化学品の名称 | フラン | ||
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化学品の英語名称 | Furan | ||
製品コード | R05-B-014-JNIOSH | ||
供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 合成樹脂原料,有機合成原料,溶剤,洗浄剤 (NITE-CHRIPより引用) |
2.危険有害性の要約 | |||
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GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R6.3.29、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver2.1))を使用 | ||
物理化学的危険性 | 引火性液体 | 区分1 | |
健康に対する有害性 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分3 | |
発がん性 | 区分2 | ||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1(呼吸器) | ||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1(肝臓) | ||
分類実施日 (環境有害性) | H21.3.31、ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版) | ||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分3 | |
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | 極めて引火性の高い液体及び蒸気 吸入すると有毒 発がんのおそれの疑い 呼吸器の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による肝臓の障害 水生生物に有害 | ||
注意書き | |||
安全対策 | 熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。 容器を密閉しておくこと。 容器を接地しアースをとること。 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器を使用すること。 火花を発生させない工具を使用すること。 静電気放電に対する措置を講ずること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱い後は手をよく洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 環境への放出を避けること。 | ||
応急措置 | 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を水【又はシャワー】で洗うこと。 火災の場合:消火するために適切な消火剤を使用すること。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 医師に連絡すること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。 | ||
保管 | 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | - |
3.組成及び成分情報 | |||
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化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
化学名又は一般名 | フラン | ||
慣用名又は別名 | − | ||
英語名 | Furan Divinylene oxide Furfuran Oxacyclopentadiene | ||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | C4H4O (68) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 110-00-9 | ||
官報公示整理番号(化審法) | 5-3334 | ||
官報公示整理番号(安衛法) | 情報なし | ||
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 新鮮な空気のある場所に移動させる。呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。できるだけ早く、グルココルチコイド吸入用スプレーで繰り返し深呼吸させる。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
皮膚に付着した場合 | 汚染された衣服を脱がせる。皮膚に付着した部分を多量の流水と石けんで十分に洗浄する。医師の診察/手当を受けること。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
眼に入った場合 | 多量の流水で10分間洗浄する。できればコンタクトレンズを外す。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐ。意識があればコップ一杯の水(約200mL)を飲ませる。嘔吐させないこと。食用油、ひまし油、牛乳またはアルコールは使用しない。直ちに医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入:咽頭痛、咳、胸部圧迫感、息切れ、息苦しさ、肺水腫、肺炎。 皮膚:発赤、刺激。 眼:充血、痛み、強度の刺激。 経口摂取:粘膜の腐食、嘔吐、溶血。 吸収:中枢神経抑制、呼吸中枢の麻痺作用、平衡感覚障害、運動失調、肝臓および腎臓の機能障害/損傷の可能性。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
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適切な消火剤 | 水噴霧、粉末消火薬剤、耐アルコール泡消火薬剤、二酸化炭素。 以上、ICSC参照。 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状注水 | ||
火災時の特有の危険有害性 | 火災の場合、有害物質(一酸化炭素、二酸化炭素)が放出される可能性がある。 | ||
特有の消火方法 | 周囲の容器を水スプレーで冷却する。可能であれば、容器を危険区域外に持ち出す。加熱により圧力が上昇し破裂する恐れがある。着火源となるものを遮断する。バックファイヤーに注意する。防爆機器を使用する。 以上、GESTIS参照。 | ||
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 保護具を着用する。 以上、GESTIS参照。 | ||
環境に対する注意事項 | 水域に対する危険性は大きい。地面や河川、下水への流出を避ける。少量でも流出した場合は、自治体に連絡する。 以上、GESTIS参照。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | すべての着火源を取り除く(現場での喫煙、火花や火炎の禁止)。 危険でなければ漏れを止める。 少量の場合、ウエス、雑巾等でよく拭き取り適切な廃棄容器に回収する。 大量の場合、盛土等で囲って流出を防止する。 排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。 | ||
二次災害の防止策 | 付近の着火源となるものを速やかに除くとともに消火剤を準備する。 火花を発生しない安全な用具を使用する。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱注意事項 | 容器を開けたままにしない。飛沫を避ける。接触を避ける。屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。補給または移送には排気装置付きの漏れ防止装置を使用すること。圧縮空気で輸送してはならない。床への浸透を避ける(鉄製パンの使用)。 機器類は防爆構造とし、設備は静電気対策を実施する。 周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 以上、GESTIS、日化協発行ガイドライン参照。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | 皮膚への接触を避ける。接触した場合は洗浄する。蒸気またはミストの吸入を避ける。休憩前や作業終了時には石鹸と水で皮膚を洗い、洗浄後は脂肪分の多いスキンケア製品を塗布する。衣服との接触を避ける。汚染された衣類は交換し、注意深く洗うこと。休憩前に着替えが必要になる場合がある。使用するときには飲食、喫煙をしないこと。 以上、GHS分類結果、GESTIS参照。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 施錠して保管するか、権限のある者のみが管理する。容器を密閉し、室温の乾燥した換気の良い場所に保管すること。光、空気/酸素および熱を避けること。強酸化剤および酸から離しておく。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
安全な容器包装材料 | 国連輸送法規、消防法で規定されている容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
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許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
管理濃度 | - | |||
濃度基準値 | ||||
八時間濃度基準値 | - | |||
短時間濃度基準値 | - | |||
許容濃度等 | ||||
日本産衛学会(2023年版) | - | |||
ACGIH(2023年版) | - | |||
設備対策 | 作業場所には換気設備を設置する。蒸気/空気の混合物は空気より重いので床面での十分な換気も必要である。排出された空気は作業場所に戻さない。取り扱い場所の近くに洗浄のための設備を設ける。多量の物質を取り扱う場合は、緊急用シャワーが必要である。床に排水溝を設けないこと。 以上、GESTIS参照。 | |||
保護具 | ||||
呼吸用保護具 | 必要に応じて状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用する。 防毒マスクの選択については、以下の点に留意する。 -防毒マスクは、電動ファン又は面体が国家検定合格品であることを確認し、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。 -濃度に対応した・・・用吸収缶を使用する 注) ”…”の吸収缶は国家検定合格品又は日本産業規格(JIS T8152)に適合した物質に対応した吸収缶を記載します。SDS作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 -作業者が粉じんにばく露される環境で防毒マスクを使用する場合には、防じん機能付き吸収缶を使用する -酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。 | |||
手の保護具 | 必要に応じて保護手袋を着用する。PE/EVAL/PE(多層)が適している。天然ゴム、クロロプレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、PVCは適さない。 以上、GESTIS参照。 | |||
眼の保護具 | 必要に応じてサイドガード付きの保護眼鏡を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
皮膚及び身体の保護具 | 必要に応じて適切な保護衣または化学防護服を着用する。耐火性/帯電防止性のある保護衣を着用する。 以上、GESTIS参照。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
物理状態 | 液体 | ||
色 | 無色 | ||
臭い | 特徴的な臭い | ||
融点/凝固点 | -86 ℃(GESTIS(2023)) -85.61 ℃(HSDB in PubChem(2023)) -85.65 ℃(SAX(2000)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 32 ℃(GESTIS(2023)) 31.5 ℃(HSDB in PubChem(2023)) 31.3 ℃(ICSC(2014)) | ||
可燃性 | 高引火性(GESTIS(2023)) | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
引火点 | -35 ℃(密閉式)(HSDB in PubChem(2023)、Merck(2013)) -36〜℃ (GESTIS(2023)) | ||
自然発火点 | 390 ℃(ICSC(2014)、GESTIS(2023)) | ||
分解温度 | データなし | ||
pH | データなし | ||
動粘性率 | 0.38 mPa*s(20℃)(GESTIS(2023)) 0.38 cP(20℃)(HSDB in PubChem(2023)) 0.38 mPa*s(ICSC(2014)) | ||
溶解度 | 水: 10 g/L(20℃)(GESTIS(2023)) 水: 1.0×10+4 mg/L(25℃)(HSDB in PubChem(2023)) アルコール、エーテル: (混和)(Merck(2013)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | log Kow: 1.34(GESTIS(2023)、ICSC(2014)、Howard(1997)) | ||
蒸気圧 | 65.8 kPa(20℃)(ICSC(2014)) 658/964/1370/1910 mmHg(20℃/30℃/40℃/50℃)(GESTIS(2023)) 600 mmHg(25℃)(HSDB in PubChem(2023)) | ||
密度及び/又は相対密度 | 0.94 g/cm3(20℃)(GESTIS(2023)) 0.9514 g/cm3(20℃)(HSDB in PubChem(2023)、HODOC(1989)) | ||
相対ガス密度 | 2.3 (空気=1)(ICSC(2014)、HSDB in PubChem(2023)) 2.35 (GESTIS(2023)) | ||
粒子特性 | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 酸と激しく反応することがある。 | ||
危険有害反応可能性 | 蒸気は空気と爆発性混合物を形成する。空気にばく露されると爆発性の不安定な過酸化物を生成する。 | ||
避けるべき条件 | 火気、加熱、高温、静電気、火花、爆発性混合気の形成。 | ||
混触危険物質 | 酸、酸化剤 | ||
危険有害な分解生成物 | 情報なし |
11.有害性情報 | ||||
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急性毒性 | ||||
経口 | 【分類根拠】 データ不足のため、分類できない。なお最小致死用量(LDLo)より、区分3、4、または区分に該当しない範囲であることが推測される。 【参考データ等】 (1)イヌとウサギのLDLo:234 mg/kg(DFG MAK (2006)、US AEGL (2010)、MOE 初期評価 (2011)) | |||
経皮 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 | |||
吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 (1)より、区分3とした。なお、LC50値付近の被験空気濃度は飽和蒸気圧濃度の90%(712,693 ppm)を大幅に下回り、ミストをほとんど含まない蒸気と考えられることから、ppmVを単位とする基準値を適用した。 【根拠データ】 (1)ラットのLC50(1時間):3,398−3,464 ppm(4時間換算:1,699−1,732 ppm)(DFG MAK (2006)、US AEGL (2010)、AICIS IMAP (2016)、HSDB in PubChem (Accessed Nov. 2023)) 【参考データ等】 (2)マウスのLC50(1時間):42 ppm(4時間換算:21 ppm)(DFG MAK (2006)、US AEGL (2010)、AICIS IMAP (2016)、HSDB in PubChem (Accessed Nov. 2023)) (3)(2)の結果は試験環境(閉鎖系)による酸欠状態での死亡に基づく可能性があり、信頼性が低い(US AEGL (2010))。 | |||
吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。なお、(1)の知見は試験条件等が不明であり、分類に用いなかった。 【参考データ等】 (1)モルモットの皮膚に1〜50%溶液を適用後に皮膚刺激性とアレルギー性がみられたとの報告がある(AICIS IMAP (2016)、HSDB in PubChem (Accessed Oct. 2023))。 (2)EUではSkin Irrit. 2 に分類されている(CLP分類結果 (Accessed Oct. 2023))。 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
呼吸器感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
皮膚感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。なお、(1)の知見は試験条件等が不明であり、分類に用いなかった。 【参考データ等】 (1)モルモットの皮膚に1〜50%溶液を適用後に皮膚刺激性とアレルギー性がみられたとの報告がある(AICIS IMAP (2016)、HSDB in PubChem (Accessed Oct. 2023))。 | |||
生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 (1)〜(4)より、区分に該当しない。なお、新たな情報源を用いて分類結果を見直した(2023年度)。 【根拠データ】 (1)In vivoでは、マウス及びラットの骨髄細胞を用いた腹腔内投与による染色体異常試験で陰性(ラット)及び陽性(マウス)、マウスの脾臓細胞を用いた2つの小核試験で陽性又は陽性傾向(非有意)、マウスの赤血球を用いた2つの小核試験は陰性、マウス及びラットの肝細胞を用いたDNA修復試験及びマウス脾臓細胞を用いたDNA切断試験はいずれも陰性であった(JECFA FAS 63 (2011)、EFSA (2005))。 (2)遺伝子改変(Big Blue)マウスの肝細胞を用いた遺伝子突然変死試験で陰性、遺伝子改変(Big Blue)ラットの肝細胞、リンパ球(Hprt、Pig-A)、赤血球(Pig-A)を用いた遺伝子突然変異試験及び末梢血小核試験でいずれも陰性であった。なお、肝臓のコメットアッセイでは高用量(≧ 16 mg/kg/day)群で陽性反応がみられた(Canada CMP (2018))。 (3)In vitroでは、細菌復帰突然変異試験で陰性、CHO細胞を用いた染色体異常試験で陽性(+S9)又は陰性(-S9)、ヒトリンパ球又はマウスリンパ腫細胞を用いた小核試験で陰性であった(Canada CMP (2018))。 (4)ドイツDFGは、本物質のin vivo遺伝毒性試験における陽性の結果は極めて高用量における二次的影響であり、本物質は閾値が設定可能な非遺伝毒性発がん物質であると結論し、MAK発がん性カテゴリー2からカテゴリー4に変更した(DFG MAK (2017))。 【参考データ等】 (5)EU CLP分類 (Accessed Nov. 2023) ではMuta. 2に分類されている。 | |||
発がん性 | 【分類根拠】 (1)〜(4)より、区分2とした。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた2年間強制経口投与による発がん性試験(2〜8 mg/kg/day、5日/週)において、低用量(2 mg/kg/day)から高用量(8 mg/kg/day)の雌雄全ばく露群で肝臓の胆管がんの発生率の増加が認められた。これらは9ヵ月及び15ヵ月の中間検査時でも発生増加が認められた。2年間ばく露後のばく露全群で肝細胞腺腫の発生増加(雌雄)、中用量以上の雄に肝細胞がんの発生頻度の有意増加が認められた(中間検査では認められず)。また、中用量以上の雌雄の各群に単核細胞白血病の増加が認められた(IARC 63 (1995)、EFSA (2005)、US AEGL (2010)、JECFA FAS 63 (2011)、AICIS IMAP (2016))。 (2)マウスを用いた2年間強制経口投与による発がん性試験(8、15 mg/kg/day、5日/週)において、ばく露群の雌雄では肝細胞腺腫及び肝細胞がんの発生率増加が認められた(IARC 63 (1995)、EFSA (2005)、US AEGL (2010)、JECFA FAS 63 (2011)、AICIS IMAP (2016))。 (3)雄ラット及び雌マウスを用いた低用量で実施された2年間強制経口投与による発がん性試験では、肝臓腫瘍には閾値が存在することが明らかにされた。雄ラットでは最小限の肝内胆管線維腫の発生頻度に基づきNOAEL= 0.044 mg/kg/day、雌マウスでは肝細胞腫瘍の発生頻度に基づきBMDL10= 1.31 mg/kg/dayと報告された(Canada CMP (2018))。 (4)IARCでグループ2B(IARC 63 (1995))、NTPでR(NTP RoC 15th. (2021))、産衛学会で2B(許容濃度の勧告等 (2017))、EUでCarc. 1B(CLP分類結果)、DFGでカテゴリー4(List of MAK and BAT values (2022))に分類されている。 【参考データ等】 (5)NTPの発がん性試験結果(1)、(2)の肝臓腫瘍の一部について、近年の国際的調和に基づくげっ歯類の腫瘍病理診断基準に照らして再評価されたところ、マウスの肝内胆管がんについてNTPの腫瘍の判定は基準に合致しない部分もあったことから、NTPの腫瘍発生率の報告は過大評価の可能性が指摘されている(Canada CMP (2018))。 | |||
生殖毒性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 (1)より、区分1(呼吸器)とした。なお旧分類では、中枢神経系、消化器系、肝臓が採用されていたが、旧分類で利用された根拠データの信頼性が確認できないことから、採用していない。新たな知見に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた1時間単回吸入(蒸気)ばく露試験において、1,014〜4,049 ppm(2.82〜11.3 mg/L、区分1〜2の範囲)のばく露で呼吸困難、肺浮腫、分泌増加がみられたとの報告がある。(US AEGL (2012)、DFG MAK (2006))。 【参考データ等】 (2)マウスを用いた単回経口投与試験において、50 mg/kg(区分1の範囲)で血漿AST・ALT及びLDHの増加とともに、肝臓の被膜下実質における細胞性浸潤を伴う壊死、実質細胞の肥大、中心静脈付近の肝細胞の好酸性化などがみられた。この壊死は、本物質の胃内投与後に胃壁を通過して肝臓に拡散したためと考えられた。48時間後までに壊死は消失し細胞増殖の亢進が生じた。炎症性細胞浸潤(好中球とマクロファージ主体)はその後もみられたが、8日後には肝臓はほぼ正常に復した。同様に、ラットに30 mg/kgを単回経口投与した試験でも、マウスと同様の肝臓影響が認められた(JECFA FAS 63 (2011)、US AEDL (2010)、DFG MAK (2006))。 | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 (1)〜(3)より、区分1(肝臓)とした。なお旧分類では、腎臓、呼吸器系、精巣、卵巣が採用されていたが、旧分類で利用された根拠データの信頼性が低いこと、及び、(2)の内容を踏まえ、採用していない。新たな知見に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。 【根拠データ】 (1)マウスを用いた13週間強制経口投与試験(5日/週)において、雄で8 mg/kg/day(90日換算:5.8 mg/kg/day:区分1)以上、雌で15 mg/kg/day(90日換算:10.8 mg/kg/day:区分2の範囲)以上の投与で肝臓の組織変化(肝細胞の肥大・変性・壊死、クッパー細胞の色素沈着(緑黄色〜褐色)、胆管過形成、胆管線維症(雌のみ))、高用量2群(雄15及び30 mg/kg/day、雌30及び60 mg/kg/day、区分2の範囲)で肝臓重量増加が認められた(IARC 63 (1995)、DFG MAK (2006)、MOE 初期評価 (2011)、JECFA FAS 63 (2011)、AICIS IMAP (2016))。 (2)ラットを用いた13週間強制経口投与試験(5日/週)では、雌雄とも最小用量の4 mg/kg/day(90日換算:2.9 mg/kg/day、区分1の範囲)以上で肝内胆管の過形成と線維化(雌4 mg/kg/day除く)、8又は15 mg/kg/day(90日換算:5.8又は10.8 mg/kg/day、区分1〜2の範囲)以上で肝臓絶対・相対重量増加、肝細胞の組織変化(肥大、変性、壊死、結節性過形成、クッパー細胞の色素沈着(緑色〜褐色)等)がみられた。また60 mg/kg/day(90日換算:43.2 mg/kg/day)で死亡例(雄9/10、雌4/10)がみられ、さらに雌雄の多くで腎尿細管上皮の壊死、精巣・卵巣・胸腺の萎縮がみられたが、これらは衰弱による二次的変化と考えられた(IARC 63 (1995)、DFG MAK (2006)、MOE 初期評価 (2011)、JECFA FAS 63 (2011)、AICIS IMAP (2016))。 (3)ラット及びマウスを用いた2年間強制経口投与による発がん性試験において、ラット、マウスとも非腫瘍性病変として、区分1範囲から全投与群(ラット:2〜8 mg/kg/day、マウス:8、15 mg/kg/day)で肝臓影響(胆管の線維化、過形成、慢性炎症、増生、肝細胞肥大、空胞化、変性、壊死)がみられた(IARC 63 (1995)、DFG MAK (2006)、MOE 初期評価 (2011)、AICIS IMAP (2016))。 | |||
誤えん有害性* | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 【参考データ等】 (1)20℃での粘性率 0.361 mPa ・ s 及び密度(比重)0.95(REACH登録情報 (Accessed Nov. 2023))に基づき、動粘性率は0.38 mm2/sと算出される。 | |||
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性 短期(急性) | 魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50 = 61mg/L(AQUIRE, 2008)から区分3とした。 | ||
水生環境有害性 長期(慢性) | 急性毒性区分3であり、急速分解性がない(難分解性、BODによる分解度:4%(既存点検, 1983))が、魚類(ファットヘッドミノー)の31-33日間NOEC = 8.27 mg/L(AQUIRE, 2008)であり、長期毒性が > 1mg/Lであることから区分に該当しないとした。 | ||
残留性・分解性 | 化審法分解度試験:難分解性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性)) | ||
生態蓄積性 | 化審法濃縮度試験:低濃縮性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性)) | ||
土壌中の移動性 | 情報なし | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
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化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
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該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 2389 | |||
品名(国連輸送名) | フラン | |||
国連分類 | 3 | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | T | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 道路法、消防法の規定に従う。 | |||
特別な安全上の対策 | 道路法、消防法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 128 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降) 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降) 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)(令和7年4月1日以降) 危険物・引火性の物(施行令別表第1第4号) 作業場内表示義務(法第101条の4)(令和7年4月1日以降) | |||
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) | 第二種指定化学物質(法第2条第3項、施行令第2条別表第2) | |||
毒物及び劇物取締法 | - | |||
消防法 | 第4類 引火性液体 特殊引火物 非水溶性(法第2条第7項危険物別表第1・第4類) | |||
大気汚染防止法 | 有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申) | |||
船舶安全法 | 引火性液体類(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
航空法 | 引火性液体(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
港則法 | その他の危険物・引火性液体類(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表) | |||
道路法 | 車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2) |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 | ||||
修正履歴 | ||||
R6.3.29: ・危険有害性の分類について物理化学的危険性、健康に対する有害性を見直した。 ・SDS全般について表記の見直し・改訂をした。 |