1.化学品及び会社情報 | |||
---|---|---|---|
化学品の名称 | アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル) | ||
化学品の英語名称 | Di(2-ethylhexyl)adipate | ||
製品コード | R04-B-027-JNIOSH | ||
供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 塩化ビニル樹脂用可塑剤(食品包装用塩化ビニルフィルム 塩化ビニリデンフィルム)、ゴム用可塑剤耐寒性を生かしたレザー、一般フィルム、プラスチゾル (NITE-CHRIPより引用) |
2.危険有害性の要約 | |||
---|---|---|---|
GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R5.3.31、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver2.1))を使用 | ||
物理化学的危険性 | - | ||
健康に対する有害性 | 生殖毒性 | 区分2 | |
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分3(麻酔作用) | ||
分類実施日 (環境有害性) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) | ||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分1 | |
水生環境有害性 長期(慢性) | 区分1 | ||
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 警告 | ||
危険有害性情報 | 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い 眠気またはめまいのおそれ 水生生物に非常に強い毒性 長期継続的影響により水生生物に非常に強い毒性 | ||
注意書き | |||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 環境への放出を避けること。 | ||
応急措置 | ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 気分が悪いときは医師に連絡すること。 漏出物を回収すること。 | ||
保管 | 施錠して保管すること。 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
---|---|---|---|
化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
化学名又は一般名 | アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル) | ||
慣用名又は別名 | ジ(2−エチルヘキシル)=アジパート | ||
英語名 | Di(2-ethylhexyl)adipate Di(2-ethylhexyl) adipate | ||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | C22H42O4 (370.57) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 103-23-1 | ||
官報公示整理番号(化審法) | 2-861 | ||
官報公示整理番号(安衛法) | 情報なし | ||
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | 情報なし |
4.応急措置 | |||
---|---|---|---|
吸入した場合 | 新鮮な空気のある場所に移動させる。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
皮膚に付着した場合 | 汚染された衣服を脱がせる。皮膚に付着した部分を流水で十分に浄する。医師の診察を受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
眼に入った場合 | 流水で10分間洗浄する。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐ。負傷者に意識がある場合は、コップ1杯の水(約200ml)を飲ませる。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入:エアゾールまたは高温の蒸気/分解生成物にさらされた場合、気道への刺激が予想され、肺の損傷も考えられる。 皮膚:わずかな、または刺激性なし。 眼:わずかな、または刺激性なし。 経口摂取:高用量では消化管障害(吐き気、嘔吐、下痢)の可能性。極めて高用量では吸収毒性も考えられる。 吸収:中枢神経系への障害(興奮→抑圧) 以上、GESTIS参照。 | ||
応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
---|---|---|---|
適切な消火剤 | 粉末消火薬剤、泡消火薬剤、二酸化炭素 以上、GESTIS参照。 | ||
使ってはならない消火剤 | 情報なし | ||
火災時の特有の危険有害性 | 火災の場合、有害物質(一酸化炭素、二酸化炭素)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
特有の消火方法 | 周囲の容器を水スプレーで冷却する。可能であれば、容器を危険区域外に持ち出す。着火源となるものを遮断する。 以上、GESTIS参照。 | ||
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
---|---|---|---|
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 周囲に注意喚起し、避難させる。漏出区域に入るときは保護具を着用すること。 | ||
環境に対する注意事項 | 水域に対する危険性は低い。非常に多量に水、排水、下水、または地中に入った場合は、自治体に連絡する。 以上、GESTIS参照。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | こぼれた液体を吸収剤(例:珪藻土、バーミキュライト、砂)で吸収し、規則に従って廃棄する。その後、換気し、漏出した場所を洗浄する。 以上、GESTIS参照。 | ||
二次災害の防止策 | 情報なし |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
---|---|---|---|
取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱注意事項 | 容器を開けたままにしない。使用前に取扱説明書を入手する。すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わない。使用時は十分な換気をすること。 以上、GESTIS、GHS分類結果参照 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | 休憩前や作業終了時には石鹸と水で皮膚を洗い、洗浄後は脂肪分の多いスキンケア製品を塗布する。使用するときには飲食、喫煙をしないこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 施錠して保管する。容器を密閉して室温の換気の良い場所に保管する。強酸化剤、強酸から離しておく。 以上、GESTIS、ICSC、GHS分類結果参照。 | ||
安全な容器包装材料 | 消防法及び国連輸送法規で規定されている容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
---|---|---|---|---|
許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
管理濃度 | 未設定 | |||
許容濃度等 | ||||
日本産衛学会(2022年版) | 未設定 | |||
ACGIH(2022年版) | 未設定 | |||
設備対策 | 作業場所には換気設備を設置する。取り扱い場所の近くに洗浄のための設備を設ける。床排水溝がある場合はトラップを設ける。 以上、GESTIS参照。 | |||
保護具 | ||||
呼吸用保護具 | 緊急時(例:意図しない物質の放出)には、呼吸保護具を着用する。 状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用する。 防毒マスクの選択については、以下の点に留意する。 -防毒マスクは、日本工業規格(JIS T8152)に適合した、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。 -濃度に対応した・・・用吸収缶を使用する 注) ”…”は、物質に対応した吸収缶を記載します。SDS作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 -作業者が粉じんにばく露される環境で防毒マスクを使用する場合には、防じん機能付き吸収缶を使用する -酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。 以上、GESTIS参照。 | |||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。ニトリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、PVCが適している。天然ゴム、クロロプレンは適さない。 以上、GESTIS参照。 | |||
眼の保護具 | サイドガード付きの保護眼鏡を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
皮膚及び身体の保護具 | エプロンまたは白衣を着用する。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
---|---|---|---|
物理的状態 | |||
物理状態 | 液体(GHS判定) | ||
色 | 無色〜極淡い琥珀色 | ||
臭い | 無臭〜微かな芳香 | ||
融点/凝固点 | -67.8 ℃(Howard(1997), GESTIS(2022), HSDB in PubChem(2022)) 〜-75 ℃(流動点:pour point)(Lewis(2001)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 417 ℃(Howard(1997)) 167 ℃(1mm)(Lange(2017)) 181〜185 ℃(2mm)(SAX(2000)) | ||
可燃性 | 可燃性物質、難燃性(GESTIS(2022)) | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | 0.33 vol.% 50〜2.8 vol.% 420 g/m3(GESTIS(2022)) | ||
引火点 | >110 ℃(Lange(2017)) 196 ℃(Lewis(2001), Chapman(1995)) 196 ℃(Closed cup)(ICSC(2009), GESTIS(2022)) | ||
自然発火点 | 340 ℃(GESTIS(2022), ICSC(2009)) | ||
分解温度 | データなし | ||
pH | データなし | ||
動粘性率 | 14.7 mPa*s(GESTIS(2022)) | ||
溶解度 | 水: 0.78 mg/L(22℃)(Howard(1997)) 0.8 mg/L(20℃)(GESTIS(2022)) 水: (不溶)(Lewis(2001)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | log P: 6.11(Howard(1997)) log Kow: 8.1(GESTIS(2022)) | ||
蒸気圧 | 2.6 mmHg(200℃)(Lewis(2001)) 0.00000085 mmHg(20℃)(Howard(1997)) <0.1 Pa(室温での蒸気圧は僅かである)(GESTIS(2022)) | ||
密度及び/又は相対密度 | 0.99 g/mL(Lange(2001)) 0.93 g/cm3(20℃)(GESTIS(2022)) 0.9268 g/cm3(25/4℃)(HODOC(1989)) | ||
相対ガス密度 | データなし | ||
粒子特性 | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
---|---|---|---|
反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 揮発性が非常に低い | ||
危険有害反応可能性 | 情報なし | ||
避けるべき条件 | 情報なし | ||
混触危険物質 | 情報なし | ||
危険有害な分解生成物 | 情報なし |
11.有害性情報 | ||||
---|---|---|---|---|
急性毒性 | ||||
経口 | 【分類根拠】 (1)〜(3)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:9,100 mg/kg(SIAR (2000) 、MOE 初期評価 (2003)、AICIS IMAP (2013)、Canada CMP Screening Assessment (2011)) (2)ラットのLD50:> 7,380 mg/kg(SIAR (2000)) (3)ラットのLD50:> 20,000 mg/kg(SIAR (2000)) | |||
経皮 | 【分類根拠】 (1)〜(3)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ウサギのLD50:> 8,670 mg/kg(SIAR (2000) 、AICIS IMAP (2013)、Canada CMP Screening Assessment (2011)) (2)ウサギのLD50:15,029 mg/kg(SIAR (2000) 、Canada CMP Screening Assessment (2011)) (3)ウサギのLD50:16,300 mg/kg(REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022)) | |||
吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 | |||
吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。なお、ばく露濃度は飽和蒸気圧濃度(1.7×10-5 mg/L)より高いため、ミストと判断した。新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)ラットのLC50(エアロゾル、4時間):> 5.7 mg/L(OECD TG 403、GLP)(REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022)、AICIS IMAP (2013)) | |||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(24時間閉塞、72時間観察)において、パッチ除去後に軽微な紅斑がみられたが、72時間後までに軽減した。皮膚一次刺激指数(PDII)は0.83であったとの報告がある(SIAR (2000)、NITE 初期リスク評価書 (2007)、Canada CMP Screening Assessment (2011) 、AICIS IMAP (2013))。 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(72時間観察)において、眼刺激性影響はみられなかったとの報告がある(SIAR (2000)、NITE 初期リスク評価書 (2007)、Canada CMP Screening Assessment (2011)、AICIS IMAP (2013)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。 (2)ウサギを用いた初期の眼刺激性試験において、軽微な刺激性がみられた(SIAR (2000)、Canada CMP Screening Assessment (2011))。 | |||
呼吸器感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
皮膚感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。なお、(1)の知見は一般的な試験法によるものでないため、分類には用いなかった。 【参考データ等】 (1)モルモット(n=10)を用いたDraize試験において、感作性反応はみられなかったとの報告がある(SIAR (2000)、NITE 初期リスク評価書 (2007)、Canada CMP Screening Assessment (2011)、AICIS IMAP (2013)、REACH登録情報 (Accessed 2022))。 | |||
生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)In vivoではマウスの骨髄細胞を用いた小核試験(@ 単回又は2日間腹腔内投与、5,000 mg/kg、A 3日間腹腔内投与、最大2,000 mg/kg)では、いずれも結果は陰性であった(SIAR (2000)、AICIS IMAP (2013)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。 (2)In vitroでは、ネズミチフス菌(TA98, TA100, TA1535, TA1537, TA1538)を用いた復帰突然変異試験及びマウスリンパ腫細胞(L5178Y)を用いたマウスリンフォーマ試験で代謝活性の有無に関わらず陰性の報告がある(SIAR (2000)、MOE 初期評価 (2003)、NITE 初期リスク評価書 (2007)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。 | |||
発がん性 | 【分類根拠】 (1)〜(4)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた2年間混餌投与による発がん性試験では、高用量(25,000 ppm)まで雌雄ともに投与に関連した腫瘍の発生頻度増加は認められなかった(IARC 77 (2000)、SIAR (2000)、MOE 初期評価 (2003)、NITE 初期リスク評価書 (2007)、AICIS IMAP (2013))。 (2)国内外の評価機関による既存分類結果として、IARCでグループ3(IARC 77 (2000))にに分類されている。なおIARCは、(3)のマウス肝発がん性はペルオキシオーム増殖物質受容体α(PPARα)の活性化に起因するが、この作用はげっ歯類特異的でヒトには当てはまらない証拠があるとして、グループ3に分類した(IARC 77 (2000))。 (3)マウスを用いた2年間混餌投与による発がん性試験で、高用量(25,000 ppm)群の雄で肝細胞腺腫、低及び高用量(12,000及び25,000 ppm)群の雌で肝細胞がんの発生頻度の増加がみられた(IARC 77 (2000)、SIAR (2000)、MOE 初期評価 (2003)、NITE 初期リスク評価書 (2007)、AICIS IMAP (2013))。 (4)その他、国内外の評価機関による既存分類結果として、EPAでC(possible human carcinogen:ヒト発がん物質のおそれがある物質)(IRIS (1992))に分類されている。その理由としてEPAは、@ヒトのデータがない、A雌マウスの肝臓腫瘍の発生頻度増加、B優性致死試験の陽性以外、遺伝毒性の証拠がない、C構造相関(DEHP等2-エチルヘキシル側鎖を持つ非遺伝毒性物質でペルオキシソーム増殖活性を有する物質との共通性)があるとしている(IRIS (1992)、AICIS IMAP (2013))。 | |||
生殖毒性 | 【分類根拠】 (1)、(2)より、母動物に一般毒性影響がみられる用量で同腹児数の減少がみられたが、(2)で発生影響は内臓・骨格変異や骨化遅延で分類根拠としない軽微な影響に限られた。一方、(3)〜(6)より、雌の性機能・受胎能への影響が調査された結果、母動物毒性の強弱が明らかでない用量で卵巣機能への悪影響がみられ、それに起因すると考えられる性周期の延長、着床及び妊娠維持への有害影響等がみられた。以上より、区分2とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた混餌投与による一世代生殖毒性試験(OECD TG415相当、28〜1,080 mg/kg/day)において、親動物に体重増加抑制(雌、妊娠期)、肝臓重量増加(雌雄)がみられる高用量(1,080 mg/kg/day)で、妊娠雌の一腹当たりの重量減少、児動物に低体重及び同腹児数の減少がみられたとの報告がある(SIAR (2000)、MOE 初期評価 (2003)、NITE 初期リスク評価書 (2007)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。 (2)ラットを用いた混餌投与による発生毒性試験(GLP、28〜1,080 mg/kg/day)において、母動物毒性(体重及び摂餌量の低下)がみられる高用量(1,080 mg/kg/day)で、同腹児数の減少、骨格変異の頻度増加がみられたとの報告がある。明らかな母動物毒性がみられない中用量(170 mg/kg/day)以上で内臓変異(尿管の拡張、捻じれ)がみられたとの報告(MOE 初期評価 (2003)、NITE 初期リスク評価書 (2007)、AICIS IMAP (2013))と、これらは統計的有意差のない所見とする報告(REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))がある。また、中及び高用量群で骨化不全がみられたが、内臓及び骨格奇形の増加はみられなかったとの報告がある(SIAR (2000)、AICIS IMAP (2013))。 (3)ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(200〜800 mg/kg/day)において、最高用量(800 mg/kg/day)まで母動物に一般毒性影響がみられず、中用量(400 mg/kg/day)以上で出生児に生後生存率の低下が、高用量(800 mg/kg/day)群で母動物に妊娠期間の延長、出生児に低体重(出生時及び生後13日まで)がみられたとの報告がある(NITE 初期リスク評価書 (2007)、AICIS IMAP (2013))。 (4)ラットを用いた強制経口投与による反復投与生殖発生毒性試験(enhanced OECD TG407、40〜1,000 mg/kg/day)において、高用量(1,000 mg/kg/day)群で、雌に閉鎖卵胞(4/10例)がみられ、うち2例に性周期の延長がみられ、本物質は卵巣機能をかく乱することが示唆されたとの報告がある(AICIS IMAP (2013))。 (5)ラットを用いた経口投与による反復投与毒性試験(200〜2000 mg/kg/day)において、中用量(1,000 mg/kg/day)以上で卵巣毒性がみられたとの報告がある(AICIS IMAP (2013)、Canada CMP Screening Assessment (2011))。 (6)雌ラットを用いた経口投与による性機能・受胎能への影響評価試験(200〜2000 mg/kg/day)において、中用量以上で性周期の延長、着床後胚損失率の増加、高用量(2,000 mg/kg/day)では加えて着床率及び生存胎児数の減少と着床前胚損失率の増加がみられたとの報告がある(AICIS IMAP (2013)、Canada CMP Screening Assessment (2011))。 【参考データ等】 (7)ウサギを用いた混餌投与による発生毒性試験(40〜160 mg/kg/day)において、最高用量(160 mg/kg/day)まで母動物、胎児ともに異常はみられなかったとの報告がある。用量設定のための予備試験では、300 mg/kg/dayで母動物に顕著な全身毒性(体重減少)がみられたとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed 2022))。 (8)(3)において、本物質は構造類似のフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP)とは異なり、雄児動物に抗アンドロゲン作用による所見はみられなかったとの報告がある(NITE 初期リスク評価書 (2007)、AICIS IMAP (2013))。 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 (1)、(2)より、区分3(麻酔作用)とした。なお、新たな知見に基づき分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)マウスを用いた単回経口投与試験では、1,250及び2,500 mg/kg(区分2及び区分に該当しない範囲)以上で嗜眠(雄2/5例及び雄1/5例)、5,000 mg/kg(区分に該当しない範囲)で嗜眠(雄5/5例、雌3/5例)、不安定歩行がみられたとの報告がある(SIAR (2000)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))。 (2)ラットを用いた単回経口投与試験において、10,000 mg/kg(区分に該当しない範囲)以上で嗜眠、後肢麻痺、衰弱、死亡がみられたとの報告がある(SIAR (2000)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))。 【参考データ等】 (3)ラットを用いた単回吸入ばく露試験(エアロゾル、4時間)において、5.7 mg/L(区分に該当しない範囲)で死亡例はなく、不規則及び促拍呼吸、逃避行動、立毛がみられたとの報告がある(SIAR (2000)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))。 | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 (1)、(2)より、経口経路では区分に該当しない。ただし、他経路での毒性情報がなくデータ不足のため分類できない。 【根拠データ】 (1)ラット及びマウスを用いた混餌投与による14、21、90日間反復経口投与試験において、2,500 ppm(ラット:189 mg/kg/day、マウス:451 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)まで影響がみられず、ラットで6,300 ppm(476 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)以上、マウスで3,100 ppm(559 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)以上で体重増加抑制がみられたとの報告がある(SIAR (2000)、NITE 初期リスク評価書 (2007)、AICIS IMAP (2013))。 (2)ラット及びマウスを用いた混餌投与による2年間発がん性試験において、25,000 ppm(ラット:1,250 mg/kg/day、マウス:3,750 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)まで体重増加抑制/体重低値がみられたが、投与に関連した非腫瘍性変化はみられなかったとの報告がある(NITE 初期リスク評価書 (2007))。 | |||
誤えん有害性* | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 |
12.環境影響情報 | |||
---|---|---|---|
生態毒性 | |||
水生環境有害性 短期(急性) | 甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 0.66 mg/L(MOE初期評価, 2003; NITE初期リスク評価書, 2007)であることから、区分1とした。新たな情報の使用により、旧分類から分類結果が変更となった。 | ||
水生環境有害性 長期(慢性) | 慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(BODによる28日間分解度:70.7%(METI既存点検結果, 1990))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 0.0069 mg/L(分散系の分析値の平均値を基に算出した影響濃度)(MOE既存点検結果, 2005)から、区分1となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階(藻類)に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性があり、藻類(ムレミカヅキモ)の96h EC50 > 0.78 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2007)から、区分に該当しないとなる。 以上の結果を比較し、区分1とした。慢性毒性の分類方法の変更及び新たな情報の使用により、旧分類から分類結果が変更となった。 | ||
残留性・分解性 | 化審法分解度試験:良分解性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性)) | ||
生態蓄積性 | 情報なし | ||
土壌中の移動性 | 情報なし | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
---|---|---|---|
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 3082 | |||
品名(国連輸送名) | 環境有害物質(液体)、n.o.s. | |||
国連分類 | 9 | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | V | |||
海洋汚染物質 | 該当 | |||
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 消防法の規定に従う。 | |||
特別な安全上の対策 | 消防法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 171 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
---|---|---|---|---|
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 該当しない | |||
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) | 第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)(令和5年度以降の対象) | |||
毒物及び劇物取締法 | 該当しない | |||
消防法 | 第4類 引火性液体 第三石油類 非水溶性(法第2条第7項危険物別表第1・第4類) | |||
海洋汚染防止法 | 有害液体物質(Y類物質)(施行令別表第1) | |||
船舶安全法 | 有害性物質(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
航空法 | 有害性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1) |
16.その他の情報 | ||||
---|---|---|---|---|
参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 R5.3.31: 物理化学的危険性、健康に対する有害性を見直した。 |