1.化学品等及び会社情報 | |||
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化学品等の名称 | p-ジクロロベンゼン (p-Dichlorobenzene) | ||
製品コード | H27-B-046 | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 防虫・防臭剤 (衣料用防虫剤,トイレの防臭剤)、樹脂 (ポリフェニレンスルフィド) 合成原料、農薬・樹脂添加剤 (紫外線吸収剤 )中間体合成原料 (NITE初期リスク評価書) |
2.危険有害性の要約 | ||||
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GHS分類 | ||||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | H28.03.18、政府向けGHS分類ガイダンス(H25年度改訂版(ver1.1))を使用 | |||
GHS改訂4版を使用 | ||||
健康に対する有害性 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 | ||
皮膚感作性 | 区分1 | |||
発がん性 | 区分2 | |||
生殖毒性 | 区分2 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1 (中枢神経系、血液系、肝臓)、区分3 (気道刺激性) | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1 (神経系、肝臓、血液系)、区分2 (呼吸器、腎臓) | |||
分類実施日 (環境有害性) | 環境に対する有害性はH18.3.31、GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用 | |||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 (急性) | 区分1 | ||
水生環境有害性 (長期間) | 区分1 | |||
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」に該当する。なお、健康有害性については後述の11項に、「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」の記述がある。 | ||||
GHSラベル要素 | ||||
絵表示 | ||||
注意喚起語 | 危険 | |||
危険有害性情報 | アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ 強い眼刺激 呼吸器への刺激のおそれ 発がんのおそれの疑い 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い 中枢神経系、血液系、肝臓の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による神経系、肝臓、血液系の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器、腎臓の障害のおそれ 水生生物に非常に強い毒性 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 | |||
注意書き | ||||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 環境への放出を避けること 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | |||
応急措置 | 皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 気分が悪い時は医師に連絡すること。 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 漏出物を回収すること。 | |||
保管 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 | |||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | |||
他の危険有害性 | データなし |
3.組成及び成分情報 | |||
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単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | p-ジクロロベンゼン | ||
別名 | 1,4‐ジクロロベンゼン | ||
濃度又は濃度範囲 | 100% | ||
分子式 (分子量) | C6H4Cl2 (147.004) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 106-46-7 | ||
官報公示整理番号 (化審法) | 3-41 | ||
官報公示整理番号 (安衛法) | データなし | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | データなし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 大量の水で洗うこと。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
眼に入った場合 | 水で15〜20分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
飲み込んだ場合 | 水で口をすすぎ、直ちに医師の診断を受けること | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | データなし | ||
応急措置をする者の保護 | 救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。 | ||
医師に対する特別な注意事項 | データなし |
5.火災時の措置 | |||
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消火剤 | 水噴霧、泡消火剤、粉末消火剤、炭酸ガス、乾燥砂類 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状放水 | ||
特有の危険有害性 | 熱、火花及び火炎で発火するおそれがある。 激しく加熱すると燃焼する。 火災時に刺激性、腐食性及び毒性のガスを発生するおそれがある。 | ||
特有の消火方法 | 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 安全に対処できるならば着火源を除去すること。 | ||
消火を行う者の保護 | 適切な空気呼吸器、防護服( 耐熱性) を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。 関係者以外の立入りを禁止する。 密閉された場所に立入る前に換気する。 | ||
環境に対する注意事項 | 環境中に放出してはならない。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 漏洩物を掃き集めて空容器に回収し、後で廃棄処理する。 水で湿らせ、空気中のダストを減らし分散を防ぐ。 すべての発火源を速やかに取除く( 近傍での喫煙、火花や火炎の禁止) 。 プラスチックシートで覆いをし、散乱を防ぐ。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行う。 | ||
安全取扱い注意事項 | 取扱い後はよく手を洗うこと。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 使用前に取扱説明書を入手すること。 すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん、ヒューム、蒸気、スプレーを吸入しないこと。 この製品を使用する時に、飲食または喫煙をしないこと。 屋外または換気の良い場所でのみ使用すること。 眼に入れないこと。 | ||
接触回避 | 「1 0 .安定性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | 取扱い後はよく手を洗うこと。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 この製品を使用する時に、飲食または喫煙をしないこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 特別に技術的対策は必要としない。 容器を密閉して冷乾所にて保存すること。 施錠して保管すること。 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 | ||
安全な容器包装材料 | データなし |
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
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管理濃度 | 未設定 | ||
許容濃度 | |||
日本産衛学会 (2015年度版) | 10 ppm (60 mg/m3) (p-ジクロロベンゼン) | ||
ACGIH(2015年版) | TLV-TWA: 10 ppm (60 mg/m3) (p-ジクロロベンゼン) | ||
設備対策 | 粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。 | ||
保護具 | |||
呼吸用保護具 | 適切な呼吸器保護具を着用すること。 | ||
手の保護具 | 適切な保護手袋を着用すること。 | ||
眼の保護具 | 適切な眼の保護具を着用すること。 | ||
皮膚及び身体の保護具 | 適切な保護衣を着用すること。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
形状 | 固体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 無色 (HSDB (2015)) | ||
臭い | 樟脳様のにおい (HSDB (2015)) | ||
臭いのしきい(閾)値 | (下限) 0.18 ppm (ACGIH(7th, 2001)) | ||
pH | データなし | ||
融点・凝固点 | 53℃ (ICSC (2003)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 174℃ (ICSC (2003)) | ||
引火点 | 66℃ (密閉式) (Merck (15th,2013)) | ||
蒸発速度(酢酸ブチル=1) | データなし | ||
燃焼性(固体、気体) | データなし | ||
燃焼又は爆発範囲 | 6.2〜16 vol% (ICSC (2003)) | ||
蒸気圧 | 170 Pa (20℃) (ICSC (2003)) | ||
蒸気密度 | 5.08 (空気=1) (HSDB (2015)) | ||
比重(相対密度) | 1.2475 (20℃,4℃) (ICSC (2003)) | ||
溶解度 | 水:79 mg/L (25℃) (HSDB(2015)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | log P=3.44 (測定値) (SRC (2015)) | ||
自然発火温度 | 500℃までで自然発火性はない。 (HSDB(2015)) | ||
分解温度 | > 480 ℃ (GESTIS (2015)) | ||
粘度(粘性率) | 0.839 mPa.s (55℃)、0.668 mPa.s(79℃) (HSDB(2015)) |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 強い酸化剤である。 | ||
化学的安定性 | データなし | ||
危険有害反応可能性 | アルカリ及びアルカリ土類金属、酸化剤及び硝酸と危険な反応を生じる。 加熱による分解及び酸又は酸のヒュームとの接触により、非常に有毒な塩化水素のヒュームを生じる。 | ||
避けるべき条件 | データなし | ||
混触危険物質 | データなし | ||
危険有害な分解生成物 | 塩化水素 加熱による分解で、有毒な塩化水素のヒュームを生じる。 |
11.有害性情報 | |||
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急性毒性 | |||
経口 | GHS分類: 区分外 ラットのLD50値として、500 mg/kg (環境省リスク評価書第1巻 (2002))、500〜1,000 mg/kg (DFGOT vol. 4 (1992)、IARC 29 (1982))、> 2,000 mg/kg (EU-RAR (2004)、DFGOT vol. 4 (1992))、2,515 mg/kg (DFGOT vol. 4 (1992))、2,515 mg/kg (NICNAS (2000))、3,863 mg/kg (雄)、3,790 mg/kg (雌) (EPA Pesticide (2008)、ATSDR (2006)、NICNAS (2000)、DFGOT vol. 4 (1992))、4,000 mg/kg >、> 1,000 mg/kg (NTP TR 319 (1987))、1,625〜3,863 mg/kg (ACGIH (7th, 2001))、2,515〜3,863 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2005)) との10件の報告がある。2件が区分4に、5件が区分外 (うち4件が国連分類基準の区分5に該当する。) に、1件が分類できないに該当するために、最も多くのデータが該当する区分外 (国連分類基準の区分5) とした。なお、2件は複数のデータを取りまとめた値であったために、分類には採用しなかった。 | ||
経皮 | GHS分類: 区分外 ラットのLD50値として、> 2,000 mg/kg (EU-RAR (2004)、DFGOT vol. 4 (1992))、> 6,000 mg/kg (EPA Pesticide (2008)、ATSDR (2006)、NITE初期リスク評価書 (2005)、ACGIH (7th, 2001)、NICNAS (2000)、DFGOT vol. 4 (1992))、及びウサギのLD50値として、> 5,010 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)) との報告に基づき、区分外とした。 | ||
吸入:ガス | GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。 | ||
吸入:蒸気 | GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。 | ||
吸入:粉じん及びミスト | GHS分類: 区分外 ラットのLC50値 (4時間) として、> 5.07 mg/L (NITE初期リスク評価書 (2005)、EU-RAR (2004)、NICNAS (2000)、DFGOT vol. 4 (1992)) 及び> 6.00 mg/L (EPA Pesticide (2008)) との報告に基づき、区分外とした。なお、被験物質が固体であるため、粉じんの基準値を適用した。 | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | GHS分類: 区分外 ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG 404) において、本物質500 mgを4時間適用した結果、軽度の紅斑がみられたが7日後に回復したとの記載がある (EU-RAR (2004)、NITE初期リスク評価書 (2005))。また、ウサギを用いた別の皮膚刺激性試験において、中等度から重度の紅斑がみられたが72時間後に回復し、皮膚一次刺激指数 (PK) は2.9であったとの報告がある (EPA Pesticide (2008))。その他に本物質は皮膚に対して刺激性を有するとの記載がある (環境省リスク評価書第1巻 (2002))。以上、OECDテストガイドラインに従った試験の結果から区分外 (国連分類基準の区分3) とした。 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | GHS分類: 区分2 ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG 405) において、本物質500 mgを24時間適用した結果、結膜の発赤及び浮腫がみられたが72時間後には回復し、軽度の眼刺激性ありと報告されている (EU-RAR (2004)、NITE初期リスク評価書 (2005))。また、ウサギを用いた別の眼刺激性試験において、結膜炎、虹彩炎、角膜混濁、角膜血管新生がみられたが適用後13日の間に回復し、刺激性スコアが20 (最大値47) であったことから、中等度の刺激性と報告されている (EPA Pesticide (2008))。その他、ヒトの職業ばく露において重度の眼刺激性の報告 (NICNAS (2000)、ACGIH (7th, 2001)) や、眼に対して刺激性を有し眼球水晶体の混濁を著明に起こすとの記載がある (環境省リスク評価書第1巻 (2002))。以上、OECDテストガイドラインに従った試験の結果から区分2とした。なお、本物質はEU CLP分類において「Eye. Irrit. 2 H319」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。 | ||
呼吸器感作性 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。 | ||
皮膚感作性 | GHS分類: 区分1 モルモットを用いたマキシマイゼーション試験の結果、24匹中14匹に感作性がみられ (評点1;9/24匹、評点2;4/24匹、評点3;1/24匹)、感作性ありと報告されている (EU-RAR (2004)、NITE初期リスク評価書 (2005))。また、ヒトでは、69歳の男性が本物質で処理した肘掛け椅子に皮膚接触し、アレルギー性紫斑病を発症した例が報告されている(NICNAS(2000))。以上より、区分1とした。 | ||
生殖細胞変異原性 | GHS分類: 分類できない In vivoでは、マウスの優性致死試験で陰性、ラットの腎臓細胞を用いた小核試験、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陽性/陰性の結果、マウスの末梢血赤血球を用いた小核試験で陰性、ラットの骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陰性、ラットの腎臓、マウスの肝臓、肺、脾臓、腎臓、骨髄を用いたコメットアッセイで陽性、ラット及びマウスの肺、胃 を用いたDNA付加体形成試験で陽性、ラットの肝臓、腎臓を用いたDNA付加体形成試験で陽性/陰性の結果、ラットの腎臓、マウスの肝臓を用いた不定期DNA合成試験、ラットの肝臓及び腎臓、マウスの肝臓を用いた複製DNA合成試験で陽性である(NITE初期リスク評価書 (2005)、IARC 73 (1999)、ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (2006)、EU-RAR (2004)、NICNAS (2000)、NTP TR 319 (1987))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、マウスリンフォーマ試験、小核試験、姉妹染色分体交換試験では陰性結果が多いが陽性結果も存在し、哺乳類培養細胞の染色体異常試験では陰性、DNA損傷試験では陽性である (NITE初期リスク評価書 (2005)、IARC 73 (1999)、NTP TR 319 (1987)、ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (2006)、EU-RAR (2004)、NICNAS (2000))。以上より、小核試験における陽性知見は再現性が認められず、あるいは標準的試験ではないことから、WOEに基づき問題となる遺伝毒性はないと判断されており (EU-RAR (2004))、ガイダンスにしたがい分類できないとした。 | ||
発がん性 | GHS分類: 区分2 ヒトでは白血病5症例の報告が1件あるが、本物質への特異的なばく露と発がん性との関連性を評価可能な疫学研究は不十分とされている (NTP RoC (13th, 2014)、IARC 73 (1999))。実験動物では、ラット及びマウスを用いた強制経口投与による2年間発がん性試験において、ラットでは尿細管上皮細胞がんの頻度増加が雄に、マウスでは肝細胞腺腫、肝細胞がんの頻度増加が雌雄にそれぞれ認められた (IARC 73 (1999)、ACGIH (7th, 2001))。吸入経路では本物質の蒸気をラットに76週間、又はマウスに56週間吸入ばく露した試験では、いずれも腫瘍発生頻度の増加がみられなかった (IARC 73 (1999)、ACGIH (7th, 2001)) が、IARCは投与期間が短い点を指摘している (IARC 73 (1999))。しかし、ラット、又はマウスに本物質蒸気を2年間吸入ばく露した試験では、マウスの試験で肝細胞がん、組織球性肉腫の頻度増加が雄に、肝細胞がん、肝細胞腺腫、及び肺の細気管支/肺胞上皮がんの頻度増加が雌にみられたことが報告されている (厚労省委託がん原性試験結果 (Access on August 2015))。既存分類結果としては、IARCがグループ2Bに (IARC 73 (1999))、ACGIHがA3に (ACGIH (7th, 2001))、日本産業衛生学会が第2群Bに (産衛学会許容濃度の勧告 (2015))、NTPがRに (NTP RoC (13th, 2014))、EUが Carc. 2 に (EU-RAR (2004))、それぞれ分類している。以上より、本項は区分2に分類した。 | ||
生殖毒性 | GHS分類: 区分2 ヒトでの生殖影響に関する情報はない。実験動物では、ラットを用いた吸入経路、又は経口 (強制経口) 経路における2世代生殖毒性試験において、いずれの経路でも親動物に一般毒性影響 (体重増加抑制、肝臓影響 (重量増加、肝細胞肥大)、腎臓影響 (重量増加、腎症) など (F0、F1の雌雄 (吸入)、F0、F1の雄 (経口)) が生じた用量で、F1、F2児動物に出生前後の死亡率増加、同腹児数の減少、体重低値、又は離乳時までの体重増加抑制、発達指標の遅延などがみられたが、いずれの世代の親動物にも生殖毒性影響は示されなかった (EU-RAR (2004)、NITE初期リスク評価書 (2005)、ATSDR (2006))。 発生毒性に関しては、妊娠ラット、又は妊娠ウサギの器官形成期に本物質の蒸気を吸入ばく露した試験において、最高用量 (508 ppm (ラット)、800 ppm (ウサギ)) まで親動物、胎児ともに異常は観察されなかった (EU-RAR (2004)、ACGIH (7th, 2001)、NITE初期リスク評価書 (2005)、ATSDR (2006))。また、妊娠ラットの器官形成期に強制経口投与した試験では、500 mg/kg/day以上で母動物に体重増加抑制がみられ、胎児には500 mg/kg/dayで骨格変異 (過剰肋骨) 頻度増加、1,000 mg/kg/dayで胎児重量減少がみられたのみであった (EU-RAR (2004)、ACGIH (7th, 2001)、NITE初期リスク評価書 (2005)、ATSDR (2006))。以上の実験動物による生殖発生毒性影響に関する知見に基づき、日本産業衛生学会は本物質を「生殖毒性物質第3群」に分類した (許容濃度の暫定値 (2014) の提案理由 (産衛誌 56 (2014)、許容濃度の勧告 (2015))。 | ||
以上、ラットを用いた吸入、及び経口経路での2世代生殖毒性試験結果からは、親動物の生殖能への有害影響はないが、親動物に一般毒性影響が発現した用量で児動物の出生時の生存児数、体重の低値、離乳までの成長遅延など生時及び生後に発生・発達への有害影響がみられたこと、並びに産衛学会による分類結果も区分2に該当することから、本項は「区分2」とした。 なお、旧分類 (平成21年度) ではラット経口投与2世代生殖毒性試験で、F1親動物に毒性が発現しない用量 (90 mg/kg/day) で児動物への有害影響がみられたとして、「区分1B」に分類されたが、F1親動物の 90 mg/kg/day 群においても雄に肝臓影響 (肝臓相対重量の増加) の記述があり (EU-RAR (2004))、今回の評価に際しては中用量から親動物に一般毒性影響の徴候が肝臓に発現しているものと考え、分類ガイダンスに従い分類した結果、分類区分を区分2に変更した。 | |||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | GHS分類: 区分1 (中枢神経系、血液系、肝臓)、区分3 (気道刺激性) 本物質は気道刺激性がある (NITE初期リスク評価書 (2005)、環境省リスク評価書第1巻 (2002)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1998)、ACGIH (7th, 2001)、EU-RAR (2004)、NICNAS (2000)、DFGOT vol. 20 (2003))。ヒトの事例では、防虫剤結晶を経口摂取した 3 歳の男児の事故例で、咳き、黄疸、急性溶血性貧血、メトヘモグロビン尿、男性の密閉された部屋での吸入ばく露例で、眩暈、貧血、男性の経皮ばく露例で、腎臓傷害が報告されている (NITE初期リスク評価書 (2005)、環境省リスク評価書第1巻 (2002)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1998)、ACGIH (7th, 2001)、EU-RAR (2004)、NICNAS (2000)、IARC 73 (1999)、ATSDR (2006))。その他、本物質の急性症状は、肝臓への影響、頭痛、悪心、嘔吐、眩暈、中枢神経抑制、痙攣発作、興奮、衰弱、メトヘモグロビン血症、急性溶血性貧血との記載がある (ACGIH (7th, 2001)、IARC 73 (1999)、ATSDR (2006))。 | ||
実験動物では、ラット経口投与 (区分2相当) で異常歩行、円背位、腎皮質の硝子滴増加 (雄ラット)、肝細胞空胞変性、肝ポルフィリン症 (雌ラット)、ラットの吸入ばく露 (区分1相当) で振戦、反射低下、自発運動亢進、立毛、振戦、反射消失、小葉中心性肝細胞肥大、肝細胞空胞化及び軽度壊死、雄では、腎臓皮質の硝子滴増加の報告がある (NITE初期リスク評価書 (2005)、環境省リスク評価書第1巻 (2002)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1998)、ACGIH (7th, 2001)、EU-RAR (2004)、NICNAS (2000))。 ヒトの経皮ばく露例での腎臓傷害は1例のみであり、経口や吸入により腎臓所見が見られないこと、実験動物の腎皮質の硝子滴増加は雄ラットのため、本物質の腎臓への影響は採用しなかった。 以上より、本物質の影響は、気道刺激性、中枢神経系、血液系、肝臓であり、区分1 (中枢神経系、血液系、肝臓)、区分3 (気道刺激性) とした。 | |||
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | GHS分類: 区分1 (神経系、肝臓、血液系)、区分2 (呼吸器、腎臓) ヒトでは、蒸気ばく露により全身の点状出血、貧血、黄疸、肝臓の黄色萎縮、不安定歩行、知覚異常、言語障害 (EU-RAR (2004)、NITE初期リスク評価書 (2005)) がみられ、経口摂取において貧血 (血色素減少症、小球性貧血、ハインツ小体) (NITE初期リスク評価書 (2005))、不安定歩行、手の振るえ、精神的な活動の低下 (ACGIH (7th, 2001)) がみられている。 実験動物では、ラット、モルモットを用いた5〜7ヶ月間吸入毒性試験において、158 ppm (0.965 mg/L) で肝臓、腎臓の重量増加、 肝細胞の変性及び水腫がみられ (EU-RAR (2004)、NITE初期リスク評価書 (2005)、ATSDR (2006))、ラット、モルモットを用いた16日間吸入毒性試験において、173 ppm (ガイダンス値換算:0.22 mg/L) で肺の間質の水腫、うっ血、肺胞の出血がみられている (ATSDR (2006))。ラットを用いた4週間強制経口投与毒性試験において、150 mg/kg/day (90日間換算値:46.7 mg/kg/day) で尿細管の拡張及び壊死を伴う尿細管腎症、300 mg/kg/day (90日間換算値:93.3 mg/kg/day) で肝臓の重量増加、腎臓の重量増加、小葉中心性肝細胞肥大がみられている(EU-RAR (2004)、NITE初期リスク評価書 (2005))。イヌを用いた1年間強制経口投与毒性試験において、50 mg/kg/dayでALT、AST、γ-GTP 活性の上昇、肝臓、腎臓の重量増加、肝細胞の肥大及び色素沈着、胆管の過形成及び肝臓の門脈性炎症、腎臓の褪色及び集合管上皮の空胞化がみられている (EU-RAR (2004)、NITE初期リスク評価書 (2005))。 | ||
以上のようにヒトにおいて、貧血、中枢神経系、肝臓に影響がみられ、実験動物では肺、肝臓、腎臓に影響がみられいずれも区分2の範囲であった。 したがって、区分1 (神経系、肝臓、血液系)、区分2 (呼吸器、腎臓) とした。 | |||
吸引性呼吸器有害性 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性(急性) | GHS分類: 区分1 甲殻類(オオミジンコ)での48時間EC50=0.7 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2005, 他)であることから、区分1とした。 | ||
水生環境有害性(長期間) | GHS分類: 区分1 急性毒性区分1であり、急速分解性がない(難分解性、BODによる分解度:0%(既存点検, 2001))ことから、区分1とした。 | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
13.廃棄上の注意 | |||
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残余廃棄物 | 廃棄の前に、可能な限り無害化、安定化及び中和等の処理を行って危険有害性のレベルを低い状態にする。 廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
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該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 3077 | |||
国連品名 | ENVIRONMENTALLYHAZARDOUSSUBSTANCE,LIQUID,N.O.S. | |||
国連危険有害性クラス | 9 | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | L | |||
海洋汚染物質 | 該当する | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当する | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法に従う。 | |||
陸上規制情報 | 消防法、道路法に従う。 | |||
特別安全対策 | 移送時にイエローカードの保持が必要。 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号 | 171 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
化審法 | 旧第2種監視化学物質 旧第3種監視化学物質 優先評価化学物質 | |||
労働安全衛生法 | 健康障害防止指針公表物質 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3) | |||
消防法 | 指定可燃物、可燃性固体類 | |||
水質汚濁防止法 | 指定物質 | |||
船舶安全法 | 有害性物質 有害性物質 | |||
大気汚染防止法 | 有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質 揮発性有機化合物 法第2条第4項 (平成14年度VOC排出に関する調査報告) | |||
海洋汚染防止法 | 有害液体物質 個品運送P | |||
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) | 第1種指定化学物質 | |||
外国為替及び外国貿易管理法 | 輸入貿易管理令第4条第1項第2号輸入承認品目「2の2号承認」 輸出貿易管理令別表第1の16の項 輸出貿易管理令別表第2 | |||
特定廃棄物輸出入規制法 (バーゼル法) | 廃棄物の有害成分・法第2条第1項第1号イに規定するもの | |||
労働基準法 (疾病、がん原性、etc) | 疾病化学物質 |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | 各データ毎に記載した。 | |||
[注意] 本SDSはJIS Z7253:2012 に準拠して作成しています。 |