1.化学品等及び会社情報 | |||
---|---|---|---|
化学品等の名称 | m‐クレゾール (m-Cresol) | ||
製品コード | H26-B-137 ( 20B0019) | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 合成樹脂原料,消毒剤,医薬・農薬原料,ワニス溶剤 |
2.危険有害性の要約 | ||||
---|---|---|---|---|
GHS分類 | ||||
分類実施日 | H25.8.22、政府向けGHS分類ガイダンス(H25.7版)を使用 | |||
GHS改訂4版を使用 | ||||
物理化学的危険性 | 引火性液体 | 区分4 | ||
健康に対する有害性 | 急性毒性(経口) | 区分3 | ||
急性毒性(経皮) | 区分3 | |||
皮膚腐食性/刺激性 | 区分1 | |||
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | |||
発がん性 | 区分2 | |||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | 区分1 (中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓) | |||
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | 区分1 (中枢神経系、心血管系、腎臓)、区分2 (呼吸器、血液系、肝臓) | |||
分類実施日 | 環境に対する有害性はH18.3.31、GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用 | |||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 (急性) | 区分2 | ||
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」に該当する。なお、健康有害性については後述の11項に、「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」の記述がある。 | ||||
GHSラベル要素 | ||||
絵表示 | ||||
注意喚起語 | 危険 | |||
危険有害性情報 | 可燃性液体 飲み込むと有毒 皮膚に接触すると有毒 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 重篤な眼の損傷 発がんのおそれの疑い 中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による中枢神経系、心血管系、腎臓の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器、血液系、肝臓の障害のおそれ 水生生物に毒性 | |||
注意書き | ||||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | |||
応急措置 | 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 直ちに医師に連絡すること。 気分が悪い時は医師に連絡すること。 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 口をすすぐこと。 汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 火災の場合:消火するために適切な消火剤を使用すること。 | |||
保管 | 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 施錠して保管すること。 | |||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | |||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
---|---|---|---|
単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | m‐クレゾール (m-Cresol) | ||
別名 | m‐メチルフェノール (m-Methylphenol) | ||
濃度又は濃度範囲 | 100% | ||
分子式 (分子量) | C7H8O (108.14) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 108-39-4 | ||
官報公示整理番号(化審法) | (3)-499 | ||
官報公示整理番号(安衛法) | 4-(10)-151 | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | 情報なし |
4.応急措置 | |||
---|---|---|---|
吸入した場合 | 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 直ちに医師に連絡すること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、又は取り去ること。 皮膚を流水またはシャワーで洗うこと。 多量の水と石鹸で洗うこと。 汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。 直ちに医師に連絡すること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 直ちに医師に連絡すること。 | ||
飲み込んだ場合 | 直ちに医師に連絡すること。 口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入 : 咳、頭痛、息苦しさ、吐き気、咽頭痛、意識喪失、嘔吐。 皮膚 : 吸収される可能性あり。発赤、ざらつき、皮膚熱傷、痛み。 眼 : 発赤、痛み、重度の熱傷。 経口摂取 : 腹痛、灼熱感、めまい、感覚鈍麻、頭痛、ショック/虚脱、意識喪失。 | ||
応急措置をする者の保護 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
---|---|---|---|
消火剤 | 泡消火剤、粉末消火剤、炭酸ガス、乾燥砂類 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状水、霧状水 | ||
特有の危険有害性 | 火災によって刺激性、腐食性及び/又は毒性のガスを発生するおそれがある。 加熱により容器が爆発するおそれがある。 加熱あるいは水の混入により容器が爆発するおそれがある。 | ||
特有の消火方法 | 移動不可能な場合、容器及び周囲に散水して冷却する。 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。 消火活動は、有効に行える最も遠い距離から、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。 大火災の場合、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。これが不可能な場合には、その場所から避難し、燃焼させておく。 容器内に水を入れてはいけない。 引火点が極めて低い:水以外の消火剤で消火の効果がない大きな火災の場合には放水する。 | ||
消火を行う者の保護 | 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
---|---|---|---|
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。 関係者以外の立入りを禁止する。 風上に留まる。 密閉された場所に立入る前に換気する。 作業者は適切な保護具(『8.ばく露防止措置及び保護措置』の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。 低地から離れる。 適切な防護衣を着けていないときは破損した容器あるいは漏洩物に触れてはいけない。 密閉された場所は換気する。 | ||
環境に対する注意事項 | 環境中に放出してはならない。 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。 本製品は、水汚染物なので土壌汚染、もしくは排水溝及び排水系及び大量の水に流入することを防止する。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 物質を吸込み又は掃き取って廃棄用容器に入れること。 すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。 排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。 容器内に水を入れてはいけない。 プラスチックシートで覆いをし、散乱を防ぐ。 滑らかな滑りやすい表面を床上に形成するので、完全に取除くこと。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
---|---|---|---|
取扱い | |||
技術的対策 | 『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。 『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の局所排気、全体換気を行う。 | ||
安全取扱い注意事項 | 使用前に使用説明書を入手すること。 すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。 屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。 環境への放出を避けること。 飲み込まないこと。 皮膚と接触しないこと。 眼に入れないこと。 | ||
接触回避 | 『10.安定性及び反応性』を参照。 | ||
衛生対策 | この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 技術的対策:情報なし 保管条件:容器を密閉して換気の良い冷所で保管すること。 施錠して保管すること。 強酸化剤から離しておくこと。 | ||
安全な容器包装材料 | 情報なし |
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
---|---|---|---|
管理濃度 | 5ppm | ||
許容濃度 | |||
日本産衛学会(2014年度版) | 5ppm | ||
ACGIH(2014年版) | TLV-TWA | ||
設備対策 | この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。 ばく露を防止するため、装置の密閉化又は局所排気装置を設置すること。 | ||
保護具 | |||
呼吸用保護具 | 適切な呼吸器保護具を着用すること。 | ||
手の保護具 | 適切な保護手袋を着用すること。 必要に応じて個人用保護手袋を使用すること。 | ||
眼の保護具 | 適切な眼の保護具を着用すること。 必要に応じて個人用の眼の保護具を使用すること。 | ||
皮膚及び身体の保護具 | 適切な保護衣を着用すること。 適切な顔面用の保護具を着用すること。 必要に応じて個人用の保護衣、保護面を使用すること。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
---|---|---|---|
物理的状態 | |||
形状 | 液体 | ||
色 | 無色〜黄色 | ||
臭い | 特有の臭気 | ||
臭いのしきい(閾)値 | 情報なし | ||
pH | 情報なし | ||
融点・凝固点 | 11〜12℃: HSDB(2014) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 202℃: HSDB(2014) | ||
引火点 | 86℃(密閉式): HSDB(2014) | ||
蒸発速度(酢酸ブチル=1) | 情報なし | ||
燃焼性(固体、気体) | 情報なし | ||
燃焼又は爆発範囲 | 1 〜 1.4vol%: NITE総合検索 (Access on Jul. 2008) | ||
蒸気圧 | 13Pa (20℃): ICSC(1999) | ||
蒸気密度 | 3.72(空気=1): ICSC (J) (1998) | ||
比重(相対密度) | 1.034 (20/4℃): NITE総合検索 (Access on Jul. 2008) | ||
溶解度 | 水:23.5g/L (20℃): NITE総合検索 (Access on Jul. 2008) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | logKow=1.96(実測値): NITE総合検索 (Access on Jul. 2008) | ||
自然発火温度 | 558℃: HSDB(2014) | ||
分解温度 | 情報なし | ||
粘度(粘性率) | 12.9mPa・s(25℃): HSDB(2005) |
10.安定性及び反応性 | |||
---|---|---|---|
反応性 | 法規制に従った保管及び取扱においては安定と考えられる | ||
化学的安定性 | 法規制に従った保管及び取扱においては安定と考えられる | ||
危険有害反応可能性 | 燃焼すると分解し、有毒で刺激性のヒュームを生じる。 強力な酸化剤と反応する。 | ||
避けるべき条件 | 燃焼 | ||
混触危険物質 | 強力な酸化剤 | ||
危険有害な分解生成物 | 情報なし |
11.有害性情報 | |||
---|---|---|---|
急性毒性 | |||
経口 | ラットLD50値として、242 mg/kg (複数データとして;PATTY (6th, 2012)、ATSDR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、SIDS (2005)、DFGOT vol.14 (2000)、EHC 168 (1995)、EPA Pesticide (1992))、825 mg/kg (環境省リスク評価第5巻 (2006))、2,241 mg/kg (雄) 及び2,007 mg/kg (雌) (溶媒としてオリブ油を使用) (厚労省既存化学物質毒性データベース単回経口投与毒性試験) との報告がある。242 mg/kgの報告が複数であるので、最も多くのデータが該当する区分3とした。 | ||
経皮 | ラットのLD50値として、以下の3件の報告がある (1,000 mg/kg (環境省リスク評価第5巻 (2006))、1,100 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、EHC 168 (1995)、EPA Pesticide (1992))、1,100 mg/kg (DFGOT vol. 14 (2000)) )。ウサギのLD50値として以下の3件の報告がある (620 mg/kg (環境省リスク評価第5巻 (2006))、2,050 mg/kg (SIDS (2005)、EPA Pesticide (1992))、2,830 mg/kg (ATSDR (2008)、SIDS (2005)、EHC 168 (1995)) )。2件ずつのデータがそれぞれ区分3、区分4及び区分外に該当するので、LD50値の小さい方が該当する区分3とした。情報源 (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、ATSDR (2008)、SIDS (2005)、DFGOT vol. 14 (2000)、EPA Pesticide (1992)) を追加し、区分を変更した。 | ||
吸入:ガス | GHSの定義における液体である。 | ||
吸入:蒸気 | データ不足のため分類できない。なお、ラットの1時間LC50値として、> 0.71 mg/L (4時間換算値:80.23 ppm) との報告 (SIDS (2005)、環境省リスク評価第2巻 (2003)) があるが、この値のみでは区分を特定できない。 | ||
吸入:粉じん及びミスト | データ不足のため分類できない。 | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | ウサギに本物質の原液0.5 mLを適用した結果、重度の紅斑と浮腫が24時間以内に発症し、72時間以内に回復しなかったとの報告がある (SIDS (2005))。また、ウサギを用いた別の試験では、本物質の4時間適用により非可逆性の組織破壊がみられたとの報告や (EHC 168 (1995)) 、強度の刺激性及び腐食性がみられたとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2007))。以上の結果から区分1とした。なお、本物質はEU DSD分類で「C; R34」、EU CLP分類で「Skin Corr. 1B H314」に分類されている。 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | ウサギの眼に本物質の原液0.1 mLを適用した結果、結膜、角膜、虹彩に対して強度の刺激性がみられ、72時間以内に回復しなかったとの報告がある (SIDS (2005)) 。また、本物質は皮膚腐食性/刺激性の分類で区分1とされている。以上の結果から区分1とした。 | ||
呼吸器感作性 | データ不足のため分類できない。 | ||
皮膚感作性 | データ不足のため分類できない。 | ||
生殖細胞変異原性 | ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、マウス骨髄細胞の染色体異常試験及び姉妹染色分体交換試験で陰性である (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、SIDS (2005)、DFGOT vol. 14 (2000)、EHC 168 (1995)、ATSDR (2008))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験で陰性、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陰性、陽性の結果がある (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on December 2014)、SIDS (2005)、DFGOT vol.14 (2000)、EHC 168 (1995)、PATTY (6th, 2012)、ATSDR (2008))。 | ||
発がん性 | EPAでC (EPA IRIS (1992)) に分類されていることから、「区分2」とした。 | ||
生殖毒性 | ラットを用いた経口経路での2世代生殖毒性試験において、親動物毒性 (死亡(F0親動物:雄:7/25、雌:7/25、F1親動物:雄:3/25、雌:7/25)、体重増加抑制、自発運動低下、運動失調、れん縮、振戦、腹臥、呼吸困難) がみられる用量 (450 mg/kg/day) で児動物の生存率の低下がみられている報告がある (SIDS (2005)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、EHC 168 (1995)、DFGOT vol.14 (2000)、ATSDR (1992))。既存分類では、このデータを用いて区分2としていた。しかし、親動物毒性が強いことから分類根拠から除外した。この試験では、親動物毒性がみられる用量においても生殖能、生殖器官に影響はみられていない。また、親動物毒性がみられていない用量においては児動物に対する影響もみられていない。 催奇形性に関する情報として、経口経路でのラットおよびウサギを用いた催奇形性試験において母動物毒性がみられる用量においても胎児に影響はみられていない (SIDS (2005)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、EHC 168 (1995)、DFGOT vol.14 (2000)、ATSDR (1992))。 以上のように親の生殖能および児の発生に影響がみられていないが、親動物毒性がみられる用量では影響がみられていることから、分類できないとした。 | ||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | 本物質は気道刺激性がある (環境省リスク評価第5巻 (2006))。ヒトにおいては、吸入すると咳、頭痛、息苦しさ、吐き気、嘔吐、咽頭痛、意識喪失、経口摂取では腹痛、頭痛、灼熱感、眩暈、感覚鈍麻、ショック/虚脱、意識喪失、中枢神経系への影響との記述がある (環境省リスク評価第5巻 (2006))。 実験動物では、ラットの吸入ばく露 (エアロゾル) 58 mg/m3 (0.058 mg/L) で神経筋興奮、痙攣、血尿、ラットの経口投与242 mg/kg以上で活動低下、振戦、痙攣、衰弱、死亡個体で消化管の炎症、肺、肝臓、腎臓の充血、また、動物種や用量等不明であるが、流涎、協調運動失調、筋収縮、筋力低下、呼吸困難、嗜眠、昏睡、尿細管損傷、結節性肺炎、肝臓のうっ血、肝細胞壊死の報告がある (生存動物かどうかは不記載) (NITE初期リスク評価書 (2007)、ATSDR (2008)、SIDS (2005)、PATTY (6th, 2012)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on December 2014))。 実験動物における吸入、経口の所見はいずれも区分1に相当するガイダンス値の範囲であった。 以上より、本物質の所見としては気道刺激性、中枢神経系への影響が考えられるが、o-、p-の各異性体、クレゾール (混合物) における共通した影響として中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓への影響が認められていることから、異性体である本物質においてもこれらの物質と横並びの分類とすることが合理的と考えられた。したがって、区分1 (中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓) とした。 なお、他のクレゾール異性体 (o-、p-)、クレゾール (混合物) の分類結果を参照のこと。 | ||
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | ヒトで本物質単独ばく露による有害影響の知見はないが、クレゾール混合物の蒸気 (濃度不明) に1.5-3ヶ月間、吸入ばく露された作業者7名に吐き気と嘔吐を伴う頭痛、うち4名には加えて血圧上昇、腎機能障害、血中カルシウム濃度異常、及び顕著な振戦が認められた (ACGIH (7th, 2001)、 DFGOT vol. 14 (2000)、PATTY (6th, 2012)) との記述があり、この知見をヒト有害性影響に関する唯一の知見として、関連物質 (o-異性体 (CAS No.: 95-48-7)、p-異性体 (CAS No.: 106-44-5)、クレゾール (CAS No.: 1319-77-3)) の分類に利用した (ID: 32-34 の分類結果参照のこと)。 実験動物では、本物質をラットに13週間強制経口投与した試験において、区分2相当の50 mg/kg/dayで自発運動の減少、流涎、呼吸数の減少、努力呼吸がみられている (NITE初期リスク評価書 (2007)、ATSDR (2008))。また、マウス又はラットに本物質を28日間混餌投与した試験において、マウスでは区分2相当量 (66-193 mg/kg/day: (90日換算: 20.5-60.0 mg/kg/day相当)) で、ラットでは区分外の高用量 (862-870 mg/kg/day (90日換算: 268-271 mg/kg/day相当)) で肝臓相対重量の増加がみられ、さらに高用量で両種とも腎臓相対重量の増加がみられている (NITE初期リスク評価書 (2007)、ATSDR (2008))。 本物質については、ヒトの混合物ばく露、並びに実験動物での本物質単独ばく露による有害性知見に加えて、関連物質であるo-異性体 (CAS No.: 95-48-7)、p-異性体 (CAS No.: 106-44-5)、クレゾール (CAS No.: 1319-77-3) の分類結果との整合性も考慮した結果、分類は区分1 (中枢神経系、心血管系、腎臓)、区分2 (呼吸器、血液系、肝臓) とした。 | ||
吸引性呼吸器有害性 | データ不足のため分類できない。 |
12.環境影響情報 | |||
---|---|---|---|
生態毒性 | |||
水生環境有害性(急性) | 魚類(カワマス)の96時間LC50=7.6mg/L(CERIハザードデータ集、1998)から、区分2とした。 | ||
水生環境有害性(長期間) | 急速分解性があり(OECDテストガイドライン301Dによる28日間の分解度:65-90%(SIDS、2005))、かつ生物蓄積性が低い(BCF=20(SIDS、2005))ことから、区分外とした。 | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
---|---|---|---|
残余廃棄物 | 廃棄の前に、可能な限り無害化、安定化及び中和等の処理を行って危険有害性のレベルを低い状態にする。 廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を充分告知の上処理を委託する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、分類実施中の12項の環境影響情報とに、基づく修正の必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 2076 | |||
国連品名 | CRESOLS, LIQUID | |||
国連危険有害性クラス | 6.1 | |||
副次危険 | 8 | |||
容器等級 | K | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 消防法の規制に従う。 毒劇法の規制に従う。 | |||
特別安全対策 | 移送時にイエローカードの保持が必要。 食品や飼料と一緒に輸送してはならない。 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号 | 153 |
15.適用法令 | ||||
---|---|---|---|---|
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
化審法 | 優先評価化学物質 | |||
労働安全衛生法 | 第2種有機溶剤等 作業環境評価基準 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3) | |||
化学物質排出把握管理促進法 | 第1種指定化学物質 | |||
毒物及び劇物取締法 | 劇物 | |||
消防法 | 第4類引火性液体、第三石油類非水溶性液体 | |||
船舶安全法 | 毒物類・毒物 | |||
航空法 | 毒物類・毒物 | |||
港則法 | 毒物類・毒物 | |||
労働基準法 | 疾病化学物質 |
16.その他の情報 | ||||
---|---|---|---|---|
参考文献 | 各データ毎に記載した。 | |||
<モデルSDSを利用するときの注意事項> 本安全モデルデータシートは作成年月日時点における情報に基づいて記載されておりますので、事業場においてSDSを作成するに当たっては、新たな危険有害性情報について確認することが必要です。さらに、本安全データシートはモデルですので、実際の製品等の性状に基づき追加修正する必要があります。また、特殊な条件下で使用するときは、その使用状況に応じた情報に基づく安全対策が必要となります。 |