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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
アクリル酸2-エチルヘキシル
作成日 2009年03月30日
改訂日 2021年03月12日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称アクリル酸2-エチルヘキシル (Acrylic acid, 2-ethylhexyl ester)
製品コードR02-B-022
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファックス番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限アクリル繊維・塗料・接着剤原料 (NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
R3.3.12、政府向けGHS分類ガイダンス (令和元年度改訂版 (ver2.0)) を使用
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用)
物理化学的危険性引火性液体区分4
健康に対する有害性皮膚腐食性/刺激性区分2
皮膚感作性区分1B
発がん性区分2
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)区分3 (麻酔作用、気道刺激性)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)区分2 (鼻腔)
分類実施日
(環境有害性)
平成20年度、政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)
環境に対する有害性水生環境有害性 (急性)区分2
GHSラベル要素
絵表示感嘆符健康有害性
注意喚起語警告
危険有害性情報可燃性液体
皮膚刺激
アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
呼吸器への刺激のおそれ
眠気又はめまいのおそれ
発がんのおそれの疑い
長期にわたる、又は反復ばく露による鼻腔の障害のおそれ
水生生物に毒性
注意書き
 安全対策使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
熱,高温のもの,火花,裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。
容器を密閉しておくこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
取扱後はよく手を洗うこと。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
環境への放出を避けること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
 応急措置火災の場合:消火するために適切な消火剤を使用すること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
 保管換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
単一製品・混合物の区別単一製品
化学名又は一般名アクリル酸2-エチルヘキシル
別名プロペン酸2‐エチルヘキシルエステル
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C11H20O2 (184.28)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号103-11-7
官報公示整理番号
(化審法)
2-990
官報公示整理番号
(安衛法)
情報なし
分類に寄与する不純物及び安定化添加物情報なし

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。医師の診察/手当てを受けること。
皮膚に付着した場合多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
眼に入った場合数分間多量の水で洗い流し (できればコンタクトレンズをはずして)、医療機関に連絡する。
飲み込んだ場合口をすすぐ。
コップ1、2杯の水を飲ませる。
吐かせない。
医師の診察/手当てを受けること。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入: 咳、咽頭痛。
皮膚: 発赤、痛み。
眼: 充血、痛み。
経口摂取: 腹痛、下痢、吐き気、嘔吐。
応急措置をする者の保護情報なし
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤粉末消火薬剤、AFFF (水性膜泡消火薬剤)、泡消火薬剤、二酸化炭素、水噴霧
使ってはならない消火剤情報なし
特有の危険有害性可燃性。
82℃以上では、蒸気/空気の爆発性混合気体を生じることがある。
特有の消火方法水を噴霧して容器類を冷却する。
消火を行う者の保護情報なし

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に化学防護服及び有機ガス用吸収缶付き防毒マスクを使用することとの記載あり)
環境に対する注意事項周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材この物質を環境中に放出してはならない。
漏れた液やこぼれた液を、ふた付きの容器にできる限り集める。
残留液を、砂または不活性吸収剤に吸収させる。
地域規則に従って保管処理する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項熱,高温のもの,火花,裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。
容器を密閉しておくこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
作業衣を家に持ち帰ってはならない。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
保管
安全な保管条件換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
施錠して保管すること。
強酸化剤から離しておくこと。
冷暗所に保管すること。
安定化した状態でのみ貯蔵すること。
安全な容器包装材料消防法で規定された容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度未設定
許容濃度
日本産衛学会 (2020年度版)未設定
ACGIH (2020年版)未設定
設備対策82℃以上では、密閉系、換気、および防爆型電気設備。
取り扱いの場所の近くに、洗眼及び身体洗浄のための設備を設ける。
適切な局所排気装置・換気装置等を使用する。
保護具
呼吸用保護具状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に有機ガス用吸収缶付き防毒マスクを使用することとの記載あり)
手の保護具保護手袋を着用する。
眼の保護具保護眼鏡や保護面を着用すること。(ICSCには、呼吸用保護具と併用して、安全ゴーグルまたは保護眼鏡を着用することとの記載あり)
皮膚及び身体の保護具保護衣 (化学防護服) を着用する。(ICSCには、漏洩物処理時に化学防護服を使用することとの記載あり)

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態液体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
無色
臭い特徴的な臭気
融点/凝固点-90℃ (ICSC (2003))
沸点、初留点及び沸騰範囲213.5℃ (ICSC (2003))
可燃性可燃性 (ICSC (2003))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界0.7〜8.2 vol% (NFPA (14th, 2010))
引火点86℃ (c.c.) (HSDB (Access on April 2020))
自然発火点252℃ (NFPA (14th, 2010))
分解温度データなし
pHデータなし
動粘性率データなし
溶解度水:100 mg/L (25℃)
n-オクタノール/水分配係数log Pow =3.67 (ICSC (2003))
蒸気圧0.178 mmHg (25℃) (外挿) (HSDB (Access on April 2020))
密度及び/又は相対密度0.880 g/cm3 (25℃) (HSDB (Access on April 2020))
相対ガス密度6.35 (空気=1) (ICSC (2003))
粒子特性該当しない

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性光、熱、過酸化物の影響下で、容易に重合する。
危険有害反応可能性強酸化剤と 激しく反応する。
避けるべき条件光、熱、混触危険物質との接触
混触危険物質強酸化剤
危険有害な分解生成物情報なし

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
(1)〜(7) より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: > 2,000 mg/kg (AICIS IMAP (2014))
(2) ラットのLD50: 4,000〜6,000 mg/kg (SIAP (2004))
(3) ラットのLD50: 5.0 mL/kg (4,430 mg/kg) (EURAR (2005))
(4) ラットのLD50: 4,435 mg/kg (AICIS IMAP (2014))
(5) ラットのLD50: 6.5 mL/kg (約5,770 mg/kg) (EURAR (2005))
(6) ラットのLD50: 5,750 mg/kg (GESTIS (Access on April 2020))
(7) ラットのLD50: 6,500 μL/kg (5,739.5 mg/kg) (HSDB (Access on April 2020))
経皮【分類根拠】
(1)〜(6) より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: > 2,000 mg/kg (AICIS IMAP (2014))
(2) ウサギのLD50: > 2,000 mg/kg (AICIS IMAP (2014))
(3) ウサギのLD50: > 10,000 mg/kg (SIAP (2004))
(4) ウサギのLD50: 16 mL/kg (約14,180 mg/kg) (EURAR (2005))
(5) ウサギのLD50: 7,500 mg/kg (GESTIS (Access on April 2020))
(6) ウサギのLD50: 8,480 mg/kg (HSDB (Access on April 2020))
吸入: ガス【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、区分に該当しないとした。
吸入: 蒸気【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト【分類根拠】
(1) より、区分が特定できないため、分類できない。なお、旧分類の情報源は現在確認できないため、根拠としなかった。ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (1.765 mg/L) あるため、ミストが混在するものとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。

【根拠データ】
(1) ラットの飽和蒸気圧濃度での吸入試験 (8時間): 飽和蒸気濃度で死亡例なし (EURAR (2005)、AICIS IMAP (2014)、SIAP (2004))。
(2) 本物質の蒸気圧: 0.178 mmHg (25℃) (HSDB (Access on April 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 1.765 mg/L)

【参考データ等】
(3) マウスのLC50 (0.5時間): > 7.713 mg/L (HSDB (Access on April 2020))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性【分類根拠】
(1)〜(5) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) OECD及びEUのテストガイドライン類似の方法によるウサギを用いた皮膚刺激性試験 (4時間閉塞適用) において、全ての動物が強度の紅斑及び浮腫を示し、適用24及び72時間後の紅斑及び浮腫の平均スコアはそれぞれ3.2/2.7及び2.7/1.2であった。また、1/6例では適用3日後にスコア4を呈し、皮膚表層の化学火傷がみられた (EURAR (2005)、AICIS IMAP (2014)、GESTIS (Access on April 2020))。
(2) US Federal Register (1964) ガイドラインに従いウサギの正常皮膚及び損傷皮膚に本物質を24時間閉塞適用した皮膚刺激性試験において、全ての動物が強度の紅斑及び浮腫を示し、24時間後及び72時間後の正常皮膚における紅斑及び浮腫の平均スコアはそれぞれ1.75/2及び3.25/3.25であった。なお、壊死性の変化は正常皮膚及び損傷皮膚のいずれにもみられなかった (EURAR (2005))。
(3) 人工皮膚モデル (EpiDerm) を用いたin vitro皮膚腐食性試験において3min、60minばく露後、生存率はそれぞれ99%、104%であり、腐食性物質ではないと判定されている (EURAR (2005)、REACH登録情報 (Access on June 2020))。
(4) 本物質は動物の皮膚に対して腐食性に近い刺激性を有するが、眼に対する刺激性は若干弱い (SIAP (2004))。
(5) 本物質は皮膚と眼に対し強度の刺激性を有する (HSDB (Access on April 2020))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
(1)〜(4) より、区分に該当しないとした。新しいデータ (1)〜(4) が得られたことから分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) OECD TG 405に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験において、軽度の刺激性を示し、角膜混濁、虹彩、結膜発赤、結膜浮腫の適用24時間後から72時間後の平均スコアはそれぞれ0.1、0.1、0.2、0.1であり、全ての所見は3日以内に消失した (EURAR (2005)、AICIS IMAP (2014)、GESTIS (Access on April 2020))。
(2) US Federal Register (1964) ガイドラインに従いウサギを用いた眼刺激性試験 において、中等度の結膜刺激性がみられたが角膜及び虹彩への傷害はみられなかった (EURAR (2005))。
(3) ウサギの眼に本物質 (0.1 mL) を適用した眼刺激性試験で軽度あるいは明らかな結膜充血及び一部に軽度の浮腫がみられた (EURAR (2005))。
(4) OECD TG 405に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験で24/48/72hにおける角膜及び虹彩の平均スコアは2未満、結膜発赤及び結膜浮腫の平均スコアは1未満であり、全ての反応は72時間後には消失した (REACH登録情報 (Access on June 2020))。

【参考データ等】
(5) 本物質は皮膚と眼に対し強度の刺激性を有する (HSDB (Access on April 2020))。
呼吸器感作性【分類根拠】
データ不足のため、分類できない。
皮膚感作性【分類根拠】
(1)〜(4) より、区分1Bとした。細区分可能なデータ (1) 及び (2) が得られたことから細区分を行った。

【根拠データ】
(1) モルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法、皮内投与 1%) において陽性 (陽性率: 26〜57%) と報告されている (MAK (DFG) vol.16 (2001))。
(2) TG 429に準拠したマウス局所リンパ節試験 (LLNA) 2試験において陽性と判定され、EC3は9.7%及び18.96%と報告されている (AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Access on June 2020))。
(3) 本物質はアクリル系接着剤に対する皮膚炎を示す7人のボランティア等に対するパッチテストで陽性であった (EURAR (2005)、MAK (DFG) vol.16 (2001)、AICIS IMAP (2014)、HSDB (Access on April 2020))。
(4) モルモットを用いた皮膚感作性試験 (FCA test及びPolak法) において陽性と報告されている (EURAR (2005)、MAK (DFG) vol.16 (2001)、AICIS IMAP (2014)。

【参考データ等】
(5) 本物質にばく露される可能性のある労働者約 900人に対する調査で本物質に対する感作性あるいはアレルギー反応はみられなかった (EURAR (2005))。
生殖細胞変異原性【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウス骨髄細胞を用いた染色体異常試験では試験方法に問題もあり曖昧な結果との報告がある (EURAR (2005))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、ヒトリンパ球及び哺乳類培養細胞の小核試験で陰性、哺乳類培養細胞の不定期DNA合成試験で陰性、姉妹染色分体交換試験で弱陽性、マウスリンフォーマ試験で弱陽性、染色体異常試験で曖昧な結果、HPRT遺伝子突然変異試験で陰性の報告がある (IARC 122 (2019)、EURAR (2005))。
発がん性【分類根拠】
ヒトでの発がん性に関する情報はない。(4) の通りマウスの発がん性試験でみられた皮膚腫瘍は本物質の刺激性によるものとする評価もあるが、(1)、(2) より最新のIARCの分類結果に基づき区分2とした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCでグループ2B (IARC 122 (2019))、産衛学会で2B (産業衛生学会誌許容濃度の勧告 (2019年提案) に分類されている。
(2) 雄マウス (C3H/HeJ) に本物質を一生涯経皮適用した発がん性試験では、高用量の適用で、皮膚の扁平上皮乳頭腫及び扁平上皮乳頭腫又はがんの合計の発生率、皮膚の乳頭腫、角化扁平上皮がん、悪性黒色腫、及び皮膚の線維肉腫の発生率の有意な増加が認められた (IARC 122 (2019)、 EURAR (2005))。
(3) 雄マウス (NMRI) に本物質を2年間経皮適用した発がん性試験では、本物質投与に続いて既知プロモーター (12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate) 処置の有無に関わらず皮膚腫瘍の発生頻度の有意な増加はみられなかった (IARC 122 (2019)、 EURAR (2005))。

【参考データ等】
(4) EUのリスク評価書では、マウスを用いた経皮発がん性試験でみられた皮膚の腫瘍は本物質の強い刺激性によるものであり、一過性の刺激を伴う低濃度の経皮発がん性試験では腫瘍は観察されなかったこと、本物質の加水分解生成物であるアクリル酸及び2-エチルヘキサノールでは腫瘍が認められなかったことから、本試験は本物質を発がん性物質とみる十分な証拠にはならないとしている (EURAR (2005))。また、GESTISでもマウスを用いた経皮発がん性試験でみられた皮膚腫瘍の増加は局所刺激によりもので遺伝毒性によるものではないとしている (GESTIS (Access on April 2020))。

生殖毒性【分類根拠】
(1) のデータのみであり、データ不足のため分類できないとした。

【根拠データ】
(1) 雌ラットの妊娠6〜20日に吸入ばく露した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制、摂餌量減少) 用量においても胚/胎児に影響はみられていない (EURAR (2005)、AICIS IMAP (2014)、HSDB (Access on April 2020))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)【分類根拠】
本物質のヒトでの単回ばく露に関する報告はない。(1)〜(3) より区分3 (麻酔作用、気道刺激性) とした。

【根拠データ】
(1) 本物質のラットの単回経口投与試験では1,810 mg/kg (区分2の範囲) 以上で立毛、2,803 mg/kg (区分2超の範囲) 以上でふらつきや腹臥位、4,444 mg/kg (区分2超の範囲) で下痢の症状がみられ、致死量以下で無関心や昏睡もみられた (EURAR (2005)、AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Access on June 2020))。
(2) 本物質のマウスの単回経口投与試験では5,000 mg/kg (区分2超の範囲) で自発運動量の減少、運動失調、腹式呼吸の症状がみられた (EURAR (2005)、REACH登録情報 (Access on June 2020))。
(3) 本物質のラットの単回吸入ばく露試験では、飽和蒸気 (濃度不明) で鼻や眼への刺激が示されたとの報告がある (EURAR (2005)、AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Access on June 2020))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)【分類根拠】
本物質のヒトでの反復ばく露に関する報告はない。(1) より、実験動物において区分2の用量で鼻腔への影響がみられたとの情報があったことから、区分2 (鼻腔) とした。

【根拠データ】
(1) 本物質のラットの90日間吸入暴露試験において、30 ppm (0.225 mg/L、区分2の範囲) 以上で嗜眠、眼瞼下垂、嗅上皮の限局性又はびまん性変性、100 ppm (0.750 mg/L、区分2の範囲) で鼻腔前部の嗅粘膜変性がみられた (EURAR (2005)、AICIS IMAP (2014))。
誤えん有害性*【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。本有害性項目の内容に変更はない。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 (急性)甲殻類 (オオミジンコ) による48h-EC50 = 1.3 mg/L (EU-RAR (2005)) であることから、区分2とした。
水生環境有害性 (長期間)急性毒性区分2であるが、急速分解性があり (OECD TG301Fでの28日分解度=75% (EU-RAR (2005))) 、生物濃縮性が低いと推定される (logKow = 3.9 (EU-RAR (2005))) ことから、区分外とした。
オゾン層への有害性-

13.廃棄上の注意
残余廃棄物廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号-
国連品名-
国連危険有害性クラス-
副次危険-
容器等級-
海洋汚染物質-
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質有害液体物質(Y類物質)
国内規制
海上規制情報-
航空規制情報-
陸上規制情報消防法の規定に従う。
特別な安全上の対策消防法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*-
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2016 Emengency Response Guidebook (ERG 2016)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法-
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)-
毒物及び劇物取締法-
消防法第4類引火性液体、第三石油類非水溶性液体(法第2条第7項危険物別表第1)【5 第三石油類非水溶性液体】
海洋汚染防止法有害液体物質(Y類物質)(施行令別表第1)【5 アクリル酸2−エチルヘキシル】

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)
International Chemical Safety Cards (ICSC)
Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
GESTIS Substance database (GESTIS)
ERG 2016版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用