1.化学品及び会社情報 | |||
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化学品の名称 | 塩化アリル | ||
化学品の英語名称 | Allyl chloride | ||
製品コード | R03-B-015-MHLW | ||
供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | アリル誘導体原料、農薬・医薬・香料・土壌改質剤原料/主にエピクロロヒドリン原料、アリルアミン原料 (NITE-CHRIPより引用) |
2.危険有害性の要約 | |||
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GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R4.3.15、政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver2.0))を使用 | ||
物理化学的危険性 | 引火性液体 | 区分2 | |
自己反応性化学品 | タイプG | ||
金属腐食性化学品 | 区分1 | ||
健康に対する有害性 | 急性毒性(経口) | 区分4 | |
急性毒性(吸入:蒸気) | 区分3 | ||
皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | ||
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | ||
発がん性 | 区分に該当しない区分1B | ||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1(呼吸器)、区分2(神経系、心血管系、肝臓、腎臓)、区分3(麻酔作用) | ||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1(神経系、呼吸器、腎臓)、区分2(血液系) | ||
分類実施日 (環境有害性) | ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009) | ||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分3 | |
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | 引火性の高い液体及び蒸気 金属腐食のおそれ 飲み込むと有害 吸入すると有毒 皮膚刺激 重篤な眼の損傷 呼吸器の障害 神経系、心血管系、肝臓、腎臓の障害のおそれ 眠気またはめまいのおそれ 長期にわたる、又は反復ばく露による神経系、呼吸器、腎臓の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による血液系の障害のおそれ 水生生物に有害 | ||
注意書き | |||
安全対策 | 熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。 容器を密閉しておくこと。 他の容器に移し替えないこと。 容器を接地しアースをとること。 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器を使用すること。 火花を発生させない工具を使用すること。 静電気放電に対する措置を講ずること。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 取扱い後は手をよく洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | ||
応急措置 | 火災の場合:消火するために適切な消火剤を使用すること。 物的被害を防止するためにも流出したものを吸収すること。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を水【又はシャワー】で洗うこと。 皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 直ちに医師に連絡すること。 気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 口をすすぐこと。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 | ||
保管 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 施錠して保管すること。 耐腐食性/耐腐食性内張りのある・・・容器に保管すること。 注)”…”は、製造業者、供給者が指定する条件を記入してください。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
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化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
化学名又は一般名 | 塩化アリル | ||
慣用名又は別名 | 3−クロロプロパ−1−エン 3−クロロプロペン | ||
英語名 | Allyl chloride 3-Chloroprop-1-ene 3-Chloropropylene | ||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | C3H5Cl (76.53) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 107-05-1 | ||
官報公示整理番号(化審法) | 2-123 | ||
官報公示整理番号(安衛法) | 情報なし | ||
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 医師に連絡すること。 気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を水【又はシャワー】で洗うこと。 多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 直ちに医師に連絡すること。 | ||
飲み込んだ場合 | 気分が悪いときは医師に連絡すること。 口をすすぐこと。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入:咳。咽頭痛。頭痛。めまい。脱力感。息苦しさ。嘔吐。意識喪失。 皮膚:発赤。灼熱感。痛み。 眼:充血。痛み。 かすみ眼。 経口摂取:腹痛。灼熱感。嘔吐。 短期曝露の影響:眼、皮膚および気道を刺激する。中枢神経系に影響を与えることがある。高濃度の蒸気を吸入すると、肺水腫を引き起こすことがある。これらの影響は、遅れて現われることがある。 長期または反復曝露の影響:末梢神経系、心血管系、腎臓および肝臓に影響を与えることがある。腎臓障害および肝臓障害を生じることがある。 | ||
応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 適切な空気呼吸器、防護服を着用する。 被災者が物質を飲み込んだり、吸入したときは、口対口法を用いてはいけない;人工呼吸をする前には顔と口を洗うこと。逆流防止のバルブがついたポケットマスクや他の適当な医療用呼吸器を用いて、人工呼吸を行う。 | ||
医師に対する特別な注意事項 | 医師が暴露物質名を知り、防護のための注意を払うことを確認する。 |
5.火災時の措置 | |||
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適切な消火剤 | 小火災:粉末消火剤、二酸化炭素、水の散布、耐アルコール泡消火剤。 大火災:散水、水噴霧または耐アルコール泡消火剤を用いる。 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状注水 | ||
火災時の特有の危険有害性 | 引火性が高い。蒸気は空気より重く、地面に沿って移動して、遠距離発火の可能性がある。酸、熱、過酸化物の影響下で、重合する。アミンおよび活性金属と反応する。火災または爆発の危険を生じる。燃焼すると、塩化水素の有毒で腐食性のガスを生成する。 強酸化剤および金属粉末と激しく反応する。火災や爆発の危険を生じる。 水と反応する。塩酸を生じる。 プラスチック類、ゴムおよび被覆剤を侵す。 | ||
特有の消火方法 | 消火活動は、有効に行える最も遠い距離から、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。 容器内に水を入れてはいけない。 消火後も大置の水を用いて容器を冷却する。 安全弁から音が発生したり、タンクが変色したときは直ちに避難する 。火災に巻き込まれたタンクから常に離れる。 大火災の場合は、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。これが不可能な場合にはその場所から難避し、燃える ままにしておく。 安全にできるのであれば、火災の場所から損傷していない容器を移動する。 | ||
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、防護服(耐熱性)を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 適切な呼吸器用保護具を着用する。 耐薬品用保護衣を着用する(火災の危険性がないとき)。 漏洩しても火災が発生していない場合、密閉性が高い、不浸透性の保護衣を着用する。 | ||
環境に対する注意事項 | 環境汚染を引き起こすおそれがある。 漏出物が地面や河川や下水に流出することを避ける。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | すべての着火源をすぐ近くから取り除く(現場で の喫煙、火花や火炎 の禁止)。 漏洩物を取り扱うとき、用いるすべての設備は接地する。漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。 .危険でなければ、漏れを止める。 排水溝、下水溝、地下室や閉鎖場所への流入を防ぐ。蒸気抑制泡は蒸気濃度を低下させるために用いる。 | ||
二次災害の防止策 | 付近の着火源となるものを速やかに除くとともに消火剤を準備する。 火花を発生しない安全な用具を使用する。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 容器を接地しアースをとること。 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器を使用すること。 火花を発生させない工具を使用すること。 静電気放電に対する措置を講ずること。 | ||
安全取扱注意事項 | 熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。 容器を密閉しておくこと。 他の容器に移し替えないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 環境への放出を避けること。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | 取扱い後は手をよく洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 涼しいところに置くこと。 施錠して保管すること。 耐腐食性/耐腐食性内張りのある・・・容器に保管すること。 注)”…”は、製造業者、供給者が指定する条件を記入してください。 | ||
安全な容器包装材料 | 消防法及び国連危険物輸送勧告モデル規則で規定されている容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
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許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
管理濃度 | 未設定 | |||
許容濃度等 | ||||
日本産衛学会(2021年版) | 未設定 | |||
ACGIH(2022年版) | TLV-TWA: 1 ppm(Skin) TLV-STEL: 2 ppm(Skin) | |||
設備対策 | 取り扱いの場所の近くに、洗眼及び身体洗浄のための設備を設ける。 作業場では全体換気を行う。 設備は可能であれば密閉系とし局所排気装置を用いる。 | |||
保護具 | ||||
呼吸用保護具 | 状況に応じた適切な呼吸用保護具を着用する。 防毒マスクの選択については、以下の点に留意する。 -防毒マスクは、日本工業規格(JIS T8152)に適合した、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。 -濃度に対応した有機ガス用吸収缶を使用する -作業者が粉塵に暴露される環境で防毒マスクを使用する場合には、防じん機能付き吸収缶を使用する -酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。 | |||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。 不浸透性手袋の使用を検討すること。 | |||
眼の保護具 | 保護眼鏡を着用する。 | |||
皮膚及び身体の保護具 | 保護衣を着用する。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
物理状態 | 液体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 無色〜黄褐色 | ||
臭い | 刺激臭(臭いの閾値 4.70x10-1ppm:PubChem(2022)) | ||
融点/凝固点 | -134.5 ℃(Lange(2017)) -135 ℃(ICSC(2004)) -136.4 ℃(Perry(2019)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 44〜46 ℃(Lange(2017)) 44.8 ℃(CRC(2018)) 45 ℃(ICSC(2004)) | ||
可燃性 | 引火性(ICSC(2004)) | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | 2.9〜11.2 vol%(空気中)(ICSC(2004)) 3.26〜11.2 vol%(GESTIS(2021)) 3.3〜11.1 %(NFPA(2013)) | ||
引火点 | -27 ℃(Closed cup)(GESTIS(2021)) -31 ℃(Closed cup)(Merck(2013)) -31.7 ℃(Closed cup)(HSDB(2022)) | ||
自然発火点 | 390 ℃(ICSC(2004)) 392 ℃(NFPA(2002)) 905 °F(SAX(2000)) | ||
分解温度 | データなし | ||
pH | データなし | ||
動粘性率 | データなし | ||
溶解度 | 水: 0.36 g/100 ml(20℃)(ICSC(2004)) 水: <0.1 (Perry(2019)) 水: 3.370 mg/L(25℃)(GESTIS(2021)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | Log Kow: 1.93(HSDB(2022)) Log Kow: 2.1(ICSC(2004)) | ||
蒸気圧 | 295 mmHg(20℃)(NFPA(2013)) 368 mmHg(25℃)(HSDB(2022)) 39.3 kPa(20℃)(ICSC(2004)) | ||
密度及び/又は相対密度 | 0.9376 (20℃)(CRC(2018)) 0.938 (20/4℃)(Lange(2017)) 0.94 (水=1)(HSDB(2022)) | ||
相対ガス密度 | 2.6 (空気=1)(ICSC(2004)) 2.64 (SAX(2000)) 2.66 (NFPA(2013)) | ||
粒子特性 | 該当しない |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 情報なし | ||
危険有害反応可能性 | 引火性が高い。蒸気は空気より重く、地面に沿って移動して、遠距離発火の可能性がある。酸、熱、過酸化物の影響下で、重合する。アミンおよび活性金属と反応する。火災または爆発の危険を生じる。燃焼すると、塩化水素の有毒で腐食性のガスを生成する。 強酸化剤および金属粉末と激しく反応する。火災や爆発の危険を生じる。 水と反応する。塩酸を生じる。 プラスチック類、ゴムおよび被覆剤を侵す。 | ||
避けるべき条件 | 熱、発火源 | ||
混触危険物質 | 酸、過酸化物、強酸化剤、金属粉末 | ||
危険有害な分解生成物 | 塩化水素 |
11.有害性情報 | ||||
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急性毒性 | ||||
経口 | 【分類根拠】 (1)〜(4)より区分4とした。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:450〜700 mg/kg(厚労省 リスク評価書 (2015)、AICIS IMAP (2013) 、NITE 初期リスク評価書 (2008)、SIAR (1996)) (2)ラットのLD50:450 mg/kg(MOE 初期評価 (2013)) (3)ラットのLD50:460 mg/kg(MOE 初期評価 (2013)) (4)ラットのLD50:700 mg/kg(ACGIH (2011)) | |||
経皮 | 【分類根拠】 (1)〜(5)より区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:2,200 mg/kg(厚労省 リスク評価書 (2015)、NITE 初期リスク評価書 (2008)) (2)ウサギのLD50:2,066 mg/kg(MOE 初期評価 (2013)、ACGIH (2011)) (3)ウサギのLD50:2,026 mg/kg(AICIS IMAP (2013)、NITE 初期リスク評価書 (2008)、SIAR (1996)) (4)ラットとウサギのLD50:約2,000 mg/kg(DFG MAK (2002)) (5)ウサギのLD50:1,100〜2,200 mg/kg(厚労省 リスク評価書 (2015)) | |||
吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 | |||
吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 (1)〜(8)より、有害性の高い区分を採用し、区分3とした。なお、ばく露濃度は飽和蒸気圧濃度の90%(437,118 ppm)より低いため、蒸気と判断し、ppmVを単位とする基準値より判断した。 【根拠データ】 (1)ラットのLC50(4時間):1,120〜2,624 ppm(区分3〜区分4相当)(厚労省 リスク評価書 (2015)) (2)ラットのLC50(4時間):1,100〜2,600 ppm(区分3〜区分4相当)(NITE 初期リスク評価書 (2008)) (3)ラット(雄)のLC50(2時間):3,500 ppm(4時間換算値:2,475 ppm(7.75 mg/L)、区分3相当)(厚労省 リスク評価書 (2015)、NITE 初期リスク評価書 (2008)、US AEGL (2008)) (4)ラット(雌)のLC50(2時間):3,800 ppm(4時間換算値:2,687 ppm (8.41 mg/L)、区分4相当)(厚労省 リスク評価書 (2015)、NITE 初期リスク評価書 (2008)、US AEGL (2008)) (5)ラットのLC50(2時間):11,000 mg/m3(4時間換算値:7.8 mg/L(2,473 ppm)、区分3相当)(MOE 初期評価 (2013)、ACGIH (2011)) (6)ラットのLC50(4時間):2,000 ppm(区分3相当)(ACGIH (2011)) (7)ラットのLC50(4時間):3.506 mg/L(1,100 ppm、区分3相当)(DFG MAK (2002)) (8)ラットのLC50(4時間):8.2 mg/L(2,600 ppm、区分4相当)(DFG MAK (2002)) | |||
吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1)、(2)より、区分2とした。 【根拠データ】 (1)本物質液体の皮膚への接触で、皮膚に発赤がみられ、灼熱感、痛みを生じ、接触数時間後に強い骨痛を惹き起こす(厚労省 リスク評価書 (2015)、NITE 初期リスク評価 (2008))。 (2)皮膚接触が長引くと紅斑と浮腫を生じるおそれがある。極めて少量の本物質液体にばく露を受けた後にも皮膚接触部位付近に深い疼痛(骨痛型)を生じる可能性がある(SIAR (1996)、ACGIH (2011))。 【参考データ等】 (3)マウスの尾に本物質原液を3〜5時間浸漬した結果、限局性の皮膚の損傷 (発赤、腫脹、一部の例に皮膚の壊死) がみられた(厚労省 リスク評価書 (2015)、NITE 初期リスク評価書 (2008))。 (4)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(原液、0.1 mL)では、軽微な刺激性がみられたとの報告がある(SIAR (1996)、AICIS IMAP (2013))。 (5)EUではSkin Irrit. 2に分類されている(CLP分類結果 (Accessed Jan. 2022))。 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 (1)、(2)より、区分1とした。 【根拠データ】 (1)本物質の眼への接触は疼痛と角膜障害を伴う重度の眼刺激を生じ、時には持続的な視覚障害を生じるおそれがある。本物質の蒸気も眼を刺激するが、影響は遅れて発現する可能性がある(ACGIH (2011))。 (2)眼への直接的な接触により、角膜の損傷と眼の奥の痛みが生じた(DFG MAK (2002))。 【参考データ等】 (3)48〜96 ppm(150〜300 mg/m3)ののばく露でヒトの眼に刺激性があり、高濃度では眼の痛み、羞明を生じる(厚労省 リスク評価書 (2015)、NITE初期リスク評価書 (2008)、DFG MAK (2002))。 (4)ラットに200 ppm (640 mg/m3)を6時間ばく露した試験で、6/10匹に眼瞼の閉鎖、結膜の充血がみられた(厚労省 リスク評価書 (2015)、NITE初期リスク評価書 (2008))。 (5)EUではEye Irrit. 2に分類されている(CLP分類結果 (Accessed Jan. 2022))。 | |||
呼吸器感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
皮膚感作性 | 【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)マウス(n=5/群)を用いた局所リンパ節試験(LLNA)(OECD TG 429、GLP)において、刺激指数(SI値)は0.78(25%)、0.75(50%)、1.97(100%)であったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))。 | |||
生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 (1)〜(3)より、in vitro試験では陽性知見、in vivo試験では陰性知見が得られているが、in vivo試験の妥当性に疑義が有り、データ不足で分類できないとした。 【参考データ等】 (1)In vivoでは、ラットを用いた優性致死試験(5日間吸入ばく露(7時間/日)、1及び25 ppm)、ラットの骨髄細胞を用いた染色体異常試験(単回吸入ばく露(7時間)、1及び25 ppm)、ラットの骨髄細胞を用いた小核試験(単回吸入ばく露(7時間)、1及び25 ppm)及びマウスの骨髄細胞を用いた小核試験(単回経口投与、400 mg/kg単一用量)で、結果はいずれも陰性であった(IARC 125 (2020)、ACGIH (2011)、SIAR (1996))。 (2)In vitroでは、細菌復帰突然変異試験で陽性(一部陰性)、哺乳類培養細胞(CHL又はラット肝細胞)を用いた染色体異常試験で陽性又は陰性の結果が得られている(IARC 125 (2020)、安衛法変異原性試験 (Accessed November 2021)、MOE 初期評価 (2013))。 (3)(1)のin vivo試験結果からは変異原性の兆候は示されなかったが、被験物質が標的細胞に到達したという証拠がなく、用量が低く(もっと高用量で試験すべき)、現行のガイドラインの基準を満たさないと指摘されている(AICIS IMAP (2013)、DFG MAK (2002))。 (4)EUではMuta. 2に分類されている(CLP分類結果 (Accessed November 2021))。 | |||
発がん性 | 【分類根拠】 (1)より厚生労働省がん原性指針に指定されていること、(2)で動物実験において発がん性の証拠があることから区分1Bとした。なお、新たな情報源に基づき分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)本物質は労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づき、厚生労働大臣が定める化学物質による労働者の健康障害を防止するための改正指針の対象物質である(平成24年10月10日付け健康障害を防止するための指針公示第23号)。 (2)ラット及びマウスを用いた104週間吸入ばく露(6時間/日、5日/週)による発がん性試験(ラット:雌雄:25〜100 ppm、マウス:雌雄:50〜200 ppm)において、ラットの試験では雄で膀胱の移行上皮がんの有意な増加傾向及び発生頻度の有意な増加が認められた。また、雄では甲状腺腫瘍(ろ胞上皮腺腫、ろ胞上皮の腺腫又は腺がん(組合せ)、C細胞がん)の発生率、肺腫瘍(細気管支-肺胞腺腫、細気管支-肺胞の腺腫又はがん(組合せ))の発生率、さらに腹膜中皮腫、皮膚の角化棘細胞腫及び乳腺の線維腺腫の発生率に有意な正の傾向がみられた。一方、雌ラットには腫瘍発生率の有意な増加は認められなかった。マウスの試験では、雌雄ともにハーダー腺の腺腫と肺の細気管支-肺胞腺腫の発生率に有意な正の傾向及び有意な発生率の増加が認められた(厚労省委託がん原性試験結果(2003))。 【参考データ等】 (3)ラット及びマウスを用いた78週間強制経口投与(5日/週)による発がん性試験(ラット:雄/雌:0、57/55、77/73 mg/kg/day、マウス:雄/雌:0、172/129、199/258 mg/kg/day)において、ラットの試験は早期死亡例が多発し、本物質の発がん性評価には不十分な試験と結論された。マウスの試験では雌で前胃腫瘍の発生率の増加(統計的に有意差なし)がみられた。雄は本物質の発がん性評価には不十分とされた(IARC 125 (2020)、厚労省 リスク評価書 (2015)、MOE 初期評価 (2013))。 (4)国内外の評価機関による既存分類結果として、IARCではグループ3に(IARC 125 (2020))に、EPAでC(Possible Human Carcinogens)に(IRIS (1990))、ACGIHでA3に(ACGIH (2011))、EUでCarc. 2に (CLP分類結果 (Accessed Nov. 2021))、DFGでCategory 3に(List of MAK and BAT values (2020))、それぞれ分類されている。 (5)IRISのカテゴリーC評価の根拠は、(2)の強制経口投与による発がん性試験でみられた雌マウスの前胃の腫瘍と様々な遺伝毒性試験における陽性結果が根幹であり、加えて本物質がアルキル化剤で、ヒト発がん性のおそれがある化学物質と構造的な関連性があるとの当時の1990年当時の見解による(IRIS (1990))。ACGIHのA3評価の根拠は、本物質が78週間強制経口投与後に前胃に腫瘍性病変に基づきマウスで発がん性を有することが示唆され、かつマウスで皮膚腫瘍のイニシエーターとして作用する知見に基づく(ACGIH (2011))。なお、EUのCarc 2の分類根拠は不明であった。 | |||
生殖毒性 | 【分類根拠】 (1)〜(3)より、発生影響を示唆する報告もあるが軽微なものであり、根拠として不十分と考えられた。また、繁殖能への影響に関する情報がない。以上から、データ不足のため分類できないとした。なお、新たな情報源を利用し分類結果を見直した。 【根拠データ】 (1)雌ラットを用いた吸入ばく露による発生毒性試験(妊娠6〜15日)において、母動物毒性(体重増加抑制、肝臓及び腎臓重量増加)がみられる高用量(300 ppm)で、胎児に軽微な発生影響(胸骨、脊椎体の化骨遅延)がみられたとの報告がある(厚労省 リスク評価書 (2015)、MOE 初期評価 (2013)、AICIS IMAP (2013)、ACGIH (2011)、NITE 初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2003))。 (2)雌ウサギを用いた吸入ばく露による発生毒性試験(妊娠6〜18日)において、母動物毒性(体重増加抑制、肝臓重量増加)がみられる高用量(300 ppm)で、吸収胚数の増加したが、自然発生率の範囲内にあり、奇形や変異の発生率増加もなかったとの報告がある(厚労省 リスク評価書 (2015)、MOE 初期評価 (2013)、AICIS IMAP (2013)、ACGIH (2011)、NITE 初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2003))。 (3)雌マウスを用いた強制経口投与による発生毒性試験(妊娠7〜14日)において、500 mg/kg/dayの用量で母動物の75%が症状(軟便、切迫呼吸、無気力、衰弱等)を呈した後死亡した。生存した母動物7例について、2/7例に胎児の吸収、出産率の低下(71.4%:対照群94.7%)及び死産児数の増加、出生児には生後3日までの死亡の増加がみられた。当該影響について、NITE 初期リスク評価書 (2008)では、いずれも高用量投与による母動物毒性に起因する影響と考えられたとの報告がある(厚労省 リスク評価書 (2015)、MOE 初期評価 (2013)、NITE 初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2003))。 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 (1)、(2)のヒトにおける知見より、呼吸器への影響がみられることから区分1(呼吸器)とした。(3)〜(5)の動物試験データより、区分2の用量範囲で神経系、心血管系、肝臓、腎臓への影響から区分2(神経系、心血管系、肝臓、腎臓)とした。(5)の動物試験データより、区分3(麻酔作用)とした。よって、区分1(呼吸器)、区分2(神経系、心血管系、肝臓、腎臓)、区分3(麻酔作用)とした、なお新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)気道に対する刺激性を示す。本物質は皮膚刺激性を有し、鼻粘膜への刺激は25 ppm で生じると報告されている(厚労省 リスク評価書 (2015)、NITE 初期リスク評価書 (2008))。 (2)本物質は眼、皮膚、気道を刺激し、中枢神経系に影響を与えることがある。吸入すると咳、咽頭痛、頭痛、眩暈、脱力感、息苦しさ、嘔吐、意識喪失を生じることがあり、皮膚に付くと発赤や灼熱感、痛み、眼に入ると発赤、痛み、かすみ眼を生じることがある。高濃度の蒸気を吸入すると、肺水腫を引き起こすことがある(MOE 初期評価 (2013))。 (3)ラット、マウス、ウサギにおいて経口LD50値は300〜700 mg/kg(区分2の範囲)であり、みられた毒性症状は活動性低下、嗜眠、末梢神経症状(後肢麻痺、振戦、数例で攣縮)であった。また死因は呼吸不全であり、その他消化管粘膜刺激、組織学的検査で肝臓と腎臓の傷害が示されたとの報告がある(DFG MAK (2002))。 (4)ラットの吸入(蒸気)LC50値は3,506 mg/m3および8,200 mg/m3(約1,100 ppmおよび約2,600 ppm、区分2の範囲)、マウスのLC50は3,130 mg/m3(約1,000 ppm、区分2の範囲)であり、実験動物は麻酔状態に陥り、病理組織学的検査で肺の浮腫と肝臓及び腎臓のうっ血がみられたとの報告がある(DFG MAK (2002))。 (5)急性毒性症状として、ラットへの経口投与では、胃腸粘膜の浮腫、炎症、心筋細胞、肝細胞、腎臓尿細管細胞の変性、消化管のうっ血、出血、腎臓、肝臓の組織の損傷がみられ、LD50は450〜700 mg/kg(区分2の範囲)と報告されている。一般状態の観察で、活動性の低下、嗜眠、後肢麻痺、振戦、痙攣等がみられ、死因には呼吸器障害があげられている。高濃度 (7,300 ppm) ばく露したマウスには、短時間で麻酔作用が現れ、呼吸器障害により死亡する。ラット、モルモットでは吸入ばく露で、遅発性の呼吸器粘膜刺激、麻酔作用がみられる(厚労省 リスク評価書 (2015)、NITE 初期リスク評価書 (2008))。 | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 (1)、(2)より、本物質ばく露による影響としてヒトでは神経系影響と肝臓影響が示唆された。実験動物では、(3)〜(7)より、区分1の用量範囲で呼吸器、腎臓への影響が、区分2の用量範囲で神経系、血液系への影響がみられ、肝臓への影響はみられなかった。よって、区分1(神経系、呼吸器、腎臓)、区分2(血液系)とした。なお旧分類で採用されている心臓および肝臓所見はlist外の文献を参照しており、分類に採用しなかった。新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)合成工場で16ヵ月間、1〜113 ppm (3〜350 mg/m3) の濃度の本物質蒸気にばく露した男性45人、女性15人の作業者に最初の1ヵ月は一般状態に変化はみられなかったが、調査対象者の33 %(対照群:肝障害のない23例)にばく露期間中ににんにく様の口臭や体臭と、ごく稀に頭痛と吐き気がみられた。ばく露に関連する臓器障害は診断されていないが、肝細胞障害として、血清ALT、AST、LDH (以上肝細胞質局在酵素)、ミトコンドリアの酵素のγ-GDH、SDHに可逆的な活性の変化がみられたとの報告がある(厚労省 リスク評価書 (2015)、NITE 初期リスク評価書 (2008)、MOE 初期評価 (2013))。 (2)アリルスルホン酸ナトリウムの製造工場で、本物質1〜2,100 ppmに2.5ヵ月〜6年間ばく露した26人の女性に、ばく露期間の初期から流涙や粘膜への刺激性がみられた。問診票調査で24人に四肢の脱力が、その他に四肢遠位部のけいれん痛、感覚の異常等が申告された。また、末梢神経の検査により17人に痛覚の異常が認められ、その他の検査で触覚の異常、振動覚、筋力低下、アキレス腱反射の消失等が認められた。神経筋電図検査でも異常がみられ、これらを総合して、本物質に対する慢性ばく露による慢性多発神経障害 (多発ニューロパシー) と診断されたとの報告がある(厚労省 リスク評価書 (2015)、NITE 初期リスク評価書 (2008)、MOE 初期評価 (2013))。 (3)ラットを用いた13週間反復吸入(蒸気)ばく露試験(6時間/日、5日/週)において、25、50 ppm(ガイダンス値換算:18.0、36.1 ppm、区分1の範囲)で鼻腔の組織変化(嗅上皮のエオジン好性変化の発生増加)、100、200 ppm(ガイダンス値換算:72.2、144 ppm、区分2の範囲)で鼻腔(嗅上皮の壊死(雄))、肺(褐色斑、気管支肺炎、異物沈着、肺重量増加(雄))、腎臓(重量増加(雄は50 ppm以上)、近位尿細管の核増大、好酸体/好酸滴の増加)、血液(軽度貧血)への影響がみられたとの報告がある(厚労省委託がん原性予備試験結果 (2000))。 (4)マウスを用いた13週間反復吸入(蒸気)ばく露試験(6時間/日、5日/週)において、200 ppm(ガイダンス値換算:144 ppm、区分2の範囲)まで鼻腔(呼吸上皮と鼻咽頭のエオジン好性変化の発生増加(雌))、血液(軽度貧血)、脾臓(ヘモジデリン沈着の増加/程度の増強)、前胃(前胃の過形成(雌、50 ppm以上)、びらん)への影響がみられたとの報告がある(厚労省委託がん原性予備試験結果 (2000))。 (5)ラット(雄)を用いた吸入(蒸気)ばく露による34週間神経毒性試験(8時間/日、5日/週)において、100 ppm(ガイダンス値換算:約133 ppm、区分2の範囲)で1/5例に四肢の脱力がみられ、28週以降に着地時後肢開脚幅の拡大を生じた。また、同群では神経系の電気生理学的検査の結果、尾部の運動神経・知覚神経の最大伝導速度の低下(28、34週)、遠位運動潜時の増加(34週)、神経活動電位の振幅の低下(34週)がみられたとの報告がある(MOE 初期評価 (2013)、NITE 初期リスク評価書 (2008) 、ACGIH (2011)、厚労省 リスク評価書 (2015))。 (6)ラットを用いた吸入(蒸気)ばく露による2年間発がん性試験(6時間/日、5日/週)において、25及び50 ppm(区分1の範囲)で鼻腔(嗅上皮のエオジン好性変化の増強(雄))、腎臓(近位尿細管における好酸滴出現、同上皮細胞内の核増大、慢性腎症の程度の増強(雄))がみられ、100 ppm(区分2の範囲)で腎臓(腎盂尿路上皮の過形成(雄))、ハーダー腺(リンパ球浸潤(雌))への影響がみられたとの報告がある(厚労省委託がん原性試験結果 (2003))。 (7)マウスを用いた吸入(蒸気)ばく露による2年間発がん性試験(6時間/日、5日/週)において、200 ppm(区分2の範囲)で失調性/麻痺性歩行、鼻腔(嗅上皮のエオジン好性変化(雄))、泌尿器(尿閉)への影響がみられたとの報告がある(厚労省委託がん原性試験結果 (2003))。 (8)ラットを用いた3ヵ月間反復吸入(蒸気)ばく露試験(6時間/日、5日/週)において、250 ppm(90日換算値:181 ppm、区分2の範囲)で腎臓影響(近位尿細管上皮細胞における好酸性硝子様物質、尿細管の限局性壊死・萎縮)がみられたとの報告がある(MOE 初期評価 (2013)、NITE 初期リスク評価書 (2008) 、ACGIH (2011)、厚労省 リスク評価書 (2015))。 【参考データ等】 (9)マウスを用いた3ヵ月間反復吸入(蒸気)ばく露試験(6時間/日、5日/週)において、250 ppm(90日換算:181 ppm、区分2の範囲)で肝臓に組織変化(小葉中心性肝細胞の着色・門脈周囲のグリコーゲン蓄積、胆管周囲肝細胞の変性・壊死を伴わないグリコーゲン蓄積)がみられたが、毒性学的意義は不明と報告されている(MOE 初期評価 (2013)、NITE 初期リスク評価書 (2008) 、ACGIH (2011)、厚労省 リスク評価書 (2015))。 | |||
誤えん有害性* | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性 短期(急性) | 魚類(ファットヘッドミノー)での96時間TLm=19780μg/L(環境省リスク評価第3巻, 2004)であることから、区分3とした。 | ||
水生環境有害性 長期(慢性) | 急速分解性があり(BODによる分解度:62%(既存点検, 1986))、かつ生物蓄積性が低い(BCF=5.6(既存点検, 1979))ことから、区分に該当しないとした。 | ||
残留性・分解性 | 化審法分解度試験:良分解性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性)) | ||
生態蓄積性 | 化審法濃縮度試験:低濃縮性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性)) | ||
土壌中の移動性 | 情報なし | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
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化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
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本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 1100 | |||
品名(国連輸送名) | 塩化アリル | |||
国連分類 | 3 | |||
副次危険 | 6.1 | |||
容器等級 | T | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当する | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 道路法、消防法の規定に従う。 | |||
特別な安全上の対策 | 道路法、消防法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 131P | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9) 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9) 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) 危険物・引火性の物(施行令別表第1第4号) 変異原性が認められた既存化学物質(法第57条の5、労働基準局長通達) 健康障害防止指針公表物質(法第28条第3項) | |||
化審法 | 優先評価化学物質(法第2条第5項) | |||
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) | 第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1) | |||
毒物及び劇物取締法 | 該当しない | |||
消防法 | 第4類 引火性液体 第三石油類 非水溶性(法第2条第7項危険物別表第1・第4類) | |||
大気汚染防止法 | 有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申) | |||
海洋汚染防止法 | 有害液体物質(Y類物質)(施行令別表第1) | |||
船舶安全法 | 引火性液体類(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
航空法 | 引火性液体(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
港則法 | その他の危険物・引火性液体類(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表) |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 |