解を促進するような異物が混入しないようにすること。
取り扱う器具や容器は、木製、プラスチック製などの軟質性のものを用いるとともに、その使用にあたっては、摩擦や衝撃をあたえないこと。
器具や容器は、専用のものとし、かつ、常に清浄に保つこと。
できるかぎり不活性な炭化水素系の溶媒、ジメチルフタレート、ジブチルフタレートなどの可塑剤、水などで希釈して取り扱うこと。
事業場内における停滞量は、必要最小限にとどめること。
金属片、強酸、有機物などの有機過酸化物と反応し、またはその分解を促進するような異物が混入しないようにすること。
取り扱う器具や容器は、木製、プラスチック製などの軟質性のものを用いるとともに、その使用にあたっては、摩擦や衝撃をあたえないこと。
器具や容器は、専用のものとし、かつ、常に清浄に保つこと。
できるかぎり不活性な炭化水素系の溶媒、ジメチルフタレート、ジブチルフタレートなどの可塑剤、水などで希釈して取り扱うこと。
事業場内における停滞量は、必要最小限にとどめること。
取り扱う場所は、水洗による掃除をしやすい構造とするとともに、常に清浄に保つこと。
以上、GHS分類結果、GESTIS、日化協発行ガイドライン参照。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策蒸気またはミストの吸入を避ける。休憩前や作業終了時には石鹸と水で皮膚を洗い、洗浄後は脂肪分の多いスキンケア製品を塗布する。衣服との接触を避ける。汚染された衣類は交換し、注意深く洗うこと。使用するときには飲食、喫煙をしないこと。
以上、GESTIS参照。
保管
安全な保管条件施錠して保管する。容器を密閉し、室温の換気の良い場所に保管すること。可燃性物質および還元剤から離しておく。
貯蔵する場所は、冷暗所とすること。
貯蔵する容器は、転倒または落下しないように保持すること。
貯蔵設備の周囲は、十分な強度を有する防護壁などで囲むこと。
できるかぎり、専用の貯蔵設備に貯蔵すること。
以上、GHS分類結果、GESTIS、ICSC、有機過酸化物通達参照。
安全な容器包装材料消防法及び国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度-
濃度基準値
八時間濃度基準値-
短時間濃度基準値-
許容濃度等
日本産衛学会(2023年版)-
ACGIH(2023年版)-
設備対策作業場所には換気設備を設置する。蒸気/空気の混合物は空気より重いので床面での十分な換気も必要である。取り扱い場所の近くには洗浄のための設備を設ける。多量の物質を取り扱う場合は、緊急用シャワーが必要である。床排水溝がある場合はトラップを設ける。
以上、GESTIS参照。
保護具
呼吸用保護具必要に応じて状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用する。
防毒マスクの選択については、以下の点に留意する。
-防毒マスクは、電動ファン又は面体が国家検定合格品であることを確認し、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。
-濃度に対応した・・・用吸収缶を使用する
注) ”…”の吸収缶は国家検定合格品又は日本産業規格(JIS T8152)に適合した物質に対応した吸収缶を記載します。SDS作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
-作業者が粉じんにばく露される環境で防毒マスクを使用する場合には、防じん機能付き吸収缶を使用する
-酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。
手の保護具必要に応じて保護手袋を着用する。クロロプレン、ニトリルゴム、フッ素ゴムが適している。天然ゴム、ブチルゴム、PVCは適さない。
以上、GESTIS参照。
眼の保護具必要に応じてサイドガード付きの保護眼鏡を着用する。
以上、GESTIS参照。
皮膚及び身体の保護具必要に応じて適切な保護衣または化学防護服を着用する。耐火性/帯電防止性のある保護衣を着用する。
以上、GESTIS参照。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態液体
無色〜黄色
臭いエーテル臭
融点/凝固点-40 ℃(SAX (2000)、HODOC (1989))
-29 ℃(HSDB in PubChem (2023))
沸点、初留点及び沸騰範囲111 /70 ℃(760 mmHg / 197mmHg)(HODOC (1989))
80 ℃(Chapman (1995))
可燃性高引火性(ICSC(1998))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界0.74 〜100 vol%(Safe gap (MESG): 0,84 mm)(GESTIS(2023))
引火点4 ℃(密閉式)(GESTIS(2023))
12 ℃(Chapman (1995) )
18.3 ℃(密閉式)(Lewis (2001))
自然発火点182 ℃(GESTIS(2023))
分解温度>80 ℃(GESTIS(2023))
pHデータなし
動粘性率0.85 mPa*s(20℃)(GESTIS(2023))
溶解度水: 43〜63 mg/L(20℃)(GESTIS(2023))
水: 約0.01 %(20℃)(Merck (2013))
有機溶剤: (可溶)(Merck (2013))
n-オクタノール/水分配係数log Kow: 3.45(計算値)(GESTIS(2023))
log Kow: 1〜4(ICSC(2021))
log Kow: 3.2(22℃、pH7.2)(HSDB in PubChem (2023))
蒸気圧35/53/125 hPa(20℃/30℃/50℃)(GESTIS(2023))
2.6 kPa(20℃)(ICSC(2021))
19.51 mm(20℃)(SAX (2000))
密度及び/又は相対密度0.79 g/cm3(20℃)(GESTIS(2023))
0.704 g/cm3(20℃)(HODOC (1999))
0.794 g/cm3(20/4℃)(Merck (2013))
相対ガス密度5.04 (空気=1)(GESTIS(2023))
5.03 (空気=1)(SAX (2000)、HSDB in PubChem (2023))
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性強酸化剤。 可燃性物質や還元性物質と 激しく反応する。
危険有害反応可能性アミン、還元剤、酸、三酸化ホウ素、重金属塩との接触で爆発の危険性がある。
避けるべき条件火気、加熱、高温、衝撃、摩擦。
混触危険物質還元剤
危険有害な分解生成物情報なし

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
(1)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(OECD TG 423)(EU REACH CoRAP (2020)、SIDS SIAP (2012)、AICIS IMAP (2018))
経皮【分類根拠】
(1)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(OECD TG 402)(SIDS SIAP (2012)、AICIS IMAP (2018))
吸入: ガス【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、分類対象外である。
吸入: 蒸気【分類根拠】
(1)、(2)より、区分を特定できず分類できない。ばく露濃度は飽和蒸気圧濃度の90%(29,814 ppm)より低いため、蒸気と判断し、ppmVを単位とする基準値より判断した。なお、新たな評価に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。

【参考データ等】
(1)ラットのLC50(4時間):> 22 mg/L(> 3,679 ppm)(OECD TG 436)(EU REACH CoRAP (2020)、SIDS SIAP (2012)、AICIS IMAP (2018))
(2)ラットのLC50(4時間):> 4,103 ppm(DFG MAK (1992)、Patty 6th. (2012))
吸入: 粉じん及びミスト【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性【分類根拠】
(1)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、半閉塞、4時間適用、8日観察)において、4日目までに2例に紅斑がみられたが8日目までに回復したとの報告がある(AICIS IMAP (2018)、REAHCH 登録情報 (Accessed July 2023))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
(1)、(2)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、72時間観察)において、結膜と強膜の軽微から中等度の発赤、および投与後1時間のみ軽微な結膜浮腫がみられたが、72時間以内にすべて回復した(角膜混濁スコア:0/0/0、虹彩炎スコア:0/0/0、結膜発赤スコア:1/0.33/0.33)との報告がある(AICIS IMAP (2018)、REAHCH 登録情報 (Accessed July 2023))。
(2)In vitro 眼刺激性試験(OECD TG 437、GLP)において、in vitro刺激性スコア(IVIS)=0.81との報告がある(AICIS IMAP (2018)、REACH登録情報 (Accessed July 2023))。
呼吸器感作性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性【分類根拠】
(1)より、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。

【根拠データ】
(1)モルモット(n=20)を用いたBuehler試験(OECD TG 406、GLP、局所投与:原液)において、0.5%溶液貼付適用(閉塞)で原液(100%)で3回の感作誘導後にスコア1(極く軽度の浮腫を伴う)の皮膚反応がみられたが、50%溶液での惹起後には全例がスコア0であったとの報告がある(AICIS IMAP (2023)、REACH登録情報(Accessed July 2023))。
生殖細胞変異原性【分類根拠】
(1)〜(3)より、in vivo小核試験での陽性に基づき、区分2とした。

【根拠データ】
(1)In vivoでは、雄ラットの骨髄細胞を用いた吸入ばく露(100〜1,000 mg/m3、13週間、6時間/日、5日/週)による小核試験では陰性の報告がある。高用量を投与した腹腔内及び経口投与による試験で陽性の結果は、解毒機構(グルタチオンペルオキシダーゼによるアルコールへの代謝)の飽和とラジカル産生の増加(ラット肝細胞を用いたin vitro知見)によるもので閾値があると考えられる(EU REACH CoRAP (2022))。
(2)マウスの精原細胞を用いた2回腹腔内投与(最大2,000 mg/kg、24時間間隔)による染色体異常試験(OECD TG483)では陰性であった(EU REACH CoRAP (2022)、AICIS IMAP (2018)、REACH登録情報 (Accessed July 2023))。
(3)In vitroでは、細菌を用いた復帰突然変異試験、マウスリンパ腫細胞を用いた遺伝子突然変異試験では陰性の結果であった(EU REACH CoRAP (2022)、AICIS IMAP (2018)、REACH登録情報 (Accessed July 2023))。

【参考データ等】
(4)構造類似物質のtert-butyl hydroperoxide(TBHP:CAS番号 75-91-2)について、マウスの鼻腔組織を標的とした吸入ばく露によるアルカリコメットアッセイで陰性の報告がある(EU REACH CoRAP (2022) 、AICIS IMAP (2018)、REACH登録情報 (Accessed 2023))。
(5)EU CLP分類(Accessed 2023)では、本物質、TBHPともにMuta. 2に分類されている。
発がん性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1)構造類似物質のtert-butyl hydroperoxide(TBHP:CAS番号 75-91-2)では、ラットを用いた2年間吸入ばく露による発がん性試験報告があり、最高濃度の60 ppmで雄9/50例、雌5/50例に鼻腔の扁平上皮がんが認められた。これはTBHPの過剰な粘膜刺激作用による持続性影響と考えられている(EU REACH CoRAP (2020))。
生殖毒性【分類根拠】
(1)、(2)より、限度用量までの投与で親動物に全身毒性影響がみられるものの生殖能及び発生に異常はみられていないことから、区分に該当しないとした。なお、(3)の反復吸入ばく露試験でも生殖器官への有害影響はみられていない。新たな情報に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた強制経口投与によるによる反復投与毒性・生殖発生スクリーニング併合試験(OECD TG422、GLP、100〜1,000 mg/kg/day)では、親動物に毒性影響(症状、体重、肝臓及び腎臓への影響等)がみられた高用量(1,000 mg/kg/day)まで親動物の生殖能、及び児動物の発生指標に有害影響はみられなかったとの報告がある(AICIS IMAP (2013)、SIDS SIAP (2012)、REACH登録情報 (Accessed July 2023))。
(2)ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(OECD TG414、100〜1,000 mg/kg/day)では、最高用量(1,000 mg/kg/day)までいずれの発生影響指標にも有害影響はみられなかったとの報告がある(AICIS IMAP (2013)、REACH登録情報 (Accessed July 2023))。

【参考データ等】
(3)ラットを用いた13週間反復吸入ばく露試験(OECD TG413、100〜1,000 mg/m3)において、最高用量(1,000 mg/m3)で軽微な影響(肝臓・腎臓相対重量の軽度増加、コレステロールの軽度上昇、クレアチニンの軽度減少)がみられたが、生殖器官への有害影響はみられなかったとの報告がある(AICIS IMAP (2013)、EU REACH CoRAP (2020)、REACH登録情報 (Accessed July 2023))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)【分類根拠】
(1)〜(3)より、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた単回経口投与試験において、2,000 mg/kg(区分2の範囲)で1/6例に投与3時間後に震えがみられたとの報告がある(EU REACH CoRAP (2020)、AICIS IMAP (2018))。
(2)ラットの単回経皮試験において、2,000 mg/kg(区分2の範囲)で雄の2/5例に一過性の局所刺激性影響がみられたとの報告がある(EU REACH CoRAP (2020)、AICIS IMAP (2018))。
(3)ラットを用いた単回吸入(蒸気)ばく露試験(4時間)において、22 mg/L(区分に該当しない範囲)で全例に震えと頻呼吸がみられたとの報告がある(EU REACH CoRAP (2020)、AICIS IMAP (2018))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)【分類根拠】
(1)より、経口経路では区分2の範囲を超える300 mg/kg/day(90日換算:140 mg/kg/day)が無毒性量であった。(2)より、吸入経路では最高用量のばく露レベル(90日換算:0.72 mg/L)は区分2範囲の上限(1.0 mg/L)まで到達していないが、0.72 mg/Lで無毒性であることから、区分2範囲の上限で有害影響が発現するとは考え難い。経皮経路については、分類に十分な毒性情報がなく分類できないが、皮膚腐食性/刺激性及び急性毒性(経皮)で毒性がないことから総合的に判断して、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた強制経口投与による42日間反復投与毒性・生殖発生スクリーニング併合試験(OECD TG422)において、100 mg/kg/day(90日換算:47 mg/kg/day、区分2の範囲)では異常はみられなかったとの報告がある。300 mg/kg/day(90日換算:140 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)では、肝臓・腎臓重量増加(雌雄)、前胃のび漫性過角化(雌)のみがみられ、300 mg/kg/dayがNOAELと決定された。最高用量(1,000 mg/kg/day、90日換算:467 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)では、体重及び摂餌量の低値(雄)、不快感様症状(雌雄)、肝臓(小葉中心性・び漫性肝細胞肥大)、腎臓(尿細管の変性/再生、多巣性単細胞壊死など)の組織変化等(雌雄)がみられたとの報告がある(AICIS IMAP (2013)、EU REACH CoRAP (2020)、REACH登録情報 (Accessed July 2023))。
(2)ラットを用いた13週間反復吸入ばく露試験(OECD TG413:蒸気、6時間/日、5日/週)において、最高用量(1,000 mg/m3:分析濃度:993 mg/m3、ガイダンス換算:0.99 mg/L、区分2の範囲)で軽微な影響(肝臓・腎臓相対重量の軽度増加、コレステロールの軽度上昇、クレアチニンの軽度減少)がみられたが、有害影響とは考えられなかったとの報告がある(AICIS IMAP (2013)、EU REACH CoRAP (2020)、REACH登録情報 (Accessed July 2023))。
誤えん有害性*【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)魚類(グッピー)による96h-LC50>1,000mg/Lであることから(IUCLID 2000)、区分に該当しない。
水生環境有害性 長期(慢性)急性毒性は区分に該当しないであり、生物濃縮性が低いと推定される(LogPow=3.45(PHYSPROP Database 2008))ことから区分に該当しない。
残留性・分解性化審法分解度試験:難分解性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性))
生態蓄積性情報なし
土壌中の移動性情報なし
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。
国際規制
国連番号3107
品名(国連輸送名)有機過酸化物タイプE(液体)
国連分類5.2
副次危険-
容器等級-
海洋汚染物質該当しない
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報道路法、消防法の規定に従う。
特別な安全上の対策道路法、消防法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*145
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、労働安全衛生規則別表第2)(令和8年4月1日以降)
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)(令和8年4月1日以降)
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)(令和8年4月1日以降)
危険物・爆発性の物(施行令別表第1第1号)
作業場内表示義務(法第101条の4)(令和8年4月1日以降)
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)-
毒物及び劇物取締法-
消防法第5類 自己反応性物質(法第2条第7項危険物別表第1・第5類)【有機過酸化物】
船舶安全法酸化性物質類・有機過酸化物(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法酸化性物質類・有機過酸化物(施行規則第194条危険物告示別表第1)
港則法その他の危険物・酸化性物質類(有機過酸化物)(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)
道路法車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
修正履歴