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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン
作成日 2008年10月08日
改訂日 2020年03月13日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン (2,4,6-Trichloro-1,3,5-triazine)
製品コードR01-B-022
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファックス番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限染料・医薬・農薬原料 (NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
R2.3.13、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改訂版 (ver1.1)) を使用
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用)
物理化学的危険性-
健康に対する有害性急性毒性 (経口)区分4
急性毒性 (吸入: 粉じん、ミスト)区分2
皮膚腐食性/刺激性区分2
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分1
皮膚感作性区分1A
生殖毒性区分2
$DAN29$
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)区分1 (呼吸器)
区分3 (麻酔作用)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)区分1 (呼吸器、血液系)
区分2 (肝臓)
分類実施日
(環境有害性)
H18年度、GHS分類マニュアル (H18.2.10版) (R1年度、分類実施中)
環境に対する有害性-
GHSラベル要素
絵表示腐食性どくろ健康有害性
注意喚起語危険
危険有害性情報飲み込むと有害
皮膚刺激
アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
重篤な眼の損傷
吸入すると生命に危険
眠気又はめまいのおそれ
生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い
呼吸器の障害
長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器、血液系の障害
長期にわたる、又は反復ばく露による肝臓の障害のおそれ
注意書き
 安全対策使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
容器を密閉しておくこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
取扱後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。
注)【】の文言は、化学品の使用時に関する追加的な情報が、安全な使用のために十分であろう換気のタイプを説明している場合に使用できます。
 応急措置汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。直ちに医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。直ちに医師に連絡すること。
飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
特別な処置が緊急に必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
 保管換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
単一製品・混合物の区別単一製品
化学名又は一般名2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン
別名トリシアンクロリド
三塩化シアヌリル
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C3Cl3N3 (184.41)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号108-77-0
官報公示整理番号
(化審法)
5-1045
官報公示整理番号
(安衛法)
情報なし
分類に寄与する不純物及び安定化添加物情報なし

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。直ちに医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
眼に入った場合眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。直ちに医師に連絡すること。
飲み込んだ場合口をすすぐこと。吐かせない。気分が悪いときは医師に連絡すること。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入: 灼熱感、咳、息苦しさ、息切れ、咽頭痛
皮膚: 発赤、痛み
眼: 充血、痛み
経口摂取: 腹痛、灼熱感、ショック/虚脱
応急措置をする者の保護情報なし
医師に対する特別な注意事項肺水腫、喘息の症状は 2〜3時間経過するまで現われない場合が多く、安静を保たないと悪化する。したがって、安静と経過観察が不可欠である。
医師又は医師が認定した者による適切な吸入療法の迅速な施行を検討する。

5.火災時の措置
適切な消火剤粉末消火薬剤、二酸化炭素
使ってはならない消火剤水、水系消火薬剤
特有の危険有害性不燃性。火災時に、刺激性あるいは有毒なヒュームやガスを放出する。
特有の消火方法情報なし
消火を行う者の保護自給式呼吸器、防護服 (耐熱性) を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置関係者以外の立ち入りを禁止する。
作業者は適切な保護具を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
環境に対する注意事項周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材こぼれた物質を、ふた付きの 密閉式容器内に掃き入れる。
残留分を、注意深く集める。
個人用保護具: 自給式呼吸器付完全保護衣

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項この物質により、喘息の症状を示した者は、以後この物質に接触しないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
容器を密閉しておくこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。
注)【】の文言は、化学品の使用時に関する追加的な情報が、安全な使用のために十分であろう換気のタイプを説明している場合に使用できます。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
保管
安全な保管条件施錠して保管すること。
換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
乾燥した場所に保管する。
食品や飼料から離しておく。
安全な容器包装材料国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度未設定
許容濃度
日本産衛学会 (2019年度版)未設定
ACGIH (2019年版)未設定
設備対策粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器又は局所排気装置を使用する。
保護具
呼吸用保護具呼吸用保護具を使用する。
手の保護具保護手袋を着用する。
眼の保護具呼吸用保護具と併用して、顔面シールド又は眼用保護具を着用する。
皮膚及び身体の保護具保護衣を着用する。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
白色 (ホンメル (1991))
臭い刺激臭 (ホンメル (1991))
融点/凝固点146℃ (ホンメル (1991))
沸点、初留点及び沸騰範囲190℃ (ホンメル (1991))
可燃性不燃性 (ICSC (2002))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界該当しない
引火点該当しない
自然発火点該当しない
分解温度データなし
pHデータなし
動粘性率該当しない
溶解度水:反応する (ICSC (2002))
n-オクタノール/水分配係数1.73 (EST) (HSDB (Access on May 2019))
蒸気圧0.023 mmHg (25℃) (HSDB(Access on May 2019))
密度及び/又は相対密度1.32(20℃/4℃) (HSDB (Access on May 2019))
相対ガス密度該当しない
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性情報なし
危険有害反応可能性加熱すると分解し、有毒で腐食性のガスを生じる。
水と激しく反応し、シアヌル酸、塩酸及び熱を生じる。
メタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及び2-エトキシエタノールと反応する。
避けるべき条件水との接触
混触危険物質
危険有害な分解生成物有毒で腐食性のガス、シアヌル酸、塩酸

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
(1)〜(3) より、区分4とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50:約 320 mg/kg (雄: 315 mg/kg、雌: 327 mg/kg) (SIDS (2004))
(2) ラットのLD50:425〜1,460 mg/kg (PATTY (6th, 2012))
(3) ラットのLD50:485 mg/kg (環境省リスク評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004))
経皮【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1) ウサギのLD50:> 2,000 mg/kg (SIDS (2004))
(2) ラットのLD50:5,000 mg/kg (SIDS (2004))
吸入: ガス【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。
吸入: 蒸気【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト【分類根拠】
(1)、(2) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間、粉じん) : 0.0405〜0.108 mg/L (PATTY (6th, 2012))
(2) ラットのLC50 (4時間、蒸気・吸入性粉じん) : 0.170 mg/L、0.0185〜0.18 mg/L (SIDS (2004))

【参考データ等】
(3) マウスのLC50 (2時間) : 0.01 mg/L (4時間換算値 : 0.00707 mg/L) (PATTY (6th, 2012)、環境省リスク評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004)、SIDS (2004))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性【分類根拠】
(1)〜(3) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) OECD TG 404に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験 (4時間半閉塞適用) で24/48/72時間の平均スコアは0.67-1.67であり、平均スコアが1.5を上回ったのは1/6例のみであった (SIDS (2004))。
(2) OECD TG 404に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験 (4時間半閉塞適用) で刺激性を認めなかった (SIDS (2004))。  
(3) 本物質はウサギの皮膚に重度の刺激性を示す (PATTY (6th, 2012))。

【参考データ等】
(4) OECD TG 404に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験 (24時間半閉塞適用) で刺激性を示した (SIDS (2004))。
(5) ヒトにおいて本物質は皮膚、眼、気道に強い腐食性を有する (SIDS (2004))。
(6) EU-CLP分類でSkin Corr. 1B (H314) に分類されている (EU CLP分類 (Access on July 2019))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
(1)〜(4) より、区分1とした。

【根拠データ】
(1) ウサギを用いた眼刺激性試験で24/48/72時間の平均スコアは角膜混濁:3、虹彩:2、結膜発赤:3、結膜浮腫:3であった (SIDS (2004))。
(2) 本物質は皮膚、眼、気道に強い刺激性を有する (SIDS (2004))。
(3) 2系統のウサギを用いた眼刺激性試験で角膜、虹彩、結膜に影響を与え、重度の刺激性を示した (SIDS (2004))。
(4) 本物質はウサギの眼に重度の刺激性を示す (PATTY (6th, 2012))。

【参考データ等】
(5) OECD TG 405に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験で刺激性 (Irritating) と報告されている (SIDS (2004))。
呼吸器感作性【分類根拠】
(1) より、区分1とした。なお、新たな情報が得られたことにより区分を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質は感作性を有し、ヒトにおいて喘息及び接触性皮膚炎の報告がある (SIAP (2001))。
皮膚感作性【分類根拠】
(1)〜(3) より、区分1Aとした。

【根拠データ】
(1) 本物質は感作性を有し、ヒトにおいて喘息及び接触性皮膚炎の報告がある (SIAP (2001))。
(2) OECD TG 406に準拠したモルモットを用いた皮膚感作性試験 (皮内感作 : 0.01%、貼付感作 : 2%、惹起 : 1%)において陽性率100%を示した (SIDS (2004)) 。
(3) OECD TG 429に準拠したマウス局所リンパ節試験 (LLNA ) において2.5%以上で陽性反応を認めた (SIDS (2004))。

【参考データ等】
(4) モルモットを用いた皮膚感作性試験では陽性と陰性の結果がある (PATTY (6th, 2012))。
(5) EU-CLP分類でSkin Sens. 1 (H317) に分類されている (EU CLP分類 (Access on July 2019))。
生殖細胞変異原性【分類根拠】
(1)、(2) よりin vivo、in vitro試験ともに陰性知見がみとめられたことから、ガイダンスにおける分類できないに相当し、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウス骨髄の小核試験で陰性の報告がある (SIDS (2004)、PATTY (6th, 2012))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性の報告がある (SIDS (2004)、PATTY (6th, 2012))。
発がん性【分類根拠】
国際機関による既存分類もなく、データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1) ラットに本物質10 mgを餌に混ぜて2年間投与した結果、乳腺の線維腺腫5例、子宮の横紋筋肉腫1例、腸組織のリンパ肉腫1例、前立腺がん1例など腫瘍発生がみられたが、いずれも自然発生的な腫瘍で投与に関連した腫瘍発生ではないとされた (SIDS (2004))。
(2) ラット (25匹/性/群) に本物質を3.5ヵ月間皮下投与し、20.5ヵ月間後に屠殺した結果、9例の局所壊死部位に肉腫が認められ、原著者により刺激性影響によると考察された (SIDS (2004))。
生殖毒性【分類根拠】
(1) より、母動物毒性がみられる用量において催奇形性はみられていないが、着床後胚吸収の増加、生存胎児数の減少がみられていることから区分2とした。

【根拠データ】
(1) 雌ラットの妊娠6〜19日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (被毛粗剛、流涎、呼吸の異常音、体重増加の抑制等) がみられた用量で、胚/胎児毒性 (着床後胚吸収の増加、生存胎児数の減少) がみられている (環境省リスク評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004)、SIDS (2004)、PATTY (6th, 2012))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)【分類根拠】
ヒトでは (1)〜(3)、実験動物では (5) で吸入ばく露により、呼吸器への影響がみられている。また、実験動物では (4) の経口ばく露で、区分1上限の用量で麻酔作用を示す中枢神経系への影響がみられている。以上より、区分1 (呼吸器)、区分3 (麻酔作用) とした。旧分類は神経系も標的臓器としていたが、根拠とされた影響は麻酔作用に包含されていると考えられるため、分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ヒトでは本物質の急性ばく露の影響は、皮膚、眼粘膜、鼻腔、咽頭、気道の刺激である。本物質の粉じん又は蒸気の吸入により、下部気道にまで達する刺激が生じる (SIDS (2004)、環境省リスク評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004)、BUA 125 (1993))。
(2) 工場での事故により本物質の紛末のばく露を受けた54歳男性1名が、皮膚、眼、咽頭に刺激を生じ、その後に肺胞毛細血管でのガス交換の不全を伴う重篤な閉塞性肺症候群を発症したが、心機能には影響はみられず、20日後までには回復した (SIDS (2004)、BUA 125 (1993))。
(3) 事故で本物質の粉じんのばく露を受けた2名の労働者が、皮膚に表在性の化学熱傷を生じ、1名は閉塞を伴う化膿性の気管支炎、もう1名は眼の熱傷も生じたが、肺機能への影響はみられなかった (環境省リスク評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004)、BUA 125 (1993))。
(4) ラットの単回経口投与試験において、300 mg/kg (区分1上限) 及びそれ以上の用量で、運動機能減退、嗜眠、筋緊張低下、反射喪失、立毛、速迫呼吸、体温低下が認められた。死亡例は325 mg/kgからみられた (SIDS (2004)、SIDS Dossier (2004))。
(5) ラットの4時間単回吸入ばく露試験において、本物質の粉じん (蒸気を含む) 0.15 mg/L及びそれ以上の濃度で、立毛、あえぎ、鼻の出血と痂皮、眼窩周囲の痂皮、チアノーゼと悪液質、反射減弱が認められた。0.15 mg/L ばく露群での死亡は10例中4例であった。生存例及び死亡例の剖検結果では、肺水腫が認められた ((SIDS (2004)、SIDS Dossier (2004))。0.15 mg/Lは、ガイダンスの粉じん/ミスト又は蒸気のいずれにおいても区分1に相当する。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)【分類根拠】
(1) より、ヒトにおいて吸入ばく露により呼吸器への影響、(2)、(3) より、ラットへの吸入ばく露により区分1の範囲で呼吸器及び血液系への影響、(4) より、ラットへの経口投与により区分2の範囲で肝臓及び血液系への影響がみられていることから、区分1 (呼吸器、血液系)、区分2 (肝臓) とした。なお、情報源を見直して検討した結果、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質のガス及び粉じんを吸入した労働者で下気道に達する刺激が現れて強い咳が出たとの報告がある。また、気管支炎及び気管支肺炎の発症も報告されている (環境省リスク評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004))。
(2) ラットに0.01〜0.25 mg/m3 (SIDSには蒸気と記載) を13週間 (6時間/日、5日/週) 吸入ばく露した試験において、0.25 mg/m3 (ガイダンス値換算: 0.0002 mg/L、区分1の範囲) で気道の炎症、鼻腔における好中球を含む黄色滲出液、内腔への多形核好中球の出現、気管炎の増加、雄で泡沫マクロファージ及びリンパ球浸潤を伴う肺のうっ血の増加がみられている。病因は局所刺激によるというより感染症起源であると原著者は考察している。しかし、SIDS (2004) では、鼻及び肺の変化は最高濃度で最も激しいため、ばく露による併発感染の悪化は排除できないとしている (SIDS (2004))。
(3) ラットに1.88 mg/m3 (蒸気と推定) (ガイダンス値換算: 0.001 mg/L、区分1の範囲) を75日間 (4時間/日、5日/週) 吸入ばく露した試験において、眼及び上部気道粘膜の刺激、不活発、赤血球数減少、ヘモグロビン減少、体重増加抑制、死亡 (3/10例)、肝臓、腎臓及び心筋の顆粒状の形態変化が報告されている (SIDS (2004)、環境省リスク評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004))。
(4) ラットに4〜100 mg/kg/dayを28日間経口投与した試験において、4 mg/kg/day (90日換算: 4 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上で死亡がみられ、死亡動物で脾臓のリンパ濾胞の萎縮、胃炎、生存例で、胃粘膜のびらん、潰瘍、前胃粘膜の限局性乳頭腫増殖及び角質増殖、20 mg/kg/day (90日換算: 6 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上で小腸におけるリンパ結節の活発な胚中心、100 mg/kg/day (90日換算: 31 mg/kg/day、区分2の範囲) で肝細胞の空胞化、肝細胞核の多型化、体重及び摂餌量の減少、肝臓及び副腎重量増加、赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値の低下、ALP活性の増加が報告されている (SIDS (2004))。

【参考データ等】
(5) ウサギに50〜500 mg/kgの用量で21日間経皮適用した試験において、皮膚の局所影響 (皮膚刺激及び炎症) が対照群を含む全ての投与群でみられ、50 mg/kg以上の雄で好中球の増加、150 mg/kg以上の雄で体重減少 (処置及び皮膚の傷害によるストレスによる影響を排除できない)、白血球数の増加、500 mg/kgの雌で体重減少が報告されている (SIDS (2004))。
誤えん有害性*【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 (急性)加水分解物生成物であるシアヌール酸の、甲殻類 (オオミジンコ) の24時間EC50 > 1,000 mg/L (SIDS (2005)) 他から、区分外とした。
水生環境有害性 (長期間)難水溶性でなく (水溶解度 = 400.8 mg/L (PHYSPROP Database (2005)))、急性毒性が低いことから、区分外とした。
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。

13.廃棄上の注意
残余廃棄物廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。
国際規制
国連番号2670
国連品名CYANURIC CHLORIDE
国連危険有害性クラス8
副次危険-
容器等級II
海洋汚染物質該当しない
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報該当しない
特別な安全上の対策該当しない
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*157
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2016 Emengency Response Guidebook (ERG 2016)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法変異原性が認められた既存化学物質(法第57条の5、労働基準局長通達)【136 2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン】
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)第1種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)【283 2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン】
毒物及び劇物取締法該当しない
化学物質審査規制法旧第2種監視化学物質(旧法第2条第5項)【旧番号439 2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン(平成23年4月1日をもって廃止)】
航空法腐食性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1)【【国連番号】2670 シアヌル酸クロライド】
船舶安全法腐食性物質(危規則第3条危険物告示別表第1)【【国連番号】2670 シアヌル酸クロライド】
港則法その他の危険物・腐食性物質(法第21条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)【2ヌ シアヌル酸クロライド】
大気汚染防止法有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申)【134 2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン】

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
International Chemical Safety Cards (ICSC)
Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
GESTIS Substance database (GESTIS)
ERG 2016版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用