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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
p-クロロアニリン
作成日 2002年11月13日
改訂日 2006年10月23日
改訂日 2025年3月14日

1.化学品等及び会社情報
化学品の名称p-クロロアニリン
化学品の英語名称4-Chloroaniline
製品コードR06-C-074-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限染料中間体,医薬原料,農薬原料,樹脂架橋剤(NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
令和6年度(2024年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) ※一部、平成18年度(2006年度)、マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
物理化学的危険性-
健康に対する有害性急性毒性 (経口)区分3
急性毒性 (経皮)区分3
急性毒性 (吸入: 粉じん、ミスト)区分4
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分2B
皮膚感作性区分1
生殖細胞変異原性区分2
発がん性区分1B
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)区分1(血液系、中枢神経系)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)区分1(血液系)
分類実施日
(環境有害性)
平成26年度(2014年度)、ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
環境に対する有害性水生環境有害性 短期(急性)区分1
水生環境有害性 長期(慢性)区分1

GHSラベル要素
絵表示どくろ健康有害性環境
注意喚起語危険
危険有害性情報飲み込むと有毒
皮膚に接触すると有毒
吸入すると有害
眼刺激
アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
遺伝性疾患のおそれの疑い
発がんのおそれ
血液系、中枢神経系の障害
長期にわたる、又は反復ばく露による血液系の障害
水生生物に非常に強い毒性
長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性
注意書き
 安全対策取扱い後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
環境への放出を避けること。
 応急措置飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。
口をすすぐこと。
皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
気分が悪い時は医師に連絡すること。
汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。
皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。
漏出物を回収すること。
 保管施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名p-クロロアニリン
慣用名又は別名4−クロロベンゼンアミン
英語名4-Chloroaniline
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C6H6ClN (128)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号106-47-8
官報公示整理番号
(化審法)
3-194
官報公示整理番号
(安衛法)
-
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)-

4.応急措置
吸入した場合呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。
新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で安静にさせる。医師に連絡すること。
意識がないが呼吸がある場合は、横向きに安定した姿勢で寝かせ、低体温症から保護する。
呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。
中毒の症状は、一定期間遅れて現れることがある。
気分が悪い時や呼吸に関する症状が現れた場合は、医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS、ICSC参照。
皮膚に付着した場合皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。 皮膚に付着した部分を流水またはシャワーで洗い流したのち、水と石けん(鹸)で丁寧に洗浄する。
ポリエチレングリコール 400 と水を交互に使用してすすぐ。最後に、水と石けん(鹸)で丁寧に洗浄する。
アルコール、ガソリン、その他の溶剤は絶対に使用しない。
被害者を静かな場所に寝かせ、低体温症から保護する。
汚染された衣類は密閉式の容器に入れる。
以上、GESTIS、ICSC参照。
眼に入った場合まぶたを大きく広げて流水で少なくとも10分間、患部を洗眼する。
以上、GESTIS、ICSC参照。
飲み込んだ場合口をすすぐこと。
飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
意識がある場合は、活性炭懸濁水(コップ1杯の水に大さじ3杯を懸濁させたもの)を飲ませる。コップ1〜2杯の水を飲ませる。
自然嘔吐の場合は、嘔吐物が呼吸器に侵入するのを防ぐため、頭を胸より低くし、うつぶせの姿勢にする。.
中毒の症状は、一定期間遅れて現れることがある。
以上、GESTIS参照。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状急性: 眼へのわずかな刺激、皮膚への感作作用、血液の酸素輸送能力の障害(メトヘモグロビン形成の結果として)、血液の損傷。医学的な経過観察が必要である。 これらの影響は、遅れて現われることがある。
慢性: 血液の損傷。実験動物では腫瘍が見つけられているが、ヒトへの関連性は不明である。
以上、GESTIS、ICSC参照。
応急措置をする者の保護に必要な注意事項救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、乾燥消火剤、二酸化炭素、アルコール耐性泡消火剤、二酸化炭素。
以上、GESTIS、ICSC参照。
使ってはならない消火剤火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。
特有の危険有害性火災の場合、有害物質(亜硝酸ガス(一酸化窒素)、塩化水素、一酸化炭素と二酸化炭素)が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。
特有の消火方法火災の場合:区域から退避させ、爆発の危険性があるため、離れた距離から消火すること。
突然の放出や大量の粉じんの発生に備えて、直ちに避難すること。
周囲の容器を水スプレーで冷却する。
可能であれば、容器を危険区域から移動する。
着火(発火)源を遮断する。
流出水が排水システムに入らないようにすること。
以上、GESTIS参照。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。
以上、GESTIS参照。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置個人用保護具を着用すること(「個人用保護具」の章を参照)。
影響を受ける周囲に警告すること。
周囲を換気し、こぼれた場所を洗浄する。
以上、GESTIS参照。
環境に対する注意事項環境への放出を避けること。
発がん性物質および生殖細胞変異原性物質は、密閉装置でのみ使用する必要がある。
容器とパイプラインにラベルを貼ること
水、排水、下水、または地中への浸透を防ぐ。
以上、GESTIS参照。
封じ込め及び浄化の方法及び機材この物質を環境中に放出してはならない
こぼれた物質を密閉容器内に収集する。
湿らせてもよい場合は、粉じんを避けるために湿らせてから掃き入れる
漏出物を回収すること。
収集容器にはラベルを貼ること。容器は換気の良い場所に保管すること。
以上、GESTIS、ICSC参照。
二次災害の防止策情報なし

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策すべての部屋と備品は定期的に清掃する必要がある。
「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
粉じんを発生させないこと。避けられない粉じんの発生は、定期的に収集すること。
掃除中に粉じんを起こさないこと。
清掃にブロワーを使用しないこと。
以上、GESTIS参照。
安全取扱い注意事項粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
密閉状態での加熱又は鈍性化剤の減少を避けること。
熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。
作業場所を清潔に保つこと。
この物質は、作業に必要な量を超えて持ち込まない。
容器を開けたままにしないこと。
補充または移し替えには、排気口付きの漏れ防止機器を使用すること。
こぼれないようにすること。
ラベルの付いた容器にのみ注入すること。
粉じんを発生させないこと。
以上、GESTIS参照。
接触回避感染性、放射性、爆発性の物質。
ガス。
自然発火物質。
水と接触した可燃性ガスを放出する物質。
強酸化性物質。
硝酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムを含有する製剤
有機過酸化物および自己反応性物質。
化学反応が起こりうる物質と一緒に保存しない。
以上、GESTIS参照。
衛生対策汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
眼、皮膚、衣類への接触を避けること。接触した場合は患部を洗浄する。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
シャワー付きの洗面所と、可能であれば、私服と作業服用の独立した収納を備えた部屋を用意すること。
使用後は手を洗うこと。
以上、GESTIS参照。
保管
安全な保管条件施錠して保管すること。
国又は都道府県の規則に従って保管すること。
容器を密閉しておくこと。
容器にはラベルを貼付すること。
できるだけ元の容器に保管すること。
室温での保管を推奨する。
乾燥した場所に保管すること。
換気の良い場所に保管すること。
小さな容器は、収集浴槽付きのキャビネットに保管すること。
物質は光に敏感なため、遮光する。
過熱/加熱から保護する。
物質は空気に敏感なため、空気/酸素から保護する。
以上、GESTIS参照。
安全な容器包装材料国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度-
濃度基準値
八時間濃度基準値-
短時間濃度基準値-
許容濃度
日本産衛学会 (2023年度版)-
ACGIH (2024年版)-
設備対策粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。
作業場は、可能であれば物理的に分離する必要がある。
作業場は換気をすること。
床に排水溝を設置しない。
取り扱い場所の近くに洗浄のための設備を設ける。
本物質を大量に取り扱う場合は、緊急用シャワーを設置すること。
以上、GESTIS参照。
保護具
呼吸用保護具【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。
緊急時には、呼吸保護具を着用する。
フィルター装置の使用限界を超える濃度、体積18%未満の酸素濃度、または不明な状況では、絶縁装置を使用すること。
以上、GESTIS参照。
手の保護具必要に応じて適切な不浸透性の保護手袋を使用すること。着用する前に締まり具合を確認すること。手袋は取り外す前に十分に洗浄し、換気の良い場所に保管すること。
布製または革製の手袋は不適切である。
次の材料は、保護手袋に適している(透過時間>= 8時間): ブチルゴム - ブチル(0,5 mm)、フッ素樹脂ゴム - FKM(0,4 mm)
記載されている時間は、22℃で測定し、一定の接触によって推奨されます。温められた物質や体温などによる温度の上昇や、膨張による有効層厚の弱化により、透過時間が大幅に短縮される可能性がある。層の厚さが1.5倍に増減すると、透過時間が2倍/半減する。このデータは純物質にのみ適用される。
厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル」参照のこと。
以上、GESTIS参照。
眼の保護具必要に応じて安全眼鏡、保護面、安全ゴーグルなどの眼用保護具を着用する。
以上、GESTIS参照。
皮膚及び身体の保護具身体の保護リスクに応じて、不浸透性の適切な防護服または適切な化学防護服を着用する。
以上、GESTIS参照。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体
白色〜淡黄色
臭いわずかに甘いアミン臭
融点/凝固点72.5 ℃ (HSDB in PubChem(2024))
沸点、初留点及び沸騰範囲232 ℃ (HSDB in PubChem(2024))
可燃性可燃性 (ICSC (2001))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界データなし
引火点220 ? (Open cup) (HSDB in PubChem(2024))
120〜123 ℃ (密閉式) (NITE 初期リスク評価書 (2007))
自然発火点< 500 ℃ (ホンメル(1991))
685 ℃ (NITE 初期リスク評価書 (2007))
分解温度160 ℃ (ホンメル(1991))
330 ℃ (GESTIS (2024))
pH約6.9 (20℃、1g/L) (GESTIS (2024))
動粘性率1.2 mPa・s (90℃) (GESTIS (2024))
0.02 g/cm・s (dyn) (55℃) (ECHA CHEM(2022))
溶解度水:3900 mg/L (25℃) (HSDB in PubChem(2024))
アルコール、エーテル、アセトン、二硫化炭素:可溶 (HSDB in PubChem(2024))
n-オクタノール/水分配係数log Kow:1.83 (pH7.4) (HSDB in PubChem(2024))
蒸気圧0.071 mmHg (25℃) (HSDB in PubChem(2024))
2 Pa (20℃) (NITE 初期リスク評価書 (2007))
密度及び/又は相対密度1.169 g/cm3 (77℃/4℃) (HSDB in PubChem (2024))
1.32 g/cm3 (ホンメル(1991))
1.4 (水=1) (ICSC (2001))
相対ガス密度4.4 (空気= 1、計算値) (NITE 初期リスク評価書 (2007))
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性物質は可燃性である。
粉じん状の分布や使用量により粉じん爆発のおそれがある場合は、発生防止、発火防止、建設的防爆による対策が必要となる場合がある。
以上、GESTIS参照。
化学的安定性通常の取扱い条件下では安定である。
危険有害反応可能性加熱により分解する。塩化水素および窒素酸化物を含む、有毒で腐食性のフュームを生じる。
酸化剤と 激しく反応する。
以上、ICSC参照。
避けるべき条件発火源(火気、加熱、高温、静電気、火花など)に近づけないこと。
以上、GESTIS参照。
混触危険物質この物質は、酸、酸化剤、酸、無水物、酸性塩化物、熱、蒸留と危険な反応をする可能性がある。
以上、GESTIS参照。
危険有害な分解生成物塩化水素、塩素化合物。
火災の場合、有害物質(亜硝酸ガス(一酸化窒素)、塩化水素、一酸化炭素と二酸化炭素)が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。

11.有害性情報
急性毒性
経口ラットを用いた経口投与試験のLD50=300 mg/kg(環境省リスク評価第2巻(2003))に基づき、区分3とした。
経皮ウサギを用いた経皮投与試験のLD50=360 mg/kg(CERI ハザードデータ集 2000-30(2001))に基づき、区分3とした。
吸入: ガスGHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定できず、分類対象外とした。
吸入: 蒸気データなし。
吸入: 粉じん及びミストラットを用いた吸入暴露試験のLC50(4時間)=2.34 mg/L(環境省リスク評価第2巻(2003))より、計算式を適用すると 448 ppmに相当し、飽和蒸気圧2.0 Pa(20℃)における飽和蒸気圧 20 ppm よりも高い濃度であるため、ミスト・粉塵の区分で分類し、区分4とした。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性OECDガイドラインによるウサギを用いた皮膚刺激性試験(4時間適用)の結果の記述「non-irritating(刺激性なし)」(CICAD 48(2003))から、区分に該当しないとした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性OECDガイドラインによるウサギを用いた眼刺激性試験の結果の記述「slightly irritating」(CICAD 48(2003))から、区分2Bとした。
呼吸器感作性データなし。
皮膚感作性モルモットを用いたマキシマイゼーション法、single injection adjuvant test の結果の記述に「50%陽性」「30%陽性」(CICAD 48(2003))から、皮膚感作性を有すると考えられ、区分1とした。
生殖細胞変異原性CICAD 48(2003)の記述から、経世代変異原性試験/生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(小核試験)で陽性、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なしであることから、区分2とした。
発がん性【分類根拠】
ヒトの発がん性に関する情報はない。動物試験では(1)、(2)より、動物2種で悪性を含む腫瘍の発生増加がみられたことから区分1Bとした。なお、情報源の情報を精査し、分類結果を変更した(2024年度)。

【根拠データ】
(1)本物質(純度99.1%)のラットを用いた103週間強制経口投与(2〜18 mg/kg/day、5日/週)による発がん性試験において、雄の高用量群では脾臓の線維肉腫、骨肉腫、血管肉腫及び肉腫(非特定)の発生頻度の有意な増加が認められたが、雌には投与に関連した腫瘍の発生増加は認められなかった(IARC 57 (1993)、AICIS IMAP (2014)、CERI有害性評価書 (2008)、MOE初期評価 第5巻 (2006)、CICAD (2003)、MAK (DFG) (1992))。
(2)本物質(純度99.1%)のマウスを用いた103週間強制経口投与(3〜30 mg/kg/day、5日/週)による発がん性試験において、雄では肝細胞腺腫の発生頻度に有意な正の傾向が認められ、高用量群で対照群と比べ発生頻度の有意な増加がみられた。また、肝細胞腺腫と肝細胞がんを組合わせた発生頻度には全投与群で有意な増加が、血管肉腫(肝臓及び脾臓での所見の組合せ)の発生頻度に高用量群で有意な増加が認められた。一方、雌には投与に関連した腫瘍の発生増加は認められなかった(同上)。

【参考データ等】
(3)テクニカルグレード(純度不明)の本物質をラットに78週間混餌投与(250、500 ppm)後に24週間おいて屠殺剖検した発がん性試験では、雌雄とも高用量群で脾臓又は脾臓の被膜に間葉系腫瘍(線維腫、線維肉腫、血管肉腫、骨肉腫など)の増加(雄は有意、雌は非有意)がみられた(NTP TR189 (1979))。
(4)テクニカルグレードの本物質をマウスに78週間混餌投与(2,500、5,000 ppm)後に13週間おいて屠殺剖検した発がん性試験では、雌雄とも低及び高用量群で血管肉腫(皮下組織、脾臓、肝臓、腎臓)の発生頻度に有意な増加が認められた(NTP TR189 (1979))。
(5)国内外の評価機関による発がん性分類では、IARCでグループ2B(IARC 57 (1993))、日本産業衛生学会で2B(産衛学会許容濃度等の勧告 (2023))、EUでCarc. 1B(CLP分類 (Accessed July 2024))、DFGでカテゴリー2(List of MAK and BAT values (2023))に分類されている。
生殖毒性データ不足のため、分類できない。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)ヒトについては、「メトヘモグロビン血症、チアノーゼ、無気力、傾眠、頭痛、めまい」(CERIハザードデータ集 2000-30(2001))等の記述、実験動物については、「チアノーゼ、血中のメトヘモグロビン濃度の増加とハインツ小体がみられた」(CERIハザードデータ集 2000-30(2001))等の記述があることから、血液系、中枢神経系が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(血液系、中枢神経系)とした。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)ヒトについては、「チアノーゼ、メトヘモグロビンの上昇、スルフヘモグロビンの上昇」(CICAD 48(2003))等の記述、実験動物については、「チアノーゼ、ハインツ小体、ヘモグロビンや赤血球数の顕著な減少」(CICAD 48(2003))等の記述があることから、血液系が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(血液系)とした。
誤えん有害性*データなし。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=0.31mg/L(環境庁生態影響試験, 2000、環境省リスク評価第8巻, 2006、NITE 初期リスク評価書, 2007)であることから、区分1とした。
水生環境有害性 長期(慢性)急速分解性がなく(BODによる分解度:0%(既存点検, 1990))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC =0.0032 mg/L(環境省リスク評価第8巻, 2006、NITE 初期リスク評価書, 2007)であることから、区分1とした。
残留性・分解性化審法分解度試験:難分解性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性))
生態蓄積性化審法濃縮度試験:低濃縮性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性))
土壌中の移動性-
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。


14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号2018
品名(国連輸送名)クロロアニリン、固体
国連分類6.1
副次危険-
容器等級II
海洋汚染物質該当する
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う
航空規制情報航空法の規定に従う
陸上規制情報該当しない
特別な安全上の対策該当しない
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*152
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【440 パラ−クロロアニリン】
名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降) 【1536 パラ−クロロアニリン】
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【440 パラ−クロロアニリン】
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降) 【1536 パラ−クロロアニリン】
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)
皮膚等障害化学物質(労働安全衛生規則第594条の2)
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1) 【113 クロロアニリン】
毒物及び劇物取締法-
水道法水質基準(平15省令101号) 【38 塩化物イオン】
船舶安全法毒物類(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法毒物類(施行規則第194条危険物告示別表第1)
港則法その他の危険物・毒物類(毒物)(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)
大気汚染防止法有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申) 【50 クロロアニリン】

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・2024 Emengency Response Guidebook
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」