1.化学品等及び会社情報 | |||
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化学品等の名称 | テトラヒドロフラン | ||
製品コード | H30-C-049-MHLW | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 合成樹脂・塗料・接着剤溶剤,医薬・農薬製造反応溶媒 |
2.危険有害性の要約 | ||||
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GHS分類 | ||||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | H31.3.15、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改訂版 (ver1.1):JIS Z7252:2014準拠) を使用 | |||
GHS改訂4版を使用 | ||||
物理化学的危険性 | 引火性液体 | 区分2 | ||
健康に対する有害性 | 急性毒性(経口) | 区分4 | ||
急性毒性(吸入:蒸気) | 区分4 | |||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 区分2 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 区分2A | |||
発がん性 | 区分2 | |||
生殖毒性 | 区分2 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1(中枢神経系)、区分3(気道刺激性、麻酔作用) | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1 (中枢神経系、呼吸器、肝臓) | |||
分類実施日 (環境有害性) | 環境に対する有害性はH18年度、GHS分類マニュアル(H18.2.10版)を使用 | |||
環境に対する有害性 | - | |||
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」又は「分類できない」に該当する。なお、これらに該当する場合は後述の11項に記載した。 | ||||
GHSラベル要素 | ||||
絵表示 | ||||
注意喚起語 | 危険 | |||
危険有害性情報 | 引火性の高い液体及び蒸気 飲み込むと有害 吸入すると有害 皮膚刺激 強い眼刺激 発がんのおそれの疑い 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い 中枢神経系の障害 呼吸器への刺激のおそれ 眠気またはめまいのおそれ 長期にわたる又は反復ばく露による中枢神経系、呼吸器、肝臓の障害 | |||
注意書き | ||||
安全対策 | 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 容器を密閉しておくこと。 容器を接地すること/アースをとること。 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。 火災を発生させない工具を使用すること。 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 取扱い後は...よく洗うこと。 この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 | |||
応急措置 | 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 火災の場合:消火するために...を使用すること。 飲み込んだ場合:気分が悪い時は医師に連絡すること。 口をすすぐこと。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 気分が悪いときは、医師に連絡すること。 皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。 特別な処置が必要である (このラベルの...を見よ)。注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 汚染された衣服を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 ばく露またはばく露の懸念がある場合:医師の診断/手当を受けること。 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 | |||
保管 | 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 施錠して保管すること。 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 | |||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | |||
他の危険有害性 | - |
3.組成及び成分情報 | |||
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単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | テトラヒドロフラン | ||
別名 | オキサシクロペンタン オキソラン テトラエチレンオキシド THF 1,4-Epoxybutane Diethylene oxide Oxacyclopentane Tetramethylene oxide | ||
濃度又は濃度範囲 | 100% | ||
分子式 (分子量) | C4H8O (72.11) | ||
化学特性 (示性式又は 構造式) | |||
CAS番号 | 109-99-9 | ||
官報公示整理番号 (化審法) | 5-53 | ||
官報公示整理番号 (安衛法) | 情報なし | ||
分類に寄与する不純物及び 安定化添加物 | - |
4.応急措置 | 「2.危険有害性の要約」における応急措置も確認すること。 | ||
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吸入した場合 | 新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 気分が悪い時は医師を呼ぶこと。 | ||
皮膚に付着した場合 | 皮膚を速やかに洗浄すること。 脱いだ衣類を再使用する前に洗濯し汚染除去すること。 気分が悪い時は、医師を呼ぶこと。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間、注意深く洗うこと。 コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。洗浄を続けること。 眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。 | ||
飲み込んだ場合 | 直ちに医師を呼ぶこと。 口をすすぐこと。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 眼へのばく露により発赤、痛みを、皮膚へのばく露に対して乾燥、発赤、痛みを引き起こすことがある。 吸入により、咳、めまい、頭痛、吐き気、咽頭痛、意識喪失を引き起こすことがある。 | ||
応急措置をする者の保護 | 有機溶剤用の保護マスクが有ればそれを着用する。 | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
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消火剤 | 小火災:二酸化炭素、粉末消火剤、散水、耐アルコール性泡消火剤 大火災:散水、噴霧水、耐アルコール性泡消火剤 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状注水 | ||
特有の危険有害性 | 極めて燃え易い、熱、火花、火炎で容易に発火する。 火災によって刺激性、毒性、又は腐食性のガスを発生するおそれがある。 加熱により容器が爆発するおそれがある。 | ||
特有の消火方法 | 散水によって逆に火災が広がるおそれがある場合には、上記に示す消火剤のうち、散水以外の適切な消火剤を利用すること。 引火点が極めて低い:散水以外の消火剤で消火の効果がない大きな火災の場合には散水する。 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 移動不可能な場合、容器及び周囲に散水して冷却する。 消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。 | ||
消火を行う者の保護 | 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び 緊急措置 | 漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。 関係者以外の立入りを禁止する。 作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触やガスの吸入を避ける。 漏洩しても火災が発生していない場合、密閉性の高い、不浸透性の保護衣を着用する。 風上に留まる。 低地から離れる。 密閉された場所に立入る前に換気する。 | ||
環境に対する注意事項 | 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 危険でなければ漏れを止める。 漏出物を取扱うとき用いる全ての設備は接地する。 蒸気抑制泡は蒸発濃度を低下させるために用いる。 回収、中和: 少量の場合、乾燥土、砂や不燃材料で吸収し、あるいは覆って密閉できる空容器に回収する。 少量の場合、吸収したものを集めるとき、清潔な帯電防止工具を用いる。 大量の場合、盛土で囲って流出を防止し、安全な場所に導いて回収する。 大量の場合、散水は、蒸気濃度を低下させる。しかし、密閉された場所では燃焼を抑えることが出来ないおそれがある。 二次災害の防止策: すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。 排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。 『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の局所排気、全体換気を行う。 | ||
安全取扱い注意事項 | 周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。 容器を転倒させ、落下させ、衝撃を加え、又は引きずるなどの取扱いをしてはならない。 接触、吸入又は飲み込んではならない。 眼に入れてはならない。 屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。 この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 | ||
接触回避 | 『10.安定性及び反応性』を参照。 | ||
衛生対策 | 情報なし | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 熱、火花、裸火のような着火源から離して保管すること。-禁煙。 容器を密閉して換気の良いところで貯蔵すること。 冷所、換気の良い場所で貯蔵すること。 酸化剤から離して保管する。 容器は直射日光や火気を避けること。 施錠して貯蔵すること。 技術的対策: 保管場所は壁、柱、床を耐火構造とし、かつ、はりを不燃材料で作ること。 保管場所は屋根を不燃材料で作るとともに、金属板その他の軽量な不燃材料でふき、かつ天井を設けないこと。 保管場所の床は、床面に水が浸入し、又は浸透しない構造とすること。 保管場所の床は、危険物が浸透しない構造とするとともに、適切な傾斜をつけ、かつ、適切なためますを設けること。 保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。 | ||
安全な容器包装材料 | 消防法及び国連輸送法規で規定されている容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
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管理濃度 | 50 ppm | ||
許容濃度 | |||
日本産衛学会(2019年度版) | 許容濃度: 50 ppm、148 mg/m3、経皮吸収 | ||
ACGIH(2019年度版) | TLV-TWA: 50 ppm、TLV-STEL: 100 ppm、Skin | ||
設備対策 | 製造業者が指定するその他の防爆の電気、換気、照明機器を使用すること。 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。 高熱工程で粉じん、ヒューム、ミストが発生するときは、空気汚染物質を管理濃度以下に保つために換気装置を設置する。 空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行なうこと。 適切な呼吸器保護具を着用すること。 | ||
保護具 | |||
呼吸用保護具 | 適切な呼吸器保護具を着用すること。 | ||
手の保護具 | 適切な保護手袋を着用すること。 | ||
眼の保護具 | 保護眼鏡(普通眼鏡型、側板付き普通眼鏡型、ゴーグル型) | ||
皮膚及び身体の保護具 | 適切な顔面用の保護具を着用すること。 適切な保護衣及び長靴を着用すること。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
形状 | 液体: ホンメル(1991) | ||
色 | 無色: ホンメル(1991) | ||
臭い | エーテル類似臭: ホンメル(1991) | ||
臭いのしきい(閾)値 | 情報なし | ||
pH | 情報なし | ||
融点・凝固点 | -108℃(融点):GESTIS(2014),-108.44℃: HSDB(2014) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 65℃ (沸点):HSDB(2014)、64℃: GESTIS(2014) | ||
引火点 | -20℃(cc): GESTIS(2014) -14.5℃(cc): HSDB(2014) | ||
蒸発速度(酢酸ブチル=1) | 情報なし | ||
燃焼性(固体、気体) | 非該当 | ||
燃焼又は爆発範囲 | 下限 2.0 vol% 上限 11.8vol% :混触危険Hb(第2版, 1997) | ||
蒸気圧 | 145mmHg(20℃) [換算値 19328Pa(20℃)] :NFPA (12th, 1997) | ||
蒸気密度 | 2.5 (air=1): 危険物DB(第2版, 1993) | ||
比重(相対密度) | 0.8892 (20℃/4℃): Merck (Accessed May 2005) | ||
溶解度 | 水: 混和(25℃):HSDB(2014) アルコール類、ケトン類、エステル類:可溶 : Merck (Accessed May 2005) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | log Pow = 0.46 (測定値): Howard (1997) | ||
自然発火温度 | 321℃: HSDB(2014), 230℃: GESTIS(2014) | ||
分解温度 | 情報なし | ||
粘度(粘性率) | 0.00486g/cm・s (0.486mPa・s) (20℃) ;溶剤ポケットブック(1994) |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 禁止剤がないと空気酸化により過酸化物を生成;Bretherick(J) (5th, 1998) | ||
化学的安定性 | 不安定(p-クレゾール、ヒドロキノン等の安定剤を加えて安定化。) | ||
危険有害反応可能性 | 強酸化剤、強塩基、いくつかのハロゲン化金属と激しく反応し、火災と爆発の危険をもたらす。 | ||
避けるべき条件 | 高温、日光。 フレーム及びスパーク発生装置から遠ざける。 | ||
混触危険物質 | 強酸化性物質、強塩基性物質、ハロゲン化金属。 | ||
危険有害な分解生成物 | 火災時の燃焼により、一酸化炭素、二酸化炭素などの有害ガスが発生する。 |
11.有害性情報 | |||
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急性毒性 | |||
経口 | ラットのLD50値として、1,650 mg/kg (環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006))、1,900 mg/kg (NTP TR475 (1998))、2,000 mg/kg (14日齢)、3,200 mg/kg (若成体)、2,800 mg/kg (老成体) (IRIS TR (2012)、ACGIH (7th, 2005)) との5件のデータの報告がある。分類ガイダンスに従い、最多数 (3件) のデータが該当する区分4とした。 | ||
経皮 | データ不足のため分類できない。 | ||
吸入:ガス | GHSの定義における液体である。 | ||
吸入:蒸気 | ラットのLC50値 (3時間) として、21,000 ppm (4時間換算値:18,187 ppm) との報告 (環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、ACGIH (7th, 2005)、NTP TR475 (1998)) に基づき、区分4とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (213,158 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。優先度の低い情報源に代えて、優先度の高い新たな情報源 (環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、ACGIH (7th, 2005)、NTP TR475 (1998)) を追加し、区分を見直した。 | ||
吸入:粉じん及びミスト | データ不足のため分類できない | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1)〜(4)より、区分2とした。なお、ウサギやラットを用いた試験で刺激性を示さなかったとの報告(7)、(8)もあるがもあるが、ヒト知見を優先した。新たな情報源の利用により区分を変更した。 【根拠データ】 (1)本物質は皮膚、眼及び粘膜への刺激性を有するとの報告がある(ACGIH(2005)、NICNAS IMAP(Accessed Dec. 2018)、DFGOT(2004))。 (2)本物質が眼や皮膚に付くと発赤、痛み、皮膚の乾燥を生じるとの報告がある(環境省リスク評価第7巻(2009))。 (3)本物質をヒト6人に閉塞及び開放適用したところ、刺激性が観察されたとの報告がある(NICNAS IMAP(Accessed Dec. 2018)) (4)ウサギ、モルモット、ラット、マウスを用いた皮膚刺激性試験で刺激性を有するとの複数の報告がある(SIAR(2000)、環境省リスク評価第7巻(2009)、NICNAS IMAP(Accessed Dec. 2018))。 【参考データ等】 (5)本物質は、平成8年労働省告示第33号(平成25年厚生労働省告示第316号により改正)において、労働基準法施行規則別表第一の二第四号1の厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む。)に「テトラヒドロフラン」として指定されており、本物質にさらされる業務による、特定の症状又は障害を主たる症状又は障害とする疾病(頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状又は皮膚障害)が、業務上の疾病として定められている。 (6)本物質は、平成15年厚生労働省労働基準局長通知基発第0811001号において、労働安全衛生規則第594条に規定する皮膚障害防止用保護具の備付けが必要な皮膚に障害を与える物のうち「テトラヒドロフラン」として指定されている。 (7)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(n=6)で本物質を72時間閉塞適用したところ、72時間後でPII:1.93、紅斑スコア:0.75、浮腫スコア:0.9であり、刺激性を示さなかったとの報告がある(ACGIH(2005)、REACH登録情報(Accessed Dec. 2018))。 (8)ラットを用いた急性経皮毒性試験(OECD TG402、n=5(雄)、5(雌))で本物質(純度>99.8%)を24時間半閉塞適用したところ、紅斑及び浮腫共に見られなかったとの報告がある(REACH登録情報(Accessed Dec. 2018))。 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | ウサギに本物質0.1 mLを適用した眼刺激性試験で中等度の刺激性ありとの報告がある (ACGIH (7th, 2005))。また、ヒトへの影響に関して、本物質の蒸気が眼を刺激するとの記載 (環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)) や、本物質の液体は眼に対して重度の刺激性を有する (HSDB (Access on July 2014)) との記載がある。以上、「中等度の刺激性」及び「重度の刺激性」の記載から、区分2Aとした。 | ||
呼吸器感作性 | データ不足のため分類できない。 | ||
皮膚感作性 | データ不足のため分類できない。なお、ヒトにおいて感作性陰性の報告がある (IUCLID (2000)) が、試験法等の詳細が不明であるため、分類に用いるには不十分なデータと判断した。 | ||
生殖細胞変異原性 | ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、マウスの骨髄赤血球及び末梢血赤血球の小核試験で陰性、マウス骨髄細胞の染色体異常試験で陰性、ラット肝臓の不定期DNA合成試験で陰性である (ACGIH (7th, 2005)、NTP DB (Access on September 2014)、IUCLID (2000))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、小核試験、姉妹染色分体交換試験で陰性である (ACGIH (7th, 2005)、NTP DB (Access on September 2014)、IUCLID (2000))。 | ||
発がん性 | ACGIHでA3 (ACGIH (7th, 2005)、HSDB (Access on August 2014))、EPAで “suggestive evidence of carcinogenic potential” (IRIS TR (2012))と分類されている。以上より、区分2とした。 | ||
生殖毒性 | ラットを用いた経口経路 (飲水) での2世代生殖毒性試験 (OECD TG416) において、親動物毒性 (体重増加抑制、腎臓の相対重量増加) がみられる用量 (9,000 ppm) で、生殖機能に影響はみられていないが哺育期間中の児の体重増加抑制、眼瞼開裂の遅延がみられた。しかし、催奇形性はみられていないとの報告がある (IRIS TR (2012)、環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、IUCLID (2000))。この試験でみられた児動物に対する影響はわずかな影響であったため分類には用いなかった。 ラットを用いた吸入経路での催奇形性試験において、母動物に体重増加抑制がみられる用量 (5,000 ppm) で胎児に僅かな影響 (胎児体重減少、骨化遅延)がみられたとの報告がある (IRIS TR (2012)、環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006))。この試験でみられた胎児に対する影響はわずかな影響であったため分類には用いなかった。 マウスを用いた吸入経路での催奇形性試験において、母動物に重篤な母動物毒性 (25%以上死亡) がみられる用量 (5,000 ppm) で95%の胚吸収を示している。この所見は重篤な母動物毒性がみられていることから分類には用いなかった。しかし、母動物に体重増加抑制、麻酔作用がみられる用量 (1,800 ppm) において胎児に影響 (胎児の生存率低下、胸骨分節の骨化遅延)がみられたとの報告がある (IRIS TR (2012)、環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006))。 以上のように生殖能に対する影響、催奇形性はみられていないが、マウスの催奇形性試験において母動物毒性がみられる用量で胎児の生存率低下がみられていることから、区分2とした。 | ||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | 本物質は気道刺激性がある (環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、ACGIH (7th, 2005)、HSDB (Access on August 2014))。ヒトにおいては、蒸気吸入ばく露は高濃度で中枢神経系に影響を与えて嗜眠を起こす場合がある。また経口摂取や吸入ばく露で咳、咽頭痛、眩暈、頭痛、吐き気、意識喪失が生じる (環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006))。また、血中肝酵素の上昇、吐き気、めまい、聴力低下、血管浮腫、後頭部の頭痛、脳痙攣の報告がある (ACGIH (7th, 2005))。 実験動物では、マウス又はラットの吸入ばく露で麻酔作用、過呼吸、高血圧、流涎、嗜眠、異常歩行、正向反射消失、自発運動低下、鼻腔出血、筋攣縮、中枢神経系への影響、呼吸困難、運動失調、チアノーゼ、昏睡、電気誘発発作の伝播・維持の阻害が報告されている (産業衛生学会許容濃度の提案理由書 (1978)、ACGIH (7th, 2005)、HSDB (Access on August 2014))。 以上より、ヒトに中枢神経系、気道刺激性、麻酔作用があると考えられ、区分1 (中枢神経系)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。なお、旧分類では麻酔作用を不採用としているが、ACGIH、産業衛生学会許容濃度の提案理由書において、マウス、ラットで麻酔作用がみられていることから、今回採用した。 | ||
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | ヒトでの反復ばく露による知見については、職業ばく露による報告が多く報告されており、中枢神経症状 (頭痛、めまい、吐き気)、呼吸器症状 (咳、胸痛、呼吸困難)、肝障害 (血清AST、ALT、γ-GTの上昇、肝生検による組織の脂肪変性、鉄沈着) の報告がある (IRIS TR (2012)、ACGIH (7th, 2005)) が、いずれも他の複数の溶剤との複合ばく露影響であり、濃度やばく露期間との関連性も明確ではない。NIOSH職業ばく露の作業環境調査で、本物質を含む複数の溶剤 (アセトン、トルエン、メチルエチルケトン) が検出された工場作業者へのヒアリングでは、眼、呼吸器の刺激、頭痛、意識障害、嗜眠などの主訴が多かった (IRIS TR (2012)) との報告がある。また、塩ビパイプ製造工場で本物質に最大 1,000 ppm (2,950 mg/m3) の濃度でばく露された作業者の間に下半身の疲労を訴えた者が多く、臨床検査で全血の比重低下、白血球数減少、血清ALTの上昇、触知可能な肝腫大及び低血圧がみられた (IRIS TR (2012)) との記述がある。なお、本物質にばく露された作業者1名が血尿を呈し、生検により、IgA増殖性糸球体腎炎を発症した (IRIS TR (2012)、ACGIH (7th, 2005)) との報告もあるが、1件1例のみの報告である。 実験動物では、ラットに本物質 (蒸気と推定) を12週間吸入ばく露 (4時間/日) した試験において、区分2相当濃度 (200 ppm (600 mg/m3) : ガイダンス値換算: 0.37 mg/L/6 時間) で、血清ASTの上昇がみられたとの記述、並びにラット及びマウスに13週間又は2年間吸入ばく露したNTP試験で、区分外の高濃度 (1.77-5.31 mg/L/6 時間) で肝臓への影響 (重量増加、肝細胞の壊死)、及び中枢神経症状 (ばく露中からばく露終了1時間以内の昏睡 (麻酔作用)、運動失調) がみられたとの記述より、実験動物での標的臓器も肝臓及び中枢神経系と考えられた。なお、実験動物でも一部の試験では極めて高濃度で「血液系」への影響がみられるが、血液影響はヒトの知見でも共通性が低く、例外的な所見と判断した。また、「腎臓」を標的臓器と疑うべき所見は動物試験からは得られず、ヒトでの腎炎症例は特異な症例と考えた。 以上、ヒトでの職業ばく露による知見は必ずしも本物質の単独ばく露の影響とは言えないが、実験動物での結果を併せ判断し、区分1 (中枢神経系、呼吸器、肝臓) に分類した。なお、旧分類からは上記の理由により、「腎臓」を削除し、ヒトの知見で共通性の高い「呼吸器」を今回加えた。 | ||
吸引性呼吸器有害性 | データ不足のため分類できない。 |
12.環境影響情報 | |||
---|---|---|---|
生態毒性 | |||
水生環境有害性(急性) | 魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50 = 2160 mg/L (ECETOC TR91, 2003)であることから、区分外とした。 | ||
水生環境有害性(長期間) | 慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(BODによる分解度:100%(既存点検, 1975))、魚類(ファットヘッドミノー)の35-38日間NOEC = 216 mg/L (環境省リスク評価第7巻, 2009)であることから、区分外となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 5930 mg/L(環境省リスク評価第7巻, 2009)であり、難水溶性ではない(水溶解度=1000000 mg/L、PHYSPROP Database, 2009)ことから、区分外となる。 以上の結果から、区分外とした。 | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
13.廃棄上の注意 | |||
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残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 2056 | |||
国連品名 | TETRAHYDROFURAN | |||
国連危険有害性クラス | 3 | |||
副次危険 | 該当しない | |||
容器等級 | II | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書K及び IBCコードによるばら積み 輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 道路法、消防法の規定に従う。 | |||
特別な安全上の対策 | 道路法、消防法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
その他 (一般的) 注意 | 化学品を扱う場合の一般的な注意として、輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 127 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2008 Emergency Response Guidebook (ERG 2008)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 有機溶剤(第二種有機溶剤等) 名称等を表示し、又は通知すべき危険物及び有害物(法第57条、施行令第17条別表第3第1号並びに施行令第18条及び第18条の2別表第9) 作業環境評価基準(法第65条) | |||
労働基準法 | 疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1) | |||
化審法 | 優先評価化学物質(法第2条第5項) | |||
消防法 | 第4類引火性液体、第一石油類水溶性液体(法第2条第7項危険物別表第1) | |||
大気汚染防止法 | 揮発性有機化合物(法第2条第4項) |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | 各データ毎に記載した。 | |||
[注意] 本SDSはJIS Z7253:2012 に準拠して作成しています。 |