1.化学品等及び会社情報 | |||
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化学品等の名称 | エチレングリコール(Ethylene glycol) | ||
製品コード | H26-B-0017(製品コードなし) | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 本物質の主な用途は、ポリエステル繊維原料、不凍液、グリセリンの代用、溶剤(酢酸ビニル系樹脂)、耐寒潤滑油、有機合成(染料、香料、化粧品、ラッカー)、電解コンデンサー用ペースト、乾燥防止剤(にかわ)、医薬品、不凍ダイナマイト、界面活性剤、不飽和ポリエステルである |
2.危険有害性の要約 | ||||
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GHS分類 | ||||
分類実施日 | H25.8.22、政府向けGHS分類ガイダンス(H25.7版)を使用 | |||
GHS改訂4版を使用 | ||||
物理化学的危険性 | 分類できない | |||
健康に対する有害性 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分4 | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 区分2 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 区分2B | |||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | 区分1 (中枢神経系、血液系、腎臓)、 区分3 (気道刺激性、麻酔作用) | |||
分類実施日 | 環境に対する有害性はH18.3.31、GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用 | |||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 (急性) | 区分3 | ||
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」に該当する。なお、健康有害性については後述の11項に、「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」の記述がある。 | ||||
GHSラベル要素 | ||||
絵表示 | ||||
注意喚起語 | 危険 | |||
危険有害性情報 | 皮膚刺激 強い眼刺激 吸入すると有害 呼吸器への刺激のおそれ 眠気又はめまいのおそれ 中枢神経系、血液系、腎臓の障害 水生生物に有害 | |||
注意書き | ||||
安全対策 | 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | |||
応急措置 | 皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 気分が悪い時は医師に連絡すること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 | |||
保管 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 | |||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | |||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
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単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | エチレングリコール(Ethylene glycol) | ||
別名 | 1,2−エタンジオール(1,2-Ethanediol) 1,2−ジヒドロキシエタン(1,2-Dihydroxyethane) | ||
濃度又は濃度範囲 | 99%以上 | ||
分子式 (分子量) | C2H6O2 (62.07) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 107-21-1 | ||
官報公示整理番号(化審法) | (2)-230 | ||
官報公示整理番号(安衛法) | 情報なし | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 医師の手当、診断を受けること。 気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 皮膚を速やかに洗浄すること。 皮膚刺激が生じた場合、医師の診断、手当てを受けること。 医師の手当、診断を受けること。 気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。 医師の手当、診断を受けること。 気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐこと。 医師の手当、診断を受けること。 気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入した場合:咳、めまい、頭痛。 皮膚に付着した場合:皮膚の乾燥。 眼に入った場合:発赤、痛み。 飲み込んだ場合:腹痛、感覚鈍麻、吐き気、意識喪失、嘔吐。 | ||
応急措置をする者の保護 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
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消火剤 | 粉末消火剤、耐アルコール性泡消火剤、二酸化炭素、砂、噴霧水 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状注水 | ||
特有の危険有害性 | 加熱により容器が爆発するおそれがある。 | ||
特有の消火方法 | 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 | ||
消火を行う者の保護 | 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。 関係者以外の立入りを禁止する。 作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。 適切な防護衣を着けていないときは破損した容器あるいは漏洩物に触れてはいけない。 漏洩しても火災が発生していない場合、密閉性の高い、不浸透性の保護衣を着用する。 風上に留まる。 低地から離れる。 密閉された場所は換気する。 | ||
環境に対する注意事項 | 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。 環境中に放出してはならない。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 少量の場合、乾燥土、砂や不燃材料で吸収し、あるいは覆って密閉できる空容器に回収する。 危険でなければ漏れを止める。 すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行う。 | ||
安全取扱い注意事項 | 使用前に使用説明書を入手すること。 すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。 火気注意。 接触、吸入又は飲み込まないこと。 空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行うこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。 環境への放出を避けること。 | ||
接触回避 | 「10.安定性及び反応性」を参照。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 保管場所は屋根を不燃材料で作るとともに、金属板その他の軽量な不燃材料でふき、かつ天井を設けないこと。 保管場所の床は、床面に水が浸入し、又は浸透しない構造とすること。 保管場所の床は、危険物が浸透しない構造とするとともに、適切な傾斜をつけ、かつ、適切なためますを設けること。 保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。 酸化剤から離して保管する。 施錠して保管すること。 | ||
安全な容器包装材料 | 消防法で規定されている容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
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管理濃度 | 未設定 | ||
許容濃度 | |||
日本産衛学会(2014年度版) | 未設定 | ||
ACGIH(2014年版) | TLV-STEL (C 100 mg/m3 (H)) H: Aerosol only | ||
設備対策 | この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。 高熱工程でミストが発生するときは、空気汚染物質を管理濃度・許容濃度以下に保つために換気装置を設置する。 | ||
保護具 | |||
呼吸用保護具 | 適切な呼吸器保護具を着用すること。 | ||
手の保護具 | 必要に応じて適切な保護手袋を使用すること。 | ||
眼の保護具 | 適切な眼の保護具を着用すること。 保護眼鏡(普通眼鏡型、側板付き普通眼鏡型、ゴーグル型) | ||
皮膚及び身体の保護具 | 必要に応じて適切な保護衣、保護面を使用すること。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
形状 | 吸湿性液体:ICSC(2000) | ||
色 | 無色、粘ちょう:ICSC(2000) | ||
臭い | 無臭 | ||
臭いのしきい(閾)値 | 情報なし | ||
pH | 情報なし | ||
融点・凝固点 | -12.69℃(融点):HSDB(2014) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 197.3℃:HSDB(2014) | ||
引火点 | 111℃(密閉式):HSDB(2014) | ||
蒸発速度(酢酸ブチル=1) | 情報なし | ||
燃焼性(固体、気体) | 非該当 | ||
燃焼又は爆発範囲 | 下限 3.2vol%:NFPA(13th,2002)、上限 15.3vol% :ICSC(2000) | ||
蒸気圧 | 7 Pa(20℃) :ICSC(2000) | ||
蒸気密度 | 2.14(空気=1) :計算値 | ||
比重(相対密度) | 1.1 | ||
溶解度 | 混和する(水):ICSC(2000) 混和:低級脂肪族アルコール、グリセリン、酢酸、アセトン及び類似のケトン、アルデヒド、ピリジン。微溶:エーテル(1:200)。不溶:ベンゼン及びその同属体、塩素化炭化水素、石油エーテル(Merck(13th,2001))。 | ||
n-オクタノール/水分配係数 | log Pow = -1.36 (PHYSPROP Database (2005)) | ||
自然発火温度 | 398℃:HSDB(2014) | ||
分解温度 | 情報なし | ||
粘度(粘性率) | 情報なし |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 情報なし | ||
化学的安定性 | 常温では安定。 | ||
危険有害反応可能性 | 強酸化剤、強塩基と反応する。 | ||
避けるべき条件 | 情報なし | ||
混触危険物質 | 強酸化剤、強塩基。 | ||
危険有害な分解生成物 | 燃焼により刺激性又は有毒なガス(一酸化炭素)を発生する。 |
11.有害性情報 | |||
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急性毒性 | |||
経口 | ラットのLD50値として、4,000-13,400 mg/kg の範囲内で10件の報告がある。ガイダンスの改訂により、最も多くのデータ (6件) (6,140 mg/kg (PATTY (6th, 2012))、8,540 mg/kg (DFGOT vol. 4 (1992)、PATTY (6h, 2012))、10,800 mg/kg (DFGOT vol. 4 (1992)、PATTY (6th, 2012))、11,300 mg/kg (PATTY (6th, 2012))、13,000 mg/kg、5,890-13,400 mg/kg (SIDS (2009)) が該当する区分外とした。なお、3件が国連分類基準の区分5、1件が国連分類基準の区分5又は区分外に該当する。新たな情報源 (ACGIH (7th, 2001)、環境省リスク評価第3巻 (2004)、ATSDR (2010)、PATTY (6th, 2012)、DFGOT vol. 4 (1992)、CEPA (2000)、NITE初期リスク評価書 (2007)、SIDS (2009)) を追加し、分類を見直した。 | ||
経皮 | ラットのLD50値として、2,800 mg/kg (ACGIH (7th, 2001))、ウサギのLD50値として、9,530 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6h, 2012))、10,600 mg/kg (CICAD 45 (2002)、CEPA (2000)、NITE初期リスク評価書 (2007))、10,612 mg/kg (環境省リスク評価第3巻 (2004)) の4件の報告がある。1件が国連分類基準の区分5に、3件が区分外に該当する。ガイダンスの改訂により最も多くのデータ (3件) が該当する区分外とした。 | ||
吸入:ガス | GHSの定義における液体である。 | ||
吸入:蒸気 | データ不足のため分類できない。 | ||
吸入:粉じん及びミスト | ラットのLC50値 (1時間) として、10.9 mg/L (4時間換算値:2.7 mg/L) (PATTY (6th, 2012)) に基づき、区分4 とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度(0.2 mg/L) より高いため、ミストの基準値を適用した。新たな情報源 (PATTY (6th, 2012)) を追加し、区分を見直した。 | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | ヒト103人に対するパッチテストにおいて、本物質の原液0.2 mLの適用により刺激性がみられた (SIDS (2009)) ことから、区分2とした。またウサギ、モルモットを用いた皮膚刺激性試験で軽度の皮膚刺激性がみられた (CICAD 45 (2002)、初期リスク評価書 (2007)、CEPA (2000)) との報告がある。ヒトの所見を追加し区分を変更した。 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | ウサギに原液を適用した眼刺激性試験において、刺激性なしとの報告がある (SIDS (2009))。また、液体や蒸気への1回あるいは短時間の眼へのばく露は、恒久的な角膜損傷を伴わない軽微な結膜刺激をウサギに引き起こす (CICAD 45 (2002)、初期リスク評価書 (2007)、CEPA (2000)) との報告がある。ヒトの事故例として本物質 (濃度不明) に眼にばく露された結果、結膜炎、浮腫、光反射の遅延、重度の角膜炎がみられたが4週間後には回復したとの報告がある (DFGOT vol. 4 (1992)) が濃度等については詳細不明である。以上の結果から区分2Bとした。 | ||
呼吸器感作性 | データ不足のため分類できない。 | ||
皮膚感作性 | ヒトに対する報告が2件あり、本物質5%又は25%水溶液を11人に適用したところ、1人 (レンズの切断作業で25%水溶液を扱い腕、胸、腹部に皮膚炎を発症した31歳女性、ニッケルアレルギーあり) に激しいアレルギー反応を示したが、他の10名にアレルギー反応はみられなかった (DFGOT vol. 4 (1992))。また、本物質の1%及び5%水溶液を10人に適用したところ1人 (4ヶ月間光学レンズの洗浄作業で25%水溶液を扱い、発疹がみられた17歳男性) にアレルギー反応はみられなかったが、本物質3%を含むエタノール溶液に対して軽度の刺激、紅斑、腫れがみられた。他の9人についてはアルコールに対する軽度の刺激以外の反応はみられなかった (DFGOT vol. 4 (1992))。なお、モルモットを用いたマキシマイゼーション試験において、感作性はみられなかったとの報告がある (SIDS (2009))。動物試験では陰性の結果があるものの、ヒトの事例でアレルギー反応の事例があることから、分類できないとした。 | ||
生殖細胞変異原性 | ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、ラットの優性致死試験、マウスの小核試験及び染色体異常試験でいずれも陰性 (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第3巻 (2004)、SIDS (2009)、ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (2010)、CEPA (2000)) である。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験でいずれも陰性 (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第3巻 (2004)、SIDS (2009)、ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (2010)、CEPA (2000)) である。 | ||
発がん性 | ACGHIでA4 (ACGIH (7th, 2001)) に分類されているため、「分類できない」とした。 | ||
生殖毒性 | ラットを用いた経口経路 (混餌) での三世代生殖毒性試験においては生殖発生毒性に対する影響は認められなかったとの報告 (ATSDR (2010)、(NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第3巻 (2004)、CICAD 45 (2002))、マウスを用いた経口経路 (飲水) での連続交配試験では、母動物毒性はないが極めて高用量 (1,640 mg/kg bw/day) で、胎児への影響 (出生児体重の減少、同腹児数及び生存児数のわずかな減少、発生数は不明であるが顔貌異常と、頭蓋骨、胸骨分節、肋骨、椎骨で骨格変化) がみられたとの報告がある (ATSDR (2010)、CICAD 45 (2002))。 ラットあるいはマウスを用いた経口経路 (強制) での催奇形性試験において、母動物毒性のみられない高用量 (1,000 mg/kg bw/day以上) において児動物への影響 (胎児体重の減少、骨化遅延、骨格奇形) がみられている (ATSDR (2010)、NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第3巻 (2004)、CICAD 45 (2002))。 以上のように、母動物毒性のみられない用量において主に骨格奇形を含む児動物への影響がみられたが極めて高用量であること、旧分類の根拠である作用機序がヒトに該当しないとの明確な証拠が得られなかったことから、分類できないとした。 | ||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | ヒトにおいては、経口摂取後の毒性影響は主として以下の3段階に分けられる。すなわち、第一段階 (摂取から0.5-12時間) :中枢神経系への影響 (中毒、嗜眠、痙攣、昏睡) 及び代謝障害 (アシドーシス、高カリウム血症、低カルシウム血症)、第二段階 ((摂取から12-24時間) :心臓及び肺への影響 (頻脈、高血圧、代償性過呼吸を伴う重度の代謝性アシドーシス、低酸素症鬱血性心不全、成人呼吸窮迫症候群)、第三段階 (摂取から24-72時間) :腎毒性 (シュウ酸カルシウム沈着、血尿、急性尿細管壊死、腎不全) である (SIDS (2009)、CEPA (2000)、環境省リスク評価第3巻 (2004))。さらに、摂取から6-14日、あるいはそれ以降において見られる影響として第四段階を置き、中枢神経系影響に加え、神経学的影響(顔面神経麻痺、不明瞭な発語、運動能力の喪失、視力障害を含む) が観察され、脳神経の損傷を示唆するとの報告もある (NITE初期リスク評価書 (2007)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 4 (1992))。 なお、ヒトにおける経口摂取による致死量は、約0.4-1.3 g/kg bw (CEPA (2000)) や1.6 g/kg bw (SIDS (2009)、NITE初期リスク評価書 (2007)、ACGIH (7th, 2001)) の報告がある。ヒトの吸入経路では、情報が少ないが、55 ppmのばく露で、1.5 分後から喉及び上気道の痛みがあり、79 ppm 以上では、激しい痛みとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2007)、ACGIH (7th, 2001))。吸入経路では、ボランティアによる 55 ppm の吸入ばく露試験で吸入開始 1.5 分後から喉及び上気道の痛みがあり、79 ppm 以上では、痛みが非常に激しく 1 分以上耐えられなかった (NITE初期リスク評価書 (2007)、ACGIH (7th, 2001))。 | ||
ラット、マウスでは、投与量に相関した中枢神経抑制作用があり、多量の経口投与では、昏睡、麻痺、運動失調を示し死に至る。また、頻脈、頻呼吸、気管支肺炎、肺浮腫、うっ血性心不全、代謝性アシドーシス、腎臓障害を伴う多渇症、多尿症、尿中シュウ酸カルシウム結晶析出が報告されている。病理組織学的にはシュウ酸カルシウム結晶沈着による腎尿細管上皮の変性、間質性水腫、腎皮質の出血性壊死が認められている (NITE初期リスク評価書 (2007)、SIDS (2009)、CEPA (2000)、ACGIH (7th, 2001))。なお、これらの影響はガイダンス値の区分の範囲では認められていない。 以上より、区分1 (中枢神経系、血液系、腎臓)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。 | |||
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | ヒトでは、男性ボランティアに69 mg/m3までの濃度を毎日20-22時間、1ヶ月間吸入ばく露したが、全身影響はみられなかった (環境省リスク評価第3巻 (2004)、SIDS (2009)、ATSDR (2010))。また、カナダ及びフィンランドにおける職業ばく露による報告では、本物質ばく露により懸念された腎臓への影響はみられなかった (SIDS (2009))。この他、反復ばく露であることが明らかなヒトでの本物質への高濃度反復ばく露による知見はない。 実験動物では、SIDS (2009) 及びATSDR (2010) の記述より、腎臓が最も感受性の高い標的臓器であるとされており、SIDS (2009) で信頼性が最も高いと判断されたラットを用いた16週間、1年間又は2年間混餌投与試験において、いずれも腎臓に毒性病変(腎症、腎結石、尿結晶など) が雄に強く生じたが、その発現用量は区分2を遥かに超える用量 (腎毒性を指標としたLOAELの最小値: 300 mg/kg/day (雄ラット1年間混餌投与試験)) であった (SIDS (2009))。 一方、吸入経路では本物質の反復吸入ばく露試験自体は実施されていないが、SIDS (2009) による記述では、エチレングリコール類の毒性はSIDSがカテゴリー評価対象物質としたジエチレングリコール (DEG)、トリエチレングリコール (TEG)、PEG 200のラット吸入ばく露における影響濃度が1,000 mg/m3超であることから、概して低いと考えられると推定されている。 以上より、カテゴリー物質の知見も含めて、本物質は実験動物では経口、吸入のいずれの経路でも反復ばく露による毒性は低いと考えられるが、ヒトにおける高濃度反復ばく露による影響の有無に関して十分な知見がなく、データ不足のため分類できないとした。 なお、旧分類では環境省リスク評価第3巻 (2004) にあるヒトでのばく露による症状を基に分類されたが、いずれの所見も被験者のごく一部にみられた所見で、本物質ばく露に関連した特異的な有害性を示す所見ではないと判断されたため、これらの知見は採用しなかった。 | ||
吸引性呼吸器有害性 | データ不足のため、分類できない。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性(急性) | 魚類(ニジマス)の96時間LC50 =47000μg/L から、区分3とした。 | ||
水生環境有害性(長期間) | 急速分解性があり(BODによる分解度:90%)、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Pow = -1.36)ことから、区分外とした。 | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
---|---|---|---|
残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、分類実施中の12項の環境影響情報とに、基づく修正の必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 該当しない | |||
国連品名 | 該当しない | |||
国連危険有害性クラス | 該当しない | |||
副次危険 | 該当しない | |||
容器等級 | 該当しない | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 非危険物 | |||
航空規制情報 | 非危険物 | |||
陸上規制情報 | 消防法の規制に従う。 | |||
特別安全対策 | 危険物は当該危険物が転落し、又は危険物を収納した運搬容器が落下し、転倒もしくは破損しないように積載すること。 危険物又は危険物を収納した容器が著しく摩擦又は動揺を起こさないように運搬すること。 危険物の運搬中危険物が著しく漏れる等災害が発生するおそれがある場合には、災害を防止するための応急措置を講ずると共に、もよりの消防機関その他の関係機関に通報すること。 | |||
緊急時応急措置指針番号 | 該当しない |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
化審法 | 優先評価化学物質 | |||
労働安全衛生法: | 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3) | |||
消防法 | 第4類引火性液体、第三石油類水溶性液体 |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | 各データ毎に記載した。 | |||
<モデルSDSを利用するときの注意事項> 本安全モデルデータシートは作成年月日時点における情報に基づいて記載されておりますので、事業場においてSDSを作成するに当たっては、新たな危険有害性情報について確認することが必要です。さらに、本安全データシートはモデルですので、実際の製品等の性状に基づき追加修正する必要があります。また、特殊な条件下で使用するときは、その使用状況に応じた情報に基づく安全対策が必要となります。 |